説明

防寒用ジャケット

【課題】暖かさを高めた防寒用ジャケットを提供する。
【解決手段】この防寒用ジャケット1は、外界の空気に接する表地11と着用者の身体側の裏地12との間に設けられ、炭素微粉末により形成された繊維が綿状に集合した炭素フェルト地13と、炭素フェルト地13と裏地12との間に設けられ、炭素フェルト地13よりも熱伝導性が高く、着用者の身体側の温度が平均されて行き渡る熱伝導シート地14と、を備えてなり、着用者が局部的な寒さを感じることがなく、また、炭素フェルト地13の発する遠赤外線により身体の周囲全体から深部を加温することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防寒用ジャケットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、防寒用ジャケットとして、外界の空気に接する表地と着用者の身体側の裏地との間に、羽毛やポリエステル繊維などを詰めたダウンジャケットやダウン風ジャケットが広く使用されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−169211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、防寒用ジャケットは、常に、着用したときの快適性が改善され、特に暖かさを高めたものが求められる。
【0005】
本発明は、係る事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、暖かさを高めた防寒用ジャケットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の防寒用ジャケットは、表地と裏地との間に設けられ、炭素微粉末により形成された繊維が綿状に集合した炭素フェルト地を備えてなることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の防寒用ジャケットは、請求項1に記載の防寒用ジャケットにおいて、
該炭素フェルト地と前記裏地との間に設けられ、炭素フェルト地よりも熱伝導性が高い熱伝導シート地を更に備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る防寒用ジャケットによれば、炭素フェルト地或いは熱伝導シート地によって、防寒用ジャケットの身体側の温度が平均されて行き渡るため、局部的な寒さを感じることがなく、また、炭素フェルト地の発する遠赤外線により身体の周囲全体から深部を加温することができ、暖かさを高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る防寒用ジャケット1の構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための好ましい形態を説明する。本発明の実施形態に係る防寒用ジャケット1は、図1に示すように、外界の空気に接する表地11と着用者の身体側の裏地12との間に設けられ、炭素微粉末により形成された繊維が綿状に集合した炭素フェルト地13と、炭素フェルト地13と裏地12との間に設けられ、炭素フェルト地13よりも熱伝導性が高い熱伝導シート地14と、を備えてなる。防寒用ジャケット1の表地11と裏地12、及び全体の外観は、通常のダウンジャケットのものと同様のものである。
【0011】

炭素フェルト地13において、炭素微粉末の繊維は綿状(綿菓子状)に集合しており、その繊維はランダムな(3次元的に様々な)方向に向いて互いに絡まり、繊維同士は様々な方向で結合している。この結合は、例えば、機械的な圧縮とともに、高温(例えば、約2000℃〜約2500℃)にすることで、隣接する繊維の炭素同士を部分的に結晶化して行う。炭素フェルト地13は、表地11と裏地12に挟まれた状態でのキルティング加工の容易などを考慮して、ウレタンなどの他の繊維を多少混合することも可能である。
【0012】
熱伝導シート地14は、炭素フェルト地13(例えば、厚さ約10mm〜50mm)よりも非常に薄い(例えば、厚さ約0.1mm程度の)ものであり、炭素フェルト地13と同様に、炭素微粉末により形成された繊維が薄く高密度に集合したものなどを用いることが可能である。
【0013】
このような防寒用ジャケット1は、着用者の身体の表面形状にほぼ沿って形成されている熱伝導シート地14によって、防寒用ジャケット1の身体側の温度が平均されて行き渡る。また、炭素フェルト地1の身体側の部分は、熱をほどよく吸収して拡散する。炭素フェルト地1の外界側の部分は、溜まった空気の層により外界との断熱として働く。その結果、防寒用ジャケット1は、着用者が局部的な寒さを感じることがなく、また、炭素フェルト地13の発する遠赤外線により身体の周囲全体から深部を加温することができ、暖かさを高めることができる。
【0014】
また、炭素フェルト地13の炭素微粉末の繊維が軽量であるので、防寒用ジャケット1は羽毛のダウンジャケットに比べても非常に軽いものとなる。また、炭素微粉末の繊維は不燃性であるので、防寒用ジャケット1は燃えにくいものとなる。
【0015】
防寒用ジャケット1は、着用者の身体からの熱で暖まるだけでなく、電気によるものや化学反応によるものの熱源(発熱体)を用いた場合には、着用者が局部的な寒さを更に感じることがなく、また、炭素フェルト地13の発する遠赤外線により身体の周囲全体から深部を更に加温することができる。
【0016】
以上、本発明の実施形態に係る防寒用ジャケットについて説明したが、本発明は、上述の実施形態に記載したものに限られることなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内でのさまざまな設計変更が可能である。例えば、炭素フェルト地13の身体の表面に沿った方向の熱伝導性がある程度高いものであれば、それによって防寒用ジャケット1の身体側の温度がある程度平均されて行き渡るので、場合によっては熱伝導シート地14を省略することも可能である。また、防寒用ジャケット1の構造は、シュラフ、寝具(敷きマット等)、膝かけなどの他の防寒具に用いることも可能である。
【符号の説明】
【0017】
1 防寒用ジャケット
11 表地
12 裏地
13 炭素フェルト地
14 熱伝導シート地

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表地と裏地との間に設けられ、炭素微粉末により形成された繊維が綿状に集合した炭素フェルト地を備えてなることを特徴とする防寒用ジャケット。
【請求項2】
請求項1に記載の防寒用ジャケットにおいて、
該炭素フェルト地と前記裏地との間に設けられ、炭素フェルト地よりも熱伝導性が高い熱伝導シート地を更に備えることを特徴とする防寒用ジャケット。

【図1】
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【公開番号】特開2011−74545(P2011−74545A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−229493(P2009−229493)
【出願日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(397029873)株式会社大木工藝 (21)
【Fターム(参考)】