説明

防草シート

【課題】 本発明は、遮光性、貫通抵抗性、透水性及び耐久性に優れた防草シートを提供する。
【解決手段】 本発明の防草シート1は、2枚の短繊維不織布1,2と、前記短繊維不織布1,2の間に積層接着された合成樹脂層3と、を有し、前記合成樹脂層3に、前記2枚の短繊維不織布1,2の短繊維11,21の端部が、それぞれ貫入していることを特徴とする。この短繊維不織布1,2としては、短繊維をニードリングによって三次元交絡させた不織布が用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雑草などの繁殖を抑制するために歩道や法面などに敷設される防草シートに関する。
【背景技術】
【0002】
歩道や法面などの地面に雑草が繁殖することを抑制するために、地面に防草シートが敷設されることがある。
上記防草シートには、(1)雑草の繁殖を抑制するために、遮光性を有すること、及び種子が発芽しても芽が突き抜けないこと(貫通抵抗性を有すること)、(2)防草シート上を歩く歩行者などが滑らないように、適度な透水性を有すること、(3)歩行によって破れたりしないように、耐久性を有すること、などの各種性能が求められる。
【0003】
従来、長繊維を圧接接着して形成した不織布を基材とし、前記不織布の表面に、無機系粒子及び/又は有機系粒子を分散相とし且つバインダーを連続相とするマトリックス材料からなる塗膜層が形成されている防草シートが開示されている(特許文献1)。
【0004】
また、ニードルパンチ処理による三次元交絡構造を有する長繊維不織布の片面に透水性樹脂層が積層されてなり、かつ引裂強力が0.2kg以上である防草シートが開示されている(特許文献2)。該透水性樹脂層としては、整泡剤により発泡させた微多孔樹脂層が開示されている(特許文献2の実施例)。
【特許文献1】特開2003−143975号公報
【特許文献2】特開平9−248070号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の防草シートは、透水性が極めて低く、防草シート上に水が溜まり易いという問題がある。また、長繊維不織布の表面に露出層が形成されている(塗膜層の表面が露出している)ので、該塗膜層上を歩行することによって塗膜層が破れ易いという問題もある。
一方、上記特許文献2の防草シートは、透水性樹脂層が、発泡による微多孔樹脂層からなるので、発芽した芽が前記微多孔樹脂層の孔に侵入して樹脂層を突き抜ける虞があり、貫通抵抗性が低いという問題がある。さらに、長繊維不織布の片面に透水性樹脂層が積層されている(透水性樹脂層が露出している)ので、上記特許文献1の防草シートと同様に、歩行によって透水性樹脂層が破れ易い。
【0006】
本発明の目的は、遮光性、貫通抵抗性、透水性及び耐久性に優れた防草シートを提供することである。
【0007】
本発明の防草シートは、2枚の短繊維不織布と、前記短繊維不織布の間に積層接着された合成樹脂層と、を有し、前記合成樹脂層に、前記2枚の短繊維不織布の短繊維の端部が、それぞれ貫入していることを特徴とする。
【0008】
上記防草シートは、2枚の短繊維不織布の間に合成樹脂層が積層接着されているので、3層構造であり、遮光性に優れている。また、合成樹脂層の両面に短繊維不織布が積層されているので、上記防草シートを敷設した後、歩行によって合成樹脂層に傷付や破れが生じず、耐久性に優れている。さらに、上記防草シートは、2枚の短繊維不織布と合成樹脂層の少なくとも3層構造なので、貫通抵抗性に優れている。
さらに、上記防草シートは、短繊維不織布の短繊維の端部が合成樹脂層に貫入しているので、該貫入した短繊維と合成樹脂層の間に極めて微細な隙間を有する。かかる微細な隙間を通じて合成樹脂層内を水が浸透するので、上記防草シートは、透水性(及び通気性)に優れている。なお、長繊維不織布では、繊維の端部が無数に存在しないので、合成樹脂層に無数の繊維貫入部分を形成することはできない。
なお、上記防草シートは、貫入した短繊維と合成樹脂層の間に水が浸透し得る隙間を有するが、該隙間は、極めて微細であり、且つ短繊維は無秩序に合成樹脂層に貫入しているので、発芽した芽が該隙間を通じて合成樹脂層を突き抜ける虞はない。
【0009】
本発明の好ましい防草シートは、上記短繊維不織布が、短繊維をニードリングによって三次元交絡させた不織布である。
かかるニードリングによって三次元交絡させた不織布は、より多くの短繊維の端部が合成樹脂層に貫入する上、耐久性及びクッション性に優れているので好ましい。
【0010】
本発明の好ましい防草シートは、上記合成樹脂層に、多孔質粉体が含まれている。
かかる多孔質粉体が含有された合成樹脂層は、該多孔質粉体を通じて水が浸透するので、より透水性に優れた防草シートを提供できる。
【0011】
本発明の好ましい防草シートは、上記2枚の短繊維不織布の間に、溶融させた熱可塑性樹脂を介在させた後、前記熱可塑性樹脂を硬化させて合成樹脂層を形成することにより、前記短繊維が貫入した合成樹脂層が形成されている。
2枚の短繊維不織布の間に溶融させた熱可塑性樹脂を介在させることにより、短繊維不織布の表面から突出する短繊維の端部が溶融した熱可塑性樹脂に入り込む。従って、該熱可塑性樹脂を硬化させると、無数の短繊維の端部が貫入した合成樹脂層を簡易に且つ確実に形成できる。さらに、前記合成樹脂層を介して、2枚の短繊維不織布を良好に接着することもできる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の防草シートは、遮光性、貫通抵抗性、透水性及び耐久性に優れている。
該防草シートを地面に敷設することにより、長期間に亘って、雑草などの繁殖を抑えることができ、更に、その上を安全に歩行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明について図面を参照しつつ説明する。
図1において、10は、防草シートを示す。
該防草シート10は、上下2枚の短繊維不織布1,2(以下、第1不織布1及び第2不織布2と言う場合がある)と、前記第1不織布1及び第2不織布2の間に積層接着された合成樹脂層3と、を有する。
上記合成樹脂層3には、第1不織布1から起毛した無数の短繊維11の端部及び第2不織布2から起毛した無数の短繊維21の端部がそれぞれ貫入している。
ただし、第1不織布1及び第2不織布2から起毛した短繊維11,21の端部の全てが、合成樹脂層3に貫入しているという意味でない。また、貫入とは、短繊維11,21の端部が、合成樹脂層3の厚み方向に貫通している状態、及び、短繊維11,21の端部が合成樹脂層3を貫通していないが、合成樹脂層3の厚み方向中途部にまで刺さった非貫通状態を含む。
【0014】
第1不織布1及び第2不織布2は、短繊維をシート状に形成した不織布であれば特に限定されず、各種の不織布を用いることができる。前記不織布のウェッブの接合方法としては、ニードルパンチやウォーターパンチなどのニードリング法、接着剤を含浸または噴射して繊維の交点を接着させるケミカルボンド法、低融点繊維を混入して該低融点繊維を介して繊維を接着させるサーマルボンド法、などが挙げられる。本発明では、何れの不織布を用いることができるが、好ましくはニードリングによって三次元交絡構造とされた不織布が用いられる。ニードリングによって三次元交絡させた不織布は、より多くの短繊維の端部が不織布の表面から突出する上、耐久性及びクッション性に優れているからである。
また、上記ニードリング法で形成される不織布において、サーマルボンド法を併用してもよい。例えば、繊維ウェッブに低融点繊維を混入し、ニードリングの前後に、熱ロールに通して低融点繊維を溶融させ、部分的に接着してもよい。このように低融点繊維によって短繊維を部分接着することにより、短繊維が抜け難い不織布を形成できる。
【0015】
上記第1不織布1及び第2不織布2は、例えば、所望の色に着色された短繊維によって形成されている。該色は、特に限定されず、遮光性及び意匠性を考慮して適宜選択できる。本発明の防草シート10が、例えば、上記第2不織布2側を地面に向けて敷設される場合には、該第2不織布2は、遮光性に優れた色(黒色や濃紺色など)に着色されていることが好ましく、第1不織布1は、周辺環境と違和感がなく且つ遮光性に優れる色(例えば、深緑色など)に着色されていることが好ましい。
【0016】
上記第1不織布1及び第2不織布2の形成に用いる短繊維11,21としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系繊維、ナイロン66などのポリアミド系繊維、ポリプロピレンなどのオレフィン繊維などの合成樹脂繊維、天然繊維などを例示できる。中でも、耐候性及び剛性などに優れていることから、ポリエステル繊維が好ましい。また、上記低融点繊維を混入する場合には、該低融点繊維は、前記短繊維よりも融点が低い繊維が選択される。該低融点繊維の割合は、前記短繊維100質量部に対して、5〜10質量部程度が好ましい。なお、下記実施例に記載の通り、鞘部分が低融点樹脂からなる複合短繊維を用いることもできる。
また、上記不織布は、難燃処理が施されていることが好ましい。難燃処理としては、上記短繊維に、リン系などの難燃剤を混合する方法などが挙げられる。
【0017】
上記短繊維11,21の繊度は、特に限定されないが、好ましくは0.5〜30dtexであり、より好ましくは1〜20dtexである。短繊維が余りに細いと、合成樹脂層3に貫入し難く、一方、短繊維が余りに太いと、不織布の空隙が多くなり遮光性が低下するからである。
上記短繊維11,21の繊維長は、特に限定されないが、好ましくは20〜200mmであり、より好ましくは30〜100mmである。短繊維の繊維長が余りに短いと、短繊維の交絡が不十分となり、抜けや強度不足を生じる虞があり、一方、短繊維の繊維長が余りに長いと、合成樹脂層3に貫入しうる短繊維の端部の数が、相対的に少なくなるからである。
なお、上記第1不織布1及び第2不織布2は、1種類の短繊維から形成されていてもよいし、或いは、材質及び/又は繊度及び/又は繊維長が異なる複数種の短繊維から形成されていてもよい。
【0018】
上記第1不織布1及び第2不織布2の目付量は、特に限定されないが、好ましくは100〜500g/mであり、より好ましくは150〜400g/mである。また、その厚みについても特に限定されないが、好ましくは1〜5mmであり、より好ましくは1〜3mmである。不織布の目付量や厚みが余りに小さいと、耐久性及び遮光性が十分ではなく、一方、不織布の目付量や厚みが余りに大きいと、費用対効果の点から好ましくないからである。
【0019】
上第1不織布1及び第2不織布2の遮光率は、好ましくは95%以上であり、より好ましくは98%以上である。
なお、上記第1不織布1及び第2不織布2は、同じ不織布でもよいし、異なる不織布を用いてもよい。
【0020】
次に、上記合成樹脂層3は、熱可塑性樹脂を含み、第1不織布1と第2不織布2にそれぞれ接着されている。合成樹脂層3を形成する熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、塩化ビニル系樹脂などを例示できる。後述するように、合成樹脂層3は、例えば、第1不織布1及び第2不織布2の間に介在させた溶融樹脂を硬化させることによって形成できる。従って、合成樹脂層3を形成する熱可塑性樹脂としては、不織布の短繊維よりも融点が低い樹脂を用いることが好ましく、かかる熱可塑性樹脂は、不織布の短繊維との関係で相対的に選定される。
【0021】
一般に、ポリエチレンの融点は、その密度の相違などによって上下差はあるものの、概ね100℃〜145℃の範囲である。また、ポリプロピレンの融点は、その分子構造及び分子量などによって上下差はあるものの、概ね150℃〜170℃である。ポリアミドの融点は、ナイロン66やナイロン6などの構造の相違によって上下差はあるものの、概ね210℃〜270℃である。また、ポリエステルの融点は、概ね260℃〜275℃である。従って、不織布の短繊維として、ポリエステル系樹脂やポリアミド系樹脂などの高融点繊維を用いる場合には、合成樹脂層3としては、ポリエチレンやポリプロピレンなどの低融点樹脂を用いることが好ましい。特に、ポリエチレンを用いれば、伸縮性に優れた合成樹脂層3を形成できる。
【0022】
上記合成樹脂層3の厚みは、特に限定されないが、好ましくは50〜300μmであり、より好ましくは50〜200μmであり、特に好ましくは100〜150μmである。合成樹脂層3の厚みが余りに薄いと、貫通抵抗性が低下し、一方、合成樹脂層3の厚みが余りに厚いと、透水性が低下するからである。
【0023】
また、遮光性を高めるため、上記合成樹脂層3は、黒色などに着色されていることが好ましい。例えば、樹脂組成物にカーボンブラックなどの顔料を混合することにより、着色された合成樹脂層3を形成できる。
【0024】
さらに、上記合成樹脂層3には、多孔質粉体が含まれていることが好ましい。多孔質粉体が分散含有されていると、多孔質粉体を通じて、合成樹脂層3の厚み方向に水が浸透するため、より透水性に優れた防草シート10を提供できる。
前記多孔質粉体としては、多孔質の無機粉体などを用いることができ、多孔質の無機粉体としては、炭酸カルシウム、シリカ、酸化アルミニウム、タルクなどを例示できる。
上記合成樹脂層3に多孔質粉体を配合する場合、合成樹脂成分と多孔質粉体の配合割合は、合成樹脂60〜80質量%、多孔質粉体20質量%〜60質量%程度が好ましい。
【0025】
上記防草シートは、例えば、下記の方法で製造できる。
長尺状の2枚の短繊維不織布を送りながら、前記2枚の短繊維不織布の間に、合成樹脂層形成用押出機を用いて、溶融させた樹脂組成物を挟み込み、ローラで圧着しつつ冷却して樹脂組成物を硬化させることによって、上記防草シートを得ることができる。
かかる方法によれば、2枚の短繊維不織布の表面(積層面)から突出した短繊維の端部が、溶融状態の樹脂組成物中に入り込むため、合成樹脂層に不織布の短繊維が貫入した防草シートを簡易に且つ確実に製造できる。
【0026】
上記防草シート10は、第1不織布1または第2不織布2を地面に向けて敷設される。
従来の防草シートのように樹脂層(一般に、不織布に比して、樹脂層は外力によって傷付または破れ易い)が露出している場合には、耐久性に劣るが、本発明の防草シート10は、図1に示すように、合成樹脂層3の両面に第1不織布1及び第2不織布2が積層されているので、合成樹脂層3が損傷し難く、耐久性に優れている。
また、本発明の防草シート10は、無数の短繊維11,21の端部が合成樹脂層3に貫入しているので、該貫入した短繊維の周囲において合成樹脂層3との間に極めて微細な隙間を有する。かかる微細な隙間を通じて合成樹脂層3の表面から裏面へと水が浸透するので、上記防草シートは、透水性(及び通気性)に優れている。
なお、該短繊維11,21の端部は、合成樹脂層3の厚み方向に貫通している状態もあれば、非貫通状態もある。短繊維11,21の端部が合成樹脂層3に対して非貫通であっても、合成樹脂層3の内部で、第1不織布1の短繊維11の端部と第2不織布2の短繊維21の端部が接触することにより、それら端部の周囲の隙間が連通するので、該隙間を通じて水が浸透する。
本発明の防草シート10の透水係数は、好ましくは1×10−1〜1×10−3cm/secの範囲であり、より好ましくは1×10−2〜1×10−3cm/secの範囲である。防草シート10の透水係数が余りに低すぎると、防草シートの表面(短繊維不織布)に水が溜まるので歩行時に滑り易くなり、一方、防草シートの透水係数が余りに高すぎると、貫通抵抗性が相対的に低下することに加えて、大雨時、地面への水の浸透量が多くなり防草シートを敷設した地盤が緩み過ぎる虞があるからである。
【実施例】
【0027】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を更に詳述する。ただし、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
【0028】
(使用した不織布)
(1)短繊維不織布(A):
緑色に着色されたポリエステル短繊維(繊度:11dtex。繊維長:64mm〜72mm)を72質量%、黒色に着色されたポリエステル短繊維(繊度:6.6dtex。繊維長:64mm〜72mm)を21質量%、黒色に着色された複合短繊維(芯部分が黒色に着色されたポリエステル、鞘部分が低融点のポリエチレンからなる芯鞘構造の複合短繊維。繊度:4.4dtex。繊維長:64mm〜72mm)を7質量%、をカーディングにてウェッブとした後、ニードルパンチ(針打ち密度:250本/cm)で交絡させ、目付量200g/mの不織布を作製した。
(2)短繊維不織布(B):
黒色に着色されたポリエステル短繊維(繊度:6.6dtex。繊維長:64mm〜72mm)を93質量%、黒色に着色された複合短繊維(芯部分が黒色に着色されたポリエステル、鞘部分が低融点のポリエチレンからなる芯鞘構造の複合短繊維。繊度:4.4dtex。繊維長:64mm〜72mm)を7質量%、をカーディングにてウェッブとした後、ニードルパンチ(針打ち密度:250本/cm)で交絡させ、目付量200g/mの不織布を作製した。
(3)長繊維不織布(C):
黒色に着色されたポリエステル長繊維(繊度:2dtex)を、スパンボンド法によりシート状に形成し、目付量300g/mの不織布を作製した。
【0029】
(実施例1)
上記短繊維不織布(A)と短繊維不織布(B)の間に、約200℃で溶融させた低融点樹脂(メタロセンポリエチレン100質量部とカーボンブラック1質量部の混合物)を塗工量150g/mでシート状に押し出し、冷却ローラー間に通して前記低融点樹脂を硬化させ、短繊維不織布(A)/合成樹脂層/短繊維不織布(B)からなる3層構造の防草シートを作製した。なお、上記約200℃で溶融させた低融点樹脂を塗工した際、短繊維不織布(A)及び(B)に含まれる複合短繊維のポリエチレンも若干溶融する。このため、短繊維不織布(A)及び(B)の交絡点が部分接着し、不織布の強度を向上できる。
得られた防草シートの厚みは、3.00mmであり、そのうち合成樹脂層の厚みは、0.2mmであった。
【0030】
(実施例2)
上記短繊維不織布(A)と短繊維不織布(B)の間に、約200℃で溶融させた低融点樹脂(メタロセンポリエチレンと多孔質炭酸カルシウム(三共精粉社製、製品名「カルペットA」)の混合物。メタロセンポリエチレン:多孔質炭酸カルシウム(質量比)=7:3)を塗工量150g/mでシート状に押し出し、冷却ローラー間に通して前記低融点樹脂を硬化させ、短繊維不織布(A)/合成樹脂層/短繊維不織布(B)からなる3層構造の防草シートを作製した。
得られた防草シートの厚みは、3.14mmであり、そのうち合成樹脂層の厚みは、0.15mmであった。
【0031】
(実施例3)
低融点樹脂の塗工量を300g/mとしたこと以外は、実施例2と同様にして、3層構造の防草シートを作製した。
得られた防草シートの厚みは、2.64mmであり、そのうち合成樹脂層の厚みは、0.3mmであった。
【0032】
(比較例1)
上記長繊維不織布(C)を2枚用い、その不織布(C)の間に、約200℃で溶融させた低融点樹脂(メタロセンポリエチレン)を塗工量150g/mでシート状に押し出し、冷却ローラー間に通して前記低融点樹脂を硬化させ、短繊維不織布(A)/合成樹脂層/短繊維不織布(B)からなる3層構造の防草シートを作製した。
得られた防草シートの厚みは、4.16mmであり、そのうち合成樹脂層の厚みは、0.2mmであった。
【0033】
(比較例2)
上記短繊維不織布(A)の一方の面に、約200℃で溶融させた低融点樹脂(メタロセンポリエチレン)を塗工量150g/mでシート状に押し出し、冷却ローラー間に通して前記低融点樹脂を硬化させ、短繊維不織布(A)/合成樹脂層からなる2層構造の防草シートを作製した。
得られた防草シートの厚みは、1.87mmであり、そのうち合成樹脂層の厚みは、0.2mmであった。
【0034】
上記実施例及び比較例の防草シートについて、それぞれ引張強度、引張伸度、突き刺し抵抗、遮光率及び透水係数を測定した。その結果を表1に示す。
ただし、各試験は、下記に示す方法で行った。
【0035】
【表1】

【0036】
表1から明らかな通り、実施例1〜3の防草シートは、引張強度に優れているので、耐久性に優れていると推察できる。また、実施例1〜3の防草シートは、突き刺し抵抗が高いので、芽が突き抜け難く、更に、適度な透水係数を有するので、表面に水が溜まり難いと推察できる。本発明の防草シートは、突き刺し抵抗が、30N以上が好ましく、更に、50N以上がより好ましい。
一方、比較例1及び2の防草シートは、透水性が低く、表面に水が溜まり易いと推察できる。さらに、比較例2の防草シートは、引張伸度が低く、柔軟性に劣っていた。また、比較例2の防草シートは、突き刺し抵抗が低く、雑草の繁殖を抑制できないと推察される。
【0037】
(引張強度及び引張伸度の測定法)
JIS L 1908に準じて測定した。
(突き刺し抵抗の測定法)
19本の針が突設された治具(FOSTER NEEDLE社製、製品名「BARBLESS ROUND」)を、テンシロン試験機((株)オリエンテック製、型番「UTA−10T」)のロードセルに取り付け、治具を試験片(縦横20cm四方に形成)の上から所定速度で下降させて、各針を試験片の上面から下面にまで貫通させ、貫通時の最大抵抗値を測定した。試験片は、5枚準備し、5枚の試験片の各最大抵抗値の平均を突き刺し抵抗とした。
なお、上記治具は、円盤状の支持板の上に、サイズ15×18×25×3の針が19本略均等(隣り合う針の間隔7.5mm)に植設されたものである。
また、治具の下降速度は、実施例1〜3及び比較例2の試験片については20mm/minとし、比較例1の試験片については、10mm/minとした。
(遮光率の測定法)
JIS L 1055に準じて測定した。
(透水係数の測定法)
JIS L 1099(A−1法)に準じて測定した。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の防草シートの一実施形態を示す一部省略断面図。ただし、合成樹脂層に短繊維が貫入した状態を模式的に示している。
【符号の説明】
【0039】
1…第1不織布、11…第1不織布の短繊維、2…第2不織布、21…第2不織布の短繊維、3…合成樹脂層、10…防草シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚の短繊維不織布と、前記短繊維不織布の間に積層接着された合成樹脂層と、を有し、
前記合成樹脂層に、前記2枚の短繊維不織布の短繊維の端部がそれぞれ貫入していることを特徴とする防草シート。
【請求項2】
前記短繊維不織布が、短繊維をニードリングによって三次元交絡させた不織布である請求項1に記載の防草シート。
【請求項3】
前記合成樹脂層に、多孔質粉体が含まれている請求項1または2に記載の防草シート。
【請求項4】
前記2枚の短繊維不織布の間に、溶融させた熱可塑性樹脂を介在させた後、前記熱可塑性樹脂を硬化させて合成樹脂層を形成することにより、前記合成樹脂層に短繊維を貫入させた請求項1〜3のいずれかに記載の防草シート。

【図1】
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