説明

防水通音フード

【課題】防水性および通音性に優れた防水通音フードを提供する。
【解決手段】防水材料から構成される防水フードであって、前記防水材料の着用者の耳に面する部分の少なくとも一方に防水通音手段を備え、前記防水通音手段が、音響透過損失が5db以下の防水通音膜を有することを特徴とする防水通音フード。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水性および通音性に優れた防水通音フードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、日常用や作業用に使用されるレインコート、レインジャケットなどの雨衣には、着用者の頭部が雨滴などによって濡れることを防止するための防水フードが付属されている。このような防水フードは、防水布帛や防水シートなどの防水材料から形成されているが、着用時のこすれや洗濯時の負荷などによって、防水材料に孔や破れが発生すると防水フードの防水性が失われてしまう。そのため、着用時のこすれなどに対する耐久性を向上させる観点から、防水フードを構成する防水材料としては、比較的厚手のポリアミド、ポリエステルなどの布帛に防水加工を施したものが多用されている。
【0003】
ところで、防水フードは、通常、着用者の頭部(頭頂部、側頭部および後頭部)を覆うように構成されているため、防水フードを着用した際には、着用者の両耳も防水フードによって覆われることとなる。また、上記のように、防水フードは比較的厚手の防水材料から構成されることが多いが、このような比較的厚手の防水材料から構成された防水フードは、非常に通音性が悪い。そのため、防水フードを着用すると周囲の音が聞こえにくくなり、例えば、着用したままでの会話が困難になる、作業現場において装置などの警告音を聞き逃すなどの問題があった。
【0004】
そこで、着用時の通音性を向上させるため、着用者の耳に対応する部分に開口部を設けた防水フードが種々提案されている(例えば、特許文献1,2)。しかしながら、特許文献1および2に記載の防水フードでは、開口部から雨滴が侵入するという問題があった。
【特許文献1】実用新案登録第3054521号公報
【特許文献2】特開2002−275723号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、防水性および通音性に優れた防水通音フードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決することができた本発明の防水通音フードは、防水材料から構成される防水通音フードであって、前記防水材料の着用者の耳に面する部分の少なくとも一方に防水通音手段を備え、前記防水通音手段が、音響透過損失が5db以下の防水通音膜を有することを特徴とする。防水通音手段として、音響透過損失が5db以下の防水通音膜を用いることにより、防水通音フードの通音性を損なうことなく、防水性を向上させることができる。
【0007】
前記防水通音膜としては、少なくとも一層の多孔質ポリテトラフルオロエチレン層を有するものが好適である。また、不織布、メッシュなどに撥水加工を施し防水性を持たせた物も使用できる。
【0008】
前記防水通音手段は、前記防水通音膜を保護する少なくとも一層の保護層を有することが好ましい。また、前記保護層の少なくとも一層は、前記防水通音膜に固着されていることが好ましい。
【0009】
本発明の防水通音フードにおいては、前記防水通音手段が、カシメ筒部と、当該カシメ筒部の一端に形成された保持部とを有する保持部材を備え、当該保持部材は、保持部に前記防水通音膜を保持し、カシメ筒部によって前記防水材料に固定されている態様が好ましい。前記保持部材は、前記防水通音膜と保持部との間隙がシール部材によって封止されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、防水性および通音声に優れた防水通音フードが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の防水通音フードの一態様を説明する。図1は防水通音手段が保持部材を有する態様の防水通音フードを示す斜視図である。図2は図1に示す防水通音フードの側面図である。
【0012】
図1および図2に示すように、本発明の防水通音フードは、防水材料から構成される防水通音フードであって、前記防水材料の着用者の耳に面する部分の少なくとも一方に防水通音手段を備え、前記防水通音手段が、音響透過損失が5db以下の防水通音膜を有することを特徴とする。
【0013】
防水通音手段
本発明に用いられる防水通音手段とは、音響透過損失が5db以下の防水通音膜を有していれば特に限定されない。本発明で用いる防水通音手段の態様としては、前記防水通音膜のみから構成される態様;前記防水通音膜と、当該防水通音膜を保護する保護層から構成される態様;前記防水通音膜と、後述する保持部材から構成される態様などが挙げられる。
【0014】
防水通音膜
前記防水通音手段に用いられる音響透過損失が5db以下の防水通音膜(以下、単に防水通音膜という場合がある。)について説明する。
【0015】
前記防水通音膜は、音響透過損失が5db以下であり、好ましくは3db以下、より好ましくは1db以下である。音響透過損失が5dbを超えると、防水通音手段の音響透過損失が大きくなり、通音性に優れた防水通音フードが得られない。防水通音膜の音響透過損失の下限は、特に限定されないが当然0db超である。なお、本発明における防水通音膜の音響透過損失の測定方法については、後述する。
【0016】
前記防水通音膜の目付は、例えば、防水通音膜として後述するような多孔質ポリテトラフルオロエチレンの単層膜を用いる場合には、0.5g/m2以上が好ましく、より好ましくは1.0g/m2以上、さらに好ましくは2.0g/m2以上であり、20g/m2以下が好ましく、より好ましくは10g/m2以下、さらに好ましくは5g/m2以下である。防水通音膜の目付が0.5g/m2未満では、製造時の取扱性に問題が生じるおそれがあり、20g/m2を超えると防水通音手段の通音性が低下する傾向がある。なお、防水通音膜の目付は、例えば、防水通音膜を10cm角にカットして、その質量を精密秤で測定することにより求めることができる。
【0017】
前記防水通音膜の厚みは、3μm以上が好ましく、より好ましくは4μm以上、さらに好ましくは5μm以上であり、150μm以下が好ましく、より好ましくは33μm以下、さらに好ましくは10μm以下である。防水通音膜の厚みが3μm未満では、製造時の取扱性に問題が生じるおそれがあり、150μmを超えると防水通音手段の通音性が低下する傾向がある。防水通音膜の厚みの測定は、ダイヤルシックネスゲージで測定した平均厚さ(テクロック社製1/1000mmダイヤルシックネスゲージを用い、本体バネ荷重以外の荷重をかけない状態で測定した)による。
【0018】
前記防水通音膜は、音響透過損失が5db以下であれば、特に限定されず、単層膜でもよいし、2層以上が積層された多層膜でもよい。防水通音膜を形成する材料としては、例えば、シリコーンゴム、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、フルオロポリマーを含む多数の重合体材料が挙げられる。前記フルオロポリマーとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(FEP)、テトラフルオロエチレン−(ペルフルオロアルキル)ビニルエーテルコポリマー(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などが好適である。また、防水通音膜には、不織布、メッシュなどに撥水加工を施し防水性を持たせたものも使用できる。
【0019】
本発明に用いられる防水通音膜としては、少なくとも一層の多孔質ポリテトラフルオロエチレン(以下、「多孔質PTFEフィルム」と称することがある)を有しているものが好適である。なお、この場合、防水通音膜としては、多孔質PTFEフィルム層のみからなる単層膜や多孔質PTFEフィルム層と他の材料からなる層とを積層した多層膜を用いることができるが、防水通音膜の通音性の観点から、多孔質PTFEフィルム層のみからなる単層膜がより好適である。
【0020】
前記多孔質PTFEフィルムとは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のファインパウダーを成形助剤と混合することにより得られるペーストの成形体から、成形助剤を除去した後、高温高速度で平面状に延伸することにより得られるもので、多孔質構造を有している。すなわち、多孔質PTFEフィルムは、微小な結晶リボンで相互に連結されたポリテトラフルオロエチレンの一次粒子の凝集体であるノードと、これら一次粒子から引き出された伸びきった結晶リボンの束であるフィブリルとからなり、そして、フィブリルと該フィブリルを繋ぐノードで区画される空間が空孔となっている。後述する多孔質PTFEフィルムの空孔率、最大細孔径などは、延伸倍率などによって制御できる。
【0021】
前記多孔質PTFEフィルムの最大細孔径は、0.01μm以上が好ましく、より好ましくは0.1μm以上であり、15μm以下が好ましく、より好ましくは10μm以下である。最大細孔径が0.01μm未満では製造が困難になり、逆に15μmを超えると、多孔質PTFEフィルムの防水性が低下することと、フィルム強度が弱くなるため、積層などの後工程での取り扱いが困難になりやすい。
【0022】
前記多孔質PTFEフィルムの空孔率は、50%以上が好ましく、より好ましくは60%以上であり、98%以下が好ましく、より好ましくは95%以下である。多孔質PTFEフィルムの空孔率を50%以上とすることにより、フィルムの通音性を確保することができ、98%以下とすることによって、フィルムの強度を確保することができる。
【0023】
なお、多孔質PTFEフィルムの最大細孔径は、ASTM F−316の規定に準拠して測定した値である。多孔質PTFEフィルムの空孔率は、JIS K 6885の見掛け密度測定に準拠して測定した見掛け密度(ρ)を用いて、PTFEの真密度を2.2g/cm3として、次式で計算して求める。
空孔率(%)=100×(2.2−ρ)/2.2
【0024】
前記多孔質PTFEフィルムの通気性は大きいほど好ましく、ガーレー数で表現すると、50sec以下が好ましく、より好ましくは10sec以下である。多孔質PTFEフィルムの通気性が、ガーレー数で50secを超えると多孔質PTFEフィルムの通音性が低下してしまう。多孔質PTFEフィルムの通気性(ガーレー数)の測定は、JIS P 8117による。
【0025】
前記多孔質PTFEフィルムは、その細孔内表面に撥水性および撥油性を有するポリマーを被覆させて用いるのが好ましい。機械油、飲料、洗濯洗剤などの汚染物が、多孔質PTFEフィルムの細孔内に浸透若しくは保持されると、多孔質PTFEフィルムの疎水性を低下させて、防水性を損なわせる原因となる。しかし、多孔質PTFEフィルムの細孔内表面を撥水性および撥油性を有するポリマー(以下、被覆用ポリマーという場合がある。)で被覆することにより、機械油、飲料、洗濯洗剤などの汚染物が、多孔質PTFEフィルムの細孔内に浸透若しくは保持されるのを抑制できるからである。
【0026】
前記被覆用ポリマーとしては、例えば、含フッ素側鎖を有するポリマーを用いることができる。このようなポリマーおよびそれを多孔質PTFEフィルムに複合化する方法の詳細についてはWO94/22928公報などに開示されており、その一例を下記に示す。
【0027】
前記被覆用ポリマーとしては、下記一般式(1)で表されるフルオロアルキルアクリレートおよび/またはフルオロアルキルメタクリレートを重合して得られる含フッ素側鎖を有するポリマー(フッ素化アルキル部分は6〜16の炭素原子を有することが好ましい)を好ましく用いることができる。
【0028】
【化1】

(式中、nは3〜13の整数、Rは水素またはメチル基である。)
【0029】
このポリマーを用いて多孔質PTFEフィルムの細孔内を被覆するには、このポリマーの水性マイクロエマルジョン(平均粒子径0.01μm〜0.5μm)を含フッ素界面活性剤(例えば、アンモニウムパーフルオロオクタネート)を用いて作製し、これを多孔質PTFEフィルムの細孔内に含浸させた後、加熱する。この加熱によって、水と含フッ素界面活性剤が除去されるとともに、含フッ素側鎖を有するポリマーが溶融して多孔質PTFEフィルムの細孔内表面を連続気孔が維持された状態で被覆し、撥水性および撥油性の優れた多孔質PTFEフィルムが得られる。
【0030】
また、他の被覆用ポリマーとして、デュポン社製の「AFポリマー」や、旭硝子社製の「サイトップ(CYTOP)(登録商標)」なども使用できる。これらのポリマーを多孔質PTFEフィルムの細孔内表面に被覆するには、例えば、3M社製の「フロリナート(FLUORINERT)(登録商標)」などの不活性溶剤に前記ポリマーを溶解させ、多孔質PTFEフィルムに含浸させた後、溶剤を蒸発除去すればよい。
【0031】
保護層
本発明に用いられる防水通音手段は、前記防水通音膜を保護する少なくとも一層の保護層を有することが好ましい。前記保護層を有することにより、防水通音フード使用時に、防水通音膜に外力がかかることが防止でき、防水通音膜の破損を抑制できる。なお、前記防水通音手段は、前記防水通音手段の両面側に保護層を有することが好ましい。
【0032】
前記保護層としては、本発明の効果を損なわないものであれば特に限定されない。前記保護層としては、十分な強度を有し、且つ、防水通音手段の通音性を確保できることから、メッシュ、ネット、フォームラバー、スポンジ、不織布、織布、ニットなどの多孔質部材が好ましい。これらの多孔質部材は、全面に渡って略同形状の貫通孔が均一に形成されていることが好ましい。全面に渡って略同形状の貫通孔が均一に形成されていれば、その通音性および強度が全面に渡って均一であるため、全面に渡って通音性および強度が均一な防水通音手段が得られる。
【0033】
前記保護層の厚みは、10μm以上が好ましく、より好ましくは100μm以上であり、1000μm以下が好ましく、より好ましくは500μm以下である。保護層の厚みが10μm未満では、製造時の取扱性に問題が生じ、1000μmを超えると防水通音手段の通音性が低下してしまう。保護層の厚みの測定方法は、前記防水通音膜と同様である。
【0034】
前記保護層として多孔質部材を用いる場合には、保護層の最大細孔径は、10μm以上が好ましく、より好ましくは100μm以上であり、5mm以下が好ましく、より好ましくは1mm以下である。保護層の最大細孔径が10μm未満では、防水通音手段の通音性が著しく低下するおそれがあり、逆に5mmを超えると、開孔部が大きくなりすぎて、防水通音手段の保護効果が得られないおそれがある。なお、最大細孔径はマイクロスコープを用いて計測することができる。
【0035】
また、保護層の空孔率は、10%以上が好ましく、より好ましくは50%以上であり、95%以下が好ましく、より好ましくは90%以下である。保護層の空孔率を10%以上とすることにより、防水通音手段の通音性を確保することができ、90%以下とすることによって、保護層の強度を確保することができ、防水通音手段を効果的に保護することができる。なお、空孔率は、前記防水通音膜と同様にして測定する。
【0036】
前記保護層の材質としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリカーボネートなどのポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂などの熱可塑性樹脂;ステンレスなどの金属が挙げられる。後述するように、保護層を防水通音膜に固着させる場合、当該保護層の材質としては、接着剤を用いることなく、熱ラミネートによって防水通音膜と融着できることから、防水通音膜よりも低融点の熱可塑性樹脂が好適である。
【0037】
前記保護層の具体例を商品名で例示すると、例えば、モリト社製の「ネットハトメ#25」などが挙げられる。また、前記防水通音膜に密着させる保護層の具体例を商品名で例示すると、例えば、新日石プラスト社製の「コンウェッド(登録商標)ネット XN6065」などが挙げられる。
【0038】
本発明に用いられる防音通音手段は、前記保護層の少なくとも一層が、前記防水通音膜に固着されていることが好ましい。
【0039】
前記防水通音膜は、防水通音手段の通音性を確保するために薄くする必要があり、洗濯時の負荷などによって容易にピンホールや破れが発生し、防水特性が失われるおそれがある。そのため、前記保護層の少なくとも一層を防水通音膜に固着させ、防水通音膜を支持させることが好ましい。なお、保護層は、防水通音膜の片面に固着させてもよいし、両面に固着させてもよいが、防音通音手段の通音性の観点からは、防水通音膜の片面にのみ保護層を固着させることが好ましい。
【0040】
防水通音膜に固着される保護層は、強度や融着性の観点から樹脂製のネットや不織布などを用いることが好適である。前記樹脂製のネットとしては、例えば、DelStar Technologies社製の「Delnet(登録商標)(ポリプロピレン一体成型品) RB0404−12P」などが挙げられる。また、樹脂製の不織布としては、例えば、通音の観点から、東洋紡績社製の「ECOOL(登録商標)(ポリエステル製不織布) 3151A」などが挙げられる。
【0041】
前記防水通音膜に保護層を固着する方法は、特に限定されないが、例えば、接着剤を用いた接着や、熱ラミネートによる融着が挙げられる。なお、接着剤を用いた場合、防水通音膜として多孔体を用いた場合、当該接着剤により防水通音膜が有する細孔が多量に塞がれてしまい、防水通音手段の通音性が著しく低下するおそれがある。しかし、防水通音膜より低融点の熱可塑性樹脂を保護層の材料に用いて、熱ラミネートによって融着すれば、当該熱可塑性樹脂により塞がれる防水通音膜の細孔の個数を抑えることができ、防水通音手段の通音性の低下を抑制できるため好ましい。
【0042】
なお、防水通音膜に保護層を固着する場合、保護層が固着された防水通音膜(以下、積層防水通音膜という場合がある。)の音響透過損失は5db以下が好ましく、より好ましくは4db以下、さらに好ましくは3db以下である。積層防水通音膜の音響透過損失が5dbを超えると、防水通音手段の音響透過損失が大きくなり、通音性に優れた防水通音フードが得られない。なお、本発明における積層防水通音膜の音響透過損失の測定方法は、前記防水通音膜と同様である。
【0043】
保持部材
本発明の防水通音フードにおいては、前記防水通音手段が、カシメ筒部と、当該カシメ筒部の一端に形成された保持部とを有する保持部材を備え、当該保持部材は、保持部に前記防水通音膜を保持し、カシメ筒部によって前記防水材料に固定されている態様が好ましい。
【0044】
図3〜図5を参照して、保持部材を用いた防水通音手段の一例を説明する。図3は保持部材の断面図である。図4は保持部材の斜視図である。図5は防水材料に固定された保持部材の断面図である。
【0045】
保持部材
前記保持部材20は、カシメ筒部21と、当該カシメ筒部21の一端部周囲に防水通音膜を保持する際の巻き込み分だけ大きい外径に形成された保持部22を有している。また、この態様においては、防水通音膜11は、その両面にそれぞれ保護層12a、12bを有しており、保護層12aが防水通音膜11に固着されている。そして、図3および図4に示すように、この保持部22に防水通音膜11および保護層12a、12bを重ね合わせた後、保持部22の周縁を内側に巻き込むことにより、防水通音膜11および保護層12a、12bの周縁部が保持部22によって挟着されている。
【0046】
保持部材20の材質は特に限定されるものではないが、真鍮などの金属、樹脂などが挙げられる。
【0047】
前記カシメ筒部の内径は特に限定されないが、3mm以上が好ましく、より好ましくは5mm以上、さらに好ましくは8mm以上であり、80mm以下が好ましく、より好ましくは60mm以下、さらに好ましくは40mm以下である。カシメ筒部の内径を3mm以上80mm以下とすることにより、防水通音手段の通音性を確保し、かつ、防水材料への取り付け作業が容易となる。
【0048】
また、図3に示すように、前記保持部材20は、前記防水通音膜11と保持部22との間隙が、シール部材23によって封止されていることが好ましい。
【0049】
防水通音膜と保持部22との間隙をシール部材23で封止することにより、防水通音フードの防水性能をさらに向上させることができる。前記シールに用いられるシール部材としては、シリコーン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン系樹脂などの樹脂が挙げられ、これらの樹脂を単独あるいは2種以上の混合物として適宜用いることができる。
【0050】
そして、図5に示すように、前記保持部材20は、カシメ筒部21で取り付け対象である防水材料2を直接突き破り、貫通させて、前記防水材料2の反対側に突出したカシメ筒部21に雌リング24を外嵌した後、カシメ筒部21の先端を内方向からの押圧により潰すことによって、防水材料2に取付け固定される。このように、保持部材を用いることにより、防水材料への通音用の開口部の形成および防止通音膜の取り付けを一度に行えるため、作業性が向上する。
【0051】
防水通音フード
本発明の防水通音フードの構造について図1および図2を参照して説明する。
【0052】
本発明の防水通音フードは、防水材料から構成されており、当該防水材料の着用者の耳に面する部分の少なくとも一方に防水通音手段が備えられていることを特徴とする。
【0053】
なお、本発明の防水通音フードには、フードとして単独で使用されるものだけでなく、レインジャケット、レインコートなどの雨衣に付属されたものや、これらの雨衣に着脱可能に構成されたものを含む。
【0054】
図1および図2に示すように、本発明の防水通音フード1は前記防水材料2から構成され、防水通音フード1本体の構造は、着用者の頭部(頭頂部、側頭部および後頭部)を覆うように構成されている。防水通音フード1本体の構造は、少なくとも着用者の頭部を覆うように構成されていれば特に限定されず、例えば、着用者の頬や頚まで覆うように構成されていてもよいし、レインジャケットなどの雨衣との接続部分が一体形成されていてもよい。
【0055】
前記防水材料としては、防水性を有するものであれば特に限定されず、例えば、樹脂やゴムから成る防水シート;織物や編物などの布帛に樹脂やゴムを含浸させた防水布帛;織物や編物などの布帛と、樹脂やゴムからなるシートを積層した防水積層体などが挙げられる。防水積層体は、着用者の肌触りを良くできることから、織物や編物が裏地として積層されていることが好ましい。これらの中でも、本発明の防水通音フードを構成する防水材料としては、表地に織物を主体とし、防水透湿膜と裏地を積層した防水材料が好適である。
【0056】
なお、前記防水シートや防水布帛に用いられる樹脂やゴムとしては、ポリウレタン樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、合成ゴム、天然ゴム、含フッ素系樹脂などが挙げられる。
【0057】
また、前記織物や編物を構成する繊維としては、天然繊維、合成繊維のいずれであってもよい。前記天然繊維としては、例えば、綿、麻などの植物性繊維、絹、羊毛その他の獣毛などの動物性繊維などを挙げることができ、前記合成繊維としては、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維などを挙げることができる。特に、着衣製品などに使用する場合には、しなやかさ、強度、耐久性、コスト、軽量性などの観点から、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維などが好ましい。
【0058】
また、前記織物や編物などの布帛と、樹脂やゴムからなるシートを積層した防水積層体としては、防水積層体を構成する防水シートとして、防水透湿性シートを使用することが好ましい態様である。防水透湿性シートとは、「防水性」と「透湿性」とを有する可撓性シートである。すなわち前記防水積層体に、上記「防水性」に加えて「透湿性」を付与することができる。例えば、着用者の人体から発生する汗の水蒸気が防水積層体を透過して外部に発散されるため、着用時の蒸れ感を防ぐことが可能になる。ここで、「透湿性」とは、水蒸気を透過する性質であり、例えば、JIS L 1099 B−2法により測定される透湿度で、50g/m2・h以上、より好ましくは100g/m2・h以上の透湿性を有することが望ましい。
【0059】
前記防水透湿性シートとしては、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂などの親水性樹脂フィルムや、ポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、含フッ素系樹脂、撥水処理を施したポリウレタン樹脂などの疎水性樹脂からなる多孔質フィルム(以下、単に「疎水性多孔質フィルム」という場合がある。)を挙げることができる。ここで、「疎水性樹脂」とは、樹脂を用いて滑らかな平坦な板を成形し、斯かる板の表面に置かれた水滴の接触角が60度以上(測定温度25℃)、より好ましくは、80度以上の樹脂を意味する。
【0060】
前記疎水性多孔質シートは、内部に細孔(連続気孔)を有する多孔質構造によって透湿性を維持しつつ、シート基材を構成する疎水性樹脂が、該細孔内への水の浸入を抑制し、シート全体として防水性を発現する。これらの中でも、前記防水透湿性シートとして、含フッ素系樹脂からなる多孔質フィルムが好適であり、多孔質PTFEフィルムがより好適である。
【0061】
本発明の防水通音フードに備えられる防水通音手段の形状や大きさおよび取り付け個数は特に限定されず、使用する防水通音膜、保護層および保持部材に応じて適宜変更すればよい。例えば、防水通音膜として多孔質PTFEフィルムを使用し、カシメ筒部の内径が9mmの保持部材を用いる場合には、防水通音手段の取り付け個数は1個以上6個以下が好ましい。
【0062】
他の態様
以下、図6および図7を参照して、本発明の防水通音フードの他の態様として、保持部材が用いられていない態様について説明する。図6は防水通音手段が保持部材を有さない態様の防水通音フードを示す斜視図である。図7は図6に示す防水通音フードの側面図である。
【0063】
本態様の防水通音フードでは、防水通音手段10は、保持部材を有しておらず、防水通音膜11のみ、あるいは防水通音膜11に保護層12をラミネートしたものから構成されている。そして、当該防水通音手段10は、防水フード1を構成する防水材料2に形成された通音用の開口2aを塞ぐように取り付けられている。防水通音手段10を取り付ける方法は特に限定されず、例えば、防水通音膜11および保護層12を、所望の大きさに裁断した後、通音用の開口2aを塞ぐように、防水材料2に対して縫着あるいは融着すればよい。
【0064】
防水通音膜または積層防水通音膜と、防水材料との縫着は、ミシンなどを用いて行うことができる。縫着に使用する縫製糸としては、綿、絹、麻、ポリノジック、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ビニロン樹脂、ポリウレタン樹脂などを単独または混合したいずれの材質を用いてもよいが、強度、耐熱性などの観点から、ポリアミド樹脂若しくはポリエステル樹脂を用いるのが好ましい。前記縫製糸の太さは、縫着する積層体の厚さと要求される製品強度に応じて適宜調整すれば良い。縫着方法は、1本または複数の糸を使用して縫着する方法であれば特に制限されないが、ステッチ形式としては、本縫い、単環縫い、二重環縫いなどを適宜用いて、直線状、曲線状、ジグザグ状などに縫製したものを挙げることができる。
【0065】
また、防水通音膜または防水通音膜と支持体との積層体の融着は、例えば、ホットメルト樹脂からなるシート(以下、単に「ホットメルトシート」と称する場合がある。)を用いて間接的に融着する方法などを挙げることができる。前記ホットメルトシートとしては、例えば、ジャパンゴアテックス社製の「ゴアシーム(登録商標)Sheet Adhesive」を挙げることができる。また、ホットメルトシートのホットメルト樹脂としては、後述する目止めテープのホットメルト樹脂層に使用するものと同一のものを用いることができ、ホットメルトシートを用いて融着加工する条件としては、目止めテープを圧着するのと同一の条件を採用できる。
【0066】
また、図1に示すように、前記防水通音膜または積層防水通音膜を縫着若しくは融着した部分には、目止め処理が施されることが好ましい。目止め処理を施すことによって、防水性や、得られる防水通音フードの強度をより向上させることができる。
【0067】
目止め処理方法は、縫着部若しくは融着部について防水性を確保できる方法であれば特に制限されない。例えば、防水通音膜または積層防水通音膜と、防水材料とを縫着する場合、針穴部分を樹脂で塞ぐ方法が、高い防水性を達成できることから好ましい。針穴部分を樹脂で防ぐ方法としては、縫着部に樹脂を塗布したり、テープ状の樹脂(目止めテープ)を接着または融着する方法などが挙げられるが、目止めテープによる方法が目止め処理部の防水耐久性に優れるためより好ましい。また、防水通音膜または積層防水通音膜と、防水材料とを融着させる場合、得られる防水通音フードの強度が低くなるので、斯かる融着部を目止めテープなどを用いて目止め処理することにより、得られる防水通音フードの強度が向上する。
【0068】
本発明の防水通音フードに用いられる、縫着部若しくは融着部に目止め処理を施すための目止めテープとしては、高融点樹脂の基材テープの裏面(縫着面側)に低融点の接着樹脂を積層してなるテープなどが適宜用いられ、好ましくは基材テープの裏面にホットメルト樹脂層が設けられた目止めテープを挙げることができる。前記基材テープの表面(外部に露出する面)には、ニットやメッシュなどが積層加工されていてもよい。前記目止めテープとしては、例えば、基材テープにポリウレタン樹脂フィルム、接着樹脂にポリウレタンホットメルト樹脂を用いたサン化成社製の「T−2000」、「FU−700」などの目止めテープ、日清紡績社製の「MF−12T2」、「MF−10F」などの目止めテープ、基材テープに多孔質PTFEフィルム、接着樹脂にポリウレタンホットメルト樹脂を用いたジャパンゴアテックス社製の「GORE−SEAMTAPE」などを適宜用いることができる。
【0069】
前記目止めテープのホットメルト樹脂としては、ポリエチレン樹脂またはそのコポリマー系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ブチラール系樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂またはその共重合体系樹脂、セルロース誘導体系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂などの各種樹脂を、単独あるいは2種以上の混合物として適宜用いることができるが、着衣製品に用いる場合は、ポリウレタン系樹脂が好ましい。
【0070】
前記目止めテープのホットメルト樹脂層の厚さは、25μm以上が好ましく、より好ましくは50μm以上であり、400μm以下が好ましく、より好ましくは200μm以下である。ホットメルト樹脂層が25μm未満では樹脂量が少なすぎて、針穴部分の糸の凹凸部を完全に塞ぐことが困難で、縫着部分の防水性が不十分となるおそれがある。一方、ホットメルト樹脂層が400μmを超える厚さとなると、テープを熱圧着する際、十分に溶解するまでに時間がかかり、生産性が低下したり、接着される防水通音手段に熱的なダメージが発生する可能性が生ずる。また、熱圧着時間を短縮すると、ホットメルト樹脂層が十分に溶解せず、十分な接着強度および防水性が得られなくなってしまう。
【0071】
これらの目止めテープは、テープのホットメルト樹脂層側に熱風をあて、樹脂を溶融させた状態で被接着体に加圧ロールで圧着する既存のホットエアシーラで融着加工することができる。例えば、クインライト電子精工社製の「QHP−805」や、W.L.GORE & ASSOCIATES社製の「5000E」などを使用することができる。また、短い縫着部をより簡便に融着加工するためには、市販の熱プレス機やアイロンで目止めテープを熱圧着してもよい。この際は、目止めテープを縫着部に重ねた状態でその上から熱と圧力を加える。前記目止めテープの熱圧着条件は、テープに使用されるホットメルト樹脂の軟化点、融着スピードなどによって適宜設定されればよい。
【実施例】
【0072】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
【0073】
評価方法
1.音響透過損失
音響透過損失は、ブリュエル・ケアー社製の「透過損失管キット(Type 4206−T)」、「PULSE 音響振動分析 ハードウェア(Type 3560−C)」を用いて測定した。測定条件は、透過損失管キットはスモールチューブ(内径29mm)を用いて、音源から発生させるノイズは120dbとした。測定は、透過損失管の音源が配設された端部と反対側の端部を閉じた状態と、開放した状態で行った。そして、ブリュエル・ケアー社製の解析ソフトウェア「PULSE LabShop Version 10.1.0.15」を用いて音響透過損失を求めた。
【0074】
2.防水性
防水通音フードの防水性は、人工降雨室を用いて、降水量50mm/h以上、30分間の条件で人工降雨試験を行い、目視にて漏水の有無を確認することにより評価した。
【0075】
3.洗濯耐久性
防水通音フードの洗濯耐久性は、洗濯処理を20回行った後に、上記防水性試験を行うことにより評価した。
なお、洗濯処理は、家庭用全自動洗濯機(松下電器産業社製、型番「NA−F70PX1」を用いて洗濯を行い、室温で24時間吊り干し乾燥する工程を1サイクルとした。洗濯は、水道水40リットルと洗濯用合成洗剤(花王社製、「アタック(登録商標)」)30gを使用して6分間行い、次いで、すすぎを2回、脱水を3分間行った。
【0076】
4.通音性
下記の製造例で得られたフードを付属した、またはフードが付属されていないレインジャケット(ジャパンゴアテックス社製、「R03レインジャケット」)を着用した状態の実験者の側方、すなわち、実験者の一方の耳に対向するように、当該実験者から2m離れた位置にベル式目覚まし時計(DAILY社製、「G07Y5G」)を設置した。そして、フードを被った状態または被っていない状態で、前記ベル式目覚まし時計を鳴らし、その際の実験者の耳近傍における騒音を騒音計(リオン社製、普通騒音計「NL−20」)により測定した。なお、フードを着用している場合には、騒音計の検知部をフード内部に配置した。
【0077】
積層防水通音膜
防水通音膜として、多孔質PTFEフィルム(ジャパンゴアテックス社製、厚み;8.5μm、目付;2.3g/m2、通気性(ガーレー数);0.032sec、空孔率;87.4%)、保護層として、ポリプロピレンメッシュ(新日石プラスト社製、「コンウェッド(登録商標)ネット(厚み;0.48μm、目付;100g/m2)」)を用いて、これらを熱ラミネート(170℃、5秒)することにより固着して、積層防水通音膜であるメッシュラミネートを作製した。得られたメッシュラミネートについて音響透過損失を測定した。結果を表1に示した。
【0078】
防水通音手段付き防水材料
上記で得られた積層防水通音膜であるメッシュラミネートを、防水材料(ジャパンゴアテックス社製、「EB FPL70WDH/6366−WR」)に取り付け、防水通音手段付き防水材料を作製した。メッシュラミネートの取り付けには、保持部材としてネットハトメ(モリト社製、カシメ筒部の内径:9mm、保護層:金網)を用い、取り付け個数は一個とした。なお、メッシュハトメの保持部とメッシュラミネートとの間隙は、シリコーン樹脂で封止した。
【0079】
すなわち、本実施例の防水通音手段の構成を、図5を参照して具体的に説明すると、前記布帛が防水材料2、メッシュラミネートを構成する多孔質PTFEフィルムが防水通音膜11、ポリプロピレンメッシュが保護層12aに該当する。また、メッシュハトメが保持部材20および雌リング24、メッシュハトメの有する金網が保護層12b、シリコーン樹脂がシール部材23に該当する。
【0080】
得られた防水通音手段付き防水材料について音響透過損失を測定した。また、比較例として前記防水材料、および、当該防水材料に内径10mmの開口を設けたものについても音響透過損失を測定した。各結果を表1に示した。
【0081】
【表1】

【0082】
防水フード
製造例1
防水材料として、防水積層体(ジャパンゴアテックス社製、「EB FPL70WDH/6366−WR」)を用いて、この防水積層体を縫製して防水フードを作製した。なお、縫着部は目止めテープ(ジャパンゴアテックス社製、「ゴアシーム(登録商標)テープ」)を用いて目止めした。得られた防水フードの着用者の右耳および左耳に面する部分に、それぞれ防水通音手段を取り付け防水通音フードを作製した。なお、防水通音手段の構成は、前記防水通音手段付き防水材料に用いられたものと同様とし、取り付け個数は、着用者の右耳および左耳に面する部分にそれぞれ一個ずつとした。
【0083】
得られた防水通音フードについて、防水性および洗濯耐久性の試験を行ったところ、いずれの試験においても漏水は見られなかった。また、防水通音フードについて通音性試験を行った。結果を表2に示した。
【0084】
製造例2
製造例1と同様の防水積層体、目止めテープを用いて防水フードを作製した。得られた防水フードについて、通音性試験を行った。結果を表2に示した。
【0085】
製造例3
製造例1と同様の防水積層体、目止めテープを用いて防水フードを作製した。得られた防水フードの着用者の右耳および左耳に面する部分に、それぞれ内径25mmの開口を形成し通音フードを作製した。得られた通音フードについて、通音性試験を行った。結果を表2に示した。
【0086】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明は、防水性および通音性に優れた防水フードに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】防水通音手段が保持部材を有する態様の防水通音フードを示す斜視図である。
【図2】図1に示す防水フードの側面図である。
【図3】保持部材の断面図である。
【図4】保持部材の斜視図である。
【図5】防水材料に固定された保持部材の断面図である。
【図6】防水通音手段が保持部材を有さない態様の防水通音フードを示す斜視図である。
【図7】図6に示す防水通音フードの側面図である。
【符号の説明】
【0089】
1:防水フード、2:防水材料、2a:通音用の開口、3:目止めテープ、10:防水通音手段、11:防水通音膜、12:保護層、20:保持部材、21:カシメ筒部、22:保持部、23:シール部材、24:雌リング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
防水材料から構成される防水通音フードであって、
前記防水材料の着用者の耳に面する部分の少なくとも一方に防水通音手段を備え、
前記防水通音手段が、音響透過損失が5db以下の防水通音膜を有することを特徴とする防水通音フード。
【請求項2】
前記防水通音膜が、少なくとも一層の多孔質ポリテトラフルオロエチレン層を有するものである請求項1に記載の防水通音フード。
【請求項3】
前記防水通音手段が、前記防水通音膜を保護する少なくとも一層の保護層を有する請求項1または2に記載の防水通音フード。
【請求項4】
前記保護層の少なくとも一層は、前記防水通音膜に固着されている請求項3に記載の防水通音フード。
【請求項5】
前記防水通音手段が、
カシメ筒部と、当該カシメ筒部の一端に形成された保持部とを有する保持部材を備え、
当該保持部材は、保持部に前記防水通音膜を保持し、カシメ筒部によって前記防水材料に固定されている請求項1〜4のいずれか一項に記載の防水通音フード。
【請求項6】
前記保持部材は、前記防水通音膜と保持部との間隙がシール部材によって封止されている請求項5に記載の防水通音フード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−70874(P2010−70874A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−238484(P2008−238484)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【出願人】(000107387)ジャパンゴアテックス株式会社 (121)
【Fターム(参考)】