説明

防災受信機

【課題】防災受信機自身の立上げ時や復旧時の進捗に関する情報の表示を行うことにより、防災受信機の状態を操作者が把握することができて、操作者のストレスを低減することができる、防災受信機を提供する。
【解決手段】防災受信機100は、当該防災受信機100の所定の立上げ処理を行う立上げ処理部191と、立上げ処理に関する各種の情報を出力する出力手段と、この立上げ処理部191によって立上げ処理が行われている際、当該立上げ処理の進捗状況に関する情報を、出力手段を介して出力する進捗情報出力部193とを備え、出力手段を立上げ処理の処理項目に応じて複数設け、進捗情報出力部193は、立上げ処理の進捗状況に関する情報であって、立上げ処理の処理項目に関する処理の実行の有無を示す情報を、当該立上げ処理の処理項目に対応する出力手段を介して出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災感知器やガス漏れ検知器等からの信号を受信して警報や移報等を行うための防災受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスビルや工場等において、火災発生やガス漏れの有無を検出して警報を発する防災システムが広く利用されている。このような防災システムは、火災感知器やガス漏れ検知器等の防災端末と、この防災端末からの信号を受信して火災発生の警報出力や移報出力等を行う防災受信機とを備えて構成されている。
【0003】
このような防災システムにおいて、防災受信機の設置後等には、当該防災受信機に電源を投入して立上げを行う必要がある。例えば、ポーリング/セレクティング方式によって防災端末の応答制御を行う防災受信機(R型の防災受信機)においては、各防災端末に対してポーリング/セレクティングを行うことによって各防災端末のアドレスおよび種別を読み取り、これらアドレスおよび種別を当該防災受信機内のデータROMやRAMに格納されている情報と照合してアドレス重複の有無を判断し、各防災端末の正常性を確認するため各防災端末に対する試験を行い、さらに、各防災端末の初期化を行う等、多数の分岐処理を行っている。この立上げ時の処理には、システム構成にもよるが、通常数分間を要している。
【0004】
また、防災端末からの発報を受けて防災受信機で警報出力等を行った後には、この警報状態を解除して通常の監視状態にするための復旧処理を行う必要がある。例えば、R型の防災受信機においては、各防災端末に対して復旧処理の開始を指示するためのコマンドを送信し、各防災端末で復旧処理が行われたことを確認する必要がある。この復旧処理には、通常数秒から数十秒の時間を要している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、このような従来の防災受信機においては、上記のような立上げ処理や復旧処理を行う際、立上げ処理に関しては、表示部に立上げを行っている旨の表示が継続して行われ、各操作部の操作は一切無効になるような状態である。また、復旧処理においては、立上げ処理よりも時間が短いため、表示部に表示を行っていない防災受信機もある。したがって、操作者は、各処理が正常に行われているのか、あるいは、全ての処理が終了するまでの残り時間がどの程度なのかを把握することができず、単に防災受信機の前で待機していなければならないので、精神的ストレスを感じることがあった。
【0006】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、防災受信機自身の立上げ時や復旧時において、防災受信機の状態を操作者が把握することができて、操作者のストレスを低減することができる、防災受信機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の防災受信機は、防災端末の発報を検知して所定の防災処理を行う防災受信機において、当該防災受信機を通常監視状態に設定するための設定処理を行う設定処理手段と、前記設定処理に関する各種の情報を出力する出力手段と、前記設定処理手段によって前記設定処理が行われている際、当該設定処理の進捗状況に関する情報を、前記出力手段を介して出力する進捗情報出力手段とを備え、前記出力手段を前記設定処理の処理項目に応じて複数設け、前記進捗情報出力手段は、前記設定処理の進捗状況に関する情報であって、前記設定処理の処理項目に関する処理の実行の有無を示す情報を、当該設定処理の処理項目に対応する出力手段を介して出力する。
【0008】
また、請求項2に記載の防災受信機は、請求項1に記載の防災受信機において、前記複数の出力手段を前記設定処理の処理項目の処理順序に従って配置し、前記進捗情報出力手段は、前記複数の出力手段がすべて消灯した状態で、前記設定処理手段によって前記設定処理の処理項目に関する処理が前記処理順序に従って実行される毎に、当該実行された処理の処理項目に対応する出力手段を点灯させたり、又は、前記複数の出力手段がすべて点灯した状態で、前記設定処理手段によって前記設定処理の処理項目が処理順序に従って実行される毎に、当該実行された処理の処理項目に対応する出力手段を点灯させることにより、前記設定処理の処理項目に関する処理の実行の有無を示す情報を出力する。
【0009】
また、請求項3に記載の防災受信機は、請求項1に記載の防災受信機において、前記進捗情報出力手段は、前記設定処理の処理項目に関する処理が実行された場合に、当該実行された処理の処理項目に対応する出力手段に、前記設定処理の処理項目毎に割り当てられた数字であって、当該実行された処理の処理項目に対応する数字を表示させることにより、前記設定処理の処理項目に関する処理の実行の有無を示す情報を出力する。
【0010】
また、請求項4に記載の防災受信機は、防災端末の発報を検知して所定の防災処理を行う防災受信機において、当該防災受信機を通常監視状態に設定するための設定処理を行う設定処理手段と、前記防災端末が配置されている警戒地区の異常の有無を出力する出力手段と、前記設定処理手段によって前記設定処理が行われている際、当該設定処理の進捗状況に関する情報を、前記出力手段を介して出力する進捗情報出力手段とを備え、前記出力手段を前記警戒地区に応じて複数設け、前記進捗情報出力手段は、前記設定処理の進捗状況に関する情報を、前記複数の出力手段を介して出力する。
【0011】
また、請求項5に記載の防災受信機は、請求項4に記載の防災受信機において、前記進捗情報出力手段は、前記設定処理が実行された場合に、前記複数の出力手段を点灯又は点滅させることにより、前記設定処理の進捗状況に関する情報を出力する。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の防災受信機によれば、防災受信機を通常監視状態に設定するための設定処理の進捗状況が、進捗情報出力手段の処理によって出力される。したがって、操作者は、この出力に基づいて、設定処理の進捗状況を容易かつ正確に把握することができる。したがって、設定処理の終了を待っている操作者のストレスを低減することができる。
また、設定処理の処理項目に関する情報が出力される。したがって、操作者は、この出力に基づいて、設定処理の進捗状況の実行済の処理項目や未実行の処理項目等の処理項目情報を把握することができ、設定処理の進捗状況を容易かつ正確に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1に係る防災受信機の要部構成を示すブロック図である。
【図2】図1の防災受信機の正面図である。
【図3】実施の形態1に係る立上げ時の処理のフローチャートである。
【図4】実施の形態1に係る立上げ処理部の分岐処理例等を示す図である。
【図5】実施の形態1に係るセグメント表示器による表示例を示す図である。
【図6】実施の形態1に係るセグメント表示器による表示例を示す図である。
【図7】実施の形態1に係るセグメント表示器による表示例を示す図である。
【図8】実施の形態1に係る復旧時の処理のフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態2に係る防災受信機の立上げ時の処理のフローチャートである。
【図10】実施の形態2に係るセグメント表示器による表示例を示す図である。
【図11】実施の形態2に係る復旧時の処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る防災受信機の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。特に、以下の実施の形態においては、本発明をR型の防災受信機に適用した例を示すが、回線毎に信号線が引き出され、この回線に接続された防災端末の接点の開閉に基づいて発報を受けるP型の防災受信機に対しても、本発明を同様に適用することができる。
【0015】
〔実施の形態1〕
最初に、本発明の実施の形態1について説明する。まず、本実施の形態に係る防災受信機の特徴について概説し、その後、防災受信機の構成と処理について説明する。図1は本実施の形態に係る防災受信機の要部構成を示すブロック図である。この図1において、防災受信機100は、各警戒地区に配置されて火災やガス漏れ等を検出する防災端末200からの信号を受信して火災発生の警報出力や所定の外部監視盤への移報出力等を行う防災受信手段である。
【0016】
この防災受信機100の主たる特徴は、下記の通りである。すなわち、当該防災受信機100を通常監視状態に設定するための設定処理が行われている際、この設定処理の進捗状況が表示される。ここで、設定処理の内容は任意であるが、本実施の形態においては、立上げ処理および復旧処理が該当する。立上げ処理とは、当該防災受信機100の設置後等において、当該防災受信機100に電源を投入した後に行われる処理である。また、復旧処理とは、防災端末200からの発報を受けて防災受信機で警報出力等を行った後に、この警報状態を解除して通常の監視状態に戻すための処理である。この復旧処理の詳細な内容は、上記した従来の立上げ処理および復旧処理と同様に行うことができる。
【0017】
具体的に、本実施の形態において、立上げ処理時には、この立上げ処理に含まれる防災端末200の種別取得や初期化等の各処理の進捗状況が表示される。また、防災端末200の発報後の復旧処理時には、この復旧処理が完了するまでの残り時間が表示される。これらのことから、防災受信機100の操作者は、立上げや復旧の進捗状況を容易かつ正確に把握することができ、その完了を待って待機等する際のストレスを軽減することができる。特に、本実施の形態においては、立上げ処理や復旧処理の進捗状況が、セグメント表示器の点灯によって表示される。なお、この他にも本防災受信機100は種々の特徴を有するが、その内容については以下の説明で明らかにする。
【0018】
〔防災受信機100の構成〕
次に、防災受信機100の構成について説明する。図1は本実施の形態に係る防災受信機100の要部構成を示すブロック図、図2は図1の防災受信機100の正面図である。図1に示すように、防災受信機100は、伝送制御部110、操作部120、表示部130、記憶部140、主音響部150、地区音響制御部160、防排煙制御部170、電源部180、および、制御部190を備えて構成されている。
【0019】
このうち、伝送制御部110は、防災端末200との間の伝送制御を行う伝送制御手段である。この伝送制御部110には、図示のように、伝送路111を介して、火災感知器やガス漏れ検知器等の防災端末200、あるいは、これら防災端末200への中継伝送を行う中継器210が接続されている。そして、伝送制御部110を介して送信された各種のコマンドに基づいて、防災端末200に対するポーリング/セレクティング等が行われる。
【0020】
また、操作部120は、当該防災受信機100に対する各種の操作を行うための操作手段である。具体的には、操作部120は、図2に示すように、復旧処理の開始を指示するための復旧ボタン122、等を備えて構成されている。
【0021】
また、図1において、表示部130は、操作者に対して各種の情報を表示するための表示手段である。具体的には、表示部130は、図2に示すように、各警戒地区における異常状態を示す地区表示灯131、各種数値を示す2つのセグメント表示器132、133、等を備えて構成されている。このセグメント表示器132、133は、複数桁のセグメント表示器であり、本実施の形態においては、この複数桁のセグメント表示器132、133を使用して処理の進捗状況を表示する。
【0022】
また、図1において、記憶部140は、当該防災受信機100の制御を行うための各種のプログラムおよびデータや、各防災端末200から取得された各種のデータを記憶するための記憶手段である。
【0023】
また、主音響部150は、当該防災受信機100において各種の警報音を出力するための主音響手段である。具体的には、主音響部150は、スピーカにて構成され、図2に示す音響孔151の近傍奥部に配置されている。
【0024】
また、図1において、地区音響制御部160は、当該防災受信機100の外部の音響機器を制御するための地区音響制御手段である。例えば、地区音響制御部160には、伝送路161を介して、各警戒地区に配置した非常ベル300が接続されており、これら非常ベル300の鳴動が地区音響制御部160にて制御される。
【0025】
また、防排煙制御部170は、防排煙設備を制御するための防排煙制御手段である。例えば、防排煙制御部170には、伝送路171を介して、各警戒地区において防火ドアの自動開閉を行うためのレリーズ400が接続されており、このレリーズ400が防排煙制御部170にて制御される。また、電源部180は、当該防災受信機100の各部に電源を供給するための電源手段である。
【0026】
そして、制御部190は、これら防災受信機100の各部を制御するための制御手段であり、例えば、記憶部140に記憶された制御プログラムを解釈実行するCPU(Central Processing Unit)として構成されている。
【0027】
この制御部190は、機能概念的に、立上げ処理部191、復旧処理部192、および、進捗情報出力部193を備えて構成されている。このうち、立上げ処理部191は、当該防災受信機100の立上げ処理を行う立上げ処理手段である。また、復旧処理部192は、防災端末200の発報後の復旧処理を行う復旧処理手段である。そして、進捗情報出力部193は、立上げ処理部191による立上げ処理が行われている際、当該立上げ処理の進捗状況に関する情報を表示部130を介して出力すると共に、復旧処理部192による復旧処理が行われている際、当該復旧処理の進捗状況に関する情報を表示部130を介して出力する進捗情報出力手段である。これら各部にて行われる処理の具体的内容については後述する。
【0028】
〔防災受信機100における処理〕
次に、防災受信機100における処理の内容について説明する。ここでは、当該防災受信機100の立上げ時の処理と、防災端末200の発報後の復旧時の処理について説明する。
【0029】
〔防災受信機100における処理−立上げ時の処理〕
まず、立上げ時の処理について説明する。図3は、立上げ時の処理のフローチャートである。最初に、操作者が防災受信機100の内部に設けた図示しない電源スイッチをオンすることにより立上げ処理が開始される。このように電源が投入されると、制御部190の立上げ処理部191は所定の立上げ処理を開始する。この立上げ処理は、概略的には、図4に例示する「端末伝送起動開始」〜「端末伝送立上げ終了」迄の各処理を、同図に示す処理順序に従って順次実行することによって行われる。
【0030】
すなわち、まず、進捗情報出力部193は、パラメータNおよびnを初期値1に設定する(ステップSA−1)。次に、立上げ処理部191は、立上げ処理のうち、処理順序N(=1)の処理を実行する(ステップSA−2)。ここでは、図4に例示するように、立上げ処理が、処理順序1〜11迄の各分岐処理を順次行うように構成されているので、まず、処理順序N(=1)の分岐処理である「端末伝送起動」を実行する。具体的には、各端末に対して伝送路を介して電源を印加する。
【0031】
その後、進捗情報出力部193は、図2のセグメント表示器132、133のうち、割当て番号n(=1)の表示器を点灯させる(ステップSA−3)。ここでは、後述する図5に示すように、各セグメント表示器132、133がそれぞれ6個の表示部132a〜132f、133a〜133fを備えて構成されており、計12個の表示部130のそれぞれにおいて0〜9迄の数値を表示することができる。そして、図示の左側のセグメント表示器132の最左の表示部132aから、図示の右側のセグメント表示器133の最右の表示部133fに至り、1〜12迄の割当て番号が付与されている。
【0032】
そして、ここでは、上述のように割当て番号n(=1)の表示部が点灯されるので、図示の左側のセグメント表示器132の最左の表示部132aが点灯される。ここで点灯させる数値は任意であるが、例えば、「8」を点灯させるものとする。この状態を図5に
示す。なお、図4に示すテーブルは例えば記憶部140に記憶させておき必要に応じて参照することができる。
【0033】
その後、立上げ処理部191は、全ての分岐処理を終了したか否かを判断し(ステップSA−4)、まだ終了していない場合には、Nおよびnを1ずつ増分した後(ステップSA−5)、次順の分岐処理を行う(ステップSA−2)。すなわち、処理順序N(=2)の分岐処理である「端末初期化」を実行する。具体的には、各端末に初期化コマンドを送信することにより、各端末の初期化を行う。
【0034】
その後、進捗情報出力部193は、図2のセグメント表示器132、133のうち、割当て番号n(=2)の表示部を点灯させる(ステップSA−3)。ここでは、図4の割当て番号に基づいて、図示の左側のセグメント表示器132の左から2番目の表示部132bが点灯される。この状態を図6に示す。
【0035】
以降、全ての分岐処理が終了するまで、ステップSA−2〜SA−5が繰り返し行われる。そして、処理順序11の分岐処理が終了した後、ステップSA−3において割当て番号11および12の表示部133eおよび133fが点灯され、図7に示す状態になる。そして、ステップSA−4において、全ての分岐処理が終了したものと判断された時点で本処理を終了する。
【0036】
〔防災受信機100における処理−復旧時の処理〕
次に、防災端末200の発報後の復旧時の処理について説明する。図8は、復旧時の処理のフローチャートである。防災端末200の発報後および火災消火完了後、操作者が図2の復旧ボタン122を押すことにより復旧処理の開始を指示すると、制御部190の進捗情報出力部193は、パラメータtを初期値0に設定すると共に、パラメータnを初期値1に設定する(ステップSB−1)。
【0037】
次に、復旧処理部192は、復旧処理を行う。具体的には、伝送路を介して復旧コマンドを各防災端末200に送信する(ステップSB−2)。この復旧コマンドを受けた各防災端末200は、自己が発報状態でホールドされている場合には、当該ホールドを解除して初期状態に復旧する。次いで、進捗情報出力部193は、割当て番号n(=1)の表示器132aを点灯させる(ステップSB−3)。これにより、図5に示すように、図示の左側のセグメント表示器132の最左の表示部132aが点灯される。
【0038】
また、進捗情報出力部193は、経過時間の計時を開始する(ステップSB−4)。そして、このパラメータtが、所定の復旧時間を表示器の数で除した場合の商(例えば、復旧時間が12秒で、表示器の数が12個の場合には、商=1)に到達するまで待機し(ステップSB−5)、到達した場合には、復旧処理が終了していないこと(所定の復旧時間が経過していないこと)を条件として(ステップSB−6)、tを初期化すると共に、nを1だけ増分し(ステップSB−7)、次の表示器132bを点灯させる(ステップSB−3)。なお、復旧時間が状況に応じて変化し得る場合には、ステップSB−4の前段において、復旧時間を算定してもよい。
【0039】
以降、全ての分岐処理が終了するまで、ステップSB−3〜SB−7が繰り返し行われる。そして、全ての表示器132a〜132f、133a〜133fを点灯させ、復旧処理が終了した時点で本処理を終了する。
【0040】
これまで説明した実施の形態1によれば、立上げ処理や復旧処理の進捗状況が、セグメント表示器132、133の点灯によって表示されるので、操作者は、この表示を見ることによって立上げ処理や復旧処理の進捗状況を容易かつ正確に把握することができる。
【0041】
〔実施の形態2〕
次に、本発明の実施の形態2について説明する。ただし、特に説明なき構成および処理については実施の形態1と同様であるとし、また、実施の形態1とほぼ同一の機能を有する構成要素を同一の符号を付して説明する。本実施の形態は、概略的に、立上げ処理や復旧処理の進捗状況が、処理完了までの残り時間をカウントダウンすることによって表示される防災受信機100に関するものである。
【0042】
〔防災受信機100の構成〕
まず、防災受信機100の構成について説明する。本実施の形態において、制御部190の進捗情報出力部193は、進捗情報出力手段である。特に、本実施の形態において進捗情報出力部193は、立上げ処理または復旧処理の残り時間をカウントダウン形式で出力する。
【0043】
〔防災受信機100における処理−立上げ時の処理〕
次に、防災受信機100における処理の内容について説明する。まず、立上げ時の処理について説明する。図9は、立上げ時の処理のフローチャートである。最初に、操作者が防災受信機100の内部の図示しない電源スイッチをオンすることにより立上げ処理の開始を指示すると、制御部190の進捗情報出力部193は、パラメータn、N、および、Xを初期値0に設定する(ステップSC−1)。
【0044】
次に、立上げ処理部191は、立上げ処理の中の、端末伝送起動開始、端末初期化、および、端末種別取得の各分岐処理を実行する(ステップSC−2〜SC−4)。
【0045】
次に、進捗情報出力部193は、立上げ処理に要する時間(立上げ時間)nを算定し、残り時間Nにこの立上げ時間nを設定する(ステップSC−5)。例えば、ステップSC−4で取得された防災端末200の種別に基づいて、全ての防災端末200の端末数を算定し、この端末数に、1台当たりの所定の立上げ時間を乗じた結果を立上げ時間nとする。そして、進捗情報出力部193は、所定の表示器(例えば、図5の右側のセグメント表示器133の右端の2つの表示器133eおよび133f)を介して残り時間Nを表示する(ステップSC−6)。図10には、残り時間が18秒である場合の表示例を示す。
【0046】
その後、立上げ処理のうち、上記ステップSC−2〜SC−4以外の残りの分岐処理を実行する(ステップSC−7)。ここで、分岐処理の実行に何らかの障害が発生した場合には(ステップSC−8)、立上げ時間が変わる可能性があるため、残り時間Nを再計算する(ステップSC−9)。すなわち、障害発生後の残り時間mを計算し、これを新たな残り時間Nに設定する。
【0047】
また、ステップSC−7における分岐処理の実行中、所定タイミング(例えば、所定間隔毎)で、残り時間Nが0になったか否かを判断する(ステップSC−10)。そして、残り時間が0でない場合には、残り時間Nから経過時間x(ステップSC−5における立上げ時間の算定後の経過時間、または、前回ステップSC−11を実行してからの経過時間)を減算することによって残り時間Nを更新し(ステップSC−11)、表示器における残り時間Nの表示を更新する(ステップSC−12)。
【0048】
以降、ステップSC−7〜SC−12を同様に繰り返す。このことにより、表示器133eおよび133fにおける残り時間Nの表示が、0に向けて徐々にカウントダウンされることになる。そして、残り時間Nが0になった時点で、本処理を終了する。なお、防災端末200の数によって立上げ時間が左右されず、ほぼ一定の立上げ時間であるならば、ステップSC−5の立上げ時間の算出をせずに、すぐにカウントダウン表示を行ってもよい。また、立上げ時間が他の要因で左右される場合は、その要因に応じて立上げ時間を算出して表示するようにしてもよい。
【0049】
〔防災受信機100における処理−復旧時の処理〕
次に、防災端末200の発報後の復旧時の処理について説明する。図11は、復旧時の処理のフローチャートである。防災端末200の発報後および火災消火完了後、操作者が図2の復旧ボタン122を押すことにより復旧処理の開始を指示すると、制御部190の進捗情報出力部193は、パラメータtおよびNを初期値0に設定する(ステップSD−1)。
【0050】
次に、復旧処理部192は、復旧処理を行う。具体的には、伝送路を介して復旧コマンドを各防災端末200に送信する(ステップSD−2)。次いで、進捗情報出力部193は、残り時間Nに所定の復旧時間を設定する(ステップSD−3)。そして、進捗情報出力部193は、所定の表示器(例えば、表示器133eおよび133f)を介して残り時間Nを表示する(ステップSD−4)。
【0051】
また、進捗情報出力部193は、経過時間の計時を開始する(ステップSD−5)。そして、このパラメータtを監視し(ステップSD−6)、パラメータtが1秒に至る毎に、残り時間を1秒減算し(ステップSD−7)、この残り時間Nが0になるまで(ステップSD−8)、残り時間Nの表示の更新を行う(ステップSD−9)。また、この際、パラメータtを0に初期化する(ステップSD−10)。そして、残り時間Nが0になった時点で、本処理を終了する。
【0052】
これまで説明した実施の形態2によれば、立上げ処理や復旧処理の残り時間が、セグメント表示器132、133に表示される数値によって表示されるので、操作者は、この表示を見ることによって立上げ処理や復旧処理の進捗状況を容易かつ正確に把握することができる。
【0053】
〔他の実施の形態〕
さて、これまで本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上述した実施の形態以外にも、上記特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施の形態にて実施されてよいものである。
【0054】
例えば、立上げ処理や復旧処理の進捗状況として出力する情報としては、処理項目に関する情報や、処理時間に関する情報であれば、如何なる情報であってもよい。処理項目に関する情報としては、実施の形態1で説明したような実行済(または非実行済)の分岐処理の程度や数を示す情報の他、これら分岐処理の名称を出力するようにしてもよい。
【0055】
また、処理時間に関する情報としては、実施の形態2で説明したような残り時間の他、その時点迄に要した時間を出力してもよい。また、情報の取得方法としては、必要に応じて算定する方法の他、過去の処理時間を記憶しておき、この処理時間を用いてもよい。
【0056】
また、情報の出力形態としては、上記のようにセグメント表示器132、133による表示を行う場合においては、各表示器を点灯または消灯させることによって、カウントダウンやカウントアップを行ったり、予め各分岐処理に割当てた数字を各表示器によって表示することにより、これら各分岐処理が実行済(または非実行済)であることを表示してもよい。
【0057】
あるいは、セグメント表示器132、133以外に、任意の出力装置を用いることができ、例えば、液晶画面を備える防災受信機100においては、この液晶画面において、残り時間の数値表示を行ったり、残りの分岐処理の名称を表示してもよい。
【0058】
また、P型のような地区窓方式(各警戒地区に対応するLEDを設け、各警戒地区における異常の有無等を当該対応するLEDの点灯等にて表示する方法)を採用している防災受信機100においては、液晶画面やセグメント表示器を設けていないことが多いので、これら地区窓や他の表示部130に設けたLEDを点灯または点滅等させることによって、進捗状況の表示を行ってもよい。
【0059】
また、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0060】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、防災受信機100の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷等に応じた任意の単位で、機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。また、防災受信機100における処理機能、特に制御部190にて行われる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現される。
【0061】
また、このコンピュータプログラムは、防災受信機100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記録されてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。あるいは、各制御部190の全部または任意の一部を、ワイヤードロジック等によるハードウェアとして実現することも可能である。
【0062】
また、「プログラム」とは、任意の言語や記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードやバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OS(Operating System)に代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施の形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成、読み取り手順、あるいは、読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0063】
以上に説明したように、本発明によれば、操作者は、立上げ処理や復旧処理等の各種の設定処理の進捗状況を容易かつ正確に把握することができる。したがって、設定処理の終了を待っている操作者のストレスを低減することができる。
【0064】
また、本発明によれば、操作者は、設定処理の進捗状況の経過時間や残り時間等の時間情報を把握することができ、設定処理の進捗状況を容易かつ正確に把握することができる。
【0065】
また、本発明によれば、設定処理の途中で障害が発生した場合であっても、その状況を加味した正確な処理時間に関する情報が出力され、操作者は常に正確な進捗状況を把握することができる。
【0066】
また、本発明によれば、操作者は、設定処理の進捗状況の実行済の処理項目や未実行の処理項目等の処理項目情報を把握することができ、設定処理の進捗状況を容易かつ正確に把握することができる。
【0067】
また、本発明によれば、液晶画面等がない防災受信機においても、進捗状況に関する情報を把握することができる。
【0068】
(付記)
付記1に記載の防災受信機は、防災端末の発報を検知して所定の防災処理を行う防災受信機において、当該防災受信機を通常監視状態に設定するための設定処理を行う設定処理手段と、上記設定処理手段によって上記設定処理が行われている際、当該設定処理の進捗状況に関する情報を、所定の出力手段を介して出力する進捗情報出力手段とを備えることを特徴とする。
【0069】
また、付記2に記載の防災受信機は、付記1に記載の防災受信機において、上記設定処理手段は、当該防災受信機の所定の立上げ処理を行う立上げ処理手段であり、上記進捗情報出力手段は、上記立上げ処理手段によって上記立上げ処理が行われている際、当該立上げ処理の進捗状況に関する情報を出力することを特徴とする。
【0070】
また、付記3に記載の防災受信機は、付記1に記載の防災受信機において、上記設定処理手段は、上記防災端末の発報後における当該防災受信機の復旧処理を行う復旧処理手段であり、上記進捗情報出力手段は、上記復旧処理手段によって上記復旧処理が行われている際、当該復旧処理の進捗状況に関する情報を出力することを特徴とする。
【0071】
また、付記4に記載の防災受信機は、付記1〜3のいずれか一つに記載の防災受信機において、上記進捗情報出力手段は、上記設定処理の処理時間に関する情報を出力することを特徴とする。
【0072】
また、付記5に記載の防災受信機は、付記4に記載の防災受信機において、上記設定処理の処理時間を算定すると共に、上記設定処理に障害が発生した場合、当該処理時間を再度算定し、この再度算定した処理時間に関する情報を出力することを特徴とする。
【0073】
また、付記6に記載の防災受信機は、付記1〜3のいずれか一つに記載の防災受信機において、上記進捗情報出力手段は、上記設定処理の処理項目に関する情報を出力することを特徴とする。
【0074】
また、付記7に記載の防災受信機は、付記1〜6のいずれか一つに記載の防災受信機において、上記進捗情報出力手段は、上記設定処理の進捗状況に関する情報を、セグメント表示器を介して表示することを特徴とする。
【0075】
付記に係る防災受信機は、防災受信機を通常監視状態に設定するための設定処理の進捗状況が、進捗情報出力手段の処理によって出力される。したがって、操作者は、この出力に基づいて、設定処理の進捗状況を容易かつ正確に把握することができる。したがって、設定処理の終了を待っている操作者のストレスを低減することができる。
【0076】
また、付記に係る防災受信機は、当該防災受信機の立上げ処理の進捗状況が、進捗情報出力手段の処理によって出力される。したがって、操作者は、この出力に基づいて、立上げ処理の進捗状況を容易かつ正確に把握することができる。したがって、立上げ処理の終了を待っている操作者のストレスを低減することができる。
【0077】
また、付記に係る防災受信機は、当該防災受信機の復旧処理の進捗状況が、進捗情報出力手段の処理によって出力される。したがって、操作者は、この出力に基づいて、復旧処理の進捗状況を容易かつ正確に把握することができる。したがって、復旧処理の終了を待っている操作者のストレスを低減することができる。
【0078】
また、付記に係る防災受信機は、設定処理の処理時間に関する情報が出力される。したがって、操作者は、この出力に基づいて、設定処理の進捗状況の経過時間や残り時間等の時間情報を把握することができ、設定処理の進捗状況を容易かつ正確に把握することができる。
【0079】
また、付記に係る防災受信機は、設定処理に障害が発生した場合には、処理時間が再度算定されて出力される。したがって、設定処理の途中で障害が発生した場合であっても、その状況を加味した正確な処理時間に関する情報が出力され、操作者は常に正確な進
捗状況を把握することができる。
【0080】
また、付記に係る防災受信機は、設定処理の処理項目に関する情報が出力される。したがって、操作者は、この出力に基づいて、設定処理の進捗状況の実行済の処理項目や未実行の処理項目等の処理項目情報を把握することができ、設定処理の進捗状況を容易かつ正確に把握することができる。
【0081】
また、付記に係る防災受信機は、設定処理の進捗状況に関する情報がセグメント表示器を介して表示される。したがって、液晶画面等がない防災受信機においても、進捗状況に関する情報を把握することができる。
【符号の説明】
【0082】
100 防災受信機
110 伝送制御部
120 操作部
130 表示部
140 記憶部
150 主音響部
160 地区音響制御部
170 防排煙制御部
180 電源部
190 制御部
191 立上げ処理部
192 復旧処理部
193 進捗情報出力部
200 防災端末
300 非常ベル
400 レリーズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
防災端末の発報を検知して所定の防災処理を行う防災受信機において、
当該防災受信機を通常監視状態に設定するための設定処理を行う設定処理手段と、
前記設定処理に関する各種の情報を出力する出力手段と、
前記設定処理手段によって前記設定処理が行われている際、当該設定処理の進捗状況に関する情報を、前記出力手段を介して出力する進捗情報出力手段とを備え、
前記出力手段を前記設定処理の処理項目に応じて複数設け、
前記進捗情報出力手段は、
前記設定処理の進捗状況に関する情報であって、前記設定処理の処理項目に関する処理の実行の有無を示す情報を、当該設定処理の処理項目に対応する出力手段を介して出力する、
防災受信機。
【請求項2】
前記複数の出力手段を前記設定処理の処理項目の処理順序に従って配置し、
前記進捗情報出力手段は、
前記複数の出力手段がすべて消灯した状態で、前記設定処理手段によって前記設定処理の処理項目に関する処理が前記処理順序に従って実行される毎に、当該実行された処理の処理項目に対応する出力手段を点灯させたり、又は、前記複数の出力手段がすべて点灯した状態で、前記設定処理手段によって前記設定処理の処理項目が処理順序に従って実行される毎に、当該実行された処理の処理項目に対応する出力手段を点灯させることにより、前記設定処理の処理項目に関する処理の実行の有無を示す情報を出力する、
請求項1に記載の防災受信機。
【請求項3】
前記進捗情報出力手段は、
前記設定処理の処理項目に関する処理が実行された場合に、当該実行された処理の処理項目に対応する出力手段に、前記設定処理の処理項目毎に割り当てられた数字であって、当該実行された処理の処理項目に対応する数字を表示させることにより、前記設定処理の処理項目に関する処理の実行の有無を示す情報を出力する、
請求項1に記載の防災受信機。
【請求項4】
防災端末の発報を検知して所定の防災処理を行う防災受信機において、
当該防災受信機を通常監視状態に設定するための設定処理を行う設定処理手段と、
前記防災端末が配置されている警戒地区の異常の有無を出力する出力手段と、
前記設定処理手段によって前記設定処理が行われている際、当該設定処理の進捗状況に関する情報を、前記出力手段を介して出力する進捗情報出力手段とを備え、
前記出力手段を前記警戒地区に応じて複数設け、
前記進捗情報出力手段は、
前記設定処理の進捗状況に関する情報を、前記複数の出力手段を介して出力する、
防災受信機。
【請求項5】
前記進捗情報出力手段は、
前記設定処理が実行された場合に、前記複数の出力手段を点灯又は点滅させることにより、前記設定処理の進捗状況に関する情報を出力する、
請求項4に記載の防災受信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−123919(P2011−123919A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33817(P2011−33817)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【分割の表示】特願2001−289886(P2001−289886)の分割
【原出願日】平成13年9月21日(2001.9.21)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】