説明

防犯住宅体験装置

【課題】泥棒による家屋侵入を困難にする工夫と、泥棒に狙われ難くする工夫とが施された住宅建物の構造を体験する防犯住宅体験装置を提供する。
【解決手段】住宅展示棟10内に設けられ、住宅建物の屋内3と屋外2とを仕切る間仕切り壁11が設けられ、間仕切り壁11には面格子付サッシ12、二重に鍵が付いたサッシ13、センサーライト14が設けられ、間仕切り壁11の屋外2には、低い土台上に、透視できる塀本体21が設けられて勝手口通路22が形成され、勝手口通路22には、玉砂利23が設けられるとともに、レール24が敷設され、レール24上には、視線部分にモニターカメラ25を有する泥棒を模した人形の模型26が走行可能となされ、間仕切り壁11の屋内3には、モニターカメラ25の映像を映すモニター31が設けられて模型26の動きと連動した解説を行うようになされた防犯住宅体験装置1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、泥棒による家屋侵入を困難にする工夫と、泥棒に狙われ難くする工夫とが施された住宅建物の構造を体験するための体験装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、住宅建物においては、泥棒などが家屋内に侵入しないように、数々の防犯対策が施されている。これらの防犯対策は、住宅建物のカタログに紹介したり、展示住宅に訪れた購入予定者に、口頭で説明したりしていた。そして、この説明によって、防犯対策に優れた住宅建物とはどのようなものであるのかを理解してもらっていた。
【0003】
しかし、防犯に関して専門知識の無い者がカタログのみで説明することは難しく、展示住宅に訪れた購入予定者に対しても充分に説明することができない。
【0004】
そこで、従来より、このような防犯対策を容易に把握でき、その違いを理解することができるものとして、住宅建物の外観を模した屋外に泥棒を模した人形を動かし、この人形の動きにあわせて防犯構造を説明するようになされた防犯住宅解説装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−249900号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の解説装置の場合、泥棒を模した人形の動きを離れた位置から客観的に見てしまうので、防犯構造を理解することはできるが、その効果がどの程度のものであるかを泥棒の立場で実感することができないといった不都合を生じる。
【0006】
また、実際に居住しているのは屋内であるが、屋外から泥棒を模した人形の動きを見るように構成されているので、当事者的な目線から現実的にどの程度の防犯性があるのか体感することができないといった不都合を生じる。
【0007】
本発明は係る実情に鑑みてなされたものであって、泥棒による家屋侵入を困難にする工夫と、泥棒に狙われ難くする工夫とが施された住宅建物の構造を体験することができる防犯住宅体験装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明の防犯住宅体験装置は、住宅展示棟内に設けられてなり、住宅建物の屋内と屋外とを仕切る間仕切り壁が設けられ、この間仕切り壁には面格子付サッシ、二重に鍵が付いたサッシ、センサーライトが設けられ、間仕切り壁の屋外には、その背後に人が隠れることが困難な高さとなされた低い土台上に、透視できるようになされた塀本体が設けられて勝手口通路が形成され、この勝手口通路には、玉砂利が設けられるとともに、レールが敷設され、このレール上には、視線部分にモニターカメラを有する泥棒を模した人形の模型が走行可能となされ、間仕切り壁の屋内は、上記モニターカメラの映像を映すモニターが設けられ、模型の動きに連動した解説が行われるようになされたものである。
【0009】
また、上記防犯住宅体験装置において、模型が面格子付サッシの位置で停止した際には、面格子サッシを外すことが困難な点を解説し、模型の走行時には、玉砂利の上を人が歩く際の足音が流れるようになされ、模型が塀の横を走行する際には、塀の外から見通されて身を隠すことができない点を解説し、模型がサッシの位置で停止した際には、鍵が二重である点を解説し、模型にセンサーライトが照射された際には、驚いて逃げ隠れできない点を解説するようになされたものであってもよい。
【発明の効果】
【0010】
以上述べたように、本発明によれば、泥棒による家屋侵入を困難にする工夫と、泥棒に狙われ難くする工夫とが施された住宅建物の構造を、実際に居住する室内から当事者的に体験することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0012】
図1および図2は防犯住宅体験装置1の全体構成の概略を示している。
【0013】
すなわち、この防犯住宅体験装置1は、住宅展示棟10内に設けられて一室を構成するようになされており、住宅建物の屋外2と屋内3とを仕切る間仕切り壁11が設けられ、この間仕切り壁11には、面格子付サッシ12、掃出し窓13、センサーライト14が設けられ、間仕切り壁11の屋外2には、塀21が設けられて勝手口通路22が形成され、この勝手口通路22には玉砂利23が設けられるとともに、レール24が敷設され、このレール24上には、視線部分にモニターカメラ25を有する泥棒を模した模型26が走行可能に設けられ、間仕切り壁11の屋内3は、上記モニターカメラ25の映像を映すモニター31が設けられ、模型26の動きに連動した解説が行われる。
【0014】
間仕切り壁11は、実際の住宅建物の屋外2と屋内3とを仕切る壁体と同じように形成されている。このうち、一面に設けられた間仕切り壁11には、面格子付サッシ12が設けられている。また、この間仕切り壁11に隣接して直交する間仕切り壁11には、掃出し窓13、センサーライト14が、それぞれ設けられている。
【0015】
面格子付サッシ12は、ドライバーや六角レンチなどの市販の工具では外せない特殊形状の取付ビスで取り付けられたものが用いられている。したがって、泥棒が面格子付サッシ12の面格子を外して屋内3に侵入する場合、この面格子を外すことができないため、屋内3への侵入は困難となる。このように侵入困難な趣旨の泥棒のつぶやきは、屋内3のスピーカ(図示省略)から放送される。
【0016】
掃き出し窓13は、屋内3側から二つの鍵を施錠することができるようになされ、しかも防犯合わせガラスによって形成されている。泥棒が掃き出し窓13から屋内3に侵入する場合、鍵の付近で窓ガラスを割り、この割れた部分から内部の鍵を開錠することによって行われるが、この鍵が二つもあり、しかも防犯合わせガラスで割り難くなっていることから、屋内3への侵入は困難となる。このように侵入困難な趣旨の泥棒のつぶやきは、模型26が掃き出し窓13の位置に近づいた際に放送される。
【0017】
センサーライト14は、掃出し窓13の近傍に設けられ、この掃出し窓13に人が近づくと、点滅して人の気配があることを視覚的に強調するようになされている。したがって、泥棒が掃き出し窓13から屋内3に侵入する場合、センサーライト14の点滅で人目に付くので身を潜めて作業することができなくなる。このような趣旨の泥棒のつぶやきは、模型26がセンサーライト14に近づいてセンラーライト14が点滅した際に放送される。
【0018】
屋外2は、間仕切り壁11に沿って塀21が設けられ、この塀21と間仕切り壁11との間に勝手口通路22を形成するようになされている。この塀21は、その背後に人が隠れることが困難な高さとなされた低い土台21a上に、塀本体21bを設けて構成されている。塀本体21bは、塀21の外側から勝手口通路22を容易に透視することができるように、充分に隙間のあるフレームで組み立てられたものが使用されている。したがって、泥棒が身を潜めて勝手口通路22を通過しようとしても、近隣や道路側から容易に透視することができるので、直ぐに人目についてしまう。このように勝手口通路22で身を潜めることができない趣旨の泥棒のつぶやきは、模型26が勝手口通路22の塀21の前を通過する際に放送される。
【0019】
この勝手口通路22には、玉砂利23が設けられ、この玉砂利23の上を人が歩いた際に、玉砂利23による足音が発生して気配を感じることができるようになされている。したがって、泥棒が身を潜めて勝手口通路22を通過しようとしても、屋内3や近隣の人に足音を聞かれて気付かれ易くなってしまう。このように勝手口通路22から身を潜めて侵入することができない趣旨の泥棒のつぶやきは、模型26が勝手口通路22の玉砂利23の上を通過する際に放送される。
【0020】
なお、上記の各放送内容は、あらかじめ録音されたものが、屋内3のスピーカー(図示省略)を介して放送される。放送のタイミングは、この装置全体の制御装置(図示省略)で行うものであってもよいし、模型26の位置をセンサー(図示省略)で検出し、それに反応して行うものであってもよい。
【0021】
また、この勝手口通路22には、間仕切り壁11に沿って直線状にレール24が設けられている。このレール24は、間仕切り壁11の掃出し窓13の前方を通過するように設けられている。
【0022】
このレール24上には、視線部分にモニターカメラ25を有する泥棒を模した模型26が走行可能に設けられる。この模型26は、モーターやエアシリンダー(図示省略)などで駆動する模型本体の表面を泥棒を模した人形の着ぐるみで被覆して構成されており、泥棒が勝手口通路22を用心深く歩いている様子を表現しながら動くようになされている。この模型26は、掃出し窓13が設けられた間仕切り壁11の一端側、すなわち、勝手口通路22に設けられたレール24の一端側にスタンバイするようになされており、スイッチ(図示省略)を入れて作動させると、掃出し窓13の前へとレール24上を一端側から他端側へと進行するようになされている。そして、他端側で模型26は、センサーライト14に照射されて慌てふためいて動くようになされている。この間の様子は、模型26の視線部分に設けられたモニターカメラ25によって、泥棒目線で撮影される。
【0023】
また、この勝手口通路22のさらに屋外側の住宅展示棟10の壁面10aの内側には、屋内3から窓越しに見た際に、屋外の風景を構成するように、屋外風景の合成写真が設けられている。
【0024】
屋内3には、上記した屋外2の模型26に取り付けられたモニターカメラ25の映像を映すモニター31が設けられている。このモニター31は、間仕切り壁11の掃出し窓13の近傍に設けられており、この掃出し窓13を介して屋外2の様子を見ながらモニター31を見ることができるようになされている。
【0025】
なお、面格子付サッシ12が設けられた間仕切り壁11に沿った勝手口通路22については、レール24を設けておらず、模型26が走行するように構成していないので、あらかじめ泥棒目線で撮影しておいた映像が、モニターカメラ25の映像の代わりとして使用される。
【0026】
次に、このようにして構成される防犯住宅解説装置1の使用方法について説明する。
【0027】
まず、住宅展示棟10の案内員は、見学に訪れた住宅建物の購入予定者を、屋内3に案内する。案内後、スイッチ(図示省略)を押すと、屋内3では、これから始まる防犯防止体験が、モニター31の映像と屋内3に流れる音声とによって説明され、屋外2では、自動的に照明が落ちて少し暗くなる。
【0028】
先ず最初に、あらかじめ撮影しておいた、面格子付サッシ12が設けられた間仕切り壁11に沿った勝手口通路22を通過する映像が流され、玉砂利23による足音と、この足音によって勝手口通路22から身を潜めて侵入することができない趣旨の泥棒のつぶやきが放送される。
【0029】
次に、モニター31の映像が面格子付サッシ12の位置に近づくと、面格子付サッシ12が、特殊形状の取付ビスで取り付けられており、ドライバーや六角レンチなどの市販の工具では外せない趣旨の泥棒のつぶやきが放送される。その間、泥棒目線の映像は、モニター31に映される。
【0030】
面格子付サッシ12をあきらめて、勝手口通路22の先を曲がると、あらかじめ撮影しておいた映像から、模型26のモニターカメラ25の映像に切り替えられ、掃出し窓13が設けられた側の間仕切り壁11に沿って勝手口通路22を模型26が移動し始める。ここでは、勝手口通路22を通過する泥棒目線の映像がモニター31に映され、玉砂利23による足音と、この足音によって勝手口通路22から身を潜めて侵入することができない趣旨の泥棒のつぶやきが放送される。また、勝手口通路22横の塀21は、外側から勝手口通路22を容易に透視することができるように、充分に隙間のあるフレームで組み立てられているため、直ぐに人目についてしまい身を潜めることができない趣旨の泥棒のつぶやきが放送される。
【0031】
ついで、掃出し窓13では、二重に鍵が設けられているため、簡単に開けることができない趣旨の泥棒のつぶやきが放送される。そして、さらに掃出し窓13に近づいたところでセンサーライト14が点滅し、驚くと同時に、人目に付いて作業ができないため退散する趣旨の泥棒のつぶやきが放送される。この間の様子は、全て泥棒目線の映像がモニター31に映され、このモニター31の映像、または掃出し窓13越しに見える模型26の様子を見ながら屋内3の放送を聞いて確認できるようになされている。
【0032】
その後、屋内3では、モニター1の映像が切り替わり、一連の防犯設備を総括する放送が行われる。屋外2では、模型26がレール24の一端側へと戻る。
【0033】
この防犯住宅体験装置1によると、屋内3のモニター31に映される映像と、その際の泥棒自身のつぶやきから、泥棒目線で防犯対策を体験することができる。しかも、実際に泥棒に狙われている状況下で屋内3から体験するため、住宅に居住する当事者的に体験することができ、より現実的で強い印象を与えることができる。
【0034】
なお、本実施の形態において、防犯住宅体験装置1は、勝手口通路22がL字状に設けられ、二面の間仕切り壁11に、面格子付サッシ12と掃出し窓13とがそれぞれ設けられているが、一面の間仕切り壁11にこれら全てを設けるようにして勝手口通路22を直線状にしたものであってもよい。
【0035】
また、本実施の形態において、防犯住宅体験装置1は、泥棒による家屋侵入を困難にする工夫および泥棒に狙われ難くする工夫として、特殊工具でしか外すことができない面格子付きサッシ12、二つの鍵を有する掃き出し窓13、センサーライト14、視認性の高い塀21、玉砂利23の音が挙げられているが、これらのうち少なくとも一つ以上を有するようになされた防犯住宅体験装置1であってもよい。
【0036】
さらに、本実施の形態において、モニター31の映像は、あらかじめ撮影しておいた映像とモニターカメラ25の映像とを併用するようになされているが、レール24を面格子付サッシ12の前も通過するL字状に配置して全てモニターカメラ25の映像とするものであってもよいし、レール24や模型26を設けず、全ての映像をあらかじめ撮影しておいた映像としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
住宅建物の販売促進を図る装置として利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る防犯住宅解説装置の全体構成の概略を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る防犯住宅解説装置の全体構成の概略を示す平面図である。
【符号の説明】
【0039】
1防犯住宅解説装置
10住宅展示棟
11間仕切り壁
12面格子付サッシ
13 掃出し窓
14 センサーライト
2 屋外
21 塀
21a 土台
21b 塀本体
22 勝手口通路
23 玉砂利
24 レール
25 モニターカメラ
26 模型
3 屋内
31 モニター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅展示棟内に設けられてなり、住宅建物の屋内と屋外とを仕切る間仕切り壁が設けられ、
この間仕切り壁には面格子付サッシ、二重に鍵が付いたサッシ、センサーライトが設けられ、
間仕切り壁の屋外には、その背後に人が隠れることが困難な高さとなされた低い土台上に、透視できるようになされた塀本体が設けられて勝手口通路が形成され、この勝手口通路には、玉砂利が設けられるとともに、レールが敷設され、このレール上には、視線部分にモニターカメラを有する泥棒を模した人形の模型が走行可能となされ、
間仕切り壁の屋内は、上記モニターカメラの映像を映すモニターが設けられ、模型の動きに連動した解説が行われるようになされたことを特徴とする防犯住宅体験装置。
【請求項2】
模型が面格子付サッシの位置で停止した際には、面格子サッシを外すことが困難な点を解説し、
模型の走行時には、玉砂利の上を人が歩く際の足音が流れるようになされ、
模型が塀の横を走行する際には、塀の外から見通されて身を隠すことができない点を解説し、
模型がサッシの位置で停止した際には、鍵が二重である点を解説し、
模型にセンサーライトが照射された際には、驚いて逃げ隠れできない点を解説するようになされた請求項1記載の防犯住宅体験装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−139961(P2010−139961A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−318387(P2008−318387)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【出願人】(000198787)積水ハウス株式会社 (748)
【Fターム(参考)】