説明

開閉器の開閉蓄力機構

【課題】投入状態と開放状態との切換動作を確実に行うことができ、小型な開閉器とすることができる開閉器の開閉蓄力機構を提供する。
【解決手段】開閉器の開閉蓄力機構は、投入時に投入作動レバー20に投入動作をさせる投入ばね27aと、開放時に開放作動レバー21に開放動作をさせる開放ばね30aと、投入ばね27a及び開放ばね30aのそれぞれの蓄力状態を保持する投入リンク部材14及び開放リンク部材16と、投入時には開放ばね30aを蓄力させ、投入リンク部材14により投入ばね27aを開放させた後、開放ばね30aの蓄力状態を開放リンク部材16により保持させ、また開放時には投入ばね27aを蓄力させ、開放リンク部材16により開放ばね30aを開放させた後、投入ばね27aの蓄力状態を投入リンク部材14により保持させるべく投入駆動板11及び開放駆動板12に遅延回動動作を行わせる摺動軸10及び摺動孔11a,12aとを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、開閉器の開閉蓄力機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、開閉器においては、操作ハンドルを手動で回動操作すると、操作ハンドルの回動操作によってばねを蓄力し、この蓄力を開放させることによって固定電極に対する可動電極の投入及び開放を補助する開閉蓄力機構を備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
開閉器の開閉蓄力機構は、操作ハンドルの可動電極の投入操作時に蓄力を開放させる投入ばねと、操作ハンドルの可動電極の開放操作時に蓄力を開放させる開放ばねと、開閉器が投入状態又は開放状態であるときに投入ばね又は開放ばねの蓄力を保持する蓄力保持機構とを備えている。
【0004】
この蓄力機構においては、各ばねの蓄力状態を保持するために二つの蓄力保持機構が用いられており、投入ばねの蓄力状態の保持には一方の蓄力保持機構が作用し、また開放ばねの蓄力状態の保持には他方の蓄力保持機構が作用するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案第2592850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
投入ばね、開放ばね、及び蓄力保持機構を備えた蓄力機構においては、開閉器が投入状態又は開放状態にあるときには蓄力保持機構によって投入ばね又は開放ばねの蓄力状態が保持される。ところが、前記蓄力機構では開放状態から投入状態へ移行する途中、又は投入状態から開放状態へ移行する途中に、一方の蓄力保持機構による蓄力保持から、他方の蓄力保持機構による蓄力保持に切り換わるようになっているため、この切り換えが正確になされず、開放ばね又は投入ばねの蓄力保持が確実に行われないことがあった。
【0007】
また、操作ハンドルの回動操作は、ばねの蓄力に抗して行うため、操作ハンドルの投入開放操作は大変な手動力を要していた。操作ハンドルを投入状態から開放状態へ回動操作する際に、リンクとばねとが略一直線上に並ぶデッドポイントを超えて最後まで回動操作しなければならないところ、デッドポイントで開閉器が開放されたと思い込み、デッドポイントで操作ハンドルを止めてしまうと開閉器は開放状態とはならない。このように操作ハンドルの回動操作を中途半端に行うと、可動電極が半開放状態となり、固定電極と可動電極との接点間でアークが継続して接点が溶損するおそれがあった。同様に、操作ハンドルの回動操作が中途半端で可動電極が半投入状態となると、固定電極と可動電極との接触部が溶損するおそれがあった。
【0008】
そこで、開閉器を確実に投入状態及び開放状態とするために、投入ばねと開放ばねとの弾性力を増加させることが考えられるが、ばねの弾性力を増加させると、これらのばねを支える支持部材を大型化させる必要があり、開閉器全体の大型化を招くとともに、操作ハンドルの手動力を更に要することとなる。
【0009】
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、投入状態と開放状態との切換動作を確実に行うことができ、小型な開閉器とすることができる開閉器の開閉蓄力機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
請求項1に記載の発明は、操作ハンドルの回動軸上に相対回動可能に支持された一対の駆動板と、前記回動軸の回動を一対の駆動板に伝達する伝達手段と、本体ケース内に設けた駆動軸に相対回動可能に支持されるとともに、前記駆動板に連結された一対の作動レバーと、前記一対の作動レバーのうちいずれかの作動レバーの投入動作及び開放動作に基づいて開閉部を開閉駆動する駆動レバーと、前記一方の作動レバーに連結され、投入時に蓄力を開放して同作動レバーに投入動作をさせる投入ばねと、前記他方の作動レバーに連結され、開放時に蓄力を開放して同作動レバーに開放動作をさせる開放ばねと、前記駆動板と作動レバーとの間に設けられ、投入ばね及び開放ばねのそれぞれの蓄力状態を保持する一対の蓄力保持手段と、前記一対の駆動板間に設けられ、投入時には開放ばねを蓄力させ、一方の蓄力保持手段により投入ばねを開放させた後、同開放ばねの蓄力状態を他方の蓄力保持手段により保持させ、また、開放時には投入ばねを蓄力させ、他方の蓄力保持手段により開放ばねを開放させた後、同投入ばねの蓄力状態を一方の蓄力保持手段により保持させるべく、前記一対の駆動板に遅延回動動作を行わせる遅延回動手段とを備えた開閉器の開閉蓄力機構であることをその要旨としている。
【0011】
同構成によれば、投入時には、回動軸を回動させると、その回動軸の回動は伝達手段及び一対の駆動板を介して一対の作動レバーに伝達される。すると、一対の駆動板間に設けられた遅延回動手段の作用により、まず一方の作動レバーが回動されて開放ばねが蓄力され、他方の蓄力保持手段が解除されて投入ばねの蓄力が開放された後に、一方の蓄力保持手段によって開放ばねの蓄力状態が保持される。そして、投入ばねが開放されたことにより他方の作動レバーが回動して駆動レバーを介して開閉部に伝達されて開閉部が投入状態となる。
【0012】
また、開放時には、回動軸を回動させると、その回動軸の回動は伝達手段及び一対の駆動板を介して一対の作動レバーに伝達される。すると、一対の駆動板間に設けられた遅延回動手段の作用により、まず他方の作動レバーが回動されて投入ばねが蓄力され、一方の蓄力保持手段が解除されて開放ばねの蓄力が開放された後に、他方の蓄力保持手段によって投入ばねの蓄力状態が保持される。そして、開放ばねが開放されたことにより一方の作動レバーが回動して駆動レバーを介して開閉部に伝達されて開閉部が開放状態となる。
【0013】
よって、ばねを蓄力させつつ、もう一方のばねによってその蓄力を保持する保持状態にするため、切換動作を確実に行うことができる。よって、ばねの弾性力を増加させる必要がない。また、上記の切換動作を可能とする、蓄力保持手段は駆動板と作動レバーとの間に設けられ、遅延回動手段は一対の駆動板間に設けられるため、小型な開閉蓄力機構とすることができ、ひいては小型な開閉器とすることができる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の開閉器の開閉蓄力機構において、前記投入ばねと前記開放ばねとを左右に配置し、これらの中央に前記回動軸と、前記一対の作動レバーの駆動軸とを並べて配置したことをその要旨としている。
【0015】
同構成によれば、投入ばねと開放ばねとに回動軸と一対の作動レバーの駆動軸とが挟まれるように並べて配置されるため、軸方向において厚みを抑制することができ、開閉蓄力機構を小型化でき、ひいては開閉器を小型化することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の開閉器の開閉蓄力機構において、前記駆動レバーを前記投入ばねよりも前記開放ばねの近傍に配置したことをその要旨としている。
【0017】
同構成によれば、駆動レバーを開放ばねの近傍に配置することにより、開閉部の固定電極と可動電極との接触部が溶着していたりしてより回動軸を回動させる力が必要となる開放時に開放ばねの蓄力を効率よく働かせることができる。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の開閉器の開閉蓄力機構において、前記遅延回動手段は、前記回動軸に固定したレバーと、同レバーに設けた摺動軸と、同摺動軸が摺動可能に係合するように前記一対の駆動板に設けた摺動孔とから構成したことをその要旨としている。
【0019】
同構成によれば、投入時には、回動軸が回動することにより、その回動がレバーを介して摺動軸に伝達され、これが摺動孔内を移動する。そして、この摺動軸が一方の駆動板の摺動孔の端部内壁に当接して駆動板を回動させる。このとき、摺動軸は他方の駆動板の摺動孔内を移動するだけなので、この駆動板は回動しない。一方の駆動板が所定角度回動すると、摺動軸は他方の駆動板の摺動孔の端部内壁に当接し、この他方の駆動板が回動される。
【0020】
また、開放時には、回動軸が回動することにより、その回動がレバーを介して摺動軸に伝達され、これが摺動孔内を移動する。そして、この摺動軸が他方の駆動板の摺動孔の端部内壁に当接して駆動板を回動させる。このとき、摺動軸は一方の駆動板の摺動孔内を移動するだけなので、この駆動板は回動しない。他方の駆動板が所定角度回動すると、摺動軸は一方の駆動板の摺動孔の端部内壁に当接し、この一方の駆動板が回動される。
【0021】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の開閉器の開閉蓄力機構において、前記一対の作動レバー間に設けられ、投入時には前記投入ばねの蓄力が開放された際に前記駆動レバーを閉駆動させ、また、開放時には前記開放ばねの蓄力が開放された際に前記駆動レバーを開駆動させる第2伝達手段を備えたことをその要旨としている。
【0022】
同構成によれば、投入時には、投入ばねの蓄力が開放されることにより作動レバーが回動される。すると、一対の作動レバー間に設けられた第2伝達手段の作用により、投入ばねの開放により回動された作動レバーによって駆動レバーが閉駆動され、開閉部が投入状態となる。
【0023】
また、開放時には、開放ばねの蓄力が開放されることにより作動レバーが回動される。すると、一対の作動レバー間に設けられた第2伝達手段の作用により、開放ばねの開放により回動された作動レバーによって駆動レバーが開駆動され、開閉部が開放状態となる。
【0024】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の開閉器の開閉蓄力機構において、前記第2伝達手段は、前記一対の作動レバーの回動軸に回動可能に設けた被動レバーと、同被動レバーに設けた摺動軸と、同摺動軸が摺動可能に係合するように前記一対の作動レバーに設けた摺動孔とから構成したことをその要旨としている。
【0025】
同構成によれば、投入時には、作動レバーが回動することにより、作動レバーの摺動孔内を被動レバーの摺動軸が移動する。そして、一方の作動レバーの摺動孔の端部内壁がこの被動レバーの摺動軸に当接して被動レバーを回動させる。このとき、被動レバーの摺動軸は他方の作動レバーの摺動孔内を移動するだけなので、この作動レバーは回動されない。
【0026】
また、開放時には、作動レバーが回動することにより、作動レバーの摺動孔内を被動レバーの摺動軸が移動する。そして、他方の作動レバーの摺動孔の端部内壁がこの被動レバーの摺動軸に当接して被動レバーを回動させる。このとき、被動レバーの摺動軸は一方の作動レバーの摺動孔内を移動するだけなので、この作動レバーは回動されない。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、開閉器の開閉蓄力機構において、投入状態と開放状態との切換動作を確実に行うことができ、小型な開閉器とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】開閉器の開閉蓄力機構の構成を示す正面図。
【図2】開閉器の開閉蓄力機構の構成を示す側面図。
【図3】開閉器の開閉蓄力機構の分解斜視図。
【図4】開閉器の開閉蓄力機構の分解斜視図。
【図5】開閉器の開閉蓄力機構の投入ばね側の動作を示す図。
【図6】開閉器の開閉蓄力機構の開放ばね側の動作を示す図。
【図7】開閉器の開閉蓄力機構の投入ばね側の動作を示す図。
【図8】開閉器の開閉蓄力機構の開放ばね側の動作を示す図。
【図9】開閉器の開閉蓄力機構の投入ばね側の動作を示す図。
【図10】開閉器の開閉蓄力機構の開放ばね側の動作を示す図。
【図11】開閉器の開閉蓄力機構の投入ばね側の動作を示す図。
【図12】開閉器の開閉蓄力機構の開放ばね側の動作を示す図。
【図13】開閉器の開閉蓄力機構の投入ばね側の動作を示す図。
【図14】開閉器の開閉蓄力機構の開放ばね側の動作を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明にかかる開閉器の開閉蓄力機構を具体化した一実施形態について図1〜図14を参照して説明する。
図1及び図2に示されるように、本実施例の開閉器の本体ケース1は金属性の箱形であり、その内部には各相に固定電極及び可動電極を有する図示しない開閉部が設けられている。各開閉部は、手動開閉機構2により固定電極に対して可動電極が接離されるようになっている。
【0030】
手動開閉機構2は、後述する各部材を覆う前側保持板5と後側保持板6とに挟まれて構成されており、本体ケース1の前面壁1aの内側に突設された複数のボルト3aとナット4aにより本体ケース1に固定されている。前側保持板5と後側保持板6とは、複数のボルト3bとナット4b、間隔保持用ナット4cにより互いに締結固定されている。
【0031】
前面壁1aの中央部、並びに前側保持板5及び後側保持板6には回動軸として機能するハンドル軸7が回動可能に支承されている。このハンドル軸7には、開閉部の投入及び開放を操作する操作ハンドル8が取り付けられている。また、ハンドル軸7には、一体回動するハンドルレバー9が取付固定されている。ハンドルレバー9には、突部9aが形成されるとともにハンドル軸7の軸方向において前後両方向へ突出する摺動軸10がハンドル軸7とは異なる位置に形成されている。摺動軸10の前側先端部は前側保持板5に形成された摺動孔5aに、摺動軸10の後側先端部は後側保持板6に形成された摺動孔6aに摺動可能に係合されている。摺動孔5a,6aは、ハンドル軸7を中心軸とする円弧状の孔である。これにより、ハンドルレバー9はハンドル軸7の回動にともない円滑に回動するとともに、両端内壁に摺動軸10が当接することでハンドルレバー9の動作は規制される。
【0032】
図3及び図4に併せて示されるように、ハンドル軸7には、前側の前側保持板5とハンドルレバー9との間に投入駆動板11が、後側の後側保持板6とハンドルレバー9との間に開放駆動板12が回動可能に支承されている。これら投入駆動板11と開放駆動板12とには、ハンドル軸7を中心軸とする円弧状の摺動孔11a,12aがそれぞれ形成され、ハンドルレバー9の摺動軸10がそれぞれ摺動可能に係合されている。投入駆動板11は、摺動軸10が投入駆動板11の摺動孔11aの左側内壁に当接することによりハンドル軸7を中心軸として時計回りへ回動される。開放駆動板12は、摺動軸10が開放駆動板12の摺動孔12aの右側内壁に当接することによりハンドル軸7を中心軸として反時計回りへ回動される。ここで、ハンドルレバー9と摺動軸10と摺動孔11a,12aとが伝達手段として機能するとともに、遅延回動手段として機能する。
【0033】
投入駆動板11のハンドル軸7を挟んで摺動孔11aの反対側には駆動板連結軸13が形成されている。この駆動板連結軸13には、投入リンク部材14の下端部が回動可能に連結されている。投入リンク部材14が一対の一方の蓄力保持手段として機能する。
【0034】
開放駆動板12のハンドル軸7を挟んで摺動孔12aの反対側には駆動板連結軸15が形成されている。この駆動板連結軸15には、開放リンク部材16の下端部が回動可能に連結されている。開放リンク部材16が一対の他方の蓄力保持手段として機能する。
【0035】
手動開閉機構2のハンドル軸7の上方には、レバー回動軸17が設けられており、前側保持板5と後側保持板6とに回動可能に支承されている。レバー回動軸17には、レバー回動軸17を中心軸として回動する被動レバー18が係合されている。被動レバー18には、レバー回動軸17の軸方向において前後両方向へ突出する摺動軸19がレバー回動軸17とは異なる位置に挿通されている。摺動軸19の前側先端部は前側保持板5に形成された摺動孔5bに、摺動軸19の後側先端部は後側保持板6に形成された摺動孔6bに摺動可能に係合されている。摺動孔5b,6bは、レバー回動軸17を中心軸とする円弧状の孔である。これにより、被動レバー18の摺動軸19は回動にともない円滑に回動するとともに、両端内壁に摺動軸19が当接することで後述する駆動レバー22の動作が規制される。
【0036】
レバー回動軸17には、前側の前側保持板5と被動レバー18との間に投入作動レバー20が、後側の後側保持板6と被動レバー18との間に開放作動レバー21が回動可能に支承されている。これら投入作動レバー20と開放作動レバー21とには、レバー回動軸17を中心軸とする円弧状の摺動孔20a,21aがそれぞれ形成され、被動レバー18の摺動軸19がそれぞれ摺動可能に係合されている。
【0037】
摺動軸19は、投入作動レバー20の摺動孔20aの上側内壁に当接することによりレバー回動軸17を中心軸として下方へ回動し、開放作動レバー21の摺動孔21aの下側内壁に当接することによりレバー回動軸17を中心軸として上方へ回動する。ここで、被動レバー18と摺動軸19と摺動孔20a,21aとが第2伝達手段として機能する。
【0038】
被動レバー18の摺動軸19の後側先端部には、駆動レバー22の下端部が回動可能に連結されている。駆動レバー22の上端部は、開閉部の可動電極を駆動させる主軸23に連結部材24を介して回動可能に連結されている。主軸23は、駆動レバー22の上下動によって連結部材24を介して回動され、固定電極に対して可動電極を接離させ、開閉部を投入状態又は開放状態とする。
【0039】
投入作動レバー20のレバー回動軸17と摺動孔20aとの間にはレバー連結軸25が形成され、このレバー連結軸25に投入リンク部材14の上端部が回動可能に連結されている。投入作動レバー20は、投入駆動板11のハンドル軸7を中心軸とする回動にともない投入リンク部材14を介してレバー回動軸17を中心軸として回動する。例えば、投入駆動板11が時計回りへ回動すると、投入作動レバー20が時計回りへ回動する。
【0040】
図1に併せて示されるように、投入作動レバー20のレバー回動軸17を挟んで摺動孔20aの反対側には投入ばね連結軸26が形成され、この投入ばね連結軸26に投入ばね27aを支持する投入ばね支持部材27が回動可能に連結されている。投入ばね27aは、投入作動レバー20が反時計回りへ回動すると蓄力される。一方、投入ばね27aの蓄力が開放されると、投入作動レバー20がレバー回動軸17を中心軸として時計回りへ勢いよく回動されるようになっている。
【0041】
開放作動レバー21のレバー回動軸17を挟んで摺動孔21aの反対側にはレバー連結軸28が形成され、このレバー連結軸28に開放リンク部材16の上端部が回動可能に連結されている。開放作動レバー21は、開放駆動板12のハンドル軸7を中心軸とする回動にともない開放リンク部材16を介してレバー回動軸17を中心軸として回動する。例えば、開放駆動板12が時計回りへ回動すると、開放作動レバー21が時計回りへ回動する。
【0042】
開放作動レバー21のレバー回動軸17を挟んでレバー連結軸28の反対側には開放ばね連結軸29が形成され、この開放ばね連結軸29に開放ばね30aを支持する投入ばね支持部材30が回動可能に連結されている。開放ばね30aは、開放作動レバー21が時計回りへ回動すると蓄力される。一方、開放ばね30aの蓄力が開放されると、開放作動レバー21が反時計回りへ勢いよく回動されるようになっている。開放作動レバー21の摺動孔21aをレバー回動軸17と開放ばね連結軸29との間に形成し、駆動レバー22が摺動孔21aに係合されているので、駆動レバー22は、投入ばね27aよりも開放ばね30aの近傍に配置されている。具体的には、駆動レバー22は、レバー回動軸17と開放ばね30aとの間の開放ばね30aの近傍に配置されている。
【0043】
すなわち、開放状態からの投入動作時には、操作ハンドル8が時計回りへ回動操作されると、ハンドル軸7の回動とともにハンドルレバー9が回動し、投入駆動板11の摺動孔11aの左側内壁に摺動軸10が当接することにより投入駆動板11が回動する。そして、投入駆動板11の回動によって投入リンク部材14を介して投入作動レバー20が回動し、投入作動レバー20の回動にともない投入ばね27aの蓄力が開放される。投入ばね27aの蓄力が開放されると、投入作動レバー20が勢いよく回動し、投入作動レバー20の摺動孔20aの上側内壁に摺動軸19が当接することにより駆動レバー22を下動させ、主軸23を時計回り回動して、開閉部を投入状態とする。
【0044】
一方、投入状態からの開放動作時には、操作ハンドル8が反時計回りへ回動操作されると、ハンドル軸7の回動とともにハンドルレバー9が回動し、開放駆動板12の摺動孔12aの右側内壁に摺動軸10が当接することにより開放駆動板12が回動する。そして、開放駆動板12の回動によって開放リンク部材16を介して開放作動レバー21が回動し、開放作動レバー21の回動にともない開放ばね30aの蓄力が開放される。開放ばね30aの蓄力が開放されると、開放作動レバー21が勢いよく回動し、開放作動レバー21の摺動孔21aの下側内壁に摺動軸19が当接することにより駆動レバー22を上動させ、主軸23を反時計回りへ回動して、開閉部を開放状態とする。
【0045】
上記構成を図1及び図2に示される前側から見ると、投入ばね27aと開放ばね30aとを左右両側に配置し、その中央にハンドル軸7とレバー回動軸17とが挟まれるように並べて配置されている。
【0046】
次に、開閉器に手動開閉機構の動作について、投入状態から開放状態へ順に図5〜図14を参照して詳細に説明する。なお、部材の動きを容易に理解できるよう、投入ばね27aとともに動く部材(以下、投入ばね側と言う)と、開放ばね30aとともに動く部材(以下、開放ばね側と言う)とに分けて説明する。図5、図7、図9、図11、及び図13が投入ばね側を示し、図6、図8、図10、図12、及び図14が開放ばね側を示す。
【0047】
図5及び図6は、開閉器の投入状態を示している。
この投入状態時の投入ばね側は、投入ばね27aが開放され、投入作動レバー20が時計回りへ付勢され、投入作動レバー20がレバー回動軸17を中心軸として時計回りへ回動しようとしている。ところが、投入作動レバー20の摺動孔20aの上側内壁が摺動軸19に当接するとともに、前側保持板5、後側保持板6の摺動孔5b、摺動孔6bの下側内壁に当接することによって、投入作動レバー20のレバー回動軸17を中心軸とする下方への回動が規制されている。これにより、投入リンク部材14を介して投入駆動板11のハンドル軸7を中心軸とする回動が規制されている。
【0048】
また、ハンドルレバー9の摺動軸10は、投入駆動板11の摺動孔11aの右側内壁に当接するとともに、前側保持板5、後側保持板6の摺動孔5a、摺動孔6bの左側内壁に当接することによって、投入駆動板11のハンドル軸7を中心軸とする時計回りの回動が規制されている。このとき、投入駆動板11の駆動板連結軸13は、ハンドル軸7と投入作動レバー20のレバー連結軸25とを結ぶデッドポイントXより右側に位置している。
【0049】
一方、開放ばね側は、開放ばね30aが蓄力され、開放作動レバー21がレバー回動軸17を中心軸として反時計回りへ付勢され、開放作動レバー21が反時計回りへ回動しようとしている。ところが、開放作動レバー21の摺動孔21aの下側内壁が摺動軸19に当接するとともに、開放駆動板12の摺動孔12aの左側内壁にハンドルレバー9の摺動軸10が当接しているので、開放駆動板12のハンドル軸7を中心軸とする時計回りの回動が規制されている。これにより、開放リンク部材16を介して開放作動レバー21のレバー回動軸17を中心軸とする上方への回動が規制されている。このとき、開放駆動板12の駆動板連結軸15は、ハンドル軸7と開放作動レバー21のレバー連結軸28とを結ぶデッドポイントYより右側に位置している。
【0050】
投入駆動板11と投入リンク部材14とがデッドポイントXより右側に逆折れするとともに、開放駆動板12と開放リンク部材16とがデッドポイントYより右側に逆折れすることで開放ばね30aが圧縮保持されている。従って、ハンドル軸7及びハンドル軸7が一体回動するハンドルレバー9、並びに操作ハンドル8が投入状態に保持されている。
【0051】
また、この状態では、投入作動レバー20の摺動孔20aの上側内壁が摺動軸19を下方へ付勢することで駆動レバー22を下方へ付勢し、連結部材24を介して主軸23が時計回りに回動し、開閉部が投入状態に保持されている。
【0052】
図7及び図8は、投入状態から操作ハンドル8を反時計回りへ20°回動させた状態を示している。
この状態で投入ばね側は、操作ハンドル8の反時計回りへの20°の回動にともないハンドルレバー9が反時計回りに回動される。すると、ハンドルレバー9の摺動軸10が投入駆動板11の摺動孔11aの右側内壁に当接しているため、投入駆動板11が反時計回りへ回動される。投入駆動板11の反時計回りへの回動にともない投入駆動板11の駆動板連結軸13を介して投入リンク部材14が上動される。投入リンク部材14の上動にともない投入作動レバー20のレバー連結軸25を介して投入作動レバー20が反時計回りへ回動される。投入作動レバー20は反時計回りへの回動にともない投入ばね連結軸26を介して投入ばね27aが圧縮される。
【0053】
一方、開放ばね側は、操作ハンドル8の反時計回りへの回動にともないハンドルレバー9が反時計回りに回動されるが、ハンドルレバー9の摺動軸10は開放駆動板12の摺動孔12a内を摺動するだけで、開放駆動板12は回動しない。
【0054】
この状態では、被動レバー18の摺動軸19は、投入作動レバー20の摺動孔20a内と開放作動レバー21の摺動孔21a内とを摺動し、被動レバー18は回動せず、駆動レバー22も動かないので開放ばね30aが圧縮保持されたままである。
【0055】
図9及び図10は、操作ハンドル8を反時計回りへ20°回動から反時計回りへ35°回動させた状態を示している。
この状態で投入ばね側は、操作ハンドル8の反時計回りへの20°から35°の回動にともないハンドルレバー9が反時計回りに更に回動され、上記同様に投入駆動板11が反時計回りへ更に回動される。また、投入リンク部材14が更に上動され、投入作動レバー20が反時計回りへ更に回動される。そして、投入ばね27aが更に圧縮される。このとき、投入作動レバー20の摺動孔20aの下側内壁が被動レバー18の摺動軸19に当接する。
【0056】
一方、開放ばね側は、操作ハンドル8の反時計回りへの回動にともないハンドルレバー9が反時計回りに回動されるが、ハンドルレバー9の摺動軸10は開放駆動板12の摺動孔12a内を摺動し、摺動孔12aの右側壁に当接する。また、開放駆動板12の駆動板連結軸15はデッドポイントYよりも右側に位置し、開放ばね30aが圧縮保持されている。
【0057】
この状態では、被動レバー18の摺動軸19は、投入作動レバー20の摺動孔20a内と開放作動レバー21の摺動孔21a内とを摺動し、被動レバー18は回動せず、駆動レバー22も動かない。
【0058】
図11及び図12は、操作ハンドル8を反時計回りへの35°から40°の回動させた状態を示している。
この状態で投入ばね側は、操作ハンドル8の反時計回りへの35°から40°の回動にともないハンドルレバー9が反時計回りに更に回動され、上記同様に投入駆動板11が反時計回りへ更に回動される。また、投入リンク部材14が更に上動され、投入作動レバー20が反時計回りへ更に回動される。そして、投入ばね27aが更に圧縮される。この時、投入作動レバー20の摺動孔20aの下側内壁が被動レバー18の摺動軸19が当接したまま回動するので、万一開閉部の固定電極と可動電極との接触部が溶着していた場合に、操作ハンドル8によって強制的に離間することができる。
【0059】
一方、開放ばね側は、操作ハンドル8の反時計回りへの回動にともないハンドルレバー9が反時計回りに回動され、開放駆動板12の摺動孔12aの右側内壁に当接したハンドルレバー9の摺動軸10により、開放駆動板12が反時計回りへ回動される。図12では、開放駆動板12の反時計回りへの回動にともない開放駆動板12の駆動板連結軸15がデッドポイントY上に位置している。
【0060】
この状態では、被動レバー18の摺動軸19は、投入作動レバー20の摺動孔20a内と開放作動レバー21の摺動孔21a内とを摺動し、被動レバー18は回動せず、駆動レバー22も動かない。
【0061】
図13及び図14は、操作ハンドル8を反時計回りへの40°の回動させた状態から開放状態にしたときを示している。
この状態で開放ばね側は、操作ハンドル8の反時計回りへの40°の回動から開放状態への動作にともないハンドルレバー9が反時計回りに更に回動され、開放駆動板12の駆動板連結軸15がデッドポイントY上から左側へ越え、開放リンク部材16が逆折れする。開放リンク部材16の動作にともない、開放された開放ばね30aの蓄力により開放作動レバー21が反時計回りへ勢いよく回動される。開放作動レバー21が反時計回りへ勢いよく回動されると、開放作動レバー21の摺動孔21aの下側内壁に当接した被動レバー18の摺動軸19により、駆動レバー22が上動される。駆動レバー22の上動により、連結部材24を介して主軸23が反時計回りへ回動され、開閉部が開放状態とされる。
【0062】
この動作は、上述した開閉部の固定電極と可動電極との接触部が溶着していた場合には、開放時に開放ばね30aの蓄力が効率よく働くのでハンドル軸7を回動させる力をより有効に増大させることができる。
【0063】
また、開放作動レバー21の反時計回りへの回動にともない開放作動レバー21のレバー連結軸28を介して開放リンク部材16が下動される。開放リンク部材16の下動にともない開放作動レバー21の駆動板連結軸15を介して開放駆動板12が反時計回りへ回動される。
【0064】
開放駆動板12の摺動孔12aの左側内壁がハンドルレバー9の摺動軸10に当接し、ハンドルレバー9の摺動軸10が反時計回りへ回動される。ハンドルレバー9の摺動軸10の反時計回りへの回動にともないハンドル軸7も反時計回りへ回動し、操作ハンドル8も反時計回りへ回動される。
【0065】
一方、投入ばね側は、開放ばね30aの開放された蓄力により反時計回りへ回動されたハンドルレバー9の摺動軸10が投入駆動板11の摺動孔11aに当接し、投入駆動板11が反時計回りへ回動される。投入駆動板11の駆動板連結軸13はデッドポイントXを右側から左側へ越え、投入リンク部材14が逆折れすることで投入ばね27aが圧縮保持されている。
【0066】
この開放時の投入ばね側は、開放ばね30aが開放され、開放作動レバー21が時計回りへ付勢され、開放作動レバー21がレバー回動軸17を中心軸として反時計回りへ回動しようとしている。ところが、開放作動レバー21の摺動孔21aの下側内壁が摺動軸19に当接するとともに、前側保持板5、後側保持板6の摺動孔5b、摺動孔6bの上側内壁に当接することによって、開放作動レバー21のレバー回動軸17を中心軸とする上方への回動が規制されている。これにより、駆動レバー22の動作が規制され、固定電極及び可動電極を有する開閉部の動作が規制されている。
【0067】
また、ハンドルレバー9の摺動軸10は、開放駆動板12の摺動孔12aの左側内壁に当接するとともに、前側保持板5、後側保持板6の摺動孔5a、摺動孔6aの右側内壁に当接することによって、投入駆動板11のハンドル軸7を中心軸とする時計回りの回動が規制されている。
【0068】
以上で、開閉器の投入状態から開放状態への動作が完了する。
一方、開閉器の開放状態から投入状態へは、上記の説明と逆に動作する。すなわち、操作ハンドル8が時計回りへ回動されると、投入リンク部材14の逆折れが開放され、投入ばね27aの蓄力が開放される。投入ばね27aの開放された蓄力により投入作動レバー20がレバー回動軸17を中心軸として時計回りへ回動し、被動レバー18の摺動軸19が投入作動レバー20の摺動孔20aの上側内壁に当接し、駆動レバー22が下動される。駆動レバー22の下動にともない連結部材24を介して主軸23が時計回りへ回動され、開閉部が投入状態とされる。また、操作ハンドル8の時計回りへの回動にともない開放ばね30aが圧縮され、開放駆動板12の駆動板連結軸15がデッドポイントYを左側から右側へ越え、開放リンク部材16が逆折れすることで開放ばね30aが圧縮保持される。
【0069】
さて、上記の手動開閉機構2を用いれば、投入状態から開放状態への切り替える場合には開放ばね30aの蓄力の開放により投入ばね27aを蓄力状態に保持させ、開放状態から投入状態へ切り替える場合には投入ばね27aの蓄力の開放により開放ばね30aを蓄力状態に保持させるようにした。また、投入ばね27aと開放ばね30aとを左右両側に配置し、その中央にハンドル軸7とレバー回動軸17とを配置して機構を軸方向において厚みを抑制したので小型な手動開閉機構2とすることができ、ひいては小型な開閉器とすることができる。
【0070】
以上、説明した実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
(1)開閉器の蓄力開閉機構は、操作ハンドル8のハンドル軸7上に相対回動可能に支持された一対の駆動板としての投入駆動板11、開放駆動板12と、ハンドル軸7の回動を投入駆動板11、開放駆動板12に伝達するためのハンドルレバー9と摺動軸10と摺動孔11a,12aとからなる伝達手段を備える。蓄力開閉機構は、本体ケース1内に設けた駆動軸としてのレバー回動軸17に相対回動可能に支持されるとともに、一対の投入駆動板11、開放駆動板12に連結された一対の作動レバーとしての投入作動レバー20、開放作動レバー21と、一対の投入作動レバー20、開放作動レバー21のうちいずれか一方の作動レバーの投入動作及び開放動作に基づいて開閉器の開閉部を開閉駆動する駆動レバー22とを備える。蓄力開閉機構は、投入作動レバー20に連結され、投入時に蓄力を開放して投入作動レバー20に投入動作をさせる投入ばね27aと、開放作動レバー21に連結され、開放時に蓄力を開放して開放作動レバー21に開放動作をさせる開放ばね30aとを備える。蓄力開閉機構は、一対の投入駆動板11、開放駆動板12と一対の投入作動レバー20、開放作動レバー21との間に設けられ、投入ばね27a及び開放ばね30aのそれぞれの蓄力状態を保持する蓄力保持手段としての投入リンク部材14、開放リンク部材16を備える。蓄力開閉機構は、一対の投入駆動板11、開放駆動板12との間に設けられ、投入時には開放ばね30aを蓄力させ、投入作動レバー20により投入ばね27aを開放させた後、同開放ばね30aの蓄力状態を開放作動レバー21により保持させ、また、開放時には投入ばね27aを蓄力させ、開放作動レバー21により開放ばね30aを開放させた後、投入ばね27aの蓄力状態を投入作動レバー20により保持させるべく、一対の投入駆動板11、開放駆動板12に遅延回動動作を行わせるための遅延回動手段を備える。
【0071】
このため、投入時には、まず開放作動レバー21が回動されて開放ばね30aが蓄力され、投入リンク部材14が解除されて投入ばね27aの蓄力が開放された後に、開放リンク部材16によって開放ばね30aの蓄力状態が保持される。そして、投入ばね27aが開放されたことにより投入作動レバー20が回動して駆動レバー22を介して固定電極及び可動電極を有する開閉部に伝達されて開閉部が投入状態となる。
【0072】
また、開放時には、まず投入作動レバー20が回動されて投入ばね27aが蓄力され、開放リンク部材16が解除されて開放ばね30aの蓄力が開放された後に、投入リンク部材14によって投入ばね27aの蓄力状態が保持される。そして、開放ばね30aが開放されたことにより開放作動レバー21が回動して駆動レバー22を介して固定電極及び可動電極を有する開閉部に伝達されて開閉部が開放状態となる。
【0073】
よって、投入ばね27a及び開放ばね30aを蓄力させつつ、もう一方の投入ばね27a及び開放ばね30aによってその蓄力を保持する保持状態にするため、切換動作を確実に行うことができる。したがって、ばねの弾性力を増加させる必要がない。
【0074】
また、上記の切換動作を可能とする、投入リンク部材14及び開放リンク部材16は投入駆動板11と投入作動レバー20との間と開放駆動板12と開放作動レバー21との間に設けられ、ハンドルレバー9は投入駆動板11と開放駆動板12との間に設けられるため、小型な開閉蓄力機構とすることができ、ひいては小型な開閉器とすることができる。
【0075】
(2)投入ばね27aと開放ばね30aとを左右に配置し、投入ばね27a、開放ばね30aの中央にハンドル軸7と、投入作動レバー20、開放作動レバー21の駆動軸としてのレバー回動軸17とを並べて配置した。このため、投入ばね27aと開放ばね30aとにハンドル軸7とレバー回動軸17とが挟まれるように並べて配置されるため、軸方向において厚みを抑制することができる。よって、開閉蓄力機構を小型化でき、ひいては開閉器を小型化することができる。
【0076】
(3)駆動レバー22を投入ばね27aよりも開放ばね30aの近傍に配置した。このため、開放時に開放ばね30aの蓄力を効率よく働かせることができる。特に開閉部の固定電極と可動電極との接触部が溶着していたりしてハンドル軸7を回動させる力がより必要となる開放時に有効である。
【0077】
(4)遅延回動手段は、レバー回動軸17に固定した被動レバー18と、被動レバー18に設けた摺動軸19と、摺動軸19が摺動可能に係合するように一対の投入駆動板11、開放駆動板12に設けた摺動孔11a,12aとから構成した。このため、投入時には、ハンドル軸7が回動することにより、その回動がハンドルレバー9を介して摺動軸10に伝達され、これが摺動孔11a,12a内を移動する。そして、この摺動軸10が投入駆動板11の摺動孔11aの右側内壁に当接して投入駆動板11を回動させる。このとき、摺動軸10は開放駆動板12の摺動孔12a内を移動するだけなので、この開放駆動板12は回動しない。投入駆動板11が所定角度回動すると、摺動軸10は開放駆動板12の摺動孔12aの右側内壁に当接し、この開放駆動板12が回動される。
【0078】
また、開放時には、ハンドル軸7が回動することにより、その回動がハンドルレバー9を介して摺動軸10に伝達され、これが摺動孔11a,12a内を移動する。そして、この摺動軸10が開放駆動板12の摺動孔12aの左側内壁に当接して開放駆動板12を回動させる。このとき、摺動軸10は投入駆動板11の摺動孔11a内を移動するだけなので、この投入駆動板11は回動しない。開放駆動板12が所定角度回動すると、摺動軸10は投入駆動板11の摺動孔11aの左側内壁に当接し、この投入駆動板11が回動される。
【0079】
(5)投入作動レバー20と開放作動レバー21との間に設けられ、投入時には投入ばね27aの蓄力が開放された際に駆動レバー22を閉駆動させ、また、開放時には開放ばね30aの蓄力が開放された際に駆動レバー22を開駆動させる第2伝達手段を備えた。このため、投入時には、投入ばね27aの開放により回動された投入作動レバー20によって駆動レバー22が閉駆動され、開閉部が投入状態となる。また、開放時には、開放ばね30aの開放により回動された開放作動レバー21によって駆動レバー22が開駆動され、開閉部が開放状態となる。よって、投入ばね27a、開放ばね30aが圧縮されてから蓄力を開放することができる。
【0080】
(6)第2伝達手段は、投入作動レバー20と開放作動レバー21のレバー回動軸17回動可能に設けた被動レバー18と、被動レバー18設けた摺動軸19と、摺動軸19が摺動可能に係合するように投入作動レバー20と開放作動レバー21に設けた摺動孔20aと摺動孔21aとから構成した。
【0081】
このため、投入時には、投入作動レバー20が回動することにより、投入作動レバー20の摺動孔20a内を被動レバー18の摺動軸19が移動する。そして、投入作動レバー20の摺動孔20aの上側内壁がこの被動レバー18の摺動軸19に当接して被動レバー18を回動させる。このとき、被動レバー18の摺動軸19は開放作動レバー21の摺動孔21a内を移動するだけなので、この開放作動レバー21は回動されない。
【0082】
また、開放時には、開放作動レバー21が回動することにより、開放作動レバー21の摺動孔21a内を被動レバー18の摺動軸19が移動する。そして、投入作動レバー20の摺動孔20aの下側内壁がこの被動レバー18の摺動軸19に当接して被動レバー18を回動させる。このとき、被動レバー18の摺動軸19は投入作動レバー20の摺動孔20a内を移動するだけなので、この投入作動レバー20は回動されない。よって、投入ばね27a及び開放ばね30aの蓄力動作と、駆動レバー22を介して固定電極及び可動電極を有する開閉部の投入、開放動作とを確実に行うことができる。
【0083】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することができる。
・上記構成において、投入禁止機構を設けてもよい。すなわち、後側保持板6に当接手段としてソレノイドを設け、ソレノイドのプランジャをハンドルレバー9の突部9aに当接させる。突部9aが規制部として機能する。よって、ハンドルレバー9の移動が規制されるので、投入動作は禁止される。
【0084】
・上記構成において、第2伝達手段を省略した構成を採用してもよい。
【符号の説明】
【0085】
2…手動開閉機構、7…回動軸としてのハンドル軸、8…操作ハンドル、9…伝達手段及び遅延回動手段を構成するハンドルレバー、10…伝達手段及び遅延回動手段を構成する摺動軸、11…投入駆動板、12…開放駆動板、11a,12a…伝達手段及び遅延回動手段を構成する摺動孔、13…駆動板連結軸、14…蓄力保持手段としての投入リンク部材、15…駆動板連結軸、16…蓄力保持手段としての開放リンク部材、17…駆動軸としてのレバー回動軸、18…第2伝達手段を構成する被動レバー、19…第2伝達手段を構成する摺動軸、20…投入作動レバー、21…開放作動レバー、20a,21a…第2伝達手段を構成する摺動孔、22…駆動レバー、23…主軸、24…連結部材、25…レバー連結軸、26…投入ばね連結軸、27a…投入ばね、28…レバー連結軸、29…開放ばね連結軸、30a…開放ばね、X,Y…デッドポイント。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作ハンドルの回動軸上に相対回動可能に支持された一対の駆動板と、
前記回動軸の回動を一対の駆動板に伝達する伝達手段と、
本体ケース内に設けた駆動軸に相対回動可能に支持されるとともに、前記駆動板に連結された一対の作動レバーと、前記一対の作動レバーのうちいずれかの作動レバーの投入動作及び開放動作に基づいて開閉部を開閉駆動する駆動レバーと、
前記一方の作動レバーに連結され、投入時に蓄力を開放して同作動レバーに投入動作をさせる投入ばねと、
前記他方の作動レバーに連結され、開放時に蓄力を開放して同作動レバーに開放動作をさせる開放ばねと、
前記駆動板と作動レバーとの間に設けられ、投入ばね及び開放ばねのそれぞれの蓄力状態を保持する一対の蓄力保持手段と、
前記一対の駆動板間に設けられ、投入時には開放ばねを蓄力させ、一方の蓄力保持手段により投入ばねを開放させた後、同開放ばねの蓄力状態を他方の蓄力保持手段により保持させ、また、開放時には投入ばねを蓄力させ、他方の蓄力保持手段により開放ばねを開放させた後、同投入ばねの蓄力状態を一方の蓄力保持手段により保持させるべく、前記一対の駆動板に遅延回動動作を行わせる遅延回動手段とを備えた
ことを特徴とする開閉器の開閉蓄力機構。
【請求項2】
請求項1に記載の開閉器の開閉蓄力機構において、
前記投入ばねと前記開放ばねとを左右に配置し、これらの中央に前記回動軸と、前記一対の作動レバーの駆動軸とを並べて配置した
ことを特徴とする開閉器の開閉蓄力機構。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の開閉器の開閉蓄力機構において、
前記駆動レバーを前記投入ばねよりも前記開放ばねの近傍に配置した
ことを特徴とする開閉器の開閉蓄力機構。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の開閉器の開閉蓄力機構において、
前記遅延回動手段は、前記回動軸に固定したレバーと、同レバーに設けた摺動軸と、同摺動軸が摺動可能に係合するように前記一対の駆動板に設けた摺動孔とから構成した
ことを特徴とする開閉器の開閉蓄力機構。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の開閉器の開閉蓄力機構において、
前記一対の作動レバー間に設けられ、投入時には前記投入ばねの蓄力が開放された際に前記駆動レバーを閉駆動させ、また、開放時には前記開放ばねの蓄力が開放された際に前記駆動レバーを開駆動させる第2伝達手段を備えた
ことを特徴とする開閉器の開閉蓄力機構。
【請求項6】
請求項5に記載の開閉器の開閉蓄力機構において、
前記第2伝達手段は、前記一対の作動レバーの回動軸に回動可能に設けた被動レバーと、同被動レバーに設けた摺動軸と、同摺動軸が摺動可能に係合するように前記一対の作動レバーに設けた摺動孔とから構成した
ことを特徴とする開閉器の開閉蓄力機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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