説明

間隙反応性層を持つプレイが制限された光学デバイスおよびその製法

【課題】光学的に読出可能な貯蔵媒体に暗号化されたデータに対するアクセスを阻害する。
【解決手段】読出ビーム405は、予め規定された刺激への暴露の後に光学的に透明な状態から光学的に半透明な状態に変換される反応性材料で形成された結合層400を通過し、ブロックされた染料を合成し、ブロックされた染料を担体材料と組合せ、得られた組合せを硬化させ、染料を脱ブロックして、得られた結合層中に還元された染料を生じさせ、結合層中の反応性材料と共に光学的に読出可能な貯蔵媒体を所定の刺激に暴露する工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
2001年6月5日に出願された同時係属仮特許出願第60/295903号からの優先権を米国特許法第119条(e)下でここに主張する。この仮特許出願の開示を、ここに引用してその全体を本明細書の一部とみなす。
(発明の分野)
本発明は光学的に読出可能なデータ貯蔵媒体、さらに詳しくは、当該データが有限な時間でアクセスできる光学的に読出可能なデータ貯蔵媒体の製造の方法、組成物および製品に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
CDおよびDVDのごとき光学ディスクは消費者に販売され、レンタルされている。光学ディスクの内容は音楽、映画、ビデオクリップ、ソフトウェアまたはデータであり得る。CDおよびDVDの購入価格は高い可能性がある;これは、これらの光学ディスクの製造コストよりはむしろ、映画またはソフトウェアのごとき、ディスクに暗号化された情報の価値を反映する。しばしば、映画スタジオまたはソフトウェア会社のごとき内容物供給者は、市場で長い寿命を有するであろうそれらの情報のコピーを低価格で販売することを望まない。消費者は、しばしば、短い期間だけ、しかも低価格で内容物の情報にアクセスすることを欲する。CDおよびDVDのレンタルは、消費者が媒体を購入しなければならないよりも低価格で消費者が内容物の情報にアクセスできるようにするが、物理的媒体を返却する必要性は不便である。ビデオテープ映画レンタルで今日当てはまるように、使用者が低価格で購入でき、市場におけるそれらの内容の寿命について内容物供給者の関心をひきつけ、かつ返却しなければならない不利を有しないプレイが制限された/消滅光学媒体を有するのが望ましいであろう。また、低価格で、光学ディスクについての現行の製造プロセスに対して最小限の変化をもって、そのような光学媒体を製造するのが望ましいであろう。最後に、内容物の供給者がプレイが制限された/消滅光学媒体を通じてそれらの内容物を供給しようと希望するためには、媒体のプレイを制限するメカニズムは容易に打ち負かされるべきではなく、使用の意図した期間を超えて内容物にアクセスできなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来、先に言及した低価格の要件、制限された内容物の寿命、レンタル返却の回避、打ち負かす試みに対する抵抗性、現存の製造プロセスにて最小限の変化は充分には満たされてはいなかった。必要なのは、これらの要件の全てに同時に立ち向かう解決である。本発明の一つの具体例は、とりわけ、これらの要件を満たすことに指向される。
【0004】
光学ディスク上の情報の信頼できる読出に干渉しない非−干渉(「透明な」)状態から、光学ディスク上のデータの読出に層が干渉する干渉(「半透明」)状態に変化する層に基づいてプレイが制限された(消滅)光学ディスクを製造するためのいくつかのアプローチが提案されている(例えば、Smithらに譲渡された米国特許第5,815,484号およびRollhausらに譲渡された米国特許第6,011,772号参照)。該干渉は、可能性のうちで、層が暗くなり、反射するようになり、かなりの複屈折性となり、凹みができ、バブルが生じ、破砕され、腐食し、曲げられ、屈折特性が変化し、またはこれらの組合せとなることに依るであろう。
【0005】
雰囲気中の酸素への暴露、または読出レーザーの光のごとき刺激に応答して透明状態から半透明状態に変化するそのような層を持つ光学ディスクを用いて、(環境酸素への暴露へのある期間内のごとき)所定の方式で使用できなくなる(DVDのごとき)プレイが制限された光学ディスクを製造することができる。そのようなディスクは、消費者によって選択された時間のときに、かつ期限のきた光学ディスクを返却する必要性なくして消費者によるビデオの鑑賞のごとき種々の商業的適用を見出すことができる。
【0006】
データの読出を阻害することによってディスクを動かなくする干渉層は、種々の技術を介して光学ディスクの表面に適用することができる。しかしながら、そのようなアプローチは多数の不利を有する。例えば、酸化反応を逆行させる還元性化学物質へのディスクの暴露のごとき、層の半透明状態への変換を逆行させる方法を見出すことによって、または(溶媒のごとき)化学的手段または(研磨または粉砕のごとき)機械的手段を介して層を全て除去することによって、それは打ち負かすことができる。また、さらなる層を加えることは、例えば、さらなる主要な器具および製造プロセスにおけるさらなる工程が必要となることによって、光学ディスクの製造を複雑としかねず、かくして、光学ディスクの製造についてコストを増大させおよび/または歩留まりを減少させかねない。

【0007】
ディスクを打ち負かす試みに抵抗するように作成された保護層を干渉層の頂部に適用することができ、これは、本発明者の少なくとも幾人かによって用いられたきたアプローチである。しかしながら、これは、製造プロセスにおいてさらにもう一つの工程を導入し、さらに、コストを増やし、恐らくは、製造歩留まりをさらに低下させる。さらに、保護層は依然としてディスクの表面に存在するであろうから、それは(溶媒のごとき)化学的手段または(研磨または粉砕のごとき)機械的手段によって依然として除去することができるか、あるいは保護層を通って拡散し、反応層に到達する化学物質によって打ち負かされ得る。
【0008】
先に説明したごとく、期限のある光学ディスクを製造する場合、コスト的に有効な製造プロセスを使用し、容易には打ち負かされないディスクを作成するのが望ましい。加えて、プレイできる状態から期限切れの状態への迅速な変換をなすことができるのがディクスにとって望ましい。利点のうちでは、これは、(読出レーザーの光に対する反射能のごとき)それらの物理的プレイ性特徴が所定の劣化をなすプレイディスクに対する市場でのプレイヤーおよびドライブの能力にかなりの多様性があるという事実にもかかわらず光学媒体プレイヤーおよびドライブの中でプレイング時間の変動を低下させるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の概要)
本発明の第1の態様の下で、間隙反応性層を持つプレイが制限された光学ディスクデバイスおよびその製法が提供される。
【0010】
本発明の第2の態様の下で、マルチ基材の光学的に読出可能な貯蔵媒体の基材を製造するためのマスターを創造する方法が提供され、ここに、複数のピットおよびランドを有するトポロジーを用いて、トポロジーの逆バージョンが作り出され、トポロジーの前記逆バージョンはマスターのトポロジーとして用いられる。
【0011】
本発明の第3の態様の下で、マルチ基材の光学的に読出可能な貯蔵媒体を形成する方法が提供され、ここに、該媒体は上方基材上に複数のピットおよびランドとして規定された情報を有し、該情報は下方基材を通って伝達される光によって読み出され、ここに、接着剤層が上方基材および下方基材を一緒に結合する。
【0012】
本発明の第4の態様の下で、反射性材料によって被覆された、規定された複数のピットおよびランドをその上に有する第1の基材、および第2の基材を有するデータ貯蔵デバイスが提供され、ここに、所定の刺激に応答して光の伝達を阻害する反応性剤を含有する結合層が第1の基材および第2の基材の間に存在する。
【0013】
本発明の第5の態様の下で、第1の基材および第2の基材を結合するための接着剤が提供され、ここに、該接着剤は担体材料、およびデータが暗号化された基材を読出不能とする反応性材料を含む。
【0014】
本発明の第6の態様の下で、光学的に読出可能なデータ貯蔵媒体上に貯蔵されたデータをまず読出不能とし、第2に破壊するメカニズムが提供される。
【0015】
本発明の第7の態様の下で、第1の基材および第2の基材(ここに、該第1の基材および該第2の基材のうちの少なくとも1つは特徴を暗号化する情報を有し)、および第1の基材および第2の基材の間の結合層を有する光学的に読出可能なデータ貯蔵媒体が提供され、ここに、該結合層は担体材料および反応性材料を含み、ここに、該反応性材料は、予め規定された刺激の結果として、透明状態から光学的に半透明の状態に変化する。
【0016】
本発明の第8の態様の下で、第1の基材および第2の基材を結合するための接着剤の製造方法が提供され、ここに、ブロックされた染料が担体材料と組み合わされ、ここに、該ブロックされた染料は引き続いてブロック解除され、その結果、未ブロック化染料の還元された形態が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(詳細な記載)
DVDのごときある種の光学ディスクは、金属化され、間隙結合層と一緒に結合される2つのプラスチック半体(「基材」)よりなる。読出レーザーに干渉してディスクの読出を妨げるために、2つの基材の間に間隙層を用いるのが望ましいであろう。この結果、光学ディスクの2つの半体は干渉層を保護するので打ち負かすのがより困難なディスクが得られるであろう。干渉層として間隙層を用いると、依然として、ディスク有効期限のプロセスのトリガリングを可能とする。例えば、典型的には、DVD基材を製造するのに用いられるポリカーボネートは、間隙反応性層に到達し、ディスクの期限切れを引き起こす反応をトリガーする酸素の増殖を可能とする。
【0018】
さらに、例えば、反応性物質の配合を介して結合層の化学的組成を変化させることによって、干渉性層として結合層自体を用いるのが望ましいであろう。これはプレイが制限された光学ディスクの製造を単純化する。なぜならば、結合層は光学ディスクの一体性にとって臨界的であるので、さらなる層は導入されず、この層を除去することによって制限されたプレイのメカニズムを打ち負かそうとする試みは光学ディスクそれ自体を破壊することができるからである。しかしながら、DVD−5のごときあるタイプの光学ディスクにおいては、結合層は光学経路に存在しない。図2はDVD−5構築体に典型的な層の断面図である。かくして、結合層は、(例えば、結合層に接触している反射性金属層を腐食させることによって)読出レーザーとの直接的干渉に依拠しないDVD−5についての消滅プロセスで役割を果たすが、読出レーザーがディスク上のデータを読み出すのを妨げる状態に結合層を変化させることによって、このタイプのディスクを消滅させることが可能であろう。しばしば、読出レーザーに干渉するプロセスによってディスクをプレイできなくするのが望ましいので、間隙結合層が光学経路中にあるDVD−5に類似のディスクを有するのが望ましい。
【0019】
消滅プロセスが読出レーザーへの干渉に依拠する制限された用途の光学ディスクにおいて、読出レーザーは暗号化情報を読み出すのが妨げられるが、(ポリカルボネート基材上の金属化されたピットのごとき)データを暗号化する構造が典型的には消滅したディスクに維持される。これらのデータ構造が存在する限り、読出レーザーが情報にアクセスできるようにすることによって打ち負かされるディスクの可能性が常に存在する。かくして、光学ディスク上のデータ構造の一体性を危うくすることによるデータの永久的消去のごとき、データの回復を妨げる追加のメカニズムを有するのが望ましいであろう。
【0020】
本発明のこれらおよび他の目標および具体例は、以下の記載および添付の図面と組み合わせて考慮すると良く認識され理解されるであろう。しかしながら、本発明の好ましい具体例およびその多数の具体的詳細を示すが、以下の記載は例示のために掲げ、制限するものではないと理解されるべきである。本発明の精神を逸脱することなく多くの変形および修飾を本発明の範囲内でなすことができ、本発明は全てのそのような修飾を含む。
【0021】
本発明を構成する利点および特徴および本発明を設けたモデル系の構成要素および操作の明瞭な概念は、添付の、本明細書の一部を形成する図面に説明された例示的、従って、非限定的具体例を参照することによってより容易に明らかとなろう。図面で説明した特徴は必ずしもスケール通りには描かれていないことに注意すべきである。
【0022】
さて、本発明者らは本発明の異なる態様、ならびにいくつかの対応する具体例および実施例を記載する。
DVDは、映画の配布で用いられる最も普通の光学ディスクである。DVDは、典型的には、底部基材ではL0、および頂部基材ではL1という2つの結合したプラスチック基材から作成され、ここに、「頂部」「底部」とは、通常の約束のごとく、それが底部から読み出されるプレイイング位置にあるDVDをいう。これらの基材は、溶融形態で射出されて、成型され、スタンパーに対してプレスされるポリカーボネート、アクリルまたはポリオレフィンのごとく材料から成型される。DVD基材を複製するのに用いられる物理的スタンパーを作るプロセスはマスタリングといわれる。以下の手法が用いられ、これは図1に示される。
1.フロートガラスブランク5を研磨し、プライマー10で被覆して、フォトレジスト層15との接着を増強させる。
2.フォトレジストコーティング15を適用し、ベークし、次いで、記録用のレーザーに暴露する。方式を整えたデータシグナルを用いて、レーザービームレコーダー(LBR)マシーンの切削レーザーを変調し、これはガラスディスク中にピット20を作り出す。
3.次いで、暴露されたガラスを展開し、表面を横切ったピット20およびランド25を得る。
4.従って、この「ガラスマスター」は、表面を電気メッキ用に導電性とするためにスパッタリングを適用された薄い(110mm)金属層を有する。
5.次いで、ガラスマスターを電気メッキ溶液に入れ、そこで、ニッケルが所望の厚さに形成される。(典型的には0.300nm)。
6.次いで、この「金属ファーザー」(または「ファーザースタンパー30」)をガラスマスター35から分離し、洗浄する。この工程において、金属ファーザー30は成型プロセスで用いることができるが、もしパーツが複製中に破壊されるかまたは損傷されれば、全プロセスを反復しなければならない。
7.従って、ほとんどの製造業者は、ファーザー30のネガである「金属マザー」(または「マザースタンパー40」)を成長させる。典型的には、品質低下なくして4つのマザースタンパー40を1つのファーザー30から成長させることができ、各マザー40から8つまでのスタンパー(「サン45」)を成長させることができる。
8.スタンパーは複製施設に送られ、マザー40はレコーダーまたは交換部品として貯蔵される。
【0023】
図2に示した単一層ディスクであるDVD−5の場合、スパッタリングプロセスによって、L0基材100を薄い反射層105で被覆する。これにより、60および100オングストロームの間の厚さの金属コーティングが得られる(L0層)。次いで、図3に示すごとく、L0基材100をブランクL1基材110に結合する110。二層のディスクであるDVD−9では、L0層は非常に薄い半反射性金属層として形成され、これは、典型的には金から作成される。充分に反射性のアルミニウム層がL1基材上に形成される(L1層)。2つの基材を、引き続いて、透明な結合層を形成する適当な接着性材料で結合して、DVD−9ディスクを形成する。
【0024】
図4におけるDVDファミリーの説明で分かるように、DVDディスクは各基材について1つまたは2つの情報層を含むことができ、DVD−5 200(片側、単一層、4.7ギガバイト容量)、DVD−9 205(片側、デュアル層、8.5ギガバイト容量)、DVD−10 210(両側、単一層、9.4ギガバイト容量)、DVD−14(両側、一方側は単一層、一方側はデュアル層、13.2ギガバイト容量)、およびDVD−18 215(両側、デュアル層、17ギガバイト容量)のごとき異なるタイプのディスク容量が得られる。
【0025】
DVD−9 205のごときデュアルディスク層は「読出専用ディスクについてのDVD規格、パート1物理的規格バージョン1.0」に適合しなければならず、これは以下のことを要求する:
1.結合層110、スペーサー(複数スペーサー)およびラベル(複数ラベル)を含めた合計ディスク厚みは1.20mm+0.30mm/−0.06mmでなければならない。
2.透明基材の屈折率(RI)は1.55+/−0.10でなければならない。スペーサーの屈折率は(基材のRI+/−0.10)でなければならない。
3.透明基材の厚みはその屈折率の関数として特定される。典型的には、RI=1.56におけるポリカーボネートでは、ディスク基材についての厚みの値は0.57mmないし0.63mmであろう(図5AおよびB参照)。
合計ディスク厚みがDVD規格に適合し、かつ半体ディスク(成型された基材)が前記したRI関連規格に適合する限り、DVD−5 200およびDVD−10 210スペーサー層(結合層110)にちての規格はない。
【0026】
DVDにおける情報はピット20およびランド25(ピットではないデータ領域)において暗合化され、これは、基材に成型され、引き続いて、金属化されて対応するデータ層を形成する。ピットおよびランドはラセン状のトラックに組織化され、これは、DVD−5 200の場合には、時計方向で読み出され、ディスクの内部で始まり、ディスクの外部に向けて進行する。データによって占有されていないディスクの参照領域は、読出レーザーのトラッキングで用いる。真空中で630ないし650ナノメーターの波長を有する読出レーザーは、半反射性L0層100を通って侵入することによって、DVD−5 200またはDVD−9 205のL0層100の上に、またはDVD−9のL1層115上に焦点を結び、それは反射されてフォトディテクターに戻る。ピット20からランド25への変換の間、またはその逆の間の、干渉パターンが発生し、これはフォトディテクターによって検出され、その電気的出力が変化する。フォトディテクターの電気的出力のこれらの変化は、プレイヤーがDVDに記録された情報を読み出すことを可能とする。
【0027】
DVD−9 205のごときデュアル層ディスクは、典型的には、ディスク情報の読出のために2つの方法のうちの1つを利用する:
デュアル層平行トラック経路(PTP)ディスク299は、図6に示すごとく、両方の層にリード−イン300およびリード−アウト305を有する。各層では、リード−イン300領域はディスクの内側半径に位置し、リード−アウト305領域はディスクの外側半径に位置する。このレイアウトの構造は単一層320ディスクのレイアウトに匹敵する。データの読出はDVD−5 200におけるごとく、双方の層について、ディスクの内側半径から外側半径になされる。ディスク上の内容物の適切な創製では、PTP方法は層から層への迅速なアクセスを可能として、例えば、他のトラックにおける映画と共に1つのトラックにおいてバックグラウンド情報および注釈を供する。
【0028】
図6にも示されたデュアル層対向トラック経路(OTP)325ディスクは、L0 100からL1 115層への再生のシームレス連続の可能性を供する。第1の情報層(L0)100はディスクの内側半径におけるリード−イン領域では始まり、外側半径におけるいわゆる中間領域330で終わる。第2の情報層は外側半径における中間領域330で始まり、該ディスクの内側半径におけるリード−アウト300で終わる。ディスクに貯蔵されたデータ335の読出は第1の情報層の内側半径で始まり、この層の中間領域330に到達するまで進行する。次いで、第2の情報層において中間領域へのスイッチを行なって、第2の層(L1)115の内側半径におけるリード−アウト305領域まで外側半径からのデータの読出を継続する。
【0029】
単一層の光学ディスク
本発明の1つの具体例はDVD−5と同様な光学ディスクであり、ここに、標準的なDVD−5とは異なり、典型的には結合層401として用いられる間隙層400は読出レーザーの光学経路405中にある(例えば、図7参照)。(以後「特殊DVD−5設計番号1」として表す)本発明の1つの具体例において、このディスクは、標準DVD−5の反射性層410を倒立させ、次いで、非−情報−担持基材415および結合層401を通じて情報を読み出すことによって製造される。(以後「特殊DVD−5設計番号2」として表す)本発明のもう1つの具体例において、ラセン状トラックの向きはマスタリングの間に逆にされ、情報を担持する基材は「裏返し」にし、非−情報担持基材415および結合層401を介して情報を読み出す。このタイプの光学ディスクにおいては、結合層401は読出レーザーの光学経路405の一体化部分である。本明細書中に記載された「特殊DVD−5」ディスクの構造が標準DVD−5とは異なっても、プレイヤーはこのディスクをあたかもそれが標準DVD−5であるかのように再生する。
【0030】
本発明のこの具体例は、それに打ち勝つ試みに対して抵抗性である低コストの「プレイが制限された」光学ディスクの製造を可能とする点でかなりの利点を有する。特に、それは標準DVD−5と比較していずれの追加の層も一体化させないので、その器具に対して最小の変化をもってDVD−5ディスクを製造するように設計された器具で製造することができる。さらに、結合層401が光学経路405中にあるので所定の刺激に応答してデータの読出に干渉するようにその層を修飾する結果、干渉層400は光学ディスクの、各々、2つの基材415および420によって保護されているので、打ち負かすのが非常に困難なディスクが得られる。例えば、干渉層400をディスクから粉砕除去するのは、ディスクを最も破壊しやすいので非現実的である。同様に、他の方法で結合/干渉層を危うくする試みは光学ディスクの構造的一体性を破壊するようである。
【0031】
さて、本発明者らは、「特殊DVD−5」設計1、2および3と表す本発明の3つの具体例の製造を詳細に記載する。
【0032】
特殊DVD設計番号1
本発明の1つの具体例において、前記プロセスは、L1ディスク基材420を複製するためにマザースタンパーを用いることによって修飾される。図3は、いかにして、スタンパーまたはファーザーを用いて通常の単一層DVD−5基材を成型するかを示す。図8は、マザースタンパー40を用い、光学経路405中に結合層401を持つディスクを作り出すことによって、本発明のこの具体例を製造することを示す。
【0033】
通常に成型された標準DVD−5において、図2、図3および図9に示すごとく、情報は、L0基材100上に成型され、反射性金属コーティング105で金属化された「ピット」20および「ランド」25でL0 100側に暗号化される。本発明の1つの具体例において、マザースタンパー40を用いて、図8に示すごとく、L1側420を成型する。この側は引き続いて金属化し、ブランクL0基材415で結合し、図10に示すごとく、光学経路405中に結合層401を得る。0.055mm+/−0.015の特殊化された層の厚みを用い、L0基材100の厚みは成型の間に0.55mmないし0.57を目標とし、標準DVD規格に適合した(結合層を含めた)ディスク厚みの焦点長さが得られ、プレイヤーがL0層100を読み出すために通常の焦点合わせ範囲にいることを可能とする。かくして、プレイヤーはディスクを標準単一層DVD−5と解釈する。フィールド実験は、スペーサー層厚みを生産中には終始一貫して0.045ないし0.065mmに維持できることを示した。成型されたディスクの減少した厚みと共に生産中のこの制御された変動は、DVDライセンシング当局およびハードウェア製造業者によって設計された規格内に焦点およびオプティックスを維持する。
【0034】
複製施設では、ほとんどの適用は、生産の現実のプレシングおよび結合部分で不変であろう。変化の主な領域はLBR(レーザービーム記録)およびマスタリングの現像領域におけるものであろう。典型的には、マスターをより大きなピット容量でカッティングして、プラスチックの収縮および複製の不十分性を補う。ディスク上のランド領域に対するピットの比率は、非対称と呼ばれる用語によって測定される。非対称はランド領域に対するピットの比率であるので、典型的には、I3ないしI14ピットによって規定される各ピット領域では、同等かつ反対のランド領域I3ないしI14ランドがあり、典型的には、製造業者が、プラスチック基材に対する複製での喪失を占める正の非対称(より大きなピット領域)を標的とするのをより容易とする。例えば、マスターは非対称につき正の10ないし12%でもってカッティングすることができ、他方、成型に由来する端部は5ないし7%とすることができる。ディスク基材についての規格は−0.05≦非対称≦+0.15である。DVDディスクの場合には、正の非対称はランド領域と比較したより大きなピット容量を表す。
【0035】
本発明のこの具体例では、引き続いて、成型で用いるマザースタンパーについての非対称性を増大しつつ、LBRについての非対称設定点を変化させて、ファーザースタンパーにつきより高い非対称値を得るのが望ましいであろう。暴露のパワー、焦点合わせ強度およびオフセット、現像時間/終点検出、またはベースラインを修飾することによって、非対称性をマスターで変化させることができる(いかに速くレーザーダイオードが暴露の間にレーザー暴露ビームを切断するかの制御)。非対称性を制御する多くの他の可能な方法があるが、基本的なプロセスまたは設定点は実行するのが最も容易であろう。マザースタンパーからの成型のこのプロセスは、ファミリープロセスに帰されるさらなるスタンパーおよび引き続いての歩留より喪失を促進する必要性を排除するであろう。
【0036】
本発明のこの具体例において、図10に示すごとく、マザースタンパー40を用いてピット20をL1層420中に成型し、その結果、ピット20の表面はL1層420の参照面450に対して上昇する。参照面450は、典型的には、ディスクプレイヤー(トラッキング領域)によるトラッキングで用いられる。対照的に、通常のDVD−5では、図9に示すごとく、ピット20はL0基材100中のキャビティとして成型される。あたかもそれが底部から読み出されるプレイ位置にあるようにディスクを記載する通常の約束、および本発明者らが特記しない限り以後従う約束を用い、通常のDVD−5において、ピット20は参照面450よりも低く、他方、ランド25は参照面450にある(図9)。前記した本発明の具体例において、ブランクL0基材415および結合層401は読出レーザーの光学経路405中のL1基材420の下方にあり、L1基材420におけるピット20の表面は参照面450の下方にあり、他方、ランド25は参照面450にある(図10参照)。この構築は通常ではない方法でピット25が成型されることを必要とし(それらはディスクの参照面450から突出する)、これはマザースタンパー40からL1基材420を成型することによって達成される。図11はDVD−5についてのファーザースタンパー30の原子間力顕微鏡(AFM)像を示し、図12は対応するマザースタンパー40のAFM像を示し、および図13はマザースタンパー40から成型された特殊なDVD−5設計番号1のL1層のAFM像を示す。
【0037】
本発明のこの具体例で必要なこの成型はある挑戦を表すことができる。典型的な射出成型プロセスでは、ポリマー材料は、参照面450から上昇したスタンパー上のピット20のまわりを流れる。これは、マザーから成型するよりも容易であり、ここに、ポリマー材料は、分離されたパーツ上のピット20を形成するキャビティに流れ込まなければならない。該材料がマザースタンパー40の表面を流れるにつれ、分子鎖はスタンパーの比較的冷たい参照表面と接触を介して冷却される。金型が完全に充填された後、圧力をかけて、より冷たいポリマー材料を曲げ、ピット20のキャビティに入れなければならない。この方法は標準DVD−5立体配置の規格内でディスクを再生することができるが、成型プロセスはより困難である。しかしながら、当業者であれば、成型マシーンに特徴的なプロセスを調整することによって、例えば、金型表面温度およびサイクル時間を増加させることによって、そのような挑戦に立ち向かうことができる。別法として、PMMAまたは高溶融体流速ポリカーボネートのごとき、より高い溶融体流速で適当な材料を用いることができよう。例えば、General ElectricのSPOQ研究グレードのポリカーボネートは、標準グレードのポリカーボネートの溶融体流速の2倍を有する。
【0038】
用いる結合接着剤の屈折率(RI)がL0基材415のRIとほぼ同等である限り、結合層401の厚みは均一であり、L0基材415の厚みは、読出層の光学経路405中の結合層401の存在を補うように調製され、プレイヤーは特殊DVD−5設計番号1を標準DVD−5から区別することができないであろう。実験は、プレイ可能なディスクをこれらの調整なくしてさえ製造することができることを示した。なぜならば、規格からの逸脱は過剰ではない限り、ほとんどのプレイヤーはDVD規格に充分には適合していないディスクを再現するであろうからである。
【0039】
実施例1:特殊DVD−5設計番号1
ファーザースタンパー30はわずかに増大した対称性でもってマスター作成された(正の非対称性=ランド25と比較してより大きなピット20)。非対象性は多くの方法で増加させるかまたは減少させることができる。最も単純な方法および本設計で用いるものは、現像時間(終点検出設定点)を増加させてピット20を過剰現像することであった。現像プロセスを長くすることによって、暴露されたものを囲うピット容量は容量が増大し、正の非対称性へのシフトを引き起こす。
【0040】
マザースタンパー40は、通常のファミリープロセスに関するようにファーザースタンパー30から成長させた。正の非対称性によって引き起こされたより大きな窪みを利用し、ディスク基材をマザースタンパー40から成型した。マザー40での成型から得られたより大きなピット20は、標準成型プロセスにおけるごときキャビティよりはむしろ基材の本体に対して今や極端であるピット20のさらなる収縮を補うのを助けた。典型的には、溶融したプラスチックは、丘のまわりを流れる川のように通常の(ファーザー30またはサン45)スタンパーにおいてピット20のまわりを流れる。レベルが上昇するにつれ、丘またはピット20は覆われる。溶融したプラスチックがより冷たいスタンパー表面を横切って流れるにつれ、スキン層が表面右側に形成され、これは、断熱材として働く。これは、プラスチックが、過度な応力または冷却なくしてピット容量を形成するのに必要なその流速を維持するのを可能とする。特殊DVD−5設計番号1の場合には、プラスチックは、各々、ファーザー/サンスタンパー30および45のバンプのまわりよりはむしろマザースタンパー40の窪みに流れ込まなければならない。プラスチックがマザースタンパー40の表面を横切って流れるにつれ、それは再度表面にスキン層を形成するので、これは困難である。従って、金型容量が継続した射出およびパッキング/保持時間と共に増加するにつれ、溶融したプラスチックは窪みに強制的に入らなければならない。このスキン層は、典型的には、プラスチックのガラス転移温度未満で固化するので、該材料は自由に窪みに流れ込まない。特殊DVD−5設計番号1のL1基材420におけるピット−形成性プラスチックは読出レーザーの光学経路中にはないので、プラスチックに対する過剰なパッキング圧力によって引き起こされた狂い(傾斜)による圧力に制限はあるが、複屈折および残存応力に対する心配なくして該材料はより大きな力で満たすことができる。本実施例では、マザースタンパー40におけるより大きな窪みならびに増大した金型温度の組合せは、所望のピット20を複製するのを助けた。典型的には、金型の加熱および冷却のための直接的水射出系において、120℃最大温度の安全性インターロックは水の温度を制限する。グリコールおよび水の50/50溶液を用いることによって、温度を130℃の最大温度にて効果的に実行することができる。この追加された温度は、溶融状態のスキン層をそのガラス転移温度近くに保つ助けをし、これは、特殊DVD−5設計番号1についてのL1基材420の複製を容易とする。また、マザースタンパー40には溶融プラスチックを迅速に満たして、表面でのスキンニングを妨げなければならない。
【0041】
L1基材420はマザースタンパー40を用いて前記したごとく成型した。図13は、マザースタンパー40から成型したL1層420の原子間力顕微鏡(AFM)像を示す。図11および12は、プロセスで用いたファーザー30およびマザー40スタンパーのAFM像を示す。形成されるべきこれらのディスクでは、100℃程度の標準と比較して121℃の金型温度を維持しつつ、溶融体温度を360℃から390℃に上昇させる必要があった。締め付け力は最大30トンに設定し、充填時間は0.13秒から0.09秒まで低下させた。適切なピット20の形成が達成されるまで、これらのパラメーターを調整した。
【0042】
DVD−9製造で用いたごとく、光学グレードのUV硬化性DVD接着剤を用いて成型されたL1基材420をブランクL0基材415に結合させて、特殊DVD−5の設計番号1を製造した。L0基材415を0.55ないし0.57mmの厚み(すなわち、標準DVD半体よりも30ないし50ミクロンより薄い)で成型して、光学経路中に結合層を補い、かくして、標準DVD−5におけるごとく情報を運ぶ層につき同一の焦点深さを保存する。
【0043】
特殊DVD−5設計番号2
DVDプレイヤーを含めた光学媒体ドライブのエレクトロニクスは、典型的には、その層中の「ランド」25から「ピット」20への変換によって引き起こされた干渉パターンを同定することによって、ディスク上の層に含まれた情報を読み出すように設計されたるピット20は、しばしば、読出レーザーの波長の1/4とほぼ同等な、典型的には、それよりは幾分小さな高さで成型される。例えば、DVDでは、読出レーザーの典型的な波長は635ないし650ナノメートルであり(真空中)、(DVD基材を製造するのに用いられる材料で典型的な)RI=1.55を持つ材料では410ないし420nmであり、かくして、標準DVD−5におけるピット20の高さはほぼ100ないし105ナノメートルであるべきである。その結果、ランド25からピット20への変換、またはその逆は、ほぼ半分の波長の読出レーザーの経路に対する変化、またはほぼ180度の相変化に対応する。180度の相差異を持つ2つの同一波は相互に干渉し、打ち消しあい、光学ドライブのエレクトロニクスは得られた干渉パターンを検出するように設計される。後記から読み出されるディスクの標準的な約束を用い、標準DVD−5においては、ピット20の表面はランド25の表面の下方にあって、ランド25からピット20への変換は「下向き」変換であり、他方、ピット20からランド25への変換は「上向き」変換である。もしピット20の高さが読出レーザーの波長の1/4であれば、標準DVD−5におけるランド25からピット20への変換は「下向き」変換であり、これは、+180度の相変化に対応し、ピットからランド25への変換は「上向き」変換であり、これは−180度の相変化に対応する。もし「上向き」および「下向き」変換が360度だけ異なれば、前記した場合におけるごとく、それらの効果は同一である。この1つの意味は、DVD−5のピット20が、反対方向で、すなわち、ピット表面がランド25表面よりもほぼ1/4波長だけ上方にあって成型でき、光学ディスクプレイヤーのエレクトロニクスは、検出された変換が「上向き」または「下向き」方向にあるか、すなわち、ピット20領域がランド25領域よりも高いか低いかによって影響されないようである。
【0044】
標準DVD−5においては、レーザーピックアップはL0基材100を通じて読み出し、ラセン状トラックに整列されたピット20上に焦点を合わす。ディスクの回転は(読み出しレーザーの側からみて)反時計周り方向であり、ラセン状トラックは時計回り方向にある。ピット20の方向が、プレイヤーによって観察される電気的シグナルを変化させることなく逆とすることができるならば、本発明のもう1つの具体例において、ピット20は、図14に示すごとく、通常の(ファーザー/サン)DVD−5スタンパー30/45を使用することによって、L1基材420へのへこみ500として成型される。ラセン状トラックの方向はマスタリングの間に逆とされる。というのは、ディスクは、標準DVD−5におけるごとき基材を通じるよりはむしろ、結合層401の側から読み出されるからである。ピット20はL1層420において形成されるが、得られるディスクはDVD−5として暗号化される情報を有する:図15に示すごとく、ピット20の表面はランド25の表面の上方にあり、ランド25はL1層420の参照面にある。ピット20の幅、長さ、高さおよび形状は、DVD上にデータを解読するのに必要な対応するHFシグナルを与える。該シグナルは8−対−14変調(EFM)シグナルを利用して暗号化される。ピット20のエッジおよび側壁の傾きは、0および1の論理的変換を区別するよう働く。これは、3単位の長さから14単位の長さとして測定されるピット20の長さ単位をもたらし、これは、ディスクから読み出されたEFMシグナルの周波数制限を設定する。この測定は通常3Tないし14Tシグナルといい、Tは時間をいう。ピット20が標準的に複製される限り、プレイヤーは逆側から読み出しつつ、ピット20の開始および終了位置を区別することができて、そのデータの同一性を正しく確認することができる。多くの環境において、前記した特殊DVD−5設計番号1に当てはまるように、それはマザースタンパー40からの成型を必要としないので、これは本発明の好ましい具体例であろう。

【0045】
DVD−5におけるピット20の現実の高さは、典型的には、読出レーザーの波長の1/4より幾分低い。これは、ピットおよびランド間の変換の間に反射したレーザーの完全な打消しを回避することを意図し、これは、プレイヤーエレクトロニクスの機能を促進する。例えば、0.88*(レーザー波長)/4の値が時々推奨される、すなわち、RI=
1.55を持つ材料ではほぼ90ナノメートルである。かくして、本発明のこの具体例では、特殊DVD−5設計番号2におけるランド25からピット20への変換の間における読み出しレーザーの経路の変化が標準DVD−5の対応する変化よりも正確に1波長長くなるように、読出レーザーの波長の1/4よりは幾分高くピット20表面を成型するのが望ましいであろう。例えば、もし読出レーザーの波長が650ナノメートル(すなわち、RI=1.55のポリカーボネート基材においては420nm)であれば、標準DVD−5におけるピットは90ナノメートルであり、この具体例(特殊DVD−5設計番号2)におけるピット20は120ナノメートル、すなわち、設計番号1におけるピット20表面の位置から半分の波長(210nm)において成型することができる。
【0046】
実施例2:特殊DVD−5設計番号2
レーザービームレコーダーターンテーブルの回転の方向がカッティングプロセスの間に逆にされ、その結果、通常のDVD−5におけるそれとは反対方向にラセン状トラッキング経路が得られる修飾されたマスタリングプロセスを通じて、特殊DVD−5設計番号2についてのL1基材420を成型するための特殊なスタンパーを製造した。このスタンパーは、内容物の情報をDVD−5像としてレーザービームレコーダーに供給しつつ、ターンテーブルを通常のDVD−5のカッティングから逆の方向に回転させることによって製造した。通常はDVDフォーマットに予め設定される走査速度は手動によりDVD−5マスタリングに典型的な3.49m/sの速度に設定した。次いで、L1基材420を、DVD−5製造用に設定した標準成型マシーンで成型した。
【0047】
成型されたL1基材420のいくつかは、光学グレードのUV硬化性DVD接着剤を用
いてブランクL0基材415に結合させて、特殊DVD−5の設計番号2を製造した。実施例1におけるごとく、L0基材415は0.55ないし0.57mm(すなわち、標準DVD半体よりも30ないし50ミクロン薄い)の厚みで成型して、光学経路中に結合層401を補い、かくして、標準DVD−5におけるごとく情報を運ぶ層と同一の焦点深さを維持した。ディスクを結合させるために、マシーンをDVD−9生産モードとし、L0層のための半反射性メタライザーをオフラインとした。次いで、硬化時間を調整して、失われる半反射性層のため必要な硬化暴露の減少を補った。硬化は基本的にはDVD−5ディスクについて設定したものであり、該ディスクを裏返してL0層を通じて硬化させた。この機能は、典型的には、DVD−9の製造で保持される。
【0048】
次いで、ディスクをKOCHのDVDテストシステムでテストし、4つの異なるDVDプレイヤーで再生させた。図21Aないし図21B−3に示すごとく、それらは正規のDVD−5ディスクから区別可能に行なった。また、さらなる3つのDVDプレイヤーおよび2つのDVD−ROMドライブでエラーなく再生された。
成型された基材のいくつかを用いて、反応性結合層を持つディスクを製造した(実施例9参照)。
【0049】
特殊DVD−5設計番号3
DVDプレイヤーを含めた光学媒体ドライブのエレクトロニクスは、ピット20およびランド25の絶対的および/または相対的上昇に基づいてその層におけるこれらのピット20およびランド25を同定し、かくして、層の参照面450に対するピット20およびランド25の上昇によって影響されることなく、情報を暗号化する層における「上向き」および「下向き」変換の間を区別することによって、ディスク上の層に含まれる情報を読み出すように設計することができる。かくして、本発明のもう1つの具体例において、マスタリングの間に、ラセン状トラックの方向を逆にし、また、ピット20およびランド25を逆にし、従って、ピット20は得られたスタンパー30上でランド25となり、ランド25はピット555となる。次いで、通常(ファーザー)スタンパー30を使用することによって550、L1基材420を成型し、ブランクL0基材415に結合させる。得られたディスクはDVD−5として暗号化される情報を有し、ピットおよびランドの相対的上昇、および情報を暗号化する層における「上向き」および「下向き」変換はDVD−5と同一である。具体的には、ピットの表面はランドの表面の下方にある。しかしながら、標準DVD−5においては、ランドの表面はL0層の参照面にあるが、本具体例においては、図16に示すごとく、それは、L1層の参照面にある(標準DVD−5上のピットに対応する)ランド560の表面であり、(正規のDVD−5上のランドに対応する)ピット565はこの参照面上方にある。
【0050】
反応性結合層
本発明のもう1つの具体例は、間隙層に配合された反応性材料を有するものである。1つの具体例において、間隙層はディスクの結合層である。
【0051】
本発明の1つの具体例において、反応をトリガーする刺激は雰囲気酸素に対する暴露である。酸素への暴露に際し、反応性材料、例えば、実質的に無色であるロイコメチレンブルーは酸化されて、半透明またはセミ半透明層(例えば、深青染料、メチレンブルー)を形成する。半透明/セミ半透明層を持つデータ貯蔵媒体は、もはや、媒体プレイヤーで再生することはできない。半透明となる時間を調整することによって、この方法を用いて、与えられた適用につき所望の寿命を有する制限された動きのデータ貯蔵媒体を提供することができる。
【0052】
担体および反応性材料双方を含む反応性層は、最初は、データ貯蔵媒体デバイスによってデータが検索されるのを可能とするために充分な伝達を有すべきであり、引き続いて、与えられたデバイスでレーザーの波長において(例えば、充分な量の光、すなわち、入射および/または反射光を吸収する)そのデバイスによるデータ検索を阻害する層を形成すべきである。典型的には、約50%以上の反射性層からの初期パーセント反射率を可能とする層を使用することができ、初期パーセント反射率は約65%以上が好ましく、約75%以上の初期パーセント反射がより好ましい。一旦媒体を酸素、例えば、空気に所望の時間(例えば、媒体の望まれる許容されるプレイ時間)暴露させれば、層は、好ましくは、約45%以下の、好ましくは約30%以下の、より好ましくは約20%以下、特に好ましくは約15%以下のパーセント反射率を含む。
【0053】
可能な反応性材料はメチレンブルー、ブリリアントクレシルブルー、ベーシックブルー3、メチレングリーン、テーラーズブルー、メルドラズブルー、ニューメチレンブルー、チオニン、ナイルブルー、セレスチンブルー、およびトルイジン0の酸素感受性ロイコまたは還元形態、ならびに反応生成物、および前記材料の少なくとも1つを含む組合せを含み;それらの構造を以下に記載する。
【0054】
【化1】


メチレンブルー 661nm
【0055】
【化2】


ブリリアントクレシルブルー 622nm
【0056】
【化3】


トルイジンブルーO 626nm
【0057】
【化4】


ベーシックブルー3 654nm
【0058】
【化5】


メチレングリーン 657,618nm
【0059】
【化6】


テーラーズブルー 649nm
【0060】
【化7】


ヤーヌスグリーンB 660,395nm
【0061】
【化8】


メルドラズブルー 570nm
【0062】
【化9】


ニューメチレンブルー 630,591nm
【0063】
【化10】


チオニン 598nm
【0064】
【化11】


ナイルブルー 638nm
【0065】
【化12】


セレスチンブルー 642nm
【0066】
メチレンブルー色素の着色形態を形成するためのロイコメチレンブルーの合成および酸素依存性再酸化の方法を以下に示す:
【0067】
【化13】



【0068】
前記反応性材料に加え、多数の他の色素および光ブロッキング材料を合成して、データ貯蔵媒体を制限された動きとするように働かせることができる。例えば、いくつかの他の可能な反応性材料は、以後引用して一体化させる米国特許第4,404,257号、および以後引用して一体化させる米国特許第5,815,484号に見出すことができる。反応性材料は、さらに、前記反応性材料のいずれかの少なくとも1つを含む混合物を含むことができる。
【0069】
反応性材料は、好ましくは、基材の表面の少なくとも一部への蒸着および/または含浸のために担体と混合する。可能な担体は熱可塑性アクリルポリマー、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリチオレン、UV硬化性有機樹脂、ポリウレタン、熱硬化性アクリルポリマー、アルキド、ビニル樹脂等、ならびに前記担体の少なくとも1つを含む組合せを含む。ポリエステルは、例えば、フマル酸またはマレイン酸を含めた脂肪族ジカルボン酸と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール等のごときグリコールとの反応生成物、ならびに反応生成物、および前記の少なくとも1つを含む混合物を含む。
【0070】
有機樹脂として用いることができるいくつかのエポキシ樹脂は、1つまたは複数のエポキシ官能基を含むモノマー、ダイマー、オリゴマーまたはポリマーエポキシ材料を含む。例えば、ビスフェノール−Aおよびエピクロロヒドリンの、または該エピクロロヒドリンとフェノール−ホルムアルデヒド樹脂との反応生成物。他の有機樹脂は、ここに引用して本明細書の一部とみなすKehrらの米国特許第3,697,395号および3,697,402号によって示されたごときポリオレフィンおよびポリチオールの混合物の形態であり得る。
【0071】
非−結合性反応性層
所望により、ペインティング、ディッピング、スプレイイング、スピンコーティング、スクリーンプリンティング等のごとき種々のコーティング技術を用い、反応性層を基材に適用することができる。例えば、反応性層を比較的揮発性の溶媒、好ましくは、ポリカーボネートに対して実質的に不活性な、すなわち、ポリカーボネートを攻撃せず、それに悪影響しないが、担体を溶解させることができる有機溶媒と混合することができる。いくつかの適当な有機溶媒の例はエチレングリコールジアセテート、ブトキシエタノール、低級アルカノール等を含む。
【0072】
表面コーティングでは、反応性層は、所望により、艶消剤、表面活性剤、チキソトロピー剤等のごとき種々の添加剤、および反応生成物、および前記添加剤の少なくとも1つを含む組合せを含有することができる。反応性層の厚みは使用する特定の反応性材料、反応性層におけるその濃度、および最初および所望の時間の後、双方における層の所望の吸収特性に依存する。
【0073】
ブロックされた反応性化合物の現像
本発明の1つの具体例は、反応性層における反応性化合物のブロックされた形態の使用である。これらの化合物は、ディスクが製造されまたは包装された後、所定の時間の内、典型的には、ディスクが消費者によって使用される前に、ブロックが解除される。これは、ディスクがプレイできないようにする反応をトリガーする刺激(例えば、雰囲気酸素)がディスクの製造の間にこの反応をトリガーできる場合に望ましく、反応性化合物がディスクの製造の間に活性化されないように処置を取る必要がある。例えば、酸素でトリガーされる反応の場合には、反応性化合物のブロックされた形態を用いなければ、製造は、窒素雰囲気のごとき酸素を含まない環境で行なう必要がある。
【0074】
本発明の1つの具体例は、酸素に暴露された後にプレイできなくなる光学ディスクを製造する目的の化学的にブロックされた反応性物質、特定のそのようなブロックされたロイコ染料、このロイコ染料前駆体を調製する方法、許容される速度でロイコ染料前駆体の脱ブロッキングおよび酸化を行なうこのロイコ染料前駆体を含む処方、光学ディスクの表面に、光学ディクス用の結合層として光学ディスクにこの処方を適用する方法、光学ディスク中またはその上においてブロックされたロイコ染料−含有層におけるメチレンブルー生成の速度を増加させるための塩基の使用、およびコーティング流体中のブロックされたロイコ染料を安定化するためのヘキサメチルジシラザンのごときシリル化剤の使用を用いるアイディアを含む。
【0075】
そのパッケージから取り出された後にプレイできなくなる光学ディスク(「プレイが制限されたディスク」を製造するための本発明の1つの具体例において、ディスクは、着色した染料まで酸化され、それが光学ディスクプレイヤーの読出レーザーの波長において光を吸収するロイコ染料を含有する組成を持つ反応性層を一体化させ、充分な読出レーザー光がディスクから反射されてディクスがプレイできなくなるのを防ぐ。ロイコ染料の酸化は、染料を含有するコーティングを雰囲気酸素に暴露することによって開始することができ、該酸素はコーティングを通って拡散してロイコ染料の分子を酸化する。そのようなコーティングをディスクの表面に置くのに伴う1つの問題は、コーティングが使用者によって除去されてディスクを永久的にプレイできるようにする可能性である。そのようなコーティングを光学ディスクの表面に置くに伴うもう1つの問題は、これが、より高いコスト、生産器具のための特殊なツーリング、および不可避的に低い製造歩留まりを含む、ディスク製造プロセスにおいてさらなる工程を必要とすることである。最後に、そのようなコーティングを作成するのに用いられる酸素−感受性流体は、その酸素感受性のために取り扱うのが困難である。
【0076】
その幾つかは前記した光学ディスクの表面にロイコ染料含有流体をコーティングする幾つかの方法において、コーティングは溶媒ベースのものであり、溶媒は蒸発して、ポリマーマトリックスに典型的には結合した、ロイコ染料および必要ないずれかの他の成分を含有するハードコートを生じるものでなければならない。そのような溶媒コーティングに対して幾つかの不利がある。まず、溶媒ベースの流体のほとんどはスピンコーティング製造プロセスの間にディスクから回転により除去され、溶媒蒸発のため回収するのが困難であるかまたは不可能であり、これは流体を浪費し(プロセスのコストを増大させ)、コーティング器具を汚す。第2に、溶媒の蒸発に時間がかかり、これは、そのようなコートされたディクスが製造できる速度を低下させ、それにより、プロセスのコストを増大させる。第3に、コーティングおよび乾燥プロセスの間にコートされたディスクによって発せされた溶媒の蒸気を製造器具から排気しなければならず、これは設置された器具のコストを増大させ、この製造プロセスを採用しようと考えるディスク複製者にプロセスおよび環境的障害を与える。
【0077】
もしロイコ染料が無溶媒の光または放射線で硬化した(以下、概念的に「UV−硬化」という)層中にコートすることができれば、およびもしこの層が、DVDのごときあるタイプの光学ディスクを含む2つの基材を結合するのに用いられる光学ディスク結合層と同一であれば、前記2つのパラグラフで記載した全ての問題は回避され得る。そのようなシステムを作り出すのに対する主な障害は、多くのロイコ染料、特にロイコメチレンブルー(以下「LMB」、これは、本発明者らによって、溶媒ベースの表面コート系においてDVDをプレイ不可能とするために用いられた)が、DVD基材を結合するための接着剤として通常用いられるアクリレートのごときUV―硬化性モノマーを硬化させるのに用いられるタイプのラジカルおよびカチオン性重合反応を共に阻害することである。(メチレンブルーを含めた)酸化された染料もまたそのような重合反応の阻害剤である。UV−硬化性組成物中に(酸化された着色染料のあるものを不可避的に含有する)ロイコ染料を入れると、UV−硬化が起こるのを防ぐか、またはUV−硬化を遅らせ、ディスクを製造することができる速度を低下させることによってプロセスをかなり経済的でなくする。さらに、もし酸素または他の酸化剤が硬化させるべき層に存在するならば、UV―硬化のプロセスの結果、ロイコ染料のいくらかは酸化され、その結果、永久的に酸化された染料を含む生成物が生じ、これはディクスの読出信頼性に干渉する恐れがあり、あるいは酸素への暴露の後にそれば読み出し不可能となる速度を変化させる。
【0078】
化学的にブロックされた(時々「保護された」と呼ばれる)ロイコ染料(「ロイコ染料前駆体」とも呼ばれる)は公知であり、「無カーボンコピー紙」のごとき適用において数十年間用いられてきた。特に、ロイコメチレンブルーのブロックされたバージョンは知られており、そのような適用で用いられ、1つのそのような化合物、少なくともベンゾイル−ロイコメチレンブルー(BLMB)は商業的に入手可能である。しかしながら、本発明者らは、BLMBが、許容される制限された動きのDVD製品を生じさせるのに充分なほど容易には脱ブロックされないことを見出した。他のブロックされたロイコメチレンブルー化合物もこの問題を有しており、あるいは酸化可能なロイコメチレンブルーがそれが望まれる前にコーティング流体中で生じるようにあまりにも速く脱ブロックされる。
【0079】
本発明者らは、その構造および例示的合成を図17で説明し、実施例4に記載したトリイソプロピルシリルオキシカルボニルロイコメチレンブルー(以下、「TIPSOCLMB」)が、制限された動きのDVDで用いるための以下の望ましい特性を有することを見出した。
【0080】
1.それは、商業的に入手可能な出発材料から2工程で容易に合成される。図17に示すごとく第1の工程で生じたBOC―LMBを単離し精製することによって、TIPSOCLMBは、典型的には非常に不純なメチレンブルーからよりも純粋な化合物から調製される。
【0081】
2.それは実施例5で記載したアクリレート処方に配合することができ、ここに、それは0℃未満の温度で少なくとも数週間(酸化されたメチレンブルーへの変換に対して)安定であり、コーティング処方が、1つの設備で調製されるのを可能とし、かつ所望であればDVD製造のためのもう1つの施設へと出荷するのを可能とする。
【0082】
3.それは、アクリレート処方中に供することができるか、あるいはDVDが製造される雰囲気から、またはDVDパッケージング材料中で吸収することができる水または他の求核試薬が関連する恐らくは加水分解反応によって1週間以下の間に脱ブロックされ得る。
【0083】
4.脱ブロックされたLMBは、酸素の不存在化にて、(メチレンブルーの酸化に対して)安定である。脱ブロック化LMBが酸素の存在下で酸化される速度は、コーティング処方の効果的なpHを制御することによって制御することができる。その環境のpHが増大するにつれ、LMBの酸化速度が増大するのは当該分野で知られている。かくして、酸化速度は、脱ブロックされたまたはブロックされたLMBを含有するマトリックスに可溶性であり、用いるマトリックスまたは基材と反応しない塩基性物質の添加によって増加させることができる。1つのそのような塩基性化合物はDABCO(1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン)、アミンである。他のアミンを添加することができるか、あるいはそれで置き換えることができる。さらに、ショウノウスルホン酸のごとき強力なプロトン酸の添加は、ポリマーフィルム中でのLMB酸化の速度を低下させる。
【0084】
5.水または他の求核試薬の不存在下において、それは、酸素の存在下においてさえ、少なくとも数ヶ月の間合成後に貯蔵することができる安定な固体である。PIPSOCLMBを含有するアクリレート−ベースのコーティング流体は、脱ブロッキング反応が起こる迄、酸素の存在下で取り扱うことができ、その反応は、DVD製造プロセスの間におけるコーティング流体の取り扱いを通常の(乾燥されていない)空気中で行なうことができるのに充分に遅く、困難ではない。
【表1】

【0085】
2リットルの分液漏斗中、60.0gのヒドロ亜硫酸ナトリウム(ジチオン酸ナトリウム、Na2S2O4)を300mLの冷蒸留水中に溶解させた。この溶液に、数個の異なる
ビンからの60.0gのメチレンブルー(暗い緑色粉末を添加し、分液漏斗にストッパーを付け、30分間にわたって激しく振盪し、その間に、暗い緑色固体は不溶性ロイコメチレンブルーの黄褐色懸濁液を徐々に形成する。この件濁液に、各添加の後に、激しく振盪しつつ、3回の60−mL分の10%水酸化ナトリウム水溶液を添加した。いくらか熱が発生し、より明るい懸濁液が得られる。混合物を冷却しつつ短い時間放置した後、700mLの塩化メチレンを添加し、分液漏斗にストッパーを付け、それを振盪して固体を溶解させた。琥珀色の有機層がエマルジョンの下方に分離し始めた。さらなる分の60mLのNaOH水溶液を添加し、ストッパーを付けた漏斗を振盪し、エマルジョンを30ないし60分間放置して、2つの液相に分離した。別法として、新鮮なNa2S2O4および適正
に純粋な青色のメチレンブルーを用いて、より速くより透明な相分離を成すことができる。
【0086】
1.5シートのしわくちゃの小さなKimwipeRティッシュ(11×21cm)を充
填した溝付のアダプター(Aldrich Z11,563−0)内部にマグネチックスターラーおよび窒素入口を装着した1リットルの三頸丸底フラスコに、25mL塩化メチレンで希釈した81.0mLの二炭酸ジ−tert−ブチル(Boc2O)を添加した。
窒素下で5ないし10分間攪拌した後、3.0gの4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)を添加し、続いて、分液漏斗から溝つきKimwipe含有管を通ってロイコメチレンブルー溶液を滴下した。添加が窒素下で行なわれるように、分液漏斗のステムを1穴ゴムストッパーを通じて溝付管に連結した。ガスの発生(CO2)が直ちに始まった。
2時間後、添加を完了して、ダスト状緑色反応混合物が得られ、これを室温にて窒素下で1晩攪拌した。
【0087】
翌日の朝、ダスト状緑色反応混合物を大気圧蒸留のために配置した。約550mLのCH2Cl2を蒸留し、300mLのヘキサンで置き換えた。灰色ないし青色の固体が分離された。ヘッド温度が約55℃に到達するまで、蒸留を継続した。混合物を冷却し;次いで、焼結ガラス漏斗を通じての濾過によって固体を収集した。固体をヘキサン(2×50mL)で洗浄して過剰のBoc2Oを除去し、次いで、それをメタノール(量は特定されず
、4×50mL見積もり)で洗浄して、洗浄液体がわずかに青色となるまで、未反応および酸化されたロイコメチレンブルーを除去した。得られた灰色個体を空気中で乾燥し、次いで、室温にて真空下で乾燥した。収率:47.0g(76%)。(BocLMBの分子量=385.53)。
【0088】
塩化メチレン中の5%アセトンで溶出させる5×10cmのWhatman K5Fシリカゲルプレートでの薄層クロマトグラフィー分析は、原点にわずかに青いスポットを示し、Rf=0.58における非常に弱いスポット、およびRf=0.63における大きな生成物スポットであった。最初に無色の生成物スポットは、空気中に放置すると暗い青色になり、120℃オーブン中で加熱すると迅速にそうなった。
【0089】
同一スケールでのこの反応の反復の結果、48.0g(78%)の収率が得られた。
【表2】

【0090】
マグネチックスターラー、滴加漏斗、および窒素バブラー下のコンデンサーを装備した500mLの三頸丸底フラスコに、200mLの塩化メチレン中の35.61gのBocLMBを溶解させて青色溶液を得た。この溶液に26.0mLの2,6−ルチジンを添加し、続いて、15分間にわたって39.0mLのトリフルオロメタンスルホン酸トリイソプロピルシリル(TipsOTf)を滴下した。次いで、緑色ないし青色の反応混合物を還流下で6時間攪拌した。TLC分析(K5Fシリカ、5%アセトン/CH2Cl2)は、Rf=0.74における大きな生成物スポットと共にRf=0.67に存在する少量のBocLMB出発物質を示したに過ぎなかった。次いで、反応混合物を室温にて窒素下で1晩攪拌した。
【0091】
翌朝、緑色ないし青色の透明な反応混合物を還流下で再度1時間攪拌した。TLC分析は、痕跡量のBocLMBまたは同様なRf不純物が存在したことを依然として示した。次いで、真空下で溶液をロータリーエバポレーターで濃縮してほとんどの塩化メチレンを除去し、その結果、暗い緑色ないし青色シロップが得られた。200mLのヘキサンを添加した後、混合物を手で攪拌して、青色ないし灰色固体の分離を行なった。還流下にて継続的に手で攪拌しつつこの混合物を加熱すると、TipsocLMB生成物は熱ヘキサンに溶解し、後に溶融体または堅い固体としての暗い青色塩残渣が残った。熱ヘキサン溶液を残渣からデカントし、残渣をさらに60mLの沸騰ヘキサンで抽出した。合わせた熱ヘキサン抽出物(色は緑色)をわずかに冷却し、次いで、Celiteの1.5cm厚みの層を通して濾過して、透明な淡黄褐色濾液が得られた。Celiteを30mL分の熱ヘキサンで2回洗浄した後、合わせた濾液(〜320mL容量)をフリーザー中に(約―20℃)一晩入れた。
【0092】
翌朝、緑色がかったキャスト付の灰色がかった白色固体が結晶化したことが観察された。混合物を冷濾過し、生成物を冷ヘキサン(2×50mL)で洗浄し、乾燥吸引し、室温にて真空下で乾燥して灰色がかった固体を得た。収率:33.3g(75%)。(TipsocLMBの分子量=485.77)。より初期のランからの融点は121ないし123℃であった。
【0093】
TLC分析(K5Fシリカ、3%アセトン/CH2Cl2)は、最初は無色で、室温にて数時間、または120℃のオーブン中で数分間放置すると暗い緑色となるRf=0.61における主要スポットと共に原点およびRf=0.53において非常に弱いスポット(恐らくは未反応BocLMB)を示した。
【0094】
実施例5および6は、UV−硬化してTIPSOCLMBを含有する反応性層を作り出
すことができるコーティング流体にいかにしてTIPSOCLMBを配合することができるかを示す。実施例7は、いかにして、前記技術が、特殊DVD−5設計1,2および3を用いて消滅光学ディスクを製造するのを可能とする間隙反応性層を製造できるかを示す。実施例8は、いかにしてTIPSOCLMBが脱ブロックし、表面または間隙層いずれかにおいて酸素感受性LMBとなるかを示す。酸素に暴露すると、図18A−C中の増大するシアン密度によって示されるごとく、LMBはメチレンブルーに酸化される;メチレンブルーは、図19に示されるごとく、650nmの波長の光を強力に吸収する。
【0095】
実施例5:TIPSOCLMBを含有するコーティング流体の処方
80mgのTIPSOCLMB
80mgのイルガキュア(Irgacure)819(Ciba Geigy;増感剤)4.0mlのCD−501アクリレート(Sartomer;プロポキシル化[6]トリメチロールプロパントリアクリレート)
18.5mgの1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(「Dabco」;Aldrich;塩基)
155μlの1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(「HMDZ」;Aldrich;安定化剤)
【0096】
該TIPSOCLMB、イルガキュア819およびDabcoを茶色のガラス瓶中に秤量し、攪拌棒を加え、CD−501を適当な重量に注ぎ、シリンジによってHMDZを加える。乾燥窒素を数分間瓶に吹き込み、瓶にキャップをし、キャップをパラフィンで被覆する。内容物を少なくとも2時間室温にて攪拌して、固体を溶解させる。もし全ての物質を用いないならば、瓶に窒素を噴きつけ、パラフィンでキャップし、シールし、フリーザー中に貯蔵し;瓶を加温し、しかる後に、開いて、水が瓶中に凝縮するのを防ぐ。
【0097】
実施例6:TIPSOCLMB/アクリレート処方で被覆したディスク表面の調製
DVD透明半体ディスク(金属化していない0.6mmの厚みで120mm直径のポリカーボネートディスク)またはフルDVD(接着剤で2つの層を裏面と裏面とを一緒に結合)を、ほぼ60rpmで回転する実験室スピンコーティングターンテーブルの中央に置く。次いで、実施例5からの4mlの溶液を、ディスクの中心から約34ないし40mmの直径にて、シリンジによって丸いリング状に均一に適用する。次いで、スピンスピードを迅速に約15秒間で約200rpmまで増加させ、その結果、約5μm厚みのアクリレート/TIPSOCLMB流体のコーティングを得る。スピンニングを遅くし;過剰の流体をティッシュおよび塩基溶媒でディスクのエッジから拭い、入手可能であれば、次いで、取り出して実験室ベンチに移動させる。この時点で、その最大設定にてNorlite400キセノンフラッシュランプからの約5つのフラッシュにディスクを付す。フラッシュ間の時間はフラッシュランプのチャージングによって指令されるが、硬化で生じる熱から追加の応力を誘導しないように充分なものとすべきである(典型的には約5秒)。このプロセスにより透明で、着色しておらず、充分に硬化したアクリレートフィルムが得られる。Daboを含まないか、または実施例5に記載した量の10倍のDabcoを含有する同様のアクリレート処方で他のディスクを調製する。
【0098】
実施例7:TIPSOCLMB/アクリレート処方で被覆したディスクサンドイッチの調製
DVD半体ディスクは、前記したターンテーブル上の中心データサイドである。ほぼ3ないし5mmの丸いシリンジで液滴を生じるように流体をデータサイドに分注しつつ、ターンテーブルを静止させて保持する。これらは30ないし40mmの直径で約3mmだけ均等に間隔が設けられる。次いで、結合すべきディスクを溶液に面するデータサイドに置き、エッジによって底部ディスクからわずかに垂らす。流体液滴および頂部ディクスの間の最初の接触が起こるまで、ディスクをある角度にて降下させる。本発明者らは、捕獲された空気および引き続いてのバブルのため、頂部ディスクを直ちに底部に置くことを欲しない。従って、より均一な毛細管流動を得るために、本発明者らは、流体液滴の各々が毛細管ブリッジリングを形成し始めるまで、軽い圧力下でそれをわずかに曲げた状態に保ちつつ、ディスクを時計方向に回転させることができる。一旦毛細管リングが完了すれば、頂部ディスクを開放することができ、毛細管の作用は継続するであろう。本発明者らは毛細管流動が表面を覆うのを待つことができるか、あるいは本発明者らは、材料が最大OD直径に少なくとも到達するまで100rpmにてディスクを回転させることができる。この時点において、ターンテーブルを回転させ、約500rpmにて5秒間回転させることができる。これはスペーサー層(接着剤層)を平らにし、ODから過剰の材料を除去する。次いで、ディスクエッジを拭うことができ、次いで、ディスクをUV硬化させる。硬化に先立ち、ディスク半体をできる限り近く整列させて、中央の穴の過誤整列および引き続いての再生の問題を回避させるのが重要である。この時点で、ディスクを、その最大設定にてNorlite400キセノンフラッシュランプからの約20ないし30フラッシュに付す。フラッシュの間の時間はフラッシュランプのチャージングによって指令されるが、硬化中に生じる熱から追加の応力を誘導しないように充分であるべきである(典型的には5秒)。このプロセスにより透明で、未着色で、充分に硬化したアクリレートフィルムが得られる。Dabcoを含有しないか、または実施例5に記載した量の10倍のDabcoを含む同様のアクリレート処方で他のディスクを調製する。
【0099】
実施例8:表面およびサンドイッチ−被覆ディスクにおけるTIPSOCLMBの脱ブロッキングおよび酸化、およびコーティング処方に含まれた塩基の効果。
実施例6および7に記載したごとく調製したディスクを6つの「チップ」の各々に切断し、チップを乾燥窒素、乾燥空気または部屋の空気のいずれか(平均RH約30%)中に保存し、それらのシアン反射率密度をX−Rite504デンシトメーターで周期的に記録した(窒素中に貯蔵した試料を実験の開始および終了時のみテストした。というのは、それらは肉眼では不変であり、それらの酸素への暴露を最小化するのが望まれたからである)。全ての場合、窒素に貯蔵した試料は、予期したごとく、メチレンブルー(MB)の発生は示さなかった。TIPSOCLMBに対して1.0当量で1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(Dabco)をアクリレート処方に配合すると、対照と比較して脱ブロッキング/酸化速度の非常に有意な加速が与えられ(図18)、他方、より高濃度のこの化合物は現実には効果が低かった。一般には、開いた試料(いずれの被覆もなくしてDVD半体の頂部に被覆されたTIPSOCLMB層を持つもの)はサンドイッチ構造よりもわずかに速くMBを生じ、これは、LMBの脱ブロッキングおよび酸化が、未金属化0.6mmポリカーボネート層を通じての水または酸素いずれかの移動によって有意に制限されないことを示す。むしろ、TIPSOCLMBの脱ブロッキングはこれらの系で律速であるようである。いずれの塩基も添加しない対照試料は、乾燥空気中におけるよりも部屋の空気中で顕著により速いMBの発生を示し、これは、空気中の水分がこの試料中の脱ブロッキングをスピードアップすることを示唆する。
実施例9は、いかにして反応性結合層を特殊DVD−5設計番号2に取り込むか、かくして、通常はDVD−5のようにプレイ可能であり、引き続いてプレイできなくなったディスクの製造を示す。
【0100】
実施例9:特殊DVD−5設計番号2の結合層へのTIPSOCLMBの取り込み
1組の実験を行なって、TIPSOCLMB、イルラキュア−819、Dabco、(流体安定化剤としての)1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン、およびSartomer CD−501アクリレートモノマーをDVD接着剤として用いて、プレイ可能なDVDを得ることができるかをテストした。1.0μmガラスシリンジフィルターを通して濾過した実施例5に記載した処方を用い、流体を、実施例2におけるごとく製造した透明または金属化特殊DVD−5設計番号2いずれかの上にシリンジで与えた。DVD半体ディスクは前記したごとくターンテーブル上の中心データサイドである。ほぼ3ないし5mmの丸いシリンジで液滴を作る方法で流体をデータサイドに分注しつつ、ターンテーブルを静止して保持する。30ないし40mmの直径の周りにこれらを等しく円状に間隔を設ける。次いで、結合させるべきディスクを、溶液に面するデータサイドにおき、エッジによって底部ディスクからわずかに垂らす。流体および頂部ディスクの間の最初の接触点が起こるまで、ディスクをある角度にて降下させる。本発明者らは、捕獲された空気および引き続いてのバブルのため頂部ディスクを直ちに底部に置くのを欲しない。従って、より均一な毛細管流動を得るために、本発明者らは、流体液滴の各々が毛細管ブリッジリングを形成し始めるまで、それを軽い圧力下でわずかに曲げて保ちつつ、ディスクを時計方向に回転させることができる。一旦毛細管リングを完了すれば、頂部ディスクを開放することができ、毛細管作用は継続するであろう。本発明者らは毛細管流動が表面を覆うのを待つことができるか、あるいは材料が最大OD直径に達するまで100rpmでディスクを回転させることができる。この時点で、ターンテーブルを回転させ、約500rpmにて5秒間回転させて、接着剤を薄くし、結果として(プロフィロメトリーによって測定して)50μmの接着剤フィルムを達成することができる。これはスペーサー層(接着剤層)を平らにし、ODから過剰の材料を除去する。次いで、ディスクエッジを拭い、次いで、ディスクをUV硬化させることができる。硬化に先立ち、ディスク半体をできるだけ近く整列させて、中心穴の過誤整列および引き続いての再生問題を回避させることができる。この時点で、その最大設定のNorlite400キセノンフラッシュランプからの約20ないし30フラッシュにディスクを付す。フラッシュ間の時間はフラッシュランプのチャージングによって指令されるが、硬化中に生じた熱から追加の応力を誘導しないように充分なものであることである(典型的には5秒)。このプロセスは、DVDテストプレーヤーでプレイする、透明で未着色で充分に硬化したアクリレートフィルムを生じる。
【0101】
ディスクは通常の雰囲気の条件下で製造し、引き続いて、窒素ボックスに3ないし4日間入れて、基材中に溶解した酸素を除去し(これは、12ないし20時間要すると見積もられる)、およびTIPSOCLMBをブロック解除してLMBとした(これは、2ないし3日間要するであろう)。
【0102】
引き続いて、特殊DVD−5設計番号2ディスクを窒素ボックスから取り出し、時間の関数として650nm波長において反射率につき測定した。ディスクは透明であり、12ないし16時間再生可能であり、その時点の後、24時間以内にディスクは暗い青色に変わり、650nmにおいて2%下での反射率にてプレイ不可能となった。
【0103】
マルチ層の光学ディスク
図14におけるDVDファミリ−の説明で分かるごとく、一方側からのマルチ層を読み出すように設計されたデュアル層光学ディスクディスクにおいて、スペーサー(結合)層は光学経路中にある。デュアル層DVDの場合には、このスペーサー層厚みについての所与の規格は0.055+/−0.015mmである。光学経路結合を持つデュアル層DVDのための基材の厚みは、典型的には、0.55mmないし0.64mmである。
【0104】
読出レーザーを阻害する反応性化合物をいずれかのタイプのデュアル層ディスクの結合層800に配合すると、結合層800はL0層810を読み出すための光学経路中にないので、プレイヤーがL1層805を読み出すのを阻害するのにすぎないであろう。さらに、L0層810中の金属815は、水分または酸素のごとき所定の刺激体が結合層800中の反応性化合物まで浸透するのを制御可能に妨げるバリアーとして働くであろう。
【0105】
この潜在的問題についての1つの方法は以下の通りであろう。典型的には、プレイヤーまたはドライブがディスクの読出を開始すると、それは、L0層810につきリード−イン領域中の内容物または情報領域のテーブルを探す(図6参照)。ディスクを創製する場合、L1層805に直接アクセスするための命令をL0リード−イン820領域に含ませることが可能である。L0層810を読み出して、L1 805までのプレイ配列を指令するために、本発明者らは、L0側810を金属化しなければならないであろう。これは、従って、反応性接着性材料800と恐らくは干渉し、金属層の浸透性に依存するであろう反応の不安定または未制御キネティックスを引き起こす。これについての1つのアプローチは、典型的には、ディスク上の58mmないし59mm半径まで使い尽くされるL0半反射性層800についてのメタライザーマスキングを、L0上のリード−インまたは情報データ領域により近くまで変化させることであろう。
【0106】
反応性材料800の活性化を促進するためには、例えば、活性化刺激体が、L0金属層820のため反応性結合層800に到達するのが妨げられるであろう酸素または水分である場合、反応性層の一部が刺激体に暴露されるのがより容易となり、かくして、L0層の対応する部分が無力とされるように、L0層810の一部を金属化の間にマスクすることができる。図20に示すごとく、これらのディスクは部分的に金属化されたL0層810を有するであろう。例えば、L0層810のリード−イン領域またはプログラム開始部分を金属化する場合のみ、プレイヤーはリード−インデータを読み出すことができ、L1層805に貯蔵された情報にアクセスすることができる。L0層810上の小さな領域のみが金属化されるので、反応性結合層の実質的部分は、典型的には、酸素または水分のごとき刺激体が浸透可能なL0基材810と直接接触するであろう。反応性結合層が適当な刺激体に応答し、読出レーザーとの干渉を開始すると、プレイヤーはもはやL1層805の対応する部分にアクセスすることができない。
【0107】
本発明のもう1つの具体例は、ディスクのある部分を再生不可能とすることが、ディスクの他の部分、または全ディスクを再生するのに干渉することを保証するために、光学媒体プレイヤーによって実行されるべきシーケンシングおよびブランチング命令のごとき創製技術を利用することである。この目的で再生不可能とされたディスクの一部は1層ディスクの単一層、またはマルチ層ディスクの層のいずれか中にあり得る。例えば、本発明の1つの具体例は、L1層のある部分を再生不可能とすることが、ディスクの他の部分またはディスクの全体を再生するのに干渉するように創製されたDVD−9よりなる。例えば、L0層リード−イン領域の読出は、プレイヤーがL1層の一部にアクセスするよう指令し、これは、反応性層が読出レーザーとの干渉を開始する場合に読出不能となり、これは、ディスクを使用できなくするであろう。DVD−9ディスクは、L1層の全てまたは一部がL0および/またはL1上のいずれかの情報を再生するのに必須であるように創製することができる。例えば、ディスク上の各チャプターは、それが手続き前にL1上のある情報の読出を必要とするように創製することができる。
【0108】
本発明のもう1つの具体例において、反応性材料の活性化は、L0層の蒸着を制御することによって促進される。例えば、スパッタリングを通じての金もしくは銀またはケイ素L0層の速蒸着は、酸素および水分が浸入するのが容易な粒状樹状処方をもたらすことが示されている。また、より薄いL0層を蒸着することができ、これは、酸素および水分が浸入するのがより容易である。粒状または薄いL0層は永久的記録管理品質のディスクでは許容されないであろうが、それは、しばしば、限定された用途の消滅ディスクでは適切である。
【0109】
実施例10:反応性結合層にTIPSOCLMBが一体化されたDVD−9ディスク
平行トラック経路暗号化でのDVD−9は再生用の2つの区別されて異なる層を有することができる。暗号化またはデータマスタリングプロセスにおいて、L0ディスクで通常見出されるリード−イン領域は、読出プレイヤーに、ディスク上のいずれかまたは双方の層から読み出すよう告げる情報を有することができる。従って、反応性結合材料を用いるこの例では、反応性層は、L0に悪影響せずにL1層からの再生を妨げることができよう。この例では、対応するL0およびL1マスターを製造し、L0およびL1基材は通常成型され、金属化された。
【0110】
実施例5に記載した処方TIPSOCLMB、イルガキュア−819、Dabco、(流体安定化剤としての)1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン、およびSartomer CD−501アクリレートモノマーを含有する接着剤を用い、DVD半体を実施例9におけるごとく結合させた。溶液を1.0μmのガラスシリンジフィルターを通して濾過した。DVD半体ディスクは、前記したごとく、ターンテーブル上の中心データサイドである。ほぼ3ないし5mmの丸いシリンジで液滴を作り出すことによる方法で流体をデータサイドに分注しつつ、ターンテーブルを静止して保持する。これらは、30ないし40mmの直径のまわりに均等に円状に間隔を設ける。次いで、結合すべきディスクを、溶液に面するデータサイドにおき、エッジにより底部ディスクからわずかに垂らす。流体および頂部ディスクの間の最初の接触点が起こるまで、ディスクをある角度にて降下させる。本発明者らは、捕獲された空気および引き続いてのバブルのため、頂部ディスクを直ちに底部に置くことを欲しない。従って、より均一な毛細管流動を得るために、本発明者らは、流体液滴の各々が毛細管ブリッジリングを形成し始めるまで、軽い圧力下でそれをわずかに曲げた状態に保持しつつ、ディスクを時計回り方向に回転させることができる。一旦毛細管リングが完了すれば、頂部ディスクを開放することができ、毛細管作用は継続するであろう。本発明者らは、毛細管流動が表面を覆うのを待つことができるか、あるいは材料が最大OD直径に到達するまで、100rpmにてディスクを回転させることができる。この時点において、ターンテーブルを上に向け、約500rpmで5秒間回転させ、接着剤を薄くし、(プロフィロメトリーによって測定して)結果として50μmの接着剤フィルムを達成することができる。これはスペーサー層(接着剤層)を平らとし、過剰の材料をODから除去する。次いで、ディスクのエッジを拭い、次いで、ディスクをUV硬化させることができる。硬化に先立ち、ディスク半体をできる限り近く整列させて、中央穴の過誤整列および引き続いての再生問題を回避するのが重要である。この時点で、その最大設定におけるNorlite400キセノンフラッシュランプからの約20ないし30フラッシュにディスクを付す。フラッシュの間の時間はフラッシュランプのチャージングによって指令されるが、硬化中に生じた熱から追加の応力を誘導しないように充分であるべきである(典型的には、5秒)。このプロセスにより、DVDテストプレイヤーで再生される透明で、未着色で、充分に硬化したアクリレートフィルムが得られる。
【0111】
ディスクを通常の雰囲気条件下で製造し、引き続いて、窒素ボックスに7日間入れて、基材に溶解した酸素を除去し(これは、10ないし20時間要すると見積もられる)、およびTIPSOCLMBがブロック解除されてLMBとなるようにした(これは、5ないし6日間要すると見積もられた)。引き続いて、ディスクを窒素ボックスから取り出し、それは、PioneerプレイヤーでL0およびL1層双方で2ないし3日間通常に再生可能であった。雰囲気酸素への7日間の暴露の後、ディスクはL0層では正常に再生されるであろうが、L1層では再生不能となった。
【0112】
実施例11:部分的に金属化されたL0層を持つDVD−9ディスク
前記実施例10におけるごとく、DVD−9マスターテープを創製し、データ領域は、ディスクタイプおよび情報に関連する内容物のリード−インおよび引き続いてのテーブルを供するに過ぎないように働く層L1およびL0層で同定される。再生の間、L0リード−インはディスクがL1からデータサイドを読み出すよう指令する。この場合、本発明者らは、リード−イン領域の外部で読み出すべき情報はなかったので、L0層の全表面を金属化する必要はない。従って、リード−インおよび命令情報がL0にあり、データ領域がL1にあるDVD−9マスターテープを作成した。典型的には、メタライザーマスキングは、双方の層上の25mmないし118mm直径の領域を被覆する。リード−イン領域データであることは、25.2mmないし最大48mmの直径を被覆し、引き続いての情報領域は少なくとも48mm直径で開始し、メタライザーマスキングを低下させて、リード−インのみを被覆することができる。これは、反射シグナルがL0層上のリード−インを読み出し、次いで、さらなる半反射性金属を介して読み出す必要なくしてデータ再生のためにL1層にスイッチすることを可能とする。
本実施例では、本発明者らは、メタライザーODマスクアセンブリーに降下したドーナッツ−マスキングプレートを製造した。ODからマスキングを登録することによって、本発明者らは、金属化直径を、リード−イン再生を可能とする領域まで低下させることができる。本発明者らは、リード−イン48mm直径の丁度外側にマスクを拡大して、マスキング位置についての偏心率トレランスを補った。加えて、L1層を読み出す場合に、透明ディスク領域の金属化ディスク領域への変換から反射性スパイクを防ぐために、マスキングのエッジをわずかにディスク上方に上げて、シャドーイングまたはテーパー付き層の均一性を引き起こした。これは、大きな「スピードバンプ」効果よりはむしろ暫時の焦点合わせ補償を引き起こし、その径方向ノイズおよび焦点合わせエラーが規格外とし、恐らくはトラックをジャンプさせる。
【0113】
得られたDVD−9半体を実施例10におけるごとく結合させた。構築されたDVD−9をPioneer DVDプレイヤーおよびDVD−ROMドライブで再生可能性につきテストし、引き続いて、TIPSOCLMBがブロック解除されたLMBとなるように、窒素ボックスに7日間入れた。引き続いて、ディスクを窒素ボックスから取り出し、それは透明で12ないし16時間再生可能であり、24時間以内に暗い青色に変化し、その後、再生不能となる。ディスクは、情報がL0またはL1いずれかから読み出されるのを効果的に妨げられた。
【0114】
反応のタイミングの制御
好ましくは、ディスクのデータ品質は意図した使用期間中は高いままであり、次いで、迅速に減衰し、その結果、光学ディスクからデータ読出能力が迅速に劣化すべきである。本発明のこの具体例の1つの利点は、バリアー層を通じての物質の拡散を必要とするもののごとき広いクラスの刺激体では、反応性材料を間隙層に配合する結果、反応のタイミング特徴に関する実質的な利点が得られることである。
【0115】
前記した望ましいタイミング特徴を達成する1つの方法は、ディスクの基材を通じて拡散する必要がある物質と反応する前記したディスク基材の間の反応性間隙材料を用いることである。例えば、もし反応性材料が酸素に感受性であれば、酸素がディスク基材に拡散する間は反応がない拡大された期間があろう。一旦酸素が反応性層に到達すれば、結果としての反応は速く、ディスクの迅速な消滅がもたらされ得る。
酸素が拡散性物質として用いられる場合、その製造の異なる段階の間にディスクに溶解する酸素を除去する必要があろう。これは、例えば、ディスクを真空または酸素フリーな環境に適当な時間貯蔵することによって成すことができる。24時間が、0.6mm厚みのポリカーボネートディスク基材に溶解した酸素を追い出すのに適切な時間であることは理論的に及び実験的に立証されている。別法として、もしブロックされた反応性材料を前記したごとく用いれば、鉄または有機金属化合物のごとき酸素スカベンジャー物質を用いて、ブロックされた反応性物質がブロック解除される前に光学ディスクから酸素を追い出すことができる。この方法はいくつかの製造の利点を有し;例えば、それは、ディスクのパッケージングに酸素スカベンジャー物質を含ませることによってディスクの製造の間に酸素追い出しを回避することができ、これは、ディスクが製造され、包装された後に酸素の追い出しが起こることを可能とする。
【0116】
ディスクの消滅のタイミングを制御するためのもう1つの手段は、反応性層が酸素と反応する場合には、抗酸化剤のごとき適当な保護物質の有限な制御された量を反応性層中に、または反応性層に隣接させて含ませることである。保護物質は、その時点でディスクが迅速に劣化し、再生不可能となる、抗酸化剤が消費されるそのような時点まで、ディスクの消滅を引き起こす反応を妨げるであろう。例えば、酸素と反応する有機金属化合物はディスクでパッケージして、パッケージ中にディスクを酸化から保護することができる。別法として、有機金属化合物を基材に配合することができ、かくして、パッケージが開かれた後の期間に継続して金属層を保護する。
【0117】
保護物質の枯渇を、ディスクの基材を通じてのトリガリング物質の拡散と組み合わせて、ディスクが消滅する前のより長い遅れをもたらし、反射率劣化の急峻のごとき消滅プロセスの特徴のより微妙な制御を可能とすることができよう。
反応性層中の抗酸化剤の例
別法として、保護物質は、反応性結合層それ自体に配合することができる還元剤であり得る。TLMBの濃度を変化させ、効果を有することが示された実験において、再生時間は、エチルヘキサン酸スズ還元剤の量を変化させることによってより大きく影響されることが示された(表I参照)。
【表3】

【0118】
TIPSOCLMB−含有接着剤処方を用いてDVD−5ディスクを作成し、60℃にて48時間で酸素フリーの雰囲気中で脱ブロックした。その時点で、ディスクを雰囲気室内空気に暴露し、X−Rite反射デンシトメーターでメチレンブルー発色速度を定量した。短い再生時間は、シアン濃度が0.35だけ増加する時間であると選択され、これは、低い品質のDVDプレイヤーが典型的なものである45%反射率における再生性カットオフに概ね対応する。長い再生時間は、シアン密度が0.85だけ増加した時間であると選択され、これは、高品質のDVDプレイヤーが典型的なものである10%反射率における再生性カットオフに概ね対応する。
この拡大された再生についての最もありそうなメカニズムは、還元剤のほとんどが消費されるまでの、最初に形成されたメチレンブルー染料のロイコ形態への還元である。ロイコ染料が影響される前に酸素を消費するための重要な酸素スカベンジャーとして作用するスズ化合物のごとき別のメカニズムも可能である。
硬化されたマトリックス内の移動度は、還元速度に対して有意な効果を有すると予測され;事実、本実施例で用いたモノマーの計算されたガラス転移温度(Tg)は−34℃である。そのような柔軟なマトリックスにおいては、適切な分子移動度は、還元剤および染料分子の分子接触を可能とするために存在すべきである。
【0119】
別の還元剤はアセチルアセトネートキレート、脂肪アルファ−アミノ酸キレートおよび塩のごときUV硬化処方;脂肪カルボキシレートのごとき可溶性鉄(II)化合物およびアセチルアセトネートのごときキレート;アスコルビン酸およびアスコルビルパルミテートのごときその誘導体;2,5−ジ−tert−アミルヒドロキノンのごときヒドロキノン;アルキルヒドロキシルアミン;ヒドラジン;可溶化対イオンを持つジチオネート;グルコースのごとき還元性糖;アセトールのごときアルファ−ヒドロキシケトン;適切に置換されたホウ素およびケイ素水素化物に可溶性である他のSn(II)化合物を含むであろう。これらの物質の多くは現行の活性な接着性処方に難溶性であるので、モノマーおよびオリゴマーのより便宜な選択は、良好な接着剤および染料の安定化特性を依然として供しつつ、これらの別の還元剤のうちの1つを用いることを可能とするであろう。
【0120】
将来の世代のプレイヤーにおける再生からの消滅ディスクの防止
将来の世代の光学ディスクおよびプレイヤーは、典型的には、技術の消費者および他の使用者のために増大した性能を供するように開発される。例えば、DVDはCDと比較して増大した貯蔵容量を供し、次世代の「青色レーザー」DVDは今日のDVDと比較して改良された容量を供するであろう。現在開発中の「DVR」フォーマットのごとき引き続いての世代の光学貯蔵媒体はなおより大きな容量および性能を有するであろう。
光学媒体プレイヤーは、典型的には、従来の世代のディスクを再生する能力を持つように作成される。例えば、CDプレイヤーはCDを780ナノメートルの波長で読み出すレーザーを用いる一方で、DVDプレイヤーは、典型的には、CDディスクを650ナノメートルで読み出すその読出レーザーを使用する。次世代DVD(「青色レーザーDVD」)は、450ないし460ナノメートルの波長でのレーザーで読み出すように設計され;「DVR」フォーマットはほぼ405nmを発光するレーザーを用いるであろう。将来の世代のプレイヤーは、その450ないし460ナノメートルまたは405ナノメートルのレーザーで現行のDVDを読み出すことができるようである。
【0121】
現行の光学ディスクプレイヤーにおいて読出レーザーを阻害するのに用いる染料は、典型的には、これらのプレイヤーによって使用される読出レーザーに干渉するように設計されるが、より短い波長を有するような読出レーザーの将来のプレイヤーには干渉しないであろう。この意味は、消滅したディスクは、例えそれらは現在の世代のプレイヤーで再生できないにもかかわらず、将来の世代のプレイヤーが入手可能となれば、それらは再生可能となるということである。現行のDVDプレイヤーにおける読出レーザーを阻害するのに用いる染料は、典型的には、650ナノメートルの読出レーザーに干渉するように設計され;しかしながら、そのような染料は450ないし460ナノメートル範囲の読出レーザーには干渉しないであろう。例えば、Smithらに提案された読出阻害染料のうちの1つであるメチレンブルーは、650ナノメートル波長においては強力に吸収性であるが、450ないし460ナノメートル範囲では本質的に透明である(図19参照)。該意味は、消滅したDVDは青色レーザーDVDプレイヤーで再生できるということである。
【0122】
本発明のもう1つの具体例は、将来の世代のプレイヤーでは再生されず、かくして、将来の世代のプレイヤー(例えば、青色DVDプレイヤー)が入手可能になる場合に消滅したディスクが再生可能となるのを妨げる光学ディスクである。これは、将来の世代のプレイヤーの読出レーザーに干渉し、かくして、そのようなプレイヤーにおけるディスクの読出を阻害する選択的に干渉性の層をディスクの光学経路に取り込むことによって達成できる。そのような層は、あるタイプのプレイヤーでは読出レーザーに干渉しないが、他のタイプのプレイヤーでは読出レーザーに干渉する(または変化して、所定の刺激に応答して干渉するようになる)染料または顔料を配合することによって設計することができる。例えば、アクリジンイエロー[135−49−9]は635および650ナノメートルの波長では本質的に透明であるが、450ないし460および405ナノメートルの波長では強力に吸収する(462nmにおいてエタノール中で吸収最大、モル吸光係数=37,000M-1cm-1)。別法として、9,10−ビス(フェニルエチニル)アントラセン[10075−85−1]もまた635ないし650ナノメートルの範囲では全く吸収しないが、450ないし460および405ナノメートルの範囲では強力に吸収性である(シクロヘキサン中455nmにて吸光度最大、モル吸光係数33,000M-1cm-1)。(450ないし460または405nmいずれかにおいて)青色レーザー光をブロックするのに用いることができる他のクラスの染料および顔料は芳香族炭化水素、アゾ染料、シアニン、ポリメチン、カロチノイド、ヘミシアニン、スチリル、キナルジン、クマリン、ジ−およびトリアリールメチン、アントラキノン、ニトロおよびニトロソを含む。前記したごとく、メチレンブルーは450ないし460ナノメートルの波長において本質的に透明であるが、635ないし650ナノメートルの範囲で強力に吸収する。
【0123】
本発明の1つの具体例において、選択的に干渉する層は、読出レーザーの光学経路中の専用層である。光学ディスクのためにさらなる設計エレメントを導入しないので好ましい具体例のようであるもう1つの具体例において、選択的に干渉する層は基材または反応性層のごときディスクのもう1つのエレメントと組み合わされる。例えば、これは、アクリジンイエロー[135−49−9]または9,10−ビス(フェニルエチニル)アントラセン[10075−85−1]のごとき適当な染料または顔料を、ディスクの基材を成型するのに用いられるポリカーボネートまたはポリマーと、または前記した特殊DVD−5設計における結合層のごとき、消滅ディスクにおける反応性層と混合することによって発生されよう。
【0124】
データの回復を妨げるためのさらなるメカニズムの使用
本発明のもう1つの具体例は、読出レーザーを阻害することによって光学ディスクの読み出しを妨げるメカニズムと、ディスク上のデータ構造に暗号化された情報の回復を妨げるさらなるメカニズムとを組み合わせることである。これらのさらなるメカニズムは、読出レーザーを阻害することによって働くメカニズムよりもその活性化のタイミングの余り正確でない制御でもって設計することができる。かくして、読出レーザーと干渉することによって光学ディスクの消滅を制御するメカニズムと、光学ディスク上のデータの回復を永久に妨げるさらなるメカニズムとを組み合わせるのが望ましいであろう。例えば、そのパッケージングからディスクを取り出すごとく、制御された期間で、例えば、所定の刺激の後ほぼ24時間以内に、光学経路中の層を透明から半透明に変換することによってディスクは再生不可能となるであろう。加えて、二次メカニズムは、ディスク上の金属層を腐食でき、そのようなメカニズムは1ないし2週間のごとく長期間にわたって作用し、同一または異なる刺激によってトリガーされる。ディスクがそれから構成されるポリカルボネート材料を劣化させる添加剤のごときさらなるメカニズムも使用することができ、このプロセスは(雰囲気空気への暴露のごとき)同一刺激、または(ディスクをCDまたはDVDプレイヤーで再生する場合に発生する遠心力のごとき)異なる刺激によってトリガーすることができる。これらのバックアップメカニズムについての他のトリガリング刺激は空気、光、物理的運動、および製造またはパッケージングからの時間の種々の要素を含むことができる。多くの他のメカニズムが可能である。
【0125】
これを達成する1つの方法は、光学ディスクの結合層または基材のうちの1つのごとき、この目的のために一体化される材料によって、または現存材料によって、情報を担うアルミニウム層から分離された金属銀の層を蒸着することである。この銀層はアルミニウムの上方または下方とすることができ、もしそれが下方であれば(かくして、読出レーザーの経路中にあれば)、読出レーザーがアルミニウム層上の情報を読み出すことができるように、それは最初は充分に透明である必要がある。
本発明の1つの具体例において、DVD−9ディスクは、適当な誘電特性を持つ材料よりなる反応性結合層でもって、およびL0およびL1のための金属の適当な選択でもって製造される。例えば、L0は銀より作成でき、およびL1はアルミニウムより作成できる。
【0126】
銀層およびアルミニウム層が適当な誘電性材料によって分離される場合、酸素への暴露に際し、銀はカソードとして働き、その上でO2が還元され、アルミニウムはアノードと
して働く。銀およびアルミニウム層の間でショートが発生する場合のみ腐食は速い。ショートの発生は、分離材料を介しての銀デンドライトの成長に由来する。分離材料を介してデンドライトを成長させるためには、いくらかイオン伝導性を有する材料を用いるのが望ましい。いくつかのそのような分離材料はある種のポリアクリレートよりなる。もしポリアクリレートがわずかに加水分解されれば、あるいはそれが例えば2−ヒドロキシエチルアクリレートコポリマーであれば、いくらかイオン伝導性があるであろう。好ましいのはポリ(アクリロニトリル)の、またはポリ(4−ビニルピリジン)の、またはポリ(1−ビニルイミダゾール)のコポリマーである。これらの全ては銀、銅またはタリウムイオン(Ag+、Cu+またはTl+)を伝導すべきである。タリウムはその毒性のためより好ま
しくない。
【0127】
化学方程式は以下の通りである:
銀は空気−酸化される:
4Ag+O2→Ag2O(ラッカーと複合体化)
Ag2O+H2O+複合体→2Ag+(複合体化)+2OH-
Ag+はアルミニウムによって還元され、アルミニウムは酸化される(もしAg+がラッカー中で移動できれば、これはAg+を導電するように設計される)。
【0128】
Ag++Al→Al3++3Ag0
Al3++3OH-→Al(OH)3→Al(O)OH+H2O
【0129】
銀デンドライトはアルミニウムから銀への成長を開始する。2つの層をショートさせると、電池の(Al)アノードおよび(Ag)カソードの間の「スイッチ」が閉じられる。腐食は迅速かつ大変動的である。当業者であれば、他の同様な金属を本実施例におけるAlおよびAgに代えて置換することができるのを認識するであろう。
【0130】
別法として、反応性層を介してデータ層を永久的に腐食させる他の方法を使用できる。例えば、本発明のある具体例は、反射性金属層の腐食を促進する結合層を有することができるか、あるいは結合層から反射性層(複数層)へのいくつかの物質の拡散を含むことができる。他の具体例においては、さらなるメカニズムは結合材料の一部ではないであろう。例えば、腐食性物質の前駆体を金属層に隣接させて蒸着することができる。酸素またはいくつかの他の適当な物質が基材を通って拡散し、腐食性前駆体に到達すると、反応が開始し、その結果、長期間にわたってディスク上のデータ構造を永久的に破壊する腐食性物質が生じる。別法として、ポリカルボネートのごときディスクの基材中の材料は、それが長期間にわたって劣化し、かくして、ディスクを使用できなくするように作成できよう。そのような物質および反応は当業者に知られている。
同様な機能を行なうもう1つの組成物は、基材それ自体が経時的に修飾されるものである。基材の修飾は、それがその光学的品質を変化させるようにし、それにより、読手に到達するシグナルを劣化させる。これらの光学的品質はその屈折率またはその透明性を含むことができる。
【0131】
さらに、前記したごとく、基材の修飾は基部金属層がその光学的特性を変化させるようにする。このように、時間−感受性基材および/またはラッカーを、非−反射性となる反射性層と組み合わせることができよう。
ポリマーフィルムの透明性は以下の:フィルムと水との反応;フィルムと酸素との反応;またはフィルム中のポリマー分子の増大した整列を意味するポリマーの結晶化のうちのいずれかによって変化させることができる。
例として、酸素または水のごとき空気中の成分によって変化する基材を選択することができよう。例えば、酸素は基材を酸化し、その透明性またはその屈折率の変化を引き起こす。別法として、基材は空気中の水を吸収するように設計することができ、それを膨潤させ、その光学特性を変化させる。もう1つの例は、酸素に対するその透過性を経時的に基材が変化させ、それにより、金属層の酸化を行なうことである。後の場合、光学媒体の全時間感受性は、基材および/またはラッカーおよび反射性層双方の特性の関数であろう。
基材または金属層は光の特異的波長に対して感受性とすることができる。これらの波長への暴露は、層の光学特性の変化を引き起こし、それにより、読手に到達するシグナルを劣化させる。例は基材の光脱重合;酸の光発生;シングレット酸素の光発生;およびポリマーのジッピング解除(例えば、架橋性水素結合の開裂)を含む。光−活性化触媒の基材または金属層への配合はこの目的を助けることができる。
【0132】
従って、本発明の例示的具体例に向けられたある程度の特別性にて本発明を記載してきた。しかしながら、ここに含まれる発明的概念から逸脱することなく、本発明の例示的具体例に対して修飾または変形を成すことができるように、本発明は先行技術に照らして解釈される以下の請求の範囲によって規定されると認識すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】図1は、DVD−5基材を複製するにおいて用いる物理的スタンパーを作成 するプロセスにおける選択された段階の模式的断面図である。
【図2】図2は、単一層のDVD−5ディスクの模式的断面図である。
【図3】図3は、標準DVD−5の製造および読出を説明する模式的断面図である。
【図4】図4は、片側単一層、片側二重層、二重層片側、および二重層両側DVD構 築体を現すダイアグラムである。
【図5A】図5Aは、単一層および二重層DVDについての基材の厚みの関数として の屈折率を示すグラフである。
【図5B】図5Bは、単一層および二重層DVDについての基材の厚みの関数として の屈折率を示すグラフである。
【図6】図6は、単一層およびデュアル層DVDについての読出可能性を示す模式図 である。
【図7】図7は、結合層が読出レーザーの光学経路中にある修飾されたDVD−5構 築体を示す模式的断面図である。
【図8】図8は、結合層が読出レーザーの光学経路中にある改変されたDVD−5構 築体の製造および読出を示す模式的断面図であり、ここに、マザースタンパーを用い てL1基材を成型した。
【図9】図9は、標準DVD−5構築体のスタンパー参照面を示す模式的断面図であ り、ここに、ピットおよびランドがL0基材中に成型される。
【図10】図10は、修飾されたDVD−5構築体のスタンパー参照面を示す模式的 断面図であり、ここに、ピットおよびランドがL1基材中に成型される。
【図11】図11は、DVD−5ファーザースタンパーの原子間力顕微鏡の像を示す グラフである。
【図12】図12は、DVD−5マザースタンパーの原子間力顕微鏡の像を示すグラ フである。
【図13】図13は、マザースタンパーから成型された修飾されたDVD−5のL1 層の原子間力顕微鏡の像を示すグラフである。
【図14】図14は、修飾されたDVD−5の製造および読出を示す模式的断面図で あり、ここに、L1層はファーザースタンパーから成型され、ここに、ラセン状トラ ックの方向はマスタリングの間に逆とされた。
【図15】図15は、修飾されたDVD−5構築体のスタンパー参照面を示す模式的 断面図であり、ここに、ピットはランドの表面の上方にあり、ランドはL1基材の参 照面にある。
【図16】図16は、修飾されたDVD−5構築体のスタンパー参照面を示す模式的 断面図であり、ここに、ピットはL1基材の参照面の上方にあり、ランドはL1基材 の参照面にある。
【図17】図17は、トリイソプロピルシリルオキシカルボニルロイコメチレンブル ーの合成のための可能な合成経路を示す。
【図18A】図18は、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタンの存在下に おける時間の関数としてのトリイソプロピルシリルオキシカルボニルロイコメチレン ブルーで被覆した光学的に読出可能な貯蔵媒体のシアン反射率密度を示す。
【図18B】図18Aと同様の、シアン反射率密度を示す。
【図18C】図18Aと同様の、シアン反射率密度を示す。
【図19】図19は、メチレンブルーのスペクトル吸収を示すグラフである。
【図20】図20は、修飾されたDVD−9構築体を示す模式的断面図であり、ここ に、L0層は部分的に金属化されている。
【図21A】図番に「21A」がつくものには、図21A−1から図21A−3まで あることを示す図である。
【図21A−1】図21A−1から図21A−3までによって、修飾されたDVD− 5構築体についてのKochテストの結果を示すグラフが示されるが、図21A−1 は、そのグラフの一部を成す図であり、ここに、ピットはファーザースタンパーを用 いてL1基材中の窪みとして成型され、ここに、ラセン状トラックの方向はマスタリ ングの間に逆にされる。
【図21A−2】図21A−1同様に、Kochテストの結果を示すグラフの一部を 成す図である。
【図21A−3】図21A−1同様に、Kochテストの結果を示すグラフの一部を 成す図である。
【図21B】図番に「21B」がつくものには、図21B−1から図21B−3まで あることを示す図である。
【図21B−1】図21B−1から図21B−3までによって、修飾されたDVD− 5構築体についてのKochテストの結果を示すグラフが示されるが、図21B−1 は、そのグラフの一部を成す図であり、ここに、ピットはファーザースタンパーを用 いてL1基材中の窪みとして成型され、ここに、ラセン状トラックの方向はマスタリ ングの間に逆にされる。
【図21B−2】図21B−1同様に、Kochテストの結果を示すグラフの一部を 成す図である。
【図21B−3】図21B−1同様に、Kochテストの結果を示すグラフの一部を 成す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ記憶媒体であって、第1基材と第2基材とを含んでおり、少なくとも該第1基材はその表面上に反射性材料によって被覆された複数のピットおよびランドを構築しており、本データ記憶媒体はさらに、前記第1基材と前記第2基材との間に提供された接着層と、空気、水分、光、物理的動作あるいはそれらの組み合わせである刺激に反応して所定周波数範囲の光を遮る反応性剤と、前記刺激に反応して前記反応性剤の反応特性の劣化を促進させる別反応性剤とを含んでいることを特徴とするデータ記憶媒体。
【請求項2】
接着剤であって、熱可塑性アクリルポリマー、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリチオレン、紫外線硬化性有機樹脂、ポリウレタン、熱硬化性アクリルポリマー、アルキド、ビニル樹脂およびそれらの組み合わせの少なくとも1種を含んだ担体物質と、
アジン、オキサジン、チアジンおよびそれらの組み合わせから選択される染料の還元によって誘導される少なくとも1種のブロック染料とを含んでいることを特徴とする接着剤。
【請求項3】
光学媒体であって、第1基材と第2基材とを含んでおり、該第1基材と該第2基材の少なくとも一方は情報エンコード特性を有しており、
本光学媒体はさらに、前記第1基材と前記第2基材との間に提供された接着層を含んでおり、
該接着層は、空気、水分、光、物理的動作あるいはそれらの組み合わせである刺激に反応して透明形態から光を遮る形態に変性するものであり、
さらに該接着層は、熱可塑性アクリルポリマー、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリチオレン、紫外線硬化有機樹脂、ポリウレタン、熱硬化性アクリルポリマー、アルキド、ビニル樹脂およびその組み合わせの少なくとも1種を含む担体物質と、アジン、オキサジン、チアジンおよびその組み合わせから選択される染料の還元によって誘導される少なくとも1種のブロック染料を含んだ反応性剤とを含んでいることを特徴とする光学媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18A】
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【図18B】
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【図18C】
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【図20】
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【図21A−1】
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【図21A−2】
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【図21B−1】
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【公開番号】特開2009−259389(P2009−259389A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−148865(P2009−148865)
【出願日】平成21年6月23日(2009.6.23)
【分割の表示】特願2003−502532(P2003−502532)の分割
【原出願日】平成14年6月5日(2002.6.5)
【出願人】(503437130)フレックスプレイ テクノロジーズ,インク. (1)
【Fターム(参考)】