説明

開閉機器

【課題】設置面からの機器の高さを低くして、輸送及び保守点検を容易とするとともに周囲に配置される他機器の配置自由度を大きくする開閉機器を得る。
【解決手段】可動主接点(可動接触子)1a及び固定主接点(固定接触子)1bを有する主接点部1(図2)と、可動接触子1aの移動方向に長尺とされ、内部に主接点部を絶縁した状態で収納するとともに絶縁ガスが充填され、長手方向を水平にして設置される圧力容器40と、圧力容器40の上方に設けられ、絶縁材料でなる連結機構6を介して可動接触子1aと連結された操作機構50とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は発電・変電などの電力系統で使用される開閉機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、開閉機器は、固定接触子と当該固定接触子に接離する可動接触子を有する主接点部と、この主接点部を収納するとともに絶縁ガスが充填された圧力容器とを備えている。そして、このような開閉機器には、可動接触子を固定接触子に対して進退動させて主接点部を開閉する操作機構が設けられていることが多い。
【0003】
この操作機構は、一般に液圧式で蓄勢エネルギ媒体を利用して駆動する構造とされており、電気的に絶縁された絶縁ロッドやリンク機構を介して可動接触子に連結されている。そして、電力系統の事故時等に発令される動作指令を受けて、液圧式操作機構が動作して、主接点部を開成することにより事故電流を遮断する(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2003−264914号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような従来の開閉機器によれば、液圧式操作機構は、圧力容器の下部(鉛直下)に設けられた操作機構箱内に設けられていた。この操作機構箱には、液圧式操作機構の他に操作機構の補器類も収納されていた。
【0006】
このように従来の開閉機器においては、圧力容器の鉛直下に操作機構箱を配置して操作機構をその内部に収納する構成としているため、機器の高さ(圧力容器の高さ)が高いという課題があった。特に、母線(タンクの内部に導体が配置されて構成されている)が圧力容器に接続されるような方式の開閉機器の場合には、その高さが障害となり屋内などに設置される際に容易でなく課題であった。さらに、機器の高さは輸送及び保守点検する際にも障害となり課題であった。
【0007】
また、従来の他の開閉機器として、長尺の圧力容器の一端に操作機構箱を配置するものがある。このような圧力容器の一端に操作機構箱を配置するものにおいては、機器の高さ(圧力容器の高さ)が高くなることはないが、機器の長さが長くなり広い設置スペースを必要とするという欠点があるとともに、周囲に配置される他機器の配置自由度を小さくするので課題となっていた。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、広い設置スペースを必要とすることなく、設置面からの機器の高さ(圧力容器の高さ)を低くして、輸送及び保守点検を容易とするとともに周囲に配置される他機器の配置自由度を大きくする開閉機器を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の開閉機器は、固定接触子及びこの固定接触子に接離する可動接触子を有する主接点部と、可動接触子の移動方向に長尺とされ、内部に主接点部を絶縁した状態で収納するとともに絶縁ガスが充填され、長手方向を水平にして設置される圧力容器と、圧力容器の上方に設けられ、絶縁材料でなる連結機構を介して可動接触子と連結された操作機構とを備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の他の開閉機器は、固定接触子及びこの固定接触子に接離する可動接触子を持つ主接点部を有する遮断器と、遮断器に接続された断路器と、可動接触子の移動方向に長尺とされ、内部に遮断器及び断路器を絶縁した状態で収納するとともに絶縁ガスが充填され、長手方向を水平にして設置される圧力容器と、圧力容器の上方に設けられ、絶縁材料でなる連結機構を介して可動接触子と連結された操作機構とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、操作機構が圧力容器の上方に設けられているので、広い設置スペースを必要とすることなく、設置面からの機器の高さ(圧力容器の高さ)を低くして、輸送及び保守点検を容易とするとともに周囲に配置される他機器の配置自由度を大きくするという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明にかかる開閉機器の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0013】
実施の形態1.
図1は本発明に係る開閉機器の実施の形態1の構造を示す横断面図である。図2は図1の開閉機器の遮断器近傍を拡大して断面とした要部拡大断面図である。図3は図1の開閉機器の側面図である。図4は図1の開閉機器の平面図である。
【0014】
図1において、開閉機器100は、圧力容器40の中央部に設けられた遮断器10と、圧力容器40の両端部に設けられ遮断器10とそれぞれ高圧中心導体(内部導体)11にて連結された第一断路器21及び第二断路器22と、これら遮断器10及び断路器21,22を収容する圧力容器40と、外部からの動作指令を受けて遮断器10を開成状態とする操作機構50とを含んで構成されている。操作機構50は、圧力容器40の上部に設けられた操作機構箱51内に収納されている。遮断器10と操作機構50とは、連結機構6にて連結されている。
【0015】
圧力容器40は、長尺の有底円筒状を成し2組の支持脚46により、設置面から高さh上昇した位置に軸線を水平にして設置されている。また、圧力容器40は、遮断器10から第一断路器21及び第二断路器22に延びる高圧中心導体(内部導体)11が水平となるようにして設置されている。さらにまた、圧力容器40は、後述する遮断器10の可動主接点の動作方向が水平となるようにして設置されている。
【0016】
断路器21,22に接続された母線(高圧導体とこの高圧導体を収容する容器とから構成されている)31,32は、圧力容器40の両端部の断路器21,22からそれぞれ鉛直上方に延び、所定の高さ(母線32の方が母線31より高い)に達した後、圧力容器40側に直角に折れ曲がり、その後、水平に延びている。つまり、母線31,32は、圧力容器40から所定距離上方を圧力容器40に平行(水平)となるように延設されている。操作機構50を収納する操作機構箱51は、母線31,32と概略同じ高さに配置されている。
【0017】
さらに詳細には、第一断路器21から延びる第一母線31は、圧力容器40の一端部から鉛直上方に延び、第一の高さに達した後、一旦側方(図1の手前側)に直角に折れ曲がり、さらに圧力容器40側に直角に折れ曲がり、その後、水平に延びている。一方、第二断路器22から延びる第二母線32は、圧力容器40の他端部から鉛直上方に延び、第一の高さより高い第二の高さに達した後、圧力容器40側に直角に折れ曲がり、その後、水平に延びている。そして、図3及び図4に示されるように、複数の開閉機器100が併設されており、各圧力容器40から延びた第一母線31及び第二母線32は、それぞれ第一の高さと第二の高さにて平行を保ちながら延設されている。そして、操作機構箱51は、第一の高さに設けられ、自機器から延びる第一母線31と隣接する機器から延びる第一母線31に挟まれる様に配設されている。このような配置とすることにより、設置スペースをコンパクトにしている。
【0018】
図2において、遮断器10は、可動主接点(可動接触子)1a及び固定主接点(固定接触子)1bからなる主接点部1、および可動主接点1a及び固定主接点1bそれぞれ両端部に保持する極間絶縁支持筒2等を装備している。主接点部1においては、圧力容器40の中心軸上を移動可能とする可動主接点1aと固定主接点1bとが近接し且つ対向し、両者が接離可能なように構成されている。
【0019】
可動主接点1aは、少なくとも一部が絶縁部材で作製された絶縁ロッド4やリンク機構5からなる連結機構6に接続され、圧力容器40の上方に配設された操作機構50により動作する。操作機構50は、蓄勢エネルギ媒体で駆動し、電力系統の事故時などには主接点部1を開離して電流を遮断する。遮断器10は、フレーム13に支持されている。
【0020】
フレ−ム13は、圧力容器40の中央上部より所定距離上昇した位置に絶縁支持筒15により絶縁支持されている。連結機構6は可動主接点1aと接続してフレ−ム13内に設けられ、絶縁支持筒15の内部を通って操作機構50と連結されている。操作機構50に加えられた操作駆動力は、連結機構6を介して可動主接点1aに伝達される。可動主接点1aに伝達された操作駆動力は、可動主接点1aを軸線方向に進退操作(進退動作)させて固定主接点1bに接離させる。
【0021】
図1に戻り、圧力容器40は、遮断器10を収納する第一圧力容器41と、断路器21,22を収納する2つの第二圧力容器42で構成されている。第一圧力容器41と第二圧力容器42の接合端部には、それぞれフランジ部41a、42aが形成されている。
【0022】
このフランジ部41a、42aの間に円環板状の仕切部材43が介装されている。この仕切部材43の中央穴部には、高圧中心導体(内部導体)11を絶縁支持する絶縁スペーサ44が設けられている。仕切部材43は図示しないボルトおよびナット等の固定手段によって第一及び第二圧力容器41、42相互と一体的に固定され、圧力容器内部を3つのガス区分A、B、Cに区画している。3つのガス区分A、B、Cには、それぞれ例えばSF6ガスなどの絶縁性ガスが封入されている。ガス区分Aには、変流器25などの機器も収納されている。
【0023】
操作機構箱51内には、液圧式操作機構50およびこの液圧式操作機構50の補器類(図示せず)が収納されている。電力系統の事故時等における動作指令を受けて、液圧式操作機構50が動作して、主接点部1を開離することにより事故電流を遮断する。液圧式操作機構50およびその補器類を収納する操作機構箱51は、上記のように圧力容器40の上側に配置構成されている。
【0024】
本実施の形態の開閉機器100においては、水平方向に長尺の圧力容器40の鉛直上方に操作機構50が設けられているので機器の配置がコンパクトに構成され、広い設置スペースを必要とすることがない。そして、設置面からの機器の高さ(圧力容器の高さ)hを従来のものより低くすることができ、これにより、輸送及び保守点検を容易とするとともに周囲に配置される他機器の配置自由度を大きくする。
【0025】
実施の形態2.
実施の形態2は、抵抗体を接続された抵抗接点部を主接点部に並列に接続して、再投入時のサージを低減するものである。図5は本発明に係る開閉機器の実施の形態2の構造を示す横断面図である。図6は図5の開閉機器の遮断器近傍を拡大して断面とした要部拡大断面図である。図5および図6において、本実施の形態の開閉機器100Aにおいては、遮断器10Aが、実施の形態1の遮断器10の構成に加えて、抵抗接点部3を有している。抵抗接点部3は、主接点部1に対して並列に接続されている。抵抗接点部3には、抵抗体9が直列に接続されている。
【0026】
図6において、遮断器10Aは、可動主接点1a及び固定主接点1bからなる主接点部1、可動主接点1a及び固定主接点1bそれぞれ両端部に保持する極間絶縁支持筒2、可動抵抗接点3a及び固定抵抗接点3bからなり主接点部1の上方に設けられる抵抗接点部3等を装備している。主接点部1においては、圧力容器40の中心軸上を移動可能とする可動主接点1aと固定主接点1bとが近接し且つ対向し、両者が接離可能なように構成されている。また、抵抗接点部3においては、圧力容器40の平行軸線上を移動可能とする可動抵抗接点3aと固定抵抗接点3bとが近接し且つ対向し、両者が接離可能なように構成されている。
【0027】
主接点部1及び抵抗接点部3は、高圧中心導体11の閉路時は、抵抗接点部3を主接点部1の閉路に先行して閉路するとともに、高圧中心導体11の開路時は抵抗接点部3を主接点部1の開路に先行して開路するように操作される。
【0028】
可動主接点1a及び可動抵抗接点3aは、絶縁ロッド4やリンク機構5からなる連結機構6に接続され、圧力容器40の上方に配設された操作機構50により動作する。操作機構50は、蓄勢エネルギ媒体で駆動し、電力系統の事故時などには主接点部1を開離して電流を遮断する。
【0029】
連結機構6は、可動主接点1aと可動抵抗接点3aとに接続されてフレーム13内に設けられ、絶縁支持筒15の内部を介して操作機構50と連結している。操作機構50に加えられた操作駆動力は、連結機構6を介して可動主接点1a及び可動抵抗接点3aに伝達される。可動主接点1a及び可動抵抗接点3aに伝達された操作駆動力は、可動主接点1a及び可動抵抗接点3aを軸線方向に進退操作(進退動作)させて固定主接点1b及び固定抵抗接点3bに接離させる。
【0030】
本実施の形態の開閉機器100Aにおいては、投入時は、主接点部1の投入に先立って抵抗接点部3を投入することにより過電圧を抑制し、約10ms後に主接点部1を投入する。また、遮断時は、抵抗接点部3の遮断に先立って主接点部1の遮断を完了し、それから約数10ms遅れて抵抗接点部3の遮断を行うことにより遮断サージを低減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
以上のように、本発明にかかる開閉機器は、発電・変電などの電力系統で使用される開閉機器に有用であり、特に、設置面からの機器の高さを低くして周囲に配置される他機器の配置自由度の拡大を要求される開閉機器に適している。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係る開閉機器の実施の形態1の構造を示す横断面図である。
【図2】図1の開閉機器の遮断器近傍を拡大して断面とした要部拡大断面図である。
【図3】図1の開閉機器の側面図である。
【図4】図1の開閉機器の平面図である。
【図5】本発明に係る開閉機器の実施の形態2の構造を示す横断面図である。
【図6】図5の開閉機器の遮断器近傍を拡大して断面とした要部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 主接点部
1a 可動主接点(可動接触子)
1b 固定主接点(固定接触子)
2 極間絶縁支持筒
3 抵抗接点部
3a 可動抵抗接点
3b 固定抵抗接点
4 絶縁ロッド
5 リンク機構
6 連結機構
9 抵抗体
10,10A 遮断器
11 高圧中心導体(内部導体)
13 フレーム
15 絶縁支持筒
21 第一断路器
22 第二断路器
25 変流器
31 第一母線
32 第二母線
32 母線
40 圧力容器
41 第一圧力容器
42 第二圧力容器
41a,42a フランジ部
43 仕切部材
44 絶縁スペーサ
46 支持脚
50 液圧式操作機構
51 操作機構箱
100,100A 開閉機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定接触子及び該固定接触子に接離する可動接触子を有する主接点部と、
前記可動接触子の移動方向に長尺とされ、内部に前記主接点部を絶縁した状態で収納するとともに絶縁ガスが充填され、長手方向を水平にして設置される圧力容器と、
前記圧力容器の上方に設けられ、絶縁材料でなる連結機構を介して前記可動接触子と連結された操作機構と
を備えたことを特徴とする開閉機器。
【請求項2】
固定抵抗接点及び該固定抵抗接点に接離する可動抵抗接点を有し、前記主接点部と並列に接続されるとともに抵抗体が直列に接続された抵抗接点部をさらに備えた
ことを特徴とする請求項1に記載の開閉機器。
【請求項3】
前記操作機構は、蓄勢エネルギ媒体で駆動する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の開閉機器。
【請求項4】
前記操作機構は、前記圧力容器の上部に設けられた操作機構箱に収納され、
前記操作機構箱は、前記操作機構の補器類も収納する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の開閉機器。
【請求項5】
前記圧力容器に接続され前記圧力容器の上方で水平方向に延びる母線と前記操作機構とが概略同じ高さに配置され、前記操作機構は、隣接する他の開閉機器から延びる母線との間に挟まれて配設されている
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の開閉機器。
【請求項6】
固定接触子及び該固定接触子に接離する可動接触子を持つ主接点部を有する遮断器と、 前記遮断器に接続された断路器と、
前記可動接触子の移動方向に長尺とされ、内部に前記遮断器及び断路器を絶縁した状態で収納するとともに絶縁ガスが充填され、長手方向を水平にして設置される圧力容器と、 前記圧力容器の上方に設けられ、絶縁材料でなる連結機構を介して前記可動接触子と連結された操作機構と
を備えたことを特徴とする開閉機器。
【請求項7】
前記遮断器と前記断路器との間に延びる高圧導体が水平方向に延びている
ことを特徴とする請求項6に記載の開閉機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−271715(P2008−271715A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−112165(P2007−112165)
【出願日】平成19年4月20日(2007.4.20)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】