説明

開閉器用ブッシングにおける端子カバー支持部材の固定構造体

【課題】端子カバー支持部材の取り付け作業効率を向上させることができる開閉器用ブッシングにおける端子カバー支持部材の固定構造体を提供する。
【解決手段】端子部材14の圧縮固定部14fに取付部材15を外嵌固定し、取付部材15に端子カバー支持部材16を外嵌固定した。詳述すると、端子カバー支持部材16の切欠部26と取付部材15の係合突起23とを、取付部材15の係止突起25と端子カバー支持部材16の透孔29とを係合固定することにより、端子カバー支持部材16は取付部材15に外嵌固定される。よって、取付部材15に端子カバー支持部材16を外嵌することにより、その端子カバー支持部材16を導電棒13に簡単に取り付けることができる。また、ピン固定作業やネジ固定作業等の作業が不要であることより、端子カバー支持部材16の取り付け工数を低減させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば開閉器ケースに取り付けられるブッシングにおいて、電線接続用の端子を覆う端子カバーを固定するための端子カバー支持部材の固定構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、端子カバー支持部材の固定構造体として、次のような構成が知られている。即ち、ブッシングの導電棒に外方から挿通された端子カバー支持部材をブッシング内方にスライドさせて一旦退避させておく。そして、導電棒の外端部に端子部材をかしめ固定(圧縮固定)した後に前記端子カバー支持部材を圧縮固定部近傍に戻す。導電棒に対して形成された径方向へ延びる透孔と、端子カバー支持部材に対して形成された径方向へ延びる透孔とを位置合わせし、両透孔内に一つのピンを挿入して固定する(例えば、特許文献1参照。)。また、端子カバー支持部材(遮断部)に切り込み(割部)を形成し、導電棒の外端部に端子部材をかしめ固定した後に当該圧縮固定部近傍に端子カバー支持部材を取り付ける。そして、その端子カバー支持部材の切り込み部分が展開しないようにネジ固定するようにした端子カバー支持部材の固定構造体もある(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】登録実用新案第2502065号公報
【特許文献2】特開2002−245883号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、前記従来の端子カバー支持部材の固定構造体には次のような問題があった。即ち、特許文献1に記載された端子カバー支持部材の固定構造体においては、導電棒に対して端子カバー支持部材を固定する場合には、導電棒の透孔と端子カバー支持部材の透孔とを位置あわせした後、ピンを挿入しなければならず、作業効率が悪かった。
【0004】
また、特許文献2に記載された端子カバー支持部材の固定構造体においては、切り込みが形成された端子カバー支持部材のその切り込み部分が展開しないようにネジ固定しなければならず、作業効率が悪かった。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、端子カバー支持部材の取り付け作業効率を向上させることができる開閉器用ブッシングにおける端子カバー支持部材の固定構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、開閉器ケースに取り付けられた本体碍子を貫通して設けた導電棒の外端部に、端子部材を設け、前記端子部材を覆う端子カバーを、前記導電棒に対して固定された端子カバー支持部材に取り付けるようにした開閉器用ブッシングにおける端子カバー支持部材の固定構造体において、前記端子部材に形成された圧縮固定部には、前記端子カバー支持部材を取り付けするための取付部材を固定し、前記取付部材には、前記端子カバー支持部材を外嵌固定したことを要旨とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記取付部材には、外周の一部に展開可能とする切込部が形成され、前記取付部材は、前記端子部材の前記圧縮固定部に外嵌固定されていることを要旨とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記取付部材と前記端子カバー支持部材との間には、前記取付部材に前記端子カバー支持部材を外嵌固定した場合に、前記端子カバー支持部材の軸方向移動及び回転を防止する係止手段を備えたことを要旨とする。
【0009】
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、圧縮固定部に固定した取付部材に対して端子カバー支持部材を外嵌固定するだけで、端子カバー支持部材を導電棒に対して固定することができる。よって、ピン固定作業やネジ固定作業を行うことなく、導電棒に対して端子カバー支持部材を固定することができるため、取り付け作業効率を向上させることが可能となる。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の作用に加えて、取付部材は、切込部から展開することにより、圧縮固定部の径方向から圧縮固定部に外嵌することが可能となる。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は請求項2に記載の発明の作用に加えて、取付部材に端子カバー支持部材を外嵌固定すると、係止手段によって端子カバー支持部材は軸方向移動及び回転が防止される。この結果、端子カバー支持部材は導電棒に固定される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、端子カバー支持部材の取り付け作業効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を開閉器用のブッシングに具体化した一実施形態を図1〜図7に従って説明する。なお、以下の説明では、図1における右側を内方側といい、図1における左側を外方側という。図2〜図7においても、上記内方側及び上記外方側という言葉を、同様の意味で用いる。
【0014】
[ブッシング10の概略構成]
図1に示すように、ブッシング10は、開閉器ケース11の壁11aに貫通支持されている。ブッシング10は、本体碍子12、導電棒13、端子部材14、取付部材15、端子カバー支持部材16、及び端子カバー17を備えている。
【0015】
本体碍子12は、その内方側の端部が、壁11aの貫通孔11bに挿入された状態で該壁11aに固定されている。導電棒13は、導電性の金属材料からなる丸棒状に形成され、本体碍子12を貫通するように配置される。導電棒13の内方側の端部は、本体碍子12に固定されると共に、開閉器ケース11内に配置された可動電極又は固定電極(図示しない)が設けられている。導電棒13の外方側の端部(以下、外端部13aという)は、本体碍子12の外方側の端部から突出している。導電棒13の外端部13aには、端子部材14がかしめ固定(圧縮固定)され、端子部材14のかしめ固定された部分の外周には、取付部材15が外嵌固定されている。取付部材15の外周には、端子カバー支持部材16が外嵌固定され、端子カバー支持部材16には、端子部材14を覆う端子カバー17が外嵌固定されている。
【0016】
本体碍子12と導電棒13とがなす空間には、ウレタンなどの充填剤Uが充填されている。即ち、導電棒13は本体碍子12、端子カバー支持部材16、端子カバー17、及び充填剤Uにより覆われている。よって、充電部となる導電棒13は、防水及び絶縁が図られている。
【0017】
[本体碍子12]
図1に示すように、ブッシング10における本体碍子12の外方側の端部には、外方側に開口された第1筒部12aと第2筒部12bとからなる二重筒が形成されている。第1筒部12aと導電棒13との間には、収容空間S1が形成されている。第1筒部12aと第2筒部12bとの間には収容空間S2が形成されている。
【0018】
[端子部材14]
図1及び図2(a)に示すように、端子部材14は、導電性の金属材料から形成されている。端子部材14は、板状をなす電線取付部14aと、円筒状をなす円筒部14bとを備え、平面視T字状に一体に形成されている。電線取付部14aには、電線(図示略)を接続する際に、当該電線側に設けられた接続端子(図示略)をボルト及びナットで固定するための貫通孔14cが形成されている。
【0019】
図2(a)〜(c)及び図6に示すように、円筒部14bは、内方側に開口された円筒状に形成されており、円筒部14bの内周面14dに導電棒13の外端部13aを挿入後、かしめ工具による圧縮により六角形状にかしめ固定(圧縮固定)されている。このかしめ固定の際、円筒部14bは、圧縮された圧縮固定部14fと圧縮されない筒部14e,14gとを形成する。
【0020】
図2(b),(c)に示すように、圧縮固定部14fの最大径d2は、かしめ固定により筒部14e,14gの直径d1よりも小さく形成される。即ち、圧縮固定部14fと筒部14e,14gとに段差が形成されている。
【0021】
[取付部材15]
図3及び図4(a),(b)に示すように、取付部材15は、円筒状の外周面15aと、前記圧縮固定部14fに対応する六角形状の内周面15bとを備えている。取付部材15は、絶縁性を有し、かつ弾性変形可能な合成樹脂材料により形成されている。取付部材15の円周(外周)の一部には、軸O方向に亘って切込部20が形成されており、当該切込部20より展開可能とされている。内周面15bの6つの角部には、軸O方向へ延びる溝21がそれぞれ形成されている。
【0022】
図1に示すように、取付部材15の軸O方向長さは、圧縮固定部14fの軸O方向長さと同一長さに形成されている。
図3及び図4(a),(b)に示すように、取付部材15の外周面15aには、一対の係合突起22,23が突出するように形成されている。両係合突起22,23は、取付部材15の外周面15aにおいて互いに反対側に位置するように形成されている。また、両係合突起22,23は、外方側の側面が、取付部材15の外方側の側面と面一になるように形成されている。係合突起22は、一対の突起22a,22bにより構成され、突起22a,22bは、切込部20を挟んで対向するように形成されている。よって、取付部材15は、溝21が形成されていることにより、その溝21部分が薄肉となる。そのため、取付部材15を展開した際に、その溝21部分から折れ曲がるため展開しやすくなる。また、突起22a,22bを摘んで取付部材15を展開することができ、該取付部材15を展開しやすい。
【0023】
また、取付部材15の外周面15aには、一対の係止突起24,25が突出するように形成されている。両係止突起24,25は、取付部材15の外周面15aにおいて互いに反対側に位置するように形成され、軸Oを基準として前記係合突起22,23に対して90度回転した位置に形成されている。両係止突起24,25は、略断面三角形状に形成され、係止面24a,25aと、斜面24b,25bとをそれぞれ備えている。係止面24a,25aは、係止突起24,25の外方側の側面であると共に軸Oと直交する面であり、斜面24b,25bは、外方側から内方側へ傾斜する面である。両係止突起24,25は、係止面24a,25aが、取付部材15の外方側の端面よりもやや内方側に位置するように形成されている。
【0024】
[端子カバー支持部材16]
図1,図5及び図6に示すように、端子カバー支持部材16は、絶縁性を有し、かつ弾性変形可能な合成樹脂材料により形成されており、第1筒部16a、第2筒部16b、鍔部16cを備えている。第1筒部16a、第2筒部16b、鍔部16cは一体に形成されている。第1筒部16aの内周面は、取付部材15の外周面15aと同一径に形成された挿通孔16dとされている。
【0025】
第1筒部16aの外方側の端部には、一対の切欠部26,27が形成されている。両切欠部26,27は、取付部材15の係合突起23,22と対応する位置に形成されており、嵌合時両係合突起23,22をそれぞれ係合するように形成されている。
【0026】
第1筒部16aには、四角形状をなす一対の収容部としての透孔29,30が形成されている。透孔29,30は、取付部材15の係止突起25,24と対応する位置にそれぞれ形成されており、嵌合時に両係止突起25,24(係止面25a,24a)がそれぞれ係合するように形成されている。さらに説明すると、両透孔29,30は、端子カバー支持部材16の第1筒部16aにおいて互いに反対側に位置するように形成され、軸Oを基準として前記切欠部26,27に対して90度回転した位置に形成されている。
【0027】
図1に示すように、鍔部16cは、透孔29,30よりも内方側に位置し、第1筒部16aの軸Oと直交する方向に伸びるように円盤形状に形成されている。また、鍔部16cの先端には、内方側に伸びる円筒状の第2筒部16bが形成されている。第2筒部16bの外周面には、係合凹条31が全周に亘って形成されている。
【0028】
[端子カバー17]
図1に示すように、端子カバー17の内周面には、係合凸条32が全周に亘って形成されており、係合凸条32が係合凹条31に係合していることにより、端子カバー17は端子カバー支持部材16に外嵌固定されている。
【0029】
[端子カバー支持部材16の取付状態]
図1に示すように、端子部材14の圧縮固定部14fには、係合突起22が下方に位置するように取付部材15が外嵌されている。さらにいうと、取付部材15の外周に端子カバー支持部材16が外嵌されていることにより、取付部材15は展開不能となることで圧縮固定部14fに外嵌している。従って、取付部材15は軸O方向において筒部14e,14gに係合し、圧縮固定部14fと取付部材15の内周面15bは相互の形状が係合している。
【0030】
取付部材15の外周面15aには端子カバー支持部材16が外嵌している。即ち、外周面15aの係合突起22,23は端子カバー支持部材16の切欠部27,26にそれぞれ係合している。また、取付部材15の係止突起24,25は端子カバー支持部材16の透孔30,29にそれぞれ係合している。
【0031】
従って、取付部材15は筒部14e,14gに係合することにより、外方側及び内方側(軸O方向)への移動は規制される。また、圧縮固定部14fと取付部材15の内周面15bは相互の形状が係合することにより、軸Oを中心とする回転が規制される。
【0032】
端子カバー支持部材16の切欠部26,27が、取付部材15の外周面15aの係合突起23,22にそれぞれ係合することにより、端子カバー支持部材16が外方側へ移動すること、端子カバー支持部材16が回転することが規制される。また、端子カバー支持部材16の透孔29,30が取付部材15の係止突起25,24とにそれぞれ係合することにより、端子カバー支持部材16が外方側及び内方側(軸O方向)へ移動すること、端子カバー支持部材16が回転することが規制される。
【0033】
[端子カバー支持部材16の組み付け手順]
次に、端子カバー支持部材16の組み付け手順について図1及び図7に従って説明する。
【0034】
図7に示すように、導電棒13の外端部13aに端子カバー支持部材16の挿通孔16dを外方側より挿通し、ブッシング10内の収容空間S1及び収容空間S2に、第1筒部16a及び第2筒部16bをそれぞれ収容する。この収容した状態では、本体碍子12の外方側の端部と鍔部16cの外方側面が同一上に位置することとなる。
【0035】
次に、導電棒13の外端部13aに端子部材14の円筒部14bを挿入し、円筒部14bの軸O方向中央部をかしめ工具により圧縮する。すると、その中央部は六角形状に変形し、さらに、その中央部と対応した位置にある外端部13aも六角形状に変形する。この結果、その中央部と外端部13aとがかしめ固定(圧縮固定)される。また、円筒部14bにおいて、六角形状に圧縮された中央部は圧縮固定部14fとなり、その圧縮固定部14fの軸O方向両側にある圧縮されていない部分が、筒部14e,14gとなる。次に、取付部材15を切込部20から展開して、係合突起22,23が外方側に位置すると共に、係合突起22が下方に位置するように、その取付部材15を前記圧縮固定部14fの外面に上方向より外嵌固定する。このとき、円筒部14bの六角形状に内周面15bの六角形状を合わせる。
【0036】
次に、図1に示すように、端子カバー支持部材16を内方側から外方側へ向けて軸O方向に沿って移動させ、端子カバー支持部材16の第1筒部16aを取付部材15の外周面15aに外嵌する。このとき、係止突起24,25を第1筒部16aに挿入して、その係止突起24,25を透孔30,29にそれぞれ係合させる。その際、切欠部26,27に係合突起23,22がそれぞれ係合する。すなわち、端子カバー支持部材16が取付部材15の係止突起24,25及び係合突起22,23に係合していることにより、端子カバー支持部材16が取付部材15に外嵌固定されている。その後、第2筒部16bの係合凹条31に端子カバー17の係合凸条32を係合させることにより、端子カバー17を端子カバー支持部材16に外嵌固定する。
【0037】
尚、本実施形態において、端子部材14の圧縮固定部14f、筒部14e,14g及び取付部材15の内周面15bは係合手段を構成する。取付部材15の係合突起22,23、端子カバー支持部材16の切欠部26,27及び取付部材15の係止突起24,25、端子カバー支持部材16の透孔29,30は係止手段を構成する。
【0038】
従って、本実施形態によれば、以下のような作用・効果を得ることができる。
(1)端子部材14に形成された円筒部14bに取付部材15を外嵌し、取付部材15に端子カバー支持部材16を外嵌固定した。即ち、円筒部14bの圧縮固定部14fに取付部材15(内周面15b)を外嵌した後、端子カバー支持部材16の切欠部26,27と取付部材15の係合突起23,22とを、取付部材15の係止突起24,25と端子カバー支持部材16の透孔30,29とを係合固定するようにした。よって、取付部材15に端子カバー支持部材16を外嵌することにより、その端子カバー支持部材16を導電棒13に簡単に取り付けることができる。ひいては、端子カバー支持部材16の取り付け作業効率を向上させることができる。また、ピン固定作業やネジ固定作業等の作業が不要であることより、端子カバー支持部材16の取り付け工数を低減させることができる。
【0039】
(2)取付部材15の内周面15bと圧縮固定部14fの形状を同一形状とし、この取付部材15を、圧縮固定部14fと、筒部14e,14gとに嵌合するようにした。よって、取付部材15を圧縮固定部14fに外嵌することにより、取付部材15が軸O方向へ移動すること及び取付部材15が軸Oを中心として回転することが規制され、取付部材15を固定することができる。ひいては、端子カバー支持部材16が軸O方向へ移動すること及び端子カバー支持部材16が軸Oを中心として回転することが規制されるので、端子カバー支持部材16を導電棒13に固定することができる。
【0040】
(3)端子カバー支持部材16を取付部材15に外嵌し、端子カバー支持部材16の切欠部26,27と取付部材15の係合突起23,22とが係合すると共に、端子カバー支持部材16の透孔29,30と取付部材15の係止突起25,24とが係合するようにした。よって、端子カバー支持部材16を取付部材15に外嵌することにより、端子カバー支持部材16が外方側及び内方側(軸O方向)へ移動すること及び端子カバー支持部材16が回転することが規制され、端子カバー支持部材16を導電棒13に固定することができる。
【0041】
(4)取付部材15の内周面15bには、六角の各角部に対応する位置に軸O方向へ延びる溝21を形成した。よって、内周面15bに溝21が形成されていることにより、取付部材15を展開しやすくなり、組み付け作業性を向上させることができる。
【0042】
(5)取付部材15は、その係合突起22を下方に位置するように圧縮固定部14fに外嵌した。そのため、万一雨水が取付部材15内に浸入しても水切れを良くすることができる。
【0043】
(6)切込部20を有する取付部材15と、端子カバー支持部材16とを端子部材14に外嵌固定するようにした。よって、本構成によれば充電部と接地部との漏洩距離も確保される。これは、端子カバー支持部材に切り込みが形成されていると、漏洩距離が短くなるおそれがあるからである。
【0044】
(7)導電棒13を本体碍子12、端子カバー支持部材16、端子カバー17、及び充填剤Uにより覆うようにした。よって、本体碍子12の外部(即ち、端子カバー支持部材16と本体碍子12の外端面との隙間)から収容空間S1内に例えば雨水が入り込んでも、この雨水が導電棒13に接触することはない。さらには、例えば工事の際に使用するバインド線や鳥が営巣のために運んで来る針金等が、端子カバー支持部材16と本体碍子12との隙間から入り込んだ場合であっても、これらバインド線や針金等が充電部となる導電棒13に直接接触することはない。従って、前記バインド線や針金等の侵入に起因する地絡事故、及び開閉器における隣接相のブッシングとの間で発生する相間短絡事故をそれぞれ抑制することができる。
【0045】
なお、上記実施形態は以下のような別例に変更して具体化してもよい。
・前記実施形態では、取付部材15の内周面15bに溝21を形成していたが、その溝21を省略してもよい。
【0046】
・前記実施形態では、係止突起24,25は、係止面24a,25a、斜面24b,25bをそれぞれ備えた略断面三角形状に形成されていた。これに限らず、係止突起24,25の形状を四角柱状に形成してもよい。
【0047】
・前記実施形態では、係止突起24,25と係合する(係止突起24,25を収容する)透孔30,29を第1筒部16aに形成していた。これに限らず、係止突起24,25と係合する(係止突起24,25を収容する)収容部としての凹部を第1筒部16aの内周面に形成してもよい。
【0048】
・前記実施形態では、係止突起24,25と透孔30,29、係合突起22,23と切欠部27,26とにより係止手段を構成していたが、係止突起24,25及び透孔30,29のみで係止手段を構成してもよいし、係合突起22,23及び切欠部27,26のみで係止手段を構成してもよい。
【0049】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)前記取付部材の内周面には、軸方向へ延びる溝が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の開閉器用ブッシングにおける端子カバー支持部材の固定構造体。このように構成すると、内周面に溝が設けられていることにより、その溝部分が薄肉となる。そのため、取付部材を展開した際に、その溝部分から折れ曲がるため展開しやすくなる。
【0050】
(ロ)前記係止手段は、前記取付部材の外周面に突出した係止突起と、前記端子カバー支持部材に形成されると共に前記係止突起に係合する収容部とを備えていることを特徴とする請求項3に記載の開閉器用ブッシングにおける端子カバー支持部材の固定構造体。このように構成すると、係止突起と収容部とが係合することにより、端子カバー支持部材は軸方向移動及び回転が防止される。
【0051】
(ハ)前記係止手段は、前記取付部材の外周面に突出した係合突起と、前記端子カバー支持部材の端部に形成されると共に前記係合突起に係合する切欠部とを備えたことを特徴とする技術的思想(ロ)に記載の開閉器用ブッシングにおける端子カバー支持部材の固定構造体。このように構成すると、係合突起と切欠部とが係合することにより、端子カバー支持部材は軸方向移動及び回転がより一層防止される。
【0052】
(ニ)前記取付部材は、前記端子カバー支持部材を外嵌固定することにより、展開不能となるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の開閉器用ブッシングにおける端子カバー支持部材の固定構造体。このように構成すると、圧縮固定部に取付部材を取り付けた後、取付部材に端子カバー支持部材を外嵌固定すると、取付部材は展開不能となる。取付部材が展開不能となることにより、取付部材は圧縮固定部に外嵌固定される。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本実施形態における開閉器用のブッシングの部分正断面図。
【図2】(a)は、端子部材の正面図。(b)は、図2(a)のA−A線矢視断面図。(c)は、図2(a)のB−B線矢視断面図。
【図3】本実施形態における取付部材の斜視図。
【図4】(a)は、本実施形態における取付部材の正面図。(b)は、本実施形態における取付部材の平面図。
【図5】本実施形態における端子カバー支持部材の斜視図。
【図6】図1のC−C線矢視断面図。
【図7】本実施形態における取付部材、端子カバー支持部材の組み付け途中の部分正断面図。
【符号の説明】
【0054】
11…開閉器ケース、10…ブッシング、12…本体碍子、13…導電棒、13a…外端部、14…端子部材、14f…圧縮固定部、15…取付部材、15b…内周面、16…端子カバー支持部材、17…端子カバー、20…切込部、21…溝、22,23…係合突起、24,25…係止突起、26,27…切欠部、29,30…収容部としての透孔、O…軸。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉器ケースに取り付けられた本体碍子を貫通して設けた導電棒の外端部に、端子部材を設け、前記端子部材を覆う端子カバーを、前記導電棒に対して固定された端子カバー支持部材に取り付けるようにした開閉器用ブッシングにおける端子カバー支持部材の固定構造体において、
前記端子部材に形成された圧縮固定部には、前記端子カバー支持部材を取り付けするための取付部材を固定し、
前記取付部材には、前記端子カバー支持部材を外嵌固定したことを特徴とする開閉器用ブッシングにおける端子カバー支持部材の固定構造体。
【請求項2】
前記取付部材には、外周の一部に展開可能とする切込部が形成され、
前記取付部材は、前記端子部材の前記圧縮固定部に外嵌固定されていることを特徴とする請求項1に記載の開閉器用ブッシングにおける端子カバー支持部材の固定構造体。
【請求項3】
前記取付部材と前記端子カバー支持部材との間には、前記取付部材に前記端子カバー支持部材を外嵌固定した場合に、前記端子カバー支持部材の軸方向移動及び回転を防止する係止手段を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の開閉器用ブッシングにおける端子カバー支持部材の固定構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−210072(P2006−210072A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−18778(P2005−18778)
【出願日】平成17年1月26日(2005.1.26)
【出願人】(000213297)中部電力株式会社 (811)
【出願人】(000102636)エナジーサポート株式会社 (51)