説明

防災表示盤及び制御方法

【課題】火災発生時に消火器の設置場所を容易に把握可能として初期消火に迅速に対応可能とする。
【解決手段】火災発生情報の受信時に画面上に表示された地図72の中の火災発報した感知器シンボル74−1の色を通常監視時の色とは異なる別の色に変化させて点滅させる。同時に、火災発報した感知器シンボル74−1の近傍に設置している消火器シンボル78を検出してその色を通常監視時の色とは異なる別の色に変化させて点滅する。消火器シンボル78にマウスカーソル80を近づけると、消火器の使用方法を示す消火器ガイダンス動画82が再生される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災信号等の防災情報を受けて表示装置の画面上に防災端末機器のシンボルを示した建物平面図などの監視対象の地図を表示する防災表示装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の防災表示盤は、火災やガス漏れを検知する感知器の検出信号を受信した際に、火災等を検出した発生場所を含む地図を液晶ディスプレイ等の表示画面上に表示している。
【0003】
この表示画面に表示される地図には、火災感知器を含む各種センサや防排煙ダンパ等の防災制御機器を含む各種防災端末をシンボルで表示しており、その中の火災等の異常を検出した感知器のシンボルを通常監視時とは異なる色でカラー点灯又は点滅表示して火災発生場所を示すようにしている。
【特許文献1】特開平11−7592号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、防災表示盤により防災情報を管理している防災監視システムを設置した施設にあっては、各種センサや制御機器などの防災端末以外に、建物内の所定の場所に消火器や消火栓などの消火機器を配置している。
【0005】
しかしながら、従来の防災表示盤にあっては、火災発生時に画面上に表示する監視対象の地図上に消火器や消火栓の設置場所を表示することは、慣例的に行われていない。消火器は初期消火に対して非常に有効であるため、その設置位置を把握することは、延焼による被害拡大を防止する上で大変有意義なことである。火災発生時に有意義な他の機器として緩降器などの避難機器がある。
【0006】
また消火栓や消火器や避難機器は普段操作する機会がほとんどないため、いざ火災が発生した場合など、適切に操作できない事態が考えられる。
【0007】
本発明は、この点に着目してなされたもので、火災やガス漏れの異常発生時に消火機器や避難機器の災害時の援助機器の設置場所を容易に把握可能として迅速に対応可能とする防災表示盤及び制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は防災表示装置を提供する。即ち、本発明は、センサや発信機の検出信号を受信して地図上に異常を表示する防災表示盤に於いて、センサや発信機の設置場所を示す機器シンボルに加え、異常時に使用する消火機器や避難機器の災害援助機器の設置場所を示す災害援助機器シンボルを配置した監視対象の地図情報をデータベースに登録して管理する地図情報管理部と、
異常時に地図情報をデータベースから読出して液晶ディスプレイ等の画面上に表示する地図情報表示部と、
異常時に前記地図情報表示部により表示された地図情報の中の機器シンボルの色を通常監視時の色とは異なる別の色に変化させると共に、機器シンボルの近傍に設置している災害援助機器を検出してそのシンボルの色を通常監視時の色とは異なる別の色に変化させるシンボル表示制御部と、
を設けたことを特徴とする。
【0009】
ここで、シンボル表示制御部は、地図情報に災害援助機器シンボルを配置した機器の有効期限を管理し、地図情報表示部により地図情報の選択入力に応じて地図情報が表示された際に、有効期限切れの近い機器を判別してその機器シンボルの色を通常監視時の色とは異なる且つ火災発生時とも異なる別の色に変化させる。
【0010】
シンボル表示制御部は、有効期限切れの近い災害援助機器の機器シンボルの色に変化させてから所定時間経過した後に元の色に戻す。
【0011】
本発明の防災表示装置は、更に、異常時に地図情報表示部により表示された地図情報の中の災害援助機器のシンボルに対するカーソルの近接を検出した際に、災害援助機器の使用方法を示す取扱い情報を出力するガイダンス処理部を設けたことを特徴とする。
【0012】
ガイダンス処理部は取扱い情報として静止画又は動画を各シンボルの近傍に再生表示させる。
【0013】
本発明は防災表示盤の制御方法を提供する。即ち、本発明は、センサや発信機の検出信号を受信して地図上に異常を表示する防災表示盤の制御方法に於いて、
センサや発信機の設置場所を示す機器シンボルに加え、異常時に使用する消火機器や避難機器の災害援助機器の設置場所を示す援助機器シンボルを配置した監視対象の地図情報をデータベースに登録して管理する地図情報管理プロセスと、
異常時に地図情報をデータベースから読出して液晶ディスプレイ等の画面上に表示する地図情報表示プロセスと、
異常時に地図情報表示部により表示された地図情報の中の機器シンボルの色を通常監視時の色とは異なる別の色に変化させると共に、機器シンボルの近傍に設置している災害援助機器を検出してそのシンボルの色を通常監視時の色とは異なる別の色に変化させるシンボル表示制御プロセスと、
を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、火災などの発生時に画面表示される異常発生場所を含む監視対象の地図に、消火器などの災害援助機器の設置場所を示すシンボルが示され、更に、通常監視時の青から赤に色が変化したシンボルに近い災害援助機器シンボルの色が通常監視時の色から別の色に変化して設置場所を強調して示すことができ、火元に最も近い機器の設置場所を知ることで、迅速な初期対応ができ、延焼による被害拡大を防止できたり、人命救助をすることができる。
【0015】
また通常監視時に監視対象の地図を画面表示すると、地図に示している災害援助機器シンボルの中の有効期限に近いもののシンボルの色が変化して有効期限が近いことを知らせ、有効期限が過ぎる前に機器を交換するといった管理が適切にできる。
【0016】
更に、消火栓、消火器や避難機器は普段操作する機会がないため、いざ火災が発生した場合など、適切に操作できない事態が考えられるが、通常監視時に監視対象の地図を画面表示すると、静止画又は動画によって使用方法が静止画又は動画により再生出力されて見るだけで理解でき、火災発生時に適切な操作を可能にして初期消火、避難ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】

図1は本発明による防災監視盤を備えた防災監視システムの説明図である。図1において、防災監視システムは防災受信盤10を設置し、防災受信盤10から監視対象となる建物などの警戒区域に対し、伝送路11を引き出している。
【0018】
伝送路11に対し本実施形態にあっては、各種センサとして中継器14を介して煙感知器16を接続し、また中継器機能を内蔵したアナログ煙感知器20とアナログ熱感知器22を接続している。更に光電式分離型煙感知器24が設けられる。その他、人が押しボタンを操作して火災信号を送信する発信機やガス漏れ検知器も接続される。
【0019】
光電式分離型煙感知器24は発光部24aに対し所定の監視距離をおいて受光部24bを分離設置しており、発光部24aからの照射により煙に減衰された光を受光して火災を感知する。
【0020】
また伝送路11に対しては各種制御機器として、中継器14を介して防排煙ダンパ17、地区音響装置18及びラッチ状態にある防火戸を遮断して閉鎖するラッチレリーズ19を接続している。もちろん、これ以外にガス漏れ検出器などの各種のセンサや防災制御機器を必要に応じて接続することができる。
【0021】
防災受信盤10に対しては本発明による防災表示盤12が接続されている。防災表示盤12にはコントローラ26が設けられ、コントローラ26に対し液晶ディスプレイ28、キーボート30、マウス32、プリンタ34、監視区域を撮影するITVカメラ36、更に防災監視に必要な各種の音声出力を行うスピーカ38が設けられている。
【0022】
防災表示盤12は防災受信盤10からの感知器などの火災信号を含む各種センサの防災情報を受信して液晶ディスプレイ28に表示するとともに、防排煙ダンパなどの防災制御機器の制御情報を送信し、更に各種の防災情報を履歴情報として保存して管理する処理を行う。
【0023】
このため防災表示盤12のコントローラ26にはデータベース40に加え、コンピュータによるプログラムの実行により実現される機能として、地図情報管理部42、地図情報表示部44、シンボル表示制御部46及びガイダンス処理部48を設けている。
【0024】
データベース40には防災監視盤10による監視対象となる警戒区域の地図情報を登録して管理している。この地図情報には各種センサ及び防災制御機器の設置場所を示す機器シンボルデータを登録しており、更に本実施形態にあっては、従来慣例的にシンボル表示による設置場所を示していない消火器について消火器の設置場所を示す消火器シンボルを新たに配置した地図情報をデータベース40に登録している。
【0025】
地図情報管理部42は液晶ディスプレイ28に表示されているメニュー画面を利用した管理者による地図選択情報の入力時、または防災受信盤10から火災発生情報を受信した際に、対応する地図情報をデータベース40から読出し、液晶ディスプレイ28の画面上に表示する。
【0026】
地図情報表示部44により液晶ディスプレイ28に表示される地図には、感知器及び防災制御機器の設置場所を示す機器シンボルマークに加え、新たに消火器、消火栓の消火機器や避難機器の設置場所を示す災害援助機器シンボルが同時に表示されている。以下、消火器を例として説明する。
【0027】
シンボル表示制御部46は火災発生情報の受信時に、地図情報表示部44により液晶ディスプレイ28に表示された地図の中の火災発報とした感知器シンボルの色を通常監視時の色である「青色」から予め定めた火災発報時の色である「赤色」に変化させて点滅させる。
【0028】
同時にシンボル表示制御部46は火災発報した感知器シンボルの近傍に設置している消火器シンボルを検出し、検出した消火器シンボルの色を通常監視時の色である「青色」から別の色、例えば「赤紫色」に変化させて点滅させる。
【0029】
ここで本実施形態が対象とする防災表示盤の地図に表示するシンボルについては、「総合操作盤の規定」として知られた規約により、そのシンボルと平常時及び作動時の色が予め定められている。しかし、消火器については「総合操作盤の規定」による定めがないことから、この規定に使用していない色として本実施形態にあっては例えば作動時の色として「赤紫色」を使用している。
【0030】
さらにシンボル表示制御部46にあっては、新たに地図上に表示する消火器シンボルに対応して消火器の有効期限を管理するようにしている。消火器の有効期限の管理は、液晶ディスプレイ28のメニュー画面を使用したオペレータによるキーボード30もしくはマウス32による地図選択情報の入力を受けて、地図情報表示部44が選択された地図を液晶ディスプレイ28に表示した際に、表示した地図に含まれる消火器シンボルについて予めデータベース40に登録されている消火器ごとの有効期限をチェックし、例えば有効期限までの残り期間が1ヶ月となった有効期限切れの近い消火器を判別し、その消火器シンボルの色を通常監視時の色である「青色」から予め定めた異なる色で、且つ火災発生時の「赤紫色」とは異なる色、例えば「黒色」に変化させて点滅させる。
【0031】
これによってオペレータは必要に応じて地図を液晶ディスプレイ28に表示した際に、有効期限に近い消火器シンボルの色が「黒色」に変化して点滅するのを見て、この消火器が有効期限切れの近い消火器であることを知ることができる。
【0032】
この有効期限切れの近い消火器の表示についてはシンボル色を変化させて点滅させると共に有効期限までの有効日数を表示することが望ましい。またシンボル表示制御部46で有効期限切れの近い消火器シンボルの色を「黒色」に変化させて点滅させた場合、予め定めた所定時間を経過したら「黒色」による点滅を停止して元の「青色」に戻し、必要以上に消火器期限切れを表示するわずらわしさを解消するようにしている。
【0033】
ガイダンス処理部48は、防災受信盤10からの火災発生情報の受信時に地図情報表示部44が液晶ディスプレイ28上に火災発生場所を含む地図を表示した際に、地図に示されている消火栓シンボルまたは消火器シンボルに対するマウス32の操作によるカーソルの近接を検出した際に、カーソルが近接した消火栓シンボルまたは消火器シンボルの使用方法を含む取り扱い情報であるガイダンス情報を出力する。
【0034】
ガイダンス処理部48で出力する消火栓または消火器の使用方法を示すガイダンス情報は、取扱説明文や図形、写真などを表示したガイダンス静止画あるいは使用方法を動画として表示するガイダンス動画のいずれか又はその組合せとする。
【0035】
図2は本実施形態における防災表示盤のハードウェア構成を示したブロック図である。図2において、防災表示盤12に設けたコントローラ26はコンピュータのハードウェア環境で実現されている。
【0036】
コントローラ26にはCPU49が設けられ、CPU49のバス50に対しRAM51、ROM52、シリアルインタフェース53、ハードディスクドライブ54が接続されている。
【0037】
またコントローラ26に対する入出力機器として設けた液晶ディスプレイ28、キーボード30、マウス32、プリンタ34、ITVカメラ36及びスピーカ38についてはそれぞれのデバイスに対応したインタフェース55、56、57、58、59、60を介してCPU49のバス50に接続している。
【0038】
ハードディスクドライブ54には図1に示したコントローラ26の地図情報管理部42、地図情報表示部44、シンボル表示制御部46及びガイダンス処理部48の機能を実現する為のプログラム及びデータベース40が格納されている。
【0039】
防災表示盤12のコントローラ26を電源投入により起動すると、ROM52のブートコードを用いた初期化診断処理を行った後に、ハードディスクドライブ54からOSがRAM51にロードする。そして、CPU49がRAM51のOSを実行することによりハードディスクドライブ54からアプリケーションプログラムとしての本実施形態の防災表示処理のためのプログラムがRAM51にロードされ、CPU49により実行され、図1のコントローラ26に示す地図情報管理部42、地図情報表示部44、シンボル表示制御部46及びガイダンス処理部48としての機能がプログラムの実行により実現される。
【0040】
図3は本実施形態における火災発生時の地図表示とカーソルを消火器シンボルに近づけた際に再生するガイダンス動画を示した説明図である。
【0041】
図3(A)は図1に示した防災表示盤12のコントローラ26が防災受信盤10から火災発生情報を受信し、地図情報表示部44の動作により火災発生場所を含む地図72を液晶ディスプレイ28の表示画面70に表示した状態を示している。
【0042】
表示画面70に表示された地図72は、例えば火災発生階の建物平面図であり、建物平面のレイアウトに加え、センサ及び制御機器となる防災端末の機器シンボルとして、この地図72にあっては、階段及び廊下を含む左下側の共用スペースに感知器シンボル74−1〜74−3及びダンパシンボル76を配置し、更に本実施形態で新たに加えた消火器シンボル78を部屋側に表示している。
【0043】
ここで感知器シンボル74−1に対応する火災感知器が火災発報していたとすると、火災発報した感知器に対応する感知器シンボル74−1は通常監視時の「青色」から「赤色」に変化して点滅する。
【0044】
同時に発報した火災感知器74−1の近傍に設置している消火器シンボル78が通常監視時の「青色」から火災発生に伴い「赤紫色」に変化して点滅する。このため表示画面70に表示された地図72を見てオペレータは「赤色」に点滅している感知器シンボル74−1から火災発生場所を知るとともに、その近傍で「赤紫色」に点滅している消火器シンボル78を見て消火器の設置場所を知り、火災発生現場に出向いて火災発生を確認する際に消火器設置場所を消火器シンボル78の「赤紫色」の点滅により確認していることから、火災発生現場で火災を確認した場合ただちに消火器設置場所にいって消火器をとり初期消火を迅速にすることができる。
【0045】
なお、消火器の使用期限が管理されている場合は、使用期限の切れていない消火器を優先的に点滅表示し、火災発生場所に近い消火器であっても使用期限の切れている消火器は火災時には点滅させないようにしても良い。もしくは期限が切れていることを情報として付加して点滅などの表示を変化させても良い。
【0046】
更に図3(A)の表示画面70の地図72について火災発生に伴い「赤紫色」に点滅している消火器シンボル78に対しマウスの操作によりマウスカーソル80を例えば矢印Aのように近づけると、予め定めた範囲に近づいたときに図3(B)に示すように消火器の使用方法を示す例えば消火器ガイダンス動画82の再生が開始される。
【0047】
このため現場確認に向かう前に消火器ガイダンス動画82を見る事で消火器の使用方法を確認し、現場で火災を確認して初期消火を行う際に適切に消火器を取り扱うことができる。
【0048】
図4は本実施形態でデータベース40に登録された地図データファイルを示している。地図データファイル88はヘッダ90、地図データ92、シンボルデータ94及びガイダンスデータ96で構成されている。図4の地図データファイル88は例えば図3に示した地図72に対応した階別の地図データファイルである。
【0049】
ヘッダ90は地図データの管理に必要な種別情報、例えば警戒区域の番号や階数、建物名が格納されている。地図データ92はCADで作成された例えば図3の地図72のようなレイアウトデータである。
【0050】
シンボルデータ94は地図データ92に配置している防災端末機器の設置場所を示す機器ごとのシンボルデータの集合である。更にガイダンスデータ96は図3(B)に示したような火災発生時に表示した地図72の消火器シンボル78にマウスカーソル80を近づけた時に再生する消火器ガイダンス動画82などを格納したガイダンスデータである。
【0051】
シンボルデータ94として例えば感知器シンボルデータ98と消火器シンボルデータ100を右側に取り出して示している。
【0052】
感知器シンボルデータ98は、シンボル識別子を含むシンボル名、位置座標、図形データ、指定色で構成されている。また消火器シンボルデータ100はシンボル識別子を含むシンボル名、位置座標、図形データ、指定色に加え更に有効期限を登録している。更に
、消火器シンボルデータ100の指定色は監視時、火災時にくわえ、有効期限切れ間近の際に使用する指定色を設定している。
【0053】
このような地図データファイル88の表示画面に対する表示は、地図データ92からRAMのメモリ領域として確保されたレイアウトレイヤに地図をレイアウト図形として配置し、同時に、シンボルレイヤにシンボルデータ94に基づいて各種のシンボルを配置し、レイアウトレイヤとシンボルレイヤを重ねて表示することで、シンボル配置した地図を表示することができる。
【0054】
またレイアウトレイヤに対しシンボルレイヤを独立に準備しているため、シンボル表示色の変更はシンボルレイヤの書き換えのみで実現でき、レイアウトレイヤは固定的に使用し、書き換えは必要ない。
【0055】
図5は図4の地図データファイル88に設けているガイダンスデータ96の他の例となる消火器ガイダンス静止画を示している。この消火器ガイダンス静止画84は消火器の操作方法を(1)〜(4)に分けてテキスト文書で示している。
【0056】
図6は本実施形態で表示する災害援助機器としての屋内消火栓にマウスが近づいたときに表示するガイダンス静止画を示した説明図である。図6の消火栓ガイダンス静止画86にあっては「屋内消火栓の操作方法」として(1)〜(5)の取扱方法がテキスト文書で表示され、その下に屋内消火栓の扉を閉めた状態と扉を開いた状態の説明図を表示している。
【0057】
図7は本実施形態による消火器の使用期限切れを管理して消火器シンボルを制御する画面表示を示した説明図である。図7(A)は図1の防災表示盤12でオペレータが液晶ディスプレイ28のメニュー画面を使用してキーボード30もしくはマウス32により必要とする地図選択情報を入力し、地図情報表示部44によりデータベース40から選択された地図72を液晶ディスプレイ28の表示画面70に表示した状態である。
【0058】
このような表示画面70に対する地図72の選択動作に伴う表示を行うと、地図72の中に配置している消火器シンボル78について、有効期限切れに近いか否か判別し、有効期限切れに近い場合には図7(B)に示すように消火器シンボル78をそれまでの「青色」から「黒色」の点滅に切替え、有効期限切れに近い消火器であることを示す。
【0059】
このとき消火器シンボルを「黒色」で点滅させるとともに有効期限までの残り日数をその近傍に表示することが前述したように望ましい。これによってオペレータは地図72を開いた際にシンボル表示されている消火器が有効期限に近いか否か簡単に認識でき、有効期限に達するまでに消火器を交換するための措置をタイミングよくとることができる。
【0060】
また図7(B)のように有効期限に近い消火器を示す消火器シンボル78の黒色の点滅動作は地図72を画面上に表示してからオペレータが確認するに十分な時間、例えば10秒後に黒色の点滅を停止して元の青色に戻すようにする。
【0061】
図8は本実施形態の防災表示盤12による防災表示処理を示したフローチャートであり、図1を参照して説明すると次のようになる。
【0062】
図8において、防災表示処理はステップS1で防災受信盤10から火災検出情報の受信による火災発生の有無をチェックしており、火災発生を判別するとステップS2に進み、地図情報表示部44が火災発生場所を含む地図をデータベース40から読み出して液晶ディスプレイ28の画面上に表示する。
【0063】
続いてステップS3でシンボル表示制御部46が例えば図3(A)に示したように火災発報した火災感知器の感知器シンボル74−1をそれまでの青色から赤色に変化させて点滅させる。
【0064】
続いてステップS4でシンボル表示制御部46が火災発報した感知器シンボル74−1にもっとも近い災害援助機器、例えば消火器シンボル78について、それまでの「青色」から「赤紫色」に変化させて点滅させるシンボル制御を行う。
【0065】
このような感知器シンボル及び消火器シンボルの制御状態で、地図上の消火栓または消火器のシンボルにステップS5でマウスのカーソルが接近したか否か判別しており、カーソルの接近を判別するとステップS6に進み、カーソルが接近したシンボルの消火栓または消火器の使用方法のガイダンスを行う。
【0066】
この使用方法のガイダンスは図3(B)のようなガイダンス動画、あるいは図5または図6に示したガイダンス静止画によるガイダンスとなる。
【0067】
続いてステップ7で火災復旧を確認するまでステップS6からの処理を繰り返している。ステップS7で火災復旧を確認するとステップS8でシンボル制御を停止し、元のシンボル色に戻す。また必要があれば画面上の地図表示を終了して初期画面にリターンする。
【0068】
ステップS9でオペレータのキーボードやマウス操作による液晶ディスプレイ28のメニュー画面を使用した地図選択情報を判別すると、ステップS10で選択された地図を例えば図7(A)に示したように画面表示し、表示された地図に配置されている消火器シンボルに対応した消火器につき、ステップS11で有効期限切れの近い消火器があるか否かチェックする。
【0069】
このとき有効期限が1ヶ月未満の消火器があった場合にはステップS12に進み、一定時間にわたり図7(B)に示したように消火器シンボルをそれまでの「青色」から「黒色」に変化させて点滅させるシンボル制御を行う。続いてステップS13で地図画面のクローズを判別すると再びステップS1の処理に戻ることになる。
【0070】
また本発明は防災表示盤12に設けたコンピュータ、即ち図2のコントローラ26に示すコンピュータのハードウェア環境により実行される防災監視処理のためのプログラムを提供するものであり、このプログラムは図8のフローチャートの内容をもつ。
【0071】
尚、上記の実施形態で新たに表示するようにした消火器シンボルのシンボルマーク及び火災発生時が期限切れ間近の際の表示色については、必要に応じて適宜に変えることができる。
【0072】
また上記の実施形態は防災受信盤10の伝送路11に接続されずに監視対象とされていない消火器を、防災表示盤の地図にシンボル表示して管理する場合を例にとるものであったが、消火器以外に同様に防災受信盤10からの伝送路11に接続されずに対象となっていない他の防災機器についても、必要に応じて消火器と同様に処理することが可能である。
【0073】
消火器以外としては避難機器、現地災害情報表示盤などに本発明を適用できる。また、本発明の防災表示は、防災受信盤10の表示装置で行っても良い。また、地図の例として平面図を使用したが、立面図に本発明を適用しても良い。この場合、シンボルと共に場所名を表示するとなお位置が特定しやすい。
【0074】
また図4に示したデータベースに格納される地図データファイルのデータ内容は一例にすぎず、必要に応じて適宜のCADデータを使用しても良い。
【0075】
異常時として火災感知器からの火災信号を例にとったが、ガス漏れセンサや発信機からの信号に基づいて表示を行うようにしても良い。
【0076】
また本発明はその目的と利点を損なうことの無い適宜の変形を含み、さらに上記の実施形態による数値による限定は受けない。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】防災監視システムと共に本発明による防災表示盤の実施形態を示したブロック図
【図2】本実施形態における防災表示盤のハードウェア構成を示したブロック図
【図3】本実施形態による火災発生時の地図表示とカーソルを消火器シンボルに近づけた際に再生するガイダンス動画を示した説明図
【図4】本実施形態でデータベースに登録された地図データファイルを示した説明図
【図5】本実施形態で表示する消火器のガイダンス静止画を示した説明図
【図6】本実施形態で表示する屋内消火栓のガイダンス静止画を示した説明図
【図7】本実施形態による消火器期限切れを管理して消火器シンボルを制御する画面表示を示した説明図
【図8】本実施形態による防災表示処理を示したフローチャート
【符号の説明】
【0078】
10:防災受信盤
11:伝送路
12:防災表示装置
14,15:中継器
16,20:アナログ煙感知器
17:防排煙ダンパ
18:地区音響装置
19:ラッチレリーズ
21:防火戸
22:アナログ熱感知器
24:光電式分離型煙感知器
26:コントローラ
28:液晶ディスプレイ
30:キーボード
32:マウス
34:プリンタ
36:ITVカメラ
38:スピーカ
40:データベース
42:地図情報管理部
44:地図情報表示部
46:シンボル表示制御部
48:ガイダンス処理部
70:表示画面
72:地図
74−1〜74−3:感知器シンボル
76:ダンパシンボル
78:消火器シンボル
80:マウスカーソル
82:消火器ガイダンス動画
84:消火器ガイダンス静止画
86:消火栓ガイダンス静止画
88:地図データファイル
90:ヘッダ
92:地図データ
94:シンボルデータ
96:ガイダンスデータ
98:感知器シンボルデータ
100:消火器シンボルデータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサや発信機の検出信号を受信して地図上に異常を表示する防災表示盤に於いて、
前記センサや発信機の設置場所を示す機器シンボルに加え、異常時に使用する消火機器や避難機器の災害援助機器の設置場所を示す災害援助機器シンボルを配置した監視対象の地図情報をデータベースに登録して管理する地図情報管理部と、
前記異常時に地図情報を前記データベースから読出して液晶ディスプレイ等の画面上に表示する地図情報表示部と、
前記異常時に前記地図情報表示部により表示された地図情報の中の機器シンボルの色を通常監視時の色とは異なる別の色に変化させると共に、前記機器シンボルの近傍に設置している前記災害援助機器を検出してそのシンボルの色を通常監視時の色とは異なる別の色に変化させるシンボル表示制御部と、
を設けたことを特徴とする防災表示盤。
【請求項2】
請求項1記載の防災表示盤に於いて、前記シンボル表示制御部は、前記地図情報に災害援助機器シンボルを配置した機器の有効期限を管理し、前記地図情報表示部により地図情報の選択入力に応じて地図情報が表示された際に、有効期限切れの近い機器を判別してその機器シンボルの色を通常監視時の色とは異なる且つ火災発生時とも異なる別の色に変化させることを特徴とする防災表示盤。
【請求項3】
請求項2記載の防災表示盤に於いて、前記シンボル表示制御部は、有効期限切れの近い災害援助機器の機器シンボルの色に変化させてから所定時間経過した後に元の色に戻すことを特徴とする防災表示盤。
【請求項4】
請求項1記載の防災表示盤に於いて、更に、前記異常時に前記地図情報表示部により表示された地図情報の中の災害援助機器のシンボルに対するカーソルの近接を検出した際に、前記災害援助機器の使用方法を示す取扱い情報を出力するガイダンス処理部を設けたことを特徴とする防災表示盤。
【請求項5】
請求項4記載の防災表示盤に於いて、前記ガイダンス処理部は前記取扱い情報として静止画又は動画を各シンボルの近傍に再生表示させることを特徴とする防災受信盤。
【請求項6】
センサや発信機の検出信号を受信して地図上に異常を表示する防災表示盤の制御方法に於いて、
前記センサや発信機の設置場所を示す機器シンボルに加え、異常時に使用する消火機器や避難機器の災害援助機器の設置場所を示す災害援助機器シンボルを配置した監視対象の地図情報をデータベースに登録して管理する地図情報管理プロセスと、
前記異常時に地図情報を前記データベースから読出して液晶ディスプレイ等の画面上に表示する地図情報表示プロセスと、
前記異常時に前記地図情報表示部により表示された地図情報の中の機器シンボルの色を通常監視時の色とは異なる別の色に変化させると共に、前記機器シンボルの近傍に設置している前記災害援助機器を検出してそのシンボルの色を通常監視時の色とは異なる別の色に変化させるシンボル表示制御プロセスと、
を設けたことを特徴とする防災表示盤の制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−37438(P2009−37438A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−201507(P2007−201507)
【出願日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】