説明

防曇ミラー

【課題】第一防曇領域と第二防曇領域の間がくびれた防曇模様をミラー表面にはっきりと形成することができる防曇ミラーを提供すること。
【解決手段】本発明の防曇ミラー1は、第一防曇領域3と、第二防曇領域4と、第一防曇領域3と第二防曇領域4とを繋ぐくびれ防曇領域5とを設け、くびれ防曇領域5と、第一防曇領域3の第二防曇領域4に近接する端部領域30と、第二防曇領域4の第一防曇領域3に近接する端部領域40の単位面積あたりの発熱量を、第一防曇領域3と第二防曇領域4の、端部領域30,40以外の近接しない非近接領域31,41の単位面積あたりの発熱量よりも小さくなるように形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室や洗面化粧台等に取り付けられる防曇ミラーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、浴室や洗面化粧台等に取り付けられるミラーの裏側にヒータ線を張り巡らせて、ミラー表面に防曇領域を形成した防曇ミラーが提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
上記ヒータ線は、クランク状やコ字状にしたり蛇行させたりして、面状に張り巡らせて配線してある。上記ヒータ線は、防曇領域の単位面積当りの発熱量を一定とするために、防曇領域全範囲において、隣接の並行するヒータ線間の距離が一定となるように配線することが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−140799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ヒータ線2を、例えば、人間の上半身の模様となるように配線する場合(図5(a)参照)、頭部の模様となる第一防曇領域3´と、首の模様となるくびれ防曇領域5´と、肩から腰にかけた部分の模様となる第二防曇領域4´とを形成することが考えられる。この第一防曇領域3´と第二防曇領域4´とは、くびれ防曇領域5´を介して繋がるようにヒータ線2が配線されている。
【0006】
しかし、上述のように、防曇領域3´,4´,5´全範囲において、隣接の並行するヒータ線2間の距離が一定となるようにヒータ線2を張り巡らせて配線したのであっては、以下のような問題がある。
【0007】
すなわち、第一防曇領域3´と第二防曇領域4´の間の距離が狭い場合に、くびれ防曇領域5´と第一防曇領域3´と第二防曇領域4´に配線されたヒータ線2からの熱が、くびれ防曇領域5´周りのヒータ線2を配線していない領域にも伝わってしまう。
【0008】
そのため、ミラー表面には、図5(b)に示すような防曇模様6´が形成されてしまって、第一防曇領域3´と第二防曇領域4´の間がくびれた防曇模様をはっきりと形成することが困難であるという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、第一防曇領域と第二防曇領域の間がくびれた防曇模様をミラー表面にはっきりと形成することができる防曇ミラーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための本発明の防曇ミラーは、第一防曇領域と、第二防曇領域と、前記第一防曇領域と前記第二防曇領域とを繋ぐくびれ防曇領域とを設け、前記くびれ防曇領域の単位面積あたりの発熱量を、前記第一防曇領域と前記第二防曇領域の単位面積あたりの発熱量よりも小さくなるように形成したことを特徴とする。
【0011】
また、上記課題を解決するための本発明の防曇ミラーは、第一防曇領域と、第二防曇領域と、前記第一防曇領域と前記第二防曇領域とを繋ぐくびれ防曇領域とを設け、前記第一防曇領域の前記第二防曇領域に近接する側の端部領域の単位面積あたりの発熱量と、前記第二防曇領域の前記第一防曇領域に近接する側の端部領域の単位面積あたりの発熱量とを、前記第一防曇領域と前記第二防曇領域の、前記端部領域以外の近接しない非近接領域の単位面積あたりの発熱量よりも小さくなるように形成したことを特徴とする。
【0012】
また、上記課題を解決するための本発明の防曇ミラーは、第一防曇領域と、第二防曇領域と、前記第一防曇領域と前記第二防曇領域とを繋ぐくびれ防曇領域とを設け、前記くびれ防曇領域の単位面積あたりの発熱量と、前記第一防曇領域の前記第二防曇領域に近接する側の端部領域の単位面積あたりの発熱量と、前記第二防曇領域の前記第一防曇領域に近接する側の端部領域の単位面積あたりの発熱量とを、前記第一防曇領域と前記第二防曇領域の、前記端部領域以外の近接しない非近接領域の単位面積あたりの発熱量よりも小さくなるように形成したことを特徴とする。
【0013】
また、上記課題を解決するための本発明の防曇ミラーは、第一防曇領域と、第二防曇領域と、前記第一防曇領域と前記第二防曇領域とを繋ぐくびれ防曇領域とを設け、前記くびれ防曇領域の単位面積あたりの発熱量と、前記第二防曇領域の単位面積あたりの発熱量を、前記第一防曇領域の単位面積あたりの発熱量よりも小さくなるように形成したことを特徴とする。
【0014】
また、上記防曇ミラーにおいて、前記第一防曇領域と前記第二防曇領域と前記くびれ防曇領域を、ヒータ線を配線して設け、前記第一防曇領域と前記第二防曇領域と前記くびれ防曇領域の単位面積あたりの発熱量を前記ヒータ線の配線密度によって調整することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の防曇ミラーは、第一防曇領域と第二防曇領域の間がくびれた防曇模様をミラー表面にはっきりと形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第一実施形態の防曇ミラーを示し、(a)はミラー裏側のヒータ線の配線パターンの正面図であり、(b)はミラー表面に形成される防曇模様を示す正面図である。
【図2】同上の防曇ミラーの側面断面図である。
【図3】本発明の第二実施形態の防曇ミラーのミラー裏側に配線したヒータ線の配線パターンを示す正面図である。
【図4】(a)〜(c)は同上の防曇ミラーのミラー表面に形成される防曇模様を示す正面図である。
【図5】従来の防曇ミラーを示し、(a)はミラー裏側のヒータ線の配線パターンの正面図であり、(b)はミラー表面に形成される防曇模様を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態の一例を添付図面に基づいて説明する。
【0018】
第一実施形態の防曇ミラー1は、図2に示すように、ミラー裏側に、ヒータ線2を配線したヒータユニット20を固定し、そのヒータユニット20を防水カバー10で覆ったものからなる。ヒータユニット20には、電力を供給するリード線8が接続されている。防曇ミラー1は、上下の受け金具11で、浴室壁面7に取り付けられている。リード線8は、浴室壁面7に貫通して設けた孔から、浴室壁面7の裏側を通って、浴室天井裏に引き上げられている。また、図1(a)に示すように、ヒータ線2は、ターミナルボックス9内で結線されて、リード線8に接続されている。また、ヒータ線2は太さが均一なものであり、リード線8を介して電力が供給されて、ヒータ線2を中心とする一定の範囲に熱を伝達する。なお、防曇ミラー1は、洗面化粧台に取り付けられるようなものであってもよい。
【0019】
ヒータ線2は、クランク状やコ字状にしたり蛇行させたりして、面状に張り巡らせてヒータユニット20に配線してある。ヒータ線2を面状に張り巡らせた防曇領域の単位面積当りの発熱量を一定とするために、防曇領域全範囲において、ヒータ線2は、基本的には、隣接の並行するヒータ線2間の距離が一定となるように配線してある。ここで、単位面積当りの発熱量を一定とするために空けたヒータ線2間の一定の距離を基準ピッチとする。
【0020】
続いて、本実施形態の防曇ミラーのヒータ線2の配線パターンについて、図1(a)を元に説明を行う。この配線パターンは、全体として、人間の上半身の模様となっている。以下においては、図1(a)におけるa方向を上方向、b方向を下方向、c方向を右方向、d方向を左方向として説明を行う。なお、上下方向が人間の身長方向を示し、左右方向が人間の横幅方向を示す。
【0021】
本実施形態の配線パターンは、頭部の模様となるように配線された第一防曇領域3と、首の模様となるように配線されたくびれ防曇領域5と、肩から腰にかけた部分の模様となるように配線された第二防曇領域4とから構成される。第一防曇領域3とくびれ防曇領域5と第二防曇領域4とは、この順番で上から下に一列に並んでいる。ここで、第一防曇領域3は、第二防曇領域4よりも左右方向の幅が狭いものとなっている。そして、くびれ防曇領域5は、第一防曇領域3と第二防曇領域4よりも左右方向の幅が狭いものとなっている。また、上下方向の長さは、くびれ防曇領域5が第一防曇領域3より短く、第一防曇領域3が第二防曇領域4より短くなるように設定されている。くびれ防曇領域5は、首の模様となるように配線したものなので、第一防曇領域3と第二防曇領域4に比べると、上下方向の長さが短いものとなっている。
【0022】
第一防曇領域3とくびれ防曇領域5と第二防曇領域4とは、それぞれ左右対称となるようにヒータ線2が配線されている。よって、以下においては、第一防曇領域3とくびれ防曇領域5と第二防曇領域4については、右半身の説明のみ行う。
【0023】
第一防曇領域3とくびれ防曇領域5と第二防曇領域4とは、それぞれ、右半身の上半身の輪郭(頭頂部〜顔面側部〜えら〜顎〜首〜肩〜胴体側部〜腰)に沿ってヒータ線2が配線されている。ここで、この輪郭に沿って配線されるヒータ線2を、輪郭線21,22,23とする。輪郭線21は、第一防曇領域3の輪郭に配線されたヒータ線2であり、頭頂部〜顔面側部〜えら〜顎の輪郭に沿って配線されている。また、輪郭線22は、くびれ防曇領域5の輪郭に配線されたヒータ線2であり、首の輪郭に沿って配線されている。また、輪郭線23は、第二防曇領域4の輪郭に配線されたヒータ線2であり、肩〜胴体側部〜腰の輪郭に沿って配線されている。
【0024】
これらの輪郭線21,22,23の内側には、ヒータ線2が隣接して並行するように配線されている。ここで、この隣接して並行するように配線されるヒータ線2を、輪郭内側並行線24,25,26とする。輪郭内側並行線24は、第一防曇領域3の輪郭線21の内側に隣接して並行するように配線されるヒータ線2である。また、輪郭内側並行線25は、くびれ防曇領域5の輪郭線22の内側に隣接して並行するように配線されるヒータ線2である。また、輪郭内側並行線26は、第二防曇領域4の輪郭線23の内側に隣接して並行するように配線されるヒータ線2である。
【0025】
本実施形態の防曇ミラー1においては、第一防曇領域3の第二防曇領域4に近接する側の端部領域30に配線された、輪郭線21とその内側(上側)を隣接して並行する輪郭内側並行線24とは、上述した基準ピッチよりも長ピッチをおいて配線されている。ここで、第一防曇領域3の端部領域30以外の近接しない非近接領域31に配線された、輪郭線21とその内側を隣接して並行する輪郭内側並行線24とは、上述した基準ピッチをおいて配線されている。なお、第一防曇領域3は、この端部領域30と非近接領域31とから構成される。この端部領域30は、第一防曇領域3の4分の1から5分の1程度の領域であることが望ましい。
【0026】
また、本実施形態の防曇ミラー1においては、くびれ防曇領域5に配線された、輪郭線22とその内側を隣接して並行する輪郭内側並行線25とは、上述した基準ピッチよりも長ピッチをおいて配線されている。
【0027】
また、本実施形態の防曇ミラー1においては、第二防曇領域4の第一防曇領域3に近接する側の端部領域40に配線された、輪郭線23とその内側(下側)を隣接して並行する輪郭内側並行線26とは、上述した基準ピッチよりも長ピッチをおいて配線されている。ここで、第二防曇領域4の端部領域40以外の近接しない非近接領域41に配線された、輪郭線23とその内側を隣接して並行する輪郭内側並行線26とは、上述した基準ピッチをおいて配線されている。なお、第二防曇領域4は、この端部領域40と非近接領域41とから構成される。この端部領域40は、第二防曇領域4の4分の1から5分の1程度の領域であることが望ましい。
【0028】
また、本実施形態においては、第一防曇領域3と第二防曇領域4の輪郭線21,23の内側部分の領域には、上方に開口するコ字状を左右に複数並べると共に隣接するコ字状の上端同士を直線又は曲線で繋いだ模様に、ヒータ線2が配線されている。
【0029】
第一防曇領域3では、下端部の端部領域30に配線された輪郭内側並行線24が、右に行くほど上方に位置する傾斜をするように配線されている。そして、その内側(上側)に配線された、上方に開口する複数のコ字状のヒータ線2は、その傾斜に沿って、右方向のものほど底辺27が上方に位置するように配線されている。そして、端部領域30の輪郭内側並行線24と、その内側(上側)の複数のコ字状の底辺27も、上述した基準ピッチよりも長ピッチをおいて配線されている。つまり、本実施形態においては、第一防曇領域3の端部領域30は、輪郭線21から複数のコ字状の底辺27までの範囲を示している。なお、上方に開口する複数のコ字状の隣接する上端同士を繋ぐ曲線28が、本実施形態では、第一防曇領域3の上端部における輪郭内側並行線24となっている。
【0030】
また、第二防曇領域4では、上端部の端部領域40の輪郭線23と、その内側(下側)に配線された、上方に開口する複数のコ字状の隣接する上端同士を繋ぐ直線29とは、上述した基準ピッチよりも長ピッチをおいて配線されている。つまり、本実施形態においては、第二防曇領域4の端部領域40は、輪郭線23から複数のコ字状の上端を繋ぐ直線29までの範囲を示している。なお、上方に開口する複数のコ字状の底辺27が、本実施形態では、第二防曇領域4の下端部における輪郭線23となっている。
【0031】
上述した構成の本実施形態の防曇ミラー1では、第一防曇領域3の端部領域30と、くびれ防曇領域5と、第二防曇領域4の端部領域40で、輪郭線21,22,23と、輪郭内側並行線24,25,26とが基準ピッチよりも長ピッチをおいて配線されている。
【0032】
このように配線したことで、第一防曇領域3の端部領域30と、くびれ防曇領域5と、第二防曇領域4の端部領域40でのヒータ線2の配線密度を、基準ピッチでヒータ線2が配線された非近接領域31,41のヒータ線2の配線密度と比べて低くできる。つまり、第一防曇領域3の端部領域30と、くびれ防曇領域5と、第二防曇領域4の端部領域40の単位面積当りの発熱量を抑えることができる。この第一防曇領域3の端部領域30と、くびれ防曇領域5と、第二防曇領域4の端部領域40の配線密度は、防曇機能を保つことができ、尚且つ防曇模様が広がりにくい単位面積あたりの発熱量で発熱できるように設定されている。そのため、本実施形態の防曇ミラー1は、この第一防曇領域3の端部領域30とくびれ防曇領域5と第二防曇領域4の端部領域40とで囲まれる、ヒータ線2を配線していない部分への熱の伝わりを抑制できるものとなっている。なお、上述の配線密度とは、防曇領域内に配線したヒータ線2全ての長さを足し合わせたものを、防曇領域の面積で割ったものである。
【0033】
以上から、本実施形態の防曇ミラー1は、ミラー表面全体が曇りやすい状況において、ヒータ線2に電力を供給すれば、第一防曇領域3と第二防曇領域4の間がくびれた防曇模様6を、ミラー表面にはっきりと形成することができる。そのため、本実施形態の防曇ミラー1は、入浴者が湿度の高い浴室に入った直後から出るときまで、ミラー裏側に配線したヒータ線2の配線パターンの輪郭に極力近い防曇模様6(人の上半身)をミラー表面に表示させることができる。
【0034】
なお、本実施形態の変更例として、第一防曇領域3や第二防曇領域4の配線パターンを、左方向又は右方向に開口するコ字状が上下に複数並ぶようにしても構わない。
【0035】
また、本実施形態の変更例として、第一防曇領域3や第二防曇領域4を、互いに近接する側の端部領域30,40だけではなく、輪郭全体において、輪郭線21,23と輪郭内側並行線24,26とを、上述した基準ピッチよりも長ピッチをおいて配線されるようにしてもよい。このようにすれば、第一防曇領域3と第二防曇領域4とくびれ防曇領域5と略同じ形状の防曇模様6を形成することができ、輪郭全体がはっきりする。
【0036】
また、本実施形態の変更例として、ヒータ線2の配置密度で単位面積あたりの発熱量を調整するのではなく、その他の手段で、単位面積あたりの発熱量を調整するようにしてもかまわない。例えば、ヒータ線2の単位長さあたりの発熱量を配置箇所によって変えたり、ヒータ線2に換えて熱湯が内側を流れる熱湯管を利用する等して、単位面積あたりの発熱量を調整してもよい。
【0037】
続いて、図3に示す、本発明の第二実施形態の防曇ミラー1について説明する。本実施形態の防曇ミラー1は、第一実施形態とはヒータ線2の配線パターンが異なる。本実施形態の配線パターンは、その全体形状が、動物の顔と耳のシルエット模様のようになっている。
【0038】
本実施形態の配線パターンは、円状の1つの第一防曇領域3と、第一防曇領域3より小径の円状の2つの第二防曇領域4と、この1つの第一防曇領域3と2つの第二防曇領域4を各々接続する2つのくびれ防曇領域5から構成される。この第一防曇領域3が動物の顔のシルエット模様を形成し、第二防曇領域4とくびれ防曇領域5が動物の耳のシルエット模様を形成する。
【0039】
本実施形態では、第二防曇領域4とくびれ防曇領域5を、第一防曇領域3よりヒータ線2の配線密度(各防曇領域内に配線したヒータ線2全ての長さを足し合わせたものを、各防曇領域の面積で割ったもの)が低くなるように配線パターンを形成している。このくびれ防曇領域5と第二防曇領域4の配線密度は、防曇機能を保つことができ、尚且つ防曇模様が広がりにくい単位面積あたりの発熱量で発熱するように設定されている。
【0040】
詳しくは、第二防曇領域4では、外郭を成す円状の輪郭線42と、その内側の複数列の傾斜線43とで配線パターンを形成している。この複数列の傾斜線43は、その両端部が輪郭線42に繋がっている。そして、第一防曇領域3では、外郭を成す円状の輪郭線32と、その内側で格子状をなす内側線33とで配線パターンを形成している。この内側線33は、その両端部が輪郭線32に繋がっている。そして、くびれ防曇領域5では、2本のヒータ線2が平行に並んだ配線パターンを形成している。この2本のヒータ線2の一端部が第二防曇領域4の輪郭線42に繋がっていて、2本のヒータ線2の他端部が第一防曇領域3の輪郭線32に繋がっている。
【0041】
上述の配線パターンの本実施形態の防曇ミラー1では、図4(a)〜(c)に示すように、動物の顔と耳のシルエット模様のような防曇模様6がミラー表面に形成される。図4(a)は、防曇ミラー1付近でシャワーを使用した直後の防曇模様6を示し、図4(b)は、それから少し時間が経過したときの防曇模様6を示し、図4(c)は、それからさらに時間が経過し、ヒータ線2の熱が最大限まで拡がった状態の防曇模様6を示す。図に示す通り、本実施形態では、時間の経過に関わらず、第一防曇領域3と第二防曇領域4の間がくびれた防曇模様6がミラー表面に形成される。
【0042】
以上のように構成した本実施形態の防曇ミラー1では、第一防曇領域3の単位面積あたりの発熱量が、第二防曇領域4とくびれ防曇領域5の単位面積あたりの発熱量よりも大きくなっている。そのため、この第一防曇領域3は、他の防曇領域4,5と比べて防曇性能が高い部分となり、使用者が顔を映すのに好適な部分となる。
【0043】
ここで、第一防曇領域3は発熱量が大きいが、第二防曇領域4とくびれ防曇領域5は発熱量が小さいので、本実施形態では、特徴となる耳部分がはっきりと表れた動物のシルエットの防曇模様6を、ミラー表面に形成することができる。
【0044】
以上から、本実施形態の防曇ミラー1は、使用者の顔を映す部分の防曇性能を高くしたうえで、特徴となる耳部分がはっきりと表れた動物のシルエットの防曇模様6をミラー表面に形成することができるものとなっている。
【0045】
以上まとめると、本発明の第一実施形態の防曇ミラー1は、第一防曇領域3と、第二防曇領域4と、第一防曇領域3と第二防曇領域4とを繋ぐくびれ防曇領域5とを設けたものである。そして、くびれ防曇領域5の単位面積あたりの発熱量を、第一防曇領域3と第二防曇領域4の単位面積あたりの発熱量よりも小さくなるように形成したことを特徴とする。
【0046】
このような構成とすることで、本実施形態の防曇ミラー1は、くびれ防曇領域5周りの時間経過に伴う防曇模様の拡がりを抑えることができる。よって、本実施形態の防曇ミラー1は、入浴者が入浴している間、ミラー表面に、第一防曇領域3と第二防曇領域4の間がくびれた防曇模様6をはっきりと形成することができる。
【0047】
また、本発明の第一実施形態の防曇ミラー1は、第一防曇領域3と、第二防曇領域4と、第一防曇領域3と第二防曇領域4とを繋ぐくびれ防曇領域5とを設けたものである。そして、第一防曇領域3の第二防曇領域4に近接する側の端部領域30の単位面積あたりの発熱量と、第二防曇領域4の第一防曇領域3に近接する側の端部領域40の単位面積あたりの発熱量とを、第一防曇領域3と第二防曇領域4の、端部領域30,40以外の近接しない非近接領域31,41の単位面積あたりの発熱量よりも小さくなるように形成したことを特徴とする。
【0048】
このような構成とすることで、本実施形態の防曇ミラー1は、端部領域30,40周りの時間経過に伴う防曇模様の拡がりを抑えることができる。つまり、第一防曇領域3の防曇模様と、第二防曇領域4の防曇模様が、くびれ防曇領域5周りで重なることを抑制できる。よって、本実施形態の防曇ミラー1は、入浴者が入浴している間、ミラー表面に、第一防曇領域3と第二防曇領域4の間がくびれた防曇模様6をはっきりと形成することができる。
【0049】
また、本発明の第一実施形態の防曇ミラー1は、第一防曇領域3と、第二防曇領域4と、第一防曇領域3と第二防曇領域4とを繋ぐくびれ防曇領域5とを設けたものである。そして、くびれ防曇領域5の単位面積あたりの発熱量と、第一防曇領域3の第二防曇領域4に近接する側の端部領域30の単位面積あたりの発熱量と、第二防曇領域4の第一防曇領域3に近接する側の端部領域40の単位面積あたりの発熱量とを、第一防曇領域3と第二防曇領域4の、端部領域30,40以外の近接しない非近接領域31,41の単位面積あたりの発熱量よりも小さくなるように形成したことを特徴とする。
【0050】
このような構成とすることで、本実施形態の防曇ミラー1は、くびれ防曇領域5周りと端部領域30,40周り両方の時間経過に伴う防曇模様の拡がりを抑えることができる。つまり、第一防曇領域3の防曇模様と、第二防曇領域4の防曇模様が、くびれ防曇領域5周りで重なることを抑制し、さらに、くびれ防曇領域5自体の防曇模様の広がりも抑制できる。よって、本実施形態の防曇ミラー1は、入浴者が入浴している間、ミラー表面に、第一防曇領域3と第二防曇領域4の間がくびれた防曇模様6をはっきりと形成することができる。
【0051】
また、本発明の第二実施形態の防曇ミラー1は、第一防曇領域3と、第二防曇領域4と、第一防曇領域3と第二防曇領域4とを繋ぐくびれ防曇領域5とを設けたものである。そして、くびれ防曇領域5の単位面積あたりの発熱量と、第二防曇領域4の単位面積あたりの発熱量を、第一防曇領域3の単位面積あたりの発熱量よりも小さくなるように形成したことを特徴とする。
【0052】
このような構成とすることで、本実施形態の防曇ミラー1は、第一防曇領域3における防曇性能を高くして、この部分を使用者が顔を映す部分として好適に用いることができる。そして、くびれ防曇領域5周りと第二防曇領域4周りの時間経過に伴う防曇模様の拡がりを抑えることができる。よって、本実施形態の防曇ミラー1は、入浴者が入浴している間、使用者の顔を映す部分の防曇性能を高くしたうえで、ミラー表面に、第一防曇領域3と第二防曇領域4の間がくびれた防曇模様6をはっきりと形成することができる。
【0053】
また、本発明の第一及び第二実施形態の防曇ミラー1は、第一防曇領域3と第二防曇領域4とくびれ防曇領域5とを、ヒータ線2を配線して設けたものである。そして、第一防曇領域3と第二防曇領域4とくびれ防曇領域5の、単位面積あたりの発熱量をヒータ線2の配線密度によって調整している。
【0054】
このような構成とすることで、本実施形態の防曇ミラー1は、単位面積あたりの発熱量の調整をヒータ線2の配線密度を変えることで簡単に行うことができる。よって、本実施形態の防曇ミラー1は、第一防曇領域3と第二防曇領域4の間がくびれた防曇模様6を簡単に形成することができる。
【0055】
以上、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 防曇ミラー
2 ヒータ線
3 第一防曇領域
4 第二防曇領域
5 くびれ防曇領域
30 端部領域(第一防曇領域内)
40 端部領域(第二防曇領域内)
31 非近接領域(第一防曇領域内)
41 非近接領域(第二防曇領域内)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一防曇領域と、第二防曇領域と、前記第一防曇領域と前記第二防曇領域とを繋ぐくびれ防曇領域とを設け、前記くびれ防曇領域の単位面積あたりの発熱量を、前記第一防曇領域と前記第二防曇領域の単位面積あたりの発熱量よりも小さくなるように形成したことを特徴とする防曇ミラー。
【請求項2】
第一防曇領域と、第二防曇領域と、前記第一防曇領域と前記第二防曇領域とを繋ぐくびれ防曇領域とを設け、前記第一防曇領域の前記第二防曇領域に近接する側の端部領域の単位面積あたりの発熱量と、前記第二防曇領域の前記第一防曇領域に近接する側の端部領域の単位面積あたりの発熱量とを、前記第一防曇領域と前記第二防曇領域の、前記端部領域以外の近接しない非近接領域の単位面積あたりの発熱量よりも小さくなるように形成したことを特徴とする防曇ミラー。
【請求項3】
第一防曇領域と、第二防曇領域と、前記第一防曇領域と前記第二防曇領域とを繋ぐくびれ防曇領域とを設け、前記くびれ防曇領域の単位面積あたりの発熱量と、前記第一防曇領域の前記第二防曇領域に近接する側の端部領域の単位面積あたりの発熱量と、前記第二防曇領域の前記第一防曇領域に近接する側の端部領域の単位面積あたりの発熱量とを、前記第一防曇領域と前記第二防曇領域の、前記端部領域以外の近接しない非近接領域の単位面積あたりの発熱量よりも小さくなるように形成したことを特徴とする防曇ミラー。
【請求項4】
第一防曇領域と、第二防曇領域と、前記第一防曇領域と前記第二防曇領域とを繋ぐくびれ防曇領域とを設け、前記くびれ防曇領域の単位面積あたりの発熱量と、前記第二防曇領域の単位面積あたりの発熱量を、前記第一防曇領域の単位面積あたりの発熱量よりも小さくなるように形成したことを特徴とする防曇ミラー。
【請求項5】
前記第一防曇領域と前記第二防曇領域と前記くびれ防曇領域を、ヒータ線を配線して設け、前記第一防曇領域と前記第二防曇領域と前記くびれ防曇領域の単位面積あたりの発熱量を前記ヒータ線の配線密度によって調整したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の防曇ミラー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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