説明

関節付き支持アセンブリ

【課題】
【解決手段】関節付き支持アセンブリは、ステップ式ヘッド締め付けロック(12)と、ステップ式ヘッド締め付けロックに結合されたロック可能支持アセンブリであって、静止物体に選択的に解除可能に結合できることで、静止物体の平面に対して、ある位置に向かって装置を複数平面に直交するように操作することを可能にするロック可能支持アセンブリ(14)と、ロック可能支持アセンブリに結合された複数のジョイントであって、複数平面に直交する動きを可能にするジョイント(16a、16b、18a、18b、29a、29b)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
医療分野が進歩するにつれ、監視および手術のための道具を正確に位置決めする必要のある外科手術が必要になっている。放射線技師は、超音波およびコンピュータ断層撮影(「CAT」)走査技術、磁気共鳴画像化技術、およびX線透視画像化技術を用いて、多数のガイド下生検を行う。生検およびその他の処置は、様々な針状の器具を用いて実行される。
【0002】
例えば、前立腺癌の治療のために現在広く用いられている有名な方法としては、悪性腫瘍の内部または近傍に放射性エネルギ源を配置する癌治療の一形態である近接照射療法が挙げられる。一般に、近接照射療法は、高線量率(HDR)および低線量率(LDR)の2種類に分類できる。HDR近接照射療法では、高活性の放射性エネルギ源が、所定の期間、悪性腫瘍の内部または近傍に配置される。逆に、LDR近接照射療法は、低活性の放射性エネルギ源を、期間を決めずに、悪性腫瘍の内部または近傍に配置する。
【0003】
LDR近接照射療法では、放射性同位体が、放射性エネルギ源として用いられる。LDR近接照射療法で用いられる一般的な放射性同位体としては、ヨウ素125、パラジウム103、金198、イッテルビウム169、およびイリジウム192が挙げられる。これらの同位体は、通例、チタニウムのような軽量で耐久性のある材料で形成されたハウジングに梱包されており、一般に、同位体種と呼ばれている。同位体種の寸法は、直径および長さの両方で極端に変化してよい。LDR近接照射療法で一般に用いられる放射性同位体は、低エネルギと比較的短い半減期から選択される。低エネルギ源では、放出される放射線による組織への透過が限られているため、放射線の効果は腫瘍に限定され、近傍の正常な組織にほとんど影響を与えることがない。短い半減期は、供給される放射線照射量が、適度に短い期間で消失することから有利である。
【0004】
ヨウ素125およびパラジウム103の治療効果の範囲は、同位体種の周りの直径約1cmの球の領域に限られている。結果として、一般的には、腫瘍を治療するために、三次元配列の同位体種が用いられる。前立腺癌のLDR近接照射療法では、通例、複数の同位体種が用いられる。前立腺癌で観察されるような固形腫瘍は、拡散が認められるため、器官全体が治療の対象となる。
【0005】
同位体を前述の三次元配列に配置するためには、縦方向の間隔と共に二次元のグリッドパターンを用いて、針により、同位体種を供給することができる。二次元グリッドは、テンプレートと呼ばれる針のガイドによって規定されることが多い。テンプレートには、針の縦方向への進行を案内するための複数の穴が設けられており、それにより、針は、腫瘍内の所望の二次元的な位置に確実に配置される。二次元的な針の配列が、腫瘍内に配置された後、各針の縦軸に沿って同位体種が配置される。
【0006】
現在、近接照射療法の処置で用いるよう設計された多くの市販の針ホルダを支持、操作、および安定させるための多くの装置が市販されている。一般に、それらの装置は、同様の基本的な制限を克服していない。すなわち、それらは、探針が最初に体内に挿入されてからスタンドに取り付けられる「挿入後」探針固定装置である。これは、その後に探針を挿入口に対して再配置する必要があり、そのため、所望の探針の配置を実現するために貴重な時間を浪費することになる。
【0007】
これらの欠点を改める試みとして、挿入後固定装置が、いくつか開発された。これらの装置では、探針は、最初にスタンドに取り付けられる。次いで、取り付けられた探針と微調整機構との複合体は、患者の体内への探針の挿入を促進する自由な全方向モードになるよう解除される。例えば、近接照射療法では、探針は、手動で直腸に挿入され、超音波画像の監視によって観察して確認された通りに、所望の配置が実現されると、装置は、固定モードに設定される。
【0008】
現在利用可能な多くの装置は、いくつかの軸に沿った移動を提供するが、かかる移動では、調整中に他の軸の配置を損なうという危険がある。さらに、かかる装置の微調整は、非常に制限されている。また、かかる装置は、扱いにくく、床のスタンドによる安定性またはテーブル取り付け構造を実現するために重いおよび/または幅広い傾向があり、そのため、ユーザの移動および患者へのアクセスが妨害される傾向がある。周知の安定化アセンブリは、近接照射療法のための装置の支持に用いられる物も含めて、医師による操作が困難で、動作の信頼性がないことが多く、機械的な問題を起こしやすい。さらに、支持装置を所望の位置にロックする際の信頼性および利便性を実現することは、しばしば困難であり、多くの安定化装置が実現できる移動の範囲および多様性は不十分である。
【0009】
そのため、動作の際の信頼性および利便性が高く、所望の位置に容易にロック可能であり、様々な取り付け構造に容易に取り付け可能であり、特に、様々な処置で利用するための装置の支持、操作、および安定化を改善するために滑らかで正確に移動可能である新しい安定化装置が求められている。さらに、装置の支持、操作、および/または安定化を改善が役に立つ他の医療処置や医療以外の用途も数多く存在する。
【発明の開示】
【0010】
本発明は、上述の保護装置に対する必要性をなくすために、関節付き支持アセンブリを提供する。
【0011】
本発明によると、関節付き支持アセンブリであって、ステップ式ヘッド締め付けロックと、ステップ式ヘッド締め付けロックに結合されたロック可能支持アセンブリであって、静止物体に選択的に解除可能に結合できることで、静止物体の平面に対して、ある位置に向かって装置を複数平面に直交するように操作することを可能にするロック可能支持アセンブリと、ロック可能支持アセンブリに結合された複数のジョイントであって、複数平面に直交する動きを可能にするジョイントと、を備える、アセンブリが提供されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
ここで、図1を参照して、本発明の好ましい実施形態を、関節付き支持アセンブリ10として説明する。関節付き支持アセンブリ10は、ステップ式ヘッド締め付けロック12と、ロック可能支持アセンブリ14と、複数のジョイント16a、16b、18a、18b、29a、および29bを備える。
【0013】
図1に示すように、ステップ式ヘッド締め付けロック12は、取り外し可能ステップ式ヘッドアセンブリ20をロック可能支持アセンブリ14に固定する。図2に示すように、取り外し可能ステップ式ヘッドアセンブリ20は、ステップ式ヘッド締め具13内に滑り込んで、適所に固定される。ステップ式ヘッド締め具13が、ロック可能支持アセンブリ14に結合されることにより、取り外し可能ステップ式ヘッドアセンブリ20をロック可能支持アセンブリ14に係合することが容易になる。取り外し可能ステップ式ヘッドアセンブリ20が、適切な位置に配置されると、ステップ式ヘッド締め付けロック12は、取り外し可能ステップ式ヘッドアセンブリ20のロック可能支持アセンブリ14への係合を締め付ける。
【0014】
取り外し可能ステップ式ヘッドアセンブリ20は、数多くの装置を支持することが可能であり、例えば、それらの装置は、近接照射療法の装置、レーザ装置、超音波装置、X線装置、および照明装置などの医療機器を含むが、それらに限定されない。本発明の好ましい実施形態では、医療機器40は、細長い針を通じて患者の体内に放射性同位体種および非放射性のスペーサを挿入するための近接照射療法の装置である。
【0015】
医療機器40を用いて放射性同位体種および非放射性スペーサを効果的に挿入するために、関節付き支持アセンブリ10は、静止物体に選択的に解除可能に結合できることで、静止物体の平面に対して、ある位置に向かって医療機器を複数平面に直交するように操作することを可能にすることが好ましい。静止物体は、医療用のテーブルであることが好ましいが、壁、床、天井、台など、他の静止物体であってもよい。ロック可能支持アセンブリ14は、ロック可能支持アセンブリ14を静止物体に固定するための少なくとも1つの締め具32aまたは32bを備える。ロック可能支持アセンブリ14が、静止物体(図示せず)に固定されると、静止物体ロック30が、ユーザによって操作され、ロック可能支持アセンブリ14と静止物体との間の確実な係合を実現する。
【0016】
ロック可能支持アセンブリ14が、静止物体に完全に固定されると、支持アーム22aおよび22b(それぞれ、締め具32aおよび32bと同じ構造から形成されてもよい)が、静止物体の第1の平面にほぼ平行な第1の平面での移動を可能にする。支持アーム22aおよび22bは、ジョイント関節点16aおよび16bを備える。ジョイント関節点16aおよび16bは、アーム24aおよび24bが内側にはめ込まれるよう構成されている。ジョイント関節点16aおよび16bとアーム24aおよび24bとの間の結合は、数多くのジョイント構成のいずれであってもよいが、ジョイント構成は、静止物体の第1の平面にほぼ平行な第1の平面内で動くことが好ましい。
【0017】
アーム24aおよび24bが所望の位置に配置されると、水平位置ロック28aおよび28bが、ユーザによって操作され、アーム24aおよび24bとジョイント関節点18aおよび18bとの間の動きを締め付けて防止する。これにより、関節付き支持アセンブリ10が、静止物体の第1の平面にほぼ平行な第1の平面に対して、ある位置に保持されることが可能になる。ジョイント関節点18aおよび18bは、さらに、静止物体の第2の平面にほぼ平行な第2の平面内の関節付き支持アセンブリ10の動きを可能にする。本発明の好ましい実施形態では、第2の平面は、第1の平面にほぼ垂直である。例えば、第1の平面が静止物体の水平面である場合には、第2の平面は、対応するほぼ垂直な垂直面である。アーム27aおよび27bは、ジョイント関節点18aおよび18bに係合しており、アーム24aおよび24bが動く方向に垂直な方向に動く。所望の位置に配置されると、アーム24aおよび24bは、垂直位置ロック26aおよび26bによってその位置にロックされる。垂直位置ロック26aおよび26bは、ユーザによって操作され、アーム27aおよび27bとロック可能支持アセンブリ14との間の動きを締め付けて防止する。これにより、ロック可能支持アセンブリ14が、静止物体の第2の平面にほぼ平行で静止物体の第1の平面にほぼ垂直な第2の平面に対して、ある位置に保持されることが可能になる。
【0018】
次いで、ロック可能アセンブリ14は、ジョイント関節点29aおよび29bを締め付けることにより固定されてよい。ジョイント関節点29aおよび29bの締め付けは、アセンブリロック25を係合して、ロック可能支持アセンブリ14によって、望まない動きを防ぐことにより実現される。取り外し可能ステップ式ヘッドアセンブリ20は、微調整アセンブリ34によって装置38の位置決めのために微調整されてよい。さらに、取り外し可能ステップ式ヘッドアセンブリ20ひいては装置38の傾斜が、同様に調整されてよい。取り外し可能ステップ式ヘッドアセンブリ20の所望の傾斜が位置決めされると、ユーザは、傾斜ロック36を係合して、取り外し可能ステップ式ヘッドアセンブリ20が所望の傾斜から動くことを防止してよい。
【0019】
本発明の代表的な実施形態の一部だけを詳述したが、本発明の新規の教示および利点を実質的に逸脱することなく、それら代表的な実施形態に対する多くの変形例を実現できることは、当業者にとって明らかである。したがって、かかる変形例はすべて、以下の番号が付された請求項に規定されるように、本発明の範囲内に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の好ましい実施形態の斜視図。
【図2】図1に示した本発明の好ましい実施形態の斜視図。
【符号の説明】
【0021】
10…関節付き支持アセンブリ
12…ステップ式ヘッド締め付けロック
13…ステップ式ヘッド締め具
14…ロック可能支持アセンブリ
16a…ジョイント
16b…ジョイント
18a…ジョイント
18b…ジョイント
20…取り外し可能ステップ式ヘッドアセンブリ
22a…支持アーム
22b…支持アーム
24a…アーム
24b…アーム
25…アセンブリロック
26a…垂直位置ロック
26b…垂直位置ロック
27a…アーム
27b…アーム
28a…水平位置ロック
28b…水平位置ロック
29a…ジョイント
29b…ジョイント
30…静止物体ロック
32a…締め具
32b…締め具
34…微調整アセンブリ
36…傾斜ロック
38…装置
40…医療機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
関節付き支持アセンブリであって、
ステップ式ヘッド締め付けロックと、
前記ステップ式ヘッド締め付けロックに結合されたロック可能支持アセンブリであって、静止物体に選択的に解除可能に結合できることで、前記静止物体の平面に対して、所定の位置に向かって装置を複数平面に直交するように操作することを可能にするロック可能支持アセンブリと、
前記ロック可能支持アセンブリに結合された複数のジョイントであって、複数平面に直交する動きを可能にするジョイントと、を備える、アセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載のアセンブリであって、さらに、
取り外し可能ステップ式ヘッドアセンブリを備える、アセンブリ。
【請求項3】
請求項1に記載のアセンブリであって、
前記ロック可能支持アセンブリは、少なくとも1つの支持アームを備える、アセンブリ。
【請求項4】
請求項3に記載のアセンブリであって、
前記少なくとも1つの支持アームは、前記複数のジョイントの1つに結合される、アセンブリ。
【請求項5】
請求項4に記載のアセンブリであって、
前記少なくとも1つの支持アームは、少なくとも1つの位置ロックを備える、アセンブリ。
【請求項6】
請求項5に記載のアセンブリであって、
前記少なくとも1つの位置ロックは、係合された際に垂直の動きを抑止する、アセンブリ。
【請求項7】
請求項5に記載のアセンブリであって、
前記少なくとも1つの位置ロックは、係合された際に水平の動きを抑止する、アセンブリ。
【請求項8】
請求項5に記載のアセンブリであって、
前記少なくとも1つの位置ロックは、係合された際に動きを抑止する、アセンブリ。
【請求項9】
請求項4に記載のアセンブリであって、
前記少なくとも1つの支持アームは、少なくとも1つの静止物体ロックを備える、アセンブリ。
【請求項10】
請求項9に記載のアセンブリであって、
前記少なくとも1つの静止物体ロックは締め付けロックである、アセンブリ。
【請求項11】
請求項2に記載のアセンブリであって、
前記取り外し可能ステップ式ヘッドアセンブリは、さらに、微調整アセンブリを備える、アセンブリ。
【請求項12】
請求項2に記載のアセンブリであって、
前記取り外し可能ステップ式ヘッドアセンブリは、さらに、傾斜ロックを備える、アセンブリ。
【請求項13】
請求項2に記載のアセンブリであって、
前記取り外し可能ステップ式ヘッドアセンブリは、前記装置を受け入れる、アセンブリ。
【請求項14】
請求項13に記載のアセンブリであって、
前記装置は医療機器である、アセンブリ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2006−516458(P2006−516458A)
【公表日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−503205(P2006−503205)
【出願日】平成16年1月30日(2004.1.30)
【国際出願番号】PCT/US2004/002723
【国際公開番号】WO2004/067046
【国際公開日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(591018693)シー・アール・バード・インコーポレーテッド (106)
【氏名又は名称原語表記】C R BARD INCORPORATED
【Fターム(参考)】