説明

防水パンおよび防水パンへの壁パネルの立設構造

【課題】コーキング部分が目立たなく、汚れにくくなり、また、ドアをフラットな状態に設置できる防水パンを提供する。
【解決手段】ユニットルームの防水パン1であって、防水パン1の外周に立設される壁パネル8の下方に防水パン1の床面から立ち上げられた突条5が設けられ、壁パネル8の内壁面8aの下方延長線に対し突条5の室内側立ち上げ面5aが同一面若しくは室外側に位置し、突条5の外側には壁パネル載置用スペーサー7またはドア枠が載置される一段下がった落とし込み部6が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室,シャワールーム,脱衣室等のユニットルームの防水パンおよび防水パンへの壁パネルの立設構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されているように、外周側に壁パネルの下端部が載置される壁載せ部を低い位置に形成した衛生設備ユニットのフロア構造が存在する。
【特許文献1】特開2005−213970号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に開示されているような構造では、壁載せ部に壁パネルを載置して、この壁パネルの内側に立ち上がる立上壁と壁パネル間に室内側からコーキングを施す必要があるが、このコーキングの部分が室内側から目立ちやすく、また、この部分に汚れが溜まりやすいという問題点があった。
また、ドアを設置するに際し、ドアの設置部分の立上壁を切断すると、切断面が露出してしまい、切断面にカバーを施す必要があるという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記従来の問題点に鑑み案出したものであって、コーキングが目立つことなく、また汚れが溜まることも少なく、またドアを見栄え良く段差をなくして設置できる防水パンを提供せんとするものであり、その請求項1は、ユニットルームの防水パンであって、該防水パンの外周に立設される壁パネルの下方に防水パンの床面から立ち上げられた突条が設けられ、該壁パネルの内壁面の下方延長線に対し該突条の室内側立ち上げ面が同一面若しくは室外側に位置し、該突条の外側には壁パネル載置用スペーサーまたはドア枠が載置される一段下がった落とし込み部が形成されていることである。
【0005】
また、請求項2は、前記ドア枠が設置される部分のみ前記突条が切断されていることである。
【0006】
また、請求項3は、ユニットルームの防水パンへの壁パネルの立設構造であって、該防水パンの外周に防水パンの床面から立ち上げられた突条が設けられ、該突条の外側には壁パネル載置用スペーサーが一段下がった落とし込み部に載置され、該スペーサーの壁パネル載置面と該突条の上端面とは略同一高さとされており、壁パネルがスペーサーと突条との上に立設されていることである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、ユニットルームの防水パンであって、該防水パンの外周に立設される壁パネルの下方に防水パンの床面から立ち上げられた突条が設けられ、該壁パネルの内壁面の下方延長線に対し該突条の室内側立ち上げ面が同一面若しくは室外側に位置し、該突条の外側には壁パネル載置用スペーサーまたはドア枠が載置される一段下がった落とし込み部が形成されていることにより、上方へ立ち上げられた突条の上に壁パネルの下端を当接させて壁パネルを設置することができ、この設置状態で壁パネルの室内側の面と同じか外側に突条が位置するために、平面上部から見ると突条と壁パネル間に段差が生ずることがなく、目立たないようにコーキングを施すことができ、また、コーキングは突条の上端側に施されるために排水等による汚れが付きにくく、また掃除しやすいものとなる。
【0008】
また、前記ドア枠が設置される部分のみ前記突条が切断されていることにより、突条を切断してドア枠を洗い場と段差のない状態に落とし込み部に載置させて設置することができ、入口に段差のない良好なユニットルームを形成させることができるものとなる。
【実施例】
【0009】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、防水パンの平面構成図であり、防水パン1は、浴室の床面を構成するものであり、洗い場面2と浴槽設置面3が堤防部4で仕切られた状態で一体形成されており、洗い場面2には洗い場排水口2aが、また浴槽設置面3には浴槽排水口3aが形成されている。
【0010】
本例における防水パン1の洗い場面2の堤防部4側を除く外周3辺には、図2の拡大縦断面構成図で示すように、上方へ立ち上げて突条5が一体形成されており、この突条5の外側には一段下がった位置に落とし込み部6が連続して形成されている。この落とし込み部6は、突条5の下端から下方へ延びる垂下片6aと、この垂下片6aの下端で外側へ略水平状にやや湾曲して延びる水平支持片6bで構成されており、この落とし込み部6にはスペーサー7を載置することができ、スペーサー7の上端の壁パネル載置面7aを突条5の上端とほぼ同一高さに設定して、この上に壁パネル8の下端を当接させて、壁パネル8をスペーサー7と突条5の上に立設できるように構成されている。
【0011】
この壁パネル8を設置した状態において、壁パネル8の室内側壁面8aと同じか室外側に前記突条5の室内側立ち上げ面5aが位置するように設定されている。
突条5上に壁パネル8を立設させた後に、壁パネル8の下端と突条5の上端間に室内側よりコーキングCを施して止水処理を行なうのであるが、このコーキングCは、突条5が壁パネル8と同じか、また室外側に位置しているために、室内側から目立つことなく良好に施工することができ、意匠性に優れた設置状態が得られ、また、このコーキングCは突条5の高さ分だけ高い位置に施されるために、排水等がかかりにくく、汚れにくいものとなる。
なお、図4は、突条5が壁パネル8より室外側にある場合の壁パネル8の立設状態図である。
【0012】
なお、出入口用のドアが設置される部分(図1におけるPで示す部分)では、図3の縦断面図で示すように、突条5を切断して除去することで、図3のように落とし込み部6にドア枠9を配置させると、ドア枠9の上面の洗い場面2上への張り出し部分が突条5を切断した部分を覆い隠すこととなり、突条5の切断部が露出することがなく、見栄えが良好なものとなり、また突条5が切断されることにより、洗い場面2とドア枠9の上面は段差のないフラット状態となり、出入りがしやすい構造となる。
なお、図3において、10はドア枠9に取り付けられるドアであり、また、図中9aはドア縦枠の室内側のラインである。
【0013】
なお、本例の防水パンは、浴室用の防水パンを例示しているが、その他、シャワールームや脱衣室等の衛生設備用のユニットルームの防水パンについても、同様に、外周側に突条5と、その外側に一段低い落とし込み部6を一体形成して、壁パネルを良好な意匠性を呈して設置でき、また、ドア枠をフラットな状態で良好に設置できるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】浴室用の防水パンの平面構成図である。
【図2】防水パンに壁パネルを立設した状態の要部縦断面拡大構成図である。
【図3】ドアを設置した部分の要部縦断面拡大構成図である。
【図4】突条が壁パネルより室外側にある場合の防水パンに壁パネルを立設した状態の要部縦断面拡大構成図である。
【符号の説明】
【0015】
1 防水パン
2 洗い場面
5 突条
6 落とし込み部
6a 垂下片
6b 水平支持片
7 スペーサー
8 壁パネル
9 ドア枠
9a ドア枠ライン
10 ドア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユニットルームの防水パンであって、
該防水パンの外周に立設される壁パネルの下方に防水パンの床面から立ち上げられた突条が設けられ、
該壁パネルの内壁面の下方延長線に対し該突条の室内側立ち上げ面が同一面若しくは室外側に位置し、
該突条の外側には壁パネル載置用スペーサーまたはドア枠が載置される一段下がった落とし込み部が形成されていることを特徴とする防水パン。
【請求項2】
前記ドア枠が設置される部分のみ前記突条が切断されていることを特徴とする請求項1に記載の防水パン。
【請求項3】
ユニットルームの防水パンへの壁パネルの立設構造であって、
該防水パンの外周に防水パンの床面から立ち上げられた突条が設けられ、
該突条の外側には壁パネル載置用スペーサーが一段下がった落とし込み部に載置され、
該スペーサーの壁パネル載置面と該突条の上端面とは略同一高さとされており、
壁パネルがスペーサーと突条との上に立設されていることを特徴とする防水パンへの壁パネルの立設構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−191974(P2007−191974A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−13168(P2006−13168)
【出願日】平成18年1月20日(2006.1.20)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】