説明

防寒用の多目的シート

【課題】 ベストとしても、肩掛けとしても、さらに、腰巻きとしても使用できるようにした防寒用の多目的シートを提供せんとする。
【解決手段】 上辺51の襟ぐり部6の左右に、互いに係合する少なくとも一対の襟係止部1a、1bを備え、左辺52及び右辺53に袖係止部2a、2b3a、3bを備える、各係止部を止めることによって、襟ぐり部6の下方のシート中央部7が後身頃となり胸部が開閉可能なベストを形成できる。襟係止部1a、1bを係止し、左右夫々の袖係止部2a、2b3a、3bを非係止とすることによって、肩当てとなる。腰係止部4a、4b、4cと衿係止部2a、3aとを係止することによって、腰巻きとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、防寒用の多目的シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ベストや肩掛けは、防寒用品として、広く使用されている。また、腰巻きは、長時間椅子等に座っているときに、足腰の防寒用として広く使用されている。
これらの種々の用途に使用することができるものとして、毛布等によるひざ掛け等が使用されているが、肩掛けとして使用するにしても、腰巻きとして用いても、すぐに、ずれ落ちて使用し難いものである。さらに、ベストとして使用する場合、腕が出し難いといった課題がある。
さらに、就寝時に使用する肩掛けとして、特許文献1や2などが提案されているが、これらはいずれも、肩掛けとして使用することができるに止まり、ベストとして使用できるものではない。
【0003】
【特許文献1】実開昭55−139107号公報
【特許文献2】実開昭62−122816号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の第1の発明は、ベストとしても、肩掛けとしても使用できるようにした防寒用の多目的シートを提供せんとするものである。
本願の第2の発明は、これらの用途に加えて、腰巻きとしても使用できるようにした防寒用の多目的シートを提供せんとするものである。
本願の第3の発明は、防寒用シートの素材として、リサイクルによって資源の有効活用を可能とした防寒用の多目的シートを提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで本願の第1の発明は、上辺51の中央に襟ぐり部を備えた防寒用シート5であって、上辺51の襟ぐり部6の左右に、互いに係合する少なくとも一対の襟係止部1a、1bを備え、上辺51端から下方に伸びる左辺52の上部と中央部とに、互いに係合する少なくとも一対の左袖係止部2a、2bを備え、上辺51端から下方に伸びる右辺53の上部と中央部とに、互いに係合する少なくとも一対の右袖係止部3a、3bを備え、襟係止部1a、1bと、左右夫々の袖係止部2a、2b3a、3bを係止することによって、襟ぐり部6の下方のシート中央部7が後身頃となり胸部が開閉可能なベストを形成でき、左右夫々の袖係止部2a、2b、3a、3bを係止し、襟係止部1a、1bを非係止とすることによって、襟ぐり部6の下方のシート中央部7が前身頃として着用可能な肩当てとなり、襟係止部1a、1b及び左右夫々の袖係止部2a、2b3a、3bを非係止とすることによって防寒用シートとなることを特徴とする防寒用の多目的シートを提供することによって、上記の課題を解決する。
本願の第2の発明は、上記の発明に係る多目的シートにおいて、上辺51の右端若しくは左端に腰係止部4a、4b、4cを設け、この腰係止部4a、4b、4c、左辺52若しくは右辺53の上部に設けられた左若しくは右の衿係止部2a、3aを係止することによって、使用者の腰に巻き付けて固定できることを特徴とするものを提供する。
本願の第3の発明は、上記の発明に係る多目的シートにおいて、防寒用シート5が、カシミヤ製品からリサイクルして得られたカシミヤ糸と、トルマリン粉体含有の合成繊維糸とを含むものであることを特徴とするものを提供する。
【発明の効果】
【0006】
本願発明は、2種或いは3種の着用形態を採る事ができる防寒用の多目的シートを提供することができたものである。例えば、部屋でくつろいでいる時にはベストの状態とし、寝る時には肩掛けにできるものであり、連続して一つの多目的シートを使用できる。さらに、受験生やパソコン作業等の長時間椅子等に座って作業を行なう際の、足腰の冷え防止にも活用できるものであり、その利用範囲は極めて広いものである。また、防寒用シートが、カシミヤ製品からリサイクルして得られたカシミヤ糸と、トルマリン粉体含有の合成繊維糸とを含むものとすることによって、比較的低価格で保温性の高い防寒用の多目的シートを提供することができたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面に基づき本願発明の実施の形態を説明する。
図1は、本願発明の実施の形態に係る防寒用の多目的シートの展開図であり、図2はベストとして使用した状態の斜視図であり、図3は就寝用の肩掛けとして使用した状態の斜視図であり、図4は腰巻きとして使用した状態の斜視図である。
【0008】
このシート5は、図1に示すように、全体が略長方形の防寒用シートであって、上辺51の中央に襟ぐり部6を備える。襟ぐり部6は、人の首が入り易いように設けられたもので、上辺から下方に湾曲した凹部として実施されている。
この上辺の襟ぐり部6の左右には、互いに係合する少なくとも一対の襟係止部1a、1bが設けられている。
【0009】
上辺51の左端から下方に伸びる左辺52の上部と中央部7とには、互いに係合する一対の左袖係止部2a、2bが設けられている。また、上辺51の右端から下方に伸びる右辺53の上部と中央部とに、互いに係合する一対の右袖係止部(3a、3b)を備えている。
【0010】
上記の各係止部は、凹凸嵌合のホックとして実施されているが、起毛面ファスナ等の他の係止手段を用いても良い。ただし、起毛面ファスナにあっては、シートを毛布等の毛製品で形成した場合、毛がファスナにくっつき易いため、凹凸嵌合のホックとして実施する方が有利である。
【0011】
上辺51の裏側には、左端から中央に向けて、所定領域に渡って複数箇所で係止可能な腰係止部4a、4b、4cが設けられている。この例では、腰係止部として、3個の凹凸嵌合のホック4a、4b、4cを用いているが、起毛面ファスナを所定長さに渡って配設したものでもよい。
【0012】
シート5の大きさは、着用者の伸長に応じて変化させることができる。横長さは(左辺から右辺までの長さ)は、着用者の肩幅及び腰回り以上であることが好ましく、具体的には50〜110cmが程度である。縦長さは(上辺から下辺までの長さ)は、着用者の上半身の長さに応じて設定でき、具体的には50〜90cmが程度である。襟ぐり部6から下方に伸びるシート中央部7は、ベストの後身頃或いは肩掛けの前身頃となる部分であり、縦長さより襟ぐり部6の縦長さを差し引いた長さで、40〜80cmが程度が好ましい。襟ぐり部6の全長(周縁の全長)は、着用者の首回りより大きくし、45〜70cmが適当である。
【0013】
次にこの防寒用シートの使用方法について説明する。
(ベストとしての使用)
図2に示すように、左辺52の上部と中央部との左袖係止部2a、2b同士を係合させる。右辺53の上部と中央部との右袖係止部3a、3b同士を係合させる。これにより、各係止部間(係止部2a、2bの間及び係止部3a、3bの間)が、着用者の腕を通す部分となる。この状態で、襟ぐり部6下方のシート中央部7を後身頃として、腕を通すことによって、前がはだけた状態で着用できる。そして、襟ぐり部6の左右の襟係止部1a、1b同士を係合させることにて、前を閉じた状態で着用できる。
【0014】
(就寝時の肩掛けとしての使用)
図3に示すように、左辺52の上部と中央部との左袖係止部2a、2b同士を係合させる。右辺53の上部と中央部との右袖係止部3a、3b同士を係合させる。これにより、各係止部間(係止部2a、2bの間及び係止部3a、3bの間)が、着用者の腕を通す部分となる。ここで、上記のベストとしての使用とは逆に、襟ぐり部6下方のシート中央部7を前身頃として、腕を通す。これによって、襟ぐり部6下方のシート中央部7が着用者の胸部に位置するようになり、あたかも人の前面に毛布を掛けたような状態となる。しかも、肩は、襟ぐり部6の左右のシート両横部8、8によって覆われる。これによって、就寝時における、肩の冷えを防止することができる。しかも、襟ぐり部6の左右の襟係止部1a、1b同士を係合させないため、背中は開いた状態となり、不必要に人体を拘束せず、寝心地を害するおそれも少ない。
【0015】
(腰巻きとしての使用)
図4に示すように、着用者の腰にシートの上辺51を巻き付けて、上辺51の裏側に左端から中央に向けて設けられている腰係止部4a、4b、4cと、右辺53の上部の右袖係止部3aとを係合させる。これによって、人の腰にシートを固定できる。その際、人の大きさに合わせて、適宜の位置の腰係止部4a、4b、4cを選択すればよい。尚、右端から中央に向けて腰係止部を設け、左辺52の上部の左袖係止部2aに係合させるようにしてもよい。
【0016】
シートの材質は、カシミヤや羊毛や保温性の高い布素材等、防寒用のシートであればよいが、この例では、カシミヤ製品からリサイクルして得られたカシミヤ糸と、トルマリン粉体含有の合成繊維糸との混紡糸にて編成或いは織成されたものである。トルマリンは、血行を良くする働きがあるといわれるものであり、これによって、人体を内部血行から温めることができ、防寒用の素材として、極めて有用である。また、カシミヤ製品は羊毛等に比して保温性が高いものの、価格も高いとされているが、この例では、カシミヤセータ等のカシミヤ製品からの再生綿によって製造されたリサイクルのカシミヤ糸を用いることによって、安価で保温性の高いものとして実施しているものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本願発明の実施の形態に係る防寒用の多目的シートの展開図である。
【図2】ベストとして使用した状態の斜視図である。
【図3】就寝用の肩掛けとして使用した状態の斜視図である。
【図4】腰巻きとして使用した状態の斜視図である。
【符号の説明】
【0018】
1a、1b 襟係止部
2a、2b 左袖係止部
3a、3b 右袖係止部
4a、4b、4c 腰係止部
5 防寒用シート
51 上辺
52 左辺
53 右辺
6 襟ぐり部
7 シート中央部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上辺(51)の中央に襟ぐり部を備えた防寒用シート(5)であって、
上辺(51)の襟ぐり部(6)の左右に、互いに係合する少なくとも一対の襟係止部(1a、1b)を備え、
上辺(51)端から下方に伸びる左辺(52)の上部と中央部とに、互いに係合する少なくとも一対の左袖係止部(2a、2b)を備え、
上辺(51)端から下方に伸びる右辺(53)の上部と中央部とに、互いに係合する少なくとも一対の右袖係止部(3a、3b)を備え、
襟係止部(1a、1b)と、左右夫々の袖係止部(2a、2b)(3a、3b)を係止することによって、襟ぐり部(6)の下方のシート中央部(7)が後身頃となり胸部が開閉可能なベストを形成でき、
左右夫々の袖係止部(2a、2b)(3a、3b)を係止し、襟係止部(1a、1b)を非係止とすることによって、襟ぐり部(6)の下方のシート中央部(7)が前身頃として着用可能な肩当てとなり、
襟係止部(1a、1b)及び左右夫々の袖係止部(2a、2b)(3a、3b)を非係止とすることによって防寒用シートとなることを特徴とする防寒用の多目的シート。
【請求項2】
上辺(51)の右端若しくは左端に腰係止部(4a、4b、4c)を設け、この腰係止部(4a、4b、4c)、左辺(52)若しくは右辺(53)の上部に設けられた左若しくは右の衿係止部(2a、3a)を係止することによって、使用者の腰に巻き付けて固定できることを特徴とする請求項1記載の防寒用の多目的シート。
【請求項3】
防寒用シート(5)が、カシミヤ製品からリサイクルして得られたカシミヤ糸と、トルマリン粉体含有の合成繊維糸とを含むものであることを特徴とする請求項1又は2記載の防寒用の多目的シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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