説明

間接活線工事用絶縁保護カバー

【課題】簡単な作業により容易かつ確実に装着でき作業者への作業負担が軽減される間接活線工事用絶縁保護カバーを提供する。
【解決手段】基端縁11a、21aがヒンジ29を介して開閉自在に連結されて対向する第1カバー部11及び第2カバー部21を備え、第1カバー部11の内周面に凹状の第1収容面12、第1当接面13、第1ガイド面14を備え、第2カバー部21の内周面に第1収容面12と対向すると共に第1収容面13と協働して碍子5及び配電線8を収容する収容部28を構成する第2収容面23、第1当接面13に当接可能な第2当接面23、第2ガイド面24を備え、第1当接部13と第2当接部23が当接した状態に互いに吸着して保持する第1永久磁石13M、23M及び第1面ファスナ16F、第2面ファスナ26Fを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間接活線工法において、作業中の感電事故や短絡・地絡事故を未然に防止するために電配線に関わる電柱上部の配電線、碍子、クランプなどの配電線関連機器を被覆する間接活線工事用絶縁保護カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の一般家庭や事業所等におけるコンピュータ等のOA機器や他の電気製品の飛躍的な普及により、停電時間を設けずに配電線関連の点検や改修等の電気工事を行う間接活線工法が主流となっている。
【0003】
しかし、この間接活線工法では、配電線などに通電したままの状態で作業が行われることから、作業中の感電事故、短絡・地絡事故等が起こる可能性が高く、これらの事故を未然に防止することを目的として、配電線、碍子、クランプなどの配電線関連機を防護用絶縁シートで被覆するのが一般的であった。
【0004】
かかる防護用絶縁シートの一例として特許文献1がある。この特許文献1に示される防護用絶縁シートは、絶縁性のあるゴムシート又は樹脂シートからなる柔軟な電気絶縁シートに、その電気絶縁シートを二つ折りに曲げた際に互いに対向する相対位置に磁力によって互いに接合可能な複数の永久磁石を配置して構成される。この防護用絶縁シートを配電線に沿わせて二つ折りに折り曲げて被覆するように吊り下げることで、対向する永久磁石の吸着力によって配電線に巻き付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−340462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1によると、防護用絶縁シートを二つ折りにして配電線などに吊り下げることで、対向する永久磁石が互いに吸着して配電線などに防護用絶縁シートが固定され、配電線の絶縁被覆が可能になる。
【0007】
しかし、この柔軟な防護用絶縁シートの配電線への装着は、絶縁作業工具、例えば絶縁ヤットコ等の操作により二つ折りした防護用絶縁シートの中央部を正確に配電線上に位置決めして吊り下げ、更に対向する永久磁石を吸着して配電線に装着する作業は極めて厄介で多くの作業時間を要し、作業者に大きな作業負担が要求される。また、その作業に熟練を要する。
【0008】
従って、活線状態で電気工事を行う際、簡単な作業により容易かつ確実に配電線関連機器等の被覆及び取り外しが可能で作業者への作業負担が軽減される間接活線工事用絶縁保護カバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成する請求項1に記載の間接活線工事用絶縁保護カバーの発明は、間接活線工法において電柱上部の配電線関連機器を被覆する間接活線工事用絶縁保護カバーにおいて、上記配電線関連機器の被覆範囲に応じた幅寸法を有して基端縁がヒンジを介して開閉自在に連結されて対向する第1カバー部及び第2カバー部を備え、該第1カバー部は、上記基端縁と略平行に延在して揺動端となる先端縁を有すると共に、内周面に上記基端縁に沿って幅方向に延在する凹状の第1収容面と、該第1収容面の端縁に沿って延在する第1当接面と、該第1当接面の端縁に沿って該端縁と上記先端縁との間に形成された第1ガイド面とを備え、上記第2カバー部は、上記基端縁と略平行に延在して揺動端となる先端縁を有すると共に、内周面に上記第1カバー部の第1収容面と対向して幅方向に延在する凹状で上記第1収容面と協働して上記配電線関連機器の被覆範囲を収容する収容部を構成する第2収容面と、該第2収容面の端縁に沿って延在して上記第1当接面と対向すると共に該第1当接面に当接可能な第2当接面と、該第2当接面の端縁に沿って延在して該端縁から先端縁側に移行するに従って漸次第1ガイド面から離間する第2ガイド面とを備え、上記第1カバー部の第1当接部と第2カバー部の第2当接部が当接した状態に互いに吸着して保持する第1カバー部に設けた第1永久磁石と第2カバー部に設けた第2永久磁石と、上記第1カバー部の第1当接部と第2カバー部の第2当接部が当接した状態に互いに接合して保持する第1カバー部に設けた第1面ファスナと第2カバー部に設けた第2面ファスナと、を備えたことを特徴とする。
【0010】
これによると、絶縁保護カバーの装着にあたり、絶縁保護カバーの第1カバー部に設けられた第1永久磁石と第2カバー部に設けられた第2永久磁石とが吸着して第1カバー部の第1当接部と第2カバー部の第2当接部が当接保持された状態で、絶縁作業工具等の操作により絶縁保護カバーの第1ガイド面及び第2ガイド面を配電線関連機器に当接させ、この第1カバー部の第1ガイド面及び第2カバー部の第2ガイド面が配電線関連機器に当接した状態で、絶縁保護カバーを電線関連機器側に移動することで配電線関連機器に沿って第1カバー部の第1ガイド面及び第2カバー部の第2ガイド面及び第1当接面、第2当接面が摺接して第1カバー部と第2カバー部がヒンジを中心に次第に押し拡げられる。更に絶縁保護カバーを移動すると、配電線関連機器に沿って各第1当接面及び第2当接面が摺動して配電線関連機器を通過する。これにより、配電線関連機器が第1収容面と第2収容面との間の収容空間に収容される一方、配電線関連機器を通過した第1カバー部の第1当接面と第2カバー部の第2当接面とが第1永久磁石と第2永久磁石の吸着によって当接して第1カバー部と第2カバー部が閉じた状態に仮固定される。この仮固定された状態において第1面ファスナと第2面ファスナを接合する簡単な作業により絶縁保護カバーを強固に所定位置に取り付けることができる。これにより、配電線関連機器が第1カバー部の第1収容面及び第2カバー部の第2収容面によって形成された収容空間内に保持されて第1カバー部及び第2カバー部によって被覆され、活線状態で配電線工事等をする際、良好に地絡・短絡を防止して安全化を図ることができる。
【0011】
一方、絶縁保護カバーを取り外す作業は、第1面ファスナから第2面ファスナを剥離し、絶縁保護カバーを移動させることで配電線関連機器によって第1カバー部及び第2カバー部が第1永久磁石と第2永久磁石とによる吸着に抗して押し広げられ配電線関連機器から抜き出され、絶縁保護カバーが取り外される。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1の間接活線工事用絶縁保護カバーにおいて、上記配電線関連機器は、腕金に設けられた碍子及び該碍子に固定保持された配電線であることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1の間接活線工事用絶縁保護カバーにおいて、上記配電線関連機器は、配電線をクランプ保持するクランプと腕金との間に架設された高圧耐張碍子であることを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1の間接活線工事用絶縁保護カバーにおいて、上記配電線関連機器は、腕金に高圧耐張碍子を介して保持されて配送電線をクランプ保持するクランプであることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1の間接活線工事用絶縁保護カバーにおいて、上記配電線関連機器は、配電線を被覆する筒状のカバーであることを特徴とする。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1の間接活線工事用絶縁保護カバーにおいて、上記配電線関連機器は、腕金に高圧耐張碍子を介して保持されて配電線をクランプ保持するクランプと該配電線を被覆する筒状のカバーとの隙間範囲における配電線であることを特徴とする。
【0017】
請求項2乃至6は、請求項1の絶縁被覆の対象となる配電線関連機器を具体的に例示するもので、腕金に設けられた碍子及び該碍子に固定保持された配電線、高圧耐張碍子、クランプ、配電線を被覆する筒状のカバー、クランプとカバーとの隙間範囲における配電線等に容易かつ確実に絶縁保護カバーを取り付けることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、絶縁保護カバーの第1カバー部の第1当接部と第2カバー部の第2当接部が当接保持された状態で、絶縁作業工具等の操作により絶縁保護カバーの第1ガイド面及び第2ガイド面を配電線関連機器に当接させて絶縁保護カバーを移動することで配電線関連機器が第1収容面と第2収容面との間の収容空間に収容されると共に第2カバー部の第2当接面が第1永久磁石と第2永久磁石の吸着によって当接して第1カバー部と第2カバー部が閉じた状態に仮固定され、この仮固定された状態において第1面ファスナと第2面ファスナを接合する簡単な作業により絶縁保護カバーを強固に所定位置に取り付けることができ、作業者への作業負担が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1実施の形態の概要を示す絶縁保護カバーが装着される配電線関連機器及び絶縁保護カバーの説明図である。
【図2】絶縁保護カバーの展開図である。
【図3】絶縁保護カバーの装着状態を示す図である。
【図4】図3のA矢視図である。
【図5】図3のB矢示図である。
【図6】絶縁保護カバーの装着作業の概要を示す図である。
【図7】絶縁保護カバーの装着作業手順を示す図である。
【図8】第2実施の形態における絶縁保護カバーが装着される配電線関連機器の概要説明図である。
【図9】絶縁保護カバーを高圧耐張碍子に装着した状態を示す斜視図である。
【図10】絶縁保護カバーの展開図である。
【図11】絶縁保護カバーの装着作業手順を示す図である。
【図12】絶縁保護カバーをクランプに装着した状態を示す図である。
【図13】絶縁保護カバーを配電線に装着した状態を示す図である。
【図14】絶縁保護カバーを配電線保護カバーに装着した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明による間接活線工事用絶縁保護カバーの実施の形態を図に基づいて説明する。
【0021】
(第1実施の形態)
本発明の間接活線工事用絶縁保護カバーの第1実施の形態を図1乃至図7を参照して説明する。
【0022】
図1は、本実施の形態における絶縁保護カバー10と絶縁保護カバー10によって絶縁被覆する配電線関連機器、即ち電柱上の腕金1に取り付けられるピン碍子5及びピン碍子5に固定保持される配電線8の概要を示す図、図2は絶縁保護カバー10の展開状態を示す図、図3は絶縁保護カバー10の装着状態を示す図、図4は図3のA矢視図、図5は図3のB矢視図である。
【0023】
絶縁保護カバー10の説明に先立ち絶縁保護カバー10により絶縁被覆する配電線関連機器であるピン碍子5及び配電線8の概要を図1に基づいて説明する。
【0024】
電柱に取り付けられる腕金1は略水平方向に延在する角形中空状鋼材によって形成される。腕金1の碍子取付部に対応して上面2及び下面3に図示しないピン挿通孔が形成される。
【0025】
一方、ピン碍子5は、6号ピン碍子と呼称されるもので、碍子本体6及び支持ピン7によって構成される。碍子本体6はキャップ部6aとスカート部6bとその間に位置して配電線8を係留させるネック部6cとからなる。この碍子本体6の基部に碍子本体6と同軸に支持ピン7が突設され、支持ピン7の先端部に腕金1のピン挿通孔に挿入可能なボルト部7aが形成され、かつボルト部7aの基端側に環状のストッパ7bが形成される。
【0026】
このピン碍子5は、その支持ピン7のボルト部7aを腕金1の上面2に開口するピン挿通穴から挿入し、下面3のピン挿通穴を貫通させてストッパ7bが上面2に当接した状態でボルト部7aに図示しないナットを締結して腕金1に固定される。
【0027】
この腕金1に固定されたピン碍子5の碍子本体6に形成されたネック部6cに沿って配電線8を延在させた状態で、碍子バンド9によって配電線8を碍子本体6に固定する。
【0028】
絶縁保護カバー10は、樹脂製であって、図1に使用状態の斜視図を示し、図2に展開状態を示すように、予め設定された配電線8の被覆範囲に応じた幅寸法Lを有して各基端縁11a及び21aがヒンジ29を介して開閉自在に連結されて対向する半割筒状、即ち略断面円弧状の第1カバー部11と第2カバー部21によって構成される。
【0029】
第1カバー部11は、ヒンジ29に連結する基端縁11aと略平行な揺動端となる先端縁11bを備え、第2カバー部21と対向する内周面に基端縁11aの延在方向に沿って全幅Lに亘る断面凹状乃至溝状の第1収容面12を有し、第1収容面12の端縁12aに沿って折曲して第2カバー部21と対向する平坦な帯状の第1当接面13が形成される。この第1当接面13の端縁13aから外方に折曲して連続する第1ガイド面14が端縁13aと先端縁11bとの間に形成される。
【0030】
更に、第1カバー部11の第1収容面12、第1当接面13、第1ガイド面14は幅方向中央部において分断し、分断された第1収容面12の端縁に両側がそれぞれ連続して外方、即ち第2カバー部21から離反するように膨出すると共に下端縁15aがコ字状で下方に開放部15Aが形成されたボックス状でピン碍子5の碍子本体6を収容可能なピン碍子収容部15が一体形成される。
【0031】
また、第1当接面13に第1永久磁石13Mが埋設され、外周面16の先端縁11bの近傍に第1面ファスナ16Fが貼設される。
【0032】
一方、第2カバー部21は、ヒンジ29に連結される基端縁21aと略平行な揺動端となる先端縁21bを備え、第1カバー部11と対向する内周面に基端縁21aの延在方向に沿って全幅Lに亘り第1カバー部11の第1収容面12と対向する凹状乃至溝状の第2収容面22を有し、第2収容面22の端縁22aに沿って折曲して第1カバー部11の第1当接面13と対向すると共に当接可能な平坦な帯状の第2当接面23が形成される。この第2当接面23の端縁23aから外方に折曲して連続する第2ガイド面24が端縁23aと先端縁21bとの間に形成される。この第2カバー部21にはその外周面26にリブ状に突出する把持部25が一体形成される。
【0033】
また、第2当接面23に、第1カバー部11の第1当接面13に埋設した第1永久磁石13Mと対向すると共に第1永久磁石13Mと吸着可能な第2永久磁石23Mが埋設される。
【0034】
更に、第2カバー部21の外周面26の先端縁21bの近傍に、第1カバー部11に設けた第1面ファスナ16Fに対して着脱可能な第2面ファスナ26Fを備えた可撓性を有する帯状体27の基端部が結合される。
【0035】
これらヒンジ29を介在して開閉自在に連結された第1カバー部11の第1当接面13と第2カバー部21の第2当接面23とが当接した状態において、図3及び図5に示すように第1カバー部11の第1収容面12と第2カバー部21の第2収容面22とによって配電線8が挿通可能な収容空間28が形成される。また、第1カバー部11の第1ガイド面14と第2カバー部21の第2ガイド面24は各先端縁11b、21b側に移行するに従って互いに漸次離反する。
【0036】
次に、このように構成された絶縁保護カバー10の被装着部となるピン碍子5及び配電線8に装着する装着手順を図6及び図7を参照して説明する。
【0037】
絶縁保護カバー10の装着にあたり、絶縁保護カバー10の第1カバー部11に設けられた第1永久磁石13Mと第2カバー部21に設けられた第2永久磁石13Mとが吸着して第1カバー部11の第1当接部13と第2カバー部21の第2当接部23が当接した閉じた状態に準備する。
【0038】
この絶縁保護カバー10が閉じた状態で、図6に示すように第2カバー部21の把持部25を絶縁作業工具、例えば絶縁ヤットコ100によって把持し、絶縁ヤットコ100の操作によって、絶縁保護カバー10を配電線8の上方においてピン碍子収容部15の開口部15Aをピン碍子5に対向させると共に、第1カバー部11の第1ガイド面14及び第2カバー部21の第2ガイド面24を配電線8に対向させる。
【0039】
このように絶縁保護カバー10が、ピン碍子収容部15の開口部15Aがピン碍子5に上方から対向し、第1カバー部11の第1ガイド面14及び第2カバー部21の第2ガイド面24を上方から配電線8に対向した状態、即ち図7(a)に模擬的に示す状態から、絶縁ヤットコ100により、絶縁保護カバー10を下方に移動して図7(b)に示すように第1カバー部11の第1ガイド面14及び第2カバー部21の第2ガイド面24を配電線8に当接させる。
【0040】
この第1カバー部11の第1ガイド面14及び第2カバー部21の第2ガイド面24が配電線8に当接した状態で、更に絶縁ヤットコ100により絶縁保護カバー10を下方に、即ち配電線8の方向に移動すると、配電線8に沿って第1カバー部11の第1ガイド面14及び第2カバー部21の第2ガイド面24がそれぞれ摺動して第1カバー部11と第2カバー部21がヒンジ29を中心に次第に押し拡げられ、第1ガイド面14及び第2ガイド面24に続いて図7(c)に示すように第1カバー部11の第1当接面13及び第2カバー部21の第2当接面23が配電線8に両側から当接すると共にピン碍子収容部15の開口部15Aがピン碍子5のキャップ部16aに達する。
【0041】
更に、絶縁保護カバー10を下方に移動すると、配電線8に沿って第1当接面13と第2当接面23が配電線8の両側を摺動して端縁12a、22aが通過する。これにより、配電線8が図7(d)に示すように第1収容面12と第2収容面22との間の収容空間28に収容され、ピン碍子5の碍子本体7の上部がピン碍子収容部15内に収容される。一方、配電線8を通過した第1カバー部11の第1当接面13、第2カバー部21の第2当接面23が互いの第1永久磁石13Mと第2永久磁石23Mが吸着によって当接し、第1カバー部11と第2カバー部21が閉じた状態に仮固定される。
【0042】
この仮固定された状態において、ピン碍子5における碍子本体6のキャップ部6a及びスカート部6bの上部範囲が第1カバー部11のピン碍子収容部15によって被覆され、配電線8の所定範囲が第2カバー部21によって被覆され、配電線8が第1カバー部11の第1収容面12及び第2カバー部21の第2収容面23によって形成された収容空間28内を貫通して第1カバー部11及び第2カバー部21によって被覆される。
【0043】
この第1永久磁石13Mと第2永久磁石23Mの吸着によって第1カバー部11と第2カバー部21が仮固定された状態で、図7(e)及び図7(f)に示すように第2カバー部21に基端部が結合された帯状体27の先端部に設けられた第2面ファスナ26Fを第1カバー部11の外周面16に設けられた第1面ファスナ16Fに接合する。これにより、基端部が第2カバー部21に固定された帯状体26の先端部が互いに接合する第1面ファスナ16Fと第2面ファスナ26Fによって第1カバー部11に連結されて第1カバー部11と第2カバー部21が強固に連結される。
【0044】
これにより、図3乃至図5に示すように、ピン碍子5の碍子本体6が第1カバー部11のピン碍子収容部15によって被覆され、配電線8の所定範囲が第1カバー部11及び第2カバー部21によって絶縁被覆され、活線状態で配電線工事等をする際、良好に地絡・短絡を防止して安全化を図ることができる。更に、ピン碍子5の碍子本体6にピン碍子収容部15が嵌合して配電線工事中に絶縁保護カバー10が絶縁被覆部からずれることが防止できる。
【0045】
一方、絶縁保護カバー10を取り外す作業は、装着手順とは逆に、絶縁ヤットコ100等によって、第1面ファスナ16Fから第2面ファスナ26Fを剥離して第1カバー部11と第2カバー部21との帯状体26及び第1面ファスナ16F、第2面ファスナ26Fによる連結を解除する。
【0046】
そして、第2カバー部21の把持部25を絶縁ヤットコ100によって把持し、ヤットコ100により絶縁保護カバー10を上方に持ち上げることで、配電線8が第1カバー部11の第1収容面12の端縁12a及び第2カバー部21の第2収容面22の端縁22aが当接し、更に絶縁保護カバー10の第2カバー部21を持ち上げると、配電線8によって第1カバー部11及び第2カバー部21が第1永久磁石13Mと第2永久磁石23Mとによる吸着に抗して押し広げられ配電線8から抜き出され、かつ碍子本体6からピン碍子収容部15が離脱して絶縁カバー10がピン碍子5及び配電線6から取り外される。
【0047】
従って、本実施の形態による絶縁保護カバー10によると、絶縁ヤットコ100等の操作により第2カバー部21の把持部25を把持して、絶縁保護カバー10の第1カバー部11の第1ガイド面14及び第2カバー部21の第2ガイド面24を配電線8に当接すると共に、ピン碍子収容部15をピン碍子5に上方から対向し、絶縁保護カバー10を下方に移動することで、配電線8に沿って第1カバー部11と第2カバー部21がヒンジ29を中心に次第に押し拡げられ、配電線8が収容空間28に収容されてピン碍子5の碍子本体7の上部がピン碍子収容部15内に収容され、第1カバー部11の第1当接面13と第2カバー部21の第2当接面23が互いの第1永久磁石13Mと第2永久磁石23Mが吸着によって仮固定される。この仮固定された状態で帯状体26の先端部の第2面ファスナ26Fを第1カバー部11の第1面ファスナ16Fに接合する簡単な作業により絶縁保護カバー10を強固に所定位置に取り付けることができ、作業者の作業負担が軽減される。
【0048】
また、第1面ファスナ16Fから第2面ファスナ26Fを剥離し、ヤットコ100により絶縁保護カバー10を上方に持ち上げる簡単な作業により、配電線8によって第1カバー部11及び第2カバー部21が第1永久磁石13Mと第2永久磁石13Mの吸着に抗して押し広げられ配電線8から抜き出し、かつ碍子本体6からピン碍子収容部15が離脱して絶縁カバー10がピン碍子5及び配電線6から取り外すことができる。
【0049】
(第2実施の形態)
本発明の間接活線工事用絶縁保護カバーの第2実施の形態を図8乃至図14を参照して説明する。
【0050】
図8は、本実施の形態における絶縁保護カバーによる絶縁被覆する配電線関連機器を説明する図であり、電柱上の腕金1に図示しないピン碍子に固定された配電線8をクランプ32によってクランプ保持し、このクランク32を腕金1とクランプ32との間に架設された高圧耐張碍子31によって張設して配電線8を保持する。クランプ32によって保持された配電線8にはクランプ32から離間した部分が筒状のカバー34によって被覆される。
【0051】
活線工事にあたり、高圧耐張碍子31、クランプ32、クランプ32とカバー34との間に露出する配電線8の範囲33、カバー34をそれぞれ後述する樹脂製の絶縁保護カバー40、60、70、80によって絶縁被覆する。
【0052】
以下、絶縁保護カバー40、60、70、80を順に説明する。
【0053】
図9は、高圧耐張碍子31に絶縁保護カバー40を装着した状態を示す斜視図であり、図10は絶縁保護カバー40の展開状態を示す図である。
【0054】
絶縁保護カバー40は、高圧耐張碍子31の被覆範囲に応じた幅寸法を有して各基端縁41a及び51aがヒンジ59を介して開閉自在に連結されて対向する略断面円弧状の第1カバー部41と第2カバー部51によって構成される。
【0055】
第1カバー部41は、ヒンジ59に連結する基端縁41aと先端縁41bを備え、第2カバー部51と対向する内周面に基端縁41aの延在方向に沿って全幅に亘る断面凹状乃至溝状の第1収容面42を有し、第1収容面42の端縁42aに沿って折曲して平坦な帯状の第1当接面43が形成される。更に、第1当接面43の端縁43aから外方に折曲して連続する第1ガイド面44が形成される。
【0056】
また、第1当接面43に第1永久磁石43Mが埋設され、外周面46の先端縁41bの近傍に第1面ファスナ46Fが貼設される。この第1カバー部41にはその外周面46にリブ状に突出する把持部45が一体形成される。
【0057】
一方、第2カバー部51は、ヒンジ59に連結される基端縁51aと略平行な先端縁51bを備え、第1カバー部41と対向する内周面に基端縁51aの延在方向全幅に亘り第1カバー部41の第1収容面42と対向する凹状乃至溝状の第2収容面52を有し、第2収容面52の端縁52aに沿って折曲して第1カバー部41の第1当接面43と当接可能に対向する平坦帯状の第2当接面53が形成される。この第2当接面53の端縁53aから外方に折曲して連続する第2ガイド面54が形成される。この第2カバー部51にはその外周面56にリブ状に突出する把持部55が一体形成される。
【0058】
また、当接面53に第1カバー部41の第1当接面43に埋設した第1永久磁石43Mと対向して吸着可能な第2永久磁石53Mが埋設される。更に、第2カバー部51の外周面56の先端縁51b近傍に、第1カバー部41に設けた第1面ファスナ46Fに対して着脱可能な第2面ファスナ56Fを備えた可撓性を有する帯状体57の基端部が結合される。
【0059】
これらヒンジ59を介在して開閉自在に連結された第1カバー部41の第1当接面43と第2カバー部51の第2当接面53とが当接した状態において、図9に示すように第1カバー部41の第1収容面42と第2カバー部51の第2収容面52とによって高圧耐張碍子31が挿通可能な収容空間58が形成される。また、第1カバー部41の第1ガイド面44と第2カバー部51の第2ガイド面54はそれぞれ各先端縁41b、51bに移行するに従って互いに漸次離反する。
【0060】
次に、このように構成された絶縁保護カバー40の被装着部となる高圧耐張碍子31に装着する装着手順を図11に基づいて説明する。
【0061】
絶縁保護カバー40の装着にあたり、絶縁保護カバー40の第1カバー部41に設けられた第1永久磁石43Mと第2カバー部51に設けられた第2永久磁石53Mとが吸着して第1カバー部41の第1当接部43と第2カバー部51の第2当接部53が当接保持する閉じた状態に準備する。
【0062】
この絶縁保護カバー40が閉じた状態で、把持部45或いは55を絶縁作業工具、例えば絶縁ヤットコ100によって把持し、絶縁保護カバー40を高圧耐張碍子31の上方において先端縁41b、51b側を下方にして第1カバー部41の第1ガイド面44及び第2カバー部51の第2ガイド面54を高圧耐張碍子31に対向させる。
【0063】
そして、絶縁ヤットコ100により絶縁保護カバー40を下方に移動して図11(a)に示すように第1カバー部41の第1ガイド面44及び第2カバー部51の第2ガイド面54を高圧耐張碍子31に当接させる。
【0064】
この第1カバー部41の第1ガイド面44及び第2カバー部51の第2ガイド面54が高圧耐張碍子31に当接した状態で、更に絶縁ヤットコ100により絶縁保護カバー50を下方、即ち高圧耐張碍子31側に移動すると、高圧耐張碍子31に沿って第1カバー部41の第1ガイド面44及び第2カバー部51の第2ガイド面54及び第1当接面43、第2当接面53が摺接して図11(b)に示すように第1カバー部41と第2カバー部51がヒンジ59を中心に次第に押し拡げられる。
【0065】
更に絶縁保護カバー40を下方に移動すると、高圧耐張碍子31に沿って各第1当接面43、第2当接面53が高圧耐張碍子31の両側を摺動して端縁42a、52aが通過する。これにより、高圧耐張碍子31が図11(c)に示すように第1収容面42と第2収容面52との間の収容空間58に収容される。一方、高圧耐張碍子31を通過した第1カバー部41の第1当接面43、第2カバー部51の第2当接面54が互いの第1永久磁石43Mと第2永久磁石53Mの吸着によって当接し、第1カバー部41と第2カバー部51が閉じた状態に仮固定される。
【0066】
この仮固定された状態において、高圧耐張碍子31が第1カバー部51の第1収容面42及び第2カバー部51の第2収容面52によって形成された収容空間58内を貫通して第1カバー部41及び第2カバー部51によって被覆される。
【0067】
この第1永久磁石43Mと第2永久53Mの吸着によって第1カバー部41と第2カバー部51が仮固定された状態で、図11(d)に示すように第2カバー部51に基端部が結合された帯状体57の先端部に設けられた第2面ファスナ56Fを第1カバー部51の外周面46に設けられた第1面ファスナ46Fに接合する。これにより、基端部が第2カバー部51に固定された帯状体57の先端部が互いに接合する第2面ファスナ56Fと第1面ファスナ46Fによって第1カバー部41に連結されて第1カバー部41と第2カバー部51が強固に連結される。
【0068】
これにより、図9に示すように、高圧耐張碍子31が第1カバー部41及び第2カバー部51によって絶縁被覆され、活線状態で配電線工事等をする際、良好に地絡・短絡を防止して安全化を図ることができる。
【0069】
一方、絶縁保護カバー40を取り外す作業は、装着手順とは逆に、絶縁ヤットコ100等によって、第1面ファスナ46Fから第2面ファスナ56Fを剥離して第1カバー部41と第2カバー部51との帯状体57及び第1面ファスナ46F、第2面ファスナ56Fによる連結を解除する。
【0070】
そして、把持部45或いは把持部55を絶縁ヤットコ100によって把持し、ヤットコ100により絶縁保護カバー10を上方に持ち上げることで、高圧耐張碍子31が第1カバー部41の第1収容面42の端縁42a及び第2カバー部51の第2収容面52の端縁52aが当接し、更に絶縁保護カバー40を持ち上げると、高圧耐張碍子31によって第1カバー部41及び第2カバー部251が第1永久磁石43Mと第2永久磁石53Mとによる吸着に抗して押し広げられ高圧耐張碍子31から抜き出され、高圧耐張碍子31から取り外される。
【0071】
従って、絶縁保護カバー40によると、絶縁ヤットコ100等の操作により把持部45或いは把持部55を把持して、絶縁保護カバー40の第1カバー部41の第1ガイド面44及び第2カバー部51の第2ガイド面54を高圧耐張碍子31当接して絶縁保護カバー40を下方に移動することで、高圧耐張碍子31に沿って第1カバー部41と第2カバー部51がヒンジ59を中心に次第に押し拡げられ、高圧耐張碍子31が収容空間58に収容されて第1カバー部41の第1当接面43と第2カバー部51の第2当接面53が互いの第1永久磁石43Mと第2永久磁石53Mが吸着によって仮固定される。この仮固定された状態で帯状体57の先端部の第2面ファスナ56Fを第1カバー部41の第1面ファスナ46Fに接合する簡単な作業により絶縁保護カバー50を強固に所定位置に取り付けることができる。
【0072】
また、第1面ファスナ46Fから第2面ファスナ56Fを剥離し、ヤットコ100により絶縁保護カバー40を上方に持ち上げる簡単な作業により、高圧耐張碍子31によって第1カバー部41及び第2カバー部51が第1永久磁石43Mと第2永久磁石53Mの吸着に抗して押し広げられ高圧耐張碍子31から抜き出し、絶縁カバー40を高圧耐張碍子31から取り外すことができる。
【0073】
図12は、クランプ32に絶縁保護カバー60を装着した状態を示す斜視図である。なお、この絶縁保護カバー60は、絶縁保護カバー40と基本構成が同一であり、簡単に説明する。
【0074】
絶縁保護カバー60は、クランプ32の被覆範囲に応じた幅寸法を有して各基端縁がヒンジ69を介して開閉自在に連結されて対向する第1カバー部61と第2カバー部65によって構成される。
【0075】
第1カバー部61及び第2カバー部65は、それぞれ内周面に対向する断面凹状乃至溝状の第1収容面62、第2収容面66を有し、第1収容面62、第2収容面66の端縁に沿って互いに対向する帯状の第1当接面63、第2当接面67が形成される。更に、第1当接面63、第2当接面67の端縁から外方に折曲して連続する第1ガイド面64、第2ガイド面68が形成される。
【0076】
また、図示を省略するが、各第1当接面63及び第2当接面67にそれぞれ互いに吸着する第1永久磁石、第2永久磁石が埋設され、第1カバー部61の外周面における先端縁の近傍に第1面ファスナが貼設される。一方、第2カバー部65に第1カバー部61に設けた第1面ファスナに対して着脱可能な第2面ファスナを備えた帯状体の基端部が結合される。なお、これら第1永久磁石、第2永久磁石及び第1面ファスナ、第2面ファスナは上記絶縁カバー40の第1永久磁石43M、第2永久磁石53M及び第1面ファスナ46F、第2面ファスナ56Fと同一構成である説明を省略する。
【0077】
この絶縁保護カバー60のクランプ32への装着は、絶縁保護カバー60を閉じた状態で、第1カバー部61の第1ガイド面64及び第2カバー部65の第2ガイド面68をクランプ32に対向させ、かつ下方に移動して第1カバー部61の第1ガイド面54及び第2カバー部65の第2ガイド面68をクランプ32に当接させる。そして、絶縁保護カバー60をクランプ32側となる下方に移動すると、クランプ32に沿って第1カバー部61の第1ガイド面64及び第2カバー部65の第2ガイド面68及び第1当接面63、第2当接面67が摺接して第1カバー部61と第2カバー部65がヒンジ69を中心に次第に押し拡げられる。
【0078】
更に、絶縁保護カバー60を下方に移動すると、クランプ32に沿って各第1当接面63、第2当接面67が通過する。これにより、クランプ32が第1収容面2と第2収容面66との間の収容空間内に収容される。一方、クランプ32を通過した第1カバー部51の第1当接面53と、第2カバー部65の第2当接面67と互いの第1永久磁石、第2永久磁石が吸着によって当接し、第1カバー部61と第2カバー部65が閉じた状態に仮固定される。
【0079】
この仮固定された状態において、クランプ32が第1カバー部61の第1収容面62及び第2カバー部65の第2収容面66によって形成された収容空間内を貫通して第1カバー部61及び第2カバー部65によって被覆される。
【0080】
この第1永久磁石、第2永久磁石の吸着によって第1カバー部61と第2カバー部65が仮固定された状態で、第2カバー部65に基端部が結合された帯状体の先端部に設けられた第2面ファスナを第1カバー部61に設けられた第1面ファスナに接合する。これにより、互いに接合する第1面ファスナ、第2面ファスナによって第1カバー部61に連結されて第1カバー部41と第2カバー部65が強固に連結される。
【0081】
また、互いの第1面ファスナと第2面ファスナを剥離し、絶縁保護カバー60を上方に持ち上げる簡単な作業により、クランプ32によって第1カバー部61及び第2カバー部65が第1永久磁石、第2永久磁石の吸着に抗して押し広げられクランプ32から抜き出し、絶縁カバー60をクランプ32から取り外すことができる。
【0082】
図13は、クランプ32とカバー34との間に露出する配電線8の部分33に絶縁保護カバー70を装着した状態を示す斜視図である。なお、この絶縁保護カバー70は、絶縁保護カバー40と基本構成が同一であり、概要を簡単に説明する。
【0083】
絶縁保護カバー70は、配電線8の被覆範囲、即ちクランプ32と筒状のカバー34の離間寸法に応じた幅寸法を有して各基端縁がヒンジ79を介して開閉自在に連結されて対向する略断面円弧状の第1カバー部71と第2カバー部75によって構成される。
【0084】
第1カバー部71及び第2カバー部75は、それぞれ内周面に対向する断面凹状乃至溝状の第1収容面72、第2収容面76を有し、第1収容面72、第2収容面76の端縁に沿って互いに対向する帯状の第1当接面73、第2当接面77が形成される。更に、第1当接面73、第2当接面77の端縁から外方に折曲して連続する第1ガイド面74、第2ガイド面78が形成される。
【0085】
また、図示を省略するが各第1当接面73及び第2当接面77に互いに吸着する第1永久磁石、第2永久磁石が埋設され、第1カバー71の外周面における先端縁の近傍に第1面ファスナが貼設される。一方、第2カバー部75に第1カバー部71に設けた第1面ファスナに対して着脱可能な第2面ファスナを備えた帯状体の基端部が結合される。なお、これら第1永久磁石、第2永久磁石及び第1面ファスナ、第2面ファスナは上記絶縁カバー40の第1永久磁石43M、第2永久磁石53M及び第1面ファスナ46F、第2面ファスナ56Fと同一構成である説明を省略する。
【0086】
この絶縁保護カバー70の配電線8への装着は、互いの第1永久磁石、第2永久磁石が吸着した絶縁保護カバー70を閉じた状態で、第1カバー部71の第1ガイド面74及び第2カバー部75の第2ガイド面78を配電線8に対向させ、かつ下方に移動して第1カバー部71の第1ガイド面74及び第2カバー部75の第2ガイド面78を配電線8に当接させる。そして、絶縁保護カバー70を下方の配電線8側に移動すると、配電線8に沿って第1カバー部71の第1ガイド面74及び第2カバー部75の第2ガイド面78及び第1当接面73、第2当接面77が摺接して第1カバー部71と第2カバー部75がヒンジ79を中心に次第に押し拡げられる。
【0087】
更に絶縁保護カバー70を下方に移動すると、配電線8に沿って各第1当接面73、第2当接面77が通過する。これにより、クランプ32とカバー34との間において配電線8が第1収容面72と第2収容面76との間に収容される。一方、配電線8を通過した第1カバー部71の第1当接面73と、第2カバー部75の第2当接面77の互いの第1永久磁石と第2永久磁石が吸着によって当接し、第1カバー部71と第2カバー部75が閉じた状態に仮固定される。
【0088】
この仮固定された状態において、配電線8が第1カバー部71の第1収容面72及び第2カバー部75の第2収容面76によって形成された収容空間内を貫通して第1カバー部71及び第2カバー部75によって被覆される。
【0089】
この第1永久磁石、第2永久磁石の吸着によって第1カバー部71と第2カバー部75が仮固定された状態で、第2カバー部75に基端部が結合された帯状体の先端部に設けられた第2面ファスナを第1カバー部71に設けられた第1面ファスナに接合する。これにより、互いに接合する第1面ファスナと第2面ファスナによって第1カバー部71に連結されて第1カバー部71と第2カバー部75が強固に連結される。
【0090】
また、互いの第1面ファスナ、第2面ファスナを剥離し、絶縁保護カバー70を上方に持ち上げる簡単な作業により、配電線8によって第1カバー部71及び第2カバー部75が第1永久磁石、第2永久磁石の吸着に抗して押し広げられ配電線8から抜き出し、絶縁カバー70を配電線8から取り外すことができる。
【0091】
図14は、配電線8を被覆する筒状のカバー34に絶縁保護カバー80を装着した状態を示す斜視図である。なお、この絶縁保護カバー80は、絶縁保護カバー40と基本構成が同一であり、概要を簡単に説明する。
【0092】
絶縁保護カバー80は、カバー34の被覆範囲に応じた幅寸法を有して各基端縁がヒンジ89を介して開閉自在に連結されて対向する略断面円弧状の第1カバー部81と第2カバー部85によって構成される。
【0093】
第1カバー部81及び第2カバー部85は、それぞれ内周面に対向する断面凹状乃至溝状の第1収容面82、第2収容面86を有し、第1収容面82、第2収容面86の端縁に沿って互いに対向する帯状の第1当接面83、第2当接面87が形成される。更に、第1当接面83、第2当接面87の端縁から外方に折曲して連続する第1ガイド面84、第2ガイド面88が形成される。
【0094】
また、図示を省略するが各第1当接面83及び第2当接面87に互いに吸着する第1永久磁石、第2永久磁石が埋設され、第1カバー81の外周面における先端縁の近傍に第1面ファスナが貼設される。一方、第2カバー部85に第1カバー部81に設けた第1面ファスナに対して着脱可能な第2面ファスナを備えた帯状体の基端部が結合される。なお、これら第1永久磁石、第2永久磁石及び第1面ファスナ、第2面ファスナは上記絶縁カバー40の第1永久磁石43M、第2永久磁石53M及び第1面ファスナ46F、第2面ファスナ56Fと同一構成であり説明を省略する。
【0095】
この絶縁保護カバー80のカバー34への装着は、互いの第1永久磁石と第2永久磁石が吸着した絶縁保護カバー80を閉じた状態で、第1カバー部81の第1ガイド面84及び第2カバー部85の第2ガイド面88をカバー34に対向させ、かつカバー34側に移動して第1カバー部81の第1ガイド面84及び第2カバー部85の第2ガイド面88をカバー34に当接させる。そして、絶縁保護カバー80を下方に移動すると、カバー34に沿って第1カバー部81の第1ガイド面84及び第2カバー部85の第2ガイド面88及び第1当接面83、第2当接面87が摺接して第1カバー部81と第2カバー部85がヒンジ89を中心に次第に押し拡げられる。
【0096】
更に、絶縁保護カバー80を下方に移動すると、カバー34に沿って各第1当接面83、第2当接面87が通過する。これにより、カバー34が第1収容面82と第2収容面86との間に収容される。一方、カバー34を通過した第1カバー部81の第1当接面83と、第2カバー部85の第2当接面87の互いの第1永久磁石、第2永久磁石が吸着によって当接し、第1カバー部81と第2カバー部85が閉じた状態に仮固定される。
【0097】
この仮固定された状態において、カバー34が第1カバー部81の第1収容面82及び第2カバー部85の第2収容面86によって形成された収容空間内を貫通して第1カバー部81及び第2カバー部85によって被覆される。
【0098】
この永久磁石の吸着によって第1カバー部81と第2カバー部85が仮固定された状態で、第2カバー部85に基端部が結合された帯状体の先端部に設けられた第2面ファスナを第1カバー部81に設けられた第1面ファスナに接合する。これにより、互いに接合する第1面ファスナ、第2面ファスナによって第1カバー部81と第2カバー部85が強固に連結される。
【0099】
また、互いの第1面ファスナと第2面ファスナを剥離し、絶縁保護カバー80を上方に持ち上げる簡単な作業により、カバー34によって第1カバー部81及び第2カバー部85が第1永久磁石、第2永久磁石の吸着に抗して押し広げられカバー34から抜き出し、絶縁カバー80をカバー34から取り外すことができる。
【符号の説明】
【0100】
1 腕金
5 ピン碍子
8 配電線
10 絶縁保護カバー
11、21 第1カバー部、第2カバー部
12、22 第1収容面、第2収容面
13、23 第1当接面、第2当節面
14、24 第1ガイド面、第2ガイド面
13M、23M 第1永久磁石、第2永久磁石
16F、26F 第1面ファスナ、第2面ファスナ
28 収容空間
29 ヒンジ
31 高圧耐張碍子
32 クランプ
34 カバー
40 絶縁保護カバー
41、51 第1カバー部、第2カバー部
42、52 第1収容面、第2収容面
43、53 第1当接面、第2当接面
44、54 第1ガイド面、第2ガイド面
43M、53M 第1永久磁石、第2永久磁石
46F、56F 第1面ファスナ、第2ファスナ
58 収容空間
59 ヒンジ
60 絶縁保護カバー
61、65 第1カバー部、第2カバー部
62、66 第1収容面、第2収容面
63、67 第1当接面、第2当接面
64、68 第1ガイド面、第2ガイド面
69 ヒンジ
70 絶縁保護カバー
71、75 第1カバー部、第2カバー部
72、76 第1収容面、第2収容面
73、77 第1当接面、第2当接面
74、78 第1ガイド面、第2ガイド面
80 絶縁保護カバー
81、85 第1カバー部、第2カバー部
82、86 第1収容面、第2収容面
83、87 第1当接面、第2当接面
84、88 第1ガイド面、第2ガイド面
100 絶縁ヤットコ(絶縁作業工具)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
間接活線工法において電柱上部の配電線関連機器を被覆する間接活線工事用絶縁保護カバーにおいて、
上記配電線関連機器の被覆範囲に応じた幅寸法を有して基端縁がヒンジを介して開閉自在に連結されて対向する第1カバー部及び第2カバー部を備え、
該第1カバー部は、上記基端縁と略平行に延在して揺動端となる先端縁を有すると共に、内周面に上記基端縁に沿って幅方向に延在する凹状の第1収容面と、該第1収容面の端縁に沿って延在する第1当接面と、該第1当接面の端縁に沿って該端縁と上記先端縁との間に形成された第1ガイド面とを備え、
上記第2カバー部は、上記基端縁と略平行に延在して揺動端となる先端縁を有すると共に、内周面に上記第1カバー部の第1収容面と対向して幅方向に延在する凹状で上記第1収容面と協働して上記配電線関連機器の被覆範囲を収容する収容部を構成する第2収容面と、該第2収容面の端縁に沿って延在して上記第1当接面と対向すると共に該第1当接面に当接可能な第2当接面と、該第2当接面の端縁に沿って延在して該端縁から先端縁側に移行するに従って漸次第1ガイド面から離間する第2ガイド面とを備え、
上記第1カバー部の第1当接部と第2カバー部の第2当接部が当接した状態に互いに吸着して保持する第1カバー部に設けた第1永久磁石と第2カバー部に設けた第2永久磁石と、
上記第1カバー部の第1当接部と第2カバー部の第2当接部が当接した状態に互いに接合して保持する第1カバー部に設けた第1面ファスナと第2カバー部に設けた第2面ファスナと、
を備えたことを特徴とする間接活線工事用絶縁保護カバー。
【請求項2】
上記配電線関連機器は、腕金に設けられた碍子及び該碍子に固定保持された配電線であることを特徴とする請求項1に記載の間接活線工事用絶縁保護カバー。
【請求項3】
上記配電線関連機器は、配電線をクランプ保持するクランプと腕金との間に架設された高圧耐張碍子であることを特徴とする請求項1に記載の間接活線工事用絶縁保護カバー。
【請求項4】
上記配電線関連機器は、腕金に高圧耐張碍子を介して保持されて配送電線をクランプ保持するクランプであることを特徴とする請求項1に記載の間接活線工事用絶縁保護カバー。
【請求項5】
上記配電線関連機器は、配電線を被覆する筒状のカバーであることを特徴とする請求項1に記載の間接活線工事用絶縁保護カバー。
【請求項6】
上記配電線関連機器は、腕金に高圧耐張碍子を介して保持されて配電線をクランプ保持するクランプと該配電線を被覆する筒状のカバーとの隙間範囲における配電線であることを特徴とする請求項1に記載の間接活線工事用絶縁保護カバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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