説明

開閉規制機能付き昇降サッシ窓およびこれを具備させた封入装置

【課題】昇降サッシ窓を全閉としない限り引違い戸が開かず、引違い戸側を全閉としなない限り昇降サッシ窓を昇降できない開閉規制機能付き昇降サッシ窓および封入装置の提供。
【解決手段】封入装置61の前面開口部64を開閉する昇降サッシ窓11は、縦サッシ枠12,13と横サッシ枠14,15とを介して配設される二枚重ね部20を含む引違い戸16〜19を備え、昇降サッシ窓11を全閉とした際に全閉状態にある引違い戸16〜19のロック状態の解除と前面開口部64の縦枠65側に対する昇降サッシ窓11のロックとが行われ、引違い戸16〜19が全閉状態のときにのみ縦枠65側に対するロック状態の解除と二枚重ね部20側に対するロックとを行って昇降を可能とする交互ロック機構32を具備させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドラフトチャンバーなどの封入装置に好適な開閉規制機能付き昇降サッシ窓およびこれを具備させた封入装置に関する技術である。
【背景技術】
【0002】
ドラフトチャンバーや卓上フードなどの封入装置は、研究所などにおける実験室で各種の化学実験を安全裡に行う上で必要とされる装置であり、その本体部が備える処理室の前面開口部は、昇降自在に配設された昇降サッシ窓により開閉できるようになっている。
【0003】
そして、前記封入装置は、昇降サッシ窓の開度を規制した状態のもとで陰圧雰囲気となるように空気引きすることで、実験中に処理室内で発生する有毒ガスなどを含む内部空気を他所に設置されている排気ガス洗浄装置等の浄化処理手段側へと円滑に導出することができるようになっている。
【0004】
このような用途に供されるドラフトチャンバーなどの封入装置に配設される昇降サッシ窓は、例えば左右一対のワイヤーや吊りベルトなどで構成される吊持手段の一端側と連結され、プーリーを介した他端側にバランス錘を連結することで、作業中にはこれを引き上げて処理室の前面開口部を適宜の開度のもとで開状態を維持させ、実験時や不使用時には引き下げて前面開口部を全閉状態にしておくことができるようになっている。
【0005】
ところで、封入装置が備える昇降サッシ窓には、1枚の透明ガラスなどからなる透明板を単体で囲枠材に保持させて形成されているもののほか、例えば特許文献1に開示されているように、複数枚の透明板を枠材に各別に保持させてなる引違い戸を左右方向への移動を可能に配設することでその全体が形成されているものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3553355号公報
【0007】
すなわち、特許文献1に記載のドラフトチャンバー(封入装置)が備える昇降サッシ窓は、複数枚の透明板を各枠材に個別に保持させてなる引違い戸を左右方向に移動できるように形成されているので、昇降サッシ窓自体を上昇させて確保される前面開口部を介して作業を行ったり、昇降サッシ窓を下限に位置させた状態のもとで個々の引違い戸を移動させて確保される前面開口部を介して作業を行ったりすることもできることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に開示されているように引違い戸を単に左右方向に移動できるようにして昇降サッシ窓が形成されている場合には、引違い戸を作業者が誤って開けたままにした状態でも昇降サッシ窓自体を昇降させることができることになるので、昇降サッシ窓の開度に応じた設計上の風量と実際の風量との間の調整が困難となる結果、封入装置自体の能力の保証が難しくなるという不都合があった。
【0009】
本発明は、従来技術の上記課題に鑑み、引違い戸を備えてなる昇降サッシ窓の全体を下限位置にまで引き下げない限り引違い戸側の開移動ができず、引違い戸側を全閉移動させない限り昇降サッシ窓自体を引き上げることができない開閉規制機能付き昇降サッシ窓およびこれを具備させた封入装置を提供することに目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成すべくなされたものであり、そのうちの第1の発明(昇降サッシ窓)は、封入装置が本体部に備える処理室の前面開口部を開閉すべく設置される昇降サッシ窓は、左右に配置される縦サッシ枠と上下に配置される横サッシ枠とで画成される囲枠内に、少なくとも一方の前記縦サッシ枠側に一方の縦辺部を位置させて配置される一方の引違い戸と、該引違い戸の他方の縦辺部側とその一方の縦辺部側とが対面する二枚重ね部を形成して配置される他方の引違い戸とを具備させて形成され、前記昇降サッシ窓を下限位置にまで引き下げた際には全閉状態にある前記引違い戸相互における前記二枚重ね部側に対するロック状態の自動解除と前記前面開口部の縦枠側に対する前記昇降サッシ窓自体の自動ロックとが行われ、前記引違い戸が全閉状態となっているときにのみ前記縦枠側に対するロック状態の自動解除と前記二枚重ね部側に対する自動ロックとを行って下限位置からの引き上げを可能とする交互ロック機構を前記昇降サッシ窓に具備させたことを最も主要な特徴とする。
【0011】
この場合、前記交互ロック機構は、全閉状態にある引違い戸の前記二枚重ね部の近傍位置を始端側としてその終端側が一方の前記縦サッシ枠側へと至る長さを備えて下側に位置する前記横サッシ枠上に横移動可能に配設される連結杆と、該連結杆の前記始端側と隣り合う近傍位置の前記横サッシ枠上に固定配置される固定片部と、該固定片部側にその基端部が軸支された一側可動腕部と、連結杆の前記始端側にその基端部が軸支された他側可動腕部との交差部を軸支してそれぞれの頂端部側を基台部に軸支させ、該基台部の頂面に前記二枚重ね部側の一方の引違い戸の下端面に設けられた凹部と他方の引違い戸の下端面に設けられた凹部とへの全閉時の掛止を可能に設けられた一対の突起部とを備えてなる引違い戸用ロック手段と、連結杆の前記終端側にその長さ方向に沿わせての回動を自在に軸支された回動動体と、該回動体を前記連結杆を介して前記縦枠方向に常時突出付勢されて前記昇降サッシ窓が下限に位置するときにのみ前記縦枠側に設けられている凹部への前記回動体の入り込みを可能とした押圧付勢部とを備えてなる昇降サッシ窓用ロック手段とで構成するのが好ましい。
【0012】
また、第2の発明(封入装置)は、請求項1または2に記載の交互ロック機構を具備させた前記昇降サッシ窓により処理室の前記前面開口部の開閉を可能としたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、封入装置が本体部に備える処理室の前面開口部を開閉すべく設置される昇降サッシ窓は、下限位置にまで引き下げた際には全閉状態にある引違い戸相互における二枚重ね部側に対するロック状態の自動解除と前記前面開口部の縦枠側に対する前記昇降サッシ窓自体の自動ロックとを行う交互ロック機構を備えているので、前記引違い戸が全閉状態となっているときにのみ前記縦枠側に対するロック状態の自動解除と前記2枚重ね部側に対する自動ロックとを行うことができる。
【0014】
したがって、前記昇降サッシ窓の全体を下限位置にまで引き下げない限りは、全閉状態にある前記引違い戸側の開移動ができず、前記引違い戸側を全閉状態としない限りは、前記昇降サッシ窓自体を下限位置から引き上げることができないので、作業者が誤って前記引違い戸を開状態にしたままで前記昇降サッシ窓を昇降させることをなくして、昇降サッシ窓の開度に応じた設計上の風量と実際の風量との間の安定した調整状態の維持と、封入装置自体の能力の保証とを容易に、かつ、確実に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一例を示す正面図。
【図2】図1において左側の縦サッシ枠側で隣り合って配置されている2枚の引違い戸との関係で配設されている交互ロック機構を示す説明図であり、そのうちの(a)は、長さ方向での一部を省略した正面図を、(b)は、(a)に対応させた平面図を、(c)は、(a)の右側面図をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明において昇降サッシ窓11は、図1に示すように下限位置にまで引き下げた際、封入装置61が本体部62に備える処理室63の前面開口部64を閉止できるように、本体部62に対し昇降自在となって設置されている。
【0017】
図1によれば、昇降サッシ窓11が備える左右の縦サッシ枠12,13と上下の横サッシ枠14,15とで画成される囲枠内には、左側の縦サッシ枠12側に隣り合って配置される2枚の引違い戸16,17と、右側の縦サッシ枠13側に隣り合って配置される2枚の引違い戸18,19との計4枚が装着されている。なお、これら4枚の引き違い戸16,17,18,19が図1に示すように全て閉止された全閉状態にあるときは、左側の縦サッシ枠12側に隣り合って配置される2枚の引き違い戸16,17相互の間と、右側の縦サッシ枠13側に隣り合って配置される2枚の引き違い戸18,19相互の間とにそれぞれ二枚重ね部20が形成され、中央部に位置する2枚の引き違い戸17,18が相互に当接する配置関係をとっている。
【0018】
すなわち、昇降サッシ窓11は、左側の縦サッシ枠12側に一方の縦辺部16aを位置させて配置される1枚目の引違い戸16と、該引違い戸16の他方の縦辺部16b側とその一方の縦辺部17a側とが対面する二枚重ね部20を形成して配置される2枚目の引違い戸17と、該引違い戸17の他方の縦辺部とその一方の縦辺部17aが閉止時に当接するように配置される3枚目の引違い戸18と、該引違い戸18の他方の縦辺部16b側とその一方の縦辺部17a側とが対面する二枚重ね部20を形成して配置される4枚目の引違い戸19とを具備させることで形成されている。
【0019】
また、同図によれば、左側の縦サッシ枠12側に隣り合って配置される2枚の引違い戸16,17と、右側の縦サッシ枠13側に隣り合って配置される2枚の引違い戸18,18とは、個別に配設された交互ロック機構32を介して各別に開閉規制できるとともに、昇降サッシ窓11自体の昇降規制もできるようになっている。
【0020】
すなわち、昇降サッシ窓11は、該昇降サッシ窓11を前面開口部64の下限位置にまで引き下げた際には全閉状態にある引違い戸16,17相互の二枚重ね部20側と、引違い戸18,19相互の二枚重ね部20側とに対するロック状態の自動解除と前面開口部54の縦枠55側に対する昇降サッシ窓11自体の自動ロックとが行われ、引違い戸16,17,18,19が全閉状態となっているときにのみ縦枠65側に対するロック状態の自動解除と二枚重ね部20,20側に対する自動ロックとを行って下限位置からの引き上げを可能とする交互ロック機構32を備えている。
【0021】
図2は、図1において左側の縦サッシ枠12側で隣り合って配置されている2枚の引違い戸16,17との関係で配設されている交互ロック機構32を示す説明図であり、そのうちの(a)は、長さ方向での一部を省略した正面図を、(b)は、(a)に対応させた平面図を、(c)は、(a)の右側面図をそれぞれ示す。
【0022】
同図によれば、交互ロック機構32は、下側に位置する横サッシ枠14上に横移動可能に配設される連結杆33と、昇降サッシ窓11を下限位置にまで引き下げた際には全閉状態にある引違い戸16,17相互における二枚重ね部20側に対するロック状態の自動解除と前面開口部64の縦枠65に設けられている凹部66との関係で昇降サッシ窓11自体の自動ロックを可能とする引違い戸用ロック手段34と、引違い戸16,17が全閉状態となっているときにのみ縦枠65に設けられている凹部66との関係でロック状態の自動解除と二枚重ね部20側に対する自動ロックとを行って下限位置からの引き上げを可能とする昇降サッシ窓用ロック手段44とで構成されている。なお、図1と図2とにおける符号24は、前面開口部64内へと渦流を生じさせないように空気を円滑に入させるための流路規制把手を、図2(c)における符号67は、昇降サッシ窓11を下限位置よりやや上に位置させた際に該昇降サッシ窓11との間で処理室の前面開口部64を仕切る天板部をそれぞれ示す。
【0023】
これらのうち、連結杆33は、全閉状態にある引違い戸16,17の二枚重ね部20の近傍位置を始端33a側とし、その終端33b側が一方である左側の縦サッシ枠12側へと至る長さを備え、下側に位置する横サッシ枠14上に横移動可能に配設されている。なお、連結杆33は、図示は省略してあるが、横サッシ枠14に配設された略逆U字形を呈する保持金具(図示せず)を介して浮き上がらないようにして配置されている。
【0024】
引違い戸用ロック手段34は、連結杆33の始端33a側と隣り合う近傍位置の横サッシ枠14上に固定配置される固定片部35と、該固定片部35側にその基端部36aが軸支された一側可動腕部36と、連結杆33の始端33a側にその基端部37aが軸支された他側可動腕部37との交差部38を軸支してそれぞれの頂端部36b,37b側を基台部39に軸支させ、該基台部39の頂面39aに二枚重ね部21側の一方の引違い戸16の下端面20に設けられた凹部22と他方の引違い戸17の下端面20に設けられた凹部23とへの全閉時の掛止を可能に設けられた一対の突起部40,41とを備えて構成されている。
【0025】
昇降サッシ窓用ロック手段44は、連結杆33の終端33b側にその長さ方向に沿わせての回動を自在に軸支された例えば車輪などからなる回動体45と、該回動体45を連結杆33を介して縦枠55方向に常時突出付勢されて昇降サッシ窓11が下限に位置するときにのみ縦枠65側に設けられている凹部66への回動体45の入り込みを可能とした押圧付勢部48とを備えて構成されている。
【0026】
この場合、回動体45は、連結杆33の終端33b側と連結させたブラケット46に支軸46を介して回動自在に軸支されている。
【0027】
また、押圧付勢部48は、縦サッシ枠12の内側近傍に位置する連結杆33上にその長さ方向に沿わせて配置される水平片部50と、該水平片部50の左端側を直立させた起立片部51とからなる略倒L字形を呈するばね座49を連結杆33に固定配置するとともに、基端側に鍔部54を備えるボルト材などからなる支杆53に圧縮ばね55を挿通配置した上で、支杆53の先端側をばね座49の起立片部51に設けられている通孔52を経て縦サッシ枠12側にナット56で固定するなどして移動不能に固着させることで構成されている。
【0028】
つまり、押圧付勢部48は、ばね座49の起立片部51と支杆53の鍔部54との間に配置させた圧縮ばね55の付勢力により、回動体45を常に縦サッシ枠12方向に押し付けることができるようになっている。
【0029】
次に、上記構成からなる本発明の作用・効果を図示例に基づいて説明すれば、例えば図1に示すように昇降サッシ窓11が封入装置61の処理室63の前面開口部64を全閉状態とする下限位置にまで引き下げられた際には、引違い戸16,17側の交互ロック機構32と、引違い戸18,19側の交互ロック機構32とのそれぞれが、引違い戸16,17,18,19の開移動ができ、昇降サッシ窓11自体の引き上げができなくなる。
【0030】
すなわち、各交互ロック機構32は、それぞれの引違い戸用ロック手段34が引違い戸16,17,18,19とのロック状態を解除して開移動できるようにし、それぞれの昇降サッシ窓用ロック手段44が前面開口部64の各縦枠65に対し自動ロックをかけて昇降サッシ窓11自体を引き上げることができなくなるように作動する。
【0031】
これらを図2に基づいてさらに詳しく説明すれば、図2(a)に示されているように、昇降サッシ窓11がその下限位置である前面開口部64を全閉状態とする位置にまで至らない開状態にある場合には、昇降サッシ窓用ロック手段44を構成する回動体45が前面開口部64の縦枠65側に単に圧接した状態となって例えば下限位置方向へと引き下げることができることになる。
【0032】
そして、昇降サッシ窓11がこのように途中位置にあるときは、、全閉状態にある引違い戸16の下端面16aの凹部21には引違い戸用ロック手段34を構成する基台部39が備える一方の突起部40が、引違い戸17の下端面17aの凹部22には基台部39が備える他方の突起部40がそれぞれ入り込んで掛止されているので、いずれも開操作することができないことになる。
【0033】
一方、昇降サッシ窓11が下限位置にまで引き下げられたときは、圧縮ばね55の付勢力により連結杆33が前面開口部64の縦枠65側へと押し込まれる結果、、その終端33b側に備える昇降サッシ窓用ロック手段44を構成する回動体45は縦枠65が備える凹部66へと入り込んで自動ロックされる。
【0034】
このような連結杆33の横移動は、引違い戸用ロック手段34を構成する一側可動腕部36の基端部36aと他側可動腕部37の基端部37aとのそれぞれが固定片部35に連結されていることから、一側可動腕部36と他側可動腕部37とを交差部38を介してその座高が低くなる方向に従動させて基台部39の位置も低くなる結果、該基台部39上の突起部40,41も引違い戸17,18の下端面17a,18aの凹部22,22との間の掛合状態を解消して自動的にロック解除させる。
【0035】
つまり、昇降サッシ窓11が下限位置にまで引き下げられたときは、昇降サッシ窓11自体の引き上げができなくなるとともに、引違い戸16,17を開操作することはできることになる。
【0036】
かくして、引違い戸16,17を開けて必要な処理作業を行った後に昇降サッシ窓11自体を引き上げようとするときは、昇降サッシ窓用ロック手段44によるロック状態を解除する必要があるものの、引違い戸16,17が開状態にある限り、引違い戸17,18の下端面17a,18aの凹部22,22に突起部40,41を入り込ませることはできないので、一側可動腕部36と他側可動腕部37とに邪魔されて回動体45と縦枠65の凹部66との間のロック状態を解消させる方向に連結杆33を横移動させることができない。
【0037】
つまり、昇降サッシ窓11自体をその下限位置から引き上げようとするときは、引違い戸17,18を全閉状態として引違い戸17,18の下端面17a,18aの凹部22,22に突起部40,41を入り込ませない限り、回動体45を縦枠65の凹部66内から脱出させる方向に連結杆33を横移動させることができないので、昇降サッシ窓11自体の昇降も常に引違い戸17,18を全閉状態とした上でしか行えなくなる。
【0038】
すなわち、本発明によれば、封入装置61が本体部62に備える処理室63の前面開口部64を開閉すべく設置される昇降サッシ窓11は、下限位置にまで引き下げた際には全閉状態にある引違い戸16,17相互、および引違い戸18,19相互における二枚重ね部20側に対するロック状態の自動解除と前面開口部64の縦枠65側に対する昇降サッシ窓11自体の自動ロックとを行う交互ロック機構32,32を備えているので、引違い戸16,17,18,19が全閉状態となっているときにのみ縦枠65側に対するロック状態の自動解除と二枚重ね部20側に対する自動ロックとを行うことができることになる。
【0039】
したがって、昇降サッシ窓11の全体を下限位置にまで引き下げない限りは、全閉状態にある引違い戸16,17,18,19側の開移動ができず、引違い戸16,17,18,19側を全閉状態としない限りは、昇降サッシ窓11自体を下限位置から引き上げることができないので、作業者が誤って引違い戸16,17,18,19を開状態にしたままで昇降サッシ窓11を昇降させることをなくして、該昇降サッシ窓11の開度に応じた設計上の風量と実際の風量との間の安定した調整状態の維持と、封入装置自体の能力の保証とを容易に、かつ、確実に実現することができることになる。
【0040】
以上は、本発明を図示例に従って説明したものであり、その具体的な内容は、これに限定されるものではない。例えば、昇降サッシ窓11は、2枚の引き違い戸を備えるものであってもよく、この場合は、例えば左側の縦サッシ枠12側に交互ロック機構32が配設され、右側サッシ枠13側に昇降案内用のガイド輪を配置することで、昇降サッシ窓11の昇降を位置規制することになる。
【符号の説明】
【0041】
11 昇降サッシ窓
12,13 縦サッシ枠
14,15 横サッシ枠
16,17,18,19 引違い戸
16a,17a,18a,19a (一方の)縦辺部
16b,17b,18b,19b (他方の)縦辺部
20 下端面
21 二枚重ね部
22,23 凹部
32 交互ロック機構
33 連結杆
33a 始端
33b 終端
34 引違い戸用ロック手段
35 固定片部
36 一側可動腕部
36a 基端部
33b 頂端部
37 他側可動腕部
37a 基端部
37b 頂端部
38 交差部
39 基台部
40,41 突起部
44 昇降窓用ロック手段
45 回動体
46 ブラケット
47 支軸
48 押圧付勢部
49 ばね座
50 水平片部
51 起立片部
52 通孔
53 支杆
54 鍔部
55 圧縮ばね
56 ナット
61 封入装置
62 本体部
63 処理室
64 前面開口部
65 縦枠
66 凹部
67 天板部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
封入装置が本体部に備える処理室の前面開口部を開閉すべく設置される昇降サッシ窓は、左右に配置される縦サッシ枠と上下に配置される横サッシ枠とで画成される囲枠内に、少なくとも一方の前記縦サッシ枠側に一方の縦辺部を位置させて配置される一方の引違い戸と、該引違い戸の他方の縦辺部側とその一方の縦辺部側とが対面する2枚重ね部を形成して配置される他方の引違い戸とを具備させて形成され、
前記昇降サッシ窓を下限位置にまで引き下げた際には全閉状態にある前記引違い戸相互における前記2枚重ね部側に対するロック状態の自動解除と前記前面開口部の縦枠側に対する前記昇降サッシ窓自体の自動ロックとが行われ、前記引違い戸が全閉状態となっているときにのみ前記縦枠側に対するロック状態の自動解除と前記2枚重ね部側に対する自動ロックとを行って下限位置からの引き上げを可能とする交互ロック機構を前記昇降サッシ窓に具備させたことを特徴とする開閉規制機能付き昇降サッシ窓。
【請求項2】
前記交互ロック機構は、全閉状態にある引違い戸の前記2枚重ね部の近傍位置を始端側としてその終端側が一方の前記縦サッシ枠側へと至る長さを備えて下側に位置する前記横サッシ枠上に横移動可能に配設される連結杆と、
該連結杆の前記始端側と隣り合う近傍位置の前記横サッシ枠上に固定配置される固定片部と、該固定片部側にその基端部が軸支された一側可動腕部と、連結杆の前記始端側にその基端部が軸支された他側可動腕部との交差部を軸支してそれぞれの頂端部側を基台部に軸支させ、該基台部の頂面に前記2枚重ね部側の一方の引違い戸の下端面に設けられた凹部と他方の引違い戸の下端面に設けられた凹部とへの全閉時の掛止を可能に設けられた一対の突起部とを備えてなる引違い戸用ロック手段と、
連結杆の前記終端側にその長さ方向に沿わせての回動を自在に軸支された回動体と、該回動体を前記連結杆を介して前記縦枠方向に常時突出付勢されて前記昇降サッシ窓が下限に位置するときにのみ前記縦枠側に設けられている凹部への前記回動体の入り込みを可能とした押圧付勢部とを備えてなる昇降サッシ窓用ロック手段とで少なくとも構成される請求項1に記載の開閉規制機能付き昇降サッシ窓。
【請求項3】
請求項1または2に記載の交互ロック機構を具備させた前記昇降サッシ窓により処理室の前記前面開口部の開閉を可能としたことを特徴とする封入装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−12781(P2012−12781A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−147641(P2010−147641)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(593214073)オリエンタル技研工業株式会社 (7)
【Fターム(参考)】