説明

関節部位用パック材

【課題】化粧料、薬液の液体又は薬剤の粉末からなる局所用組成物を収納してなる易破壊カプセルを内蔵した関節部位用パック材を得る。
【解決手段】アジャスト機構を有する伸縮式使い捨てオムツ型構造体に易破壊カプセルを内蔵することにより肘、膝、腰等の可動部に構造体をフィットさせて、局所を集中的にケアする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料や薬剤等の局所用組成物を封入してなる易破壊カプセルを内蔵した可動部用パック材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、化粧料等を密封した破壊性カプセルを内部空間に収納する化粧用塗布具等の美容パック材は公知である。例えば、液体非透過性シートと吸液シートとを重ね合わせたパック材内部に薬剤等を封入した特定構造の易破断性カプセルが内蔵され、かつ拡散シートを設けてなる身体各所用美容パック材は特許文献1に記載されており、また、皮膚と接触する側に薬液を供給できるカプセルを設けてなる絆創膏もまた、特許文献2〜5に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4226995号公報
【特許文献2】実開平02−143925号公報
【特許文献3】実開平03−073154号公報
【特許文献4】特開2005−288080号公報
【特許文献5】特開平03−020216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述するように、従来、薬剤や化粧料等を収納した用時易破壊性カプセルを、美容製品や絆創膏等の形態のパック材に収納させることは知られていたが、そのパック材は平面シート状であるため、適用部位は主に屈曲やねじりが可能な関節部を対象としておらず、パック材が使用される対象は腕や足、胴部や肩、顔面等の関節がなく屈曲やねじりが生じない部分の皮膚面である。
この従来のパック材を肘や膝等の関節部に貼り付け使用すると、日常動作や身体運動などによる関節の屈曲運動に伴う伸縮やねじりに伴って、貼り付けられたパック材は、ズレたり、表面に目立つ皺を生じたり、剥がれを生じて見栄えが悪くなるし、隙間からの液漏れが発生する場合もあった。それに伴って所定量の薬剤等が散逸してしまい十分量が皮膚面に接触・浸透することがないために有効に活用されず、また、剥がれることによっても、同様に有効に活用することができないことがあった。
また、絆創膏の場合のように粘着剤層を皮膚面に直接貼付すると、敏感肌の人の場合、皮膚にかぶれ、ただれを起こす場合があり、また、皮膚から剥離するときに痛みが生じ、好ましいものではなかった。さらに、一度貼付してしまえば貼る位置をずらそうと思っても、剥がさねばならず、付着した皮脂によって粘着性が低下してしまい調整が不可能であった。
【0005】
一方、肩部、肘部、膝部、踵部、踝部などの関節部位については、冬季の乾燥や、衣類・靴下などとの摩擦によって、かさつきやすくスキンケアが求められる部位である。にもかかわらず、従来のパック材によっては、上述した問題によりそのまま適用することは不可能であった。
そこで、本発明では、上述する従来の課題を解決し、動きの激しい関節のような可動部位にも常にフィットし、身体の種々の動作に伴って屈曲、ねじれが反復されても、これらの変形を吸収する機能を具備せしめることによって、運動が継続されても所定の装着位置からズレず、薬液が漏れることなく目的とする部位に集中的パックとその維持を可能とし、かつ必要に応じて装着位置を途中で微調整もできるパック材を提供しようとするものである。
さらに、高生産性で、経済性が高く、取扱い性がよく、皮膚刺激、感作性を装着者に与えず皮膚安全性の高いパック材製品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
皮膚接触側に透過性を有し、その内側に別に吸水性シートを配置してもよい第一のシートと、これに対向する側にバリア層を有していても良い第二のシートとを備え、これらシートの周縁部が互いに縫製又は接着されて形成される袋体部の内部に、易破壊性カプセルが内蔵されたパック材であって、該袋体部には着脱自在な固定具が接続されており、該袋体部及び/又は固定具が伸縮部を有していることを特徴とする関節部位用のパック材により、該易破壊性カプセル内蔵パック材を関節部に固定するようにし、該易破壊性カプセルが第一のシート及び第二のシートが縫製又は接着して形成された閉ループ状の領域内に封止されても良く、該袋体部周縁部にはギャザー状などの伸縮部が形成されたパック材とする。
そして、該易破壊性カプセルが鍔部を有する略半球形状で、該鍔部が第二のシート側になるように位置し、該パック材が伸縮性を有する肘や膝等の対象となる関節部の立体形状に適合する三次元形状であってもよく、伸縮性固定具が面ファスナー、接着剤層又はホックを伸縮性テープ先端に取り付けたものであってもよいパック材である。
【発明の効果】
【0007】
本発明による効果としては、構造体全体として伸縮性を具備するパック材とすることにより、関節等の曲げ伸ばしをする部位に適用しても、ズレの問題もなく、パック材の皺や剥離の発生を防止することで、対象とする部位に薬剤や化粧料のような局所用組成物を接触、浸透させ続けることができる。さらに特定の易破壊性のカプセルを併用することにより、高生産性で、経済性が高く、取扱い性がよく、安全であるような、易破壊性カプセルを収納する美容パック材を提供できるという効果を奏するものである。
さらに、貼付材のように皮膚に直接粘着剤により固定するものではないので、粘着剤が皮膚を刺激することによるかゆみやかぶれ、ただれを生じることがない。また、微調整機能により使用途中でも、必要に応じてパック位置を変更することも可能である。
本発明はこのような特徴を有しつつ、袋体部1に設けるカプセルの大きさ、つまり薬剤の量を調整したり、カプセルを配置する箇所と局所用組成物を拡げる液透過性不織布の大きさなどを調整することによって、関節部での対象の皮膚部位の大きさに応じることが可能となって、関節部における広範囲を対象としたり、逆にスポット的に狭い範囲を集中的にパックすることもできる。
さらに局所用の薬液を気密性カプセル内に封入することによって、使用開始前までは薬液が空気と接触せず、保存安定性が向上するので、ビタミンC等の酸化されやすい物質を含む局所用組成物を長期に保存した後であっても、薬液が変質せず十分なパック効果を期待して使用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】パック材の全体模式図(固定具が4本のもの)である。
【図2】図1のパック材のA−A方向の断面図である。
【図3】パック材の全体模式図の別例(固定具が3本のもの)である。
【図4】パック材を肘に装着した場合の使用態様を示す概念図である。
【図5】本発明に使用できる易破壊性カプセルの例
【図6】本発明に使用できる易破壊性カプセルの例
【図7】本発明に使用できる易破壊性カプセルの例
【図8】本発明に使用できる易破壊性カプセルの例
【図9】本発明に使用できる易破壊性カプセルの例
【図10】本発明に使用できる易破壊性カプセルの例
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に本発明の実施形態を図面を例にとって説明する。本発明のパック材1は、例えば図1に示すように、袋体部2の両側が伸縮部となるギャザー3を有し、そのギャザーの伸縮方向に沿って両側に2本ずつ、計4本の固定具4を接続し、その固定具4はベルト部5と固定部6とを有するものである。そして袋体部2の内部には、接着、縫製等の手段により、易破壊性カプセルを内蔵するための収納部7が設けられている。
図2は図1の線A−A位置での断面図であり、局所用組成物透過性の第一のシート8と基材シートである液不透過性の第二のシート9との間に挟まれるように、易破壊性カプセル10が封止され、袋体部2は該易破壊カプセルの周囲であって該袋体部の周縁部、つまり、第一及び第二のシートの周縁部より内側において、閉ループ状となるように第一及び第二のシートを11の箇所にて縫製又は接着されていても良い。このようにすると、易破壊カプセルをより制限された領域内に封止することができ、スポット的集中ケアに適する。さらに、該第二のシート9は局所用組成物が皮膚とは反対側に散逸することを防止するためのバリア層12を設けることができる。
【0010】
ここで、袋体部に伸縮部であるギャザーを設ける際には図1のような箇所に設けても良いし、袋体部2の固定具を接続した箇所に袋状部の縁に沿って設けても良く、さらに袋体部2の4辺に沿って設けても良い。該ギャザー3は、使用した際に関節部位に正確にフィットして、易破壊性カプセルが破壊されて流れ出た局所用組成物がパック材の外部に漏れることを防止する作用を示すのであって、ギャザー3は袋体部2に伸縮性を有するゴムのような線状又は帯状の弾性体を設置したり、乾燥して伸縮弾性を示す薬剤を袋体部2を構成する材料のうちのいずれかに線状に塗布したりして袋体部2の一部に伸縮性を持たせ、かつ、若干縮んだ程度の状態とすることにより形成が可能となる。このようにギャザーを袋体部の縁部分に設けると、引っ張ると真っ直ぐな状態となるが、引っ張り応力を開放すると原状に復帰して袋体部の縁部分が縮んだような襞形状となり、袋体部が略お椀型の立体形状となり、肘や膝のような関節部位にフィットしやすくなる。パック材を関節部位に装着することを考慮し、関節の屈伸に伴って伸縮する方向と、ギャザーの伸縮方向とがほぼ合致するようにギャザー部を設けるとフィット性をさらに高めることが出来る。
あるいは、第一のシート又は第二のシートを伸縮性素材として、これらから形成される袋体部そのものを伸縮部とすることもできる。
さらに、ギャザー部を設けるとともに、第一のシート又は第二のシートを伸縮性素材とすることで、両方を伸縮部とすることもできる。
固定具4は図3に示すように袋体部2の片側のみ幅広の固定具4を1本だけ設け、他の側にはより幅の狭い固定具4を2本設けても良く、本数や袋体部にどのような固定具を設けるか、また固定具を設置する位置、角度は、対象となる関節部位などにより任意に決めることができる。固定具に、任意の方法で伸縮部を設けることも好ましく出来る。
【0011】
固定具4は、使い捨て式おむつ構造体におけるアジャスト機構のように、皮膚に接触する袋体部2に接続した複数の固定具4同士を腕や足等に巻回して各固定具4の先端に設けられた固定部6同士を接続、あるいは1つ以上の固定具4を腕や足等に巻回し、その固定部6を袋体部2に接続する等により袋体部2を体に固定するものである。
このような手段により袋体部2を皮膚の局所に接触、固定させることで、関節を動かしても袋体部2自体の伸縮性によって皺や剥がれを発生させないことと共に、関節を動かしても袋体部2自体が対象となる皮膚の部位からズレたり、不用意に移動することがなく上記の課題を解決する。
さらに、袋体部2を関節部に当接するとともに、固定具4を巻回しつつ、最も適切に関節部に当たるように固定具4による固定箇所や袋体部2自体の伸縮の程度を調整するなど、適切に装着することが簡便にでき、装着後にも任意に装着位置や関節部での締め付け度合を任意に微調整することが可能である。特に図3に示したパック材の場合には、幅の狭い固定具を、相対する幅広の固定具の所定位置に固定させることになるので、調整できる範囲が広くなり、使用者の状態や使用態様等に応じてより的確に関節部位に固定することが可能となるので特に好適である。加えて、袋体部2が有する伸縮性又は固定具4のベルト部5に伸縮性を有する材料を用いた場合には、運動などによる激しい動きをしても、皮膚の局所に袋体部2が十分に追随してフィット性を保持できることになるし、さらに上記のようにギャザー部を設けると薬剤が液漏れすることもない。
もちろん、関節部から袋体部2と取り外す際には、固定具4の固定箇所を外すのみで十分であり、簡単な操作で取り外しが可能である。
固定具4は、ベルト部5に固定部6として面ファスナーを採用し取り付けたものでも良く、この場合はオス型面ファスナーを付けたベルト部5とメス型面ファスナーを取り付けたベルト部5を必要とし、これらの面ファスナーを取り付けた固定具4をそれぞれ袋体部2に接続させるものである。そしてパック材1の使用時には、袋体部2を身体の適用部位の関節部に押しつけながら、これらの面ファスナーを取り付けた固定具4を該関節近くの腕や足等に巻回して、オス型とメス型の面ファスナーを付着させて固定する。
【0012】
また、上記の例とは別に、図示はしていないが、面ファスナーのオス型又はメス型の一方を袋体部2の基材シート9の外側に設け、他方を固定具4に設けて、これを腕や足等に巻回して該オス型とメス型を付着させることによりを固定することもできる。
【0013】
また、伸縮性のベルト部5に面ファスナーに代えて接着剤層を設けた場合の固定具4も、袋体部2に1つ以上接続させることができ、パック材1の使用時には上記と同様に袋体部2を身体に押しつけながら、固定具4を延ばしつつ巻回して袋体部2の基材9の外側に接着させたりして袋体部1を身体に固定でき、また袋体部2に2つ以上の固定具4が接続されている場合には、関節近くの腕や足等に巻回しながらこれら固定具4同士を接着させることにより、同様に袋体部2を身体に固定できる。
【0014】
さらに、伸縮性のベルト部5に固定部6としてホックを設けた場合の固定具4は、上記の面ファスナーを採用した場合と同様にオス型とメス型のホックを別に有する2以上の固定具4を袋体部2と接続し、又は一方を袋体部2の基材シート9の外側に設けて、これを上記面ファスナーと同様にして腕や足等に巻回して使用する。
上記のようにベルト5は伸縮性を有していても良く有していなくても良い。このようなベルト5としては織布、不織布、樹脂シート、ゴムシート等任意のものを使用できるが、皮膚に接触した場合に不快感を有するものではなく、袋体部2に対して接着、縫製、あるいは袋体部の基材層9と連続した部材でも良い。
また、固定部6としては上記の面ファスナー、接着剤層、及びホックに限定されるものではなく、互いに係合できる固定手段を採用することもできる。
【0015】
局所用組成物透過性の第一のシート8は、織布、不織布、樹脂シート等からなるシートであって、多孔性を有するか、細かい目が開いていたり、これらの材料自体に局所用組成物が含浸されつつ徐々に表面に滲出するようにしても良いが、関節部位に直接接触する部材であるので、感触が良好であることが必要である。また、表面に滲出する量を調整するために目の孔径等を適切な範囲とすることができる。
第二のシート9は、上記第一のシートと同じような素材を使用することが出来るが、局所用組成物が袋体部2の背面に漏れることがなく、皮膚面に向けて流動させ、皮膚面とは反対側への流動を防止する機能を有することが好ましい。このためには、バリア層が積層された二層あるいはそれ以上の積層構造とすることもできるし、第二のシートそのものが局所用組成物に対してバリア性を有する合成樹脂製シートであってもよい。
第一のシートと、第二のシートとから袋体部2が形成されるが、パック材の装着、位置調整、パック使用中に耐えうる実用強度を有していることが好ましい。
また、袋体部の皮膚に密着する側の基材層2は予め肘や膝等の関節部位の立体形状に適合するような三次元形状に賦型していてもよく、その場合、より対象とする皮膚に袋体部1を密着させることができる。
また、易破壊性カプセル10は、上記第一のシートと第二のシート9との間に封入されていればよいが、これらシート間の空間内で転がったり、動き回らないように、収納部7の空間を該カプセルを収納できる必要最小限の容量になるように制限するとよい。このためには、第一のシートと、第二のシートとを袋体部の縁より内側で閉ループ線を描くように互いに縫製、接着又は熱接着するとよい。
あるいは、該カプセルの一部分を、第一のシートまたは第二のシートと接着剤又は熱接着などの手段により接着しておくこともできる。該接着剤としては、公知の接着剤を使用し得るが、水性接着剤、ホットメルト接着剤が有機溶剤を殆ど含有しない点で好ましく、ホットメルト接着剤は作業性の点から特に好ましい。そして、接着剤に使用される樹脂としても、これらのタイプの接着剤に使用される樹脂のなかから任意に選択し得る。
また、易破壊性カプセルと第一のシートとの間に、局所用組成物を保持したり、拡散できるように、繊維シートなどの別の吸水性シートをさらに設けることも出来る。局所用組成物が少しずつ滲出するように微調節が可能となる点で好ましい。
【0016】
本発明において局所用組成物を内蔵するための易破壊カプセル10としては、使用までの保管中はカプセルが破壊されることなく内容物の品質を保つことが出来、使用時に袋体部を形成するシートの上から手指で押圧することで破壊できる構造であれば特段限定されるものではない。
一例としては、図5〜9に示すように、合成樹脂フィルムを2方シール又は3方シールし、略帯状の易破壊部を設けた製袋包装体であり、易破壊シール部13と易破壊シール部ではないシール部14を有しており、2方シール又は3方シール包装機による製袋充填の高速化に伴って生産性は高く、原料素材のフィルムは特殊なものでなく、極めて安価に生産できる。破壊されてはならない時の事故に対する易破壊部の構成を、日本包装技術協会の包装製品の「使用目的に応じたヒートシールの強さの分類」に応じた下限基準値を満たすことにより取扱いの安全な品質とした。
上記日本包装技術協会では、包装製品の「使用目的に応じたヒートシール強さの分類」として、内容物が入った包装品の試験方法や審査基準(JISの一部と食品衛生法の用途別格基準の一部に見られる程度で、これらに関する基準はあまり存在していない)について定めている。すなわち、社団法人日本包装技術協会が包装製品の試験と検査基準について定めた「容器:包装 規制・基準の手引き」中の「包装製品の検査基準」の項中には、「袋の使用目的に応じたヒートシール強さの目安として、(A)重量物包装用袋などで、特に強いヒートシール強さを要する場合、ヒートシール強さN(N/15mm、以下共通){kgf/15mm}が、35N{3.5kgf/15mm}以上、(B)レトルト殺菌袋などで、強いヒートシール強さを要する場合、23N{2.3kgf/15mm}以上、(C)一般包装用袋などで、内容物の質量が大きく、やや強いヒートシール強さを要する場合、15N{1.5kgf/15mm}以上、(D)一般包装用袋などで、内容物の質量が小さく、普通のヒートシール強さを要する場合、6N{0.6kgf/15mm}以上、バーコード又はイージーピールの袋などで、ヒートシール強さが小さくてよい場合、3N{0.3kgf/15mm}以上と定められている。
本発明における日本包装技術協会作成の包装製品のヒートシール強さ分類の下限基準値の3〜6N/15mmとは、上記(D)の場合を意味する。
【0017】
このような易破壊性カプセル10のさらなる具体例としては、以下の構成を備えたものである。
(1)柔軟な合成樹脂フィルムからなる2方シール又は3方シールによる局所用組成物収納用製袋包装体であって、該シールの少なくとも1ヶ所が、他のヒートシール部より接着力が弱く、幅3mm以下のジグザグ形状に130℃以下でヒートシールされたヒートシール強さが「日本包装技術協会作成の包装製品のヒートシール強さ分類」の下限基準値の3〜6N/15mmを満たす易破壊部であり、且つ残りが、幅5mm以上の帯状に140℃以上の温度でヒートシールされたことを特徴とする易破壊性カプセル。
(2)上記局所用組成物が、粉末状、液状、ゲル状、クリーム状の化粧料又は薬剤から選ばれたものであることを特徴とする(1)に記載の易破壊性カプセル。
【0018】
柔軟な合成樹脂フィルムは、2方シール又は3方シールによりヒートシールで製袋されるものであり、ヒートシール材としては、ポリエチレン、ポリエチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体を単独又は他のフィルムと複合したフィルムを用い、収納成分によりバリア機能を有するフィルムを複合して用いることもできる。
シール形状と幅は、剥離のし易さと安全性に重要な機能を果たすものであり、ヒートシーラント素材の温度と強度の関係は、綿状低密度ポリエチレン(LLDPE)では、温度120℃のヒートシール強度3N/15mm、温度140℃のヒートシール強度50N/15mmが得られる。低密度ポリエチレン(LDPE)では、温度120℃のヒートシール強度8N/15mm、温度140℃のヒートシール強度35N/15mmが得られる。ポリエチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)では、温度100℃のヒートシール強度3N/15mm、温度130℃のヒートシール強度40N/15mmが得られるように、ヒートシール温度によってシール強度の差を設けることができる。
なお、ヒートシール強さは、「日本包装技術協会作成の包装製品のヒートシール強さ分類」の基準値によった。
【0019】
易破壊部の強さを上記測定法で3〜6N/15mmとし、易破壊部以外のシール部強さを23N/15mm以上とするには、ヒートシール温度を上記のように使用するフィルム種によって条件を使い分けて設定することが必要である。
本発明では、ヒートシール温度を130℃以下と140℃以上の温度差を設けて、130℃以下では易破壊部のヒートシールを行うことが適当であり、これに適するヒートシール材としては、LLDPEやLDPEが好ましい。
また、易破壊部の形成に当たっては、ヒートシールの幅を3mm以下のジグザグ形状にして130℃以下の温度でヒートシールをすることで、易破壊部の強さを3〜6N/15mmに設定する。
易破壊部以外のヒートシール部14は、必然的に上記易破壊部のヒートシール条件よりは強固な接着力を得るハードな条件が必要で、例えば5mm幅以上の帯状に140℃以上の温度でヒートシールをすることで強さ23N/15mm以上に設定することによって、易破壊部とのシール力の差異を顕著に設定することができる。
【0020】
ヒートシール部14を指圧により剥離し易くするには、幅を細くすることも重要な構成であるが、ヒートシールの形状、ヒートシール温度、と合間って、強さを3〜6N/15mmに設定して易破壊部を設けることにより、易破壊性に対して破壊事故を防止するために、(社)日本包装技術協会が示す包装製品に規制されている使用目的に応じたヒートシール強さの最低基準値は満たすようにした。強さはJISZ0238(1998)によるヒートシール軟包装体の試験方法による。
図5〜9に示されるように、易破壊に選ばれる少なくとも1ヶ所のヒートシール部13は、包装体の両端のいずれかでも、センターシール部でもよい。該当する包装体は縦形の2方シール機、3方シール機、ピロー包装機、テトラパック包装機、を用いて充填シールをすることができる。
易破壊性カプセルには局所用組成物として、粉末状、液状、ゲル状、クリーム状の化粧料、薬剤を充填し収納することができる。
【0021】
さらに他の易破壊性カプセル10の例としては、図10に記載するように、軟質の熱可塑性樹脂フィルム15に粘度が0.1〜10Pa・sec程度のパック剤成分を封入し、硬質又は半硬質の熱可塑性樹脂シートの上蓋16で覆い、その重ね合わせ周縁鍔部がヒートシールされており、そして上記易破断性カプセルは、略半球状又は略楕円球状で、一面が平面であって、曲面部が外部圧により容易に破断される易破断部17が形成されていてもよく、上記カプセルの易破断部が、カプセル成形金型の刻設によって形成されているカプセルを好ましく使用できる。
【0022】
該易破断域を設けるカプセルを構成する柔軟な熱可塑性樹脂として、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン又はポリエステルのフィルムを用いることができるが、金属蒸着フィルム又はラミネート複合フィルムを用いることも可能である。上蓋に用いる硬質又は半硬質の熱可塑性樹脂シートは、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン又はポリエステルを用いるのが適当であるが、外部圧に対して非破断性であれば、これらの素材に特定されることはない。
【0023】
また該易破断域を設けるカプセルは、上述するように易破断部17が形成された部分は略半球状又は略半楕円球状であり、他面は、平面であるので収納部7内で転がりにくく固定安定性がよいので、全面曲面の球状やピロー状のカプセルと相違し、使用時に外側から押圧すると易破断部に応力が集中するので、容易に、的確にカプセルを破断せしめ、カプセル外に微粉末又は液体を容易に漏れ出させることができる。このとき、略半球状又は略半楕円球状に形成された側が第一のシートに面するように配置すると(従って、鍔部が第二のシート側となる)、カプセル破壊後、内容物の局所用組成物が直接第一のシートに浸透していくので都合がよい。
【符号の説明】
【0024】
1・・・袋体部
2・・・基材層
3・・・ギャザー部
4・・・固定具
5・・・ベルト部
6・・・固定部
7・・・易破壊性カプセルの収納部
8・・・第一のシート
9・・・第二のシート
10・・易破壊性カプセル
11・・接着部
12・・バリア層
13・・易破壊シール部
14・・易破壊シール部ではないシール部
15・・硬質又は半硬質の熱可塑性樹脂シートの上蓋
16・・軟質の熱可塑性樹脂フイルム
17・・易破断部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚接触側に局所用組成物の透過性を有する第一のシートと、これに対向する側に第二のシートとを備え、これらシートの周縁部が互いに縫製又は接着されて形成される袋体部の内部に、局所用組成物を封入した易破壊性カプセルが内蔵されたパック材であって、該袋体部には着脱自在な固定具が接続されており、該袋体部及び/又は固定具が伸縮部を有していることを特徴とする関節部位用のパック材。
【請求項2】
前記第一のシートと、第二のシートとがさらに、前記周縁部より内側で閉ループ状に互いに縫製又は接着されており、易破壊性カプセルがこの領域内に封止されていることを特徴とする請求項1記載の関節部位用のパック材。
【請求項3】
前記第二のシートが、バリア層を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の関節部位用のパック材。
【請求項4】
前記伸縮部が、袋体部周縁部に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の関節部位用のパック材。
【請求項5】
前記伸縮部が、ギャザー状に形成されており、装着したときに関節部の屈曲に伴って伸縮するように設けられていることを特徴とする請求項4に記載の関節部位用のパック材。
【請求項6】
前記袋体部が、関節部位の立体形状にフィットする三次元形状であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の関節部位用のパック材。
【請求項7】
前記易破壊性カプセルが鍔部を有する略半球形状であり、該鍔部が第二のシート側となるように配置されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の関節部位用のパック材。
【請求項8】
前記易破壊性カプセルと、第一のシートとの間にさらに吸水性シートが配置されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の関節部位用のパック材。
【請求項9】
前記固定具が、面ファスナー、接着剤層又はホックを備えていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の関節部位用のパック材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−1306(P2011−1306A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−146144(P2009−146144)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【出願人】(591254958)株式会社タイキ (35)
【Fターム(参考)】