説明

防護カバー

【課題】端子カバーと、一次側のケーブル及び二次側のケーブルとに取り付けられたときに嵩張ることなく、隣り合う防護カバーと接触することを防ぐことのできる防護カバーを提供することを課題とする。
【解決手段】一次側のケーブルと二次側のケーブルとが同一面上で二股に分かれた状態で内部に導入された端子カバーを覆う防護カバー1において、前記端子カバーに巻き付け可能な絶縁性を有するシート本体2と、前記一次側のケーブル及び二次側のケーブルのそれぞれに巻き付け可能な絶縁性を有する一対の小片シート3,3とを備え、該一対の小片シート3,3のそれぞれは、前記シート本体2の外郭を構成する一端から延出するように配置されるとともに、シート本体2に対して姿勢変更可能に連結されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブル同士を接続する端子カバーを覆って絶縁するための防護カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、電力を送電する送電系は、相の異なる複数の送電経路で構成されている。そして、前記送電経路のそれぞれは、通常、横並びに配置されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
前記送電経路のそれぞれは、長尺な一本のケーブルで構成される場合があるが、一次側のケーブルと、二次側のケーブルとが電気的に接続されることで構成される場合もある。また、前記送電経路のそれぞれは、開閉器等の機器に電気的に接続されるにあたり、該機器に接続されたケーブルに対して送電経路を構成するケーブルが電気的に接続されることもある。このように、一次側のケーブルと二次側のケーブルとを電気的に接続する場合、何れにおいても、一次側のケーブルと二次側のケーブルとの接続部分を端子カバーで覆って絶縁が図られる。
【0004】
そして、ケーブルの接続部分を覆う端子カバーには、種々タイプのものがあり、その一つとして、有底筒状に形成されたケーシングと、前記ケーシングの開口部を閉じる蓋体とを備えたものがある。この種の端子カバーは、一次側のケーブル及び二次側のケーブルのそれぞれをケーシングの内部に導入するための一対の導入口が蓋体に設けられており、電気的に接続された一次側のケーブル及び二次側のケーブル(導入口に導入された一次側のケーブル及び二次側のケーブル)が蓋体の上面から二股に分かれた状態で延出するようになっている。
【0005】
ところで、この種の端子カバーは、例えば、作業者が各種機器(開閉器や変圧器等)の点検や保守作業を行う場合、絶縁することを目的として、絶縁性を有するシートからなる防護カバーが取り付けられることがある。前記防護カバーは、取り付けの対象となる端子カバーの略全周に亘って巻き付けられた後に、固定手段(例えば、絶縁性を有する粘着テープ)によって端子カバーに固定される。
【0006】
また、防護カバーには、絶縁性を有するシート本体と、該シート本体に取り付けられた一対の帯状シートとを備え、該一方の帯状シートに雄雌の何れか一方の面ファスナーが設けられるとともに、他方の帯状シートに雄雌の何れか他方の面ファスナーが設けられているものもある。この種の防護カバーは、前記シート本体を端子カバー(一次側のケーブル及び二次側のケーブルの導入部分を含む)に巻き付けた上で、端子カバーに巻き付けたシート本体上に帯状シートを巻き付けるようになっている。そして、前記防護カバーは、雄の面ファスナーと、雌の面ファスナーとを係合させることで、端子カバーに固定される(例えば、特許文献2参照)
【0007】
これにより、上述の防護カバーは、何れも、端子カバーを覆うことによって絶縁することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−205638号公報
【特許文献2】特開2008−43087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上述のように、端子カバー内で電気的に接続された一次側のケーブル及び二次側のケーブルは、蓋体の上面で二股に分かれた状態で延出するため、防護カバーで端子カバーを覆うときに一次側及び二次側のケーブルも一緒に覆わなければならない。
【0010】
しかしながら、一次側のケーブル及び二次側のケーブルは、それぞれ姿勢を異にするため、防護カバーの巻き付けを阻害する傾向にある。すなわち、姿勢を異にする一次側及び二次側のケーブルが端子カバーの周囲に巻きつけた防護カバーを押し広げる傾向にあるため、防護カバーは、端子カバーの周囲で密になるように端子カバーの周囲に何重にも巻き付けられるのが現状である。
【0011】
そのため、複数の送電経路同士の間隔が狭い場合、異なる送電経路上の端子カバーに巻きつけられた防護カバー同士が接触してしまう可能性がある。すなわち、従来の防護カバーは、端子カバーの周囲で密になるように何重にも巻き付けられることで嵩張った状態になるため、複数の送電経路同士の間隔が狭いと、異なる送電経路上の端子カバーに巻きつけられた防護カバー同士が接触してしまう可能性がある。特に、複数の送電経路が開閉器等の機器に接続される場合、機器のサイズが起因して送電経路同士の間隔が狭くなる傾向にあるため、異なる送電経路上の端子カバーを覆う防護カバー同士が接触してしまう可能性がより顕著になる。
【0012】
これにより、上述の防護カバーは、何れも、端子カバーに取り付けられたときに、隣り合う防護カバーとの間隔が狭くなり、風雨の影響で隣り合う防護カバーと接触することで漏電や短絡が起こる虞がある。
【0013】
そこで、本発明は、斯かる実情に鑑み、一次側のケーブルと二次側のケーブルとの接続部分を覆う端子カバーに巻き付けたときに嵩張ることがなく、隣り合う送電経路上の端子カバーを覆う防護カバーと接触することを防止できる防護カバーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る防護カバーは、一次側のケーブルと二次側のケーブルとが同一面上で二股に分かれた状態で内部に導入された端子カバーを覆う防護カバーにおいて、前記端子カバーに巻き付け可能な絶縁性を有するシート本体と、前記一次側のケーブル及び二次側のケーブルのそれぞれに巻き付け可能な絶縁性を有する一対の小片シートとを備え、該一対の小片シートのそれぞれは、前記シート本体の外郭を構成する一端から延出するように配置されるとともに、シート本体に対して姿勢変更可能に連結されることを特徴とする。
【0015】
上記構成の防護カバーは、前記端子カバーに巻き付け可能な絶縁性を有するシート本体と、前記一次側のケーブル及び二次側のケーブルのそれぞれに巻き付け可能な絶縁性を有する一対の小片シートとを備えるため、シート本体で端子カバーを、一方の小片シートで一次側のケーブルを、他方の小片シートで二次側のケーブルを覆うことができる。すなわち、上記構成の防護カバーは、端子カバーと、一次側のケーブルと、二次側のケーブルとを個別に覆うことができる。
【0016】
さらに、前記防護カバーは、一対の小片シートのそれぞれが前記シート本体の外郭を構成する一端から延出するように配置されるとともに、シート本体に対して姿勢変更可能に連結されるため、該小片シートを一次側のケーブル及び二次側のケーブルの姿勢に適応した姿勢にした上で、一次側のケーブルに一方の小片シートを、二次側のケーブルに他方の小片シートを巻き付けることができる。従って、前記防護カバーは、最小限の巻数で一次側のケーブルと、二次側のケーブルと、端子カバーとを覆うことができ、嵩張ることがない。
【0017】
これにより、前記防護カバーは、一次側のケーブルと二次側のケーブルとが電気的に接続されることによって構成される複数の送電経路の間隔が狭い場合でも、各送電経路上の端子カバーを覆う防護カバー同士に接触することを防止することができる。
【0018】
本発明の一態様として、前記シート本体と小片シートとを接続する接続シート片を備え、該接続シート片は、長手方向における一端部が小片シートに連結され、長手方向における他端部がシート本体に連結されていてもよい。このようにすれば、前記小片シートは、前記接続シート片の撓みや、捩じれによってシート本体に対する姿勢及び位置の変更が許容される。
【0019】
この場合、前記シート本体に雄雌一対の面ファスナーのうちの何れか一方の面ファスナーが設けられ、前記接続シート片の長手方向における他端部に雄雌一対の面ファスナーのうちの何れか他方の面ファスナーが設けられ、前記雄雌一対の面ファスナー同士の係合で接続シート片がシート本体に連結されるように構成されてもよい。このようにすれば、雄雌一対の面ファスナーのうちの一方の面ファスナーに対して他方の面ファスナーを重ねる位置や姿勢を変更することで、シート本体に対する接続シート片の連結位置を変更することができる上に、小片シートの姿勢変更可能な範囲を拡大することができる。従って、各小片シートの配置や姿勢を一次側のケーブル及び二次側のケーブルの姿勢や配置に対応させることができ、小片シートをケーブルに対して適性な状態で巻き付けることができる。
【0020】
本発明の他態様として、前記シート本体に対して雄雌一対の面ファスナーのうちの何れか一方の面ファスナーが設けられ、各小片シートに前記雄雌一対の面ファスナーのうちの何れか一方の他方の面ファスナーが設けられ、前記雄雌一対の面ファスナー同士の係合で各小片シートがシート本体に連結されるように構成されてもよい。このようにすれば、雄雌一対の面ファスナーのうちの一方の面ファスナーに対して他方の面ファスナーを重ねる位置や姿勢を変更することで、各小片シートの配置や姿勢を一次側のケーブル及び二次側のケーブルの姿勢や配置に対応させることができる。従って、小片シートをケーブルに対して適性な状態で巻き付けることができる。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明に係る防護カバーによれば、一次側のケーブルと二次側のケーブルとの接続部分を覆う端子カバーに巻き付けたときに嵩張ることがなく、隣り合う送電経路上の端子カバーを覆う防護カバーと接触することを防止できるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る防護カバーを示す図であって、(a)は、正面図を示し、(b)は、背面図を示す。
【図2】同実施形態に係る防護カバーを端子カバーに取り付けた状態の図を示す。
【図3】本発明の第二の実施形態に係る防護カバーを示す図であって、(a)は、正面図を示し、(b)は、背面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の第一の実施形態に係る防護カバーについて添付図面を参照しつつ説明を行う。
【0024】
本実施形態に係る防護カバーは、一次側のケーブルと二次側のケーブルとが同一面上で二股に分かれた状態で内部に導入された端子カバーを覆うものである。本実施形態に係る防護カバーは、図1(a)、及び図1(b)に示す如く、前記端子カバーに巻き付け可能な絶縁性を有するシート本体2と、前記一次側のケーブル及び二次側のケーブルのそれぞれに巻き付け可能な絶縁性を有する一対の小片シート3,3とを備えている。また、本実施形態に係る防護カバー1は、シート本体2に対して小片シート3を接続するための接続シート片31を備えている。
【0025】
前記シート本体2は、長方形状に形成されており、端子カバーに巻き付けたときに、長手方向における一端部と他端部とが重なり合うように構成されている。
【0026】
そして、前記シート本体2は、端子カバーに巻き付けられた状態を維持するための第一固定手段20及び第二固定手段21を備えている。
【0027】
前記第一固定手段20は、シート本体2の一方の面に設けられた雄雌の何れか一方の面ファスナー(以下、第一面ファスナーという)200と、シート本体2の他方の面に設けられた雄雌の何れか他方の面ファスナー(以下、第二面ファスナーという)201とを備えている。なお、以下の説明において、シート本体2の一方の面と該シート本体2の一方の面と同方向に向く小片シート3,3の一方の面を内周形成面といい、シート本体2の他方の面と該シート本体2の他方の面と同方向に向く小片シート3,3の他方の面を外周形成面ということとする。
【0028】
前記第一面ファスナー200は、図1(a)に示す如く、シート本体2の内周形成面上に設けられている。また、前記第一面ファスナー200は、シート本体2の長手方向における一端側に設けられている。そして、前記第一面ファスナー200は、シート本体2の長手方向と直交する方向(以下、短手方向とする)における一端から他端に亘って連続的に設けられている。
【0029】
前記第二面ファスナー201は、図1(b)に示す如く、シート本体2の外周形成面上に設けられている。また、前記第二面ファスナー201は、シート本体2の長手方向における他端側に配置されており、短手方向における一端から他端に亘って連続的に設けられている。すなわち、第一面ファスナー200及び第二面ファスナー201は、シート本体2の長手方向の相反する端部に設けられている。
【0030】
これにより、第一固定手段20(第一面ファスナー200、第二面ファスナー201)は、シート本体2の内周形成面の長手方向における一端部と、該シート本体2の外周形成面の長手方向における他端部とを重ね合わせることで、該シート本体2の長手方向の両端部を連結(係合)できるようになっている。すなわち、シート本体2は、内周形成面が内周面となる筒状に変形した状態を維持することができるように構成されている。
【0031】
前記第二固定手段21は、長方形状に形成され、長手方向における一端が前記シート本体2の短手方向における一端に連設されるフラップ210と、該フラップ210の他端部を前記シート本体2に着脱自在に連結するための雄雌一対の面ファスナー211,212とを備えている。なお、以下の説明において、第二個定手段21を構成する一対の面ファスナー211,212のうち、一方の面ファスナー211を第三面ファスナーといい、第二固定手段21を構成する一対の面ファスナー211,212のうち、他方の面ファスナー212を第四面ファスナーということとする。
【0032】
本実施形態に係るフラップ210は、シート本体2の長手方向における中央部よりも僅かに一端側にずれた位置に連結されている。
【0033】
前記第三面ファスナー211は、フラップ210の一方の面(シート本体2の内周形成面と同じ方向を向いている面)で且つ長手方向における他端部側に設けられている。前記第四面ファスナー212は、シート本体2の外周形成面の長手方向における一端部に設けられている。本実施形態において、前記第四面ファスナー212は、シート本体2における前記フラップ210が連設されている一端によって形成される角部に設けられている。
【0034】
これにより、本実施形態に係る防護カバー1は、内周形成面が内側になるようにシート本体2を筒状にした上でフラップ210を折り返して第三面ファスナー211と第四面ファスナー212とを係合させることによって、該フラップ210を筒状になったシート本体2の開口縁部に架け渡した状態で維持できるようになっている。
【0035】
前記一対の小片シート3,3のそれぞれは、シート本体2の外郭を構成する一端から延出するように配置される。そして、各小片シート3,3は、シート本体2に対して姿勢変更可能に連結される。
【0036】
前記一対の小片シート3,3は、シート本体2の長手方向に並べて配置される。本実施形態において、一対の小片シート3,3のそれぞれは、長方形に形成されており、長手方向の長さが端子カバーから延出するケーブル(一本のケーブル)に長手方向に巻き付けることのできる長さに設定されている。そして、小片シート3,3は、前記一次側のケーブル及び二次側のケーブルに巻き付けた状態で重なり合うことになる端部同士が前記シート本体2の長手方向に並ぶように、シート本体2の内周形成面上に連結される。
【0037】
本実施形態において、各小片シート3,3には、端子カバーから延出するケーブル(一次側のケーブル又は二次側のケーブル)に巻き付いた状態を維持するための小片シート固定手段30,30が延設されている。
【0038】
前記小片シート固定手段30,30は、長方形状に形成され、長手方向における一端が前記小片シート3の長手方向の一端部に連設されるフラップ(以下、小片シート用フラップという)300,300と、該小片シート用フラップ300,300を小片シート3の外周形成面上に着脱自在に固定するための雄雌一対の面ファスナー(以下、一方の面ファスナーを第五面ファスナーといい、他方の面ファスナーを第六面ファスナーという)301,302とを備えている。
【0039】
本実施形態において、各小片シート3,3に対し、小片シート固定手段30,30が二つずつ取付けられている。すなわち、各小片シート3,3は、長手方向の一方の端部に長手方向と直交する方向に間隔をあけて一対の小片シート用フラップ300,300が取付けられている。
【0040】
前記第五面ファスナー301,301は、小片シート用フラップ300,300の一方の面(小片シート3の内周形成面と同方向に向く面)上に設けられている。そして、前記第六面ファスナー302,302は、前記小片シート3の外周形成面における他端側(シート本体2の長手方向に対応する方向おける他端側)で、且つ短手方向の両端部に設けられている。
【0041】
そして、本実施形態に係る防護カバー1は、一対の小片シート3,3のそれぞれに取付けられた小片シート用フラップ300,300が逆方向に延びる(外側に向けて延びる)ように一対の小片シート3,3が対称的に配置されている。すなわち、一対の小片シート3,3は、シート本体2の短手方向に延びる仮想線を基準にして対称的に配置されている。
【0042】
前記接続シート片31は、小片シート3,3毎に設けられており、それぞれ短冊状に形成されている。そして、各接続シート片31は、長手方向における一端が前記小片シート3のシート本体2の短手方向に対応する方向における一端部に連結されている。そして、前記接続シート片31は、長手方向における他端部(連結部分)310がシート本体2に連結されている。本実施形態に係る接続シート片31は、連結部分310がシート本体2に溶着されている。なお、接続シート片31は、小片シート3に対しても溶着で連結されている。これにより、本実施形態に係る防護カバー1は、接続シート片31の撓みや捩じれによって、小片シート3のシート本体2に対する姿勢及び位置変更が許容されるように構成されている。
【0043】
本実施形態に係る防護カバー1は、以上の通りであり、続いて、該防護カバー1の端子カバー、一次側のケーブル、二次側のケーブルへの取り付け方について図1(a)、図1(b)、図2を参照しつつ説明する。
【0044】
まず、端子カバーCの蓋体から外方に延出する一次側のケーブルL1及び二次側のケーブルL2のそれぞれに対し、別途容易した絶縁防護管(図示しない)を取り付ける。
【0045】
そして、何れか一方の小片シート3の姿勢を一次側のケーブルL1又は二次側のケーブルL2の何れか一方の姿勢に対応させる。そして、該一方の小片シート3の内周形成面を内側にして、該小片シート3を一次側のケーブルL1又は二次側のケーブルL2の何れか一方のケーブルL1,L2(該ケーブルL1,L2に取り付けた絶縁防護管)に巻き付ける。
【0046】
そして、一方の小片シート3に取付けられた小片シート用フラップ300,300を一次側のケーブルL1又は二次側のケーブルL2の何れか一方(絶縁防護管)に巻き付けた小片シート3の周囲に巻き付けた上で、第五面ファスナー301,301と第六面ファスナー302,302とを係合させる。これにより、前記一方の小片シート3は、一次側のケーブルL1又は二次側のケーブルL2の何れか一方(絶縁防護管)に巻き付けられた状態を維持することになる。
【0047】
次いで、何れか他方の小片シート3の姿勢を一次側のケーブルL1又は二次側のケーブルL2の何れか他方の姿勢に対応させる。そして、該他方の小片シート3の内周形成面を内側にして、該小片シート3を一次側のケーブルL1又は二次側のケーブルL2の何れか他方のケーブルL1,L2(該ケーブルL1,L2に取り付けた絶縁防護管)に巻き付ける。
【0048】
そして、他方の小片シート3に取付けられた小片シート用フラップ300,300を一次側のケーブルL1又は二次側のケーブルL2の何れか他方(絶縁防護管)に巻き付けた小片シート3の周囲に巻き付けた上で、第五面ファスナー301,301と第六面ファスナー302,302とを係合させる。これにより、前記他方の小片シート3は、一次側のケーブルL1又は二次側のケーブルL2の何れか他方(絶縁防護管)に巻き付けられた状態を維持することになる。
【0049】
しかる後、前記シート本体2の内周形成面を内側にして端子カバーCに該シート本体2を巻き付ける。本実施形態に係る防護カバー1は、シート本体2を端子カバーCに巻き付けた状態で長手方向の両端部同士が重なる(第一面ファスナー200と第二面ファスナー201とが重なる)ため、前記シート本体2は、内部に端子カバーCを収容した筒体の如く態様で維持することになる。そして、この状態でフラップ210を折り返して第三面ファスナー211と前記第四面ファスナー212とを係合させる。これにより、フラップ210は、筒状になったシート本体2の上端開口に掛け渡された状態で維持することになる。
【0050】
これにより、本実施形態に係る防護カバー1は、シート本体2が端子カバーCの周囲を覆い、フラップ210が端子カバーCの上面(蓋体)を覆った状態になる。また、該防護カバー1は、各小片シート3,3が一次側のケーブルL1、及び二次側のケーブルL2のそれぞれを覆った状態になる。
【0051】
従って、本実施形態に係る防護カバー1は、端子カバーCに対して何重にも巻き付けることなく端子カバーC及びその周辺にあるケーブルL1,L2に密に巻き付けることができる。すなわち、本実施形態に係る防護カバー1は、最小限の巻数で一次側のケーブルL1と、二次側のケーブルL2と、端子カバーCとを覆うことができるため、端子カバーCの周囲に巻き付けた状態で嵩張ることなく、隣り合う送電経路(間隔が狭い送電経路)上の端子カバーCを対象に巻きつけても、接触することがなく、短絡等の発生を防止することができる。
【0052】
続いて、本発明の第二の実施形態に係る防護カバーについて、図3(a)、及び図3(b)を参酌しつつ説明を行う。なお、本実施形態に係る防護カバーは、第一実施形態の防護カバーと基本構成が共通しているため、本実施形態において、第一実施形態で説明した構成と、同一の構成又は相当する構成については、同一名称及び同一符号を付してここでの説明を割愛し、相違する構成についてのみ説明する。
【0053】
本実施形態に係る防護カバー1は、接続シート片31が雄雌一対の面ファスナー22,32を介してシート本体2に接続されている。より具体的に説明すると、本実施形態に係るシート本体2は、内周形成面上に雄雌の何れか一方の面ファスナー(以下、第七面ファスナーという)22が設けられている。該第七面ファスナー22は、シート本体2の短手方向の一端に沿って設けられている。本実施形態に係るシート本体2は、長手方向の一端部に第一面ファスナー200が取付けられているため、長手方向における他端から前記第一面ファスナー200に至るまでの範囲で連続的に設けられている。
【0054】
これに対し、本実施形態に係る接続シート片31は、前記シート本体2の内周形成面と対向する面に雄雌の何れか他方の面ファスナー(以下、第八面ファスナーという)32が設けられている。該第八面ファスナー32は、接続シート片31の他端部にのみ設けられている。
【0055】
これにより、本実施形態に係る防護カバー1は、前記第七面ファスナー22と第八面ファスナー32とを係合させることによって、小片シート3,3をシート本体2の内周形成面上に着脱自在に連結できるように構成されている。すなわち、本実施形態に係る小片シート3,3は、前記第七面ファスナー22と第八面ファスナー32とを係合させることができる範囲内において、姿勢及び位置を自由に設定することができる。
【0056】
本実施形態に係る防護カバー1は、以上の通りであり、小片シート3の姿勢を一次側のケーブルL1又は二次側のケーブルL2の何れか一方の姿勢に対応させるにあたり、第七面ファスナー22と第八面ファスナー32との重ね合わせ方や配置を調整することで、小片シート3をケーブルL1,L2の姿勢や配置に対応した姿勢や配置になる。
【0057】
そして、本実施形態に係る防護カバー1は、シート本体2及び小片シート3,3が第一実施形態と共通した構成であるため、第一実施形態と同様の手順で端子カバーC、一次側のケーブルL1、二次側のケーブルL2に取り付けられる。従って、本実施形態に係る防護カバー1においても、第一実施形態と同様に、シート本体2が端子カバーCの周囲を覆い、フラップ210が端子カバーCの上面(蓋体)を覆った状態になる。また、該防護カバー1は、各小片シート3,3が一次側のケーブルL1、及び二次側のケーブルL2のそれぞれを覆った状態になる。
【0058】
これにより、本実施形態に係る防護カバー1は、端子カバーCに対して何重にも巻き付けることなく端子カバーC及びその周辺にあるケーブルL1,L2に密に巻き付けることができる。すなわち、本実施形態に係る防護カバー1は、最小限の巻数で一次側のケーブルL1と、二次側のケーブルL2と、端子カバーCとを覆うことができるため、端子カバーCの周囲に巻き付けた状態で嵩張ることなく、隣り合う送電経路(間隔が狭い送電経路)上の端子カバーを対象に巻きつけても、接触することがなく、短絡等の発生を防止することができる。
【0059】
また、本実施形態に係る防護カバー1は、前記シート本体2に第七面ファスナー22が設けられ、前記接続シート片31の長手方向における他端部に第八面ファスナー32が設けられ、第七面ファスナー22及び第八面ファスナー32同士の係合で接続シート片31がシート本体2に連結されるように構成されているため、第七面ファスナー22と第八面ファスナー32との重合位置や姿勢を変更することで、シート本体2に対する接続シート片31の連結位置を変更することができる上に、小片シート3の姿勢変更可能な範囲を拡大することができる。従って、各小片シート3,3の配置や姿勢を一次側のケーブルL1及び二次側のケーブルL2の姿勢や配置に対応させることができ、小片シート3をケーブルL1,L2に対して適性な状態で巻き付けることができる。
【0060】
なお、本発明の防護カバーは、上記第一及び第二の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0061】
上記第一の実施形態及び第二の実施形態において、前記第一面ファスナー200及び第二面ファスナー201は、シート本体2の短手方向における一端から他端に亘って連続的に設けられていたが、これに限定されるものではなく、例えば、前記第一面ファスナー200及び第二面ファスナー201は、互いに係合することができれば、シート本体2の短手方向における一端から他端に亘って断続的に設けられていてもよい。
【0062】
また、上記第一の実施形態及び第二の実施形態において、前記シート本体2は、面ファスナー200,201によって端子カバーCに巻き付けられた状態を維持するように構成されていたが、これに限定されるものではなく、例えば、前記シート本体2は、別途用意したクリップによって端子カバーCに巻き付けられた状態を維持するように構成されていてもよい。
【0063】
また、上記第一の実施形態及び第二の実施形態において、小片シート3,3は、小片シート用フラップ300,300及び面ファスナー301,301,302,302によって一次側のケーブルL1、又は二次側のケーブルL2に巻き付けられた状態を維持するように構成されていたが、これに限定されるものではなく、例えば、小片シート3,3は、クリップによって一次側のケーブルL1、又は二次側のケーブルL2に巻き付けられた状態を維持するように構成されていてもよい。
【0064】
上記第二実施形態において、接続シート片31を介して小片シート3,3をシート本体2に接続することを前提に、シート本体2に第七面ファスナー22を設けるとともに接続シート片31に第八面ファスナー32を設けたが、これに限定されるものではなく、例えば、上記実施形態と同様にシート本体2に第七面ファスナー22を設け、各小片シート3,3に第八面ファスナー32を直接取付けるようにしてもよい。このようにしても、第七面ファスナー22に対する第八面ファスナー32の重ねる位置や姿勢を変更することで、小片シート3,3をケーブルL1,L2に対して適正な姿勢や配置にすることができる。
【符号の説明】
【0065】
1…防護カバー、2…シート本体、3…小片シート、20…第一固定手段、21…第二固定手段、22…第七面ファスナー(面ファスナー)、30…小片シート固定手段、31…接続シート片、32…第八面ファスナー(面ファスナー)、200…第一面ファスナー(面ファスナー)、201…第二面ファスナー(面ファスナー)、210…フラップ、211…第三面ファスナー(面ファスナー)、212…第四面ファスナー(面ファスナー)、300…小片シート用フラップ、301…第五面ファスナー(面ファスナー)、302…第六面ファスナー(面ファスナー)、310…連結部分、C…端子カバー、L1…一次側のケーブル、L2…二次側のケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次側のケーブルと二次側のケーブルとが同一面上で二股に分かれた状態で内部に導入された端子カバーを覆う防護カバーにおいて、前記端子カバーに巻き付け可能な絶縁性を有するシート本体と、前記一次側のケーブル及び二次側のケーブルのそれぞれに巻き付け可能な絶縁性を有する一対の小片シートとを備え、該一対の小片シートのそれぞれは、前記シート本体の外郭を構成する一端から延出するように配置されるとともに、シート本体に対して姿勢変更可能に連結されることを特徴とする防護カバー。
【請求項2】
前記シート本体と小片シートとを接続する接続シート片を備え、該接続シート片は、長手方向における一端部が小片シートに連結され、長手方向における他端部がシート本体に連結される請求項1に記載の防護カバー。
【請求項3】
前記シート本体に雄雌一対の面ファスナーのうちの何れか一方の面ファスナーが設けられ、前記接続シート片の長手方向における他端部に雄雌一対の面ファスナーのうちの何れか他方の面ファスナーが設けられ、前記雄雌一対の面ファスナー同士の係合で接続シート片がシート本体に連結されるように構成されている請求項2に記載の防護カバー。
【請求項4】
前記シート本体に対して雄雌一対の面ファスナーのうちの何れか一方の面ファスナーが設けられ、各小片シートに前記雄雌一対の面ファスナーのうちの何れか一方の他方の面ファスナーが設けられ、前記雄雌一対の面ファスナー同士の係合で各小片シートがシート本体に連結されるように構成されている請求項1に記載の防護カバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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