防水層の施工方法、防水層、アスファルトパネル及びアスファルトパネル用型枠
【課題】防水層の表面を平坦に形成することができ、施工コストを低減することができる防水層の施工方法を提供することを課題とする。
【解決手段】肉厚部分の本体部11と、この本体部11の両端部に形成され本体部11よりも肉薄の連結段部12,13と、を有する複数のアスファルトパネル10を用いて形成する防水層の施工方法であって、隣り合うアスファルトパネル10,10の連結段部12,13を重ね合わせ、アスファルトパネル10,10の下面及び上面をそれぞれ面一に形成することを特徴とする。
【解決手段】肉厚部分の本体部11と、この本体部11の両端部に形成され本体部11よりも肉薄の連結段部12,13と、を有する複数のアスファルトパネル10を用いて形成する防水層の施工方法であって、隣り合うアスファルトパネル10,10の連結段部12,13を重ね合わせ、アスファルトパネル10,10の下面及び上面をそれぞれ面一に形成することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯水池や堤防又は護岸工事等に用いられ、複数のアスファルトパネルを重ね合わせて形成する防水層の施工方法及び防水層、並びに当該防水層に用いるアスファルトパネル、さらに当該アスファルトパネルを成形するアスファルトパネル用型枠に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、貯水池や堤防又は護岸工事等において、比較的広範囲に亘って防水層を形成する場合に、複数枚の薄い平板状のアスファルトパネルを端部同士で重ね合わせる施工方法が知られている。
【0003】
図16は、従来の防水層の施工方法1を示した断面図であり、図17は従来の防水層の施工方法2を示した断面図である。例えば、図16に示す従来の防水層の施工方法1は、施工面Gに敷設された一方のアスファルトパネル101の上面に、他方のアスファルトパネル102の下面を重ね合わせて隣り合うアスファルトパネルを連結し、防水層100を形成している。
また例えば、図17に示す従来の防水層の施工方法2は、一対のアスファルトパネル103,104の端面同士を突き合わせて、この突合せ面106に沿って被覆材105を張り付けて隣り合うアスファルトパネルを連結し、防水層110を形成している。
【0004】
【特許文献1】特開2005−90161号公報(図2、図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の防水層の施工方法1では、アスファルトパネル101の上面に、アスファルトパネル102を乗り上げるようにして両者を重ね合わせるため、防水層100の表面に段差が生じていた。また、従来の防水層の施工方法2では、一対のアスファルトパネル103,104の表面に被覆材105を張り付けるため、防水層110の表面に段差が生じていた。このように、防水層の表面に段差が生じると、当該段差部分が捲り上がってアスファルトパネル又は被覆材が剥れやすくなり、防水層が欠損するという問題があった。また、防水層の表面に段差が生じると、防水層上で作業を行う際の障害となるという問題があった。
【0006】
また、従来の防水層の施工方法1では、アスファルトパネル101,102の端部を重複させるため、いわゆる「重ね代」分の材料コストが上昇していた。また、従来の防水層の施工方法2では、被覆材105を要するため、部品点数が増えるとともに、被覆材105分の材料コストが上昇していた。
【0007】
本発明はかかる問題を解決するためになされたものであり、防水層の表面を平坦に形成することができ、施工コストを低減することができる防水層の施工方法及び防水層を提供することを課題とする。また、防水層の表面を平坦に形成することができ、施工コストを低減することができるアスファルトパネル及びこのアスファルトパネルを成形するアスファルトパネル用型枠を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような課題を解決するために本発明は、肉厚の本体部と、この本体部の少なくとも一方の端部に延設され前記本体部よりも肉薄の連結段部と、を有する複数のアスファルトパネルを用いて形成する防水層の施工方法であって、隣り合う前記アスファルトパネルの前記連結段部同士を重ね合わせ、前記アスファルトパネル同士の下面及び上面をそれぞれ面一に形成することを特徴とする防水層の施工方法である。
【0009】
かかる施工方法によれば、アスファルトパネルの本体部の端部に、本体部よりも肉薄に形成された連結段部を備え、当該連結段部同士で隣り合うアスファルトパネルを重ね合わせるため、防水層を平坦に形成することができる。また、アスファルトパネルに重ね代を設ける必要はなく、被覆材などの他の材料を用いることもないため、施工コストを低減することができる。また、連結段部を設けることで、防水層を平坦に形成することができるとともに、アスファルトパネル同士が接触する面積を大きくすることができるため、防水性能を高めることができる。
【0010】
また、本発明は、肉厚の本体部と、この本体部の少なくとも一方の端部に延設され前記本体部よりも肉薄の連結段部と、を有する複数のアスファルトパネルから構成された防水層であって、隣り合う前記アスファルトパネルが前記連結段部同士で重ね合わされており、前記アスファルトパネル同士の下面及び上面がそれぞれ面一に形成されていることを特徴とする防水層である。
【0011】
かかる防水層によれば、アスファルトパネルの本体部の端部に、本体部よりも肉薄に形成された連結段部を備え、当該連結段部同士で隣り合うアスファルトパネルを重ね合わせるため、防水層を平坦に形成することができる。また、アスファルトパネルに重ね代を設ける必要はなく、被覆材などの他の材料を用いることもないため、施工コストを低減することができる。また、連結段部を設けることで、防水層を平坦に形成することができるとともに、アスファルトパネル同士が接触する面積を大きくすることができるため、防水性能を高めることができる。
【0012】
また、前記複数のアスファルトパネルは、このアスファルトパネルの前後方向及び前後方向に対して直交する左右方向に並べて敷設されており、前後方向に隣り合う前記アスファルトパネル同士の突合せ面の断面形状及び前後方向に対して直交する左右方向に隣り合う前記アスファルトパネル同士の突合せ面の断面形状が、クランク形状を呈することが好ましい。
【0013】
かかる防水層によれば、前後方向に隣り合う前記アスファルトパネル同士の突合せ面の断面形状及び前後方向に対して直交する左右方向に隣り合う前記アスファルトパネル同士の突合せ面の断面形状が、クランク形状を呈するため、アスファルトパネルが接触する面積をより大きく確保することができるため、防水性能をさらに高めることができる。
【0014】
また、隣り合う前記アスファルトパネルの前記連結段部同士は、接着剤を介して重ね合わされていることが好ましい。かかる構成によれば、隣り合うアスファルトパネルの重複部分をより強固に連結することができるため、防水性能を高めることができる。
【0015】
また、本発明は、肉厚の本体部と、この本体部の少なくとも一方の端部に延設され前記本体部よりも肉薄の連結段部と、を有するアスファルトパネルであって、隣り合う前記アスファルトパネルの前記連結段部同士を重ね合わせると、前記アスファルトパネル同士の下面及び上面がそれぞれ面一に形成されることを特徴とするアスファルトパネルである。
【0016】
かかるアスファルトパネルによれば、アスファルトパネルの本体部の端部に、本体部よりも肉薄に形成された連結段部を備え、当該連結段部同士で隣り合うアスファルトパネルを重ね合わせるため、防水層を平坦に形成することができる。また、アスファルトパネルに重ね代を設ける必要はなく、被覆材などの他の材料を用いることもないため、施工コストを低減することができる。また、連結段部を設けることで、防水層を平坦に形成することができるとともに、アスファルトパネル同士が接触する面積を大きくすることができるため、防水性能を高めることができる。
【0017】
また、本発明は、肉厚の本体部と、この本体部の少なくとも一方の端部に延設され前記本体部よりも肉薄の連結段部と、を有するアスファルトパネルを成形するアスファルトパネル用型枠であって、平板状の底部と、この底部の上に設けられ、第一中空部を備えた第一枠状部と、この第一枠状部の上に設けられ第二中空部を備えた第二枠状部と、を有し、前記第二枠状部は、前記第一中空部の端部側の一部を覆う被覆部を備えていることを特徴とするアスファルトパネル用型枠である。
【0018】
かかる構成によれば、第一中空部の端部側の一部が被覆部によって覆われるとともに、第二枠状部のうち当該被覆部の部分にはアスファルト系材料が流入しない。したがって、本体部よりも肉薄の連結段部を容易に成形することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る防水層の施工方法、防水層及びアスファルトパネルによれば、防水層の表面を平坦に形成することができ、かつ、施工コストを低減することができる。また、本発明に係るアスファルトパネル用型枠によれば、アスファルトパネルを容易に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
[第一実施形態]
本発明の最良の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、第一実施形態に係る防水層を示した斜視図である。図2の(a)は、防水層の中央側に配置されるアスファルトパネルを示した斜視図であり、(b)は、防水層の端部側に配置されるアスファルトパネルを示した斜視図である。図3は、図2の(a)に係るアスファルトパネルを示した側面図である。なお、説明における上下、左右、前後は、図1の矢印に従う。
【0021】
防水層Uは、図1に示すように、アスファルト系材料からなる薄板状のアスファルトパネル10,30を複数枚敷設して形成され、例えば、貯水池の底部において地層への透水を防止するために用いられる。本実施形態に係るアスファルトパネルは、防水層Uの中央側に敷設されるアスファルトパネル10と、端部側に敷設されるアスファルトパネル30の二種類の形状のものを採用している。
なお、本実施形態では、防水層Uを貯水池に用いる場合を例に説明するが、これに限定されるものではなく、例えば、堤防、調整池、ダム、水路等に形成してもよい。
まず、アスファルトパネル10,30の詳細な構成について説明する。
【0022】
(アスファルトパネル)
第一実施形態に係るアスファルトパネル10は、図2の(a)に示すように、アスファルト系材料からなり、平面視長方形を呈する薄い板状部材である。アスファルトパネル10は、本実施形態では主として防水層Uの中央側に敷設される。
【0023】
アスファルトパネル10は、図2の(a)に示すように、直方体を呈し肉厚部分である本体部11と、本体部11の前後軸方向の両端側に直方体を呈し本体部11よりも肉薄に形成された連結段部12,13とを備えている。連結段部12,13は、アスファルトパネル10を敷設する際に、隣り合う連結段部12,13とそれぞれ重ね合わされる部分である。
本体部11の下面11dと、連結段部12の下面12dとは面一に形成されており、本体部11の上面11cと、連結段部13の上面13cとは面一に形成されている。また、アスファルトパネル10の左右両側面15,15(本体部11、連結段部12,13の両側面)はそれぞれ面一に形成されている。
【0024】
連結段部12の上面12cは、本体部11の上面11cよりも一段下がった位置に形成されている。連結段部12の上面12cは、本体部11の端面11a及び連結段部12の端面12aに対して垂直に形成されている。
【0025】
連結段部13の下面13dは、本体部11の下面11dよりも一段上がった位置に形成されている。連結段部13の下面13dは、本体部11の端面11b及び連結段部13の端面13aに対して垂直に形成されている。
【0026】
連結段部12及び連結段部13の前後軸方向(図1参照)の長さは、略同等に形成されている。また、連結段部12及び連結段部13の厚みt2,t2は、本体部11の厚みt1の1/2となるように形成されている。アスファルトパネル10は、本実施形態では、左右軸方向の長さを1000mm、前後軸方向の長さを3600mm(本体部11の長さを3000mm、連結段部12及び連結段部13の長さをそれぞれ300mm)に設定した。また、本体部11の厚みt1を10mmに設定した。前記した寸法はあくまで例示であって、アスファルトパネル10の寸法は、防水層を形成する場所や用途等に応じて適宜設定すればよい。
【0027】
次に、図3を用いてアスファルトパネル10の積層構造について説明する。
アスファルトパネル10は、中央部分に形成された芯材層21と、芯材層21の上面及び下面に形成された繊維層22(22a,22b)と、繊維層22aの上面及び繊維層22bの下面に形成された保護層23(23a,23b)と、保護層23aの上面及び保護層23bの下面に形成された付着防止層(図示省略)とを有する。
【0028】
芯材層21は、アスファルトパネル10の芯材層21の中央部分、連結段部12の上側部分、及び連結段部13の下側部分に亘って形成されている。芯材層21は、本実施形態ではアスファルト系材料と、繊維系材料又は鉱物系フィラー材料の混合物からなる。芯材層21のアスファルト含有量は、混合物の50%〜80%に設定するのが好ましい。繊維系材料又は鉱物系フィラーは公知の材料から適宜配分を設定すればよい。
【0029】
繊維層22は、芯材層21の上面に形成された繊維層22aと、芯材層21の下面に形成された繊維層22bとを有し、芯材層21を上下に挟み込むように形成されている。繊維層22aは、芯材層21及び連結段部13に亘って形成されている。繊維層22bは、芯材層21及び連結段部12に亘って形成されている。繊維層22は、アスファルトパネル10の引張強度及び撓み性を高める部分であって、本実施形態ではアスファルト系材料を含浸させた公知の繊維状シート材から形成されている。
【0030】
保護層23は、繊維層22aの上面に形成された保護層23aと、繊維層22bの下面に形成された保護層23bとを有する。保護層23aは、芯材層21及び連結段部13に亘って形成されている。保護層23bは、芯材層21及び連結段部12に亘って形成されている。保護層23は、アスファルトパネル10の上面及び下面の劣化防止のために形成される部分である。保護層23は、本実施形態ではブローンアスファルトを揮発性溶剤で溶解し、石粉その他の充填材を混合したものを用いている。
【0031】
付着防止層は、具体的な図示はしないが、例えば搬送時において、複数のアスファルトパネル10,10,・・・を上下に重ね合わせる場合に、本体部11,11同士の付着防止を目的として形成される部分である。付着防止層は、本実施形態では本体部11の上面11c及び下面11d、連結段部12の下面12d及び連結段部13の上面13cに、公知の鉱物質粉末を付着させている。なお、付着防止層は、アスファルトパネル10の全面に付着させてもよい。また、付着防止層は、必ずしも設けなければならないものではない。
【0032】
本実施形態では、例えば、芯材層21の厚みを6mm、繊維層22a,22bをそれぞれ1mm、保護層23a,23bをそれぞれ1mmで形成している。前記した寸法はあくまで例示であって、アスファルトパネル10の各層の寸法は、防水層を形成する場所や用途等に応じて適宜設定すればよい。また、アスファルトパネル10は、本実施形態では前記したように形成したが、これに限定されるものではなく、他の材料をさらに積層させてもよいし、単一のアスファルト系材料から形成してもよい。アスファルトパネル10の材料は、防水層を形成する場所や用途等に応じて適宜設定すればよい。
また、図3に示すように、以下の説明においては、アスファルトパネル10のうち下半分の下層部を下層部A、上半分の上層部を上層部Bともいう。
【0033】
一方、図2の(b)に示す、アスファルトパネル30は、本体部11の一方側の端面11aのみに連結段部12が形成されている点で、アスファルトパネル10と相違する。アスファルトパネル30は、連結段部13を有さないことを除いては、アスファルトパネル10と略同等であるため、詳細な説明は省略する。アスファルトパネル30は、主に防水層Uの端部に敷設される。
【0034】
(防水層の施工方法)
次に、防水層Uの施工方法について説明する。図4は、第一実施形態に係る防水層の施工方法を示した側面図であって、(a)は、敷設前の状態を示し、(b)は、図1のX1−X1線断面図、(c)は、図1のX2−X2線断面図を示す。
【0035】
防水層Uは、隣り合うアスファルトパネル10又はアスファルトパネル30を端部同士で重ね合わせて形成する。なお、本説明においては、図1に示すように、既に敷設されたアスファルトパネル10a,10cに対して、アスファルトパネル10bを敷設する場合を例にする。
【0036】
まず、図4の(a)に示すように、施工面Gに既に敷設されたアスファルトパネル10(10a)の本体部11の端面11a、連結段部12の上面12c及び端面12aに接着剤(図示省略)を塗布する。接着剤は、隣り合うアスファルトパネル10a,10bの接着性を良好にして防水性を高めるために用いられる。接着剤は、本実施形態では、例えばブローンアスファルトを採用しているが他の材料であってもよい。
【0037】
次に、図4の(b)に示すように、アスファルトパネル10aの連結段部12に、アスファルトパネル10bの連結段部13を重ね合わせる。この際、アスファルトパネル10aの本体部11の端面11aと、アスファルトパネル10bの連結段部13の端面13aとを突き合わせ、アスファルトパネル10aの連結段部12の上面12cと、アスファルトパネル10bの連結段部13の下面13dとを突き合わせ、アスファルトパネル10aの連結段部12の端面12aと、アスファルトパネル10bの本体部11の端面11bとを突き合せる。また、図1及び図4の(c)に示すように、アスファルトパネル10bの側面15と、左右軸方向に隣り合うアスファルトパネル10cの側面15とを突き合わせる。
【0038】
なお、図4の(b)に示すように、アスファルトパネル10aとアスファルトパネル10bとが前後軸方向に突き合わせて形成された面を突合せ面17とする。突合せ面17の平面線形は、断面視クランク形状を呈する。
また、図4の(c)に示すように、アスファルトパネル10bとアスファルトパネル10cとが左右軸方向に突き合わせて形成された面を突合せ面18とする。突合せ面18の平面線形は、鉛直方向に延びる直線形状を呈する。
【0039】
以上説明したアスファルトパネル10によれば、アスファルトパネル10の連結段部12及び連結段部13の厚みを、本体部11の厚みよりも薄く形成したため、連結段部12,13同士で重ね合わせると、アスファルトパネル10a及びアスファルトパネル10bの上面及び下面を面一に形成することができる。即ち、図4の(b)に示すように、アスファルトパネル10aの本体部11の上面11cと、アスファルトパネル10bの連結段部13の上面13cとが面一になる。これにより、防水層Uの表面を平坦に形成することができるとともに、従来のように、重ね合わせるいずれか一方のアスファルトパネルに重ね代を設ける必要がないため、材料コストを低減することができる。
【0040】
また、図4の(b)に示すように、アスファルトパネル10aの連結段部12と、アスファルトパネル10bの連結段部13との突合せ面17が、断面視クランク形状を呈するように形成される。これにより、隣り合うアスファルトパネル10a,10bの接触面を多く確保することができ、防水性能を高めることができる。また、アスファルトパネル10は、比較的軽量であるため、搬送作業及び敷設作業の効率並びにアスファルトパネル10の重ね合わせの精度を高めることができる。
【0041】
なお、図1に示すように、防水層Uの端部を形成する場合には、アスファルトパネル30を用いて、アスファルトパネル10,10同士を重ね合わせる場合と略同様の方法で敷設する。これにより、防水層Uを形成することができる。
【0042】
また、本実施形態では、アスファルトパネル30を敷設して防水層Uの端部を形成したが、アスファルトパネル10を用いて防水層Uの端部を形成してもよい。また、アスファルトパネル30のみを用いて防水層Uを形成してもよい。
【0043】
(アスファルトパネルの製造方法)
次に、アスファルトパネルの製造方法について説明する。図5は、第一実施形態に係るアスファルトパネル用型枠を示した斜視図であって、(a)は、分解図、(b)は、合体図を示す。図6は、第一実施形態に係るアスファルトパネル用型枠を示した側断面図である。図7は、第一実施形態に係るアスファルトパネルの製造工程を示した工程図である。なお、図5乃至図7は、説明を分かりやすくするため、実際の型枠とは一部縮尺を変えて示している。
【0044】
本実施形態に係るアスファルトパネルの製造方法は、アスファルトパネル用型枠にアスファルト系材料を流し込んで製造する。アスファルト用型枠の形状によって様々な形状のアスファルトパネルを形成することができるが、本実施形態では、アスファルトパネル10を形成する場合を例にして説明する。
【0045】
アスファルトパネル用型枠50は、図5の(b)に示すように、アスファルトパネル10の下層部A(図3参照)を成形する有底第一型枠51と、アスファルトパネル10の上層部Bを成形する第二型枠52の二つの型枠を上下に配置して形成されている。アスファルトパネル用型枠50は、本実施形態では、有底第一型枠51と第二型枠52とが連結金具(図示省略)を介して一体化又は分離するように形成されている。
【0046】
有底第一型枠51は、図5の(a)に示すように、平面視矩形の平板状の底部53と、アスファルトパネル10の下層部Aを成形する第一枠状部55とを有する。第一枠状部55は、底部53の長手方向の一端側に形成された直方体を呈する土台部56と、土台部56に連続し、底部53の外縁に沿って形成された枠材55a,55b,55cによって形成されている。第一枠状部55の内側には上方に開口する第一中空部57が形成されている。土台部56は、第二型枠52を下方から支持するとともに、アスファルトパネル10の連結段部13の下面13dを成形する部分でもある。
【0047】
第二型枠52は、図5の(a)に示すように、有底第一型枠51の上部に取り付けられる部材であって、有底第一型枠51の外周と同等の大きさに形成されている。第二型枠52は、アスファルトパネル10の上層部Bを成形する第二枠状部58からなる。第二枠状部58は、長手方向の他端側に形成された直方体を呈する被覆部59と、被覆部59に連続し、有底第一型枠51の外縁に沿って形成された枠材58a,58b,58cによって形成されている。第二枠状部58の内側には上下に連通する第二中空部60が形成されている。被覆部59は、第一中空部57の他端側の一部の上方を覆う部材である。また、被覆部59の長さ59aは、土台部56の長さ56aと同等に形成されている。
【0048】
即ち、第一枠状部55及び第二枠状部58は、土台部56及び被覆部59の配置を除いては、略同等の形状に形成されている。
したがって、図5の(b)及び図6に示すように、有底第一型枠51と、第二型枠52とを重ね合わせて断面視すると、第一中空部57及び第二中空部60が連通する連通領域Mと、被覆部59によって第一中空部57の上方が覆われた被覆領域Lと、第二中空部60のみからなる開放領域Nとに分けられる。
これにより、アスファルトパネル用型枠50にアスファルト系材料を流し込むと、連通領域Mによってアスファルトパネル10の本体部11が成形され、被覆領域Lによってアスファルトパネル10の連結段部12が成形され、開放領域Nによってアスファルトパネル10の連結段部13が成形される。
【0049】
なお、アスファルトパネル用型枠50は、本実施形態では、金属製であるが、他の材料であってもよい。また、有底第一型枠51を構成する底部53及び第一枠状部55は、脱型する際を考慮して容易に分解・一体化できるように形成されている。また、第一枠状部55及び第二枠状部58を構成する各部材も容易に分解・一体化できるように形成してもよい。
【0050】
次に、図7を用いてアスファルトパネルの具体的な製造工程について説明する。本実施形態に係るアスファルトパネルの製造工程は、準備工程と、第一工程乃至第七工程と、仕上げ工程とを含む。
まず、準備工程では、有底第一型枠51のみを用意して、有底第一型枠51を予め高温養生しておく。予め高温養生することにより、流入するアスファルト系材料の早期の硬化を防ぐことができるため、アスファルトパネル10の各積層間の密着性を高めることができる。
【0051】
次に、第一工程では、図7の(a)に示すように、有底第一型枠51の第一中空部57にブローンアスファルトを揮発性溶剤で溶解し、石粉その他の充填材を混合した材料を流し込んで保護層23b(図3参照)を形成する。
【0052】
次に、第二工程では、図7の(b)に示すように、保護層23bの上に繊維状シートを敷設して繊維層22bを形成する。
【0053】
次に、第三工程では、図7の(c)に示すように、繊維層22bの上にアスファルト系材料及び繊維系材料の混合物を流し込んで、下層部A(図2参照)側の芯材層21bを形成する。前記混合物は、有底第一型枠51の上縁まで流入させる。
【0054】
次に、第四工程では、図7の(d)に示すように、有底第一型枠51の上に、予め高温養生した第二型枠52を配置する。有底第一型枠51と第二型枠52は、例えば連結金具(図示省略)等を用いて接合する。
ここで、第二型枠52を設けることにより、芯材層21b及び土台部56の上面を底面とし、上方に開放した第二中空部60’が形成される。また、第二型枠52の被覆部59によって芯材層21bの一部が覆われる。
【0055】
次に、第五工程では、図7の(e)に示すように、芯材層21bの上に、アスファルト系材料及び繊維系材料の混合物を流し込んで、上層部B(図2参照)側の芯材層21aを形成する。
【0056】
次に、第六工程では、図7の(f)に示すように、芯材層21aの上に、繊維状シートを敷設して繊維層22aを形成する。
【0057】
次に、第七工程では、図7の(g)に示すように、繊維層22aの上にブローンアスファルトを揮発性溶剤で溶解し、石粉その他の充填材を混合した材料を流し込んで保護層23aを形成する。
【0058】
最後に、仕上げ工程では、室温程度になるまで放冷した後、アスファルトパネル用型枠50を脱型し、上面及び下面に鉱物質粉末(図示省略)を付着させて、アスファルトパネル10が完成する。
【0059】
以上説明したアスファルトパネルの製造方法によれば、上下に二層からなるアスファルトパネル用型枠50を用いることにより、本体部11よりも肉薄部分である連結段部12,13を備えたアスファルトパネル10を容易に形成することができる。また、第一枠状部55及び第二枠状部58は、略同等の形状からなるため、アスファルトパネル用型枠50自体を容易に形成することができる。
【0060】
なお、第三工程乃至第五工程は、速やかに行って、各積層間の接着性を高めることが好ましい。また、アスファルトパネル用型枠50に予め剥離材等を塗布しておき、アスファルトパネル用型枠50の脱型を速やかに行うことが好ましい。
【0061】
また、本実施形態では、第四工程において、有底第一型枠51と第二型枠52とを連結させたが、最初から一体成形されたアスファルト用型枠50を用いてもよい。これによれば、芯材層21を一体的に形成することができる。
【0062】
また、アスファルトパネル30(図2参照)を形成する場合は、図8に示すように、アスファルトパネル用型枠の形状を変えて形成すればよい。
即ち、図8の(b)に示すように、アスファルトパネル用型枠50’は、有底第一型枠51’と第二型枠52とから形成されている。第二型枠52は、アスファルトパネル用型枠50の第二型枠52と同等である。一方、有底第一型枠51’は、底部53と、第一枠状部55’とから形成されている。第一枠状部55’には土台部が形成されていない点でアスファルトパネル用型枠50と相違する。第一枠状部55’には、平面視矩形の枠部材が底部53の外縁に沿って形成されている。
【0063】
したがって、図8の(b)に示すように、アスファルトパネル用型枠50’は、第一中空部57及び第二中空部60が連通する連通領域Mと、被覆部59によって第一中空部57の上方が覆われた被覆領域Lとを備えている。アスファルトパネル用型枠50’にアスファルト系材料を流入することにより、アスファルトパネル30を形成することができる。アスファルトパネル30の製造工程は、アスファルトパネル10と略同等であるため、説明を省略する。
【0064】
[第二実施形態]
次に本発明の第二実施形態に係るアスファルトパネルについて説明する。図9は、第二実施形態に係るアスファルトパネルを示した図であって、(a)は、斜視図、(b)は、平面図、(c)は、(b)のX3−X3線断面図である。
第二実施形態に係るアスファルトパネル70は、本体部及び連結段部の形状において第一実施形態のアスファルトパネルと相違する。なお、第一実施形態のアスファルトパネルと共通する部分については説明を省略する。
【0065】
(アスファルトパネル)
第二実施形態に係るアスファルトパネル70は、図9の(a)乃至(c)に示すように、肉厚部分である本体部71(ハッチングで示す部分)と、本体部71の端部から前後軸方向及び左右軸方向に延設された連結段部72及び連結段部73とを有する。即ち、アスファルトパネル70は、平面視正方形を呈する板状の下層部C及び上層部Dを上下に積層させ、両者の対角線を重ねつつ、当該対角線の延長線上にずらして配置されている。
【0066】
本体部71は、肉厚な部分であって、平面視正方形を呈するように形成されている。連結段部72は、図9の(b)及び(c)に示すように、本体部71の端面711,711から前後軸方向及び左右軸方向に延設されており、平面視L字状を呈する。連結段部73は、本体部71の端面712,712から前後軸方向及び左右軸方向に延設されており、平面視L字状を呈する。また、図9の(c)に示すように、連結段部72及び連結段部73の厚みt2は、本体部71の厚みt1の1/2に形成されている。
なお、本実施形態では、平面視正方形を呈する板状の下層部C及び上層部Dの一辺を100cm、本体部71の一辺を80cmに設定したが、当該寸法は適宜変更しても構わない。
【0067】
ここで、図9の(b)に示すように、アスファルトパネル70の連結段部72及び連結段部73において、本体部71の端面711,712の延長線上で分割して形成された領域をそれぞれ領域R1〜R6とする。
【0068】
(防水層の施工方法)
次に、アスファルトパネル70を用いた防水層の施工方法について説明する。図10は、第二実施形態に係る防水層の敷設方法を示した斜視図である。図11は、第二実施形態に係る防水層を示した平面図である。図12の(a)は、図11のX4−X4線断面図を示し、(b)は、図11のX5−X5線断面図を示す。
前記した第一実施形態では、図1に示すように、一のアスファルトパネルの連結段部に対して一のアスファルトパネルの連結段部を重ね合わせて防水層Uを形成したが、本実施形態では、3つのアスファルトパネルの連結段部に対して、一のアスファルトパネルの連結段部を重ね合せて防水層U1を形成していくことを特徴とする。
【0069】
図10に示す防水層U1は、複数のアスファルトパネル70,70,・・・(70a〜70e)を重ね合わせて形成されている。ここへ、新たにアスファルトパネル70fを敷設する場合について説明する。なお、各アスファルトパネル70a〜70fの連結段部をそれぞれ連結段部72a〜72f、連結段部73a〜73fとする。
【0070】
既に敷設されたアスファルトパネル70b、アスファルトパネル70c及びアスファルトパネル70eでは、アスファルトパネル70cの連結段部72c及びアスファルトパネル70eの連結段部72eが露出するとともに、アスファルトパネル70bの連結段部72bの領域R5(図9の(b)参照)が露出する。
【0071】
そして、連結段部72bの領域R5と、連結段部72eの領域R6と連結段部72cの領域R4とで形成された複合領域(図10のハッチング部分)に、アスファルトパネル70fの連結段部73fを重ね合わせる。より詳細には、連結段部73fの領域R1と、連結段部72eの領域R6とを重ね合わせ、連結段部72bの領域R5と、連結段部73fの領域R2とを重ね合わせ、連結段部72cの領域R4と連結段部73fの領域R3とを重ね合わせる。
【0072】
図11に示すように、アスファルトパネル70fと略同様の方法により、順次アスファルトパネル70g乃至iを重ね合わせ、防水層U1を形成することができる。
【0073】
以上説明した第二実施形態に係る防水層U1によれば、肉厚の本体部71と肉薄の連結段部72,73を備えた複数のアスファルトパネル70(図9参照)を、隣り合う連結段部同士で連結させるため、上面及び下面を平坦に形成することができる。
【0074】
また、第二実施形態に係る防水層U1によれば、図12の(a)に示すように、アスファルトパネル70fの連結段部73fと、前後軸方向に隣り合うアスファルトパネル70eの連結段部72eとの突合せ面77の平面線形がクランク形状を呈する。また、図12の(b)に示すように、アスファルトパネル70fの連結段部72fと左右軸方向に隣り合うアスファルトパネル70hの連結段部72hとの突合せ面78の平面線形がクランク形状を呈する。また同様に、アスファルトパネル70fと、アスファルトパネル70cとの突合せ面、及び、アスファルトパネル70fと、アスファルトパネル70gとの突合せ面の平面線形もクランク形状を呈する。
【0075】
したがって、一のアスファルトパネル70fと、前後軸方向に隣り合うアスファルトパネル70e,70gだけでなく、左右軸方向に隣り合うアスファルトパネル70c,70hとの突合せ面の接触面積を大きく確保することができる。これにより、防水層U1の防水性をより高めることができる。
【0076】
なお、アスファルトパネル70の形状は、前記した形態に限定されるものではなく、他の形状であってもよい。
【0077】
(アスファルトパネルの製造方法)
次に、アスファルトパネル70の製造方法について説明する。図13は、第二実施形態に係るアスファルトパネル用型枠を示した斜視図であって、(a)は、分解図、(b)は、合体図を示す。図14は、第二実施形態に係るアスファルトパネル用型枠を示した図であって、(a)は、平面図、(b)は、(a)のX6−X6線断面図である。
【0078】
本実施形態に係るアスファルトパネルの製造方法は、図13に示すアスファルトパネル用型枠80を用いてアスファルトパネルを形成する。アスファルトパネル用型枠80は、図13の(b)に示すように、アスファルトパネル70の下層部C(図9の(b)参照)を成形する有底第一型枠81と、アスファルトパネル70の上層部Dを成形する第二型枠82の二つの型枠を上下に配置して形成されている。アスファルトパネル用型枠80は、本実施形態では、有底第一型枠81と、第二型枠82とが連結金具(図示省略)を介して一体化又は分離するように形成されている。
【0079】
有底第一型枠81は、図13の(a)に示すように、平面視矩形の平板状の底部83と、底部83と略同等の大きさからなる板状の第一枠状部84とを有する。第一枠状部84は、底部83の外縁に沿って形成され平面視L字状を呈する土台部86と、土台部86に連続し、底部83の外縁に沿って形成されたL字枠材85によって形成されている。第一枠状部84の内側には上方に開口する第一中空部87が形成されている。第一中空部87は、本実施形態では正方形を呈する。土台部86は、第二型枠82を支持するとともに、アスファルトパネル70の連結段部73の下面734(図9の(c)参照)を成形する部分である。
【0080】
第二型枠82は、図13の(a)に示すように、有底第一型枠81の上部に取り付けられる部材であって、有底第一型枠81の外周と同等の大きさに形成されている。第二型枠82は、アスファルトパネル70の上層部Dを成形する第二枠状部92からなる。第二枠状部92は、平面視L字状を呈する被覆部89と、被覆部89に連続し、有底第一型枠81の外縁に沿って形成されたL字枠材88によって形成されている。第二型枠82の内側には、上下に連通する第二中空部90が形成されている。第二中空部90は正方形を呈し、第一中空部87と同等の大きさを呈する。被覆部89は、第一中空部87の一部を上方から覆い、アスファルトアパネル70の連結段部72の上面724(図9の(c)参照)を成形する部分である。
【0081】
第一枠状部84及び第二枠状部92は、土台部86及び被覆部89の配置方向を除いては、同等の形状に形成されている。
したがって、図13の(b)及び図14に示すように、有底第一型枠81と、第二型枠82とを重ね合わせて断面視又は平面視すると、第一中空部87及び第二中空部90が連通する連通領域M’と、被覆部89によって第一中空部87が覆われた被覆領域L’(図14の(a)のハッチング部分)と、第二中空部90のみからなる開放領域N’とに分けられる。
【0082】
これにより、アスファルトパネル用型枠80にアスファルト系材料を流し込むと、連通領域M’によってアスファルトパネル70の本体部71が成形され、被覆領域L’によってアスファルトパネル70の連結段部72が成形され、開放領域N’によってアスファルトパネル70の連結段部73が成形される。
【0083】
アスファルトパネル70の製造工程は、第一実施形態と略同等であるため、詳細な説明は省略する。アスファルトパネル用型枠80によれば、アスファルトパネル70を容易に形成することができる。また、第一枠状部84及び第二枠状部92は、略同等の形状からなるため、アスファルトパネル用型枠80を容易に形成することができる。
【0084】
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態に係るアスファルトパネルについて説明する。アスファルトパネルは、前記した第一実施形態及び第二実施形態の形状に限定されるものではなく、適宜変形が可能である。図15の(a)は、第三実施形態に係るアスファルトパネルを示した側面図、(b)は、第三実施形態に係るアスファルトパネルを用いて形成された防水層を示す。
【0085】
第三実施形態に係るアスファルトパネル190は、肉厚の本体部191と、本体部191の両端部からそれぞれ延設され、本体部191よりも肉薄の連結段部192,193を備えている。アスファルトパネル190の本体部191の下面191dと、連結段部192の下面192d及び連結段部193の下面193dとが面一に形成されている点で他の実施形態と相違する。
【0086】
アスファルトパネル190を敷設する際には、隣り合うアスファルトパネル190,190の上面及び下面を逆にして、連結段部192,193同士を重ね合わせる。これにより、防水層U2の表面を平坦に形成することができる。
【0087】
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更が可能である。例えば、本実施形態では、連結段部の厚みは、本体部の厚みの1/2となるように形成したが、アスファルトパネルを重ね合わせた時に各アスファルトパネルの上面及び下面が平坦になれば、他の割合であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】第一実施形態に係る防水層を示した斜視図である。
【図2】(a)は、防水層の中央側に配置されるアスファルトパネルを示した斜視図であり、(b)は、防水層の端部側に配置されるアスファルトパネルを示した斜視図である。
【図3】図2の(a)に係るアスファルトパネルを示した側面図である。
【図4】第一実施形態に係る防水層の施工方法を示した側面図であって、(a)は、敷設前の状態を示し、(b)は、図1のX1−X1線断面図、(c)は、図1のX2−X2線断面図を示す。
【図5】第一実施形態に係るアスファルトパネル用型枠を示した斜視図であって、(a)は、分解図、(b)は、合体図を示す。
【図6】第一実施形態に係るアスファルトパネル用型枠を示した側断面図である。
【図7】第一実施形態に係るアスファルトパネルの製造工程を示した工程図である。
【図8】第一実施形態に係る他のアスファルトパネル用型枠を示した図であって(a)は、分解図、(b)は、合体図を示す。
【図9】第二実施形態に係るアスファルトパネルを示した図であって、(a)は、斜視図、(b)は、平面図、(c)は、(b)のX3−X3線断面図である。
【図10】第二実施形態に係る防水層の敷設方法を示した斜視図である。
【図11】第二実施形態に係る防水層を示した平面図である。
【図12】(a)は、図11のX4−X4線断面図を示し、(b)は、図11のX5−X5線断面図を示す。
【図13】第二実施形態に係るアスファルトパネル用型枠を示した斜視図であって、(a)は、分解図、(b)は、合体図を示す。
【図14】第二実施形態に係るアスファルトパネル用型枠を示した図であって、(a)は、平面図、(b)は、(a)のX6−X6線断面図である。
【図15】(a)は、第三実施形態に係るアスファルトパネルを示した側面図、(b)は、第三実施形態に係る防水層を示した側面図である。
【図16】従来の防水層の施工方法1を示した断面図である。
【図17】従来の防水層の施工方法2を示した断面図である。
【符号の説明】
【0089】
10 アスファルトパネル
11 本体部
12 連結段部
13 連結段部
17 突合せ面
30 アスファルトパネル
50 アスファルトパネル用型枠
51 有底第一型枠
52 第二型枠
U 防水層
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯水池や堤防又は護岸工事等に用いられ、複数のアスファルトパネルを重ね合わせて形成する防水層の施工方法及び防水層、並びに当該防水層に用いるアスファルトパネル、さらに当該アスファルトパネルを成形するアスファルトパネル用型枠に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、貯水池や堤防又は護岸工事等において、比較的広範囲に亘って防水層を形成する場合に、複数枚の薄い平板状のアスファルトパネルを端部同士で重ね合わせる施工方法が知られている。
【0003】
図16は、従来の防水層の施工方法1を示した断面図であり、図17は従来の防水層の施工方法2を示した断面図である。例えば、図16に示す従来の防水層の施工方法1は、施工面Gに敷設された一方のアスファルトパネル101の上面に、他方のアスファルトパネル102の下面を重ね合わせて隣り合うアスファルトパネルを連結し、防水層100を形成している。
また例えば、図17に示す従来の防水層の施工方法2は、一対のアスファルトパネル103,104の端面同士を突き合わせて、この突合せ面106に沿って被覆材105を張り付けて隣り合うアスファルトパネルを連結し、防水層110を形成している。
【0004】
【特許文献1】特開2005−90161号公報(図2、図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の防水層の施工方法1では、アスファルトパネル101の上面に、アスファルトパネル102を乗り上げるようにして両者を重ね合わせるため、防水層100の表面に段差が生じていた。また、従来の防水層の施工方法2では、一対のアスファルトパネル103,104の表面に被覆材105を張り付けるため、防水層110の表面に段差が生じていた。このように、防水層の表面に段差が生じると、当該段差部分が捲り上がってアスファルトパネル又は被覆材が剥れやすくなり、防水層が欠損するという問題があった。また、防水層の表面に段差が生じると、防水層上で作業を行う際の障害となるという問題があった。
【0006】
また、従来の防水層の施工方法1では、アスファルトパネル101,102の端部を重複させるため、いわゆる「重ね代」分の材料コストが上昇していた。また、従来の防水層の施工方法2では、被覆材105を要するため、部品点数が増えるとともに、被覆材105分の材料コストが上昇していた。
【0007】
本発明はかかる問題を解決するためになされたものであり、防水層の表面を平坦に形成することができ、施工コストを低減することができる防水層の施工方法及び防水層を提供することを課題とする。また、防水層の表面を平坦に形成することができ、施工コストを低減することができるアスファルトパネル及びこのアスファルトパネルを成形するアスファルトパネル用型枠を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような課題を解決するために本発明は、肉厚の本体部と、この本体部の少なくとも一方の端部に延設され前記本体部よりも肉薄の連結段部と、を有する複数のアスファルトパネルを用いて形成する防水層の施工方法であって、隣り合う前記アスファルトパネルの前記連結段部同士を重ね合わせ、前記アスファルトパネル同士の下面及び上面をそれぞれ面一に形成することを特徴とする防水層の施工方法である。
【0009】
かかる施工方法によれば、アスファルトパネルの本体部の端部に、本体部よりも肉薄に形成された連結段部を備え、当該連結段部同士で隣り合うアスファルトパネルを重ね合わせるため、防水層を平坦に形成することができる。また、アスファルトパネルに重ね代を設ける必要はなく、被覆材などの他の材料を用いることもないため、施工コストを低減することができる。また、連結段部を設けることで、防水層を平坦に形成することができるとともに、アスファルトパネル同士が接触する面積を大きくすることができるため、防水性能を高めることができる。
【0010】
また、本発明は、肉厚の本体部と、この本体部の少なくとも一方の端部に延設され前記本体部よりも肉薄の連結段部と、を有する複数のアスファルトパネルから構成された防水層であって、隣り合う前記アスファルトパネルが前記連結段部同士で重ね合わされており、前記アスファルトパネル同士の下面及び上面がそれぞれ面一に形成されていることを特徴とする防水層である。
【0011】
かかる防水層によれば、アスファルトパネルの本体部の端部に、本体部よりも肉薄に形成された連結段部を備え、当該連結段部同士で隣り合うアスファルトパネルを重ね合わせるため、防水層を平坦に形成することができる。また、アスファルトパネルに重ね代を設ける必要はなく、被覆材などの他の材料を用いることもないため、施工コストを低減することができる。また、連結段部を設けることで、防水層を平坦に形成することができるとともに、アスファルトパネル同士が接触する面積を大きくすることができるため、防水性能を高めることができる。
【0012】
また、前記複数のアスファルトパネルは、このアスファルトパネルの前後方向及び前後方向に対して直交する左右方向に並べて敷設されており、前後方向に隣り合う前記アスファルトパネル同士の突合せ面の断面形状及び前後方向に対して直交する左右方向に隣り合う前記アスファルトパネル同士の突合せ面の断面形状が、クランク形状を呈することが好ましい。
【0013】
かかる防水層によれば、前後方向に隣り合う前記アスファルトパネル同士の突合せ面の断面形状及び前後方向に対して直交する左右方向に隣り合う前記アスファルトパネル同士の突合せ面の断面形状が、クランク形状を呈するため、アスファルトパネルが接触する面積をより大きく確保することができるため、防水性能をさらに高めることができる。
【0014】
また、隣り合う前記アスファルトパネルの前記連結段部同士は、接着剤を介して重ね合わされていることが好ましい。かかる構成によれば、隣り合うアスファルトパネルの重複部分をより強固に連結することができるため、防水性能を高めることができる。
【0015】
また、本発明は、肉厚の本体部と、この本体部の少なくとも一方の端部に延設され前記本体部よりも肉薄の連結段部と、を有するアスファルトパネルであって、隣り合う前記アスファルトパネルの前記連結段部同士を重ね合わせると、前記アスファルトパネル同士の下面及び上面がそれぞれ面一に形成されることを特徴とするアスファルトパネルである。
【0016】
かかるアスファルトパネルによれば、アスファルトパネルの本体部の端部に、本体部よりも肉薄に形成された連結段部を備え、当該連結段部同士で隣り合うアスファルトパネルを重ね合わせるため、防水層を平坦に形成することができる。また、アスファルトパネルに重ね代を設ける必要はなく、被覆材などの他の材料を用いることもないため、施工コストを低減することができる。また、連結段部を設けることで、防水層を平坦に形成することができるとともに、アスファルトパネル同士が接触する面積を大きくすることができるため、防水性能を高めることができる。
【0017】
また、本発明は、肉厚の本体部と、この本体部の少なくとも一方の端部に延設され前記本体部よりも肉薄の連結段部と、を有するアスファルトパネルを成形するアスファルトパネル用型枠であって、平板状の底部と、この底部の上に設けられ、第一中空部を備えた第一枠状部と、この第一枠状部の上に設けられ第二中空部を備えた第二枠状部と、を有し、前記第二枠状部は、前記第一中空部の端部側の一部を覆う被覆部を備えていることを特徴とするアスファルトパネル用型枠である。
【0018】
かかる構成によれば、第一中空部の端部側の一部が被覆部によって覆われるとともに、第二枠状部のうち当該被覆部の部分にはアスファルト系材料が流入しない。したがって、本体部よりも肉薄の連結段部を容易に成形することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る防水層の施工方法、防水層及びアスファルトパネルによれば、防水層の表面を平坦に形成することができ、かつ、施工コストを低減することができる。また、本発明に係るアスファルトパネル用型枠によれば、アスファルトパネルを容易に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
[第一実施形態]
本発明の最良の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、第一実施形態に係る防水層を示した斜視図である。図2の(a)は、防水層の中央側に配置されるアスファルトパネルを示した斜視図であり、(b)は、防水層の端部側に配置されるアスファルトパネルを示した斜視図である。図3は、図2の(a)に係るアスファルトパネルを示した側面図である。なお、説明における上下、左右、前後は、図1の矢印に従う。
【0021】
防水層Uは、図1に示すように、アスファルト系材料からなる薄板状のアスファルトパネル10,30を複数枚敷設して形成され、例えば、貯水池の底部において地層への透水を防止するために用いられる。本実施形態に係るアスファルトパネルは、防水層Uの中央側に敷設されるアスファルトパネル10と、端部側に敷設されるアスファルトパネル30の二種類の形状のものを採用している。
なお、本実施形態では、防水層Uを貯水池に用いる場合を例に説明するが、これに限定されるものではなく、例えば、堤防、調整池、ダム、水路等に形成してもよい。
まず、アスファルトパネル10,30の詳細な構成について説明する。
【0022】
(アスファルトパネル)
第一実施形態に係るアスファルトパネル10は、図2の(a)に示すように、アスファルト系材料からなり、平面視長方形を呈する薄い板状部材である。アスファルトパネル10は、本実施形態では主として防水層Uの中央側に敷設される。
【0023】
アスファルトパネル10は、図2の(a)に示すように、直方体を呈し肉厚部分である本体部11と、本体部11の前後軸方向の両端側に直方体を呈し本体部11よりも肉薄に形成された連結段部12,13とを備えている。連結段部12,13は、アスファルトパネル10を敷設する際に、隣り合う連結段部12,13とそれぞれ重ね合わされる部分である。
本体部11の下面11dと、連結段部12の下面12dとは面一に形成されており、本体部11の上面11cと、連結段部13の上面13cとは面一に形成されている。また、アスファルトパネル10の左右両側面15,15(本体部11、連結段部12,13の両側面)はそれぞれ面一に形成されている。
【0024】
連結段部12の上面12cは、本体部11の上面11cよりも一段下がった位置に形成されている。連結段部12の上面12cは、本体部11の端面11a及び連結段部12の端面12aに対して垂直に形成されている。
【0025】
連結段部13の下面13dは、本体部11の下面11dよりも一段上がった位置に形成されている。連結段部13の下面13dは、本体部11の端面11b及び連結段部13の端面13aに対して垂直に形成されている。
【0026】
連結段部12及び連結段部13の前後軸方向(図1参照)の長さは、略同等に形成されている。また、連結段部12及び連結段部13の厚みt2,t2は、本体部11の厚みt1の1/2となるように形成されている。アスファルトパネル10は、本実施形態では、左右軸方向の長さを1000mm、前後軸方向の長さを3600mm(本体部11の長さを3000mm、連結段部12及び連結段部13の長さをそれぞれ300mm)に設定した。また、本体部11の厚みt1を10mmに設定した。前記した寸法はあくまで例示であって、アスファルトパネル10の寸法は、防水層を形成する場所や用途等に応じて適宜設定すればよい。
【0027】
次に、図3を用いてアスファルトパネル10の積層構造について説明する。
アスファルトパネル10は、中央部分に形成された芯材層21と、芯材層21の上面及び下面に形成された繊維層22(22a,22b)と、繊維層22aの上面及び繊維層22bの下面に形成された保護層23(23a,23b)と、保護層23aの上面及び保護層23bの下面に形成された付着防止層(図示省略)とを有する。
【0028】
芯材層21は、アスファルトパネル10の芯材層21の中央部分、連結段部12の上側部分、及び連結段部13の下側部分に亘って形成されている。芯材層21は、本実施形態ではアスファルト系材料と、繊維系材料又は鉱物系フィラー材料の混合物からなる。芯材層21のアスファルト含有量は、混合物の50%〜80%に設定するのが好ましい。繊維系材料又は鉱物系フィラーは公知の材料から適宜配分を設定すればよい。
【0029】
繊維層22は、芯材層21の上面に形成された繊維層22aと、芯材層21の下面に形成された繊維層22bとを有し、芯材層21を上下に挟み込むように形成されている。繊維層22aは、芯材層21及び連結段部13に亘って形成されている。繊維層22bは、芯材層21及び連結段部12に亘って形成されている。繊維層22は、アスファルトパネル10の引張強度及び撓み性を高める部分であって、本実施形態ではアスファルト系材料を含浸させた公知の繊維状シート材から形成されている。
【0030】
保護層23は、繊維層22aの上面に形成された保護層23aと、繊維層22bの下面に形成された保護層23bとを有する。保護層23aは、芯材層21及び連結段部13に亘って形成されている。保護層23bは、芯材層21及び連結段部12に亘って形成されている。保護層23は、アスファルトパネル10の上面及び下面の劣化防止のために形成される部分である。保護層23は、本実施形態ではブローンアスファルトを揮発性溶剤で溶解し、石粉その他の充填材を混合したものを用いている。
【0031】
付着防止層は、具体的な図示はしないが、例えば搬送時において、複数のアスファルトパネル10,10,・・・を上下に重ね合わせる場合に、本体部11,11同士の付着防止を目的として形成される部分である。付着防止層は、本実施形態では本体部11の上面11c及び下面11d、連結段部12の下面12d及び連結段部13の上面13cに、公知の鉱物質粉末を付着させている。なお、付着防止層は、アスファルトパネル10の全面に付着させてもよい。また、付着防止層は、必ずしも設けなければならないものではない。
【0032】
本実施形態では、例えば、芯材層21の厚みを6mm、繊維層22a,22bをそれぞれ1mm、保護層23a,23bをそれぞれ1mmで形成している。前記した寸法はあくまで例示であって、アスファルトパネル10の各層の寸法は、防水層を形成する場所や用途等に応じて適宜設定すればよい。また、アスファルトパネル10は、本実施形態では前記したように形成したが、これに限定されるものではなく、他の材料をさらに積層させてもよいし、単一のアスファルト系材料から形成してもよい。アスファルトパネル10の材料は、防水層を形成する場所や用途等に応じて適宜設定すればよい。
また、図3に示すように、以下の説明においては、アスファルトパネル10のうち下半分の下層部を下層部A、上半分の上層部を上層部Bともいう。
【0033】
一方、図2の(b)に示す、アスファルトパネル30は、本体部11の一方側の端面11aのみに連結段部12が形成されている点で、アスファルトパネル10と相違する。アスファルトパネル30は、連結段部13を有さないことを除いては、アスファルトパネル10と略同等であるため、詳細な説明は省略する。アスファルトパネル30は、主に防水層Uの端部に敷設される。
【0034】
(防水層の施工方法)
次に、防水層Uの施工方法について説明する。図4は、第一実施形態に係る防水層の施工方法を示した側面図であって、(a)は、敷設前の状態を示し、(b)は、図1のX1−X1線断面図、(c)は、図1のX2−X2線断面図を示す。
【0035】
防水層Uは、隣り合うアスファルトパネル10又はアスファルトパネル30を端部同士で重ね合わせて形成する。なお、本説明においては、図1に示すように、既に敷設されたアスファルトパネル10a,10cに対して、アスファルトパネル10bを敷設する場合を例にする。
【0036】
まず、図4の(a)に示すように、施工面Gに既に敷設されたアスファルトパネル10(10a)の本体部11の端面11a、連結段部12の上面12c及び端面12aに接着剤(図示省略)を塗布する。接着剤は、隣り合うアスファルトパネル10a,10bの接着性を良好にして防水性を高めるために用いられる。接着剤は、本実施形態では、例えばブローンアスファルトを採用しているが他の材料であってもよい。
【0037】
次に、図4の(b)に示すように、アスファルトパネル10aの連結段部12に、アスファルトパネル10bの連結段部13を重ね合わせる。この際、アスファルトパネル10aの本体部11の端面11aと、アスファルトパネル10bの連結段部13の端面13aとを突き合わせ、アスファルトパネル10aの連結段部12の上面12cと、アスファルトパネル10bの連結段部13の下面13dとを突き合わせ、アスファルトパネル10aの連結段部12の端面12aと、アスファルトパネル10bの本体部11の端面11bとを突き合せる。また、図1及び図4の(c)に示すように、アスファルトパネル10bの側面15と、左右軸方向に隣り合うアスファルトパネル10cの側面15とを突き合わせる。
【0038】
なお、図4の(b)に示すように、アスファルトパネル10aとアスファルトパネル10bとが前後軸方向に突き合わせて形成された面を突合せ面17とする。突合せ面17の平面線形は、断面視クランク形状を呈する。
また、図4の(c)に示すように、アスファルトパネル10bとアスファルトパネル10cとが左右軸方向に突き合わせて形成された面を突合せ面18とする。突合せ面18の平面線形は、鉛直方向に延びる直線形状を呈する。
【0039】
以上説明したアスファルトパネル10によれば、アスファルトパネル10の連結段部12及び連結段部13の厚みを、本体部11の厚みよりも薄く形成したため、連結段部12,13同士で重ね合わせると、アスファルトパネル10a及びアスファルトパネル10bの上面及び下面を面一に形成することができる。即ち、図4の(b)に示すように、アスファルトパネル10aの本体部11の上面11cと、アスファルトパネル10bの連結段部13の上面13cとが面一になる。これにより、防水層Uの表面を平坦に形成することができるとともに、従来のように、重ね合わせるいずれか一方のアスファルトパネルに重ね代を設ける必要がないため、材料コストを低減することができる。
【0040】
また、図4の(b)に示すように、アスファルトパネル10aの連結段部12と、アスファルトパネル10bの連結段部13との突合せ面17が、断面視クランク形状を呈するように形成される。これにより、隣り合うアスファルトパネル10a,10bの接触面を多く確保することができ、防水性能を高めることができる。また、アスファルトパネル10は、比較的軽量であるため、搬送作業及び敷設作業の効率並びにアスファルトパネル10の重ね合わせの精度を高めることができる。
【0041】
なお、図1に示すように、防水層Uの端部を形成する場合には、アスファルトパネル30を用いて、アスファルトパネル10,10同士を重ね合わせる場合と略同様の方法で敷設する。これにより、防水層Uを形成することができる。
【0042】
また、本実施形態では、アスファルトパネル30を敷設して防水層Uの端部を形成したが、アスファルトパネル10を用いて防水層Uの端部を形成してもよい。また、アスファルトパネル30のみを用いて防水層Uを形成してもよい。
【0043】
(アスファルトパネルの製造方法)
次に、アスファルトパネルの製造方法について説明する。図5は、第一実施形態に係るアスファルトパネル用型枠を示した斜視図であって、(a)は、分解図、(b)は、合体図を示す。図6は、第一実施形態に係るアスファルトパネル用型枠を示した側断面図である。図7は、第一実施形態に係るアスファルトパネルの製造工程を示した工程図である。なお、図5乃至図7は、説明を分かりやすくするため、実際の型枠とは一部縮尺を変えて示している。
【0044】
本実施形態に係るアスファルトパネルの製造方法は、アスファルトパネル用型枠にアスファルト系材料を流し込んで製造する。アスファルト用型枠の形状によって様々な形状のアスファルトパネルを形成することができるが、本実施形態では、アスファルトパネル10を形成する場合を例にして説明する。
【0045】
アスファルトパネル用型枠50は、図5の(b)に示すように、アスファルトパネル10の下層部A(図3参照)を成形する有底第一型枠51と、アスファルトパネル10の上層部Bを成形する第二型枠52の二つの型枠を上下に配置して形成されている。アスファルトパネル用型枠50は、本実施形態では、有底第一型枠51と第二型枠52とが連結金具(図示省略)を介して一体化又は分離するように形成されている。
【0046】
有底第一型枠51は、図5の(a)に示すように、平面視矩形の平板状の底部53と、アスファルトパネル10の下層部Aを成形する第一枠状部55とを有する。第一枠状部55は、底部53の長手方向の一端側に形成された直方体を呈する土台部56と、土台部56に連続し、底部53の外縁に沿って形成された枠材55a,55b,55cによって形成されている。第一枠状部55の内側には上方に開口する第一中空部57が形成されている。土台部56は、第二型枠52を下方から支持するとともに、アスファルトパネル10の連結段部13の下面13dを成形する部分でもある。
【0047】
第二型枠52は、図5の(a)に示すように、有底第一型枠51の上部に取り付けられる部材であって、有底第一型枠51の外周と同等の大きさに形成されている。第二型枠52は、アスファルトパネル10の上層部Bを成形する第二枠状部58からなる。第二枠状部58は、長手方向の他端側に形成された直方体を呈する被覆部59と、被覆部59に連続し、有底第一型枠51の外縁に沿って形成された枠材58a,58b,58cによって形成されている。第二枠状部58の内側には上下に連通する第二中空部60が形成されている。被覆部59は、第一中空部57の他端側の一部の上方を覆う部材である。また、被覆部59の長さ59aは、土台部56の長さ56aと同等に形成されている。
【0048】
即ち、第一枠状部55及び第二枠状部58は、土台部56及び被覆部59の配置を除いては、略同等の形状に形成されている。
したがって、図5の(b)及び図6に示すように、有底第一型枠51と、第二型枠52とを重ね合わせて断面視すると、第一中空部57及び第二中空部60が連通する連通領域Mと、被覆部59によって第一中空部57の上方が覆われた被覆領域Lと、第二中空部60のみからなる開放領域Nとに分けられる。
これにより、アスファルトパネル用型枠50にアスファルト系材料を流し込むと、連通領域Mによってアスファルトパネル10の本体部11が成形され、被覆領域Lによってアスファルトパネル10の連結段部12が成形され、開放領域Nによってアスファルトパネル10の連結段部13が成形される。
【0049】
なお、アスファルトパネル用型枠50は、本実施形態では、金属製であるが、他の材料であってもよい。また、有底第一型枠51を構成する底部53及び第一枠状部55は、脱型する際を考慮して容易に分解・一体化できるように形成されている。また、第一枠状部55及び第二枠状部58を構成する各部材も容易に分解・一体化できるように形成してもよい。
【0050】
次に、図7を用いてアスファルトパネルの具体的な製造工程について説明する。本実施形態に係るアスファルトパネルの製造工程は、準備工程と、第一工程乃至第七工程と、仕上げ工程とを含む。
まず、準備工程では、有底第一型枠51のみを用意して、有底第一型枠51を予め高温養生しておく。予め高温養生することにより、流入するアスファルト系材料の早期の硬化を防ぐことができるため、アスファルトパネル10の各積層間の密着性を高めることができる。
【0051】
次に、第一工程では、図7の(a)に示すように、有底第一型枠51の第一中空部57にブローンアスファルトを揮発性溶剤で溶解し、石粉その他の充填材を混合した材料を流し込んで保護層23b(図3参照)を形成する。
【0052】
次に、第二工程では、図7の(b)に示すように、保護層23bの上に繊維状シートを敷設して繊維層22bを形成する。
【0053】
次に、第三工程では、図7の(c)に示すように、繊維層22bの上にアスファルト系材料及び繊維系材料の混合物を流し込んで、下層部A(図2参照)側の芯材層21bを形成する。前記混合物は、有底第一型枠51の上縁まで流入させる。
【0054】
次に、第四工程では、図7の(d)に示すように、有底第一型枠51の上に、予め高温養生した第二型枠52を配置する。有底第一型枠51と第二型枠52は、例えば連結金具(図示省略)等を用いて接合する。
ここで、第二型枠52を設けることにより、芯材層21b及び土台部56の上面を底面とし、上方に開放した第二中空部60’が形成される。また、第二型枠52の被覆部59によって芯材層21bの一部が覆われる。
【0055】
次に、第五工程では、図7の(e)に示すように、芯材層21bの上に、アスファルト系材料及び繊維系材料の混合物を流し込んで、上層部B(図2参照)側の芯材層21aを形成する。
【0056】
次に、第六工程では、図7の(f)に示すように、芯材層21aの上に、繊維状シートを敷設して繊維層22aを形成する。
【0057】
次に、第七工程では、図7の(g)に示すように、繊維層22aの上にブローンアスファルトを揮発性溶剤で溶解し、石粉その他の充填材を混合した材料を流し込んで保護層23aを形成する。
【0058】
最後に、仕上げ工程では、室温程度になるまで放冷した後、アスファルトパネル用型枠50を脱型し、上面及び下面に鉱物質粉末(図示省略)を付着させて、アスファルトパネル10が完成する。
【0059】
以上説明したアスファルトパネルの製造方法によれば、上下に二層からなるアスファルトパネル用型枠50を用いることにより、本体部11よりも肉薄部分である連結段部12,13を備えたアスファルトパネル10を容易に形成することができる。また、第一枠状部55及び第二枠状部58は、略同等の形状からなるため、アスファルトパネル用型枠50自体を容易に形成することができる。
【0060】
なお、第三工程乃至第五工程は、速やかに行って、各積層間の接着性を高めることが好ましい。また、アスファルトパネル用型枠50に予め剥離材等を塗布しておき、アスファルトパネル用型枠50の脱型を速やかに行うことが好ましい。
【0061】
また、本実施形態では、第四工程において、有底第一型枠51と第二型枠52とを連結させたが、最初から一体成形されたアスファルト用型枠50を用いてもよい。これによれば、芯材層21を一体的に形成することができる。
【0062】
また、アスファルトパネル30(図2参照)を形成する場合は、図8に示すように、アスファルトパネル用型枠の形状を変えて形成すればよい。
即ち、図8の(b)に示すように、アスファルトパネル用型枠50’は、有底第一型枠51’と第二型枠52とから形成されている。第二型枠52は、アスファルトパネル用型枠50の第二型枠52と同等である。一方、有底第一型枠51’は、底部53と、第一枠状部55’とから形成されている。第一枠状部55’には土台部が形成されていない点でアスファルトパネル用型枠50と相違する。第一枠状部55’には、平面視矩形の枠部材が底部53の外縁に沿って形成されている。
【0063】
したがって、図8の(b)に示すように、アスファルトパネル用型枠50’は、第一中空部57及び第二中空部60が連通する連通領域Mと、被覆部59によって第一中空部57の上方が覆われた被覆領域Lとを備えている。アスファルトパネル用型枠50’にアスファルト系材料を流入することにより、アスファルトパネル30を形成することができる。アスファルトパネル30の製造工程は、アスファルトパネル10と略同等であるため、説明を省略する。
【0064】
[第二実施形態]
次に本発明の第二実施形態に係るアスファルトパネルについて説明する。図9は、第二実施形態に係るアスファルトパネルを示した図であって、(a)は、斜視図、(b)は、平面図、(c)は、(b)のX3−X3線断面図である。
第二実施形態に係るアスファルトパネル70は、本体部及び連結段部の形状において第一実施形態のアスファルトパネルと相違する。なお、第一実施形態のアスファルトパネルと共通する部分については説明を省略する。
【0065】
(アスファルトパネル)
第二実施形態に係るアスファルトパネル70は、図9の(a)乃至(c)に示すように、肉厚部分である本体部71(ハッチングで示す部分)と、本体部71の端部から前後軸方向及び左右軸方向に延設された連結段部72及び連結段部73とを有する。即ち、アスファルトパネル70は、平面視正方形を呈する板状の下層部C及び上層部Dを上下に積層させ、両者の対角線を重ねつつ、当該対角線の延長線上にずらして配置されている。
【0066】
本体部71は、肉厚な部分であって、平面視正方形を呈するように形成されている。連結段部72は、図9の(b)及び(c)に示すように、本体部71の端面711,711から前後軸方向及び左右軸方向に延設されており、平面視L字状を呈する。連結段部73は、本体部71の端面712,712から前後軸方向及び左右軸方向に延設されており、平面視L字状を呈する。また、図9の(c)に示すように、連結段部72及び連結段部73の厚みt2は、本体部71の厚みt1の1/2に形成されている。
なお、本実施形態では、平面視正方形を呈する板状の下層部C及び上層部Dの一辺を100cm、本体部71の一辺を80cmに設定したが、当該寸法は適宜変更しても構わない。
【0067】
ここで、図9の(b)に示すように、アスファルトパネル70の連結段部72及び連結段部73において、本体部71の端面711,712の延長線上で分割して形成された領域をそれぞれ領域R1〜R6とする。
【0068】
(防水層の施工方法)
次に、アスファルトパネル70を用いた防水層の施工方法について説明する。図10は、第二実施形態に係る防水層の敷設方法を示した斜視図である。図11は、第二実施形態に係る防水層を示した平面図である。図12の(a)は、図11のX4−X4線断面図を示し、(b)は、図11のX5−X5線断面図を示す。
前記した第一実施形態では、図1に示すように、一のアスファルトパネルの連結段部に対して一のアスファルトパネルの連結段部を重ね合わせて防水層Uを形成したが、本実施形態では、3つのアスファルトパネルの連結段部に対して、一のアスファルトパネルの連結段部を重ね合せて防水層U1を形成していくことを特徴とする。
【0069】
図10に示す防水層U1は、複数のアスファルトパネル70,70,・・・(70a〜70e)を重ね合わせて形成されている。ここへ、新たにアスファルトパネル70fを敷設する場合について説明する。なお、各アスファルトパネル70a〜70fの連結段部をそれぞれ連結段部72a〜72f、連結段部73a〜73fとする。
【0070】
既に敷設されたアスファルトパネル70b、アスファルトパネル70c及びアスファルトパネル70eでは、アスファルトパネル70cの連結段部72c及びアスファルトパネル70eの連結段部72eが露出するとともに、アスファルトパネル70bの連結段部72bの領域R5(図9の(b)参照)が露出する。
【0071】
そして、連結段部72bの領域R5と、連結段部72eの領域R6と連結段部72cの領域R4とで形成された複合領域(図10のハッチング部分)に、アスファルトパネル70fの連結段部73fを重ね合わせる。より詳細には、連結段部73fの領域R1と、連結段部72eの領域R6とを重ね合わせ、連結段部72bの領域R5と、連結段部73fの領域R2とを重ね合わせ、連結段部72cの領域R4と連結段部73fの領域R3とを重ね合わせる。
【0072】
図11に示すように、アスファルトパネル70fと略同様の方法により、順次アスファルトパネル70g乃至iを重ね合わせ、防水層U1を形成することができる。
【0073】
以上説明した第二実施形態に係る防水層U1によれば、肉厚の本体部71と肉薄の連結段部72,73を備えた複数のアスファルトパネル70(図9参照)を、隣り合う連結段部同士で連結させるため、上面及び下面を平坦に形成することができる。
【0074】
また、第二実施形態に係る防水層U1によれば、図12の(a)に示すように、アスファルトパネル70fの連結段部73fと、前後軸方向に隣り合うアスファルトパネル70eの連結段部72eとの突合せ面77の平面線形がクランク形状を呈する。また、図12の(b)に示すように、アスファルトパネル70fの連結段部72fと左右軸方向に隣り合うアスファルトパネル70hの連結段部72hとの突合せ面78の平面線形がクランク形状を呈する。また同様に、アスファルトパネル70fと、アスファルトパネル70cとの突合せ面、及び、アスファルトパネル70fと、アスファルトパネル70gとの突合せ面の平面線形もクランク形状を呈する。
【0075】
したがって、一のアスファルトパネル70fと、前後軸方向に隣り合うアスファルトパネル70e,70gだけでなく、左右軸方向に隣り合うアスファルトパネル70c,70hとの突合せ面の接触面積を大きく確保することができる。これにより、防水層U1の防水性をより高めることができる。
【0076】
なお、アスファルトパネル70の形状は、前記した形態に限定されるものではなく、他の形状であってもよい。
【0077】
(アスファルトパネルの製造方法)
次に、アスファルトパネル70の製造方法について説明する。図13は、第二実施形態に係るアスファルトパネル用型枠を示した斜視図であって、(a)は、分解図、(b)は、合体図を示す。図14は、第二実施形態に係るアスファルトパネル用型枠を示した図であって、(a)は、平面図、(b)は、(a)のX6−X6線断面図である。
【0078】
本実施形態に係るアスファルトパネルの製造方法は、図13に示すアスファルトパネル用型枠80を用いてアスファルトパネルを形成する。アスファルトパネル用型枠80は、図13の(b)に示すように、アスファルトパネル70の下層部C(図9の(b)参照)を成形する有底第一型枠81と、アスファルトパネル70の上層部Dを成形する第二型枠82の二つの型枠を上下に配置して形成されている。アスファルトパネル用型枠80は、本実施形態では、有底第一型枠81と、第二型枠82とが連結金具(図示省略)を介して一体化又は分離するように形成されている。
【0079】
有底第一型枠81は、図13の(a)に示すように、平面視矩形の平板状の底部83と、底部83と略同等の大きさからなる板状の第一枠状部84とを有する。第一枠状部84は、底部83の外縁に沿って形成され平面視L字状を呈する土台部86と、土台部86に連続し、底部83の外縁に沿って形成されたL字枠材85によって形成されている。第一枠状部84の内側には上方に開口する第一中空部87が形成されている。第一中空部87は、本実施形態では正方形を呈する。土台部86は、第二型枠82を支持するとともに、アスファルトパネル70の連結段部73の下面734(図9の(c)参照)を成形する部分である。
【0080】
第二型枠82は、図13の(a)に示すように、有底第一型枠81の上部に取り付けられる部材であって、有底第一型枠81の外周と同等の大きさに形成されている。第二型枠82は、アスファルトパネル70の上層部Dを成形する第二枠状部92からなる。第二枠状部92は、平面視L字状を呈する被覆部89と、被覆部89に連続し、有底第一型枠81の外縁に沿って形成されたL字枠材88によって形成されている。第二型枠82の内側には、上下に連通する第二中空部90が形成されている。第二中空部90は正方形を呈し、第一中空部87と同等の大きさを呈する。被覆部89は、第一中空部87の一部を上方から覆い、アスファルトアパネル70の連結段部72の上面724(図9の(c)参照)を成形する部分である。
【0081】
第一枠状部84及び第二枠状部92は、土台部86及び被覆部89の配置方向を除いては、同等の形状に形成されている。
したがって、図13の(b)及び図14に示すように、有底第一型枠81と、第二型枠82とを重ね合わせて断面視又は平面視すると、第一中空部87及び第二中空部90が連通する連通領域M’と、被覆部89によって第一中空部87が覆われた被覆領域L’(図14の(a)のハッチング部分)と、第二中空部90のみからなる開放領域N’とに分けられる。
【0082】
これにより、アスファルトパネル用型枠80にアスファルト系材料を流し込むと、連通領域M’によってアスファルトパネル70の本体部71が成形され、被覆領域L’によってアスファルトパネル70の連結段部72が成形され、開放領域N’によってアスファルトパネル70の連結段部73が成形される。
【0083】
アスファルトパネル70の製造工程は、第一実施形態と略同等であるため、詳細な説明は省略する。アスファルトパネル用型枠80によれば、アスファルトパネル70を容易に形成することができる。また、第一枠状部84及び第二枠状部92は、略同等の形状からなるため、アスファルトパネル用型枠80を容易に形成することができる。
【0084】
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態に係るアスファルトパネルについて説明する。アスファルトパネルは、前記した第一実施形態及び第二実施形態の形状に限定されるものではなく、適宜変形が可能である。図15の(a)は、第三実施形態に係るアスファルトパネルを示した側面図、(b)は、第三実施形態に係るアスファルトパネルを用いて形成された防水層を示す。
【0085】
第三実施形態に係るアスファルトパネル190は、肉厚の本体部191と、本体部191の両端部からそれぞれ延設され、本体部191よりも肉薄の連結段部192,193を備えている。アスファルトパネル190の本体部191の下面191dと、連結段部192の下面192d及び連結段部193の下面193dとが面一に形成されている点で他の実施形態と相違する。
【0086】
アスファルトパネル190を敷設する際には、隣り合うアスファルトパネル190,190の上面及び下面を逆にして、連結段部192,193同士を重ね合わせる。これにより、防水層U2の表面を平坦に形成することができる。
【0087】
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更が可能である。例えば、本実施形態では、連結段部の厚みは、本体部の厚みの1/2となるように形成したが、アスファルトパネルを重ね合わせた時に各アスファルトパネルの上面及び下面が平坦になれば、他の割合であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】第一実施形態に係る防水層を示した斜視図である。
【図2】(a)は、防水層の中央側に配置されるアスファルトパネルを示した斜視図であり、(b)は、防水層の端部側に配置されるアスファルトパネルを示した斜視図である。
【図3】図2の(a)に係るアスファルトパネルを示した側面図である。
【図4】第一実施形態に係る防水層の施工方法を示した側面図であって、(a)は、敷設前の状態を示し、(b)は、図1のX1−X1線断面図、(c)は、図1のX2−X2線断面図を示す。
【図5】第一実施形態に係るアスファルトパネル用型枠を示した斜視図であって、(a)は、分解図、(b)は、合体図を示す。
【図6】第一実施形態に係るアスファルトパネル用型枠を示した側断面図である。
【図7】第一実施形態に係るアスファルトパネルの製造工程を示した工程図である。
【図8】第一実施形態に係る他のアスファルトパネル用型枠を示した図であって(a)は、分解図、(b)は、合体図を示す。
【図9】第二実施形態に係るアスファルトパネルを示した図であって、(a)は、斜視図、(b)は、平面図、(c)は、(b)のX3−X3線断面図である。
【図10】第二実施形態に係る防水層の敷設方法を示した斜視図である。
【図11】第二実施形態に係る防水層を示した平面図である。
【図12】(a)は、図11のX4−X4線断面図を示し、(b)は、図11のX5−X5線断面図を示す。
【図13】第二実施形態に係るアスファルトパネル用型枠を示した斜視図であって、(a)は、分解図、(b)は、合体図を示す。
【図14】第二実施形態に係るアスファルトパネル用型枠を示した図であって、(a)は、平面図、(b)は、(a)のX6−X6線断面図である。
【図15】(a)は、第三実施形態に係るアスファルトパネルを示した側面図、(b)は、第三実施形態に係る防水層を示した側面図である。
【図16】従来の防水層の施工方法1を示した断面図である。
【図17】従来の防水層の施工方法2を示した断面図である。
【符号の説明】
【0089】
10 アスファルトパネル
11 本体部
12 連結段部
13 連結段部
17 突合せ面
30 アスファルトパネル
50 アスファルトパネル用型枠
51 有底第一型枠
52 第二型枠
U 防水層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肉厚の本体部と、この本体部の少なくとも一方の端部に延設され前記本体部よりも肉薄の連結段部と、を有する複数のアスファルトパネルを用いて形成する防水層の施工方法であって、
隣り合う前記アスファルトパネルの前記連結段部同士を重ね合わせ、前記アスファルトパネル同士の下面及び上面をそれぞれ面一に形成することを特徴とする防水層の施工方法。
【請求項2】
肉厚の本体部と、この本体部の少なくとも一方の端部に延設され前記本体部よりも肉薄の連結段部と、を有する複数のアスファルトパネルから構成された防水層であって、
隣り合う前記アスファルトパネルが前記連結段部同士で重ね合わされており、前記アスファルトパネル同士の下面及び上面がそれぞれ面一に形成されていることを特徴とする防水層。
【請求項3】
前記複数のアスファルトパネルは、このアスファルトパネルの前後方向及び前後方向に対して直交する左右方向に並べて敷設されており、
前後方向に隣り合う前記アスファルトパネル同士の突合せ面の断面形状及び前後方向に対して直交する左右方向に隣り合う前記アスファルトパネル同士の突合せ面の断面形状が、クランク形状を呈することを特徴とする請求項2に記載の防水層。
【請求項4】
隣り合う前記アスファルトパネルの前記連結段部同士は、接着剤を介して重ね合わされていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の防水層。
【請求項5】
肉厚の本体部と、この本体部の少なくとも一方の端部に延設され前記本体部よりも肉薄の連結段部と、を有するアスファルトパネルであって、
隣り合う前記アスファルトパネルの前記連結段部同士を重ね合わせると、前記アスファルトパネル同士の下面及び上面がそれぞれ面一に形成されることを特徴とするアスファルトパネル。
【請求項6】
肉厚の本体部と、この本体部の少なくとも一方の端部に延設され前記本体部よりも肉薄の連結段部と、を有するアスファルトパネルを成形するアスファルトパネル用型枠であって、
平板状の底部と、
この底部の上に設けられ、第一中空部を備えた第一枠状部と、
この第一枠状部の上に設けられ第二中空部を備えた第二枠状部と、を有し、
前記第二枠状部は、前記第一中空部の端部側の一部を覆う被覆部を備えていることを特徴とするアスファルトパネル用型枠。
【請求項1】
肉厚の本体部と、この本体部の少なくとも一方の端部に延設され前記本体部よりも肉薄の連結段部と、を有する複数のアスファルトパネルを用いて形成する防水層の施工方法であって、
隣り合う前記アスファルトパネルの前記連結段部同士を重ね合わせ、前記アスファルトパネル同士の下面及び上面をそれぞれ面一に形成することを特徴とする防水層の施工方法。
【請求項2】
肉厚の本体部と、この本体部の少なくとも一方の端部に延設され前記本体部よりも肉薄の連結段部と、を有する複数のアスファルトパネルから構成された防水層であって、
隣り合う前記アスファルトパネルが前記連結段部同士で重ね合わされており、前記アスファルトパネル同士の下面及び上面がそれぞれ面一に形成されていることを特徴とする防水層。
【請求項3】
前記複数のアスファルトパネルは、このアスファルトパネルの前後方向及び前後方向に対して直交する左右方向に並べて敷設されており、
前後方向に隣り合う前記アスファルトパネル同士の突合せ面の断面形状及び前後方向に対して直交する左右方向に隣り合う前記アスファルトパネル同士の突合せ面の断面形状が、クランク形状を呈することを特徴とする請求項2に記載の防水層。
【請求項4】
隣り合う前記アスファルトパネルの前記連結段部同士は、接着剤を介して重ね合わされていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の防水層。
【請求項5】
肉厚の本体部と、この本体部の少なくとも一方の端部に延設され前記本体部よりも肉薄の連結段部と、を有するアスファルトパネルであって、
隣り合う前記アスファルトパネルの前記連結段部同士を重ね合わせると、前記アスファルトパネル同士の下面及び上面がそれぞれ面一に形成されることを特徴とするアスファルトパネル。
【請求項6】
肉厚の本体部と、この本体部の少なくとも一方の端部に延設され前記本体部よりも肉薄の連結段部と、を有するアスファルトパネルを成形するアスファルトパネル用型枠であって、
平板状の底部と、
この底部の上に設けられ、第一中空部を備えた第一枠状部と、
この第一枠状部の上に設けられ第二中空部を備えた第二枠状部と、を有し、
前記第二枠状部は、前記第一中空部の端部側の一部を覆う被覆部を備えていることを特徴とするアスファルトパネル用型枠。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2009−280967(P2009−280967A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−131105(P2008−131105)
【出願日】平成20年5月19日(2008.5.19)
【出願人】(390002185)大成ロテック株式会社 (90)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月19日(2008.5.19)
【出願人】(390002185)大成ロテック株式会社 (90)
【Fターム(参考)】
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