説明

防水シート及び防水シートのラップ接合方法

【課題】継ぎ目の段差を小さくできる防水シートのラップ接合方法を提供する。
【解決手段】合成繊維、ガラス繊維、PETフィルムの内の1種又は2種以上の組み合わせからなるシート部材11、12と、該シート部材11、12の裏面に改質アスファルト層13を備えた帯状の防水シート1であって、隣接する防水シート1の長手方向の端部と端部とを重ね、防水シート1を施工面2に固着させ、重ね部の上面の継ぎ目を帯状部材5で覆い、その後、防水シート1の上に塗膜防水材6を塗布して被覆する防水シートのラップ接合方法であって、前記継ぎ目に位置する隣接する防水シート1の長手方向の端部と端部は、何れも防水シート1の長手方向に沿って改質アスファルト層13が欠落し、シート部材11、12が露出しているものであり、帯状部材5は、塗膜防水材6が透過する複数の開口部51を備え、複数の開口部51に塗膜防水材6が侵入して固化しているものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水シート及び防水シートのラップ接合方法に係り、特に、継ぎ目の段差を小さくすることができる防水シート及び防水シートのラップ接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の防水施工方法は、例えば、上面が合成繊維であるシート部材、該シート部材の裏面に改質アスファルトで形成された改質アスファルト層を備えた帯状の防水シートであって、前記改質アスファルト層を施工面の側に位置させると共に、隣接する防水シートの長手方向の端部と端部とを重ね、前記防水シートを前記施工面に固着させ、前記防水シートの長手方向の端部と端部との重ね部の上面の継ぎ目をラップテープで覆い、その後、防水シートの上に塗膜防水材を塗布して被覆するようにしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した防水施工方法にあっては、継ぎ目に防水シートの厚み分の段差が生じ平滑さが得られず、比較的薄い塗膜で防水しようとする塗膜防水にあっては、忌避要素となるものであり、例えば、継ぎ目の段差分、「より厚く」塗膜防水材を塗布しなければならず、場合により、継ぎ目のラインが生じる不具合が生じる。
また、上記ラップテープは継ぎ目より改質アスファルト層のアスファルトがブリード(染み出し)することを防止するもので、そのため、塗膜防水材が透過せず、継ぎ目に塗膜防水材が接合されず、強度的にも弱いという問題点もあった。
本発明は、上記問題点を除去するようにした防水シート及び防水シートのラップ接合方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、請求項1記載の防水シートのラップ接合方法は、シート部材と、該シート部材の裏面に改質アスファルトで形成された改質アスファルト層を備えた帯状の防水シートであって、前記改質アスファルト層を施工面の側に位置させると共に、隣接する防水シートの長手方向の端部と端部とを重ね、前記防水シートを前記施工面に固着させ、その後、前記防水シートの上に塗膜防水材を塗布して被覆する防水シートのラップ接合方法であって、前記シート部材は、合成繊維、ガラス繊維、PETフィルムの内の1種又は2種以上の組み合わせからなるものであり、前記継ぎ目に位置する隣接する前記防水シートの長手方向の端部と端部は、何れも前記防水シートの長手方向に沿って前記改質アスファルト層が欠落し、前記シート部材が露出しているものである。
【0005】
また、請求項2記載の防水シートのラップ接合方法は、シート部材と、該シート部材の裏面に改質アスファルトで形成された改質アスファルト層を備えた帯状の防水シートであって、前記改質アスファルト層を施工面の側に位置させると共に、隣接する防水シートの長手方向の端部と端部とを重ね、前記防水シートを前記施工面に固着させ、前記防水シートの長手方向の端部と端部との重ね部の上面の継ぎ目を帯状部材で覆い、その後、前記防水シートの上に塗膜防水材を塗布して被覆する防水シートのラップ接合方法であって、
前記シート部材は、合成繊維、ガラス繊維、PETフィルムの内の1種又は2種以上の組み合わせからなるものであり、前記継ぎ目に位置する隣接する前記防水シートの長手方向の端部と端部は、何れも前記防水シートの長手方向に沿って前記改質アスファルト層が欠落し、前記シート部材が露出しているものであり、前記帯状部材は、前記塗膜防水材が透過する複数の開口部を備え、前記複数の開口部に前記塗膜防水材が侵入して固化しているものである。
【0006】
また、請求項3記載の防水シートは、シート部材と、該シート部材の裏面に改質アスファルトで形成された改質アスファルト層を備えた帯状の防水シートであって、前記シート部材は、合成繊維、ガラス繊維、PETフィルムの内の1種又は2種以上の組み合わせからなるものであり、前記防水シートの長手方向の両端部は、前記防水シートの長手方向に沿って前記改質アスファルト層が欠落し、前記シート部材が露出しているものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の防水シートのラップ接合方法によれば、継ぎ目に位置する隣接する防水シートの長手方向の端部と端部は、何れも防水シートの長手方向に沿って改質アスファルト層が欠落し、シート部材が露出しているため、改質アスファルト層のアスファルトがブリード(染み出し)しても、露出しているシート部材により遮断され、継ぎ目より改質アスファルト層のアスファルトがブリード(染み出し)することが防止され、しかも、継ぎ目に位置する隣接する防水シートの長手方向の端部と端部は、何れも防水シートの長手方向に沿って改質アスファルト層が欠落し、シート部材が露出しているため、継ぎ目の段差を小さくすることができる。
【0008】
また、請求項2記載の防水シートのラップ接合方法によれば、継ぎ目に位置する隣接する防水シートの長手方向の端部と端部は、何れも防水シートの長手方向に沿って改質アスファルト層が欠落し、シート部材が露出しているため、改質アスファルト層のアスファルトがブリード(染み出し)しても、露出しているシート部材により遮断され、継ぎ目より改質アスファルト層のアスファルトがブリード(染み出し)することが防止され、しかも、継ぎ目に位置する隣接する防水シートの長手方向の端部と端部は、何れも防水シートの長手方向に沿って改質アスファルト層が欠落し、シート部材が露出しているため、継ぎ目の段差を小さくすることができ、更に、帯状部材の複数の開口部に塗膜防水材が侵入して固化するため、継ぎ目の接合状態を強固にすることができる。
【0009】
また、請求項3記載の防水シートによれば、継ぎ目に位置する隣接する防水シートの長手方向の端部と端部は、何れも防水シートの長手方向に沿って改質アスファルト層が欠落し、シート部材が露出しているため、改質アスファルト層のアスファルトがブリード(染み出し)しても、露出しているシート部材により遮断され、継ぎ目より改質アスファルト層のアスファルトがブリード(染み出し)することが防止され、しかも、継ぎ目に位置する隣接する防水シートの長手方向の端部と端部は、何れも防水シートの長手方向に沿って改質アスファルト層が欠落し、シート部材が露出しているため、継ぎ目の段差を小さくすることができる。
【実施例】
【0010】
本発明の一実施例の防水シート及び防水シートのラップ接合方法を図面を参照して説明する。
図1乃至図4において、1は帯状の防水シ−トで、帯状の防水シ−ト1は、上面が合成繊維であるシート部材11、このシート部材11の下面にガラス繊維であるシート部材12、このシート部材12の裏面に改質アスファルトで形成された改質アスファルト層13、この改質アスファルト層13を覆うポリエステル等の合成繊維のフィルム(又は不織布)14と、施工面側に位置する面(本実施例では、フィルム14)に部分的に設けられた粘着層15(粘着層15は、例えば、改質アスファルトである。)を備えている。
【0011】
防水シ−ト1においては、合成繊維であるシート部材11、ガラス繊維であるシート部材12の順序で積層したが、逆に、ガラス繊維であるシート部材11、合成繊維であるシート部材12の順序で積層しても良く、また、シート部材11、シート部材12の何れか一方を省略しても良く、また、シート部材11又はシート部材12をPETフィルムでも良く、シート部材11、12は、合成繊維、ガラス繊維、PETフィルムの内の1種又は2種以上の組み合わせからなるものである。
また、防水シート1の長手方向の両端部は、図3及び図4に示すように、防水シート1の長手方向に沿って改質アスファルト層13及びフィルム14が欠落し、シート部材12が露出している。更に、繋ぎ目に位置する改質アスファルト層13の層は、図3に示すように薄層に形成され、繋ぎ目の段差を極力なくすようにしている。
なお、本願発明にあっては、防水シ−ト1は、少なくとも、上面が合成繊維、ガラス繊維、PETフィルムの内の1種又は2種以上の組み合わせからなるシート部材11と、該シート部材11の裏面に改質アスファルトで形成された改質アスファルト層13を備えたものであれば良く、防水シ−ト1の長手方向の両端部は、防水シート1の長手方向に沿って改質アスファルト層13が欠落し、シート部材11が露出しているものであれば良い。また、図2及び図3に示す16は、離型紙である。
【0012】
また、図3に示すように、防水シート1の施工面側に位置する面(本実施例では、フィルム14)の粘着層15が設けられていない部位(例えば、図2で示すX)は連通するようになっている。改質アスファルトの層13の改質アスファルトは、合成ゴムあるいは合成樹脂を加えてアスファルトの性質を改良したもので、本実施例にあっては、特に、ブロ−ンとワックスを混入した改質アスファルトが良い。
【0013】
従って、防水シート1の離型紙16を剥がし、図5に示すように、防水シート1を予め所定のプライマーを塗布し乾燥させた施工面2に粘着層15を介して付着させると共に、防水シート1の長手方向の端部と端部とを重ねて(例えば、図6で示すY)施工面2に付着させる。かかる場合、図4に示すように、防水シート1の長手方向の端部と端部とを重ねた部分に係止部材(例えば、釘、ステープル、アンカーボルト等である。)4を施工面2に打ち付けて防水シート1を施工面2に固定するようにしても良い。なお、特に、継ぎ目に位置する隣接する防水シート1の長手方向の端部と端部は、何れも防水シート1の長手方向に沿って改質アスファルト層13が欠落し、シート部材12が露出しているため、改質アスファルト層13のアスファルトがブリード(染み出し)しても、露出しているシート部材12により遮断され、継ぎ目より改質アスファルト層13のアスファルトがブリード(染み出し)することが防止され、しかも、継ぎ目に位置する隣接する防水シート1の長手方向の端部と端部は、何れも防水シート1の長手方向に沿って改質アスファルト層13が欠落し、シート部材12が露出しているため、図6及び図7に示すように、継ぎ目の段差を小さくすることができる。
【0014】
そして、図8及び図9に示すように、防水シート1の長手方向の端部と端部との重ね部の上面の継ぎ目を帯状部材5で覆うようにする。この帯状部材5は、後述する塗膜防水材6が透過する複数の開口部51を備え、複数の開口部51に塗膜防水材6が侵入して固化する。帯状部材5には、望ましくは、粘着材を塗布し、防水シート1の長手方向の端部と端部との重ね部の上面の継ぎ目に容易に接着できるようにする。
次に、防水シート1の上に、塗膜防水材6を塗布する(図10参照)。塗膜防水材(塗膜防水材6は、例えば、周知のウレタンゴム系、アクリルゴム系、クロロプレンゴム系、アクリル樹脂系、ゴムアスファルト系等である。
その結果、帯状部材5の複数の開口部51に塗膜防水材6が侵入して固化するため、継ぎ目の接合状態を強固にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の一実施例の防水シ−トの概略的平面図である。
【図2】図2は、図1の2−2線による概略的断面図である。
【図3】図3は、図1の防水シ−トの離型紙が剥がれる状態を示す概略的斜視図である。
【図4】図4は、図3の4−4線による概略的断面図である。
【図5】図5は、図1の防水シ−トの長手方向の端部と端部とを重ねて施工面に付着させた状態を示す概略的斜視図である。
【図6】図6は、図5の概略的平面図である。
【図7】図7は、図6の7−7線による概略的断面図である。
【図8】図8は、図5の防水シートの長手方向の端部と端部との重ね部の上面の継ぎ目を帯状部材で覆う状態を示す概略的斜視図である。
【図9】図9は、図8の9−9線による概略的断面図である。
【図10】図10は、図9の防水シートの上に塗膜防水材を塗布した状態を示す概略的断面図である。
【符号の説明】
【0016】
1 ・・・・・防水シ−ト
2 ・・・・・施工面
5 ・・・・・帯状部材
6 ・・・・・塗膜防水材
13 ・・・・・粘着層
51 ・・・・・開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート部材と、該シート部材の裏面に改質アスファルトで形成された改質アスファルト層を備えた帯状の防水シートであって、前記改質アスファルト層を施工面の側に位置させると共に、隣接する防水シートの長手方向の端部と端部とを重ね、前記防水シートを前記施工面に固着させ、その後、前記防水シートの上に塗膜防水材を塗布して被覆する防水シートのラップ接合方法であって、
前記シート部材は、合成繊維、ガラス繊維、PETフィルムの内の1種又は2種以上の組み合わせからなるものであり、
前記継ぎ目に位置する隣接する前記防水シートの長手方向の端部と端部は、何れも前記防水シートの長手方向に沿って前記改質アスファルト層が欠落し、前記シート部材が露出しているものである
ことを特徴とする防水シートのラップ接合方法。
【請求項2】
シート部材と、該シート部材の裏面に改質アスファルトで形成された改質アスファルト層を備えた帯状の防水シートであって、前記改質アスファルト層を施工面の側に位置させると共に、隣接する防水シートの長手方向の端部と端部とを重ね、前記防水シートを前記施工面に固着させ、前記防水シートの長手方向の端部と端部との重ね部の上面の継ぎ目を帯状部材で覆い、その後、前記防水シートの上に塗膜防水材を塗布して被覆する防水シートのラップ接合方法であって、
前記シート部材は、合成繊維、ガラス繊維、PETフィルムの内の1種又は2種以上の組み合わせからなるものであり、
前記継ぎ目に位置する隣接する前記防水シートの長手方向の端部と端部は、何れも前記防水シートの長手方向に沿って前記改質アスファルト層が欠落し、前記シート部材が露出しているものであり、
前記帯状部材は、前記塗膜防水材が透過する複数の開口部を備え、前記複数の開口部に前記塗膜防水材が侵入して固化していることを特徴とする防水シートのラップ接合方法。
【請求項3】
シート部材と、該シート部材の裏面に改質アスファルトで形成された改質アスファルト層を備えた帯状の防水シートであって、
前記シート部材は、合成繊維、ガラス繊維、PETフィルムの内の1種又は2種以上の組み合わせからなるものであり、
前記防水シートの長手方向の両端部は、前記防水シートの長手方向に沿って前記改質アスファルト層が欠落し、前記シート部材が露出していることを特徴とする防水シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−170017(P2007−170017A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−368089(P2005−368089)
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【出願人】(591022656)静岡瀝青工業株式会社 (13)
【出願人】(592034489)新興産業株式会社 (7)