説明

防鳥ネット具及び防鳥ネット構造体

【課題】
住宅のベランダなどにカラスやハトなどの鳥が侵入するのを防止することができるものであって、設置場所への雨の侵入を防止することができ、必要時には物干しとしての使用も可能な防鳥ネット具を提供する。
【解決手段】
防鳥ネット具(A)は、伸縮調節可能で床と天井の間で突っ張って固定が可能な所要数の支柱(1,1a)と、固定された支柱(1,1a)に移動可能または開閉可能に取り付けられる防鳥ネット(2,2a)と、固定された支柱(1,1a)に移動可能または開閉可能に取り付けられる防水シート(3,3a)とを備えている。支柱(1,1a)には物干し竿(4)を掛けるための折り畳み式の支持アーム(10)が設けてある。防鳥ネット(2,2a)は、下部側を自由に動かすために下部または側部の一部または全部を固定しないよう構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防鳥ネット具及び防鳥ネット構造体に関するものである。更に詳しくは、住宅のベランダなどにカラスやハトなどの鳥が侵入することによる糞害を防止できるものであって、雨の侵入を防止することができ、必要に応じて物干しとしての使用も可能なものに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばマンションなどの集合住宅のベランダなど、外部へ開放された場所へのカラスやハトなど鳥の侵入による糞害は、外観的な汚染ばかりではない。むしろ、糞に含まれる細菌による人に対する健康上の被害が懸念されており、適切な対策が必要である。
【0003】
この対策のために、従来から様々な方法が試みられており、その中でもネット(網)を張って鳥の侵入を防止するのが最も効果的とされている。しかし、ネットを張るには、それを取り付けるための支柱やレール、その他の金具類などを設置個所の床面や天井面などに固定しなければならないために、設置に相当な手間がかかるだけでなく、それらの面にネジをたてるなどして傷が付いてしまう。
【0004】
このような課題に対処できるものとして、例えば特許文献1に記載された「防鳥ネットの張設構造」がある。この構造は、ベランダなど開放部両端の天井と床の間に伸縮固定可能な支柱複数本を設置し、ステンレス製のワイヤーを張設することができるように支柱の一方にワイヤーを組み込んだ巻上機を取り付け、他方の支柱にはワイヤーを固定するための円環を設け、各支柱間にワイヤーを張設し、ワイヤーに防鳥ネットを吊り下げ、開閉を自由に行うことができるようにしたものである。
【0005】
【特許文献1】特開2004−194510
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1記載のものには、次のような課題があった。
まず、雨が降ったとき、特に吹き込む風があると雨の侵入をほとんど防ぐことができないので、ベランダなどが防鳥ネットを設けない場合と同じように雨ざらしになる。このため、支柱などの構成部が劣化して傷みやすく、急に雨が降り出した場合などは、干している洗濯物を濡らしてしまうことがある。
【0007】
なお、ベランダに洗濯物を干すときには、通常はベランダに作り付けの物干しまたは設置型の物干しなど、別途用意したものを使用している。ところが、洗濯物が普通より多い場合など、その物干しで足りないときに、上記従来のものでは、干すところを増やすために支柱などの構成部分を物干しに利用するというような使い方は全くできない。
【0008】
(本発明の目的)
本発明の目的は、住宅のベランダなどにカラスやハトなどの鳥が侵入するのを防止することができるものであって、設置場所への雨の侵入を防止することができる防鳥ネット具及び防鳥ネット構造体を提供することである。更に、必要時には物干しとしての使用も可能な防鳥ネット具及び防鳥ネット構造体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明が講じた手段は次のとおりである。
第1の発明にあっては、
鳥の侵入を防止するための防鳥ネット具であって、
伸縮調節可能であり、上下に突っ張って固定が可能な所要数の支柱と、
固定された支柱に常設される防鳥ネットと、
固定された支柱に常設または必要時に選択的に設けられる防水シートと、
を備えていることを特徴とする、
防鳥ネット具である。
【0010】
第2の発明にあっては、
防水シートは複数からなり、必要時にはその数または取付箇所を適宜決めて設けることができるよう構成されていることを特徴とする、
第1の発明に係る防鳥ネット具である。
【0011】
第3の発明にあっては、
支柱、防鳥ネット、防水シートは分解・組み立て可能であることを特徴とする、
第1または第2の発明に係る防鳥ネット具である。
【0012】
第4の発明にあっては、
支柱に、物干しとしての機能性を有する部材が設けてあるか、または物干しとしての機能性を有する部材を取り付けるための手段が設けてあることを特徴とする、
第1、第2または第3の発明に係る防鳥ネット具である。
【0013】
第5の発明にあっては、
防鳥ネットは、下部側を自由に動かすために下部または側部の一部または全部を固定しないよう構成されていることを特徴とする、
第1、第2、第3または第4の発明に係る防鳥ネット具である。
【0014】
第6の発明にあっては、
建築物における外へ開放された部分に上下に突っ張って所要数の支柱が固定してあり、
各支柱には上記開放された部分を本質的に覆うように防鳥ネットが常設されており、
各支柱には上記開放された部分の全部または一部を覆うように防水シートが常設または選択的に設けられていることを特徴とする、
防鳥ネット構造体である。
【0015】
第7の発明にあっては、
支柱に、物干しとしての機能性を有する部材が設けてあるか、または物干しとしての機能性を有する部材を取り付けるための手段が設けてあることを特徴とする、
第6の発明に係る防鳥ネット構造体である。
【0016】
防鳥ネットの網目の大きさは、対象となる鳥が侵入できなければ特に限定するものではなく、適宜設定が可能である。
防鳥ネットの材質も特に限定しないが、強度と耐候性にすぐれた合成樹脂が好ましい。また、外観を重視すれば、外から見て目立たない透明なものが好ましいが、有色のものでもよく、限定はしない。
【0017】
防水シートは、例えば通液性を持たない合成樹脂製のシートでつくられる。なお、防水シートは、少なくとも雨の侵入を防止できればよいので、必ずしも完全な防水性能を有するものでなくとも、例えばきめの細かい合成樹脂糸でつくったネットやレースなども含む概念である。日除けの機能を持たせるためには、濃色のものが好ましい。また、紫外線を遮断する目的では、その機能性を有するものであれば淡色または透明、半透明なものを採用することもできる。
【0018】
防鳥ネットと防水シートの支柱に対する取り付け構造は、例えば支柱に設けたフックや環体(ループ)に防鳥ネットや防水シートの上部に設けた係合具を掛ける構造の他、支柱間にレールやワイヤを配して、それらに防鳥ネットや防水シートの上部に設けた吊り具をスライド可能に掛ける構造などであるが、これらに限定するものではなく、他の構造を採用することもできる。
【0019】
物干しとしての機能性を有する部材は、例えば、竿、フック、ハンガーあるいはそれらを複合したものなど公知の各物干しであるが、これらに限定するものではない。
また、物干しとしての機能性を有する部材を取り付けるための手段は、上記公知の各物干しを取り付けることができるものであれば特に限定しない。例えば折り畳みや高さの調節が可能で竿などを掛けるアーム、突起、フックあるいは孔や凹部などである。
なお、これら物干しとしての機能性を有する部材または物干しとしての機能性を有する部材を取り付けるための手段は、一本の支柱当たりに設けられる箇所(高さを含む)または数量について特に限定するものではなく、適宜設定が可能である。
【0020】
防鳥ネットは、下部側を自由に動かすために下部または側部の一部または全部を固定しないようにしてもよい。例えば、防鳥ネットの上辺だけを支柱に固定してネット全体を下方へ垂らす構造の他、防鳥ネットの両側または片側の側部を一部止めて、ネットが動く範囲に制限を加えることもできる。なお、防鳥ネットは例えば外周部の全体を連続的または所要間隔で固定または取り付けることもできる。
【0021】
(作用)
本発明に係る防鳥ネット具及び防鳥ネット構造体の作用を説明する。なお、ここでは本発明の各構成要件のそれぞれに、後述する実施の形態において各部に付与した符号を対応させて付与し説明するが、この符号の付与は、あくまで説明の理解を容易にするためであって各構成要件の上記各部への限定を意味するものではない。
【0022】
固定する前の各支柱(1,1a)に防鳥ネット(2,2a)と防水シート(3,3a)を取り付ける。各支柱(1,1a)は防鳥ネット(2,2a)と防水シート(3,3a)によって繋がれたようになる。
各支柱(1,1a)を例えば床と天井の間で突っ張ってベランダ(9)などの設置場所の所要の箇所に固定する。このように防鳥ネット具(A)をベランダ(9)に取り付けることにより防鳥ネット構造体が構成される。これにより、ベランダ(9)などの開口部(93)は防鳥ネット(2,2a)で覆われて、カラスやハトなどの鳥はベランダ(9)の内部へ侵入することができない。
【0023】
また、雨が降っても防水シート(3,3a)で止められるので、ベランダ(9)などが濡れることがなく、洗濯物を濡らしてしまう心配もない。防水シート(2,2a)が複数からなり、必要時にはその数または取付箇所を適宜決めて設けることができるよう構成されているものは、例えば洗濯物を干している場所に合わせて設けることで、必要十分な防水機能を発揮させながら、鬱陶しさを軽減し、通風性を向上させるなど、状況に応じた調節が可能になる。
【0024】
なお、作業時の安全が十分に確保できれば、支柱(1,1a)を固定した後に防鳥ネット(2,2a)と防水シート(3,3a)を取り付けるようにしてもよい。
更には、引っ越しなどの際には、支柱(1,1a)、防鳥ネット(2,2a)、防水シート(3,3a)を取り外して分解することができるので、移設も可能である。一時的に不要になるなど保管する必要が生じたときにも嵩張らず、コンパクトにして保管することができる。
【0025】
支柱(1)に、物干しとしての機能性を有する部材(4)が設けてあるか、または物干しとしての機能性を有する部材を取り付けるための手段(10)が設けてあるものは、例えば通常使用している物干しでは洗濯物を干す場所が足りないときに、支柱(1)に設けられる物干し(4)を利用して干すことができる。また、洗濯物の量が少ないときなどは、支柱(1)の物干し(4)だけを使用して干すこともできる。
【0026】
防鳥ネット(2,2a)が、下部側を自由に動かすために下部または側部の一部または全部を固定しないよう構成されているものは、防鳥ネット(2,2a)を必要に応じてベランダ(9)の手摺り(95)外側に垂らすことができる。これによると、鳥はベランダ(9)の内側だけでなく、手摺り(95)の上面などに糞をすることもできない。また、防鳥ネット(2,2a)が固定されていないため風で揺れるので、鳥が止まりにくい。
【発明の効果】
【0027】
(a)本発明によれば、例えば住宅のベランダなどに設置すれば、カラスやハトなどの鳥が侵入するのを防止することができる。また、防水シートにより設置場所への雨の侵入を防止することができるので、例えば突然の雨で洗濯物を濡らしてしまうこともない。更には、防水シートは鳥の糞が洗濯物など干したものを汚すのを防止することもできる。
【0028】
(b)防水シートは複数からなり、必要時にはその数または取付箇所を適宜決めて設けることができるよう構成されているものは、例えば洗濯物を干している場所に合わせて設けることで、必要十分な防水機能を発揮させながら、鬱陶しさを軽減し、通風性を向上させるなど、状況に応じた調節が可能になる。
【0029】
(c)支柱、防鳥ネット、防水シートは分解・組み立て可能であるものは、例えば引っ越しなどの際の移設が可能になる。また、例えば一時的に不要になるなど保管する必要が生じたときにも嵩張らず、コンパクトにして保管することができる。
【0030】
(d)支柱に、物干しとしての機能性を有する部材が設けてあるか、または物干しとしての機能性を有する部材を取り付けるための手段が設けてあるものは、例えば通常使用している物干しでは洗濯物を干す場所が足りないときに、支柱に設けられる物干しを利用して干すことができる。
【0031】
(e)防鳥ネットが下部側を自由に動かすために下部または側部の一部または全部を固定しないよう構成されているものは、防鳥ネットを必要に応じてベランダの手摺り外側に垂らすことができる。これによると、鳥はベランダの内側だけでなく、手摺りの上面などに糞をすることも防止できる。また、防鳥ネットが固定されていないため風で揺れるので、鳥が止まりにくく、忌避効果により優れる。
また、火事などの緊急の場合に、防鳥ネットや防水シートが脱出の邪魔になる場合は、切断したり取り外す手間も掛ける必要はなく、それらを捲り上げるだけで簡単に脱出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明を図に示した実施例に基づき詳細に説明する。
【実施例】
【0033】
図1は本発明に係る防鳥ネット具の設置状態を示す斜視説明図、
図2は防鳥ネット具の設置状態を示す平面視説明図、
図3は防鳥ネット具の設置状態を示す側面視説明図、
図4は支柱の正面視説明図を示し、あわせて防鳥ネットと防水シートの取付部構造を拡大して表した説明図、
図5は支柱の側面視説明図を示し、あわせて防鳥ネットと防水シートの取付部構造を拡大して表した説明図である。
【0034】
図1を参照する。なお、図1では、防鳥ネット、防水シートの構成が分かりやすいように、これらを防鳥ネット具Aの全体図とは別に表している。
防鳥ネット具Aは、五本の支柱1、1、1a、1a、1a、三枚の防鳥ネット2、2a、2a、四枚の防水シート3、3、3a、3aにより構成されている。なお、防鳥ネット具Aをベランダ9に設置することにより防鳥ネット構造体が構成される。
【0035】
なお、支柱、防鳥ネット、防水シートの各々の数は、例えば設置場所の広さや形状に合わせて適宜設定されるものであり、特に限定するものではなく、本実施の形態のようにそれぞれ複数で形成してもよいし、一枚ものを採用してもよい。また、防水シートについては、必ずしも開口部の全部を覆う必要はなく、必要な箇所だけを覆うように開口部の一部に配設してもよい。
【0036】
まず、それぞれの構成部材の構造について説明する。
(支柱1、1a)
主に図4、図5を参照する。
二本の支柱1は、物干し竿4を掛ける折り畳み式の支持アーム10を有しており、三本の支柱1aは支持アーム10を有していない。
支柱1は、台座11を有している。台座11は、断面ほぼコ字状に設けられ開放側を伏せた構造であり、両下部には接面部材となるゴム製のキャップ110が被せてある。台座11の下部空間部は、ベランダ9の通水溝90などに配されたときの通水部となる。
【0037】
台座11の上面側には支柱基体12が固着してある。支柱基体12は、一部が全高にわたり開口したほぼ四角筒状に形成されている。
また、支柱基体12の両側部には、全高にわたり支持アーム10を上下方向に案内する案内条120が設けられている。各案内条120の上端部には上部ストッパー121が固定されており、下部寄り(下端から約1/3の高さ)には、下部ストッパー122が固定されている。
【0038】
支持アーム10は、上記各案内条120間に渡し掛けるようにした移行体100を有している。移行体100は案内条120に沿って昇降移動可能である。
移行体100には、アーム体101が取り付けてある。アーム体101の先部には、物干し竿4を掛ける掛け孔102が設けてある。103は、軽量化のための抜き孔であるが、物干し竿4やハンガーをここに掛けてもよい。
【0039】
アーム体101は移行体100に上下方向へスライド可能に取り付けてあり、アーム体101の基端部を移行体100に合わせて位置させ、先端側を下方へ回動させることによって水平状態で停止させることができる。更に、アーム体101を水平状態で停止させることによって、移行体100にその位置でブレーキがかかり、案内条120の所要位置で停止する仕組みになっている。
【0040】
支柱基体12の上部側には、調節支柱13が支柱基体12に内嵌めしてスライド可能に取り付けてある。調節支柱13は、固定手段(図示省略)によって所要の位置で停止させることができる。調節支柱13の先端部には、ナット130を回すことで進退調節が可能な調節体131が設けてある。また、調節体131の先端部には接面部材となるゴム製の当接体132が取り付けてある。
【0041】
また、調節支柱13の先端部の外方側(図5で右側)には、ほぼL字状の取着具133が取り付けてある。取着具133の水平部先端には、中央内側にフック134を設けたループ135が取り付けてある。フック134には防水シート3、3aの掛け具32が掛けられ、ループ135には防鳥ネット2、2aの掛け具22が掛けられる(これについては後述する)。
【0042】
支柱1aは、上記したように上記支柱1から支持アーム10及び案内条120、上部ストッパー121、下部ストッパー122を除いた構造である。他の部分は支柱1と同様であるので、構造については重複する説明を省略する。また、図面においては支柱1と同一箇所に同一の符号を付して示している。
【0043】
なお、支柱1、1aの長さは、設置箇所であるベランダ9の床91と天井92の間隔よりやや長く設定できるようにつくられている。これにより、支柱1、1aは床91と天井92の間で突っ張るようにして強固に固定することができる。
【0044】
(防鳥ネット2、2a)
防鳥ネット2は一枚で、正面側の支柱1、1、1aに取り付けられてベランダ9の開口部93を覆うものであり、横長のほぼ長方形状にやや大きく形成してある。防鳥ネット2の両側端部には、三角形状の隙間ネット29が設けてある。隙間ネット29は、防鳥ネット2を手摺り95を超えて垂らすときに両端部に生じる隙間を無理なく塞ぐことができるようにするものである。なお、隙間ネット29は、例えば長方形のネットを変形させて隙間を塞ぐことも可能なので、必ずしも必要ではない。
【0045】
また、防鳥ネット2aは二枚であり、ベランダ9の両側に設けてある非常通路94を覆うもので、縦長の長方形状にやや小さく形成してある。各防鳥ネット2、2aの縦長は、上記支柱1、1aの長さとほぼ同じになるよう設定されている。
なお、各防鳥ネット2、2aの横長は、各支柱間の間隔とほぼ同じになるように設定されているが、支柱の位置より縁辺部がやや張り出すように形成して、支柱と壁部の隙間を覆うようにしてもよい。
【0046】
防鳥ネット2、2aは、ネット20と、その周縁部に通された保形用または補強用のロープ21により構成されている。ネット20とロープ21は透明な合成樹脂でつくられており、外部から見たときに目立たないようにしている。ネット20の目の大きさは、鳥の侵入を防止できれば特に限定はしない。本実施の形態では、目の一辺の長さは約5cmである。
【0047】
防鳥ネット2、2aの上辺部のロープ21には、所要間隔(支柱1、1aが設けてある間隔)で掛け具22が取り付けてある。掛け具22は、自身のループの開閉ができるようになっており、上記支柱1、1aの先端に設けてあるループ135に掛けることができ、外す操作をしなければ簡単には外れない。なお、防鳥ネット2、2aは支柱1、1aに対しては上辺部と両側辺部(上記した隙間ネット29の部分)が固定され、下辺部は固定されない。
【0048】
(防水シート3、3a)
防水シート3は二枚で、正面側の支柱1、1、1aに取り付けられて開口部93を覆うものであり、長方形状にやや大きく形成してある。防水シート3は濃色で不透明かつ微細な多数の孔(図示省略)が設けられた合成樹脂製のシートである。防水シート3は、微細な多数の孔を有するが、本質的に防水性(または雨滴を遮断する機能)を有しており、かつ若干の通気性をも有するものである。防水シート3は、不透明であることで日除けとしての機能も有している。
【0049】
また、防水シート3aは二枚であり、ベランダ9の両側に設けてある非常通路94を覆うもので、縦長の長方形状にやや小さく形成してある。なお、各防水シート3、3aの縦長は、上記支柱1、1aの長さとほぼ同じになるよう設定されている。
【0050】
防水シート3、3aの上辺部には、所要間隔(支柱1、1aが設けてある間隔)で掛け具32が取り付けてある。掛け具32はループ状に形成されており、上記支柱1、1aの先端に設けてあるフック134に掛けることができる。掛け具32は、フック134から簡単に外すことができる。防水シート3、3aは支柱1、1aに対しては上辺部のみが固定され、側辺部と下辺部は固定されない。なお、防水シート3、3aの側辺部と下辺部を固定できるようにしてもよい。
【0051】
(作用)
図6防鳥ネット具を設置しているベランダで布団を干す方法を示す説明図である。
図1ないし図6を参照して防鳥ネット具Aの設置の方法及び作用を説明する。
【0052】
まず、ベランダ9において、図1に示す所定の箇所に支柱1、1aを配し、固定しないで手摺り95や側壁96に立てかけておく。具体的には、開口部93側の中央と左側端部には支柱1を配し、開口部93側の右側端部と両側壁96側の非常通路94より内側には支柱1aを配する。
【0053】
開口部93側の三本の支柱1、1、1a間に渡すように、各掛け具22を各支柱1、1、1aのループ135に掛けて防鳥ネット2を吊設する。更に、開口部93側の両側の支柱1、1aと両側壁96側の支柱1aとの間にも同様にして防鳥ネット2aを吊設する。
【0054】
また、同様に開口部93側の三本の支柱1、1、1a間に渡すように、各掛け具32を各支柱1、1、1aのフック134に掛けて防水シート3、3を吊設する。更に、開口部93側の両側の支柱1、1aと両側壁96側の支柱1aとの間にも同様にして防水シート3a、3aを吊設する。
【0055】
これにより、各支柱1、1、1a、1a、1aは各防鳥ネット2、2a、2a及び防水シート3、3、3a、3aによって繋がれたようになる。なお、支持アーム10を有する支柱1と有していない支柱1aの組み合わせと配置は、例えばベランダなどの設置箇所の形状、位置、日照などの気候条件に合わせて適宜決められるものであり、限定するものではない。
【0056】
各支柱1、1、1a、1a、1aを上記各位置において床91と天井92の間で突っ張って固定する。開口部93側の三本の支柱1、1、1aの台座11は床91の通水溝90に位置させる。開口部93側の防鳥ネット2は手摺り95を超えて外側に垂らすようにする。そして、防鳥ネット2両端側の隙間ネット29の端部を紐などで支柱1、1aに固定し、隙間が生じないようにする。
【0057】
これにより、ベランダ9の開口部93は防鳥ネット2で覆われ、更に非常通路94も防鳥ネット2aで覆われるので、カラスやハトなどの鳥はベランダ9内部へ侵入することができない。
防鳥ネット具Aは、上記したように簡単な構成であり、設置や分解が比較的容易にでき、引っ越しの際の移設なども容易にできる。また、コストも安価にできる。
【0058】
防鳥ネット2は、上辺部と側辺部(隙間ネット29の部分)が所要間隔で支柱に固定されており、固定されていない下辺部と側辺部下側は自由に動かすことができるので、上記したように防鳥ネット2をベランダ9の手摺り95の外側に垂らすことができる。これによると、鳥はベランダ9の内部側だけでなく、手摺り95の上面などに糞をすることもできない。また、防鳥ネット2が固定されていないために風で揺れるので、鳥は止まりにくく、やがて近寄らないようになる。
【0059】
なお、図6に示すように防鳥ネット2を外方へ逃がすようにして布団5を手摺り95に掛けて干すことも可能である。この場合は、防水シート3を布団5と防鳥ネット2の間に入れるようにすれば、布団5に糞が付着する心配もなく、より好ましい。
【0060】
また、各防鳥ネット2、2a、2aの内側には各防水シート3、3、3a、3aが設けてあり、雨が降っても降り込まないように止めることができるので、ベランダ9の内部が濡れることがなく、突然の雨で洗濯物を濡らしてしまう心配もない。
なお、作業時の安全が十分に確保できれば、各支柱1、1、1a、1a、1aを所定の箇所に固定した後に防鳥ネット2、2a、2aと防水シート3、3、3a、3aを取り付けるようにしてもよい。
【0061】
更に、支柱1、1には、物干し竿4を掛ける支持アーム10が設けてあるので、例えば通常使用している物干しでは洗濯物を干す場所が足りないときに、支柱1、1の各支持アーム10に物干し竿4を掛けてこれを利用して干すことができる。なお、各支持アーム10の高さは、上記したように調節可能である。また、洗濯物が少ないときなどは、各支持アーム10に掛けられた物干し竿4だけを使用して干すこともできる。
【0062】
図7は支柱の他の例の側面視説明図を示し、あわせて防鳥ネットと防水シートの取付部構造を拡大して表した説明図である。なお、本実施の形態では、図7において上記支柱1と同等箇所には同一の符号を付して示し、また構造が異なるが同等機能を有する箇所に、同一符号に英字bを付した符号を示し、構造について支柱1と重複する説明は基本的に省略する。
【0063】
支柱1bの支柱基体12bは円管状であり、支柱基体12b上部に内嵌めされた調節支柱13bも同様に円管状である。支柱1bは、調節支柱13bを軸方向にスライドさせて所要位置で固定できる構造を有している。
支持アーム10bの移行体100bは支柱基体12bに外嵌めされ、軸方向にスライドさせてアーム体101を水平にすることで、支柱基体12bの上部ストッパー121bと下部ストッパー122b間の所要位置で固定できる構造を有している。
【0064】
調節支柱13bの先端寄りの外方側(図7で右側)にはループ135bが設けられ、内方側にはフック134bが設けてある。ループ135bには防鳥ネット2、2aの掛け具22が掛けられ、フック134bには防水シート3、3aが掛けられる。
また、フック134bと別のフック(図示省略)をループ135bの上部(防水シート3、3aが防鳥ネット2、2aの外側に位置する)または内側(防水シート3、3aが防鳥ネット2、2aの内側に位置する)に設けることもできる。
【0065】
支柱1bは防鳥ネット2、2aと防水シート3、3aが支柱1bの内外方側に分けて取り付けられる以外は上記支柱1とほぼ同様の作用を有するので、作用についての説明は省略する。
【0066】
本明細書で使用している用語と表現は、あくまで説明上のものであって限定的なものではなく、上記用語、表現と等価の用語、表現を除外するものではない。また、本発明は図示されている実施の形態に限定されるものではなく、技術思想の範囲内において種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明に係る防鳥ネット具の設置状態を示す斜視説明図。
【図2】防鳥ネット具の設置状態を示す平面視説明図。
【図3】防鳥ネット具の設置状態を示す側面視説明図。
【図4】支柱の正面視説明図を示し、あわせて防鳥ネットと防水シートの取付部構造を拡大して表した説明図。
【図5】支柱の側面視説明図を示し、あわせて防鳥ネットと防水シートの取付部構造を拡大して表した説明図。
【図6】防鳥ネット具を設置しているベランダで布団を干す方法を示す説明図。
【図7】支柱の他の例の側面視説明図を示し、あわせて防鳥ネットと防水シートの取付部構造を拡大して表した説明図。
【符号の説明】
【0068】
A 防鳥ネット具
1、1a 支柱
10 支持アーム
100 移行体
101 アーム体
102 掛け孔
103 抜き孔
11 台座
110 キャップ
12 支柱基体
120 案内条
121 上部ストッパー
122 下部ストッパー
13 調節支柱
130 ナット
131 調節体
132 当接体
133 取着具
134 フック
135 ループ
2、2a 防鳥ネット
20 ネット
21 ロープ
22 掛け具
29 隙間ネット
3、3a 防水シート
32 掛け具
4 物干し竿
5 布団
9 ベランダ
90 通水溝
91 床
92 天井
93 開口部
94 非常通路
95 手摺り
96 側壁
1b 支柱
10b 支持アーム
100b 移行体
12b 支柱基体
121b 上部ストッパー
122b 下部ストッパー
13b 調節支柱
134b フック
135b ループ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鳥の侵入を防止するための防鳥ネット具であって、
伸縮調節可能であり、上下に突っ張って固定が可能な所要数の支柱(1,1a)と、
固定された支柱(1,1a)に常設される防鳥ネット(2,2a)と、
固定された支柱(1,1a)に常設または必要時に選択的に設けられる防水シート(3,3a)と、
を備えていることを特徴とする、
防鳥ネット具。
【請求項2】
防水シート(3,3a)は複数からなり、必要時にはその数または取付箇所を適宜決めて設けることができるよう構成されていることを特徴とする、
請求項1記載の防鳥ネット具。
【請求項3】
支柱(1,1a)、防鳥ネット(2,2a)、防水シート(3,3a)は分解・組み立て可能であることを特徴とする、
請求項1または2記載の防鳥ネット具。
【請求項4】
支柱(1)に、物干しとしての機能性を有する部材(4)が設けてあるか、または物干しとしての機能性を有する部材を取り付けるための手段(10)が設けてあることを特徴とする、
請求項1、2または3記載の防鳥ネット具。
【請求項5】
防鳥ネット(2,2a)は、下部側を自由に動かすために下部または側部の一部または全部を固定しないよう構成されていることを特徴とする、
請求項1、2、3または4記載の防鳥ネット具。
【請求項6】
建築物における外へ開放された部分(9)に上下に突っ張って所要数の支柱(1,1a)が固定してあり、
各支柱(1,1a)には上記開放された部分(9)を本質的に覆うように防鳥ネット(2,2a)が常設されており、
各支柱(1,1a)には上記開放された部分(9)の全部または一部を覆うように防水シート(3,3a)が常設または選択的に設けられていることを特徴とする、
防鳥ネット構造体。
【請求項7】
支柱(1,1a)に、物干しとしての機能性を有する部材(4)が設けてあるか、または物干しとしての機能性を有する部材を取り付けるための手段(10)が設けてあることを特徴とする、
請求項6記載の防鳥ネット構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−43904(P2007−43904A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−228464(P2005−228464)
【出願日】平成17年8月5日(2005.8.5)
【特許番号】特許第3783041号(P3783041)
【特許公報発行日】平成18年6月7日(2006.6.7)
【出願人】(506050329)
【Fターム(参考)】