説明

防火戸閉鎖装置

【課題】作業性と耐久性に優れた防火戸閉鎖装置を提供する。
【解決手段】この防火戸閉鎖装置10は、ガイドケース11と、電気解除用保持機構部21と、アーム接続部41と、連結部51とを備えている。電気解除用保持機構部21は、可動鉄芯22aの押引動作が行われるソレノイド22と、可動鉄芯22aの押引動作経路中に少なくとも1つが配置される複数の転動体23とを有し、連結部51は、複数の転動体23の少なくとも1つを収容可能な収容溝51cを有している。そして、複数の転動体23が収容溝51cに嵌り込んで略直列配置された状態のときには、電気解除用保持機構部21に対する連結部51の係止状態が実現し、ソレノイド22が駆動されて可動鉄芯22aが転動体23を押すことで、転動体23の収容溝51cへの嵌り込みが解除され、電気解除用保持機構部21に対する連結部51の係止状態が解除される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防火戸閉鎖装置に係り、特に、ソレノイドへの電流の印加(又は遮断)もしくは人為的な閉鎖力によって開放状態にある防火戸を閉鎖状態とすることができる防火戸閉鎖装置の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ビルや公共施設等の建造物には、火災発生等の緊急時において建造物内の火災や煙の拡大を防止するために、防火戸が設置されている。この種の防火戸には、一般的に防火戸閉鎖装置が設置されており、常には閉鎖方向の力が働く防火戸を固定保持することによって防火戸の開放状態が維持されている。一方、緊急時には防火戸閉鎖装置が有するソレノイドへの通電もしくは人為的な閉鎖力によって防火戸の固定が解除され、防火戸は閉鎖されるように構成されている。
【0003】
このような従来の防火戸閉鎖装置としては、例えば、下記特許文献1に開示のものが知られている。従来の防火戸閉鎖装置の構造について、図面を用いて説明する。図16は、従来の防火戸閉鎖装置を備える防火戸の全体構成を示した上面図であり、防火戸の取付構造を示している。また、図17は、図16の側面図であり、図18は、従来の防火戸閉鎖装置の構造を説明するための要部断面図である。
【0004】
防火戸103は、戸枠101に対してヒンジ102を介して開閉自在に設置されている。そして、図17においてより詳細に示されるように、従来の防火戸閉鎖装置110は、戸枠101の梁の部分に設置されている。一方、防火戸103の側には防火戸103に対して閉鎖方向の力を及ぼすためのドアクローザ115が設置されている。このドアクローザ115と防火戸閉鎖装置110とがリンク機構112を介してリンク接続されることにより、ドアクローザ115の力が防火戸103に伝達されることになる。
【0005】
図18に示されるように、防火戸閉鎖装置110は、その内部に摺動自在なスライドフック118を備えている。スライドフック118は、防火戸閉鎖装置110内をスムーズに移動できるように、フックの略中央部分に螺合されるボルト119を介してスライド用コマ120を備えている。また、スライド用コマ120の下端側にはボルト119を介してリンク取付軸121が併設されており、このリンク取付軸121とリンク機構112とが接続されることによって、スライドフック118には、常にドアクローザ115からの力が矢印(β)で示す方向に及ぼされている。なお、図16において図示するリンク機構112は、いわゆるパンタグラフ構造を有しており、ドアクローザ115から及ぼされる駆動力を、リンク取付軸121を介してスムーズにスライドフック118に伝達できるようになっている。
【0006】
さらに、防火戸閉鎖装置110の内部には、図19及び図20に示されるような係止機構130が設置されている。なお、図19は、従来の防火戸閉鎖装置の内部構造を説明するための上面図であり、図20は、図19のA−A断面を示す縦断面側面図である。
【0007】
係止機構130は、主な構成として、ソレノイド131を用いて構成される駆動機構と、この駆動機構によって傾動自在とされ、スライドフック118に係り止めされる作動板140とを有している。ソレノイド131は、駆動力を伝達するためのプランジャ132と、このプランジャ132の突出方向とは逆方向にプランジャ132を引き戻すためのプランジャスプリング133とを備えており、ソレノイド131に対する通電によってプランジャ132は突出し、またソレノイド131に対する通電の遮断によってプランジャ132の引き戻しがなされる。
【0008】
プランジャ132の突出方向には、断面コ字形となる一対のリンク134,135を用いたトグルリンクが設けられており、上側のリンク134の上端はトグルピン136によりリンク軸受板によって防火戸閉鎖装置110の外枠に固定され、また、一対のリンク134,135を連結する中央のトグルピン137の部分には、トグルスプリング138が組み込まれ、図20に示すように、トグルリンクが直線状態となるようにスプリング力を加えている。さらに、上側のリンク134には、プランジャ132の打撃を受ける当接片139が設置されている。
【0009】
このトグルリンクに続いて作動板140が設置されており、作動板140の外郭形状は舟形に構成されている。この作動板140は、一端側をトグルピン141により軸支されており、他端側には軸ピン142を介して2つのローラ143が設置されている。また、作動板140の取り付けは、取付ねじ144とスプリング145とによって行われており、スプリング145が受容可能なスプリング駆動の範囲内で、作動板140は浮動状態を維持しつつ傾動自在となっている。なお、軸ピン142に設置される2つのローラ143は、作動板140のスムーズな傾動動作を補助するために設置されている。
【0010】
また、作動板140の上側には支点軸146が分離設置されており、この支点軸146は、ソレノイド131の通電によるプランジャ132の打撃によってトグルリンクが傾動したとき、あるいは外部からの閉鎖力が加わったときに、傾動する作動板140の当接を受けて傾動動作の支点となる役割を担っている。
【0011】
したがって、プランジャ132が駆動されていないとき、及び、外部から防火戸103に対して閉鎖方向の外力が加えられていないときには、作動板140は略水平位置に保持されるので、作動板140に設けられた軸ピン142はスライドフック118の先端部に形成されたフック溝118aに係止され、防火戸103の開放状態は維持されることになる(図20参照)。
【0012】
一方、プランジャ132が駆動されて作動板140が傾動したとき、及び、外部から防火戸103に対して閉鎖方向の外力が加えられ、作動板140に設置されるスプリング145のバネ力に抗して作動板140が傾動したときには、作動板140に設けられた軸ピン142はフック溝118aとの係止を解かれるので、スライドフック118は図21に示す矢印(γ)の方向に移動して、防火戸103は閉鎖状態となる(図21参照)。
【0013】
つまり、従来の防火戸閉鎖装置110は、火災発生等の緊急時においてはソレノイド131の通電によって自動的に防火戸103の閉鎖を行うことができる。また、防火戸103に閉鎖方向の力を加えることによっても防火戸閉鎖装置110による防火戸103の固定を解除することができるので、従来の防火戸閉鎖装置110によれば、人為的にも防火戸103の閉鎖を行うことができるという利点を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】実開昭60−47544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、従来の防火戸閉鎖装置110は、多くの問題を有するものであった。
【0016】
まず、従来の防火戸閉鎖装置110は、本来緊急時にのみ作動させるものであるにも関わらず、手動による防火戸103の開閉動作にも用いられる構造のため、繰り返し使用されることによって係止機構130やフック溝118aが損傷し易いという問題があった。このことは、部品取り替え頻度の増加による維持コストの増加や人件費等のメンテナンス費用の増大を招いてしまうものであった。
【0017】
また、フック溝118aの摩耗は、スライドフック118の固定保持力の低下をもたらすものであり、防火戸103の開放状態を維持することができなくなってしまうという問題をも発生させるものである。
【0018】
さらに、従来の防火戸閉鎖装置110はトグルリンクを用いる構成であったが、このトグルリンクはトグルの角度を微調整することが非常に困難であるという問題を有するものであった。したがって、調整作業を必要とすることのない新たな防火戸閉鎖装置を提供することが求められていた。
【0019】
本発明は、上述した課題の存在に鑑みて成されたものであって、その目的は、調整作業を必要とせず、しかも耐久性に優れた全く新しい防火戸閉鎖装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照番号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0021】
本発明に係る防火戸閉鎖装置(10)は、戸枠(101)に対して回動自在に配置される防火戸(103)に対して閉鎖方向の力を及ぼすアーム(100)と接続し、前記アーム(100)を固定保持することによって前記防火戸(103)を開放状態とし、前記アーム(100)の固定を解除することによって前記防火戸(103)を閉鎖状態とする防火戸閉鎖装置(10)であって、前記戸枠(101)に設置されるガイドケース(11)と、前記ガイドケース(11)に固定設置される電気解除用保持機構部(21)と、前記アーム(100)と接続されるとともに前記ガイドケース(11)に沿って移動自在に設置されるアーム接続部(41)と、前記電気解除用保持機構部(21)及び前記アーム接続部(41)のそれぞれと係脱自在であるとともに、前記ガイドケース(11)に沿って移動自在に設置される連結部(51)と、を備え、前記電気解除用保持機構部(21)は、印加される電流に応じて可動鉄芯(22a)の押引動作が行われるソレノイド(22)と、前記可動鉄芯(22a)の押引動作経路中に少なくとも1つが配置される複数の転動体(23)と、を有し、前記連結部(51)は、前記複数の転動体(23)の少なくとも1つを収容可能な収容溝(51c)を有し、前記複数の転動体(23)が前記収容溝(51c)に嵌り込んで略直列配置された状態のときには、前記電気解除用保持機構部(21)に対する前記連結部(51)の係止状態が実現し、前記ソレノイド(22)が駆動されて可動鉄芯(22a)が突出し、前記複数の転動体(23)のうちの少なくとも1つを押すことで、前記複数の転動体(23)による前記収容溝(51c)への嵌り込みが解除され、前記電気解除用保持機構部(21)に対する前記連結部(51)の係止状態が解除されることを特徴とするものである。
【0022】
本発明に係る防火戸閉鎖装置(10)では、前記複数の転動体(23)が前記ソレノイド(22)の可動鉄芯(22a)による押圧によって略直列配置状態を乱されたときに、前記複数の転動体(23)が略直列配置状態に復帰することを妨げるための復帰防止ピン(26)が、前記ソレノイド(22)の可動鉄芯(22a)によって押圧を受けた転動体(23)の元の配置位置近傍に突出するように構成することができる。
【0023】
また、本発明に係る防火戸閉鎖装置(10)において、前記電気解除用保持機構部(21)は、前記ソレノイド(22)と電源との間に設置されたスイッチ装置(25)を有しており、前記スイッチ装置(25)は、前記電源から前記ソレノイド(22)に対して電流が印加されていないときには、前記連結部(51)に設置された押圧部(51d)からの押圧を受けることでオン状態となっており、前記電源から前記ソレノイド(22)に対して電流が印加されて前記ソレノイド(22)の可動鉄芯(22a)が駆動され、前記電気解除用保持機構部(21)に対する前記連結部(51)の係止状態が解除されたときには、前記連結部(51)に設置された押圧部(51d)からの押圧が解除されることでオフ状態となるようにすることができる。
【0024】
さらに、本発明に係る防火戸閉鎖装置(10)において、前記アーム接続部(41)と前記連結部(51)とは、それぞれ開口孔(43a,51a)を有しており、前記アーム接続部(41)が有する開口孔(43a)と前記連結部(51)が有する開口孔(51a)とが重畳したときに、2つの開口孔(43a,51a)の両方に跨って少なくとも1つの転動体(55)が嵌り込むことで、前記アーム接続部(41)と前記連結部(51)との係合状態が実現されることとすることができる。
【0025】
またさらに、本発明に係る防火戸閉鎖装置(10)では、前記電気解除用保持機構部(21)に対する前記連結部(51)の係止状態が解除され、前記アーム接続部(41)と前記連結部(51)とが係合したまま前記ガイドケース(11)に沿って移動したときに、前記アーム接続部(41)と前記連結部(51)とを係合する少なくとも1つの転動体(55)が嵌入可能な開口部(61a)が形成されており、当該開口部(61a)に対して前記転動体(55)が嵌り込むことで、前記アーム接続部(41)と前記連結部(51)との係合状態が解除されることとすることができる。
【0026】
さらにまた、本発明に係る防火戸閉鎖装置(10)において、前記開口部(61a)は、外力を受けたときに傾動可能な傾動テーブル(61)に形成されていることとすることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、調整作業を必要とせず、しかも耐久性に優れた全く新しい防火戸閉鎖装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本実施形態に係る防火戸閉鎖装置を備える防火戸の全体構成を示した上面図である。
【図2】図1で示した防火戸の側面図である。
【図3】本実施形態に係る防火戸閉鎖装置の上面図である。
【図4】本実施形態に係る防火戸閉鎖装置の底面図である。
【図5】本実施形態に係る防火戸閉鎖装置の縦断面側面図である。
【図6】図5におけるB−B断面を示す図である。
【図7】図5におけるC−C断面を示す図である。
【図8】図5におけるD−D断面を示す図である。
【図9】本実施形態に係る防火戸閉鎖装置が備える電気解除用保持機構部及び連結部の動作を説明するための図である。
【図10】本実施形態に係る防火戸閉鎖装置の動作方法を説明するための要部縦断面側面図である。
【図11】本実施形態に係る防火戸閉鎖装置の動作方法を説明するための要部縦断面側面図である。
【図12】本実施形態に係る防火戸閉鎖装置の動作方法を説明するための要部縦断面側面図である。
【図13】本実施形態に係る防火戸閉鎖装置の動作方法を説明するための要部縦断面側面図である。
【図14】本実施形態に係る防火戸閉鎖装置の動作方法を説明するための要部縦断面側面図である。
【図15】本実施形態に係る防火戸閉鎖装置の動作方法を説明するための要部縦断面側面図である。
【図16】従来の防火戸閉鎖装置を備える防火戸の全体構成を示した上面図であり、防火戸の取付構造を示している。
【図17】図16の側面図である。
【図18】従来の防火戸閉鎖装置の構造を説明するための要部断面図である。
【図19】従来の防火戸閉鎖装置の内部構造を説明するための上面図である。
【図20】図19のA−A断面を示す縦断面側面図である。
【図21】図20で示した従来の防火戸閉鎖装置が備える作動板が傾動した状態を示す縦断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。また、上述の背景技術において説明した部材と同一又は類似する部材については、同一符号を付して説明を省略する。
【0030】
図1は、本実施形態に係る防火戸閉鎖装置を備える防火戸の全体構成を示した上面図であり、また、図2は、図1で示した防火戸の側面図である。図1及び図2によって、防火戸103及び本実施形態に係る防火戸閉鎖装置10の取付構造が示されている。
【0031】
図1及び図2に示すように、防火戸103は、戸枠101に対してヒンジ102を介して回動自在に設置されている。一方、本実施形態に係る防火戸閉鎖装置10は、戸枠101内部に埋め込み設置されている。そして、これら防火戸103と防火戸閉鎖装置10とが棒板状のアーム100によってリンク接続されている。
【0032】
防火戸103とアーム100とは、ドアクローザ115を介して接続されており、ドアクローザ115が及ぼす閉鎖方向の駆動力、すなわち、アーム100を防火戸閉鎖装置10の方向へ押しつける力を及ぼすことによって、防火戸103には、常に戸枠101の方向に回動するように閉鎖方向の力が加わるよう構成されている。また、アーム100とドアクローザ115との接続箇所は移動しないように構成されており、アーム100はドアクローザ115との接続箇所を回動中心として回動できるようになっている。
【0033】
一方、戸枠101側に設置された本実施形態に係る防火戸閉鎖装置10は、常にはアーム100を固定保持することによって防火戸103を開放状態とし、火災発生等の緊急時や防火戸103に閉鎖方向の力が加わったときには、アーム100の固定を解除することによって防火戸103を閉鎖状態とすることができるようになっている。特に、アーム100と防火戸閉鎖装置10との接続箇所はスライド移動できるように構成されており、防火戸103が開放状態のときには防火戸閉鎖装置10によってアーム100のスライド移動が規制され、防火戸103が閉鎖状態に移行するに際しては、防火戸閉鎖装置10によるアーム100の規制が解除され、防火戸閉鎖装置10に対するアーム100のスライド移動とともに防火戸103が閉鎖方向に移動することができるようになっている。つまり、防火戸103を開放状態とするときには、防火戸閉鎖装置10によるアーム100の固定保持力がドアクローザ115の駆動力よりも大きくなるように構成されており、防火戸103を閉鎖状態とするときには、防火戸閉鎖装置10によるアーム100の固定保持力がドアクローザ115の駆動力よりも小さくなるように、あるいは防火戸閉鎖装置10によるアーム100の固定保持力が解除されるように構成されている。このようにして、防火戸103は開閉自在となっている。
【0034】
そこで次に、上述した本実施形態に係る防火戸閉鎖装置10の具体的な構成について、図3〜図9を参照図面に加えて説明することとする。ここで、図3は、本実施形態に係る防火戸閉鎖装置の上面図であり、図4は、本実施形態に係る防火戸閉鎖装置の底面図であり、図5は、本実施形態に係る防火戸閉鎖装置の縦断面側面図である。また、図6は、図5におけるB−B断面を、図7は、図5におけるC−C断面を、図8は、図5におけるD−D断面を示している。さらに、図9は、本実施形態に係る防火戸閉鎖装置が備える電気解除用保持機構部及び連結部の動作を説明するための図である。
【0035】
本実施形態に係る防火戸閉鎖装置10は、戸枠101に設置されるガイドケース11と、このガイドケース11に固定設置される電気解除用保持機構部21と、アーム100と接続されるとともにガイドケース11に沿って移動自在に設置されるアーム接続部41と、電気解除用保持機構部21及びアーム接続部41のそれぞれと係脱自在であるとともに、ガイドケース11に沿って移動自在に設置される連結部51とを備えて構成されている。
【0036】
ガイドケース11は、防火戸閉鎖装置10の外郭を構成する部材であり、防火戸103が開放状態から閉鎖状態となる際に駆動されるアーム100のストロークをカバーできるように、細長い立方体形状を有して構成されている。また、ガイドケース11は、その内部に電気解除用保持機構部21やアーム接続部41、連結部51等の部材を収納できるように、内部に空洞を有して構成されている。さらに、アーム接続部41や連結部51といった部材は、ガイドケース11の内部で移動自在に設置されることから、ガイドケース11は、強度の高い金属材料によって構成されている。
【0037】
アーム接続部41は、アーム接続部本体42と、アーム接続部本体42の一端側に接続されたスライドバー43とを有している。
【0038】
アーム接続部本体42には、アーム100とアーム接続部本体42との接続を実現するアーム接続手段44が設置されている。アーム接続手段44は、アーム接続部本体42の長手方向に沿って移動可能であるとともに、アーム接続部本体42における長手方向の任意の箇所で固定可能な部材である。このアーム接続手段44は、下方側の端部がガイドケース11の底面から突出した構成を有しており、この下方側突出端には、アーム100をアーム接続部本体42に回動自在な状態で固定させるための止めねじが設置されている。したがって、アーム接続手段44を用いることで、アーム接続部本体42に対するアーム100の位置決めができるので、この位置調整によって防火戸103の開度を調整することが可能となっている。
【0039】
また、アーム接続部41が有するスライドバー43は、アーム接続部本体42の端部に接続されるとともに、後述する電気解除用保持機構部21及び連結部51の設置された方向に延びる棒板状の部材である。スライドバー43の先端部近傍には、後述する連結部51と係合するための開口孔43aが形成されている。
【0040】
一方、ガイドケース11の内部に固定設置される電気解除用保持機構部21は、ソレノイド22と、複数の転動体として縦配置された3個のローラ23と、3個のローラ23を収容する収容部24と、スイッチ装置25とを有して構成されている。
【0041】
図5に示されるように、ソレノイド22は、3個のローラ23を収容する収容部24と、スイッチ装置25とによって挟まれた位置に配置されている。本実施形態のソレノイド22は、印加される電流に応じて可動鉄芯22aの押引動作が行われるように構成されている。このソレノイド22では、電流が印加されていない状態においては、3個のローラ23に対して可動鉄芯22aが退避する位置となるように構成されている(図9中の分図(a)の状態。)。また、ソレノイド22に電流が印加されると、可動鉄芯22aは3個のローラ23の設置方向に突出し、3個のローラ23のうち中央に配置されたローラ23を押すことができるように構成されている(図9中の分図(b)〜(c)の状態。)。
【0042】
また、電気解除用保持機構部21が有する3個のローラ23は、初期状態(図9中の分図(a)の状態。)において収容部24内で略直列に配置されている。そして、3個のローラ23のうち中央に配置されたローラ23は、可動鉄芯22aの押引動作経路中に配置されるとともに、可動鉄芯22aの設置位置とは逆側からコイルバネ24aによって弾性力を付与されている。ただし、このコイルバネ24aの弾性力は、可動鉄芯22aの押圧力よりも小さくなるように調整されている。したがって、3個のローラ23が略直列配置された初期の状態から、可動鉄芯22aが突出して中央に配置されたローラ23が押されると、可動鉄芯22aの押圧力がコイルバネ24aの弾性力に勝るので、3個のローラ23は、ソレノイド22の可動鉄芯22aによる押圧によって略直列配置状態を乱されることとなる。
【0043】
以上のように構成されるアーム接続部41と電気解除用保持機構部21との間には、電気解除用保持機構部21及びアーム接続部41のそれぞれと係脱自在であるとともに、ガイドケース11に沿って移動自在に設置される連結部51が設置されている。
【0044】
本実施形態に係る連結部51は、アーム接続部41が有するスライドバー43が設置された側の端部に開口孔51aを有しており、この開口孔51aは、スライドバー43が有する開口孔43aと略同一の径を有して形成されている。また、初期状態(図9中の分図(a)の状態。)において、アーム接続部41が有するスライドバー43の開口孔43aと、連結部51が有する開口孔51aとは、ちょうど重なるように構成されている。そして、2つの開口孔43a,51aが重畳したときに、2つの開口孔43a,51aには、両方の孔に跨って1つのスチールボール55が嵌り込むように構成されている。転動体であるスチールボール55が2つの開口孔43a,51a内に跨って嵌り込むことで、アーム接続部41と連結部51との係合状態が実現されることとなる。
【0045】
また、本実施形態に係る連結部51は、3個のローラ23が収容された収容部24を取り囲むように係止壁51bを備えている。また、この係止壁51bの内側には、3個のローラ23のうち外側に配置されたローラ23の少なくとも1つを収容できるように収容溝51cが形成されている。そして、本実施形態では、初期状態(図9中の分図(a)の状態。)において、上述したように3個のローラ23が収容部24内で略直列に配置されているときには、3個のローラ23のうち外側に配置された2個のローラ23が2つの収容溝51cのそれぞれに嵌り込むことになる。またこのとき、略直列に配置された3個のローラ23のうち、中央に位置するローラ23は、コイルバネ24aからの弾性力を受けるとともに可動鉄芯22aからの押圧力は受けないので、略直列配置された3個のローラ23と収容溝51cとは、確実に係止状態を維持することとなる。したがって、固定配置された電気解除用保持機構部21の収容部24に対して連結部51が係止された状態が実現する。
【0046】
電気解除用保持機構部21の収容部24に対して連結部51が係止された状態(図9中の分図(a)の状態。)から、ソレノイド22が駆動されて可動鉄芯22aが突出し、3個のローラ23のうち中央に位置するローラ23が押されると、3個のローラ23の略直列配置状態が乱されることになるので、連結部51の係止壁51bの内側に形成された収容溝51cに対するローラ23の嵌り込みが解除されることになる。その結果、電気解除用保持機構部21に対する連結部51の係止状態も解除されることとなる。
【0047】
なお、3個のローラ23のうち中央に位置するローラ23の下方の位置には、この中央のローラ23に対して常時上方向の押圧力を及ぼす復帰防止ピン26が設置されている。この復帰防止ピン26は、3個のローラ23がソレノイド22の可動鉄芯22aによる押圧によって略直列配置状態を乱されたときに、ソレノイド22の可動鉄芯22aによって押圧を受けた中央のローラ23の元の配置位置近傍に突出することで、3個のローラ23が略直列配置状態に復帰することを妨げる機能を発揮する部材である。
【0048】
復帰防止ピン26が突出したままの状態である場合、3個のローラ23は、図9中の分図(c)で示す状態のまま動きを規制されることになるので、電気解除用保持機構部21の収容部24に対する連結部51の係止は解除されたままとなる。ただし、復帰防止ピン26には、軸体形状の略中央部に2つの鍔部が形成されており、この鍔部には、傾動動作を行うことのできる解除プレート27が嵌り込んでいる。したがって、この解除プレート27を本実施形態に係る防火戸閉鎖装置10の底面側から押すことで、復帰防止ピン26の突出状態が解除されることとなる。復帰防止ピン26の突出状態が解除され、且つ、連結部51の収容部24に形成された収容溝51cが3個のローラ23の設置位置に移動すると、中央に位置するローラ23がコイルバネ24aからの弾性力を受けることで外側の2個のローラ23が押し出されて2つの収容溝51c内にそれぞれ嵌り込み、3個のローラ23が略直列配置状態に復帰することができる。これにより、電気解除用保持機構部21の収容部24に対する連結部51の係止状態が、再度実現する。
【0049】
また、連結部51には、棒状の軸体形状を有する押圧部51dが設置されている。この押圧部51dは、電気解除用保持機構部21が設置された側に対して延びるように設置されており、電気解除用保持機構部21が有するスイッチ装置25のスイッチノブに対して押圧したり退避したりできるようになっている。すなわち、ソレノイド22に対して電流が印加されていないときには、電気解除用保持機構部21に対して連結部51が係止状態となっており、このときには、押圧部51dの軸端部がスイッチ装置25のスイッチノブを押すことで、スイッチ装置25はオン状態となっている(図5の状態。)。一方、ソレノイド22に対して電流が印加されると、可動鉄芯22aが突出してローラ23を押すことで電気解除用保持機構部21に対する連結部51の係止状態が解除されるので、連結部51は電気解除用保持機構部21から離れる方向にスライド移動することになる。すると、この瞬間に、押圧部51dの軸端部はスイッチ装置25のスイッチノブから離れることとなる。つまり、本実施形態では、ソレノイド22が有する可動鉄芯22aが突出して3個のローラ23の略直列配置状態が乱され、電気解除用保持機構部21と連結部51との係止状態が解除された瞬間に、スイッチ装置25がオフ状態となるように構成されている。なお、本実施形態のスイッチ装置25は、不図示の電源とソレノイド22との間に設置されて不図示の電源とソレノイド22とを電気的に接続するものである。したがって、スイッチ装置25がオフ状態となると、ソレノイド22への通電も遮断されることとなる。かかる構成は、本実施形態に係る防火戸閉鎖装置10が一瞬の通電で動作可能であり、また、動作後(すなわち、火災等の異常発生時)に引き続きの通電を必要としないものであることを示している。したがって、本実施形態に係る防火戸閉鎖装置10は、異常時であっても確実に動作が可能な信頼性の高い装置であるということができる。
【0050】
さらに、本実施形態では、アーム接続部41が有するスライドバー43の開口孔43aと、連結部51が有する開口孔51aとがちょうど重なる位置の下方近傍に対して、外力を受けたときに傾動する傾動テーブル61が設置されている。この傾動テーブル61は、複数のコイルバネ62の弾性力によって常には水平状態を維持しているが、複数のコイルバネ62の弾性力よりも大きな力が加わった場合には、防火戸閉鎖装置10の下方に向けて傾くように構成されている。また、傾動テーブル61には、上述したスチールボール55が嵌入可能な開口部61aが形成されており、当該開口部61aに対してスチールボール55が嵌り込むことで、アーム接続部41と連結部51との係合状態が解除されるように構成されている。したがって、電気解除用保持機構部21に対する連結部51の係止状態が解除され、アーム接続部41と連結部51とが係合したままガイドケース11に沿って移動したときには、アーム接続部41と連結部51とを係合するスチールボール55が傾動テーブル61に形成された開口部61aに対して嵌り込むことになるので、アーム接続部41と連結部51との係合状態が解除され、アーム接続部41が防火戸103を閉鎖する方向にスライド移動するようになっている。なお、この傾動テーブル61が有する複数のコイルバネ62の弾性力は、本実施形態に係る防火戸閉鎖装置10が有するその他の部材が及ぼす弾性力や押圧力よりも大きくなるように設定されているので、防火戸103に対して人が加える力によってのみ傾動テーブル61の傾動動作が実現されるように構成されている。
【0051】
以上、本実施形態に係る防火戸閉鎖装置10の具体的な構成について説明を行った。次に、本実施形態に係る防火戸閉鎖装置10の動作方法についての説明を、図9〜図15を用いて行う。なお、図10〜図15は、本実施形態に係る防火戸閉鎖装置の動作方法を説明するための要部縦断面側面図である。
【0052】
[通電による防火戸の閉鎖動作]
図10及び図9中の分図(a)は、防火戸103が開放された状態のときの防火戸閉鎖装置10の様子を示している。この初期状態において、本実施形態に係る防火戸閉鎖装置10には、ドアクローザ115からの力がアーム100を介してアーム接続部41に対して伝達されており、アーム接続部41を電気解除用保持機構部21及び連結部51から遠ざける方向で常に力が加わっている。しかしながら、本実施形態に係る防火戸閉鎖装置10では、3個のローラ23が略直列配置された状態にあるので、3個のうちの2個のローラ23が収容溝51c内に嵌り込み、ガイドケース11に固定設置された電気解除用保持機構部21に対して連結部51が係止された状態となっている。また、アーム接続部41と電気解除用保持機構部21とは、両部材がそれぞれ有する2つの開口孔43a,51aと、これら2つの開口孔43a,51aに嵌り込むスチールボール55の作用によって、アーム接続部41と連結部51との係合状態が実現されている。したがって、防火戸閉鎖装置10によって防火戸103が確実に開放して固定された状態となっている。
【0053】
以上の初期状態から、例えば火災等の異常が発生すると、不図示の電源からは、ソレノイド22に対して電流が印加されることとなる。すると、ソレノイド22が有する可動鉄芯22aが3個のローラ23側に向けて突出し、図9中の分図(b)から(c)の状態となるように、中央に位置するローラ23をコイルバネ24aの弾性力に抗しながら押圧し、略直列状態にあった3個のローラ23の配置状態を乱す。すると、収容溝51c内に嵌り込んでいた2個のローラ23は各収容溝51cから退避するので、電気解除用保持機構部21と連結部51との係合状態が解除されて連結部51がアーム接続部41の方向、すなわち、防火戸103を閉鎖する方向にスライド移動することとなる。なお、可動鉄芯22aが3個のローラ23側に向けて突出したときには、電気解除用保持機構部21と連結部51との係合状態が解除されると同時に押圧部51dによるスイッチ装置25が有するスイッチノブの押圧も解除されるので、ソレノイド22への通電が停止してソレノイド22の可動鉄芯22aは図9中の分図(c)の状態のように突出したまま停止することとなる。またこのとき、中央に位置するローラ23を底面側から押圧していた復帰防止ピン26がソレノイド22の可動鉄芯22aによって押圧を受けた中央のローラ23の元の配置位置近傍に突出するので、3個のローラ23が略直列配置状態に復帰することが妨げられる。
【0054】
電気解除用保持機構部21と連結部51との係合状態が解除されて連結部51がアーム接続部41の方向にスライド移動すると、図11に示すように、アーム接続部41と連結部51とを係合するスチールボール55が傾動テーブル61に形成された開口部61aに対して嵌り込むことになる。このときスチールボール55は、連結部51の開口孔51aと傾動テーブル61の開口部61aの両方に跨って嵌り込み、アーム接続部41が有するスライドバー43の開口孔43aから完全に退避した状態となる(図11参照)。したがって、アーム接続部41は完全にフリーの状態となるので、アーム100を介して伝達されるドアクローザ115からの力によって、アーム接続部41はスライド移動を続け、図11に示す状態から図12に示す状態へと移行することとなる。これにより、開放状態にあった防火戸103の固定保持が完全に解消され、防火戸103の閉鎖が実行されることとなる。
【0055】
なお、図12に示す状態で、人が防火戸103を開ける動作を行った場合には、アーム接続部41が連結部51の方向に移動し、アーム接続部41が連結部51を押すことになるが、このとき電気解除用保持機構部21は、復帰防止ピン26の作用によって図9中の分図(c)の状態を維持したままとなる。つまり、3個のローラ23は、収容溝51c内に嵌り込むことができないので、連結部51は電気解除用保持機構部21の収容部24に対して係止されることはなく、アーム接続部41が完全にフリーとなる状態は維持されることとなる。したがって、たとえ通電による防火戸の閉鎖動作が実行された後に人が防火戸103を開けたとしても、防火戸閉鎖装置10による防火戸103の固定保持は行われないので、防火戸103は常に閉鎖状態となるようにドアクローザ115からの力を受けることとなる。
【0056】
[通電後の復帰動作]
図12で示した状態から初期状態に復帰させるには、防火戸閉鎖装置10の底面側から解除プレート27を押すことで復帰防止ピン26の突出状態を解除すればよい。解除プレート27を押すことで復帰防止ピン26の突出状態を解除した状態が、図13に示されている。復帰防止ピン26の突出状態が解除されると、中央に位置するローラ23は、コイルバネ24aからの弾性力を受けることで3個のローラ23が略直列配置状態に復帰する方向に弾性力を受けることとなる。そして、この状態から人が防火戸103を開ける動作を行うと、図14に示すようにアーム接続部41が連結部51の方向に移動して連結部51を押すこととなる。アーム接続部41が連結部51を押すと、連結部51の開口孔51aと傾動テーブル61の開口部61aの両方に跨って嵌り込んでいたスチールボール55に対して押方向(つまり、水平方向)の力が加わり、その結果、スチールボール55は傾動テーブル61の開口部61aから乗り上げる形で斜め上方に押し出されることとなる。この斜め上方へのスチールボール55の移動の際、連結部51の開口孔51aの上方位置には、スライドバー43の開口孔43aが位置しているので、斜め上方へのスチールボール55の動きは妨げられることが無い。したがって、図14の状態からさらに防火戸103が開放方向に移動すると、スチールボール55はスライドバー43の開口孔43aと連結部51の開口孔51aとの両方に跨って嵌り込んで、アーム接続部41(スライドバー43)と連結部51との係合状態を実現することとなる。また、この動作と同時に、連結部51は電気解除用保持機構部21の方向へと移動しているので、連結部51は、図9中の分図(b)の状態から分図(a)の状態へと移動し、3個のローラ23の略直列配置状態への復帰と収容溝51cへの嵌り込みが行われ、電気解除用保持機構部21と連結部51との係止状態が実現されることとなる。以上の動作によって、本実施形態に係る防火戸閉鎖装置10は、図10及び図9中の分図(a)で示した初期状態に復帰することができる。
【0057】
[人力による防火戸の閉鎖動作]
本実施形態に係る防火戸閉鎖装置10では、ソレノイド22への通電を行うことなく、人が防火戸103を押すことによっても防火戸103の閉鎖動作を行うことができるようになっている。図10に示す初期状態から、アーム接続部41に対して連結部51から離れる方向に力が加わると、人の力は複数のコイルバネ62の弾性力よりも大きな力なので、アーム接続部41が有するスライドバー43の開口孔43aの内周面でスチールボール55を押すことにより、図15に示すように、その押圧力が傾動テーブル61を防火戸閉鎖装置10の下方に向けて傾かせるように作用することとなる。すると、スチールボール55はスライドバー43によって押し下げられるので、スチールボール55によるアーム接続部41(スライドバー43)の係合状態が解除される。これにより、アーム接続部41は完全にフリーの状態となるので、アーム100を介して伝達されるドアクローザ115からの力によって、アーム接続部41はスライド移動を続け、開放状態にあった防火戸103の固定保持が完全に解消され、防火戸103の閉鎖が実行されることとなる。
【0058】
[人力による閉鎖動作後の復帰動作]
人力によって防火戸103の閉鎖動作を行った場合には、再び人力によって防火戸103を開放すれば、アーム接続部41が図10に示す初期状態の位置に移動するので、アーム接続部41が有するスライドバー43の開口孔43aと、連結部51が有する開口孔51aとが重畳し、2つの開口孔43a,51aに跨ってスチールボール55が嵌り込むこととなる。すなわち、図15に示す状態から図10に示す初期状態に容易に復帰できることとなる。
【0059】
なお、本実施形態に係る防火戸閉鎖装置10では、スチールボール55やローラ23等といった硬度の高い金属材料を用いているので、耐久性に優れており、たとえ人力による防火戸103の開閉動作を繰り返し行ったとしても、従来技術の様に容易に破損したりすることはない。
【0060】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態には、多様な変更又は改良を加えることが可能である。
【0061】
例えば、本発明で用いられる転動体(ローラ23及びスチールボール55)については、上述した構成には限られず、ボールやローラ単体で構成したり、あるいは様々に組み合わせた構成を採用したりすることができる。
【0062】
また、本発明で用いられる弾性部材(コイルバネ24aやコイルバネ62)については、使用条件に応じてその弾性力を設定すればよい。したがって、上述した実施形態で例示した弾性部材の個数や弾性力等の条件については、任意に変更することができる。
【0063】
さらに、本発明は、防火戸103の開閉方向を問わずに適用できるものである。
【0064】
その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0065】
10 防火戸閉鎖装置、11 ガイドケース、21 電気解除用保持機構部、22 ソレノイド、22a 可動鉄芯、23 ローラ、24 収容部、24a コイルバネ、25 スイッチ装置、26 復帰防止ピン、27 解除プレート、41 アーム接続部、42 アーム接続部本体、43 スライドバー、43a 開口孔、44 アーム接続手段、51 連結部、51a 開口孔、51b 係止壁、51c 収容溝、51d 押圧部、55 スチールボール、61 傾動テーブル、61a 開口部、62 コイルバネ、100 アーム、101 戸枠、102 ヒンジ、103 防火戸、110 従来の防火戸閉鎖装置、112 リンク機構、115 ドアクローザ、118 スライドフック、119 ボルト、120 スライド用コマ、130 係止機構、131 ソレノイド、132 プランジャ、133 プランジャスプリング、134,135 リンク、136,137,141 トグルピン、138 トグルスプリング、139 当接片、140 作動板、142 軸ピン、143 ローラ、144取付ねじ、146 支点軸。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
戸枠に対して回動自在に配置される防火戸に対して閉鎖方向の力を及ぼすアームと接続し、前記アームを固定保持することによって前記防火戸を開放状態とし、前記アームの固定を解除することによって前記防火戸を閉鎖状態とする防火戸閉鎖装置であって、
前記戸枠に設置されるガイドケースと、
前記ガイドケースに固定設置される電気解除用保持機構部と、
前記アームと接続されるとともに前記ガイドケースに沿って移動自在に設置されるアーム接続部と、
前記電気解除用保持機構部及び前記アーム接続部のそれぞれと係脱自在であるとともに、前記ガイドケースに沿って移動自在に設置される連結部と、
を備え、
前記電気解除用保持機構部は、
印加される電流に応じて可動鉄芯の押引動作が行われるソレノイドと、
前記可動鉄芯の押引動作経路中に少なくとも1つが配置される複数の転動体と、
を有し、
前記連結部は、前記複数の転動体の少なくとも1つを収容可能な収容溝を有し、
前記複数の転動体が前記収容溝に嵌り込んで略直列配置された状態のときには、前記電気解除用保持機構部に対する前記連結部の係止状態が実現し、
前記ソレノイドが駆動されて可動鉄芯が突出し、前記複数の転動体のうちの少なくとも1つを押すことで、前記複数の転動体による前記収容溝への嵌り込みが解除され、前記電気解除用保持機構部に対する前記連結部の係止状態が解除されることを特徴とする防火戸閉鎖装置。
【請求項2】
請求項1に記載の防火戸閉鎖装置において、
前記複数の転動体が前記ソレノイドの可動鉄芯による押圧によって略直列配置状態を乱されたときに、前記複数の転動体が略直列配置状態に復帰することを妨げるための復帰防止ピンが、前記ソレノイドの可動鉄芯によって押圧を受けた転動体の元の配置位置近傍に突出するように構成されていることを特徴とする防火戸閉鎖装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の防火戸閉鎖装置において、
前記電気解除用保持機構部は、前記ソレノイドと電源との間に設置されたスイッチ装置を有しており、
前記スイッチ装置は、
前記電源から前記ソレノイドに対して電流が印加されていないときには、前記連結部に設置された押圧部からの押圧を受けることでオン状態となっており、
前記電源から前記ソレノイドに対して電流が印加されて前記ソレノイドの可動鉄芯が駆動され、前記電気解除用保持機構部に対する前記連結部の係止状態が解除されたときには、前記連結部に設置された押圧部からの押圧が解除されることでオフ状態となることを特徴とする防火戸閉鎖装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の防火戸閉鎖装置において、
前記アーム接続部と前記連結部とは、それぞれ開口孔を有しており、
前記アーム接続部が有する開口孔と前記連結部が有する開口孔とが重畳したときに、2つの開口孔の両方に跨って少なくとも1つの転動体が嵌り込むことで、前記アーム接続部と前記連結部との係合状態が実現されることを特徴とする防火戸閉鎖装置。
【請求項5】
請求項4に記載の防火戸閉鎖装置において、
前記電気解除用保持機構部に対する前記連結部の係止状態が解除され、前記アーム接続部と前記連結部とが係合したまま前記ガイドケースに沿って移動したときに、前記アーム接続部と前記連結部とを係合する少なくとも1つの転動体が嵌入可能な開口部が形成されており、当該開口部に対して前記転動体が嵌り込むことで、前記アーム接続部と前記連結部との係合状態が解除されることを特徴とする防火戸閉鎖装置。
【請求項6】
請求項5に記載の防火戸閉鎖装置において、
前記開口部は、外力を受けたときに傾動可能な傾動テーブルに形成されていることを特徴とする防火戸閉鎖装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−217734(P2012−217734A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88691(P2011−88691)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(000006943)リョービ株式会社 (471)
【Fターム(参考)】