説明

防水性及び通気性のあるカーペット

【課題】通気性を損なうことなく、カーペットに防水性を付与し、集合住宅や一般家屋またオフィス等に適したカーペットを得る。
【解決手段】基布にパイルが植設されたパイル布帛からなる表面パイル層2と、防水性と通気性を有する多孔性ポリオレフィンフィルムからなる中間層3と不織布等からなる繊維集合体層4の三層を熱可塑性樹脂からなる接着樹脂層5を介して積層一体化することにより、快適な居住空間を創ることのできる防水性及び通気性のあるカーペットを得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集合住宅や一般家屋またオフィス等の床表面に敷設して使用する防水性及び通気性のあるカーペットに関する。
【背景技術】
【0002】
集合住宅や一般家屋、またオフィスの床には、床表面の保護や、保温性を高め、緩衝性、良好な感触、快適な居住空間を造ること等を目的として、カーペットを多く使用している。一般に、使用されているカーペットは、ウールなどの天然繊維や合成繊維が植えられたタフテッド・パイル地の裏面に、保温性、緩衝性等を付与するために、ポリ塩化ビニル樹脂や、ネオプレン等の合成ゴム、あるいはこれらの発泡体、軟質ポリウレタンフォーム、フォームラバー、軟質ポリエチレンフォーム等の柔軟な合成ゴムや合成樹脂フォームシートが裏打ち材として貼着されているものである。
【0003】
しかし、これらのカーペットには防水性がなく、使用している間に飲料水等をこぼしても、すぐに裏面に水分が浸透して拭き取ることができず放置される場合が多く、その結果予め床に施設された畳やフローリング木質床材が腐食するということが知られている。
【0004】
この問題を防ぐために特許文献1では、カーペットに防水性を付与するために、プラスチックフイルムをカーペットの裏面に貼着する方法が開示されている。しかし、プラスチックフイルムを貼着すると、通気性が損なわれ、カビや悪臭が発生するという問題が発生している。
【0005】
そこで本発明は、通気性を損なうことなく、カーペットに防水性を付与し、集合住宅や一般家屋またオフィス等に適したカーペットを得ることを目的とする。
【特許文献1】実開平7−17174号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前記背景技術に鑑み、通気性を損なうことなく、カーペットに防水性を付与し、集合住宅や一般家屋またオフィス等に適したカーペットを得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、このような課題を解決するために鋭意検討の結果、表面パイル層、中間層及び繊維集合体層の三層を接着樹脂層を介して積層一体化されたカーペットにおいて、中間層として防水性及び通気性を有する多孔性ポリオレフィンフィルムを使用し、これら三層を接着する接着樹脂層を、熱可塑性のオレフィン系樹脂を線状に溶融押出しすることにより通気樹脂層を形成し、優れた防水性と通気性を確保することのできるカーペットが得られることを見出し本発明に到達した。さらに表面パイル層、中間層及び繊維集合体層の三層を一度の加工工程において積層一体化することにより、経済的にも優れた防水性及び通気性のあるカーペットが得られることを見い出した。
【0008】
即ち、本発明は以下の手段を提供する。
【0009】
[1]基布にパイルが植設されたパイル布帛からなる表面パイル層と、多孔性ポリオレフィンフィルムからなる中間層と繊維集合体層の3層が接着樹脂層を介して積層一体化されたカーペットにおいて、前記接着樹脂層が熱可塑性のオレフィン系樹脂を線状に溶融押出しすることにより形成された通気樹脂層からなり、かつ前記中間層を構成する多孔性ポリオレフィンフィルムが防水性及び通気性を有することを特徴とする防水性及び通気性のあるカーペット。
【0010】
[2]前記防水性及び通気性のあるカーペットにおいて、JIS L1092に基づいて測定した防水性が2,000mm以上かつ、JIS L1096に規定される方法に基づき測定される通気性が1.0〜10.0cm/cm・sec以上であることを特徴とする前項[1]記載の防水性及び通気性のあるカーペット。
【0011】
[3]前記接着樹脂層が熱可塑性のオレフィン系樹脂からなり、塗布量が50〜300g/mで、押出し機により線状に溶融押出された接着樹脂層からなることを特徴とする前項[1]又は[2]記載の防水性及び通気性のあるカーペット。
【0012】
[4]連続的に供給される前記表面パイル層、中間層及び繊維集合体層の三層が重ね合わされる直前に、前記表面パイル層と、前記中間層の重ね合わせ面に熱可塑性のオレフィン系樹脂をTダイ型押出し機により、単列または複数列の線状に溶融押出しし、前記表面パイル層と、前記中間層を前記熱可塑性のオレフィン系樹脂で接着し、さらに前記熱可塑性のオレフィン系樹脂の加工時の熱により、前記中間層を構成する多孔性ポリオレフィンフィルムの表面を部分的に溶融させ接着樹脂層化しながら、前記繊維集合体層と前記中間層とを接着させ、加圧冷却することで前記中間層の通気性を残した状態で該3層を一度の工程で積層一体化した防水性及び通気性のあるカーペットの製造方法。
【発明の効果】
【0013】
[1]の発明によれば、本発明の防水性及び通気性のあるカーペットは表面パイル層と、防水性及び通気性を有する多孔性ポリオレフィンフィルムからなる中間層と、繊維集合体層の三層で形成されているので、誤ってこぼした飲料水等の床への浸透を防ぎ、容易に拭き取ることが可能となる。また前記多孔性ポリオレフィンフィルムの通気性により、本発明の防水性及び通気性のあるカーペットと床との間に溜まっている水分が蒸発することにより、蒸れることなくカビや悪臭の発生を防ぐことができる。さらに前記表面パイル層、多孔性ポリオレフィンフィルムからなる中間層及び繊維集合体層の三層を接着樹脂層を介して同時に積層一体化したことにより、耐久性のある十分な接着性と経済的な加工性が得られる。
【0014】
[2]の発明によれば、本発明の防水性及び通気性のあるカーペットは積層一体化した後のJIS L1092に基づいて測定した防水性が2,000mm以上かつ、JIS L1096に規定される方法に基づき測定される通気性が1.0〜10.0cm/cm・sec以上であることから、防水性により急速な水分の床への浸透を防ぎ、通気性により床面の湿気を迅速に乾燥させることができ、快適な居住空間を創ることのできる防水性及び通気性のあるカーペットとなる。
【0015】
[3]の発明によれば、本発明の防水性及び通気性のあるカーペットを構成する3層を接着する接着樹脂層がポリエチレン、ポリプロピレンから選ばれる少なくとも一種の熱可塑性のオレフィン系樹脂からなり、塗布量が50〜300g/mであることから、適度な防水性を、良好な接着性を維持することができる。さらに前記熱可塑性のオレフィン系樹脂が線状に溶融押出しされることにより、微細孔を多数有する接着樹脂層となり、前記多孔性ポリオレフィンフィルムの通気性を維持することができる。
【0016】
[4]の発明によれば、熱可塑性樹脂をTダイ型押出し機により、単列または複数列の線状に溶融押出しし、前記表面パイル層と、前記多孔性ポリオレフィンフィルムを前記熱可塑性樹脂で接着し、また前記繊維集合体層は前記熱可塑性樹脂の加工時の熱により、前記多孔性ポリオレフィンフィルムを部分的に表面を溶融させ接着樹脂層化しながら、前記多孔性ポリオレフィンフィルムに積層させ加圧冷却し、前記多孔性ポリオレフィンフィルムの通気性を残した状態で前記3層を一度の簡素化された工程で、積層一体化した積層シートの製造方法とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下この発明に係わる防水性及び通気性のあるカーペットの一実施形態を図面を参照しつつ説明する。本実施形態の防水性及び通気性のあるカーペットは、集合住宅や一般家屋またオフィス等の床表面に敷設して使用するカーペットである。図1は、本実施形態の防水性及び通気性のあるカーペットの一部を拡大して示す概略断面図である。
【0018】
本発明の防水性及び通気性のあるカーペット(1)は、表面パイル層(2)と、中間層(3)と繊維集合体層(4)の三層からなり、表面パイル層(2)と中間層(3)との間には、熱可塑性樹脂からなる接着樹脂層(5)が存在している。
【0019】
本発明における表面パイル層(2)は、基布にパイル糸をタフティング等により植設したタフトカーペットを用いることが好ましく、また、短繊維ウエブをニードルパンチにより起毛させたニードルパンチカーペットや、表面が起毛されてなる織編布や立体織編布、通常の織編布を使用してもよい。
【0020】
表面パイル層(2)を構成するパイル素材としては、一般的にカーペット素材として使用しているものを用いればよく、ウール、麻、コットン等の天然繊維やポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアクリル系繊維、ポリプロピレン系繊維等の合成樹脂繊維等が挙げられる。またパイルが植設される基布はポリエステル系繊維、ポリプロピレン系繊維等の合成樹脂繊維からなる織布や不織布を用いることが好ましい。
【0021】
本発明における中間層(3)は多孔性ポリオレフィンフィルムからなり、前記多孔性ポリオレフィンフィルムを構成する素材としては、ポリエチレン、ポリプロピレンから選ばれる少なくとも一種の熱可塑性エラストマーを挙げることができるが、加工性が良好で、通気性の大きい微多孔質ポリエチレンフィルムが好ましく用いられる。
【0022】
本発明における防水性及び通気性のあるカーペット(1)の防水性は、中間層(3)である多孔性ポリオレフィンフィルムに依
存されるが、前記多孔性ポリオレフィンフィルムの防水性として2,000mm以上の性能があれば、防水性及び通気性のあるカーペットの防水性として2,000mm以上が確保することができる。その結果、誤ってこぼした飲料水等の床への浸透を防ぎ、容易に拭き取ることが可能な防水性及び通気性のあるカーペットとなる。
【0023】
更に、本発明における防水性及び通気性のあるカーペットの通気性についても、中間層(3)である前記多孔性ポリオレフィンフィルムに依存するが、多孔性ポリオレフィンフィルムの通気性が2.0〜15.0cm/cm・sec以上であれば、防水性及び通気性のあるカーペットの通気性が1〜10cm/cm・sec以上が確保することができ、床面の湿気を迅速に乾燥させることができ、快適な居住空間を創ることのできる防水性及び通気性のあるカーペットとなる。
【0024】
本発明における繊維集合体層(4)は、繊維で構成されるものであれば特に限定されず、不織布、固綿(不織布、繊維堆積物等を熱等により圧縮させたもの)、織物、編物を用いることができる。これらの繊維集合体は、通気性が高く、カーペットに高い通気量を付与することができる。
【0025】
本発明においては、防水性及び通気性、さらにはクッション性および吸音性を考慮して、繊維集合体層(4)は、面密度100〜2000g/m2、厚み1〜40mmの不織布を用いることが好ましい。
【0026】
繊維集合体層(4)の面密度が100g/m2未満であると、通気性は確保できるが、クッション性に優れるとはいいがたい。一方、繊維集合体層(4)の面密度が2000g/m2を超えて、厚みが大きく嵩高な場合は、クッション性に優れる傾向となるが、通気性が確保できず、得られるカーペットの体積が大きくなりすぎて、使用時に床との間に大きな段差が生じてしまうことになる。また、面密度が2000g/m2を超えて、厚みが小さく繊維間空隙の少ないものであると、クッション性に優れるとはいいがたく、また、面密度を大きくすることは、コストアップにつながり、総じて好ましくない。
【0027】
繊維集合体層(4)の厚みについては、上記した面密度と関連するものであるが、厚みが1mm未満では、繊維集合体層(4)として耐久性が乏しく、長時間の使用に耐えられず、また、クッション性にも劣る傾向となる。一方、厚みが40mmを超えると、得られるカーペット自体の厚みが大きくなりすぎてしまい、使用時に床との間に大きな段差が生じ実用的ではない。
【0028】
繊維集合体層(4)を構成する繊維としては、上述した表面パイル層(2)に用いることができる繊維と同様のものを用いることができる。また、安価な屑糸等を繊維集合体層(4)に混合させることが経済的には好ましい。さらに、繊維集合体層(4)に硬さや成形保持性を持たせるためには熱融着繊維を混合させて熱融着により一体化した繊維集合体層(4)を用いてもよい。
【0029】
本発明の防水性及び通気性のあるカーペット(1)において、接着樹脂層(5)は、ポリエチレン、ポリプロピレンから選ばれる少なくとも一種の熱可塑性のオレフィン系樹脂からなるが、接着強度をより向上できると共にリサイクルの観点からもポリエチレン樹脂が用いられるのが好ましい。接着樹脂層(5)の熱可塑性樹脂の塗布量は50〜300g/mが好ましく、塗布量が50g/mを下回ると十分な接着強度が得られず、300g/mを超えると良好な通気性が得られない。さらに良好な通気性を得るためには、塗布量が100〜200g/m2であることがより好ましい。
【0030】
さらに接着樹脂層(5)の熱可塑性樹脂のメルトフローレートは1〜100が好ましく、メルトフローレートが1未満では均一な塗布をすることが困難となる。またメルトフローレートが100を超えると樹脂が表面パイル層(2)と中間層(3)である前記多孔性ポリオレフィンフィルムに含浸しやすく接着樹脂層を形成することが出来ない。押出し機で線状に溶融押出しし、通気性のある接着樹脂層を形成するが、線状の樹脂の太さ及び本数は、通気性を最適にするためには、直径0.5〜7mm、本数5〜150本/10cmが好ましい。
【0031】
該接着樹脂層(5)は表面パイル層(2)と中間層(3)との間に、熱可塑性のオレフィン系樹脂を線状に溶融押出しすることにより形成され、通気性のある接着樹脂層となり表面パイル層(2)と中間層(3)を中間層(3)を構成する前記多孔性ポリオレフィンフィルムの通気性を残した状態で接着させている。
【0032】
また中間層(3)である前記多孔性ポリオレフィンフィルムと前記繊維集合体層(4)の接着は、前記熱可塑性樹脂の加工時の熱により、中間層(3)である前記多孔性ポリオレフィンフィルムの表面を部分的に溶融させ、接着樹脂層化した前記多孔性ポリオレフィンフィルムが一部溶融した接着樹脂層(6)を構成しながら、中間層(3)である前記多孔性ポリオレフィンフィルムと前記繊維集合体層(4)とを積層させ加圧冷却し、中間層(3)である前記多孔性ポリオレフィンフィルムの通気性を残した状態で前述の表面パイル層(2)と中間層(3)の接着と同時に積層一体化することができる。
【0033】
本発明の防水性及び通気性のあるカーペットは、例えば次のようにして製造することができる。図2に示すように表面パイル層(2)をパイル面が最外層に来るように、また中間層(3)である多孔性ポリオレフィンフィルム(3)が中央に、さらに繊維集合体層(4)がもう一方の最外層に来るように、Tダイ型押出し機(7)に定速で供給し、ニップロール(8)上で3層を重ね合わせる。その重ね合わされる直前に、Tダイ型押出し機(7)によって線状に溶融押出しされた熱可塑性樹脂を表面パイル層(2)と中間層(3)である多孔性ポリオレフィンフィルムの間に塗布する。押出された線状の熱可塑性樹脂は、通気性のある接着樹脂層(5)を形成し、表面パイル層(2)と中間層(3)である多孔性ポリオレフィンフィルムとがニップロール(8)によって加圧されることにより、積層一体化される。さらにこの時に繊維集合体層(4)も前記押出された、線状の熱可塑性樹脂の熱により、中間層(3)である多孔性ポリオレフィンフィルムを部分的に溶融させ接着樹脂層化し、ニップロール(8)によって加圧されることにより、同時に積層一体化される。したがって表面パイル層(2)と、多孔性ポリオレフィンフィルムからなる中間層(3)とクッション性を持つ繊維集合体層(4)の三層が通気性を残した状態で一度の工程で積層一体化することができる製造方法となる。
【実施例】
【0034】
以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0035】
本発明の防水性及び通気性のあるカーペットの諸特性は、下記の方法により測定したものである。
【0036】
[防水性]JISL1092の5.1.1B法(繊維製品の防水性試験方法)により求めた。
【0037】
[通気性]JISL1096の8.27.2B法(繊維製品の通気性試験方法)により求めた。
【0038】
(実施例1)表面パイル層として、単糸繊度が2.5デシテックスのフィラメントで構成される繊度2800デシテックス(1400dtex/2p、撚り数60回/m)のポリエステル糸を、タフティングカットパイル機にて、ポリエステル長繊維からなる不織布(重量:100g/m)に5/32インチゲージ(ヨコ密度:5本/32インチ)、ステッチ6.0/インチ(タテ密度:6本/インチ)、パイル長18mmでタフティングをおこない、カットパイルが形成されたタフテッドカーペットを用意した。また、多孔性ポリオレフィンフィルムは、通気防水機能を付与する事ができるポリエチレンフイルム(通気性3.0cm/cm・sec)を用いた。さらに、繊維集合体層は面密度600g/m2、厚み10mmの不織布を用いた。そして前記三層の積層は表面パイル層のパイル面を下にして一定速度で搬送し、ニップロール上で反対方向から供給される多孔性ポリオレフィンフィルムと繊維集合体層を重ね合わせ、その重ね合わせ口に、樹脂吐出口金を取付けたTダイ型押出し機から溶融押出しされた線状のメルトフローレートが40のポリエチレン樹脂を150g/m塗布し、その後直ぐにニップロールによって加圧冷却して、防水性及び通気性のあるカーペットを得た。表1に示したように、本発明で得られた防水性及び通気性のあるカーペットを集合住宅や一般家屋またオフィス等使用されるカーペットとして評価を行い、良好な結果が得られた。
【0039】
(実施例2)多孔性ポリオレフィンフィルムとして通気性5.0cm/cm・secのポリエチレンフイルムを使用し、それ以外は実施例1と同様に作成した。
【0040】
(実施例3)Tダイ型押出し機から溶融押出しされた線状のポリエチレン樹脂を70g/m塗布し、それ以外は実施例1と同様に作成した。
【0041】
(実施例4)Tダイ型押出し機から溶融押出した線状のポリエチレン樹脂を280g/m塗布し、それ以外は実施例1と同様に作成した。
【0042】
(比較例1)多孔性ポリオレフィンフィルムとして通気性0.2cm/cm・secのポリエチレンフイルムを使用し、それ以外は実施例1と同様に作成した。
【0043】
(比較例2)Tダイ型押出し機から線状ではなく面状に、溶融押出したポリエチレン樹脂を150g/m塗布し、それ以外は実施例1と同様に作成した。
【0044】
(比較例3)Tダイ型押出し機から溶融押出した線状のポリエチレン樹脂を400g/m塗布し、それ以外は実施例1と同様に作成した。
【0045】
(表1)

【0046】
表1から明らかなように、実施例1〜4で示される本発明の防水性及び通気性のあるカーペットは優れた防水性及び通気性を示し、集合住宅や一般家屋またオフィス等使用されるカーペットとして好適な防水性及び通気性のあるカーペットであることがわかった。
【0047】
これに対し、比較例1〜3で示されるカーペットは、防水性は確保できるものの、良好な通気性が確保できなかった。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施形態に係わる防水性及び通気性のあるカーペットの概略断面図である。
【図2】本発明の防水性及び通気性のあるカーペットの製造方法を概略的に示す図である。
【符号の説明】
【0049】
1…防水性及び通気性のあるカーペット2…表面パイル層3…中間層4…繊維集合体5…接着樹脂層6…多孔性ポリオレフィンフィルムが一部溶融した接着樹脂層7…Tダイ型押出し機8…ニップロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基布にパイルが植設されたパイル布帛からなる表面パイル層と、多孔性ポリオレフィンフィルムからなる中間層と繊維集合体層の3層が接着樹脂層を介して積層一体化されたカーペットにおいて、前記接着樹脂層が熱可塑性のオレフィン系樹脂を線状に溶融押出しすることにより形成された通気樹脂層からなり、かつ前記中間層を構成する多孔性ポリオレフィンフィルムが防水性及び通気性を有することを特徴とする防水性及び通気性のあるカーペット。
【請求項2】
前記防水性及び通気性のあるカーペットにおいて、JIS L1092に基づいて測定した防水性が2,000mm以上かつ、JIS L1096に規定される方法に基づき測定される通気性が1.0〜10.0cm/cm・sec以上であることを特徴とする請求項1に記載の防水性及び通気性のあるカーペット。
【請求項3】
前記接着樹脂層が熱可塑性のオレフィン系樹脂からなり、塗布量が50〜300g/mで、押出し機により線状に溶融押出された接着樹脂層からなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の防水性又は通気性のあるカーペット。
【請求項4】
連続的に供給される前記表面パイル層、中間層及び繊維集合体層の三層が重ね合わされる直前に、前記表面パイル層と、前記中間層の重ね合わせ面に熱可塑性のオレフィン系樹脂をTダイ型押出し機により、単列または複数列の線状に溶融押出しし、前記表面パイル層と、前記中間層を前記熱可塑性のオレフィン系樹脂で接着し、さらに前記熱可塑性のオレフィン系樹脂の加工時の熱により、前記中間層を構成する多孔性ポリオレフィンフィルムの表面を部分的に溶融させ接着樹脂層化しながら、前記繊維集合体層と前記中間層とを接着させ、加圧冷却することで前記中間層の通気性を残した状態で該3層を一度の工程で積層一体化した防水性及び通気性のあるカーペットの製造方法。

【図1】
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【図2】
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