説明

防曇装置及びこれを備えた航空機

【課題】防曇装置の一部に不具合が生じても、窓の曇りを確実に防ぐ。
【解決手段】主防曇装置と、予備防曇装置20とを備えている。予備防曇装置20は、乾燥ガスが加圧されて蓄えられているガスタンク21と、ガスタンク内の乾燥ガスを窓1の縁まで導き、乾燥ガスを窓ガラス2の内面に沿って噴出するガス流路23と、ガス流路を流れる乾燥ガスの流量を制御する制御弁31と、室内に設けられ、制御弁の弁開度を指示する操作端32と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓の防曇装置、及びこれを備えた航空機に関する。
【背景技術】
【0002】
窓の防曇装置としては、例えば、以下の特許文献1,2に開示されているものがある。
【0003】
前者の防曇装置は、窓ガラスの室内側の面に沿って、空調装置等からの温風を噴出するものである。また、後者の防曇装置は、窓ガラス内にヒータとしての透明抵抗体を設け、この透明抵抗体に電力を供給するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭63−258244号公報
【特許文献2】特許第2623737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、空調装置等からの温風が室内の空調等の他の用途に多く用いられて、防曇のため一時的に窓ガラスに噴出するための多くの温風量が得られない可能性や、空調装置の電気機器がショートする等で温度調整された温風状態を維持できない可能性がある。
【0006】
また、上記特許文献2に記載の技術では、ヒータとしての透明抵抗体や、この透明抵抗体に電気を供給する配線の断線や、ショートにより、透明抵抗体に電力を供給できなくなり、窓の防曇が困難になる場合がある。
【0007】
すなわち、いずれの技術でも、何らかの不具合が生じると、窓の曇りを防ぐことができなくなるという問題点がある。
【0008】
そこで、本発明は、防曇装置の一部に不具合が生じても、窓の曇りを確実に防ぐことができる防曇装置、及びこれを備えた航空機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題点を解決するための発明に係る防曇装置は、
窓の曇りを防ぐ主防曇手段と、前記窓の曇りを防ぐ予備防曇手段と、を備え、
前記予備防曇手段は、乾燥ガスが加圧されて蓄えられているガスタンクと、前記ガスタンク内の前記乾燥ガスを前記窓の縁まで導き、該乾燥ガスを該窓に沿って噴出するガス流路と、前記ガス流路を流れる前記乾燥ガスの流量を制御する制御弁と、室内に設けられ、前記制御弁の弁開度を指示する操作端と、を有することを特徴とする。
【0010】
当該防曇装置では、主防曇手段の一部に不具合が生じても、予備防曇手段の操作端を操作すれば、予備防曇手段のガスタンクに蓄えられている乾燥ガスが窓に沿って噴出するので、窓の曇りを防ぐことができる。
【0011】
ここで、前記防曇装置において、前記ガス流路を流れる前記乾燥ガスを加熱する加熱器を備えてもよい。この場合、さらに、前記室内の温度を検知する温度センサと、前記温度センサで検知された温度に基づいて、前記加熱器による前記乾燥ガスの加熱量を制御する加熱制御器と、を備えてもよい。
【0012】
当該防曇装置では、乾燥ガスが加熱されるため、窓の曇りを効果的に防ぐことができる。よって、当該防曇装置では、容量に限度がある乾燥ガスをより有効利用することができる。
【0013】
また、前記防曇装置において、前記ガスタンク内に圧縮空気を送り込む圧縮機と、前記圧縮機により前記ガスタンク内に送り込まれる前記空気を除湿する除湿手段と、を備えてもよい。
【0014】
当該防曇装置では、ガスタンク内の乾燥ガスが減っても、このガスタンク内には、圧縮機から乾燥空気が補充されるので、長時間に亘って、窓の曇りを防ぐことができる。
【0015】
また、上記問題点を解決するための発明に係る航空機は、
前記防曇装置と、航空機体とを備え、該防曇装置は、前記航空機体の窓を防曇することを特徴とする。
【0016】
当該航空機でも、主防曇手段と予備防曇手段とを備えているので、主防曇手段の一部に不具合が生じても、予備防曇手段により、航空機体の窓の曇りを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、主防曇手段の一部に不具合が生じても、予備防曇手段の操作端を操作すれば、予備防曇手段のガスタンクに蓄えられている乾燥ガスが窓に沿って噴出するので、窓の曇りを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る第一実施形態における防曇装置の構成を示す説明図である。
【図2】本発明に係る第一実施形態における窓ガラス及び予備防曇装置の要部断面図である。
【図3】図2におけるIII‐III線断面図である。
【図4】本発明に係る第二実施形態における防曇装置の構成を示す説明図である。
【図5】本発明に係る第三実施形態における防曇装置の構成を示す説明図である。
【図6】本発明に係る第四実施形態における防曇装置の構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る窓の防曇装置の各種実施形態について、図面を用いて説明する。
【0020】
「第一実施形態」
まず、本発明に係る防曇装置の第一実施形態について、図1〜図3を用いて説明する。
【0021】
本実施形態の防曇装置は、図1に示すように、航空機体のコックピットの窓1の防曇装置である。
【0022】
本実施形態の防曇装置は、図2及び図3に示すように、窓ガラス2内に埋め込まれたヒータとしての透明抵抗体11を有する主防曇装置10と、窓ガラス2に乾燥ガスを吹き付ける予備防曇装置20と、を備えている。
【0023】
主防曇装置10は、窓ガラス2内に埋め込まれている前述の透明抵抗体11の他、この透明抵抗体11に電力を供給する電力源(図示しない)と、この電力源と透明抵抗体11とを電気的に接続する配線(図示しない)と、透明抵抗体11に供給する電力を制御する電力制御器(図示しない)と、を備えている。窓ガラス2は、複数のガラス板を重ね合わせたガラスで、複数のガラス板の合わせ面に、透明電極体としての透明抵抗膜が形成されている。
【0024】
予備防曇装置20は、図1に示すように、乾燥ガスが蓄えられているガスタンク21と、ガスタンク21内の乾燥ガスを窓1の縁まで導き、乾燥ガスを窓ガラス2に沿って噴出するガス流路23と、ガス流路23を流れる乾燥ガスの流量を制御する制御弁31と、制御弁31の弁開度を指示する操作端32と、を備えている。
【0025】
ガスタンク21に蓄えられる乾燥ガスとしては、コックピット内に噴出しても、コックピット内の人間に無害である、例えば、窒素や空気等である。このガスは、ガスタンク21内に加圧されて蓄えられている。
【0026】
ガス流路23は、図2及び図3に示すように、ガスタンク21内の乾燥ガスをコックピットの窓1の下縁に沿った位置まで導くガスパイプ24と、ガスパイプ24からの乾燥ガスをコックピットの窓ガラス2の室内側面である内面に沿って噴出するヘッダ25と、ガスパイプ24からの乾燥ガスをヘッダ25に導く分岐パイプ28と、を有している。
【0027】
ヘッダ25には、窓ガラス2の内面の下縁に沿って開口し、窓ガラス2の内面に沿って乾燥ガスを噴出する主噴出口26と、主噴出口26を基準にして窓1と反対側に、つまりコックピット内側に設けられ、主噴出口26からの乾燥ガスの噴出方向とほぼ平行な方向に乾燥ガスを噴出する多数の小径口27と、が形成されている。
【0028】
制御弁31は、ガス流路23のガスパイプ24中に設けられている。操作端32は、コックピット内に設けられている。
【0029】
次に、本実施形態の防曇装置の動作について説明する。
【0030】
航空機が飛行中、主防曇装置10の透明抵抗体11、又は、透明抵抗体11とその電力源とを接続する配線に電力を供給する配線が、断線し、又はショートし、コックピントの窓ガラス2に曇りが発生し始めたとする。
【0031】
この際、コックピット内の操縦士等は、操作端32を操作して、制御弁31を全開状態にする。制御弁31が全開になると、ガスタンク21内の乾燥ガスは、ガスパイプ24、分岐パイプ28、ヘッダ25を経て、コックピットの窓1の内面に噴出する。
【0032】
乾燥ガスは、図2に示すように、ヘッダ25の主噴出口26から、窓1の下縁から、窓ガラス2の内面に沿って窓1の上縁に向かって噴出する。乾燥ガスが窓ガラス2の内面に沿って流れると、窓ガラス2の内面に沿った部分の相対湿度が低下し、窓1の曇り発生が抑えられる。
【0033】
よって、本実施形態では、主防曇装置10が故障しても、予備防曇装置20により、窓1の曇りを防ぐことができる。但し、予備防曇装置20は、その乾燥ガスの貯蔵容量に限度があり、長時間に亘って防曇機能を維持できないため、必要になった場合、例えば、着陸態勢に移ったときに等に、機能させることが好ましい。
【0034】
ところで、乾燥ガスがヘッダ25の主噴出口26のみから噴出した場合、主噴出口26から噴出した乾燥ガスがキャビン内の空気を巻き込み、乾燥ガスの噴出速度が低下し、乾燥ガスの到達範囲が狭まってしまう。そこで、本実施形態では、容量に限度がある乾燥ガスを有効利用するため、窓ガラス2からキャビン内側に離れた位置に配置されている多数の小径口27からも、僅かではあるが、乾燥空気を噴出し、主噴出口26から噴出した乾燥ガスとキャビン内の空気との間に緩衝域を確保して、主噴出口26から噴出した乾燥ガスにキャビン内の空気が巻き込まれるのを最小限に抑えている。この結果、本実施形態では、主噴出口26から噴出した乾燥空気の到達範囲が広がり、窓ガラス2の広範囲に亘って、曇りの発生を抑えることができる。
【0035】
「第二実施形態」
次に、本発明に係る防曇装置の第二実施形態について、図4を用いて説明する。
【0036】
本実施形態の防曇装置も、第一実施形態と同様、主防曇装置と予備防曇装置20aとを備えている。主防曇装置は、第一実施形態と同様のものである。また、予備防曇装置20aは、第一実施形態の予備防曇装置20に、ガスパイプ24を通る乾燥ガスを加熱する電気ヒータ33(加熱器)と、その駆動回路34と、その制御回路35(加熱制御器)と、キャビン内の露点温度を検知する露点温度センサ36と、電気ヒータ33による加熱後の乾燥ガスの温度を検知するガス温度センサ37と、を加えたものである。
【0037】
ヒータ制御回路35は、露点温度センサ36で検知された室内の露点温度に基づいて、ガス温度センサ37で検知される温度が、室内の露点温度よりも高い温度になるよう、ヒータ駆動回路34を制御するものである。露点温度センサ36としては、例えば、高分子式静電容量センサ、酸化アルミ式静電容量センサ等がある。また、露点温度を検知する方法としては、この他、室内の乾球温度と湿球温度とを検知し、これら乾球温度と湿球温度とから室内の絶対水蒸気量を求め、この絶対水蒸気量から露点温度を求める方法等がある。
【0038】
次に、本実施形態の予備防曇装置20aの動作について説明する。
【0039】
コックピット内の操縦士等により操作端32が操作されると、その操作による信号が制御弁31及びヒータ制御回路35に送られる。制御弁31は、この信号を受信すると、全開状態になり、ガスタンク21内の乾燥ガスが、ガスパイプ24、分岐パイプ28、ヘッダ25を経て、コックピットの窓ガラス2の内面に噴出する。また、ヒータ制御回路35は、この信号を受信すると、ヒータ駆動回路34によりヒータ駆動を開始させると共に、露点温度センサ36からの出力及びガス温度センサ37からの出力を受信して、ガス温度センサ37で検知される乾燥ガスの温度が、室内の露点温度よりも高い温度になるよう、ヒータ駆動回路34を制御する。この結果、ヘッダ25内には、室内露点温度よりも高い温度にまで加熱された乾燥ガスが供給され、この乾燥ガスが窓ガラス2の内面に沿って噴出される。
【0040】
以上のように、本実施形態では、加熱された乾燥ガスが窓ガラス2の内面に噴出されるので、窓ガラス2の曇りを効果的に抑えることができる。よって、本実施形態では、容量に限度がある乾燥ガスをより有効利用することができる。
【0041】
なお、本実施形態では、ガス温度センサ37を設けて、このガス温度センサ37で検知された乾燥ガスの温度が露点温度より高くなるように、乾燥ガスを加熱しているが、ガス温度センサ37の代わりに、窓ガラス2の内面に沿った部分の温度を検知する温度センサを設け、この温度センサで検知された温度が露点温度より高くなるように、乾燥ガスを加熱してもよい。
【0042】
また、本実施形態では、露点温度センサ36を設けているが、この露点温度センサ36を省いてもよい。この場合、露点温度を予め定めた値に設定しておき、この露点温度より、乾燥ガスの温度又は窓ガラス2の内面の温度が高くなるよう、乾燥ガスを加熱してもよい。
【0043】
さらに、本実施形態では、乾燥ガス等の温度が露点温度よりも高い温度になるように、乾燥ガスの加熱を制御しているが、このような制御を実行せず、単に、乾燥ガスを加熱するようにしてもよい。すなわち、各温度センサ36,37やヒータ制御回路35を設けなくてもよい。
【0044】
「第三実施形態」
次に、本発明に係る防曇装置の第三実施形態について、図5を用いて説明する。
【0045】
本実施形態の主防曇装置も、第二実施形態と同様、第一実施形態と同様のものである。また、予備防曇装置20bは、第二実施形態の予備防曇装置20aに、ガスタンク21に圧縮空気を送り込む圧縮機41と、その駆動制御回路45と、圧縮機41からの空気を除湿する除湿器43と、を追加したものである。
【0046】
圧縮機41は、航空機体内の空気を吸い込んで、これを圧縮する。
【0047】
除湿器43は、容器内にシリカゲルやゼオライト等の除湿剤が入れられているものである。なお、ここでは、除湿手段として、除湿剤を用いる吸着方式を採用しているが、本発明は、これに限定されるものではなく、その他の方式、例えば、冷却方式、圧縮方式等を採用してもよい。
【0048】
コックピット内の操縦士等により操作端32が操作されると、その操作による信号が制御弁31、ヒータ制御回路35、圧縮機41の駆動制御回路45に送られる。制御弁31及びヒータ制御回路35は、この信号を受信すると、第二実施形態と同様に動作する。
【0049】
また、圧縮機41の駆動制御回路45は、この信号を受信すると、ガスタンク21に設けられている圧力計22からの出力を受信し、ガスタンク21の内圧が低下し、予め定められた第一圧力になると、圧縮機41の吐出弁42を開けると共に、圧縮機41を駆動する。圧縮機41からの圧縮空気は、除湿器43で除湿された後、ガスタンク21に送られる。そして、ガスタンク21の内圧が高められ、予め定められた第二圧力(>第一圧力)になると、駆動制御回路45は、圧縮機41を停止させると共に、吐出弁42を閉じる。以下、操作端32が再びオフになるまで、駆動制御回路45は、ガスタンク21の内圧が第一圧力と第二圧力との間を維持するように、圧縮機41及び吐出弁42を駆動制御する。そして、操作端32がオフになると、駆動制御回路45は、ガスタンク21の内圧を第二圧力にしてから、圧縮機41を停止させると共に、吐出弁42を閉じて、これらの制御を終了する。
【0050】
以上、本実施形態では、ガスタンク21内の乾燥ガスを窓ガラス2に噴出しても、ガスタンク21内には、乾燥空気が補充されるので、長時間に亘って、窓ガラス2の曇りを抑えることができる。
【0051】
なお、本実施形態の圧縮機41は、航空機体内の空気を吸い込み、これを圧縮してガスタンク21に送るものであるが、機外や航空機のエンジンから抽気したガスを吸い込み、これを圧縮してガスタンク21に送るようにしてもよい。
【0052】
地表面に近いほど、機外の絶対湿度が上昇するので、窓ガラス2の内面温度が噴出ガスの露点以下になり、結露が生じやすくなる。これとは逆に高度が高いと、外気の絶対湿度がゼロに近いため、結露が生じくい。つまり、高度が予め定められた高度よりも低くなると、予備防曇装置20bを自動的に稼動させてもよい。具体的には、予備防曇装置20bを自動で稼動するため、例えば、制御弁31、ヒータ制御回路35、圧縮機41の駆動制御回路45に制御信号を出力する。
【0053】
また、圧縮機41がエンジンから抽気したガスを吸い込む場合、圧縮機41は、エンジンから抽気したガスを、機体内のガス(例えば、空調用空気)や外気で希釈して、コックピット内が酸欠状態にならないようにすることが好ましい。
【0054】
また、本実施形態では、ガスタンク21に送り込む空気を除湿するための除湿器43を設けているが、本実施形態のように、ガスパイプ24にヒータ33を設けている場合には、除湿器43を設けなくてもよい。但し、ヒータ33共に除湿器43を設けた法が、防曇効果が高いことは言うまでもない。
【0055】
「第四実施形態」
次に、本発明に係る防曇装置の第四実施形態について、図6を用いて説明する。
【0056】
本実施形態の予備防曇装置20bは、第三実施形態と同様のものである。一方、本実施形態の主防曇装置10bは、以上の実施形態のように、窓ガラス2内にヒータとしての透明抵抗体を設けたものではなく、空調装置等の温風源9からの温風を窓ガラス2の内面に噴出するものである。
【0057】
具体的に、本実施形態の主防曇装置10bは、空調装置等の温風源9からの温風を、予備防曇装置20bのガスパイプ24に送り込む、主ガスパイプ14を備えている。さらに、この主防曇装置10は、予備防曇装置20の構成要素の一部である、ガスパイプ24、ヘッダ25、電気ヒータ33、ヒータ駆動回路34、ヒータ制御回路35、露点温度センサ36、ガス温度センサ37と、を備えている。すなわち、本実施形態では、予備防曇装置20bと主防曇装置10bとで、ガスパイプ24、ヘッダ25、電気ヒータ33、ヒータ駆動回路34、ヒータ制御回路35、室内温度センサ36、ガス温度センサ37を共有している。
【0058】
主防曇装置10bは、温風源9からの温風がガスパイプ24を通る過程で、第三実施形態と同様に、電気ヒータ33で加熱する。そして、加熱された空気を、ヘッダ25を介して、窓ガラス2の内面に噴出する。
【0059】
以上、本実施形態では、主防曇装置10bを予備防曇装置20bと同様に、窓ガラス2の内面にガスを噴出するものにして、予備防曇装置20bの構成要素と主防曇装置10bの構成要素との共有化を図っている。よって、本実施形態では、設備コストの低減を図ることができる。
【0060】
なお、本実施形態の防曇装置は、第三実施形態の防曇装置における主防曇装置を、温風源9からの温風を窓ガラス2の内面に噴出する主防曇装置10bに代えたものであるが、第一及び第二実施形態の防曇装置における主防曇装置を、温風源9からの温風を窓ガラス2の内面に噴出する主防曇装置10bに代えてもよい。
【0061】
また、以上の各実施形態の防曇装置は、いずれも、航空機の窓に適用したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0062】
ガスタンク21の内圧が強度上限より高いと、ガスタンクが爆発する可能性がある。そのため前述の第一から第四の実施形態において、ガスタンク内圧が上限圧を超えないように安全弁をつけても良い。
【符号の説明】
【0063】
1:窓、2:窓ガラス、9:温風源、10,10b:主防曇装置、11:透明抵抗体、14:主ガスパイプ、20,20a,20b:予備防曇装置、21:ガスタンク、23:ガス流路、24:ガスパイプ、25:ヘッダ、26:主噴出口、27:小径口、31:制御弁、32:操作端、33:電気ヒータ、34:ヒータ駆動回路、35:ヒータ制御回路、36:露点温度センサ、37:ガス温度センサ、41:圧縮機、42:吐出弁、43:除湿器、45:圧縮機駆動制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓の防曇装置において、
前記窓の曇りを防ぐ主防曇手段と、前記窓の曇りを防ぐ予備防曇手段と、を備え、
前記予備防曇手段は、
乾燥ガスが加圧されて蓄えられているガスタンクと、
前記ガスタンク内の前記乾燥ガスを前記窓の縁まで導き、該乾燥ガスを該窓に沿って噴出するガス流路と、
前記ガス流路を流れる前記乾燥ガスの流量を制御する制御弁と、
室内に設けられ、前記制御弁の弁開度を指示する操作端と、
を有することを特徴とする防曇装置。
【請求項2】
請求項1に記載の防曇装置において、
前記ガス流路を流れる前記乾燥ガスを加熱する加熱器、
を備えていることを特徴とする防曇装置。
【請求項3】
請求項2に記載の防曇装置において、
前記窓の室内側面に沿った部分での温度、又は前記加熱器により加熱された前記乾燥ガスの温度を検知する温度センサと、
前記温度センサで検知された温度に基づいて、前記加熱器による前記乾燥ガスの加熱量を制御する加熱制御器と、
を備えていることを特徴とする防曇装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の防曇装置において、
前記ガスタンク内に圧縮空気を送り込む圧縮機と、
前記圧縮機により前記ガスタンク内に送り込まれる前記空気を除湿する除湿手段と、
を備えていることを特徴とする防曇装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の防曇装置と、
航空機体とを備え、
前記防曇装置は、前記航空機体の窓を防曇する、
ことを特徴とする航空機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−166683(P2012−166683A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−29007(P2011−29007)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)