説明

開閉装置

【課題】高圧力容器を大形化することなく、小形で信頼性が高く、環境を配慮した開閉装置を提供する。
【解決手段】主成分がNとOとからなる高気圧の混合ガスが封入された接地密閉容器1内に、真空遮断器22を備えた開閉装置において、前記真空遮断器22は、固定電極とこの固定電極に接離可能な可動電極と前記可動電極に連結した操作器31と前記可動電極の動作を許すベローズとを有する真空バルブ23とを備え、前記真空バルブ23における前記ベローズの前記操作器31側に耐気密接続して設けた圧力容器20と、前記圧力容器20の内部と大気圧である前記接地密閉容器1の外部とを連通する絶縁配管21とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変電所や開閉所等に適用される開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
絶縁性能の高い絶縁ガスであるSFを用いたガス絶縁開閉装置は、接地金属容器による密閉構造のため高い信頼性、安全性を確保しており、広く普及している。SFガスは化学的に極めて安定している反面、大気中での赤外線吸収量が大きく、温暖化係数GWPが23900と極めて大きいため、ガス絶縁開閉装置の外部に放出された場合の環境への影響が懸念されている。
【0003】
このような状況から、SFガスを使用しない開閉装置として、真空遮断器と絶縁ガスとして乾燥空気を組合せた開閉装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−94903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高圧乾燥空気を絶縁ガスとして利用して開閉装置を実現する場合には、接地電位である高圧力容器の内部で高電圧が印加される真空遮断器を絶縁部材で支持することにより絶縁性能を確保する必要がある。
【0006】
また、真空遮断器を構成する真空バルブにおいて、真空バルブ内の真空状態を保持して可動電極の開閉動作を許容するベローズの機械的耐久性を向上させるために、ベローズ外側が低圧力又は大気圧となる低圧圧力容器をベローズに隣接して設け、ベローズ内外に係る圧力差を低減させる方法が知られている。
【0007】
このような開閉装置においては、真空遮断器の絶縁支持部材内部を通して低圧圧力容器内を大気圧とする方法も考えられるが、この場合には、絶縁支持部材内部の絶縁性能を確保するために大気圧領域における気中沿面絶縁距離を大きくする必要があり、開閉装置が大型化してしまう虞がある。
【0008】
本発明は、上述の事項に基づいてなされたもので、その目的は、高圧力容器を大形化することなく、小形で信頼性が高く、環境を配慮した開閉装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、第1の発明は、主成分がNとOとからなる高気圧の混合ガスが封入された接地密閉容器内に、真空遮断器を備えた開閉装置において、前記真空遮断器は、固定電極とこの固定電極に接離可能な可動電極と前記可動電極に連結した操作器と前記可動電極の動作を許すベローズとを有する真空バルブとを備え、前記真空バルブにおける前記ベローズの前記操作器側に耐気密接続して設けた圧力容器と、前記圧力容器の内部と大気圧である前記接地密閉容器の外部とを連通する絶縁配管とを備えたものとする。
【0010】
また、第2の発明は、第1の発明において、前記絶縁配管は、前記圧力容器にその一端を接続し、前記接地密閉容器にその他端を接続し、前記絶縁配管の接続部には、それぞれシールド電極が設けられていることを特徴とする。
【0011】
更に、第3の発明は、第1または第2の発明において、前記絶縁配管は、圧力性能を充足する材料、気密性能を充足する材料、および水分透過抑制性能を充足する材料を多層に重ね合わせて形成していることを特徴とする。
【0012】
また、第4の発明は、第1乃至第3の発明のいずれかにおいて、前記接地密閉容器における前記絶縁配管の接続部の外部側には、大気中の水分を吸収するフィルタを配置することを特徴とする。
【0013】
更に、第5の発明は、第1乃至第3の発明のいずれかにおいて、前記接地密閉容器における前記絶縁配管の接続部の外部側には、圧力調整弁を配置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、真空バルブのベローズに耐気密接続して設けた大気圧の圧力容器を開閉装置外部の大気と絶縁性配管で接続したので、高圧力容器を大形化することなく大気圧領域の気中沿面距離を十分に確保することができる。この結果、小形で信頼性が高く環境を配慮した開閉装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の開閉装置の第1の実施の形態の構成を示す概略側面図である。
【図2】本発明の開閉装置の第1の実施の形態を構成する真空遮断器を示す概略側面図である。
【図3】本発明の開閉装置の第1の実施の形態を構成する真空遮断器を拡大して示す縦断面図である。
【図4】本発明の開閉装置の第1の実施の形態を構成する絶縁配管におけるガス圧と配管長による絶縁破壊電圧の関係を示す特性図である。
【図5】本発明の開閉装置の第1の実施の形態を構成する絶縁配管の一形状を示す側面図である。
【図6】本発明の開閉装置の第1の実施の形態を構成する絶縁配管の他の形状を示す側面図である。
【図7】本発明の開閉装置の第1の一実施の形態を構成する絶縁配管を示す縦断面図である。
【図8】本発明の開閉装置の第2の実施の形態を構成する絶縁配管における結露の有無と配管長による絶縁破壊電圧の関係を示す特性図である。
【図9】本発明の開閉装置の第2の実施の形態を構成する絶縁配管の配管外部を示す側面図である。
【図10】本発明の開閉装置の第3の実施の形態を構成する絶縁配管の配管外部を示す側面図である。
【図11】本発明の開閉装置の第4の実施の形態を構成する絶縁配管の配管外部を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の開閉装置の実施の形態を図面を用いて説明する。
図1乃至図7は本発明の開閉装置の第1の実施の形態を示すもので、図1は本発明の開閉装置の第1の実施の形態の構成を示す概略側面図、図2は本発明の開閉装置の第1の実施の形態を構成する真空遮断器を示す概略側面図、図3は本発明の開閉装置の第1の実施の形態を構成する真空遮断器を拡大して示す縦断面図である。
【0017】
図1において、開閉装置は、絶縁性ガスを封入した接地金属製の第1の高圧容器1と、第1の高圧容器1の後方上部に配設し、絶縁性ガスを封入した接地金属製の第2の高圧容器2Aと、第1の高圧容器1の後方下部に配設し、絶縁性ガスを封入した接地金属製の第3の高圧容器2Bと、第1の高圧容器1の前方に配設し、後述する断路器,接地開閉器,真空遮断器を操作する各操作器が収納される接地金属製の操作箱3とから大略構成されている。第1の高圧容器1、第2の高圧容器2A、及び第3の高圧容器2B内には、乾燥空気に代表される主成分がNとOからなる混合ガスが絶縁性ガスとして封入されている。
【0018】
第1の高圧容器1は、その内部に真空遮断器22を収納して遮断器ユニットを構成している。第2の高圧容器2Aは、母線側断路器5aを収納して母線側断路器ユニットを構成している。また、第3の高圧容器2Bは、ライン側断路器5bを収納してライン側断路器ユニットを構成している。母線側断路器ユニットには、母線7を有する母線ユニットが接続している。また。ライン側断路器ユニットには、ケーブルヘッド9を介してケーブル10が接続されている。
【0019】
上述した母線ユニットは、絶縁支持部材によって支持した3相の主母線7導体を備えている。また、上述した母線側断路器ユニットは、母線側断路器5aの可動子を接地開閉器の可動子6aと一体として、断路器と接地開閉器を複合化した母線側断路器5aと、絶縁スペーサ4aの中心導体を介して遮断器ユニットの導体12aと接続する導体15aとを備えている。
【0020】
真空遮断器22を配置した遮断器ユニットは、真空遮断器22と、真空遮断器22を第1高圧容器1の側面を覆う接地金属板32に固定支持する絶縁支持部材11a,11bと、絶縁スペーサ4aの中心導体を介して母線側断路器ユニットの導体15aと接続する導体12aと、絶縁スペーサ4bの中心導体を介してライン側断路器ユニットの導体15bと接続する導体12bと、操作器31の動作を可動電極に伝える絶縁棒33と、後述する絶縁配管21とを備えている。
【0021】
ライン側断路器5b及び接地開閉器を配置したライン側断路器ユニットは、母線側断路器ユニットの母線側断路器5aと同一構造の断路器と、絶縁スペーサ4bの中心導体を介して遮断器ユニットの導体12bと接続する導体15bと、アレスター8等を備えている。
【0022】
ケーブルユニットは、ライン側断路器ユニットからケーブルヘッド9を介して導出したケーブル10を有し、このケーブル10が負荷に接続している。
【0023】
第1〜第3の高圧容器1,2A,2B内に、絶縁ガスとして封入した乾燥空気に代表される主成分がNとOからなる混合ガスは、絶縁スペーサ4a,4bと接地金属板32とで高圧力に対する気密性を確保しているが、乾燥空気は、SFガスに比べて約1/3の絶縁性能であり、同じ大きさの開閉装置で乾燥空気を絶縁性ガスとするためには、SFガスよりも高い圧力状態で使用する必要がある。同じ大きさでSFと同等の絶縁性能を確保するために使用ガス圧力を高くすると、高圧容器や絶縁スペーサの肉厚を厚くする必要が生じ、製造コストの上昇につながる。ここで、開閉装置の絶縁性能の確保と共に、小型化と低コスト化を考慮すると、このような混合ガスの圧力は、0.2〜0.8MPaが適正となる。
【0024】
次に、遮断器ユニット及び真空遮断器22について図2及び図3を用いて詳細に説明する。図2及び図3において、図1に示す符号と同符号のものは同一部分である。
真空遮断器22は、絶縁筒23Aと絶縁筒23Aの上下端にそれぞれ設けた固定側端板23Bと可動側端板23Cとを備える真空バルブ23と、真空バルブ23の上部の固定側端板23Bに連結した固定側シールド電極13aと、真空バルブ23の下部の可動側端板23Cに連結した金属製の低圧力容器20と、低圧力容器20の下部に連結した可動側シールド電極13bとを備えている。
【0025】
真空バルブ23の固定側端板23Bに固定された固定導体24Aには固定電極24が取り付けられている。また、真空バルブ23の可動側端板23Cには、蛇腹形状のベローズ26の一端が耐気密接続され、ベローズ26の他端は可動ロッド25Aに耐気密接続されている。可動ロッド25Aには、固定電極24に対向する可動電極25が取り付けられている。
【0026】
可動側端板23Cの下部には、金属製の低圧力容器20の上部が例えば溶接等によって気密に接続され、また、低圧力容器20の下部からはシール部材28を介して可動ロッド25Aが低圧力容器20との気密を保ちながら下方の可動側シールド電極13b内に可摺動的に導出されている。可動ロッド25Aの下端は、リンク34と絶縁棒33とを介して操作器31の機構部と連結されている。
【0027】
真空バルブ23の上部に配置したエポキシ樹脂などの絶縁材料からなる絶縁支持部材11aは、固定側シールド電極13aを接地金属板32に対して絶縁支持しており、この固定側シールド電極13aを介して真空バルブ23の上部を支持している。固定電極24は、固定導体24A及び固定シールド電極13aと、接触子14aを介して母線側断路器ユニットの導体15aと接続する導体12aに電気的に接続されている。
【0028】
真空バルブ23の下部に配置したエポキシ樹脂などの絶縁材料からなる絶縁支持部材11bは、低圧力容器20を接地金属板32に対して絶縁支持しており、この低圧力容器20を介して真空バルブ23の下部を支持している。可動電極25は、可動ロッド25A及び低圧力容器20と、接触子14bを介してライン側断路器ユニットの導体15bと接続する導体12bに電気的に接続されている。
【0029】
なお、真空遮断器22は、接地金属板32に絶縁支持部材11a,11bで支持されていて、導体12a,12bと接触子14a,14bの部分で取り外し可能に形成されている。この結果、接地金属板32を第1の高圧容器1から取り外すことにより、真空遮断器22を一体で取り外すことができる。なお、接地金属板32には、外部と連通する孔32aと絶縁配管21が接続される接続部32bとが設けられている。
【0030】
低圧力容器20内には、上下に可動ロッド25Aが貫通しているが、上部の貫通部は、真空バルブ23内のベローズ26により、下部の貫通部は例えばOリング等のシール部材28により、それぞれ直線駆動が可能で気密性能が保たれる直線シール構造を有している。また、低圧力容器20の下部には、開閉器の外部の大気と絶縁配管21を介して連通するための孔20aと接続部20bとが設けられている。低圧力容器20は、絶縁配管21を介して外部と連通しているため、低圧力容器20内の圧力は大気圧である。真空バルブ23の内部は高真空であり、ベローズ26内外にかかる差圧は1気圧(0.1MPa)である。
【0031】
絶縁配管21の両端には、コネクタ部における信頼性の高い気密性を確保するために、金属製の接続コネクタ27,27が設けられていて、それぞれが、低圧力容器20の接続部20bと接地金属板32の接続部32bとに接続されている。この接続コネクタ27,27の電界を低下させるために、接地金属板32との接続部32bを覆うようにシールド電極35が接地金属板32に設けられている。低圧力容器20の下面側には、低圧力容器20との接続部20bを覆うように可動側シールド電極13bが設けられている。なお、図3に示すように、各シールド電極35,13bと絶縁配管21は直接接触させない構造が望ましい。各シールド電極35,13bと絶縁配管21とが接触していると、気体、固体、絶縁物のトリプルジャンクションを形成するため、そのトリプルジャンクション部の電界が上がり放電の起点となり得るためである。
【0032】
次に、絶縁配管21の構成について図4乃至図7を用いて詳細に説明する。図4は本発明の開閉装置の第1の実施の形態を構成する絶縁配管におけるガス圧と配管長による絶縁破壊電圧の関係を示す特性図、図5は本発明の開閉装置の第1の実施の形態を構成する絶縁配管の一形状を示す側面図、図6は本発明の開閉装置の第1の実施の形態を構成する絶縁配管の他の形状を示す側面図、図7は本発明の開閉装置の第1の一実施の形態を構成する絶縁配管を示す縦断面図である。図4乃至図7において、図1乃至図3に示す符号と同符号のものは同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。
【0033】
図4に示すように、絶縁配管21の配管長が長く、雰囲気のガス圧が高ければ、絶縁破壊電圧は高くなる。つまり、本実施の形態において、第1の高圧容器1の中に配置される絶縁配管21の外部では、高圧乾燥空気が雰囲気であるため、絶縁破壊電圧は高いが、絶縁配管21の内部は、大気圧であるために絶縁破壊電は低くなる。このため、絶縁破壊は絶縁配管21の内部で発生し易い。
【0034】
すなわち、絶縁支持部材11a,11bや絶縁スペーサ4a,4bは、第1の高圧容器1内の高圧力部分で使用しているため、絶縁距離が短くても十分に絶縁性能を確保することができる。一方、絶縁配管21の内部は大気圧となり、絶縁破壊電圧が低いため、十分な絶縁性能を確保するためには、沿面距離(配管長)を長くする必要がある。
【0035】
本実施の形態のような絶縁配管21の場合には、第1の高圧容器1内の空間を利用して沿面距離を長くとることが可能となる。例えば、図3において、接地電位である第1の高圧容器1と高電圧である真空遮断器22との沿面距離を考えると、絶縁支持部材11a、11bは、その長さ分の沿面距離を発生させるだけであるのに対し、絶縁配管21は、接地電位である接地金属板32の接続部32bから高電圧である低圧力容器20の接続部20bまで(内部の大気を介して絶縁配管21の長さ分)沿面距離を発生させることが可能になる。つまり、絶縁配管21を第1の高圧容器1内の空間に配置すれば、その配管の長さ分の沿面距離を確保することができる。
【0036】
絶縁配管21の原料としては、四フッ化エチレン樹脂やナイロンといった絶縁材料が好ましく、フレキシブルな材料であれば、配管形状の自由度を大きくすることができる。一般的にフレキシブルな配管であっても高圧力用ならば、内部に絶縁繊維の補強材が入っている構造となっており外部が高圧力であってもつぶれることなく形状を保てる。
【0037】
また、図3では、絶縁配管21をL字形状にして、低圧力容器20から接地金属板32に引き出す構成としているが、より空間を利用して沿面長を長くするには、図5及び図6に示すような構成とすることが可能である。図5では絶縁配管21の一端を低圧力容器20に接続し、絶縁配管21の他端を接続する方向とは逆方向に一旦曲げる形態として沿面長を長くしたものである。図6では絶縁配管21を途中で1回転させて沿面長を長くしている。さらに沿面長を長くするには図6の形態において、多数回周回させることも可能である。
【0038】
図7は複合機能を有する絶縁配管21の一例であり、配管の一番内側に例えばナイロン製の気密層21A、その外側に例えば繊維補強材製の耐圧力層21B、一番外側に例えばポリウレタン製の水分透過抑制層21Cを配置する複数層構造を備える複合材料の絶縁配管21を示している。
【0039】
本実施の形態においては、絶縁配管21の内部が大気圧となるため、大気中に含まれる水分が透過すると第1の高圧容器1の内部に水分が侵入して絶縁性能が低下する恐れがある。このため、絶縁配管21は圧力性能、気密性能、絶縁性能の確保以外に水分透過性の確保が必要となる。通常の四フッ化エチレン樹脂やナイロンなどの樹脂材料は水分を通しにくいとされているが、長期間の使用を考えた場合には水分透過を抑制できる材質を有する絶縁配管21を利用したほうがよい。コストを考慮すると単一材料ですべての性能を満足する材料はほとんどないため、圧力、気密、水分透過抑制の機能を複数層で満足する複合材料の絶縁配管21が望ましい。
【0040】
上述した本発明の開閉装置の第1の実施の形態によれば、真空バルブ23のベローズ26に耐気密接続して設けた大気圧の低圧力容器20を開閉装置外部の大気と絶縁配管21で接続したので、第1の高圧容器1を大形化することなく大気圧領域の気中沿面距離を十分に確保することができる。この結果、小形で信頼性が高く環境を配慮した開閉装置を提供することができる。
【0041】
また、上述した本発明の開閉装置の第1の実施の形態によれば、真空バルブ23のベローズ26に大気圧の低圧力容器20を耐気密に設け、低圧力容器20と開閉装置外部の大気とを絶縁配管21で接続したので、低圧力容器20内の圧力を長期間にわたり大気圧に維持することができる。この結果、低圧力容器20において、長期間にわたるスローリークが万が一発生したとしても、低圧力容器20内の圧力上昇を防止でき、ベローズ26に係る圧力差を小さくすることができる。
【0042】
さらに、上述した本発明の開閉装置の第1の実施の形態によれば、真空遮断器22を、接地金属板32に絶縁支持部材11a,11bで支持すると共に、導体12a,12bと接触子14a,14bの部分で取り外し可能に形成したので、接地金属板32を第1の高圧容器1から取り外すことにより、真空遮断器22を一体で取り外すことができる。この結果、組立時やメンテナンス時の作業性の良い開閉装置を提供することができる。
【0043】
図8及び図9は、本発明の開閉装置の第2の実施の形態を示すもので、図8は本発明の開閉装置の第2の実施の形態を構成する絶縁配管における結露の有無と配管長による絶縁破壊電圧の関係を示す特性図、図9は本発明の開閉装置の第2の実施の形態を構成する絶縁配管の配管外部を示す側面図である。なお、図8及び図9において、図1乃至図7に示す符号と同符号のものは同一部分又は相当する部分であるので、その部分の説明を省略する。
【0044】
絶縁配管21の絶縁性能を低下させる要因に温度、湿度の影響で生成する結露がある。図8に示すように、結露が発生したとしても、絶縁配管21の配管長を長くすることで、絶縁破壊の発生を防止することは可能であるが、結露の発生を防止する方法を施すほうが開閉装置の小型化の観点からは好ましい。結露を防止する一般的な方法として、ヒータを用いて結露が発生しないように雰囲気温度を上昇させるものがある。しかし、本発明の開閉装置の場合は、結露が発生しうる絶縁配管21や低圧力容器20全体が、高電圧部そのものまたは、高電圧部の近傍に配置されているものであるため、これらを温めるヒータを配設することは困難であり、一般的な方法で結露の発生を防止することは難しい。
【0045】
このため、その一例として、図9に示すように、絶縁配管21のコネクタ27が接続された接続部32bと、この接続部32bを覆うシールド電極35と、この接続部32bの外側に設けられたフィルタ40を備えた接地金属板32とで構成することが可能である。この例によれば、絶縁配管21の出口にフィルタ40を設けることで絶縁配管内における結露の発生を防止できる。
【0046】
ここで、フィルタ40は、例えばシリカゲルなどからなるドライフィルタであって、通過する空気から水分を除去する機能を有している。この結果、絶縁配管21内には、水分量の多い外気が吸い込まれず、水分が除去された外気が吸い込まれるため、内部の温度が低くても結露が発生する可能性が低くなる。
【0047】
本発明の開閉装置の第2の実施の形態によれば、上述した第1の実施の形態と同様な効果を得ることができる。また、絶縁配管21の出口にフィルタ40が設けられているので、絶縁配管内21の結露の発生が防止でき、信頼性の高い開閉装置を提供することができる。
【0048】
図10は、本発明の開閉装置の第3の実施の形態を示すもので、本発明の開閉装置の第3の実施の形態を構成する絶縁配管の配管外部を示す側面図である。なお、図10において、図1乃至図9に示す符号と同符号のものは同一部分又は相当する部分であるので、その部分の説明を省略する。
【0049】
この実施の形態においては、図10に示すように、絶縁配管21のコネクタ27が接続された接続部32bと、この接続部32bを覆うシールド電極35と、この接続部32bの外側に設けられた圧力制御弁41を備えた接地金属板32とで構成したものである。この例によれば、絶縁配管21の出口に圧力制御弁41を設け、この圧力制御弁41によって外部の水分を含んだ空気が絶縁配管21内に侵入することを抑えて結露の発生を防止することができる。
【0050】
ここで、圧力制御弁41の一例としては、圧力制御機能付きの逆止弁がある。絶縁配管21の内部から外部の方向にのみ空気を通過可能に設定することで、絶縁配管21の内部圧力が上昇した場合にだけ空気を外部に放出する。この結果、外部の水分を含んだ空気の絶縁配管21内への侵入を防止する。また、圧力制御弁の他の例としては、安全弁に代表される設定圧力になると開弁する圧力制御弁がある。絶縁配管21の内部圧力が設定圧力(例えば0.12MPa)以上になった場合に開弁し、外部に内部空気を放出する。
【0051】
本発明の開閉装置の第3の実施の形態によれば、上述した第1の実施の形態と同様な効果を得ることができる。また、絶縁配管21の出口に圧力制御弁41が設けられているので、水分を含んだ空気の絶縁配管21の内部への侵入が防止でき、信頼性の高い開閉装置を提供することができる。
【0052】
図11は、本発明の開閉装置の第4の実施の形態を示すもので、本発明の開閉装置の第4の実施の形態を構成する絶縁配管の配管外部を示す側面図である。なお、図11において、図1乃至図10に示す符号と同符号のものは同一部分又は相当する部分であるので、その部分の説明を省略する。
【0053】
この実施の形態は、図11に示すように、絶縁配管21のコネクタ27が接続された接続部32bと、この接続部32bを覆うシールド電極35と、この接続部32bの外側に設けられた圧力制御弁41を備えた接地金属板32とで構成したものである。この例によれば、絶縁配管21の出口に電磁弁42を設け、この電磁弁42によって外部の水分を含んだ空気が、絶縁配管21内に極力侵入することを抑えるので結露の発生を防止することができる。
【0054】
ここで、電磁弁42は、電気信号を制御することで任意のタイミングにおける開閉動作が可能であって、例えば真空遮断器22の動作に合わせて、開閉動作する機能を有している。真空遮断器22の動作する場合だけ電磁弁42が開閉動作するため、絶縁配管21の内部は、非常に短い時間だけ大気開放する。この結果、絶縁配管21の内部に侵入する空気が少なくなり、空気中の水分量を極力少なくすることができる。
【0055】
本発明の開閉装置の第4の実施の形態によれば、上述した第1の実施の形態と同様な効果を得ることができる。また、絶縁配管21の出口に電磁弁42が設けられているので、水分を含んだ空気の絶縁配管21の内部への侵入を極力少なくすることができ、信頼性の高い開閉装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 第1の高圧容器
2A 第2の高圧容器
2B 第3の高圧容器
3 操作箱
4a,4b 絶縁スペーサ
5 断路器
6 可動子
7 主母線
11 絶縁支持部材
13a 固定側シールド電極
13b 可動側シールド電極
20 低圧力容器
21 絶縁配管
22 真空遮断器
23 真空バルブ
24 固定電極
25 可動電極
26 ベローズ
27 接続コネクタ
28 シール部材
31 操作器
32 接地金属板
33 絶縁棒
35 シールド電極
40 フィルタ
41 圧力制御弁
42 電磁弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主成分がNとOとからなる高気圧の混合ガスが封入された接地密閉容器内に、真空遮断器を備えた開閉装置において、
前記真空遮断器は、固定電極とこの固定電極に接離可能な可動電極と前記可動電極に連結した操作器と前記可動電極の動作を許すベローズとを有する真空バルブとを備え、
前記真空バルブにおける前記ベローズの前記操作器側に耐気密接続して設けた圧力容器と、
前記圧力容器の内部と大気圧である前記接地密閉容器の外部とを連通する絶縁配管とを備えた
ことを特徴とする開閉装置。
【請求項2】
請求項1に記載の開閉装置において、
前記絶縁配管は、前記圧力容器にその一端を接続し、前記接地密閉容器にその他端を接続し、
前記絶縁配管の接続部には、それぞれシールド電極が設けられている
ことを特徴とする開閉装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の開閉装置において、
前記絶縁配管は、圧力性能を充足する材料、気密性能を充足する材料、および水分透過抑制性能を充足する材料を多層に重ね合わせて形成している
ことを特徴とする開閉装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の開閉装置において、
前記接地密閉容器における前記絶縁配管の接続部の外部側には、大気中の水分を吸収するフィルタを配置する
ことを特徴とする開閉装置。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の開閉装置において、
前記接地密閉容器における前記絶縁配管の接続部の外部側には、圧力調整弁を配置する
ことを特徴とする開閉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−55738(P2013−55738A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190676(P2011−190676)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】