説明

間接照明装置

【課題】従来の間接照明装置は、反射部を形成する立体造形が常に静的であり変化に乏しいという問題点があった。そこで、反射部に施されたキャラクターの顔部などの造形が観察者の視点移動を追いかけて向きを変えるように見えるという動的演出効果を備えた神秘的な間接照明装置を簡単な構造で提供することを課題とする。
【解決手段】減光フィルターとしての作用を有する透明樹脂製のウインドウ部を前面に備えた筐体と、該筐体の内側にキャラクターの顔部などを模した凸面造形を原型として反転形状を形成する凹面形状を備えた反射部と、該反射部の正面底部にLEDランプなどを光源とする発光部とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視覚的錯覚作用を応用した間接照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、反射部を備えた間接照明には、照射部からの照射光を観察者側に向いた反射部に対して一旦反射させることによって、照射面の陰影を和らげる照明効果を奏するものがる(例えば、特許文献1参照。)。
また、透明なアクリル板に刻まれた文字などの表示要素に光を照射して、立体的に浮かび上がらせるものもある(例えば、特許文献2参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−334102号公報
【特許文献2】特開2007−171340号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上に述べた従来の間接照明は、照射部の陰影を和らげる効果や、透明なアクリルに立体的な文字などを浮かび上がらせるものであるが、反射部を形成する立体造形は常に静的であり変化に乏しいものである。
【0005】
本発明は、このような従来の構成が有していた問題を解決しようとするものであり、反射部に施されたキャラクターの顔部などの造形が観察者の視点移動を追いかけて向きを変えるように見えるという動的演出効果を備えた神秘的な間接照明装置を簡単な構造で実現することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そして、本発明は上記目的を達成するために減光フィルターとしての作用を有する透明樹脂製のウインドウ部を前面に備えた筐体と、前記筐体の内側にキャラクターの顔部などを模した凸面造形を原型として反転形状を形成する凹面形状を備えた反射部と、前記反射部の正面底部にLEDランプなどを光源とする発光部とを備えたものである。
【0007】
上記の課題解決手段による作用は次の通りである。すなわち、反射部に形成されたキャラクターの顔部などを模した凹面形状に対して観察者が凸面形状であるかのように錯視することでキャラクターの顔部などの造形が観察者の視点の移動方向を追いかけて向きを変えるように見える視覚的錯覚作用と、反射部の前面底部に備えた発光部の照射光が反射部に対して上昇方向のアップライトを形成することによってキャラクターの顔部などを模した凹面形状に対して凸面形状であるかのようなポジティブな光学的陰影を形成する陰影形成手段と、減光フィルターとしての作用を有する透明樹脂製のウインドウ部が自然光の透過を軽減し筐体内部を暗くすることで発光部の照射による凹面形状の反射光コントラストをより増幅するコントラスト増幅手段とによって、反射部に形成したキャラクターの顔部などの造形が観察者の視点移動を追いかけて向きを変えるように見えるという動的演出効果を発揮できる。
【発明の効果】
【0008】
上述したように本発明の間接照明装置は、反射部に形成したキャラクターの顔部などの造形が観察者の視点移動を追いかけて向きを変えるように見えるという動的演出効果を備えた神秘的な間接照明装置を簡単な構造で提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
減光フィルターとしての作用を有する透明樹脂製のウインドウ部を前面に備えた筐体成型と、前記筐体成型の内側にキャラクターの顔部などを模した凸面造形を原型として反転形状に形成された凹面形状を反射面に備えた反射用成型と、前記反射用成型の前面底部に備えたLEDランプなどを光源とする発光部とを備えた間接照明装置。
【実施例】
【0010】
以下、図を参照して、本発明を適用した実施の形態について説明する。まず、図1〜図3を使用して本発明による間接照明装置を構成する部材の説明を行う。
【0011】
図1は本発明による間接照明装置の垂直断面俯瞰図である。図2は本発明による間接照明装置の水平断面俯瞰図である。図3は本発明による間接照明装置の俯瞰図である。
【0012】
反射用成型3の反射面には、キャラクターの顔部などを模した凸面造形を原型として反転形状に形成された凹面形状4を備えている。実施例の凹面形状4は、人面を模した凸面造形を原型として反転形状に形成されている。
【0013】
反射用成型3が備えた凹面形状4を含む反射面には、光の反射効率が高い明るい色を備えることが望ましいが、人面部を形成する凹面形状4をより強調するために凹面形状4以外の反射面に黒色を施したり、凹面形状4を含む反射面の一部、または反射面全体に印刷処理を施したりするなど、反射用成型3の反射面に施す色彩は、様々に改変ができる。実施例では、反射用成型3の反射面全体に白色が施されている。
【0014】
筐体成型1の内側奥面には、反射用成型3が凹面形状4を前向きに設置されており、凹面形状4の前面底部には、LEDランプ5が設置されている。またLEDランプ5の前面には、LEDランプ5の照射光を反射用成型3に向けて反射するように形成された光源カバー部6を備えている。
【0015】
ウインドウ部2は減光フィルターとしての作用を有する透明樹脂で形成されており、反射用成型3とLEDランプ5及び光源カバー部6を内包するように筐体成型1と接合されている。また、ウインドウ部2は反射用成型3の反射面全体を覆うように形成されており、観察者がウインドウ部2を透して反射用成型3の反射面形状全体を見ることができる。
【0016】
筐体成型1の底部には、電力を供給する電池7と通電金具8を備えており、通電金具8のプラス極とマイナス極はリード線によってLEDランプ5と接続されている。また筐体成型1の底面には、図示しないが電池の通電状態を切り替えるスイッチ機構を備えている。
【0017】
次に図4〜図6を使用して、反射用成型3の反射面に設けた凹面形状4が有する視覚的錯覚作用と動的演出効果の説明を行う。
【0018】
図4は、反射用成型3の反射面に対して観察者が正面方向から観察した状態を示す図である。反射用成型3の切断面9に示すように凹面形状4の人面造形は凹面形状に形成されているが、観察者が凹面形状4の人面造形を凸面形状であるかのように錯視することで、凹面形状4の人面造形が観察者の視点方向である正面方向を向いているかのように見える視覚的錯覚作用を観察者に与えることができる。
【0019】
図5は、反射用成型3の反射面に対して観察者が正面より右寄り方向から観察した状態を示す図である。反射用成型3の切断面9に示すように凹面形状4の人面造形は凹面形状に形成されているが、観察者が凹面形状4の人面造形を凸面形状であるかのように錯視することで、凹面形状4の人面造形が観察者の視点方向である正面より右寄り方向を向いているかのように見える視覚的錯覚作用を観察者に与えることができる。
【0020】
図6は、反射用成型3の反射面に対して観察者が正面より左寄り方向から観察した状態を示す図である。反射用成型3の切断面9に示すように凹面形状4の人面造形は凹面形状に形成されているが、観察者が凹面形状4の人面造形を凸面形状であるかのように錯視することで、凹面形状4の人面造形が観察者の視点方向である正面より左寄り方向を向いているかのように見える視覚的錯覚作用を観察者に与えることができる。
【0021】
また、前記の視覚的錯覚作用は、観察者の視点が上下方向に移動した場合にも同様の錯覚作用を得られることから、凹面形状4の人面造形が観察者の視点移動を追いかけて向きを変えるかのように見える動的演出効果を観察者に与えることができる。
【0022】
次に図7及び図8を使用して、LEDランプ5のアップライト照射による陰影形成手段と、透明樹脂製のウインドウ部2によるコントラスト増幅手段について説明する。
【0023】
図7は、電源スイッチ10がオフの状態であり、電池7からの電力供給が遮断されている状態を示した図である。LEDランプ5は消灯状態であって減光フィルターとしての作用を有する透明樹脂製のウインドウ部2を透過した外光11のみが反射用成型3の反射面を照射している。通常、自然界に存在する光源は観察者より上方に位置しているためウインドウ部2には下降方向の自然光が透過する。そのため凹面形状4を形成する三次曲面に於いて、三次曲面12を例とした下向きの三次曲面は光学的に暗くなり、三次曲面13を例とした上向きの三次曲面は光学的に明るくなるため、凹面形状4を形成す人面造形全体には概念的にネガティブな陰影が形成される。また、ウインドウ部2が有している減光フィルターとしての作用によって反射用成型3の反射面に形成される陰影は全体的に暗くなる。
【0024】
図8は、電源スイッチ10がオンの状態であり、電池7の電力供給によってLEDランプ5が点灯している状態を示した図である。LEDランプ5は反射用成型3の正面底部に設置されていることから照射光14は反射用成型3の反射面に対して上昇方向のアップライトを形成する。このアップライトの照射によって、凹面形状4を形成する三次曲面に於いて、三次曲面12を例とした下向きの三次曲面は光学的に明るくなり、三次曲面13を例とした上向きの三次曲面は光学的に暗くなることで、凹面形状4を形成す人面造形全体に対して概念的にポジティブな陰影を形成する陰影形成手段と、透明樹脂製のウインドウ部2が有する減光フィルターとしての作用によって自然光の透過が軽減され筐体内部が暗くなることでLEDランプ5の照射光を反射する凹面形状4の反射光コントラストをより増幅するコントラスト増幅手段とによって、反射部に形成した人面造形が観察者の視点移動を追いかけて向きを変えるように見えるという動的演出効果を発揮できる。
【0025】
またLEDランプ5の前面に備えた光源カバー部6は光源を中心に前面方向への直射光を内側方向へ反射するように形成されておりLEDランプ5の照射光を反射用成型3の反射面に集中させることができる。
【0026】
以上説明したように構成することにより、反射用成型の反射面に形成されたキャラクターの顔部などの造形が観察者の視点移動を追いかけて向きを変えるように見えるという動的演出効果を備えた神秘的な間接照明装置を簡単な構造で提供することができる。また、好ましい実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲で種々に改変できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】 本発明の実施形態を示す間接照明装置の垂直断面俯瞰図
【図2】 同間接照明装置の水平断面俯瞰図
【図3】 同間接照明装置の俯瞰図
【図4】 同間接照明装置の反射用成型を正面から観察した俯瞰図
【図5】 同間接照明装置の反射用成型を右寄り方向から観察した俯瞰図
【図6】 同間接照明装置の反射用成型を左寄り方向から観察した俯瞰図
【図7】 同間接照明装置の電源スイッチがオフの状態を示す図
【図8】 同間接照明装置の電源スイッチがオンの状態を示す図
【符号の説明】
【0028】
1 筐体成型
2 ウインドウ部
3 反射用成型
4 凹面形状
5 LEDランプ
6 光源カバー部
7 電池
8 通電金具
9 切断面
10 電源スイッチ
11 外光
12 下向きの三次曲面
13 上向きの三次曲面
14 照射光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
減光フィルターとしての作用を有する透明樹脂製のウインドウ部を前面に備えた筐体と、前記筐体の内側にキャラクターの顔部などを模した凸面造形を原型として反転形状を形成する凹面形状を備えた反射部と、前記反射部の正面底部にLEDランプなどを光源とする発光部とを備えたことを特長とした間接照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−266783(P2009−266783A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−136023(P2008−136023)
【出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(501341978)ウーブ有限会社 (5)
【Fターム(参考)】