説明

除去された周囲を有するマイクロタイタープレート

除去された周囲を有するマイクロタイタープレートが、複数のウェルを形成するプレートを備え、プレートの周囲が水平方向に除去される。又は、マイクロタイタープレートは台と該台から延びる保持部とを備えてもよい。保持部は複数のウェルを形成し、保持部の周囲が水平方向に除去される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマイクロタイタープレートに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの種類の試験で、マイクロタイタープレートのウェル中にサンプルを配置する。しばしば、サンプルを直接ウェル中に配置する。またある時は、サンプルをマイクロタイタープレートのウェルに移したり出したりするのにサンプルホルダーを用いる。市販用としては、規模の経済性や迅速な転換のために試験分量が重要となる。その故、マイクロタイタープレートのハンドリングを含めて試験を自動化するためにロボット装置が開発されてきた。
【0003】
当業界もまた、ロボットハンドリング装置や試験装置の標準化を促進するために、マイクロタイタープレートの寸法及び構成を規定する規格を構築してきた。例えば、ソサイエティ・オブ・バイオロジカル・スクリーニング(「SBS」)は、96、384、又は1536個のウェルを有するマイクロタイタープレートの規格を規定している。ハンドリング装置及びマイクロタイタープレートの構成を含めて試験方法の構成を改良して、試験を実行できる速度を上げるように、商業上の圧力が加わり続けている。しかしながら、この商業上の圧力はまた、この改良が当業界で用いられる試験装置の設置台に適合しなければならないという制約も課す。
【0004】
関心が寄せられている試験方法の一面は、マイクロタイタープレート上のウェルの一部にのみアクセスするということができないことにある。例えば、上記規格はウェルが2次元配列で配置されたマイクロタイタープレートのレイアウトを規定する。マイクロタイタープレートの周囲はウェル間の壁よりも厚い。一般に、ロボットハンドリング機械はマンドレルの2次元配列を含み、これにマイクロタイタープレート上のウェル配列に一致するパターンにて配置された対応配列の流体分配チップ(先端部)が取り付けられる。流体分配チップの配列をマイクロタイタープレート上に配置した後、チップ(先端部)がウェルに挿入されるように降ろす。
【0005】
試験計画がマイクロタイタープレート上のウェルのすべてを同一かつ同時に扱うことを要求する限りにおいて、この装置は非常によく機能する。何らかの理由でマイクロタイタープレート上のウェルの一部のみがある時点で取り扱われる場合には、問題が起こり得る。マイクロタイタープレートの周囲が厚くなっているので、流体分配チップの一部のみをウェルの一部に降ろして該一部を取り扱うことができるようにマイクロタイタープレートに対して流体分配チップの配列を単にオフセットすることが妨げられる。このことを試みたとしたら、チップはウェル間のより狭い壁幅用に間隔をあけているので、厚くなった周囲がチップの下方への移動を阻止するであろう。よって、試験計画はこの方針を放棄するか、又は同じ目的を達成するためにより長く効率の悪い方針を採用しなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述した問題の一つ又はすべてを解決する、又は少なくとも軽減する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の概要
本発明はその種々の面及び態様においてマイクロタイタープレートを提供する。第1の態様では、プレートが複数のウェルを形成し、該プレートの周囲が水平方向に除去されている。第2の態様では、マイクロタイタープレートは台と該台から延びる保持部とを備える。この保持部が複数のウェルを形成し、該保持部の周囲は水平方向に除去されている。
添付図面と共に以下の説明を参照すれば本発明を理解できる。図中、同じ参照番号は同じ要素を示す。
【0008】
本発明は様々な変更や代替の形式をとることが可能であり、図面はここに記載の特定の態様を例として詳細に示している。しかしながら、明細書中の特定の態様の説明は開示された特定の形式に本発明を限定するものではなく、逆に本発明は特許請求の範囲に記載の本発明の精神及び範囲内にあるすべての変更、等価、及び代替物を含むものであることに留意されたい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の態様例を説明する。明瞭にするため、本明細書において実際の装置のすべての特徴を記載しているわけではない。もちろん、実際の態様の開発では、システム関連及びビジネス関連の制約(装置ごとに異なる)などの開発者の特定の目標を達成するために個別装置に特有の多くの決定を行なわなければならないことが理解される。また、このような開発の努力は、たとえそれが複雑で時間がかかっても、この開示により利益を有する技術における通常の技術を有する者にとっては日常の仕事であることが分かる。
【0010】
この発明はマイクロタイタープレートであり、図示した態様では、このマイクロタイタープレートは自動液体ハンドラーのため及び自動ロボットハンドリングのために複数のピペットチップを保持する。別の態様では、サンプル自体を保持するためにマイクロタイタープレートを用いることもできることが分かる。本発明は、更なる変更を行なうことなくマイクロタイタープレートに使用される標準的な形式にてロボットハンドリングを提供する。全配列の一部の行/列/個別のチップを持ち上げるべく液体ハンドラーのチップマンドレルのクリアランスを得るために、マイクロタイタープレートの周囲は除去されている。
【0011】
具体的には、図1は本発明の第1の態様のマイクロタイタープレート100を示す。マイクロタイタープレート100は台103と該台103から延びている保持部106とを備える。保持部106は複数のウェル109(1つのみ示す)を形成している。ウェル109の数は本発明の実施には重要ではなく、個別装置に依存する。広く認められている規格によると、図示した態様の保持部106は96、384、又は1536個のウェル109を形成している。
【0012】
この特定の態様では、マイクロタイタープレート100は台103と保持部106の両方について長方形の形状を有する。台103及び保持部106は別の態様では異なる形状を有し得ることに留意されたい。長方形の形状なので、マイクロタイタープレート100は2つの長辺112と2つの短辺115(各々1つのみを示す)を有し、これらがマイクロタイタープレート100の周囲118を規定する。「長」及び「短」なる表現はマイクロタイタープレート100が長方形の形状である場合においてお互いについて相対的に定めるものであることに留意されたい。台103は複数の脚部121(1つだけ示す)を有し、また保持部106の設置面積よりも僅かに大きい設置面積を有して肩部124を形成する。
【0013】
本発明により、周囲118は水平方向に除去される。図示した態様では、これは保持部106の長辺112をスカラップ形にすることによって実現され、すなわち、周囲118にはスカラップ形状の複数の除去部127(1つのみ示す)が形成される。別の態様では、除去部127を別の形状にしてもよいことに留意されたい。例えば、別の態様では、除去部127をスカラップ形状ではなく正方形の切欠きとしてもよい。別の態様では、台103により形成される周囲118の部分も水平方向に除去することができる。よって、除去部127は流体分配チップをウェル109の所望の一部の上に降ろすことを可能にする。というのは、該周囲の少なくとも一部はウェル109間の壁よりも厚くないからである。
【0014】
マイクロタイタープレート100は適当なプラスチックを成形することで製造された1つの部品である。マイクロタイタープレートを製造する方法は本発明の実施には重要ではない。例えば、台103と保持部106とを別々に製造して接合することもできる。又はマイクロタイタープレート100をプラスチック以外の材料から製造することもできる。しかしながら、一般には従来のマイクロタイタープレートは適当なプラスチックを1つの部品に成形することによって製造される。これらの製造技術は本発明の製造に使用するために改変してもよく、この開示の利益を受ける技術における当業者ならそのような改変を容易に行なえるであろう。
【0015】
次に図2に、本発明の第2の態様のマイクロタイタープレート200を示す。図2は、従来通りの特定の態様においてマイクロタイタープレート200上にスナップ嵌めできるオプションのチップキャリヤ203も示している。マイクロタイタープレート200の構成はマイクロタイタープレート100と同様であり、同じ部分は同じ番号が示されている。しかしながら、1つの相違点は、短辺115’もまた水平方向に除去されていることである。この相違点により与えられる更なる行/列の交差は、ロボットハンドリング装置がマイクロタイタープレート200のコーナー206にて1つの流体分配チップを持ち上げることを可能にする。このことにより、連続希釈のための行/列ピペット操作に加えて単一ウェルのピペット操作が行なえる。マイクロタイタープレート200の周囲118’は、チップ配列を収容できる位置パターンを拡張するスカラップ形状の縁を有するよう構成している。この特徴により、液体ハンドリングヘッド(図示せず)が、ロボットによりチップトレーをハンドリングするための標準的な接触周囲を依然として維持しつつ、チップ行/列、個別のチップ、又はチップの全体配列の多様な組み合わせを取り付けるためにチップキャリヤ203に装着可能となる。
【0016】
図1、図2のマイクロタイタープレート100、200は一般には長方形の形状を有することに留意されたい。しかしながら、マイクロタイタープレート100、200の形状は、適用できる所定の規格に準拠することを除いて、本発明には重要ではない。チップボックス形式(96/384/1536/他)に依存して、ソサイエティ・オブ・バイオロジカル・スクリーニング(「SBS」)の規格にあるロボット式プレートハンドリングの可能な周囲を維持しつつも、チップ行/列の取り付けを可能にする形状のバリエーションが存在し得る。しかしながら、本体を定める他の規格が、別の形状を必要とする別の規格を満たし得ることに留意されたい。特定の態様では、規格に依存しない又はマイクロタイタープレートの既存の規格に適合しない形状及び/又は寸法を採用することもできる。よって、形状は個別装置に依存する。
【0017】
このように、本発明は液体ハンドリングロボット(図示せず)が個々のチップ、1行のチップ、1列のチップ、又は全体のチップ配列をマイクロタイタープレートに取り付けることを可能にする。周囲寸法はマイクロタイタープレートの標準的な周囲寸法と同じに維持される。このことにより、ロボットエンドエフェクターの機械交換を行なう必要なく、マイクロタイタープレートとチップトレーの両方を交互にロボットハンドリングできる。この特徴により、ピペットのチップ自体の表面に接触することなく、ロボット装置の従来のグリッパーセンサーによってロボットトレーの検出も行なうことができる。従来のロボット装置の従来のプレートセンサーが周囲端部にてプレート/トレーに接触する。
【0018】
詳細な説明をこれで終える。上記開示した特定の態様は単なる例であり、本発明は、ここに記載の事項の利益を有する技術分野における当業者に明らかな等価な様々な方法によって変更及び実施できる。さらに、特許請求の範囲に記載の事項以外には、明細書に記載の構造又は構成の詳細を限定する意図はない。したがって、上記開示した特定の態様を変更又は修正できること、及びこのような変更はすべて本発明の範囲内にあると考えられるのは明らかである。したがって、明細書において求められる保護は特許請求の範囲に記載の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のマイクロタイタープレートの第1の態様を示す。
【図2】オプションのチップキャリヤと共に本発明のマイクロタイタープレートの第2の態様を示す。
【符号の説明】
【0020】
100 マイクロタイタープレート
103 台
106 保持部
109 ウェル
112 長辺
115 短辺
118 周囲
121 脚部
124 肩部
127 除去部
203 チップキャリヤ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のウェルを形成したプレートを備えると共に、該プレートの周囲が水平方向に除去されているマイクロタイタープレート。
【請求項2】
前記プレートが96、384、又は1536個のウェルを形成している請求項1に記載のマイクロタイタープレート。
【請求項3】
前記マイクロタイタープレートの形状が長方形である請求項1に記載のマイクロタイタープレート。
【請求項4】
前記マイクロタイタープレートの周囲がその長縁部にて除去されている請求項3に記載のマイクロタイタープレート。
【請求項5】
前記マイクロタイタープレートの周囲がその短縁部にて除去されている請求項4に記載のマイクロタイタープレート。
【請求項6】
水平方向に除去された前記周囲がスカラップ形である請求項1に記載のマイクロタイタープレート。
【請求項7】
台と、
前記台から延びると共に複数のウェルを形成している保持部と、
を備え、該保持部の周囲が水平方向に除去されているマイクロタイタープレート。
【請求項8】
前記保持部が96、384、又は1536個のウェルを形成している請求項7に記載のマイクロタイタープレート。
【請求項9】
前記保持部の形状が長方形である請求項7に記載のマイクロタイタープレート。
【請求項10】
前記保持部の周囲がその長縁部にて除去されている請求項9に記載のマイクロタイタープレート。
【請求項11】
前記保持部の周囲がその短縁部にて除去されている請求項10に記載のマイクロタイタープレート。
【請求項12】
水平方向に除去された前記周囲がスカラップ形である請求項7に記載のマイクロタイタープレート。


【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−541057(P2008−541057A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−510221(P2008−510221)
【出願日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【国際出願番号】PCT/US2006/017234
【国際公開番号】WO2006/121786
【国際公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(506076709)カリパー・ライフ・サイエンシズ・インク. (11)
【Fターム(参考)】