説明

防食管継手

【課題】シール性が高く、且つ、配管接続の作業性に優れた防食管継手の提供を目的とする。
【解決手段】端部にめねじ部を有する金属製の継手本体と前記めねじ部以外の内部を樹脂製の保護層で被覆してある防食管継手であって、略円筒状のコアをめねじ部の内側であって且つ前記保護層から一体又は別体に延在させ、当該コアとめねじ部との間に管を接続するための螺合凹部を設け、当該めねじ部に潤滑性を有するシール剤を予め塗布してあることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はねじ込み式の金属製管継手に合成樹脂の保護層を設けた防食管継手に関し、特に、めねじ部にシール剤を予め塗布したプレコート防食管継手に係る。
【背景技術】
【0002】
水道用、給水・給湯用配管等に金属製の管継手を用いる場合に腐食の発生が問題になる。
そこで、管継手の少なくとも内部に樹脂製の保護層を設けた防食管継手が用いられている。
また、この種の防食管継手を用いた配管においては、内周ライニング鋼管の端部に形成するおねじ部は切削により製作されていたが、近年は転造ローラ(転造ダイス)等を鋼管の外周に押し当てて塑性加工する転造ねじを形成したものが増えている。
転造ねじは、素材に降伏点を超えた圧力を加えて塑性変形させる工法であることから、繊維状金属組織を切断する切削加工と異なり、いわゆるファイバフローが残存し、また加工硬化も伴い、強い強度等、優れた機械的特性を得ることができる。
しかし、その一方で鋼管と管継手とをねじ込み接続する際に、切削ねじと比較して締め込みトルクが大きいという問題があった。
【0003】
特許文献1には、めねじ部にシーリング剤を塗布した防食管継手を開示する。
しかし、同公報に開示するシーリング剤は塗布後室温にて反応し、粘着性を有しゴム特性を示すものであって、具体的にはシリコーン、ウレタン、ポリサルファイド、ブチル、エポキシアクリル樹脂等の粘弾性を有するものと記載されています。
従って、鋼管と管継手との締め込みトルクがさらに大きくなるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭60−231090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はシール性が高く、且つ、配管接続の作業性に優れた防食管継手の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る防食管継手は、端部にめねじ部を有する金属製の継手本体と前記めねじ部以外の内部を樹脂製の保護層で被覆してある防食管継手であって、略円筒状のコアをめねじ部の内側であって且つ前記保護層から一体又は別体に延在させ、当該コアとめねじ部との間に管を接続するための螺合凹部を設け、当該めねじ部に潤滑性を有するシール剤を予め塗布してあることを特徴とする。
ここでシール剤は、潤滑性を有するものであれば特に限定はないが、フッ素系の高分子をベースとしたフッ素系のシール剤が好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る防食管継手にあっては、潤滑性の有するシール剤を継手本体のめねじ部に予め塗布コートしてあるのでそのまま、転造おねじ部を有する鋼管を接続でき、しかもシール剤に潤滑効果があるので従来の切削ねじに比較して締め込みトルクが小さく、接続作業が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る防食管継手の構造例を示す。
【図2】管継手と管を螺合接続した例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る管継手の構造例を図1に示す。
鋳鉄製等の金属製の継手本体11は端部にめねじ部15を有し、めねじ部15の内側に所定の隙間を形成するように略円筒状の樹脂製のコア12を配設してある。
なお、図1はエルボタイプを示したが、本発明に係る管継手はこのエルボタイプに限定されるものでなく、ソケット、チーズ等各種管継手に適用される。
継手本体11のめねじ部は転造ねじとなっていて、このめねじ部以外は内部に樹脂製の保護層13を有する。
この保護層13は樹脂ライニングでも粉体コートでもよい。
図1に示した実施例はコア12を別体として成形し、保護層13と接合部14にて接着接合した例になっているが、射出成形等にてコア12と保護層13とを一体的に成形してもよい。
また、コア12の内周部に流体の流れ方向に沿った突条部12cを形成した例になっている。
【0010】
めねじ部15にはフッ素系高分子をベースにした架橋型のシール剤を予め塗布し、コートしてある。
これにより、めねじ部の防錆が高く、長期保存した場合でも腐食の恐れがない。
【0011】
図2に樹脂ライニング鋼管からなる管1を本発明に係る管継手に接続した例を示す。
鋼管の内周面はライニングにより樹脂製の内周被覆部1aを形成し、外周部にも外周被覆部1bを形成した例になっている。
本実施例では、管1の内周バラツキを吸収すべくコア12の外周部に全周にわたってヒレ部12aを形成し、管1を螺合凹部17にねじ込むと、このヒレ部12aが凸部12bに当接するように倒れ込み、コア12と管1の内周部との間をシールする。
めねじ部15に予めフッ素系のシール剤を塗布してあるのでその潤滑効果により、ねじ込みトルクが小さくなり、接続作業が容易になる。
【符号の説明】
【0012】
1 管
1a 内周被覆部
1b 外周被覆部
1c おねじ部
11 継手本体
12 コア
12a ヒレ部
12b 凸部
12c 突条部
13 保護層
14 接合部
15 めねじ部
16 シール剤
17 螺合凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端部にめねじ部を有する金属製の継手本体と前記めねじ部以外の内部を樹脂製の保護層で被覆してある防食管継手であって、
略円筒状のコアを、めねじ部の内側であって且つ前記保護層から一体又は別体に延在させ、当該コアとめねじ部との間に管を接続するための螺合凹部を設け、当該めねじ部に潤滑性を有するシール剤を予め塗布してあることを特徴とする防食管継手。
【請求項2】
前記シール剤はフッ素系のシール剤であることを特徴とする請求項1記載の防食管継手。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−220431(P2011−220431A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−89657(P2010−89657)
【出願日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(391033724)シーケー金属株式会社 (32)
【Fターム(参考)】