説明

除湿装置

【課題】 ドレンパンを取り外す際におけるドレン口部からのドレンの無用な垂れ落ちを防止し、作業性の向上及び作業能率の向上を図るとともに、タンク口部が小さい場合でもドレンがドレンタンクの外部に漏れてしまう不具合を回避する。
【解決手段】 ドレンパン5を装置本体部1mに装着した際における当該ドレンパン5のドレン口部5eを、ドレンタンク1tを装置本体部1mに装填した際における当該ドレンタンク1tのタンク口部1tiの真上に位置するように構成するとともに、チェーン部材6をドレン口部5eに通し、当該チェーン部材6の下端に、当該チェーン部材6を引き上げた際にドレン口部5eを閉塞可能な弁体7を取付け、かつチェーン部材6の上端を、装置本体部1mに装着したドレンパン5の上面5u側の位置であって、チェーン部材6をドレンパン5の上面5u側から引き上げ可能な位置に取付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除湿空間を必要とする工場や貯蔵庫等の各種環境に用いて好適な除湿装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外気を吸込口部から吸入して放出口部から放出する送風ファンと、この送風ファンの送風通路内に配した除湿用の冷却器と、この冷却器の下方に配して、当該冷却器から垂れ落ちるドレンを回収するドレンパンとを有する装置本体部を備えるとともに、この装置本体部に対して装填又は装填解除可能であって、装填時にはドレンパンの下方に位置して、当該ドレンパンで回収したドレンを貯留するドレンタンクを備えてなる除湿装置としては、特許文献1で開示される除湿装置及び特許文献2で開示される除湿機等が知られている。
【0003】
同文献1で開示される除湿装置は、吸込口と放出口間に送風用のファンユニット及び除湿用の冷却器を配設し、吸込口から吸込んだ空気を除湿して放出口から放出する除湿装置であって、外装キャビネットの内部に、当該外装キャビネットの内部を前後に仕切り、かつ平面視をコの字形に折曲することにより、仕切面の両側に右支持面と左支持面を一体形成した内部フレームを設け、仕切面により、当該仕切面に形成した開口部に臨むファンユニットを支持するとともに、右支持面と左支持面により冷却器を支持し、さらに、冷却器の下方に、内部フレームにより支持するドレン回収用のドレンパンを配するとともに、内部フレームに、ドレンパンに設けた係止片部が挿入する複数の矩形孔を段違いに組合わせた係止孔部を設けて構成したものであり、また、同文献2に開示される除湿機は、蒸発器と凝縮器とを備えた熱交換器室と、送風ファンを備えた送風機室と、圧縮機を備えた圧縮機室と、排水タンクを備えたタンク室とを設けた本体におけるタンク室の上部に、ドレンパンを前後摺動自在に支持するとともに、前面に開口部を備えた収納室を設け、ドレンパンの開口部より本体の前方に引き出してドレンパン上の残水や、付着した汚れを清掃できるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2001−293321号公報
【特許文献2】特開平2003−240266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した従来における除湿装置(除湿機)は、次のような解決すべき課題が存在した。
【0006】
第一に、送風ファンにより外気を吸い込むため、粉塵の多い使用環境によっては比較的短期間にドレンパンのドレン口が詰まってしまうことも少なくない。この場合、ドレンパンを取り外して、ドレン口などの洗浄を行う必要があり、ドレンパンを取り外す際には、ドレンパン上のドレンがドレン口から垂れやすく、垂れ落ちた際には、余計な拭き取り作業が発生するなど、作業性の低下及び作業能率の低下を招く要因となる。
【0007】
第二に、ドレンパンの着脱を前後にスライドさせる方式により構成する場合、ドレン口がドレンタンクの上端に接触しないように構成、即ち、ドレン口の下端とドレンタンクの上端間に隙間を確保する必要があるが、ドレンタンクのタンク口が小さい場合には、ドレン口とタンク口間の位置合わせを行う必要があるため、ドレンタンクの装填(セッティング)が容易でないとともに、少しでも位置がズレた場合には、ドレン口から排出されるドレンがドレンタンクの外部に漏れやすいなどの難点がある。
【0008】
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決した除湿装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述した課題を解決するため、少なくとも、外気Aをキャビネット2の吸込口部2iから吸入して放出口部2eから放出する送風ファン3と、この送風ファン3の送風通路Dw内に配した除湿用の冷却器4と、この冷却器4の下方に配して、当該冷却器4から垂れ落ちるドレンWを回収するドレンパン5とを有する装置本体部1mを備えるとともに、この装置本体部1mに対して装填又は装填解除可能に構成し、装填時にドレンパン5の下方に位置して当該ドレンパン5で回収したドレンWを貯留するドレンタンク1tを備えてなる除湿装置1を構成するに際して、ドレンパン5を装置本体部1mに対して着脱可能に構成し、かつドレンパン5を装置本体部1mに装着した際における当該ドレンパン5のドレン口部5eを、ドレンタンク1tを装置本体部1mに装填した際における当該ドレンタンク1tのタンク口部1tiの真上に位置するように構成するとともに、チェーン部材6をドレン口部5eに通し、当該チェーン部材6の下端に、当該チェーン部材6を引き上げた際にドレン口部5eを閉塞可能な弁体7を取付け、かつチェーン部材6の上端を、装置本体部1mに装着したドレンパン5の上面5u側の位置であって、チェーン部材6をドレンパン5の上面5u側から引き上げ可能な位置に取付けたことを特徴とする。
【0010】
この場合、発明の好適な態様により、ドレンパン5は、装置本体部1mに設けたレール部11p,11qにより水平方向へスライド可能に支持することができる。一方、弁体7には、弾性素材により形成した球体7s又は円錐体7dを用いることができる。また、弁体7は、閉位置Pcでドレン口部5eを閉塞し、開位置Poでドレン口部5eを開放するように、ドレン口部5eの下端5edにヒンジ部12により回動自在に取り付けてもよい。なお、チェーン部材6には、洗浄用のブラシ部材13を取り付けることも可能である。
【発明の効果】
【0011】
このような構成を有する本発明に係る除湿装置1によれば、次のような顕著な効果を奏する。
【0012】
(1) ドレン口部5eに通したチェーン部材6の下端に、当該チェーン部材6を引き上げた際にドレン口部5eを閉塞可能な弁体7を取付けたため、例えば、粉塵の多い環境下での使用時に、ドレンパン5を装置本体部1mから取り外し、洗浄を行う場合であっても、ドレンパン5を取り外す際には、弁体7によりドレン口部5eを閉塞することができる。したがって、ドレンパン5を取り外す際におけるドレン口部5eからのドレンWの無用な垂れ落ちを防止できるとともに、ドレンパン5を洗浄する際における全体の作業性向上、更には作業能率の向上を図ることができる。
【0013】
(2) ドレン口部5eに通したチェーン部材6の下端に弁体7を取付けてなるため、当該弁体7は、タンク口部1tiを通してドレンタンク1tの内部に吊り下げることができる。したがって、ドレン口部5eから排出されるドレンWをチェーン部材6を伝ってタンク口部1ti、更にはドレンタンク1tの内部へ確実にガイドすることができる。したがって、特に、タンク口部1tiが小さい場合であってもドレンWがドレンタンク1tの外部に漏れてしまう不具合を回避できる。
【0014】
(3) 好適な態様により、ドレンパン5を、装置本体部1mに設けたレール部11p,11qにより水平方向へスライド可能に支持すれば、装置本体部1mに対するドレンパン5の着脱を容易に行うことができることに加え、チェーン部材6により弁体7を吊り下げた場合であっても、ドレンパン5を取り外す際には、チェーン部材6により弁体7を引き上げることができるため、チェーン部材6及び弁体7がドレンパン5の着脱に際して邪魔になることはなく、ドレンパン5を円滑かつ確実に着脱できる。
【0015】
(4) 好適な態様により、弁体7に、弾性素材により形成した球体7s又は円錐体7dを用いれば、弁体7として一般的なゴムボール或いは単純形状のブロック体を利用できるため、容易かつ低コストに実施できる。
【0016】
(5) 好適な態様により、弁体7を、閉位置Pcでドレン口部5eを閉塞し、開位置Poでドレン口部5eを開放するように、ドレン口部5eの下端5edにヒンジ部12により回動自在に取り付けて構成すれば、弁体7は比較的薄いプレート材で形成できるとともに、弁体7に対して確実かつ安定した開閉操作を行うことができる。
【0017】
(6) 好適な態様により、チェーン部材6に、洗浄用のブラシ部材13を取り付ければ、このブラシ部材13を用いて、ドレン口部5eの内部の洗浄、更にはドレンパン5の上面5u等の洗浄を行うことができるため、洗浄時における利便性の向上及び洗浄容易性の向上に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の好適実施形態に係る除湿装置の内部構造を示す断面側面図、
【図2】同除湿装置の使用部品及び使用部材を示す分解斜視図、
【図3】同除湿装置におけるドレンパンを装置本体部から引き出した状態を示す外観斜視図、
【図4】同除湿装置の主要部の構造を明示する断面側面図、
【図5】同除湿装置の使用時における複数態様の作用(機能)説明図、
【図6】本発明の複数の変更実施形態に係る除湿装置の要部の断面構成図、
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0020】
まず、本実施形態に係る除湿装置1の構成について、図1〜図4を参照して具体的に説明する。
【0021】
図2は、除湿装置1を構成する主要部品(主要部材)を示す。除湿装置1は、大別して、装置本体部1mと、この装置本体部1mに対して装填又は装填解除可能なドレンタンク1tを備える。装置本体部1mにおいて、2はキャビネットであり、このキャビネット2は、本体パネル部21と、この本体パネル部21の底部を覆うベースパネル部22と、本体パネル部21の天部を覆うカバーパネル部23と、本体パネル部21の前部上半部を覆う上フロントパネル部24uと、本体パネル部21の前部下半部を覆う下フロントパネル部24dを備える。
【0022】
この場合、本体パネル部21は、平面視をコの字形に折曲することにより、リアパネル部21rと、このリアパネル部21rの両側から前方へ延出した右サイドパネル部21p及び左サイドパネル部21qを一体形成する。また、リアパネル部21rには、メッシュ状に開口した放出口部2eを設けるとともに、右サイドパネル部21pの後部及び左サイドパネル部21qの後部にも、それぞれメッシュ状に開口した放出口部2e…を設ける。一方、ベースパネル部22の底面には、複数の自在キャスタ25…を設けるとともに、カバーパネル部23の後部には、メッシュ状に開口した放出口部2eを設ける。さらに、上フロントパネル部24uには、メッシュ状に開口した吸込口部2iを設けるとともに、その隣に、電源スイッチ,タイマ,設定部等の操作パネルを含むコントローラユニットの取付部26を確保する。キャビネット2は、組立てることにより、図1に示す形態となり、内部に、キャビネット2により囲まれる空間が形成される。
【0023】
他方、27は内部フレームである。この内部フレーム27は、平面視をコの字形に折曲することにより、キャビネット2の内部を仕切る仕切面27sと、この仕切面27sの両側から前方へ延出した右支持面27p及び左支持面27qを一体形成する。内部フレーム27は、キャビネット2の内部に配設し、キャビネット2の内部を前後に仕切ることにより、容積がそれぞれ半々程度となる前室Rfと後室Rrを形成する。
【0024】
また、仕切面27sの上半部には、円形の開口部27oを形成し、この開口部27oに送風ファン3を取付ける。この場合、送風ファン3は、図1に示すように、取付ブラケット28により仕切面27sの後面に取付け、開口部27oに対して同軸上に配設する。これにより、仕切面27sは、開口部27oに臨む送風ファン3を支持し、送風ファン3が作動した際には、キャビネット2の吸込口部2iから外気Aを吸入するとともに、放出口部2eから放出することができる。一方、右支持面27p及び左支持面27qの前端上半部には、それぞれ取付プレート部29p及び29qを一体形成し、この取付プレート部29p,29qに、除湿用の冷却器4の両側を取付ける。これにより、冷却器4は、前述した送風ファン3の送風通路Dw内に配される。
【0025】
さらに、仕切面27sの前面には乾燥用の凝縮器30の両側を取付ける。これにより、内部フレーム27は、右支持面27p及び左支持面27qにより冷却器4を支持するとともに、仕切面27sにより、凝縮器30を支持する。なお、凝縮器30は、冷却器4に対して送風方向(F方向)前方に配される。他方、後室Rr内におけるベースパネル部22上には、コンプレッサ31を設置する。上述した冷却器4,凝縮器30及びコンプレッサ31は、不図示のドライヤ,キャピラリチューブ,アキュムレータ等と共に、冷媒が循環する冷凍サイクルを構成する。
【0026】
一方、5は水平に配するドレン回収用のドレンパンであり、前述した冷却器4の下方に位置して当該冷却器4から垂れ落ちるドレンWを回収することができる。このドレンパン5は、長方形状に形成した底面部5mと、この底面部5mの四辺から直角に立ち上げた四つの側面部5s…を有するとともに、底面部5mの所定位置にはドレン口部5eを設ける。なお、底面部5mは、水平な平坦面により形成してもよいし、ドレン口部5eにドレンWが流れる傾斜面により形成してもよい。ドレン口部5eは、パイプ状に形成し、底面部5mの下面から下方へ直角に突出させるとともに、ドレン口部5eの上端口は底面部5mの上面5uに開口させる。これにより、上面5uのドレン(ドレン水)Wは、ドレン口部5eを通して下方に排出される。この場合、ドレン口部5eの内径を選定し、後述するチェーン部材6を通した際にもドレンWが円滑に流れ落ちるとともに、必要以上に径が大きくならないように考慮する。
【0027】
また、ドレンパン5は、装置本体部1mに取付けたレール部11p,11qにより水平方向へスライド可能に支持される。この場合、L形に折曲した一対のレール部材41,41を用意し、図2に示すように、各レール部材41,41の垂直板部を内部フレーム27の右支持面27pと左支持面27qの内面にそれぞれ固定することにより、右支持面27pと左支持面27qの内面から内方へ水平に突出するレール部11p,11qを設けることができる。これにより、レール部11p,11qの上面に、ドレンパン5の底面部5mの下面両側位置を載置できるとともに、ドレンパン5を前後にスライドさせることができる。したがって、ドレンパン5を押し込むことにより装置本体部1mに装着できるとともに、ドレンパン5を引き抜くことにより装置本体部1mから離脱することができる。
【0028】
このように、ドレンパン5を、装置本体部1mに設けたレール部11p,11qにより水平方向へスライド可能に支持すれば、装置本体部1mに対するドレンパン5の着脱を容易に行うことができることに加え、チェーン部材6により弁体7を吊り下げた場合であっても、ドレンパン5を取り外す際には、チェーン部材6により弁体7を引き上げることが可能になる。したがって、チェーン部材6及び弁体7がドレンパン5の取り外しに邪魔になることはなく、ドレンパン5を円滑かつ確実に着脱できる。
【0029】
さらに、チェーン部材6を用意し、このチェーン部材6の一端に、弾性素材により形成した球体7sを用いた弁体7を固定する。この場合、チェーン部材6は金属製が望ましいが、必ずしも金属製であることを要せず、合成樹脂製などの他の素材によるチェーン部材6を排除するものではない。また、球体7sは、一般的なゴムボールを利用し、球体7sの径は、ドレン口部5eの下端口5eoに当接した際に、当該下端口5eoを閉塞可能な径を選定する。このように、弁体7には、一般的なゴムボールを利用できるため、容易かつ低コストに実施できる。そして、一端に弁体7を固定したチェーン部材6の他端側は、ドレン口部5eの下端口5eoからドレン口部5eの内部を通し、ドレンパン5の上面5u側に至らせるとともに、チェーン部材6の他端(上端)は、図3及び図4に示すように、ドレンパン5の手前側の隅部5ssの上端に一体に設けたチェーン固定部42に固定する。これにより、ドレンパン5を装置本体部1mの装着位置Xdsに装着した場合であっても、隅部5ss側に位置するチェーン部材6の一部は、冷却器4の手前に位置し、使用者は手の指H(図5(b)参照)に引っ掛けるなどにより、チェーン部材6を引き出す(引き上げる)ことができる。なお、チェーン部材6の長さは、弁体7がチェーン部材6を介してドレン口部5eの下端口5eoから下方に吊り下がり、後述するタンク口部1tiを通してドレンタンク1tの内部に収容可能な長さを選定する。また、隅部5ssの近傍であって、手前に位置する側面部5sの上端には、上方へ突出したチェーンフック6fを固定する。これにより、引き出したチェーン部材6の任意の位置を当該チェーンフック6fに引き掛けることができる。
【0030】
他方、装着したドレンパン5の下方にはタンク収容室を設け、このタンク収容室に、ドレンタンク1tを収容することができる。即ち、ドレンタンク1tは、前述したベースパネル部22の上面に載置して装填し、又は取り出して装填解除できる。なお、ドレンタンク1tは、一般に市販されている汎用タンクを利用できる。例示のドレンタンク1tは、上端面の一方側に形成した傾斜面に、斜め上方を向いたタンク口部1tiを一体形成したものであり、タンク口部1tiには着脱可能な不図示のキャップが付属する。
【0031】
したがって、前述したドレンパン5のドレン口部5eの位置は、ドレンパン5を装置本体部1mに装着した装着位置Xdsにおいて、ドレンタンク1tを装置本体部1mに装填した装填位置Xtsにおけるタンク口部1tiの真上に位置するように選定する。また、ドレンパン5の高さは、ドレン口部5eの下端口5eoに弁体7を当接させた状態で、レール部11p,11q上をスライドさせることができる高さを選定する。これにより、ドレンタンク1tは、装着時に、ドレンパン5の下方に位置して当該ドレンパン5のドレン口部5eから排出されるドレンWを貯留することができる。
【0032】
次に、本実施形態に係る除湿装置1の動作(機能)について、図1〜図5(a)〜(c)を参照して説明する。
【0033】
まず、装置本体部1mに空のドレンタンク1tを装填する。この場合、下フロントパネル部24dを取り外し、ベースパネル部22上にドレンタンク1tを載置すればよい。この際、図1に示すように、装置本体部1mに装着されたドレンパン5のドレン口部5eからは、チェーン部材6を介して弁体7が吊り下げられているため、図5(b)に示すように、ドレンパン5の上面5u側から使用者が、例えば、指H等によりチェーン部材6を手前に引くことにより弁体7を上昇させ、ドレンタンク1tの装填に邪魔にならないようにする。なお、指Hにより手前に引いた状態のチェーン部材6を符号6sで示す。そして、ドレンタンク1tを装填したなら、チェーン部材6を戻し、弁体7を下降させることにより、ドレンタンク1tのタンク口部1tiに収容する。この際、チェーン部材6がドレン口部5eのほぼ中央に位置するように、ドレンタンク1tの位置合わせを行う。
【0034】
このように、ドレンタンク1tとして、タンク口部1tiを備えるドレンタンク1tを用いた場合であっても、ドレン口部5eから吊り下げたチェーン部材6をタンク口部1tiを通してドレンタンク1tの中に収容するため、ドレン口部5eに対するタンク口部1tiの位置合わせを容易に行うことができる。即ち、例示のような傾斜したタンク口部1tiを真上から見た場合、実質的なタンク口部1tiの口径(面積)は減少するが、チェーン部材6を目安に位置合わせすることにより、容易に位置合わせすることができる。しかも、タンク口部1tiの口径(面積)が小さい場合であっても、ドレンWはチェーン部材6を伝って流れ落ちるため、タンク口部1ti、更にはドレンタンク1tの内部へ確実にガイドすることができる。したがって、特に、タンク口部1tiが小さい場合であってもドレンWがドレンタンク1tの外部に漏れてしまう不具合を回避できる。
【0035】
ドレンタンク1tを装填したなら、下フロントパネル部24dを取り付ける。そして、使用を開始するには、除湿装置1の運転スイッチをONにする。これにより、冷凍サイクル(コンプレッサ31)及び送風ファン3が作動する。冷凍サイクルの作動により、冷却器4が冷却され、また、送風ファン3の作動により、外気(空気)Aは、上フロントパネル部24uの吸込口部2iからキャビネット2の内部に吸込まれ、送風通路Dwを通って放出口部2e…から外部に放出される。
【0036】
この際、送風通路Dwには、冷却部4及び凝縮器30が配設されるため、送風通路Dwを通過する外気Aは、まず、冷却部4により冷却される。外気Aが冷却器4により冷却(熱交換)される際には、外気A中の過飽和水分が除去される。そして、図5(a)に示すように、除去された水分はドレンWとなり、冷却部4からドレンパン5上に垂れ落ち、回収されるとともに、さらに、ドレン口部5eから排出され、ドレンタンク1tに収容(貯留)される。ドレンWがドレン口部5eから排出される際には、チェーン部材6を伝って流れ落ち、タンク口23を通ってドレンタンク1tに収容される。したがって、タンク口部1tiが小さい場合であってもドレンWがドレンタンク1tの外部に漏れてしまう不具合を回避できる。また、冷却器4を通過した外気Aは、凝縮器30を通過することにより、僅かに暖められ、外気Aは乾燥された後、複数の放出口部2e…から上方,後方,右方及び左方に放出される。
【0037】
一方、使用によりドレンタンク1tが一杯になった場合には、下フロントパネル部24dを取り外した後、ドレンタンク1tを装置本体部1mから取り出し、ドレンタンク1t内に貯留されたトレンWを廃棄する。この際、チェーン部材6により吊り下げられた弁体7がドレンタンク1tに収容(残留)されているため、使用者は、ドレンパン5の上面5u側から、指H等によりチェーン部材6を手前に引き、弁体7を上昇させることにより、図5(c)に示すように、弁体7によりドレン口部5eの下端口5eoを閉塞するとともに、チェーン部材6をチェーンフック6fに掛け止める。これにより、下端口5eoを閉塞状態が維持され、ドレンタンク1tを取り出す際の邪魔にならないとともに、取り出し後においても、下端口5eoからドレンWが垂れ落ちる不具合を回避できる。
【0038】
他方、所定期間の使用後、ドレンパン5を洗浄する際には、上フロントパネル部24uを取り外した後、図5(b)に示すように、使用者は、手の指Hに引っ掛けるなどにより、チェーン部材6を引き出し、弁体7を上昇させることにより、弁体7によりドレン口部5eの下端口5eoを閉塞する。これにより、ドレン口部5eからのドレンWの垂れ落ちが阻止されるため、この状態で、図5(c)に示すように、ドレンパン5をレール部11p…上をスライドさせて引き出せば、容易に外部へ取り出すことができる。そして、ドレンパン5を所定の洗浄場所へ持って行き、洗浄ブラシや洗剤等を用いて洗浄することができる。また、洗浄後のドレンパン5は、取り出す際の手順と逆の手順を行うことにより装着することができる。
【0039】
よって、このような本実施形態に係る除湿装置1によれば、ドレン口部5eに通したチェーン部材6の下端に、当該チェーン部材6を引き上げた際にドレン口部5eを閉塞可能な弁体7を取付けたため、例えば、粉塵の多い環境下での使用時に、ドレンパン5を装置本体部1mから取り外し、洗浄を行う場合であっても、ドレンパン5を取り外す際には、弁体7によりドレン口部5eを閉塞することができる。したがって、ドレンパン5を取り外す際におけるドレン口部5eからのドレンWの無用な垂れ落ちを防止できるとともに、ドレンパン5を洗浄する際における全体の作業性向上、更には作業能率の向上を図ることができる。
【0040】
次に、本発明の変更実施形態に係る除湿装置1について、図6(a)〜(c)を参照して説明する。
【0041】
図6(a)は、弁体7に、弾性素材により形成した円錐体7dを用いたものである。この場合も単純形状のブロック体を利用できるため、容易かつ低コストに実施できる。また、ドレン口部5eは、パイプ部材により形成するとともに、内部に、調整ブロック45を挿入することにより内径を小径にした例を示す。
【0042】
図6(b)は、弁体7を、閉位置Pcでドレン口部5eを閉塞し、開位置Poでドレン口部5eを開放するように、ドレン口部5eの下端5edにヒンジ部12により回動自在に取り付けて構成したものである。これにより、弁体7は比較的薄いプレート材で形成できるとともに、弁体7に対して確実かつ安定した開閉操作を行うことができる。
【0043】
図6(c)は、チェーン部材6に、洗浄用のブラシ部材13を取り付けたものである。これにより、ブラシ部材13を用いて、ドレン口部5eの内部の洗浄、更にはドレンパン5の上面5uなどの洗浄を行うことができ、洗浄時における利便性の向上及び洗浄容易性の向上に寄与できる。なお、図6(a)〜(c)において、図1〜図4と同一部分には同一符号を付してその構成を明確にするとともに、その詳細な説明は省略する。
【0044】
以上、好適実施形態(変更実施形態)について詳細に説明したが、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で任意に変更,追加,削除することができる。例えば、冷却器3の送風方向(F方向)前方に、内部フレーム27により支持される乾燥用の凝縮器30を配した場合を示したが、必ずしも配することを要しないとともに、ヒータ等に置換してもよい。また、ドレンパン5は、装置本体部1mに設けたレール部11p,11qにより水平方向へスライド可能に支持する場合を示したが、ドレンタンク1tのように、単に載置により着脱する方式であってもよい。さらに、弁体7の形状及び開閉構成は、その機能を実現できるものであれば、例示以外の各種形状及び開閉構成により実施可能である。一方、例示のドレンタンク1tは、市販品の汎用タイプを利用した例を示したが、専用タイプとして製作したものであってもよい。また、タンク口1tiは斜め上方に向いたタイプを例示したが鉛直方向上方に向いたタイプであってもよい。さらに、例示は、ドレン口部5eの下端口5eoを弁座とし、弁体7により閉塞する場合を示したが、その他、パイプ状のドレン口部5eの内部に段差部を形成するとともに、その段差部を弁座とし、弁体7により閉塞してもいし、ドレンパン5の底面部5mに単に開口により形成したドレン口部5eを設け、このドレン口部5eを弁座とし、弁体7により閉塞してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明に係る除湿装置1は、各種物品や室内等の乾燥,貯蔵室(保管室),工場等における除湿工程,その他の各種湿度管理などに利用できる。
【符号の説明】
【0046】
1:除湿装置,1m:装置本体部,1t:ドレンタンク,1ti:ドレン口部,2:キャビネット,2i:吸込口部,2r:放出口部,3:送風ファン,4:冷却器,5:ドレンパン,5e:ドレン口部,5u:ドレンパンの上面,5ed:ドレン口部の下端,6:チェーン部材,7:弁体,7s:球体,7d:円錐体,11p:レール部,11q:レール部,12:ヒンジ部,13:ブラシ部材,A:外気,Dw:送風通路,W:ドレン,Pc:閉位置,Po:開位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、外気をキャビネットの吸込口部から吸入して放出口部から放出する送風ファンと、この送風ファンの送風通路内に配した除湿用の冷却器と、この冷却器の下方に配して、当該冷却器から垂れ落ちるドレンを回収するドレンパンとを有する装置本体部を備えるとともに、この装置本体部に対して着脱可能に構成し、装着時には前記ドレンパンの下方に位置して当該ドレンパンで回収したドレンを貯留するドレンタンクとを備えてなる除湿装置において、前記ドレンパンを前記装置本体部に装着した際における当該ドレンパンのドレン口部を、前記ドレンタンクを前記装置本体部に装填した際における当該ドレンタンクのタンク口部の真上に位置するように構成するとともに、チェーン部材を前記ドレン口部に通し、当該チェーン部材の下端に、当該チェーン部材を引き上げた際に前記ドレン口部を閉塞可能な弁体を取付け、かつ前記チェーン部材の上端を、前記装置本体部に装着した前記ドレンパンの上面側の位置であって、前記チェーン部材を引き上げ可能な位置に取付けてなることを特徴とする除湿装置。
【請求項2】
前記ドレンパンは、前記装置本体部に設けたレール部により水平方向へスライド可能に支持することを特徴とする請求項1記載の除湿装置。
【請求項3】
前記弁体は、弾性素材により形成した球体又は円錐体を用いることを特徴とする請求項1又は2記載の除湿装置。
【請求項4】
前記弁体は、閉位置で前記ドレン口部を閉塞し、開位置で前記ドレン口部を開放するように、前記ドレン口部の下端にヒンジ部により回動自在に取り付けてなることを特徴とする請求項1又は2記載の除湿装置。
【請求項5】
前記チェーン部材には、洗浄用のブラシ部材を取り付けてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の除湿装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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