説明

防火集塵機。

【課題】産業界多様化の中で、全世界的人類健康昂進目的から鉄鋼加工現場の溶接、切断、グラインダー火花、其の他多くの熱源作業の環境で、意識或は無意識を問わず、加熱素材塵埃の吸引集塵が原因で、又加工塵埃の素材多用化に基づく樹脂或は薬剤を含む自然発火素材の蔓延、特に作業終了間際の着火要因素材吸引による無人化した作業現場での発火等の安全確保が望まれている。
【解決手段】集塵フイルター素材の難燃素材或は不燃素材化は当然、集塵フイルター室散乱の微細粉塵を含めて、万一の無人化した作業現場でも、熱感知して自動散水、又は自動消化装置を持たせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
船舶の修繕及び建造、陸上各施設の建設、或は産業製造施設の設備、其の他、多くの産業分野で使用されている労働衛生での安全作業環境と共に、防火、消火目的の集塵装置の分野である。
【背景技術】
【0002】
現状の集塵機における平面フイルタ−、或はバグフイルタ−は、単に濾過性能に終始しているが、船舶建造や修繕における混在作業による鉄鋼切断、溶接、グラインダ−等による金属切削、又造船業界に限らず、陸上施設建設においても全く同様であるが、健康維持目的での局所集塵での安全性は向上しても、各種高熱集塵吸引での安全性に欠けており、焼損事故が起きているにもかかわらず、現在尚、火災安全の処置が無いのが現状である。
【特許文献1】
【非特許文献1】
【発明の開示】
【0003】
業務用の集塵機器は、全産業における製造現場の労働安全衛生管理が主目的であるが、近年の製造種目多様化の中で、全ての作業現場に局所集塵機器として浸透した結果が、単なる飛散塵埃の捕縛のみならず、電弧溶接発煙及び高温金属溶解飛散スパッタ−、金属ガス切断飛散ノロ、グラインダ−金属摩擦切削火花、其の他種々の危険極まりない高温物性の局所吸引迄が常識的に行われている。
【0004】
集塵機器の目的としては、工作作業現場等で使用のバグフイルタ−を含む各種フイルタ−は、塵埃の密度や粒子の大きさから計算して、吸引力とフイルタ−メッシュの選定だけに終始してきた。
【0005】
しかし、近年の労働安全衛生面から、従来には無かった末端の作業現場での局所吸引にまで普及しており、特に高温金属飛散現場での各種塵埃飛散現場の局所吸引では、作業者個人がいくら注意を払っても、屋外では急激な風向き変化や突風、予期し得ない溶接スパッタ−の飛散方向やガス切断の1500℃以上の溶解鉄片、数えれば数え切れない高温塵埃の飛散吸引が行われている。
【0006】
仮に、白色或は赤色の高温塵埃が熱放散で黒変していても、現状のフイルタ−等を含めた全ての濾過膜は、綿又は化学繊維で製作されており、低温発火が可能な素材でもある。
【0007】
同時に、バグフイルタ−を含む多くの濾過膜表面には、いくら定期的振動を与えても、或は逆圧を掛けても、その特質から綿状の微細な繊維状付着物はフイルタ−から離脱不能もあり、この微細粉塵に引火すれば、フイルタ−本体も容易に引火燃焼する。
【0008】
引火着火したバグフイルタ−等の濾過膜は、集塵機であるかぎり燃焼臭気や発煙は戸外に誘導され、集塵機稼動中の着火は酸素供給で燃焼助成にもなり、又、作業終了と同時の着火では、集塵機器内部の為に着火瞬間検知不能で、作業員不在で重大事故にもつながりかねない。
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
高温の着火可能塵埃の集塵機内への吸引防止は、集塵機器を、作業場所から遠隔場所に設置しか無く、これでは吸引抵抗増大と現代の作業環境改善促進にそむく事にもなり、労働安全衛生面から、如何なる高温塵埃でも吸引捕縛すべき事は言う迄もないが、現状では不能である。
【0010】
万一、無意識的にでも高温の着火可能塵埃の吸引が行われた場合、可燃素材フイルタ−である為に着火燃焼し、必然的に火災の要因にもなる。
【0011】
現代の集塵機器であるかぎり、如何なる高温加熱塵埃でも、意識的或は無意識的を問わず、吸引集塵する可能性は大であり、化学物質氾濫の中では自己発火誘発の危険性も大である事を認識すべきである。
【0012】
特に、化学物質による自己発火の場合は、作業終了後の集塵機稼動停止後の一定時間経過後の発火が常識であり、無人化した作業場での発火も想定される。
【問題を解決するための手段】
【0013】
各種のフイルタ−素材を、難燃処理又は不燃処理して、難燃又は不燃の集塵フイルタ−で製作すべきである。
【0014】
平面フイルタ−装着の場合で単面フイルタ−の場合は難燃或は不燃化し、多重面フイルタ−等の複数のフイルタ−で構成されている場合には吸入初段入口付近に1か所の難燃或は不燃のメンシュの荒いフイルタ−を装着して高温粉塵の吸収を図り、それを通過した低温微細塵埃を他のフイルタ−で捕縛すれば良い。
【0015】
又、多数連立バグフイルタ−の様な場合には、その全部を難燃又は不燃素材にする方法と、第一フイルタ−に不燃素材を通過後の第二フイルタ−は通常のフイルタ−にする方法がある。
【0016】
つまり、バグフイルタ−室の入口付近にに、塵埃吸引全量の一番関所として高温塵埃除去フイルタ−を装着し、それを通過した塵埃を可能な限り濾過すれば良い。
【0017】
もう一つ、最も重要な事は、高温塵埃除去フイルタ−を装着している集塵フイルタ−室には、フイルタ−室床には可燃微細粉塵も落下積層しており、この可燃塵埃自体の着火防止の必要から、フイルタ−室天井、必要あれば集塵フイルタ−室壁にも、熱感知自動消火装置を装着する必要がある。
【0018】
又、熱感知自動消火装置の種類は、集塵機の目的と設置場所によって散水を嫌う条件であれは、熱感知散水器に代って、熱感知炭酸ガス消化のような不活性ガス消化或は粉末消化等も有効である。
【0019】
同時に、熱感知自動消火装置稼動と同時に、集塵機の稼働中の火災では、通風による酸素供給を遮断する為に集塵機の稼動も自動停止する電気制御も不可欠である。
【発明の効果】
【0020】
効果を下記に列挙する。
1、金属類の、ガス切断、溶接、グラインダ−加工、等々の金属加工が主流の造船工場内作業現場、或は混在作業の船内作業等における、高温火災要因排出作業下でも、安心して労働安全衛生の安全管理が可能である。
【0021】
2、建築現場でも、鉄骨建築が主流の今日では船舶同様の危険性があり、高層建築現場での最重要課題は火災防止であり、集塵機の起因による事故防止が可能である。
【0022】
3、集塵機火災の要因は、可燃性素材にあり、特に化学繊維での帯電による自己発火もあることから、フイルタ−は難燃或は不燃素材装着で安全性の向上につながる。
【0023】
4、各種樹脂素材が主流のフイルタ−の業界で、織物も強度保持では重要だが、活性炭素不織布も有効な不燃フイルタ−と同時に、ガス吸着面積機能面でも有効瀬性がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
集塵機本体(1)に装填の各種集塵フイルタ−(4)の機能性は、単なる飛散物質の集塵装置では現代社会の全ての業界では安全性に欠ける事から、各種集塵フイルタ−の(4)の難燃或は不燃の処理、又は各種集塵フイルタ−(4)素材自体が難燃或は不燃のものを使用して防火集塵フイルタ−(5)とし、その上、集塵フイルタ−室(6)内には、可燃性塵埃(7)の着火又は自然発火による消火の為、熱感自動消火装置(8)設置も必需装備品となる。
【0025】
集塵フイルタ−(2)が可燃素材の場合、難燃処理或は不燃処理をする為の処理素材の市販薬剤は周知の事実として、各種防炎、難燃、不燃、等々の各処理薬剤及び加工方法が存在するので敢えて明記しない。
【0026】
各種集塵フイルタ−(4)を、防火集塵フイルタ−(5)として、難燃或は不燃素材で制作するには、継続使用と希望維持の為に、各種集塵フイルタ−(4)自体を振動させて付着塵埃を離脱落下させて集塵効率の向上と継続性を図る事から、素材自体の強靭性も必要で、それぞれの目的に合った、強靭性、耐熱性、耐薬品性のアラミド繊維、又は不燃性、耐薬品性、強靭性の炭素繊維によって構成する。
【0027】
バグフイルタ−(2)のような立体的縫製を要する場合は、縫製糸自体も難燃或は不燃素材の縫製糸を使用する必要があり、アラミド繊維又は炭素繊維の使用、又はステンレス性縫製用超極細糸の使用も有効である。
【0028】
塵埃吸引空気が、バグフイルタ−(2)の様な袋状の場合、袋中から袋外に向かって濾過排出される場合と、袋外面で濾過されて内部から濾過済み空気が排気される二つの方式がある。
【0029】
この、いずれの場合も、袋内部集塵蓄積か、集塵フイルタ−室(6)内の床上に塵埃落下散乱し、これら微細塵埃の多くは可燃物を含む可燃性塵埃(7)で、作業終了間際に着火、作業終了停止で無人化の夜間に発火、又は明け方に自己発火で延焼等々を防止する為、用途とコストに応じて熱感自動消装置(8)として、散水消火、又は電気信号により稼動する炭酸ガス消化を含む各種消火材の自動散布消火をすると同時に、集塵機通風停止を自動又は手動で行う。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】一例として、不燃のバグフイルタ−装着の集塵室内の防火構造で、市販各種の熱感知散水器を装着した斜視図、一部透視図である。
【図2】一例として、平面フイルターで、可燃、難燃、不燃の立体的集塵フイルター装着で、集塵室内消化設備として熱感知散水器を装着した斜視図、一部透視図である。
【符号の説明】
【0031】
1、集塵機本体
2、バグフイルター
3、平面フイルター
4、各種集塵フイルター
5、防火集塵フイルター
6、集塵フイルター室
7、可燃性塵埃
8、熱感自動消化装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集塵機本体(1)に装着のバグフイルタ−(2)或は平面フイルタ−(3)等の各種集塵フイルタ−(4)の全個数或は一部個数を、難燃素材又は不燃素材使用の、各種集塵機本体(1)における防火集塵フイルタ−(5)、及び、集塵フイルタ−室(6)内の床上に、落下散乱した可燃性塵埃(7)の着火又は自己発火時の消化の為、熱感自動消化装置(8)を装着した、防火集塵機。
【請求項2】
各種集塵フイルタ−(4)の難燃素材が、耐薬品性及び耐熱性のアラミド繊維を使用した、請求項1記載の、防火集塵機。
【請求項3】
各種集塵フイルタ−(4)の不燃素材が、炭素繊維を使用した、請求項1記載の防火集塵機。
【請求項4】
各種集塵フイルタ−(4)の可燃素材を、難燃化処理をした、請求項1記載の、防火集塵機。
【請求項5】
各種集塵フイルタ−(4)の可燃素材を、不燃化処理をした、請求項1記載の、防火集塵機。
【請求項6】
各種集塵機器本体(1)に装着のバグフイルタ−(2)或は平面フイルタ−(3)等の各種集塵フイルタ−(4)の素材は可燃素材で、集塵フイルタ−室(6)内の着火又は自己発火時の消火の為、熱感自動消火装置(8)を装着した、防火集塵機。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−279571(P2009−279571A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−158500(P2008−158500)
【出願日】平成20年5月21日(2008.5.21)
【出願人】(591220148)伸洋産業株式会社 (69)
【Fターム(参考)】