防護型住宅建造物
【課題】 仮居住タイプや正規居住タイプの住宅を建設するにあたって、津波や洪水の襲来で損壊などの心配なく自由に設置場所を選んで建設ができるようにした防護型住宅建造物を提供すること。
【解決手段】 金属パイプやPCパイル、あるいは矢板などの長尺物を基材として地盤から立設される支柱と、下方空間が津波などの通過空間とされるように前記支柱の上位を介して支持され内部空間で生活が可能とされた住宅構造体とを有することを特徴とする。
【解決手段】 金属パイプやPCパイル、あるいは矢板などの長尺物を基材として地盤から立設される支柱と、下方空間が津波などの通過空間とされるように前記支柱の上位を介して支持され内部空間で生活が可能とされた住宅構造体とを有することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、津波や洪水などの非常事態に対し安全を確保できるようにした防護型住宅建造物に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、大地震により大津波が襲来すると、一般構造の住宅ではその殆どが壊滅し、その後は、仮設住宅での生活を余儀なくされるのが通例である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特開平10−184040
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
その場合の仮設住宅は、地盤に固定された基礎枠上に建てられるタイプのものが殆どであり、そうしたものでは、津波が襲来すると再度壊滅するおそれがあるため津波襲来に安全な高台に設置するしかなく、例えば、漁業を営む人が望むように海岸縁や壊滅状態の平地などに建設することができないという問題があった。
【0004】
本発明は、このような問題を解決しようとするものであり、仮設タイプや正式タイプの住宅を建設するにせよ、津波や洪水のおそれのない高台などに設置を限定されることなく場所を自由に選んで建設できるようにした防護型住宅建造物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、金属パイプやPCパイル、あるいは矢板などの長尺物を基材として地盤から立設される支柱と、下方空間が津波などの通過空間とされるように前記支柱の上位を介して支持され内部空間で生活が可能とされた住宅構造体とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
上述したように本発明は、金属パイプやPCパイル、あるいは矢板などの長尺物を基材として地盤から立設される支柱と、下方空間が津波などの通過空間とされるように前記支柱の上位を介して支持され内部空間で生活が可能とされた住宅構造体とを有することを特徴とするので、仮居住タイプや正規居住タイプの住宅を建設するにあたって、津波や洪水の襲来で損壊などの心配なく自由に設置場所を選んで建設ができるようにした防護型住宅建造物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施形態を示す図2のI−I線横断面図。
【図2】図1の正面図。
【図3】図2のB矢視図。
【図4】他の実施形態を示す図6の平面図。
【図5】図6のC−C線断面図。
【図6】図4の正面図。
【図7】図6のD矢視図。
【図8】他の実施形態を示す図10の平面図。
【図9】図10のE−E線断面図。
【図10】図8の正面図。
【図11】図10のF矢視図。
【図12】他の実施形態を示す図13のG−G線断面図。
【図13】図12の正面図。
【図14】他の実施形態を示す横断面図。
【図15】図14の正面図。
【図16】他の実施形態を示す側面図。
【図17】他の実施形態を示す側面図。
【図18】他の実施形態を示す津波襲来側からの正面図。
【図19】従来の津波避難用施設物を示す正面図。
【図20】津波避難用施設物についての他の実施形態を示す正面図。
【図21】他の実施形態を示す正面図。
【図22】他の実施形態を従来との関係において示す正面図。
【図23】他の実施形態を示す正面図。
【図24】他の実施形態を示す正面図。
【図25】図21の横断面図。
【図26】他の実施形態を示す斜視図。
【図27】他の実施形態を示す斜視図。
【図28】津波・洪水対策用空間都市の実施形態を示す正面図。
【図29】避難施設の他の実施形態を示す正面図。
【図30】避難施設の他の実施形態を示す正面図。
【図31】避難施設の他の実施形態を示す斜視図。
【図32】避難施設の他の実施形態を示す正面図。
【図33】避難施設の他の実施形態を示す正面図。
【図34】提案例を示す模式断面図。
【図35】提案例を示す模式断面図。
【図36】提案例を示す模式断面図。
【図37】提案例を示す模式断面図。
【図38】テントへの付加例を示す斜視図。
【図39】津波避難用施設についての他の実施形態を示す正面図。
【図40】図39のJ−J線横断平面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態を図1ないし図3に基づいて説明する。
各実施形態で説明する各案は他の実施形態においても適用することができる。
これらの図において、1は設置基盤で、同基盤1は、津波襲来のおそれのない高台でなく津波が現にあるいは将来襲来するおそれのある海岸縁や一般平坦地などをその対象としている。しかし、前記高台であっても津波や土砂崩れなどの襲来のおそれがあるので、設置対象として前記高台などを除外する意味はない。また、設置基盤1は、土地である必要はなくコンクリートや金属板造りなどのこともある。
【0009】
2は4ヶ所に配備したコンクリート製基礎で、同基礎2は、矩形ブロック状として設置基盤1に埋め込み固定されるとともに津波襲来時に抵抗するように上部一部を基盤1上に少し突出させて設けられている。
3は支柱で、金属パイプ製であり、この支柱2は、直径1m前後の太径のものとされて正方形あるいは長四角形の頂点位置にあるように4本配備されている。同支柱2は、底面の取付フランジ4を基礎2上に載せアンカー5により垂直に固定立設されている。これら支柱3のうち2本のもの(図1の下側2本のもの、図2の手前2本のもの)は、津波の襲来が想定される海岸縁あるいは河川縁に向けられる。支柱3のうちの1本のみが先行して津波の襲来してくる側に向くようにしてもよい。
【0010】
支柱3のうち1本のものの内部には、ラセン階段7が、また他の1本のものの内部には簡易エレベータ8が装備されており、それぞれに水密型のドア9を通じて出入りできるようになっている。エレベータ8は停電を考慮して機械式にすることもある。
【0011】
11は住宅構造体で、支柱3の上位を介して津波に襲来されない充分な高さに固定してある。この住宅構造体11は、上下2階構造で生活に必要な装備を完備するとともにその4隅には支柱3が貫通している。同住宅構造体11には、前記ラセン階段7や簡易エレベータ8を利用して出入りすることができる。そして、この住宅構造体11の下方空間は津波などの通過空間12とされる一方、同住宅構造体11の屋上には外周ぐるりに津波避け13が設けられている。屋上にもラセン階段7を利用して登降することができる。住宅構造体11の下方に相当する基盤上は駐車スペース14になっている。
【0012】
一方、各支柱3の外側には、前記フランジ4上を共有して金属パイプ製の防護柱15が立設固定され、この柱15は、支柱3との間の補強受材16により支持されている。
【0013】
尚、前記実施形態における支柱3は、1本ないし3本あるいは5本以上の複数本であってもよい。
支柱3をラセン階段7や簡易エレベータ8などとして利用してあるが、中は単なる空間であってもよい。空間の場合は収納空間として活用することもできる。
図2に示すように、隣家との間を連結補強材17でつないでもよいし、さらに、高台18に接続する避難連絡橋19を架設してもよい。この場合、前記連結補強材17は連結機能とともに避難路機能ももたせて津波の際離れた人でも隣からその隣へと移り避難することで最終的に高台18へ避難できるようにしてもよい。この場合の高台18は、山や丘などの他に図16以降に説明する鉄骨構造の避難施設物などの人工避難所でもよい。
支柱3は丸形以外に角形その他でもよい。
前記住宅構造体11を仮設住宅タイプとする場合、強化型とすることができる。この強化型とは、金属製底面・天面フレームおよびパネルフレームを断面サイズの大きいものにし剛強なブレースにより全体を強固に締め付けるタイプのものが好ましい。このことは以下の実施形態でも同様にいえる。
【0014】
図4ないし図7は他の実施形態を示す。同実施形態において21は設置基盤、22は基礎、23は支柱、24は取付フランジ、25はアンカーであり、設置基盤21に固定設置した基礎22上に左右一対をなす金属パイプ製(あるいはPCパイルや矢板などでも可能)の支柱23を立設固定し、その支柱23の並ぶ方向に平行に津波Xが襲来するような方向性をもって支柱23を立設する。勿論、同支柱23間が通過空間26となるように、即ち、図6の紙面手前から向こう側へ津波流が通るように支柱23を配備してもよい。27は防護柱、28は補強受材であり、29は住宅構造体、30は階段、31は屋上を囲む津波避けである。
【0015】
この実施形態ではさらに屋上にラセンあるいは直線などの付加階段32を備えて避難所33を形成することにより屋上を越えてくる津波に備えるようにしてある。34はアンテナあるいは避雷針などの機能ポールである。
支柱23は住宅構造体29内を貫通するようにしてあるが、図6の右欄に示すように、支柱23の上端のフランジ36上を介して住宅構造体29の底版フレーム29aを連結固定するようにしてもよい。これは図1ないし図3の実施形態でも同様にいえる。この場合、フランジ36と住宅構造体29との間には本震は勿論余震の恐怖を軽減するための弾性吸収パッド37を介装してもよい。尚、同右欄図において38は金属製で外周および縦横に渡される底フレーム、39は底パネルである。
支柱23は図5の右欄ように3本タイプであってもよい。住宅構造体29は仮設タイプの他に正規生活タイプのいずれでもよい。津波避け31は矢印方向である津波襲来方向を想定してその前側となる部分を高くして津波が屋上に入り込まないようにしてあるが、上端が水平な高さのものでもよい。
前記階段30はラセン型にすることができる。前記支柱23内にラセン階段を設けたり、収納空間とすることができる。
住宅構造体29の屋上には救助ネット35を張って津波で流されないようにすることができる。
【0016】
図8ないし図11は他の実施形態を示す。同実施形態は、設置基盤41の4ヶ所にコンクリート製の埋め込み基礎42を固設し、その上にアンカー43により取付フランジ44を固定することにより4本の支柱45を立設固定したものである。46は住宅構造体で、支柱45を貫通することで固定支持され、その屋上には津波避け47やラセン型の付加階段48や避難所49が設置されて高い津波が来ても安全に避難できるようになっている。50は防護柱、51は階段でラセン型のものでもよい。
【0017】
尚、図9のように隣同志の住宅構造体46を強化のため連結してもよい。また、図11に示すように、津波避け47の津波流れ出る後方面には、津波流は流れ出すが避難する人は留まって助かるような網目状の通水部52を複数設けることができる。53は通過空間、54は駐車スペースである。
また、住宅構造体46の津波襲来側の面が図10の左欄に示されているが、天フレーム55と底フレーム56を受けにして縦向きの金属製抵抗受材57…を多数本固定しておき、それらを受けにして金属製等のメッシュ58を張設しておけば津波流に耐えることができる。抵抗受材57は、半割りパイプでその溝が前面に向くように配備すると溝に沿って水が排除されて住宅構造体46の方向に向かう水の量は半減する。抵抗受材57は住宅構造体46の外面より少し離すのが損壊を少なくする意味で好ましい。この構造は、返し波が来るであろう側にも配備することができる。この構造は、他の実施形態にも適用される。
【0018】
さらに、図12および図13に示すように、隣合う支柱45間の下部をつなぐように金属製の側板60を対向状に固定し、その上下面61も金属板で閉塞して水密性のあるドア62で開閉自在な収納空間63を形成しておけば避難すれば安全でありしかも食料・飲料など非常用備品を入れておいたり重要書類や思い出の品などを収納しておけば津波があっても安全安心が確保される。この実施形態の場合、収納空間63は長手中間が膨らむ形とされて収納量を多く確保できるようにしてあるが、図12の右欄図のように平行な側板60で形成してもよい。また、同収納空間63内を利用して階段64を設けてもよい。尚、図12に示すように、ドア62を開きやすくするように、ドア62の津波襲来側前方には津波流を跳ね除ける突部65を設けておいてもよい。
【0019】
図14および図15は他の実施形態を示す。同実施形態は、支柱45を6本配し前記住宅構造体46よりも2倍程度大きな住宅構造体68を固定設置したものである。
尚、図16のように、住宅構造体70を蒲鉾形にしたり、図17のように、住宅構造体71を前後に斜面をもつ台形状にしてもよい。
また、図18のように、支柱46は住宅構造体72に貫通するのでなく、支柱46を高く伸ばしてその上部間に住宅構造体72を介装支持するようにしてもよい。73は底受フレーム、74は上受フレームで、これらは支柱46に対し締め付け固定される抱持体75を介して固定される。さらに底受フレーム73と上受フレーム74間の外側には、両フレーム73,74を締め付け固定し外部を防護する対抗材76…が多数本配列されている。この対抗材76のさらに外側面にはメッシュを付すことができる。
【0020】
図19は鉄骨構造型津波避難施設の従来例を示し、地盤80に埋め込み固定された複数のコンクリート製基礎ブロック81にアンカー82を備え、このアンカー82に底フランジ83を固定することによって複数本、例えば、4本のスチールパイプ製の支柱84が立設されている。これら支柱84は、その中段において横連結材85により結合されるとともに上部には避難ステージ86が例えば、上フランジ87を介して載置固定されており、同ステージ86に安全のための手摺88を取り付けてある。そして、避難者が登降するための階段89を備え付けて地盤80と避難ステージ86とを連絡してある。
【0021】
この施設は津波Xの襲来が想定される個所に設置され、その高さHは、海面からの津波襲来想定高さを超えて安全を確保するように設定するものであるが、この高さHは、設置後において想定高さの見直しがあった場合には図20のように+α分高く調整する必要が出てくる。それとともに施設物を高くすると、基礎ブロック81(従来幅はw)の安定性能にも問題が出てくるだけでなく、階段89の地盤への接続にも問題が出てくる。
【0022】
図20は避難ステージ86の高さを高くするとともにそれに伴う諸調整を行った一例を示すものである。即ち、底フランジ83を含む支柱84以上の本体部分はそのまま利用して、同本体部分を吊り上げるかリフトアップするなどしてα分程高くしたあと、高さα分の底上げ体91をその間に挟み入れて接続するようにする。底上げ体91は、上接続フランジ92と下接続フランジ93とをパイプ製の支柱体94でつないだもので形成されており、下接続フランジ93はアンカー95に、上接続フランジ92は前記底フランジ83に止着具96により連結固定する。
【0023】
ここで、支柱体94は支柱84よりも太径として安全度を確保するとともに、基礎ブロック97は図19の従来のブロックよりも数段大きなW×Wの平面寸法のもとに大きく重く形成して同じく広い面積とした下接続フランジ93をアンカー95により強固に連結固定するようにしてある。
階段89については、付加階段98を接続するが、実線のような直型と折り返し型のものとがある。また、底上げのための方法として、前記のようなスチールパイプでなく図20の右下欄に示すような基礎ブロック97と底上げ体91とを一体のコンクリートブロックとした形の底上げ体99としてもよい。100は底フランジ83を押さえ付けて固定するための押さえ板である。この押さえ板100には、底フランジ83の基部を抱き持つ半円形の受筒100aを一体に立設しておけば抵抗力が増す。この受筒100a同士は図23左欄のようにボルト締めすればより強固になる。
【0024】
図21は同じく避難ステージ86の高さがHであった既設避難用施設を想定高さの見直しに伴い一定のα分嵩上げするための他の実施形態を示すもので、同実施形態は、避難施設を吊り上げあるいはリフトアップした下で、支柱84の所望高さ部分を右欄のように切断個所101で横断状に切断し、これら上下に切断されたものa、bを一定の上下間隔をもって離間した状態とした下で外接続スリーブ102で接続したあと同スリーブ102とa、bとを溶接にて着合するようにしたものである。スリーブ102は、図23の左欄に示すような合着型にしてもよい。これによって避難ステージ86の高さはH+αになる。
【0025】
図22は避難ステージ86の高さが左欄のようにHであった既設避難用施設を想定高さの見直しに伴い一定のα分嵩上げするための他の実施形態を示すもので、同実施形態は、右欄のように既設の津波避難用施設の避難ステージ86の上に付加支柱104を複数本立設しそれらを上端においてつなぐように付加避難ステージ105を設けるとともに付加階段106を設けることによってα分高くするようにしたものである。付加支柱104回りを利用して出入り口107を備えた周壁108を設けて避難空間を形成するようにしてもよい。尚、109は非常用トイレである。避難空間内には非常用品を常備しておく他に、簡易風呂やシャワー設備を設けてもよい。この実施形態では、避難所が避難空間とその上の付加避難ステージ105との2個所になるので広い避難スペースになる。
【0026】
図23の実施形態は、PCパイル(PHCパイルやH型PCパイルなどを含む)による複数本の支柱112を打設により立設し、その下部外周に金属製の下段防護パイプ113を巻設して補強するとともに、中段には、左欄のように合着型の中段防護パイプ114を支柱112まわりに介して横連結材115を横架固定したものを示している。支柱112の上端には、上段防護パイプ116を嵌め込むことで避難ステージ117を固定設置してある。この避難ステージ117上には、図22と同様に嵩上げのための付加避難ステージ118が付加支柱119の流入により設けられて階段120で登降可能とされ、周壁121による避難空間も形成されるとともに、簡易トイレ122が設置されている。
尚、右上欄図のように、PCパイルである支柱112を付加支柱119上端程度まで高くし、同支柱112に被さる付加パイプ123を介して避難ステージ124を設けることもできる。右下欄のように、避難ステージ125を付加パイプ123より高く設定することもできる。
尚、付加避難ステージ118上には緩衝ゴムa付きのワイヤ架台126を立設して、一端と他端を共にワイヤアンカー127に引張状態で係合した牽張ワイヤWの中途部分を載せ掛けるようにしてもよい。この場合、ワイヤWの基部などには緩衝手段(バネやオイルダンパーなど)Rを付加してもよい。これによると津波流Xで船舶などが流れてきても緩衝機能をもつワイヤWによって緩やかに船舶などが受け留められ避難用施設やそれ以降の住宅などにこの船舶が衝当して被害を及ぼすおそれがなくなる。尚、ワイヤWは図面に直交する方向に複数本配備する。
【0027】
図24および図25に示す実施形態は、コンクリート基礎128上に支柱129を立設し、これらを横連結材130でつなぐとともに、上端に避難ステージ131を設けて階段132により登降できるようにしたものにおいて、さらに嵩上げとして、避難ステージ131上に付加支柱133を介して付加避難ステージ134を設けて付加階段135により登降可能に構成したものであって、特に、施設の外周りに防護杭136…を施設構造体を取り囲むように配備し、その中の所定のものと支柱129とを補強材137により連結補強してなるものである。補強のしかたには、右欄図のようにV字形のものもある。
尚、図19ないし図25(図21を除く)の各実施形態では、既設の避難用施設に対し底上げや嵩上げする場合について説明したが、これら完成した形を新規構築する場合もある。例えば、図20の全体形態をすべて新規に構築するような場合がそれに相当する。
【0028】
図26に示す実施形態は、支柱140のうちその上部のみを示すとともにその上端を介して避難ステージ141を載置固定した津波避難用施設において、その避難ステージ141上の中央にポール142を立設する一方、ステージ141の外周コーナーに受ポール143を立設し、これらを利用して複数面からなる避難覆い144を張設したものである。尚、ポール142と受ポール143各間に斜梁を設けてそれらに避難覆い144の稜部を取付支持させるようにしてもよい。145は引張安定線材である。避難覆い144下の避難スペースには、登り階段の登り口が臨むとともに非常収納庫や簡易トイレなどが常備される。避難覆い144はテント地である他に樹脂や木板製、アルミ合金や薄板スチール製などでもよい。同避難覆い144の上面にはソラーパネルを設置することができる。
【0029】
図27に示す実施形態は、支柱148のうちその上部のみを示すとともにその上端を介して避難ステージ149を載置固定した津波避難用施設において、その避難ステージ149上の中央に円筒型で出入り口150を開設した柵状の安全ガード151が固定設置され、階段152を通じて避難してきた人は図のように出入り口150を通じてガード151内に避難しておけばこの施設構造体を仮に津波が超えるようになものであっても流されるようなことはなく安全が確保される。
尚、右欄図のように、安全ガード151は柵状でなく円筒面状のものでもよい。
また、安全ガード151の内周面にはラセン状に上る階段を設けてもよい。
【0030】
図28は、例えば、津波や洪水などで壊滅した被災地を津波に強い全く新たな空中都市として復興する場合の一実施形態を示す。上段図の160は新規基盤であり、その下欄の図に示すように山161や丘陵などの頂部あるいは斜面一部を矢印のように掘削・搬送することで造成されている。この基盤160には平面的にみて縦横にあるようにして支柱(コラム)162…が配列され立設固定されている。これらの支柱162の下周りは、底版163と円錐形の根回り防護部164とでなるコンクリート基礎によってそれぞれ剛強に固定されている。根回り防護部164を円錐形にしたのは、津波を通過させるが減衰効果があるようにしたためであり、また防護部164の前後のものが位置をずらせて千鳥配置にされているのは津波が前方の防護部164間を通過したあと後列の防護部164にぶつかり左右に分散されその分散されたものが再びぶつかってエネルギーが大幅に減衰されるようにしたためである。しかし、防護部164は円柱や角柱などにしてもよいし、前記千鳥配置でなくてもよい。
【0031】
支柱162…の1群のものの上端面を介して平面視正方形や長四角、さらに円形や楕円形などをした設置基盤165が固定して設けられている。そして、この設置基盤165上には戸建住宅166…やマンション167や商用ビルなどが設置されている。この実施形態の場合は、そうしたものを1群として左右・前後に多くの設置基盤165…が構築されてそれらが弾性接続部168を介する連絡橋169によって縦横に接続されている。設置基盤165は、20ないし40m高さとされ、その高さは津波襲来想定高さに応じて十分なものとする。設置基盤165の外縁は津波からの防護のためと基盤強度を増すために立ち上がり部が設けられている。
尚、中段に示す例は、設置基盤165の各一端を山161の高台170に掛かるように支持されたものであり、両基盤165間は連絡橋171で接続して往き来可能にしたものである。前記高台170は道路とすることがある。
また、下段に示す例は、山161間を橋梁方式の設置基盤173で単一本で接続したものである。同基盤173は図に直交する方向に幅の広いものでその上に前記住宅やマンションなどの建造物174…が設置される。
【0032】
図29は他の実施形態で、既設(あるいは新設)のビル177が当該地域の津波想定高さを充足しない危険なものである場合に、その屋上に支柱178・横連結材179および避難ステージ180でなる鉄骨構造型の避難施設を立設して階段181でビル高さ以上に避難できるようにしたものである。182は引張索条である。支柱178は、ビル177の内部構築体177aに結合すれば避難施設が安定化する。尚、左欄に示すように、屋上の手摺183の外側に対応するように対抗杭184…を左右に多数本配備して超えてくる津波流によって手摺183が損壊しないようにしてある。
【0033】
図30の実施形態も図29の実施形態と同様の目的でなされたものであり、ビル187の内部構築体187aを結合相手にして屋上から前後2本の内支柱188を立設し、外支柱189は、前後2本からなり、地盤190に固定のコンクリート基礎191上から立設して内支柱188と同じ高さになるようにしたものである。これら内・外支柱188,189相互は横連結材192…により多段に結合し、その上部に避難ステージ193を備えるととともに屋上から階段194により登降できるようにしたものである。尚、同図上側に示すように、屋上に安全ネット195を張っておけば津波が越えてきた場合の救助役となる。また、同図右上に示すように屋上に一定高さの設置バー196を数本配列しておいてそのバー196につかまり取っ手197…を配備してこれを掴むようにすれば越えてきた津波にも流されるおそれがない。さらに、右欄下に示すように屋上に防護手摺198を設けておいて同手摺198を掴むことで津波に流されずしかもその間を逃げ道にして安全なところへ逃げることもできる。
【0034】
図31は図29、図30の実施形態と同様の目的をもってなされた実施形態であり、ビル200の屋上にポール201が既設されている場合。このポール201を利用して階段を兼ねる支柱202とし、その上端に避難ステージ203を設けるとともに、引張補強材204…により同構造体を安定に支持するようにしたものである。尚、このビル200の前方には、津波を防護するためのネット205を前後にあるように設けてもよい。
【0035】
図32は提案例であり、既設の電柱208を利用して梯子209と支え材210を配備するとともにその上部に避難部211を設置して、津波や洪水時に梯子209を使って避難部211に昇ることで避難可能としたものである。尚、梯子209には非常時限定破壊戸212を備え付けて平時は登れないようにしてある。また、電柱208の避難部211よりも上方位置には感電防止材213を備えてある。
【0036】
図33も提案例であり、電柱215の周りにパイプ216と門型支持枠217とを備え、斜材218を組み合わせて、電柱215が津波や洪水によって倒壊しないようにするとともに支持枠217上に載って避難も可能なようにしたものである。
【0037】
図34ないし図37は提案例を示し、図34は体育館などの避難所に暖房が必要であっても暖房器具や燃料、電気などがない場合の対処方法を示すもので、避難所の床面に開口部を設けてその床下に暖炉のできる受容器220を設置する一方、避難場所の壁面を介して排煙装置221を備え付けて暖房に緊急に対応できるようにしたものである。尚、222は蓋、223は対子供安全柵である。
図35は前記と同様の目的をもつ提案例で、避難所の外側に受容器225を設置して焚き火ができるようにするとともに、その焚き火からの熱分を避難所に通した貫通パイプ226に通してのちは排気することで避難所の室内が暖気になるようにしたものである。
図36は同じく受容器228で焚き火ができるようにしそれを土管229を通じて避難所の床下空間に持ち込むようにして排気も可能にしたものであり、これによって、避難所の床面および室内が暖気可能になる。
図37は、避難所の床上に断熱シートを介してレンガなどの台座230を配し、その上に断熱容器231を配して受ブロック232を介して焚き火のできる受容器233を載せ付けたものである。上部には排煙装置234を配してある。これにより、焚き火をすれば室内が暖気になるとともに、脚付き鉄板235を載せ付けておくことで例えば、焼そばや多くの料理をすることが可能となる。
【0038】
図38も提案例で、放射線から身を護ることのできる特殊布地をテント生地238として構成したものである。この生地は、家屋の屋根上や田畑に使用される各種カバー類、あるいは沈澱池の覆蓋、プールの覆いなどに利用することができる。
【0039】
図39および図40は、津波避難用施設(津波避難用タワー)についての他の実施形態を示す。同実施形態において、設置基盤300には、平面正方形をしたコンクリート基礎301が埋設されており、この基礎301には、4点配置をなすようにして垂直向きの支柱アンカー302…が埋め込まれている。このアンカー302の下半部は基礎301から基盤300内まで貫く長いものになっている。基礎300は、支柱アンカー302に対応する部分のみが深く厚いものにしてある。
尚、支柱アンカー302は、長柱aと短柱bとからなって衝撃を緩和し得るようにしてフランジ接合されている。このフランジ接合は図示のように周凹みを複数形成しその中にボルトナットが納まる細径接続タイプのものにしてあるが、一般の大径フランジ板同志を接続するものにしてもよい。
【0040】
支柱303は金属製の丸パイプで形成された4本でなり、この実施形態では、上部支柱303aとそれよりやや太めの下部支柱303bとからなる。上部と下部の支柱303a、303bは単一本型にしてもよい。これらの支柱303は、下端にフランジ304を介して前記支柱アンカー302に脱着可能に結合してあるとともに、上下の支柱303a、303b間も脱着可能に結合してある。これら隣合う支柱303,303は下向きに裾広がり状をなすように図示角度をもって配備されている。同支柱303は垂直に立設してもよい。
【0041】
305は横連結材で、支柱303間を上下数段にわたって水平につなぐものでこれら横連結材305と支柱303間は斜材306で補強し津波に対抗できるようにしてある。
307は下部避難ステージで、図40に仮想線で示すよう上からみると正方形をした外枠とその枠内に縦横に配された内枠とでなり、これら内枠の交差する個所を介して支柱303上端のフランジ308を脱着可能に結合することで載置固定してある。
【0042】
310はステージ受材で、支柱303の上部と下部避難ステージ307の外枠中間個所とを上からみてV字形になるようにして連結することで下部避難ステージ307を振れないように下から支持している。前記下部避難ステージ307の床面はウレタン発泡材の断熱機能をもつものになっている。
311は上部避難ステージで、このステージ311は、支柱303に対応する4個所に立設されたステージ内支柱312を介して支持されている。これら上部と下部の避難ステージ311,307は上からみて略同じ面積をもつとともに、上下間の外周全体には、網入り強化ガラス313が張設されることで一定期間生活可能で津波や洪水などの非常事態のときにも安全な避難部屋(展望台)314が形成されている。強化ガラス313の下部には光触媒による外壁材317が設けられているとともに、避難部屋314内には太陽光発電(風力発電も組み合わせることがある)を電源とするLED照明315が設けられている。避難部屋314はグラスウール製の断熱天井316が施されているとともに、同部屋314内には、一定期間生活可能なように、水洗トイレ・風呂・キッチン・冷暖房設備が装備されている。
【0043】
上部避難ステージ311のまわりには、外手摺318が設けられるとともに、避雷針319・対航空機用警告灯320・緊急発令スピーカー321・地震時回転警告灯322など非常用の設備が設置されている。また、上部避難ステージ311上には、広く災害時に必要とされる上水入りの水タンク323が常備されている。324は収納庫である。尚、設置基盤300から下部避難ステージ307底面までの高さH1は12mに、また下部避難ステージ307の底面から上部避難ステージ311の上面までの高さH2は3mに設定してある。
避難ステージは上部311と下部307の2層であるが、3層あるいはそれ以上に構築することがある。層数を増やせばそれだけ避難可能人員は増える。325は上部手摺で、例え津波流が上部避難ステージ311上を越えるようなことがあってもこの手摺325に掴まっておけば流されずに済むようにしてある。水タンク323はこの手摺325にヒモで結んでおいてもよい。
【0044】
327はエレベータ装置であり、そのガイドタワー328は図40のように円筒形でコンクリート基礎301を下端とし上部は下部避難ステージ307を貫通しさらに上部避難ステージ311上に至るように伸びており、避難部屋314や上部避難ステージ311上に避難できるようになっている。このエレベータ装置327は、例えば、震度3以上で最寄りの階に自動停止し、非常停止した数分後自動回復し避難者の搬送が可能な態勢となる設定にしてある。
【0045】
330はワイヤである上部牽張条材(ロープやリンクチェーンでもよい)、331は下部牽張条材である。332はワイヤアンカーで、隣合う支柱303の基部間各前方に離れたところに埋設された杭ブロック334に貫通しさらに強化のため設置基盤300内へ深く伸びるようにして固定されている。上部牽張条材330も下部牽張条材331も上からみると図40のようにV字状をなして張られており、そのうち上部牽張条材330は、ワイヤアンカー332と上部支柱303aの上端との間に、下部牽張条材331は、ワイヤアンカー332と下部支柱303bの上端との間に張られている。ワイヤアンカー332は図39の仮想線のように上へ長く伸ばして緩衝杭333としても機能するようにしてもよい。また、緩衝杭333を配列する場合、図40にその平面配置を示すように、施設を基準にして、津波の押し波Xや返し波Yが流れてくるのに対抗する位置に配置する。さらに、ワイヤアンカー332の施設から離れた側面は図39のように前下がりの傾斜面になっており、上向きに向けにくい形状となっている。
【0046】
前記のように牽張条材330,331を張った場合、施設が津波流X、Yで倒れないようにすることができる以外に、津波流X、Yとともに流れ来る船舶やコンテナ、住宅損壊物などの随行物を牽張条材330,331で緩衝しながら確実に受け留めて施設に衝当しないようにする護る機能がある。しかも、随行物がこれら牽張条材330,331に受け留められることによりそれらの随行物が津波流X、Yを左右に分ける作用をすることになり、それにより、それまで高かった津波流X、Yの高さがその時点で低くなって分流化し、その結果、施設の上階に避難する人が呑み込まれないようになる。したがって、図40の牽張条材330,331は、津波流X、Yに対し有効に対抗するように、Vの配置あるいは平行型のSの配置にすることがある。尚、牽張条材には、バネやオイル、エアーダンパーなどを組み合わせることができる。
【0047】
335は登降手段の1つである主階段(直階段)であり、基礎301から折れ曲り式に避難部屋314内まで登れるように設けられている。同登降手段はラセンでもよい。上部避難ステージ311へは、非常用階段336を通じて昇り降りすることができる。
【符号の説明】
【0048】
1…設置基盤 3…支柱 11…住宅構造体 12…通過空間。
【技術分野】
【0001】
本発明は、津波や洪水などの非常事態に対し安全を確保できるようにした防護型住宅建造物に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、大地震により大津波が襲来すると、一般構造の住宅ではその殆どが壊滅し、その後は、仮設住宅での生活を余儀なくされるのが通例である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特開平10−184040
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
その場合の仮設住宅は、地盤に固定された基礎枠上に建てられるタイプのものが殆どであり、そうしたものでは、津波が襲来すると再度壊滅するおそれがあるため津波襲来に安全な高台に設置するしかなく、例えば、漁業を営む人が望むように海岸縁や壊滅状態の平地などに建設することができないという問題があった。
【0004】
本発明は、このような問題を解決しようとするものであり、仮設タイプや正式タイプの住宅を建設するにせよ、津波や洪水のおそれのない高台などに設置を限定されることなく場所を自由に選んで建設できるようにした防護型住宅建造物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、金属パイプやPCパイル、あるいは矢板などの長尺物を基材として地盤から立設される支柱と、下方空間が津波などの通過空間とされるように前記支柱の上位を介して支持され内部空間で生活が可能とされた住宅構造体とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
上述したように本発明は、金属パイプやPCパイル、あるいは矢板などの長尺物を基材として地盤から立設される支柱と、下方空間が津波などの通過空間とされるように前記支柱の上位を介して支持され内部空間で生活が可能とされた住宅構造体とを有することを特徴とするので、仮居住タイプや正規居住タイプの住宅を建設するにあたって、津波や洪水の襲来で損壊などの心配なく自由に設置場所を選んで建設ができるようにした防護型住宅建造物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施形態を示す図2のI−I線横断面図。
【図2】図1の正面図。
【図3】図2のB矢視図。
【図4】他の実施形態を示す図6の平面図。
【図5】図6のC−C線断面図。
【図6】図4の正面図。
【図7】図6のD矢視図。
【図8】他の実施形態を示す図10の平面図。
【図9】図10のE−E線断面図。
【図10】図8の正面図。
【図11】図10のF矢視図。
【図12】他の実施形態を示す図13のG−G線断面図。
【図13】図12の正面図。
【図14】他の実施形態を示す横断面図。
【図15】図14の正面図。
【図16】他の実施形態を示す側面図。
【図17】他の実施形態を示す側面図。
【図18】他の実施形態を示す津波襲来側からの正面図。
【図19】従来の津波避難用施設物を示す正面図。
【図20】津波避難用施設物についての他の実施形態を示す正面図。
【図21】他の実施形態を示す正面図。
【図22】他の実施形態を従来との関係において示す正面図。
【図23】他の実施形態を示す正面図。
【図24】他の実施形態を示す正面図。
【図25】図21の横断面図。
【図26】他の実施形態を示す斜視図。
【図27】他の実施形態を示す斜視図。
【図28】津波・洪水対策用空間都市の実施形態を示す正面図。
【図29】避難施設の他の実施形態を示す正面図。
【図30】避難施設の他の実施形態を示す正面図。
【図31】避難施設の他の実施形態を示す斜視図。
【図32】避難施設の他の実施形態を示す正面図。
【図33】避難施設の他の実施形態を示す正面図。
【図34】提案例を示す模式断面図。
【図35】提案例を示す模式断面図。
【図36】提案例を示す模式断面図。
【図37】提案例を示す模式断面図。
【図38】テントへの付加例を示す斜視図。
【図39】津波避難用施設についての他の実施形態を示す正面図。
【図40】図39のJ−J線横断平面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態を図1ないし図3に基づいて説明する。
各実施形態で説明する各案は他の実施形態においても適用することができる。
これらの図において、1は設置基盤で、同基盤1は、津波襲来のおそれのない高台でなく津波が現にあるいは将来襲来するおそれのある海岸縁や一般平坦地などをその対象としている。しかし、前記高台であっても津波や土砂崩れなどの襲来のおそれがあるので、設置対象として前記高台などを除外する意味はない。また、設置基盤1は、土地である必要はなくコンクリートや金属板造りなどのこともある。
【0009】
2は4ヶ所に配備したコンクリート製基礎で、同基礎2は、矩形ブロック状として設置基盤1に埋め込み固定されるとともに津波襲来時に抵抗するように上部一部を基盤1上に少し突出させて設けられている。
3は支柱で、金属パイプ製であり、この支柱2は、直径1m前後の太径のものとされて正方形あるいは長四角形の頂点位置にあるように4本配備されている。同支柱2は、底面の取付フランジ4を基礎2上に載せアンカー5により垂直に固定立設されている。これら支柱3のうち2本のもの(図1の下側2本のもの、図2の手前2本のもの)は、津波の襲来が想定される海岸縁あるいは河川縁に向けられる。支柱3のうちの1本のみが先行して津波の襲来してくる側に向くようにしてもよい。
【0010】
支柱3のうち1本のものの内部には、ラセン階段7が、また他の1本のものの内部には簡易エレベータ8が装備されており、それぞれに水密型のドア9を通じて出入りできるようになっている。エレベータ8は停電を考慮して機械式にすることもある。
【0011】
11は住宅構造体で、支柱3の上位を介して津波に襲来されない充分な高さに固定してある。この住宅構造体11は、上下2階構造で生活に必要な装備を完備するとともにその4隅には支柱3が貫通している。同住宅構造体11には、前記ラセン階段7や簡易エレベータ8を利用して出入りすることができる。そして、この住宅構造体11の下方空間は津波などの通過空間12とされる一方、同住宅構造体11の屋上には外周ぐるりに津波避け13が設けられている。屋上にもラセン階段7を利用して登降することができる。住宅構造体11の下方に相当する基盤上は駐車スペース14になっている。
【0012】
一方、各支柱3の外側には、前記フランジ4上を共有して金属パイプ製の防護柱15が立設固定され、この柱15は、支柱3との間の補強受材16により支持されている。
【0013】
尚、前記実施形態における支柱3は、1本ないし3本あるいは5本以上の複数本であってもよい。
支柱3をラセン階段7や簡易エレベータ8などとして利用してあるが、中は単なる空間であってもよい。空間の場合は収納空間として活用することもできる。
図2に示すように、隣家との間を連結補強材17でつないでもよいし、さらに、高台18に接続する避難連絡橋19を架設してもよい。この場合、前記連結補強材17は連結機能とともに避難路機能ももたせて津波の際離れた人でも隣からその隣へと移り避難することで最終的に高台18へ避難できるようにしてもよい。この場合の高台18は、山や丘などの他に図16以降に説明する鉄骨構造の避難施設物などの人工避難所でもよい。
支柱3は丸形以外に角形その他でもよい。
前記住宅構造体11を仮設住宅タイプとする場合、強化型とすることができる。この強化型とは、金属製底面・天面フレームおよびパネルフレームを断面サイズの大きいものにし剛強なブレースにより全体を強固に締め付けるタイプのものが好ましい。このことは以下の実施形態でも同様にいえる。
【0014】
図4ないし図7は他の実施形態を示す。同実施形態において21は設置基盤、22は基礎、23は支柱、24は取付フランジ、25はアンカーであり、設置基盤21に固定設置した基礎22上に左右一対をなす金属パイプ製(あるいはPCパイルや矢板などでも可能)の支柱23を立設固定し、その支柱23の並ぶ方向に平行に津波Xが襲来するような方向性をもって支柱23を立設する。勿論、同支柱23間が通過空間26となるように、即ち、図6の紙面手前から向こう側へ津波流が通るように支柱23を配備してもよい。27は防護柱、28は補強受材であり、29は住宅構造体、30は階段、31は屋上を囲む津波避けである。
【0015】
この実施形態ではさらに屋上にラセンあるいは直線などの付加階段32を備えて避難所33を形成することにより屋上を越えてくる津波に備えるようにしてある。34はアンテナあるいは避雷針などの機能ポールである。
支柱23は住宅構造体29内を貫通するようにしてあるが、図6の右欄に示すように、支柱23の上端のフランジ36上を介して住宅構造体29の底版フレーム29aを連結固定するようにしてもよい。これは図1ないし図3の実施形態でも同様にいえる。この場合、フランジ36と住宅構造体29との間には本震は勿論余震の恐怖を軽減するための弾性吸収パッド37を介装してもよい。尚、同右欄図において38は金属製で外周および縦横に渡される底フレーム、39は底パネルである。
支柱23は図5の右欄ように3本タイプであってもよい。住宅構造体29は仮設タイプの他に正規生活タイプのいずれでもよい。津波避け31は矢印方向である津波襲来方向を想定してその前側となる部分を高くして津波が屋上に入り込まないようにしてあるが、上端が水平な高さのものでもよい。
前記階段30はラセン型にすることができる。前記支柱23内にラセン階段を設けたり、収納空間とすることができる。
住宅構造体29の屋上には救助ネット35を張って津波で流されないようにすることができる。
【0016】
図8ないし図11は他の実施形態を示す。同実施形態は、設置基盤41の4ヶ所にコンクリート製の埋め込み基礎42を固設し、その上にアンカー43により取付フランジ44を固定することにより4本の支柱45を立設固定したものである。46は住宅構造体で、支柱45を貫通することで固定支持され、その屋上には津波避け47やラセン型の付加階段48や避難所49が設置されて高い津波が来ても安全に避難できるようになっている。50は防護柱、51は階段でラセン型のものでもよい。
【0017】
尚、図9のように隣同志の住宅構造体46を強化のため連結してもよい。また、図11に示すように、津波避け47の津波流れ出る後方面には、津波流は流れ出すが避難する人は留まって助かるような網目状の通水部52を複数設けることができる。53は通過空間、54は駐車スペースである。
また、住宅構造体46の津波襲来側の面が図10の左欄に示されているが、天フレーム55と底フレーム56を受けにして縦向きの金属製抵抗受材57…を多数本固定しておき、それらを受けにして金属製等のメッシュ58を張設しておけば津波流に耐えることができる。抵抗受材57は、半割りパイプでその溝が前面に向くように配備すると溝に沿って水が排除されて住宅構造体46の方向に向かう水の量は半減する。抵抗受材57は住宅構造体46の外面より少し離すのが損壊を少なくする意味で好ましい。この構造は、返し波が来るであろう側にも配備することができる。この構造は、他の実施形態にも適用される。
【0018】
さらに、図12および図13に示すように、隣合う支柱45間の下部をつなぐように金属製の側板60を対向状に固定し、その上下面61も金属板で閉塞して水密性のあるドア62で開閉自在な収納空間63を形成しておけば避難すれば安全でありしかも食料・飲料など非常用備品を入れておいたり重要書類や思い出の品などを収納しておけば津波があっても安全安心が確保される。この実施形態の場合、収納空間63は長手中間が膨らむ形とされて収納量を多く確保できるようにしてあるが、図12の右欄図のように平行な側板60で形成してもよい。また、同収納空間63内を利用して階段64を設けてもよい。尚、図12に示すように、ドア62を開きやすくするように、ドア62の津波襲来側前方には津波流を跳ね除ける突部65を設けておいてもよい。
【0019】
図14および図15は他の実施形態を示す。同実施形態は、支柱45を6本配し前記住宅構造体46よりも2倍程度大きな住宅構造体68を固定設置したものである。
尚、図16のように、住宅構造体70を蒲鉾形にしたり、図17のように、住宅構造体71を前後に斜面をもつ台形状にしてもよい。
また、図18のように、支柱46は住宅構造体72に貫通するのでなく、支柱46を高く伸ばしてその上部間に住宅構造体72を介装支持するようにしてもよい。73は底受フレーム、74は上受フレームで、これらは支柱46に対し締め付け固定される抱持体75を介して固定される。さらに底受フレーム73と上受フレーム74間の外側には、両フレーム73,74を締め付け固定し外部を防護する対抗材76…が多数本配列されている。この対抗材76のさらに外側面にはメッシュを付すことができる。
【0020】
図19は鉄骨構造型津波避難施設の従来例を示し、地盤80に埋め込み固定された複数のコンクリート製基礎ブロック81にアンカー82を備え、このアンカー82に底フランジ83を固定することによって複数本、例えば、4本のスチールパイプ製の支柱84が立設されている。これら支柱84は、その中段において横連結材85により結合されるとともに上部には避難ステージ86が例えば、上フランジ87を介して載置固定されており、同ステージ86に安全のための手摺88を取り付けてある。そして、避難者が登降するための階段89を備え付けて地盤80と避難ステージ86とを連絡してある。
【0021】
この施設は津波Xの襲来が想定される個所に設置され、その高さHは、海面からの津波襲来想定高さを超えて安全を確保するように設定するものであるが、この高さHは、設置後において想定高さの見直しがあった場合には図20のように+α分高く調整する必要が出てくる。それとともに施設物を高くすると、基礎ブロック81(従来幅はw)の安定性能にも問題が出てくるだけでなく、階段89の地盤への接続にも問題が出てくる。
【0022】
図20は避難ステージ86の高さを高くするとともにそれに伴う諸調整を行った一例を示すものである。即ち、底フランジ83を含む支柱84以上の本体部分はそのまま利用して、同本体部分を吊り上げるかリフトアップするなどしてα分程高くしたあと、高さα分の底上げ体91をその間に挟み入れて接続するようにする。底上げ体91は、上接続フランジ92と下接続フランジ93とをパイプ製の支柱体94でつないだもので形成されており、下接続フランジ93はアンカー95に、上接続フランジ92は前記底フランジ83に止着具96により連結固定する。
【0023】
ここで、支柱体94は支柱84よりも太径として安全度を確保するとともに、基礎ブロック97は図19の従来のブロックよりも数段大きなW×Wの平面寸法のもとに大きく重く形成して同じく広い面積とした下接続フランジ93をアンカー95により強固に連結固定するようにしてある。
階段89については、付加階段98を接続するが、実線のような直型と折り返し型のものとがある。また、底上げのための方法として、前記のようなスチールパイプでなく図20の右下欄に示すような基礎ブロック97と底上げ体91とを一体のコンクリートブロックとした形の底上げ体99としてもよい。100は底フランジ83を押さえ付けて固定するための押さえ板である。この押さえ板100には、底フランジ83の基部を抱き持つ半円形の受筒100aを一体に立設しておけば抵抗力が増す。この受筒100a同士は図23左欄のようにボルト締めすればより強固になる。
【0024】
図21は同じく避難ステージ86の高さがHであった既設避難用施設を想定高さの見直しに伴い一定のα分嵩上げするための他の実施形態を示すもので、同実施形態は、避難施設を吊り上げあるいはリフトアップした下で、支柱84の所望高さ部分を右欄のように切断個所101で横断状に切断し、これら上下に切断されたものa、bを一定の上下間隔をもって離間した状態とした下で外接続スリーブ102で接続したあと同スリーブ102とa、bとを溶接にて着合するようにしたものである。スリーブ102は、図23の左欄に示すような合着型にしてもよい。これによって避難ステージ86の高さはH+αになる。
【0025】
図22は避難ステージ86の高さが左欄のようにHであった既設避難用施設を想定高さの見直しに伴い一定のα分嵩上げするための他の実施形態を示すもので、同実施形態は、右欄のように既設の津波避難用施設の避難ステージ86の上に付加支柱104を複数本立設しそれらを上端においてつなぐように付加避難ステージ105を設けるとともに付加階段106を設けることによってα分高くするようにしたものである。付加支柱104回りを利用して出入り口107を備えた周壁108を設けて避難空間を形成するようにしてもよい。尚、109は非常用トイレである。避難空間内には非常用品を常備しておく他に、簡易風呂やシャワー設備を設けてもよい。この実施形態では、避難所が避難空間とその上の付加避難ステージ105との2個所になるので広い避難スペースになる。
【0026】
図23の実施形態は、PCパイル(PHCパイルやH型PCパイルなどを含む)による複数本の支柱112を打設により立設し、その下部外周に金属製の下段防護パイプ113を巻設して補強するとともに、中段には、左欄のように合着型の中段防護パイプ114を支柱112まわりに介して横連結材115を横架固定したものを示している。支柱112の上端には、上段防護パイプ116を嵌め込むことで避難ステージ117を固定設置してある。この避難ステージ117上には、図22と同様に嵩上げのための付加避難ステージ118が付加支柱119の流入により設けられて階段120で登降可能とされ、周壁121による避難空間も形成されるとともに、簡易トイレ122が設置されている。
尚、右上欄図のように、PCパイルである支柱112を付加支柱119上端程度まで高くし、同支柱112に被さる付加パイプ123を介して避難ステージ124を設けることもできる。右下欄のように、避難ステージ125を付加パイプ123より高く設定することもできる。
尚、付加避難ステージ118上には緩衝ゴムa付きのワイヤ架台126を立設して、一端と他端を共にワイヤアンカー127に引張状態で係合した牽張ワイヤWの中途部分を載せ掛けるようにしてもよい。この場合、ワイヤWの基部などには緩衝手段(バネやオイルダンパーなど)Rを付加してもよい。これによると津波流Xで船舶などが流れてきても緩衝機能をもつワイヤWによって緩やかに船舶などが受け留められ避難用施設やそれ以降の住宅などにこの船舶が衝当して被害を及ぼすおそれがなくなる。尚、ワイヤWは図面に直交する方向に複数本配備する。
【0027】
図24および図25に示す実施形態は、コンクリート基礎128上に支柱129を立設し、これらを横連結材130でつなぐとともに、上端に避難ステージ131を設けて階段132により登降できるようにしたものにおいて、さらに嵩上げとして、避難ステージ131上に付加支柱133を介して付加避難ステージ134を設けて付加階段135により登降可能に構成したものであって、特に、施設の外周りに防護杭136…を施設構造体を取り囲むように配備し、その中の所定のものと支柱129とを補強材137により連結補強してなるものである。補強のしかたには、右欄図のようにV字形のものもある。
尚、図19ないし図25(図21を除く)の各実施形態では、既設の避難用施設に対し底上げや嵩上げする場合について説明したが、これら完成した形を新規構築する場合もある。例えば、図20の全体形態をすべて新規に構築するような場合がそれに相当する。
【0028】
図26に示す実施形態は、支柱140のうちその上部のみを示すとともにその上端を介して避難ステージ141を載置固定した津波避難用施設において、その避難ステージ141上の中央にポール142を立設する一方、ステージ141の外周コーナーに受ポール143を立設し、これらを利用して複数面からなる避難覆い144を張設したものである。尚、ポール142と受ポール143各間に斜梁を設けてそれらに避難覆い144の稜部を取付支持させるようにしてもよい。145は引張安定線材である。避難覆い144下の避難スペースには、登り階段の登り口が臨むとともに非常収納庫や簡易トイレなどが常備される。避難覆い144はテント地である他に樹脂や木板製、アルミ合金や薄板スチール製などでもよい。同避難覆い144の上面にはソラーパネルを設置することができる。
【0029】
図27に示す実施形態は、支柱148のうちその上部のみを示すとともにその上端を介して避難ステージ149を載置固定した津波避難用施設において、その避難ステージ149上の中央に円筒型で出入り口150を開設した柵状の安全ガード151が固定設置され、階段152を通じて避難してきた人は図のように出入り口150を通じてガード151内に避難しておけばこの施設構造体を仮に津波が超えるようになものであっても流されるようなことはなく安全が確保される。
尚、右欄図のように、安全ガード151は柵状でなく円筒面状のものでもよい。
また、安全ガード151の内周面にはラセン状に上る階段を設けてもよい。
【0030】
図28は、例えば、津波や洪水などで壊滅した被災地を津波に強い全く新たな空中都市として復興する場合の一実施形態を示す。上段図の160は新規基盤であり、その下欄の図に示すように山161や丘陵などの頂部あるいは斜面一部を矢印のように掘削・搬送することで造成されている。この基盤160には平面的にみて縦横にあるようにして支柱(コラム)162…が配列され立設固定されている。これらの支柱162の下周りは、底版163と円錐形の根回り防護部164とでなるコンクリート基礎によってそれぞれ剛強に固定されている。根回り防護部164を円錐形にしたのは、津波を通過させるが減衰効果があるようにしたためであり、また防護部164の前後のものが位置をずらせて千鳥配置にされているのは津波が前方の防護部164間を通過したあと後列の防護部164にぶつかり左右に分散されその分散されたものが再びぶつかってエネルギーが大幅に減衰されるようにしたためである。しかし、防護部164は円柱や角柱などにしてもよいし、前記千鳥配置でなくてもよい。
【0031】
支柱162…の1群のものの上端面を介して平面視正方形や長四角、さらに円形や楕円形などをした設置基盤165が固定して設けられている。そして、この設置基盤165上には戸建住宅166…やマンション167や商用ビルなどが設置されている。この実施形態の場合は、そうしたものを1群として左右・前後に多くの設置基盤165…が構築されてそれらが弾性接続部168を介する連絡橋169によって縦横に接続されている。設置基盤165は、20ないし40m高さとされ、その高さは津波襲来想定高さに応じて十分なものとする。設置基盤165の外縁は津波からの防護のためと基盤強度を増すために立ち上がり部が設けられている。
尚、中段に示す例は、設置基盤165の各一端を山161の高台170に掛かるように支持されたものであり、両基盤165間は連絡橋171で接続して往き来可能にしたものである。前記高台170は道路とすることがある。
また、下段に示す例は、山161間を橋梁方式の設置基盤173で単一本で接続したものである。同基盤173は図に直交する方向に幅の広いものでその上に前記住宅やマンションなどの建造物174…が設置される。
【0032】
図29は他の実施形態で、既設(あるいは新設)のビル177が当該地域の津波想定高さを充足しない危険なものである場合に、その屋上に支柱178・横連結材179および避難ステージ180でなる鉄骨構造型の避難施設を立設して階段181でビル高さ以上に避難できるようにしたものである。182は引張索条である。支柱178は、ビル177の内部構築体177aに結合すれば避難施設が安定化する。尚、左欄に示すように、屋上の手摺183の外側に対応するように対抗杭184…を左右に多数本配備して超えてくる津波流によって手摺183が損壊しないようにしてある。
【0033】
図30の実施形態も図29の実施形態と同様の目的でなされたものであり、ビル187の内部構築体187aを結合相手にして屋上から前後2本の内支柱188を立設し、外支柱189は、前後2本からなり、地盤190に固定のコンクリート基礎191上から立設して内支柱188と同じ高さになるようにしたものである。これら内・外支柱188,189相互は横連結材192…により多段に結合し、その上部に避難ステージ193を備えるととともに屋上から階段194により登降できるようにしたものである。尚、同図上側に示すように、屋上に安全ネット195を張っておけば津波が越えてきた場合の救助役となる。また、同図右上に示すように屋上に一定高さの設置バー196を数本配列しておいてそのバー196につかまり取っ手197…を配備してこれを掴むようにすれば越えてきた津波にも流されるおそれがない。さらに、右欄下に示すように屋上に防護手摺198を設けておいて同手摺198を掴むことで津波に流されずしかもその間を逃げ道にして安全なところへ逃げることもできる。
【0034】
図31は図29、図30の実施形態と同様の目的をもってなされた実施形態であり、ビル200の屋上にポール201が既設されている場合。このポール201を利用して階段を兼ねる支柱202とし、その上端に避難ステージ203を設けるとともに、引張補強材204…により同構造体を安定に支持するようにしたものである。尚、このビル200の前方には、津波を防護するためのネット205を前後にあるように設けてもよい。
【0035】
図32は提案例であり、既設の電柱208を利用して梯子209と支え材210を配備するとともにその上部に避難部211を設置して、津波や洪水時に梯子209を使って避難部211に昇ることで避難可能としたものである。尚、梯子209には非常時限定破壊戸212を備え付けて平時は登れないようにしてある。また、電柱208の避難部211よりも上方位置には感電防止材213を備えてある。
【0036】
図33も提案例であり、電柱215の周りにパイプ216と門型支持枠217とを備え、斜材218を組み合わせて、電柱215が津波や洪水によって倒壊しないようにするとともに支持枠217上に載って避難も可能なようにしたものである。
【0037】
図34ないし図37は提案例を示し、図34は体育館などの避難所に暖房が必要であっても暖房器具や燃料、電気などがない場合の対処方法を示すもので、避難所の床面に開口部を設けてその床下に暖炉のできる受容器220を設置する一方、避難場所の壁面を介して排煙装置221を備え付けて暖房に緊急に対応できるようにしたものである。尚、222は蓋、223は対子供安全柵である。
図35は前記と同様の目的をもつ提案例で、避難所の外側に受容器225を設置して焚き火ができるようにするとともに、その焚き火からの熱分を避難所に通した貫通パイプ226に通してのちは排気することで避難所の室内が暖気になるようにしたものである。
図36は同じく受容器228で焚き火ができるようにしそれを土管229を通じて避難所の床下空間に持ち込むようにして排気も可能にしたものであり、これによって、避難所の床面および室内が暖気可能になる。
図37は、避難所の床上に断熱シートを介してレンガなどの台座230を配し、その上に断熱容器231を配して受ブロック232を介して焚き火のできる受容器233を載せ付けたものである。上部には排煙装置234を配してある。これにより、焚き火をすれば室内が暖気になるとともに、脚付き鉄板235を載せ付けておくことで例えば、焼そばや多くの料理をすることが可能となる。
【0038】
図38も提案例で、放射線から身を護ることのできる特殊布地をテント生地238として構成したものである。この生地は、家屋の屋根上や田畑に使用される各種カバー類、あるいは沈澱池の覆蓋、プールの覆いなどに利用することができる。
【0039】
図39および図40は、津波避難用施設(津波避難用タワー)についての他の実施形態を示す。同実施形態において、設置基盤300には、平面正方形をしたコンクリート基礎301が埋設されており、この基礎301には、4点配置をなすようにして垂直向きの支柱アンカー302…が埋め込まれている。このアンカー302の下半部は基礎301から基盤300内まで貫く長いものになっている。基礎300は、支柱アンカー302に対応する部分のみが深く厚いものにしてある。
尚、支柱アンカー302は、長柱aと短柱bとからなって衝撃を緩和し得るようにしてフランジ接合されている。このフランジ接合は図示のように周凹みを複数形成しその中にボルトナットが納まる細径接続タイプのものにしてあるが、一般の大径フランジ板同志を接続するものにしてもよい。
【0040】
支柱303は金属製の丸パイプで形成された4本でなり、この実施形態では、上部支柱303aとそれよりやや太めの下部支柱303bとからなる。上部と下部の支柱303a、303bは単一本型にしてもよい。これらの支柱303は、下端にフランジ304を介して前記支柱アンカー302に脱着可能に結合してあるとともに、上下の支柱303a、303b間も脱着可能に結合してある。これら隣合う支柱303,303は下向きに裾広がり状をなすように図示角度をもって配備されている。同支柱303は垂直に立設してもよい。
【0041】
305は横連結材で、支柱303間を上下数段にわたって水平につなぐものでこれら横連結材305と支柱303間は斜材306で補強し津波に対抗できるようにしてある。
307は下部避難ステージで、図40に仮想線で示すよう上からみると正方形をした外枠とその枠内に縦横に配された内枠とでなり、これら内枠の交差する個所を介して支柱303上端のフランジ308を脱着可能に結合することで載置固定してある。
【0042】
310はステージ受材で、支柱303の上部と下部避難ステージ307の外枠中間個所とを上からみてV字形になるようにして連結することで下部避難ステージ307を振れないように下から支持している。前記下部避難ステージ307の床面はウレタン発泡材の断熱機能をもつものになっている。
311は上部避難ステージで、このステージ311は、支柱303に対応する4個所に立設されたステージ内支柱312を介して支持されている。これら上部と下部の避難ステージ311,307は上からみて略同じ面積をもつとともに、上下間の外周全体には、網入り強化ガラス313が張設されることで一定期間生活可能で津波や洪水などの非常事態のときにも安全な避難部屋(展望台)314が形成されている。強化ガラス313の下部には光触媒による外壁材317が設けられているとともに、避難部屋314内には太陽光発電(風力発電も組み合わせることがある)を電源とするLED照明315が設けられている。避難部屋314はグラスウール製の断熱天井316が施されているとともに、同部屋314内には、一定期間生活可能なように、水洗トイレ・風呂・キッチン・冷暖房設備が装備されている。
【0043】
上部避難ステージ311のまわりには、外手摺318が設けられるとともに、避雷針319・対航空機用警告灯320・緊急発令スピーカー321・地震時回転警告灯322など非常用の設備が設置されている。また、上部避難ステージ311上には、広く災害時に必要とされる上水入りの水タンク323が常備されている。324は収納庫である。尚、設置基盤300から下部避難ステージ307底面までの高さH1は12mに、また下部避難ステージ307の底面から上部避難ステージ311の上面までの高さH2は3mに設定してある。
避難ステージは上部311と下部307の2層であるが、3層あるいはそれ以上に構築することがある。層数を増やせばそれだけ避難可能人員は増える。325は上部手摺で、例え津波流が上部避難ステージ311上を越えるようなことがあってもこの手摺325に掴まっておけば流されずに済むようにしてある。水タンク323はこの手摺325にヒモで結んでおいてもよい。
【0044】
327はエレベータ装置であり、そのガイドタワー328は図40のように円筒形でコンクリート基礎301を下端とし上部は下部避難ステージ307を貫通しさらに上部避難ステージ311上に至るように伸びており、避難部屋314や上部避難ステージ311上に避難できるようになっている。このエレベータ装置327は、例えば、震度3以上で最寄りの階に自動停止し、非常停止した数分後自動回復し避難者の搬送が可能な態勢となる設定にしてある。
【0045】
330はワイヤである上部牽張条材(ロープやリンクチェーンでもよい)、331は下部牽張条材である。332はワイヤアンカーで、隣合う支柱303の基部間各前方に離れたところに埋設された杭ブロック334に貫通しさらに強化のため設置基盤300内へ深く伸びるようにして固定されている。上部牽張条材330も下部牽張条材331も上からみると図40のようにV字状をなして張られており、そのうち上部牽張条材330は、ワイヤアンカー332と上部支柱303aの上端との間に、下部牽張条材331は、ワイヤアンカー332と下部支柱303bの上端との間に張られている。ワイヤアンカー332は図39の仮想線のように上へ長く伸ばして緩衝杭333としても機能するようにしてもよい。また、緩衝杭333を配列する場合、図40にその平面配置を示すように、施設を基準にして、津波の押し波Xや返し波Yが流れてくるのに対抗する位置に配置する。さらに、ワイヤアンカー332の施設から離れた側面は図39のように前下がりの傾斜面になっており、上向きに向けにくい形状となっている。
【0046】
前記のように牽張条材330,331を張った場合、施設が津波流X、Yで倒れないようにすることができる以外に、津波流X、Yとともに流れ来る船舶やコンテナ、住宅損壊物などの随行物を牽張条材330,331で緩衝しながら確実に受け留めて施設に衝当しないようにする護る機能がある。しかも、随行物がこれら牽張条材330,331に受け留められることによりそれらの随行物が津波流X、Yを左右に分ける作用をすることになり、それにより、それまで高かった津波流X、Yの高さがその時点で低くなって分流化し、その結果、施設の上階に避難する人が呑み込まれないようになる。したがって、図40の牽張条材330,331は、津波流X、Yに対し有効に対抗するように、Vの配置あるいは平行型のSの配置にすることがある。尚、牽張条材には、バネやオイル、エアーダンパーなどを組み合わせることができる。
【0047】
335は登降手段の1つである主階段(直階段)であり、基礎301から折れ曲り式に避難部屋314内まで登れるように設けられている。同登降手段はラセンでもよい。上部避難ステージ311へは、非常用階段336を通じて昇り降りすることができる。
【符号の説明】
【0048】
1…設置基盤 3…支柱 11…住宅構造体 12…通過空間。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属パイプやPCパイル、あるいは矢板などの長尺物を基材として地盤から立設される支柱と、下方空間が津波などの通過空間とされるように前記支柱の上位を介して支持され内部空間で生活が可能とされた住宅構造体とを有することを特徴とする防護型住宅建造物。
【請求項1】
金属パイプやPCパイル、あるいは矢板などの長尺物を基材として地盤から立設される支柱と、下方空間が津波などの通過空間とされるように前記支柱の上位を介して支持され内部空間で生活が可能とされた住宅構造体とを有することを特徴とする防護型住宅建造物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【公開番号】特開2012−127178(P2012−127178A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2011−109888(P2011−109888)
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(594100838)フジワラ産業株式会社 (51)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−109888(P2011−109888)
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(594100838)フジワラ産業株式会社 (51)
【Fターム(参考)】
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