説明

防音シート、排水配管構造および排水配管の清掃方法

【課題】所定の要件下で簡便に排水管内の汚れを観察することができる防音シート、排水配管構造および排水管の清掃方法を提供する。
【解決手段】建築物に施工され排水配管構造および排水管の清掃方法に適用される防音シート1は、厚さ方向に貫通する孔である窓6,7と、窓を開閉する閉じ部8と、着脱部材34,35,36と、を備え、閉じ部は、窓に嵌り込んで窓を埋めるように塞ぐことが可能な閉塞部材32,33と、閉塞部材と一体化された閉じ部本体31と、からなり、着脱部材は、閉じ部が窓を埋めた状態に維持するように閉じ部本体を窓の廻りに固定可能であって、かつ固定を解除可能であり、窓、閉じ部および着脱部材は、着脱部材が固定を解除したときに閉じ部が窓から抜け出ることが可能なように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物における排水配管からの排水音を遮蔽する防音シート、排水配管構造および排水配管の清掃方法に関する。
【背景技術】
【0002】
集合住宅では、生活排水は上階から集められて下階へ送られる。通常、集合住宅においては、台所から生ずる排水管、ならびに浴室排水および洗濯排水等の排水管は、1年乃至2年に1度の頻度で管内洗浄が行われる。
排水管の管内洗浄としては、ホースの先端に取り付けられたノズルを排水管に挿入し、ノズルから後方に高圧水を噴射させながら、噴射する高圧水によってノズルを排水管の奥に進行させる方法等がある(例えば特許文献1)。
【特許文献1】特開2006−249918号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
排水管の汚れ具合を確認する方法として、内視鏡を管内に挿入して排水管内の状態を目視する方法があり、内視鏡による管内観察の結果、汚れが少ない場合には洗浄を延期するという選択がなされる場合がある。しかし、内視鏡を用いる確認検査を行わず、管内の状態を確認することなく、清掃作業が実施されることも多い。また、定期的であることを理由に事前の管内観察が行われずに洗浄作業が行われることもある。
ロッドで削り落として清掃する方法、あるいはフレキシブルワイヤーを回転させながら掻き落として清掃する方法の場合には、配管内部が磨耗し排水管の肉厚が薄くなり、最悪の場合には孔が開き、排水の漏洩を引き起こすおそれがある。
【0004】
このように、不必要な排水管の管内洗浄を行うことは、洗浄費用の無駄に加え排水管の損傷を促進させるという問題がある。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、所定の要件下で簡便に排水管内の汚れを観察することができる防音シート、排水配管構造および排水配管の清掃方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る排水配管構造は、建築物に施工され、少なくとも一部が透明な樹脂で形成された排水配管と、前記排水配管に被覆された防音部材と、からなり、前記防音部材は、前記排水配管に着脱自在または開閉自在に形成されており、前記防音部材の少なくとも一部を取り外しまたは開閉することにより前記排水配管の内部の状態が観察可能に構成されている。
前記排水配管は、集合住宅の上下階を貫通する立管である。
前記防音部材は、可撓性を有したシート状に形成されている。
【0006】
前記防音部材は、可燃性材料から構成されている。
前記防音部材は、結露防止のための断熱保温機能を備えている。
本発明に係る排水配管の清掃方法は、少なくとも一部が透明な樹脂で形成された排水配管の内部を、前記排水配管を着脱自在に被覆する防音部材を前記排水配管から取り外して前記排水配管内部の状況を確認しながら清掃を行う。
本発明に係る他の排水配管の清掃方法は、少なくとも一部が透明な樹脂で形成された排水配管の内部を、前記排水配管を被覆する防音部材の一部に開閉自在に形成された窓を開けることによって前記排水配管内部の状況を確認しながら清掃を行う。
【0007】
本発明に係る防音シートは、排水配管を被覆するための防音シートであって、前記防音シートを貫通する窓と、前記窓を開閉する閉じ部と、を備え、前記閉じ部は、防音シートに対し着脱自在に取り付けられている。
本発明に係る他の防音シートは、排水配管を被覆して排水音を遮音するための防音シートであって、厚さ方向に貫通する孔である窓と、前記窓を開閉する閉じ部と、着脱部材と、を備え、前記閉じ部は、前記窓に嵌り込んで前記窓を埋めるように塞ぐことが可能な閉塞部材と、前記閉塞部材と一体化された閉じ部本体と、からなり、前記着脱部材は、前記閉じ部が前記窓を埋めた状態に維持するように前記閉じ部本体を前記窓の廻りに固定可能であって、かつ前記固定を解除可能であり、前記窓、前記閉じ部および前記着脱部材は、前記着脱部材が前記固定を解除したときに前記閉じ部が前記窓から抜け出ることが可能なように形成されている。
【0008】
本発明に係る他の防音シートは、排水配管を被覆して排水音を遮音するための防音シートであって、シート状の遮音層と、前記遮音層に重ね合わされ可撓性を有する板状の吸音層と、前記遮音層および前記吸音層を貫通する孔である窓と、前記窓を開閉する閉じ部と、着脱部材と、を備え、前記閉じ部は、前記窓に嵌り込んで前記窓を埋めるように塞ぐことが可能な閉塞部材と、前記閉塞部材と一体化された閉じ部本体と、からなり、前記着脱部材は、2つの互いに一体化および分離自在な部材で構成されて一方の部材が前記遮音層に一体化され他方の部材が前記閉じ部本体に一体化されており、前記窓、前記閉じ部および前記着脱部材は、前記2つの部材が一体化されたときに前記閉じ部が前記窓に嵌り込み、前記2つの部材が分離されたときに前記閉じ部が前記窓から抜け出ることが可能なように形成されている。
【0009】
前記防音シートにおいて、前記着脱部材が1対の面ファスナーである。
前記防音シートは、前記窓として投光用窓および観察用窓の2つを備え、前記閉塞部材として前記投光用窓を埋めるように塞ぐことが可能な投光用窓閉塞部材、および前記観察用窓を埋めるように塞ぐことが可能な観察用窓閉塞部材を備える。
上記において、特に規定しない場合には、排水配管に立管、横枝管、横主管および排水集合管が含まれる。
窓の位置は、防音シートの中央、端およびその他の位置とすることができる。
【0010】
窓の形状は、矩形、多角形、円形、楕円形等任意のものとすることができる。
窓の周囲は、オーバーラップ構造、または突き合わせ構造等任意のものとしてもよい。
防音部材は、モルタル材、吸音材または遮音材でもよい。
防音部材は、円周方向に長くても、軸方向に長くてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、所定の要件下で簡便に排水管内の汚れを観察することができる防音シートおよび排水配管構造を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は防音シート1の正面図、図2は防音シート1の裏面図、および図3は防音シート1の断面図である。図3において(a)は図1におけるA−A矢視断面図であり、(b)は図1におけるB−B矢視断面図である。
図1ないし図3において、防音シート1は、吸音層2、遮音層3および面ファスナー4a,4b等からなる。防音シート1は、取り付け対象の管の材質および外径によりその大きさが異なる。図1ないし図3に示される防音シート1は、立管に使用される透明な塩化ビニル樹脂管に取り付けるためのものである。
【0013】
吸音層2は、適度な空隙を有するように形成され可撓性を有する長方形の板状の材料で形成される。量産される透明な塩化ビニル樹脂管の外径は規格化されており、吸音層2の短辺は、取り付け対象である透明な塩化ビニル樹脂管ごとにその外径に略等しい長さのものが用意される。防音シート1においては、吸音層2は、軟質ウレタン樹脂で形成されている。吸音層2として、軟質ウレタンフォームの再生材、グラスウール、ロックウール、セラミックファイバー、セルロースファイバーおよびニードルパンチマット等によって形成することができる。
【0014】
遮音層3は、可撓性を有する合成樹脂または合成ゴム等の長方形のシートである。遮音層3は、長辺の長さが吸音層2の長辺と略同じであり、短辺の長さが吸音層2よりも長い。遮音層3は、通常の取り扱いでは破断しない強度を有する。遮音層3は、軟質塩化ビニル樹脂で形成されている。遮音層3は、他の可撓性を有する、つまり曲げ易く撓み易いシート状の材料、例えばアスファルトシート、オレフィン樹脂シート、鉄系充填材入り軟質シート等によって形成することができる。
面ファスナー4a,4bは、それぞれの面を重ねると一体化し、一体化したものを引きはがすことにより2つに分けることができるという機能を有する部材である。防音シート1においては、面ファスナー4a,4bの一方が雄型であり他方が雌型であるマジックテープ(登録商標)が使用される。また、他の同様の機能を有する面ファスナーを使用することができる。
【0015】
防音シート1において、吸音層2、遮音層3および面ファスナー4a,4bは、ミシン縫いにより縫い合わされている。吸音層2と遮音層3とは、それぞれの両短辺および一方の長辺が揃えて重ねられている。遮音層3における他方の長辺近傍には、吸音層2に重ならない延在部5を有する。面ファスナー4a,4bは、その一方4aが、遮音層3における、吸音層2の端に揃えられていない側(吸音層2に重なっていない側)の延在部5で吸音層2が重ねられた側の面(内面)に、長辺の長さ方向にわたって帯状に縫いつけられている。この帯状の領域を第1接合部領域51という。また、この一方の面ファスナー4aは、吸音層2の端から20〜50mmの間隔をあけて配されている。この帯状の遮音層の単層領域を第1重合部領域52という。
【0016】
他方の面ファスナー4bは、遮音層3における面ファスナー4aが配された側とは逆側の長辺近傍の吸音層2が重ねられた面とは反対の面(外面)に、長辺の長さ方向にわたって帯状に縫いつけられている。この帯状の領域を第2接合部領域53という。また、この他方の面ファスナー4bは、吸音層2の端から20〜50mmの間隔をあけて配されている。この帯状の領域を第2重合部領域54という。
なお、面ファスナー4a,4bは、それぞれの接合面を外方にして遮音層3に縫いつけられている。
【0017】
防音シート1には、吸音層2および遮音層3を貫通する投光用窓6および観察用窓7が設けられている。投光用窓6はその開口形状が略正方形であり、観察用窓7はその開口形状が、短辺が投光用窓6の1辺に略等しい長方形である。投光用窓6および観察用窓7は投光用窓6の1辺と観察用窓7の短辺とが平行になるように並べられ、かつその並びが面ファスナー4a,4bの長手方向に直交するように配されている。
投光用窓6および観察用窓7は、閉じ部8により開閉自在である。
閉じ部8は、閉じ部本体31、投光用窓吸音部32、観察用窓吸音部33および3組の面ファスナー34,35,36からなる。
【0018】
閉じ部本体31は、遮音層3と同じ材料で形成された長方形のシートであり、投光用窓6および観察用窓7を覆うに十分な大きさを有する。
投光用窓吸音部32および観察用窓吸音部33は、いずれも吸音層2と同じ材料で形成されている。投光用窓吸音部32および観察用窓吸音部33は、投光用窓6および観察用窓7として設けられた吸音層2および遮音層3を貫通するそれぞれの空間形状に略等しい略直方体の形状を有する。そして、投光用窓吸音部32および観察用窓吸音部33は、閉じ部本体31の一方の表面に、この一方の表面を遮音層3の表面に重ねたときにそれぞれが投光用窓6および観察用窓7に嵌り込むように固定されている。閉じ部本体31への投光用窓6および観察用窓7の固定は、接着剤により行われる。あるいは、ミシン縫いによる縫い合わせまたは面ファスナーにより固定してもよい。
【0019】
投光用窓吸音部32および観察用窓吸音部33が固定された閉じ部本体31は、投光用窓吸音部32および観察用窓吸音部33がそれぞれ投光用窓6および観察用窓7に嵌め入れられて、投光用窓吸音部32に対して観察用窓吸音部33とは反対側の端近傍が吸音層2および遮音層3にミシン縫いにより一体化されている。
なお、投光用窓吸音部32および観察用窓吸音部33は、投光用窓6および観察用窓7を埋めるように塞ぐことができる形状であるため、防音シート1は、投光用窓6および観察用窓7が設けられたことによる防音性能の低下が生じない。
【0020】
閉じ部本体31における投光用窓吸音部32側を除く観察用窓吸音部33の周囲3方向は、面ファスナー34,35,36により遮音層3に着脱自在となっている。
面ファスナー34,35,36は、それぞれが雄型と雌型との一対で構成され、雄型および雌型の一方が遮音層3の表面に縫いつけられ、雄型および雌型の他方が閉じ部本体31に縫いつけられている。
防音シート1は以下のようにして製造される。
初めに、面ファスナー4a,4bが遮音層3に縫いつけられる。図1ないし図3における21,22,23は縫い目を示す。面ファスナー4bは、1箇所(一辺)の縫い目21のみの縫いつけである。
【0021】
続いて、吸音層2と遮音層3とが縫い合わされる。図1ないし図3における24,25,26は縫い目を示す。吸音層2と遮音層3との縫い合わせの際に、面ファスナー4bの他の一辺が縫いつけられる。
図4は防音シート1が立管11に施工された様子を示す図、図5は図4におけるC−C矢視断面図である。
図4において、防音シート1は、上階の排水集合管9の下部に取り付けられた延焼防止装置10の直下から、下階の排水集合管9の直上までを被覆している。なお、延焼防止装置10は、特願2007−047801に記載された熱膨張性耐火材および延焼防止部材からなるものである。
【0022】
防音シート1は、面ファスナー4a,4bの長手方向が管の軸方向になるようにして立管11に巻かれる。巻かれた防音シート1は、面ファスナー4a,4bが接し合わされて立管11に取り付けられる。
防音シート1の長さは定尺のものが用意され、図4に示されるような立管11を全長にわたり防音する場合には、複数の防音シート1,1が使用される。定尺の防音シート1の長さよりも短い部分の防音には、防音シート1が切断されて使用される。隣り合う防音シート1,1の対向する端部は、必要に応じ粘着テープ12等で連結される。
【0023】
防音シート1は、その吸音層2の短辺の長さが取り付けられる立管11の外径に略等しいものが使用され、立管11に巻かれたときに、吸音層2の長辺の端部同士が突き合わせた状態となる。つまり、防音シート1は、吸音層2が立管11の全周に接した状態で取り付けられるので、音漏れの原因となる立管11との隙間、吸音層2の端部間の隙間および遮音層3の重なり部分の隙間を極力小さくすることができる。遮音層3のみからなる延在部5における一方の面ファスナー4aが縫いつけられていない部分(第1重合部領域52)は、遮音層3における他方の面ファスナー4bが縫いつけられた側に充分な幅をもたせて比較的密着させて重ね合わせることができる。さらに、防音シート1の全長にわたり帯状の面ファスナー4a,4bにより両端部が密着させた状態で閉じられるので、間隔をおいて設けられたスナップボタンの場合のように音漏れの要因となる隙間が生じない。
【0024】
図6は立管11内の汚れを観察する様子を示す図である。図6は図4におけるC−C矢視断面図である。
防音シート1は、透明な塩化ビニル樹脂管による立管11と組み合わされて使用される。防音シート1および立管11としての透明な塩化ビニル樹脂管は、高層の集合住宅等において各階に施工されてもよく、また立管11内の汚れを観察するために選定された特定の場所(例えば、立て管11の一部)に施工されてもよい。
立管11内の汚れを調べるとき、防音シート1は、投光用窓6および観察用窓7を露出させるために閉じ部8が開かれる。投光用窓6および観察用窓7の露出(開放)は、3組の面ファスナー34(34a,34b),35,36をそれぞれ分離する(引きはがす)ことにより行われる。開放された投光用窓6および観察用窓7は、それぞれの開口中心(開口断面の面積中心、投光用窓6および観察用窓7では対角線の交点)を通り立管11の軸心に直交する線C1−O,C2−O(それぞれを開口軸C1O、開口軸C2Oというものとする)が略90度で交差するように設けられている。
【0025】
立管11内の汚れの評価は、投光用窓6の外部から懐中電灯または投光機で立管11内を照らし、透明な立管11を通過する光で照らされた汚れを観察用窓7から目視で観察することにより行われる。また、立管11内の汚れは、目視観察と同様にして観察用窓7から立管11の内壁を写真撮影することにより記録することができる。
防音シート1は、投光用窓6の開口軸C1Oおよび観察用窓7開口軸C2Oが同一方向ではないので汚れの陰影を際だたせて汚れの観察を容易にする。また、投光用窓6および観察用窓7が上記したような位置関係で設けられていることにより、立管11内の汚れが僅かな場合でも、懐中電灯等の光線が直接に観察者の目に入ることによる観察の妨げが防止される。
【0026】
上述の実施形態において、投光用窓6および観察用窓7を、それぞれの開口中心を結ぶ線が、立管11の軸心を通るように設けてもよい。このような投光用窓6および観察用窓7の位置関係は、例えば半導体レーザ(投光装置)と受光素子とを組み合わせて汚れの計測を行う場合に適する。
また、目視による立管11の汚れの観察において、投光用窓6および観察用窓7の位置関係は、それぞれの開口軸C1Oおよび開口軸C2Oが同一線上に存在することが回避され、観察者の目に直接に懐中電灯等の光が届かなければ(眩しくなければ)よく、これらが90度で交差することが必須の要件ではない。目視観察を前提とする場合であっても、投光用窓6を立管11に巻かれたときに周方向に広くなるように形成し、懐中電灯等の光軸を調整して光が直接に観察者の目に入らないようにすることができれば、投光用窓6の開口軸C1Oおよび観察用窓7開口軸C2Oを同一方向とすることが可能である。
【0027】
投光用窓6および観察用窓7の形状は任意のものとすることができ、投光用窓6よりも観察用窓7が小さい、またはこれらを同一の大きさとすることができる。
防音シート1において、投光用窓6および観察用窓7が、面ファスナー4a,4bの長手方向に直交するように配されているが、観察用窓7は、投光用窓6から投光された光が照らす立管11の内面が観察可能な位置に配されていれば、立管11に巻かれたときに立管11の長手方向に異なる位置に設けられていてもよい。
防音シート1において、投光用窓6および観察用窓7を1つの開口である投光兼観察窓としてもよい。その場合であっても、投光兼観察窓の一部から懐中電灯等で光を立管11内に照射し、投光兼観察窓における他の部分から、立管11内を目視により観察することができる。
【0028】
また、内部の汚れがひどくなり、目視においては配管の内部が確認できないほど汚れてきたときには、光の透過具合あるいは透過光量を測定することにより、間接的に汚れの程度を判断することが可能である。
防音シート1は立管11以外に、透明な塩化ビニル樹脂管が使用された横枝管あるいは横主管に取り付けることができる。その場合にも、立管11に取り付けた場合と同様に、横枝管内の汚れを目視により容易に観察することができる。また、防音シート1が取り付けられる立管11、横枝管または横主管は、透明であればよく、塩化ビニル樹脂管の他にアクリル樹脂製の管等を使用してもよい。
【0029】
その他、防音シート1および防音シート1の各構成または全体の構造、形状、寸法、個数、材質などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、建築物における排水配管からの排水音の防音および排水配管の清掃方法に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は防音シートの正面図である。
【図2】図2は防音シートの裏面図である。
【図3】図3は防音シートの断面図である。
【図4】図4は防音シートが立管に施工された様子を示す図である。
【図5】図5は図4におけるC−C矢視断面図である。
【図6】図6は立管内の汚れを観察する様子を示す図である。
【符号の説明】
【0032】
1 防音シート
2 吸音層
3 遮音層
6 窓、投光用窓
7 窓、観察用窓
8 閉じ部
11 排水配管(立管)
31 閉じ部本体
32 閉塞部材、投光用窓閉塞部材(投光用窓吸音部)
33 閉塞部材、観察用窓閉塞部材(観察用窓吸音部)
34,35,36 着脱部材(面ファスナー)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物に施工され、
少なくとも一部が透明な樹脂で形成された排水配管と、
前記排水配管に被覆された防音部材と、からなり、
前記防音部材は、前記排水配管に着脱自在または開閉自在に形成されており、
前記防音部材の少なくとも一部を取り外しまたは開閉することにより前記排水配管の内部の状態が観察可能に構成されている
ことを特徴とする排水配管構造。
【請求項2】
前記排水配管が、集合住宅の上下階を貫通する立管である
ことを特徴とする請求項1に記載の排水配管構造。
【請求項3】
前記防音部材が、可撓性を有したシート状に形成されている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の排水配管構造。
【請求項4】
前記防音部材が、可燃性材料から構成されている
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の排水配管構造。
【請求項5】
前記防音部材が、結露防止のための断熱保温機能を備えている
ことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の排水配管構造。
【請求項6】
少なくとも一部が透明な樹脂で形成された排水配管の内部を、前記排水配管を着脱自在に被覆する防音部材を前記排水配管から取り外して前記排水配管内部の状況を確認しながら清掃を行う
ことを特徴とする排水配管の清掃方法。
【請求項7】
少なくとも一部が透明な樹脂で形成された排水配管の内部を、前記排水配管を被覆する防音部材の一部に開閉自在に形成された窓を開けることによって前記排水配管内部の状況を確認しながら清掃を行う
ことを特徴とする排水配管の清掃方法。
【請求項8】
排水配管を被覆するための防音シートであって、
前記防音シートを貫通する窓と、
前記窓を開閉する閉じ部と、を備え、
前記閉じ部は、防音シートに対し着脱自在に取り付けられている
ことを特徴とする防音シート。
【請求項9】
排水配管を被覆して排水音を防音するための防音シートであって、
厚さ方向に貫通する孔である窓と、
前記窓を開閉する閉じ部と、
着脱部材と、を備え、
前記閉じ部は、
前記窓に嵌り込んで前記窓を埋めるように塞ぐことが可能な閉塞部材と、
前記閉塞部材と一体化された閉じ部本体と、からなり、
前記着脱部材は、
前記閉じ部が前記窓を埋めた状態に維持するように前記閉じ部本体を前記窓の廻りに固定可能であって、かつ前記固定を解除可能であり、
前記窓、前記閉じ部および前記着脱部材は、
前記着脱部材が前記固定を解除したときに前記閉じ部が前記窓から抜け出ることが可能なように形成されている
ことを特徴とする防音シート。
【請求項10】
排水配管を被覆して排水音を防音するための防音シートであって、
シート状の遮音層と、
前記遮音層に重ね合わされ可撓性を有する板状の吸音層と、
前記遮音層および前記吸音層を貫通する孔である窓と、
前記窓を開閉する閉じ部と、
着脱部材と、を備え、
前記閉じ部は、
前記窓に嵌り込んで前記窓を埋めるように塞ぐことが可能な閉塞部材と、
前記閉塞部材と一体化された閉じ部本体と、からなり、
前記着脱部材は、
2つの互いに一体化および分離自在な部材で構成されて一方の部材が前記遮音層に一体化され他方の部材が前記閉じ部本体に一体化されており、
前記窓、前記閉じ部および前記着脱部材は、
前記2つの部材が一体化されたときに前記閉じ部が前記窓に嵌り込み、前記2つの部材が分離されたときに前記閉じ部が前記窓から抜け出ることが可能なように形成されている
ことを特徴とする防音シート。
【請求項11】
前記着脱部材が1対の面ファスナーである
請求項9または請求項10に記載の防音シート。
【請求項12】
前記窓として投光用窓および観察用窓の2つを備え、
前記閉塞部材として前記投光用窓を埋めるように塞ぐことが可能な投光用窓閉塞部材、および前記観察用窓を埋めるように塞ぐことが可能な観察用窓閉塞部材を備えた
請求項9ないし請求項11のいずれか1項に記載の防音シート。

【図3】
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【図4】
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【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−101010(P2010−101010A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−271058(P2008−271058)
【出願日】平成20年10月21日(2008.10.21)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】