説明

除電手段、及びこれを備えた画像形成装置

【課題】被除電部材の静電気を除電することができる除電手段、及びこれを備えた画像形成装置を得る。
【解決手段】シート材Pの搬送位置が下側にばらつきD位置を通過するときは、傾斜辺14AのF部近傍でシート材Pがブラシ部材14の先端部を通過する。これにより、F部近傍で、ブラシ部材14が効率良くシート材Pの静電気を除電する。シート材Pの搬送位置が上側にばらつきG位置を通過するときは、傾斜辺14AのH部近傍でシート材Pがブラシ部材14の先端部を通過する。これにより、H部近傍で、ブラシ部材14が効率良くシート材Pの静電気を除電する。このように、ブラシ部材14の先端部に傾斜辺14Aを設けることで、シート材Pの搬送位置がばらついても、シート材Pの静電気を除電することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置等により蓄積された記録媒体等の静電気を除電する除電手段、及びこれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、記録媒体の搬送方向に沿って先端部の位置が変化する除電ブラシ、及びこの除電ブラシを採用した画像形成装置が記載されている。
【0003】
つまり、記録媒体の搬送方向に沿って除電ブラシの先端部の位置を変化させることで、除電ブラシを通過する記録媒体と除電ブラシの先端部との距離が順次変化するようになっている。
【0004】
この構成によって、除電ブラシの取付け精度、除電ブラシの毛足の長さばらつき、及び記録媒体の変形等により、除電ブラシの先端部と記録媒体の距離にばらつきが生じても、どこかで記録媒体と除電ブラシの先端部との距離を、除電ブラシが記録媒体の静電気を効率良く除電することができる距離とすることができる。
【特許文献1】特開平6−199010号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、除電ブラシの搬送方向の厚さは、通常は構造上薄く(例えば1mm程度)、記録媒体と除電ブラシの先端部の距離が変化する中で、この距離が、記録媒体の静電気を効率良く除電することができる距離となるのはほんの一部分である。この一部分で記録媒体(被除電部材)の静電気を除電するのは困難であると思われる。
【0006】
一方、除電ブラシ(除電手段)の厚さを厚くすることも考えられるが、記録媒体への走行抵抗が大きなものとなってしまう。
【0007】
本発明は、上記事実を考慮し、被除電部材の静電気を除電することが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に係る除電手段は、搬送される被除電部材に接して、前記被除電部材に帯電した静電気を除電する除電手段であって、前記被除電部材の搬送方向に対して交差する交差方向に延びて前記被除電部材と接すると共に、前記交差方向に傾斜辺を有する山谷形状とされた先端部を備えるブラシ部材が設けられることを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、除電手段に設けられたブラシ部材は、被除電部材の搬送方向に対して交差する交差方向に延びている。さらに、ブラシ部材の被除電部材と接する先端部は、傾斜辺を有する山谷形状とされている。
【0010】
ここで、ブラシ部材の取付け位置精度及び被除電部材の変形等で、ブラシ部材の先端部と被除電部材との距離にばらつきが生じ、被除電部材に帯電した静電気をブラシ部材の先端部で除電することができる距離が保たれないことが考えられる。
【0011】
しかし、ブラシ部材の先端部は、傾斜辺を有する山谷形状とされている。このため、ブラシ部材の先端部と被除電部材との距離にばらつきが生じても、搬送される被除電部材が、ブラシが束になった傾斜辺のどこかと効率良く除電される距離となり、ブラシ部材は被除電部材の静電気を除電する。
【0012】
このように、ブラシ部材の先端部に傾斜辺を設けることで、被除電部材の静電気を除電することができる。
【0013】
本発明の請求項2に係る除電手段は、請求項1記載において、前記ブラシ部材に対向する対向ブラシ部材が設けられ、前記対向ブラシ部材の先端部は、前記ブラシ部材の先端部と向かい合い、前記ブラシ部材の先端部に沿った傾斜辺を有する山谷形状とされることを特徴とする。
【0014】
上記構成によれば、ブラシ部材に対向して対向ブラシ部材が設けられ、対向ブラシ部材の先端部は、ブラシ部材と向かい合ってブラシ部材同様に傾斜辺を有する山谷形状とされている。
【0015】
このように、ブラシ部材及びこれに対向する対向ブラシ部材を設けることで、ブラシ部材及び対向ブラシ部材がお互いに対向電極となり、効率良く安定した状態で被除電部材の静電気を除電することができる。
【0016】
本発明の請求項3に係る除電手段は、請求項1記載において、前記被除電部材の搬送方向に前記ブラシ部材と並んで並設ブラシ部材が設けられ、前記並設ブラシ部材の先端部は前記交差方向に対して傾斜辺を有する山谷形状とされ、前記並設ブラシの先端部の山谷形状の山部は前記ブラシ部材の先端部の山谷形状の山部に対して前記交差方向へずれていることを特徴とする。
【0017】
上記構成によれば、ブラシ部材に対して並んで設けられる並設ブラシ部材の先端部は、傾斜辺を有する山谷形状とされ、並設ブラシの先端部の山谷形状の山部はブラシ部材の先端部の山谷形状の山部に対して交差方向へずれている。
【0018】
このため、ブラシ部材の先端部で充分除電できなかった被除電部材の部分を並設ブラシ部材の先端部で除電することができ、交差方向に渡って被除電部材の静電気を除電することができる。
【0019】
本発明の請求項4に係る画像形成装置は、被除電部材としての記録媒体に画像を形成させる画像形成手段と、前記画像形成手段によって前記記録媒体に帯電した静電気を除電する請求項1〜3何れか1項に記載の除電手段と、を備えることを特徴とする。
【0020】
上記構成によれば、請求項1〜3何れか1項に記載の除電手段が、画像形成手段によって記録媒体に帯電した静電気を除電する。このため、画像形成後の記録媒体を取り出すときにユーザが感電するのを防止することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、被除電部材の静電気を除電することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の第1実施形態の除電手段としての除電ブラシ10が搭載された画像形成装置100を図1〜図3に従って説明する。
【0023】
図3に示されるように、画像形成装置100の筐体60内の下部には、画像形成装置100から引出し可能な給紙カセット62が配置されており、給紙カセット62には、画像形成装置100の画像形成部64に供給される記録媒体としてのシート材Pが積載されている。
【0024】
給紙カセット62に積層されたシート材Pは、ピックアップロール66によって順次取り出され、さらに、回転駆動する給紙ロール68と分離ロール70とから構成される給紙手段によって、一枚ずつ搬送される構成となっている。
【0025】
また、筐体60内の所定位置には、搬送ロール72が配置されており、シート材Pを搬送する搬送経路74を構成している。また、搬送経路74の両側にはガイド部材76が配置されており、ガイド部材76はシート材Pを搬送経路74に沿って案内する。なお、以下において、単に「上流」、「下流」というときは、搬送方向の上流及び下流をそれぞれ意味するものとする。
【0026】
搬送経路74の途中には、感光体ドラム80がシート材Pに接触するように配置されており、シート材Pに接触しつつ回転するようになっている。感光体ドラム80の表面は、図示しない帯電装置で帯電された後、光走査装置82によって画像情報に応じた光ビームが照射されて静電潜像が形成される。そしてこの静電潜像に対し、現像装置84からトナーが供給されトナー像として可視化される。
【0027】
画像形成部64は、感光体ドラム80と転写ロール86とで構成され、感光体ドラム80は、転写ロール86との間でシート材Pを挟持して、シート材Pに密着する。これにより、感光体ドラム80上のトナー像がシート材Pに転写され、シート材Pに画像が形成される。
【0028】
感光体ドラム80の下流側には、定着装置88が配置されている。定着装置88は、2つのロールから構成され、内部にヒータを備えた加熱ロール88Hと、加圧ロール88Nとを備えている。そして、これら2つのロールでシート材Pを挟持し回転搬送することでシート材Pを加熱し、シート材Pのトナー像をシート材Pに定着させる。
【0029】
定着装置88の下流側には、排出ロール118が配置されており、トナー画像が定着されたシート材Pは、排出ロール90によって搬送され、除電手段としての除電ブラシ10の下端部近傍を通って筐体60の側面に設けられた排出トレイ92へ排出される構成となっている。なお、除電ブラシ10については詳細を後述する。
【0030】
また、筐体60の上方にはスキャナ94が設けられており、用紙等に形成された画像情報を読み取ることができるようになっている。
【0031】
上記構成による画像形成装置100では、次のようにして画像が形成される。
【0032】
まず、電圧が印加された図示しない帯電器は、感光体ドラム80の表面を予定の電位で一様にマイナス帯電する。
【0033】
続いて、スキャナ94によって読み取られた画像情報に基づいて光走査装置82が帯電された感光体ドラム80の上に静電潜像を形成する。
【0034】
すなわち、図示しない制御装置から供給される画像データに基づき、光走査装置82によって画像データに対応した静電潜像が感光体ドラム80上に形成される。さらに、この静電潜像は、現像装置84から供給されるトナーによってトナー画像として可視化される。
【0035】
そこで、給紙カセット62から、ピックアップロール66によって取り出されたシート材Pが、給紙ロール68と分離ロール70によって一枚ずつガイド96に沿って搬送経路74に送り出され、搬送ロール72に挟持搬送されて感光体ドラム80と転写ロール86の間を通りトナー画像がシート材Pに転写される。
【0036】
この転写されたトナー画像は、定着装置88に備えられた加熱ロール88Hと加圧ロール88Nの間を通過することでシート材Pに定着され,シート材Pは排出ロール90によって除電ブラシ10の下端部近傍を通って排出トレイ92に排出される。
【0037】
シート材Pが除電ブラシ10の下端部近傍を通過することで、除電ブラシ10が画像形成時等にシート材Pに生じた静電気を除電する。つまり、静電気が除電されたシート材Pが排出トレイ92へ排出される。
【0038】
次に、除電ブラシ10について詳細に説明する。
【0039】
図2(B)に示されるように、排出ロール90の下流に設けられる除電ブラシ10は、シート材Pの搬送方向(図2(B)に示す矢印A方向)に対して直角に交差する交差方向(図2(B)に示す矢印B方向)に延びている。
【0040】
さらに、図2(A)(B)に示されるように、除電ブラシ10は、交差方向に延びる矩形状の導電性フレーム12と、導電性フレーム12に基端部が固定され先端部がシート材Pに対向するブラシ部材14とを備えて構成されている。
【0041】
本実施形態では、導電性フレーム12は、アルミ材で形成され、図示せぬ本体フレームに固定されてこの本体フレームを介して接地されている。
【0042】
また、ブラシ部材14は、束状の柔軟なカーボン繊維によって構成され、先端部が交差方向に対して斜めに傾く傾斜辺14Aを有するノコギリ型(山谷形状)とされている。
【0043】
ここで、除電ブラシ10の取付け精度及びシート材Pの変形等で、ブラシ部材14の先端部とシート材Pの距離にばらつきが生じ、シート材Pに帯電した静電気をブラシ部材14の先端部で除電することができる距離が保たれないことが考えられる。
【0044】
しかし、前述した構成により、図1で示されるように、例えば、シート材Pの搬送位置が下側にばらつきD位置を通過するときは、傾斜辺14AのF部近傍でシート材Pがブラシ部材14の先端部を通過する。これにより、F部近傍で、ブラシ部材14が効率良くシート材Pの静電気を除電する。
【0045】
一方、例えば、シート材Pの搬送位置が上側にばらつきG位置を通過するときは、傾斜辺14AのH部近傍でシート材Pがブラシ部材14の先端部を通過する。これにより、H部近傍で、ブラシ部材14が効率良くシート材Pの静電気を除電する。
【0046】
つまり、傾斜辺14Aを設けることで、シート材Pの搬送位置がばらついても、必ず、ブラシ部材14の先端部をシート材Pの一部が通り、この部位でブラシ部材14がシート材Pの静電気を効率良く除電する。
【0047】
なお、シート材Pとブラシ部材14がラップする部分では、ブラシ部材14の先端部近傍には劣るがシート材Pの静電気を除電することができる。
【0048】
このように、ブラシ部材14の先端部に傾斜辺14Aを設けることで、シート材Pの搬送位置がばらついても、シート材Pの静電気を除電することができる。
【0049】
また、シート材Pの静電気を除電することで、ユーザが排出トレイ92に排出されたシート材Pを取り出す時に、ユーザが感電(静電ショック)するのを防止することができる。
【0050】
また、シート材Pの静電気を除電することで、シート材P間の静電吸着による揃え不良を防止することができる。
【0051】
また、シート材Pの静電気を除電することで、シート材P間の静電吸着によるシート材Pの重送(捌き不良)を防止することができる。
【0052】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、ブラシ部材14の先端部をノコギリ型として傾斜辺14Aを設けたが、ブラシ部材の先端部をジグザク型又は波型等として傾斜辺をもうけてもよい。
【0053】
また、本実施形態では、搬送されるシート材Pの上側にブラシ部材14を配置してシート材Pの静電気を除電したが、搬送されるシート材Pの下側にブラシ部材を配置してシート材Pの静電気を除電してもよい。
【0054】
次に本発明の第2実施形態の除電ブラシ20が搭載された画像形成装置100を図4、図5に従って説明する。
【0055】
なお、第1実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0056】
図4で示されるように、この実施形態では第1実施形態とは違い、ブラシ部材14の先端部に対向するように対向ブラシ部材22が設けられている。
【0057】
詳細には、対向ブラシ部材22の先端部は、ブラシ部材14の先端部と対向するように設けられ、ブラシ部材14の先端部の形状に沿った傾斜辺22Aを有するノコギリ型とされている。また、対向ブラシ部材22の基端部は、交差方向(図4に示すB方向)に延びる矩形状の導電性フレーム24に支持されており、この導電性フレーム24は、アルミ材で形成され、図示せぬ本体フレームに固定されてこの本体フレームを介して接地されている。
【0058】
以上の構成により、排出ロール90に送り出され、静電気を帯びたシート材Pは、ブラシ部材14と対向ブラシ部材22の間を通過する。シート材Pが変形している場合でもシート材Pの表面及び裏面は、ブラシ部材14及び対向ブラシ部材22に押圧され、シート材Pの形状は、ブラシ部材14及び対向ブラシ部材22によって矯正される。
【0059】
このように、シート材Pが矯正されることで、傾斜辺14A及び傾斜辺22Aの中央部近傍をシート材Pが通過する。これにより、ブラシ部材14及び対向ブラシ部材22の先端部を確実にシート材Pが通過し、ブラシ部材14及び対向ブラシ部材22がシート材Pの静電気をさらに効率良く除電することができる。
【0060】
また、ブラシ部材14と対向ブラシ部材22を対向して配置することで、お互いが対向電極となり、シート材Pの放電が安定することで、除電効率をさらに高くすることができる。
【0061】
ここで、本出願の発明者は、ブラシ部材の先端部をノコギリ型にして、シート材Pの静電気がどの程度除電できるかを実際に確認した。
【0062】
図5(A)は,先端部をノコギリ型にした場合の除電量を示し、図5(B)は、比較例として、従来どうり先端部を直線型とした場合の除電量を示している。
【0063】
図5(A)の縦軸は、ブラシ部材を通過した後のシート材Pの表面電位を示し、表面電位が低い程シート材Pの静電気が除電されている。また、横軸は、ブラシ部材の上下方向の位置を示し、基準位置(0)を境に上方及び下方へ1.5mm,3mm、6mmずらしてシート材Pの表面電位を測定している。なお、ブラシ部材の上下については、+がブラシ部材を上方へ移動させた場合で、−がブラシ部材を下方へ移動させた場合である。
【0064】
図5(B)の縦軸及び横軸についても図5(A)と同様である。
【0065】
さらに、図5(A)(B)の実線は、ブラシ部材をシート材Pの上側に配置した場合を示し、一点鎖線は、ブラシ部材をシート材Pの下側に配置した場合を示し、点線は、ブラシ部材を上下に対向させて配置した場合を示す。
【0066】
例えば、ブラシ部材を対向させて配置した場合(点線)をみると、ノコギリ型にした場合(図5(A))の方が、従来の直線型とした場合(図5(B))と比較して、ブラシ部材の位置が上下にばらついてもシート材Pの表面電位を下げることができることが分かる。つまり、ブラシ部材の取付位置ばらつきやシート材Pの変形等で、狙い通りの位置をシート材Pが通過しなくても、ブラシ部材は、従来の直線型と比較して多くの静電気を除電することができる。
【0067】
同様に、ブラシ部材を上側に配置した場合(実線)及び下側に配置した場合(一点鎖線)も、図5(A)と図5(B)とを比較して、ノコギリ型にした場合(図5(A))の方が、従来の直線型とした場合(図5(B))と比較して、ブラシ部材の位置が上下にばらついてもシート材Pの表面電位を下げることができることが分かる。
【0068】
次に本発明の第3実施形態の除電ブラシ30が搭載された画像形成装置100を図6に従って説明する。
【0069】
なお、第2実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0070】
図6で示されるように、この実施形態では第2実施形態とは違い、ブラシ部材32及び対向ブラシ部材36の先端部の形状は、傾斜辺32A及び傾斜辺36Aを有するジグザク型とされている。
【0071】
この構成により、搬送されるシート材Pはブラシ部材32及び対向ブラシ部材36に押圧され、シート材Pの形状が矯正される。これにより、傾斜辺32A及び傾斜辺36Aの中央部近傍をシート材Pが通過するようになっている。
【0072】
次に本発明の第4実施形態の除電ブラシ40が搭載された画像形成装置100を図7に従って説明する。
【0073】
なお、第2実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0074】
図7で示されるように、この実施形態では第2実施形態とは違い、ブラシ部材42及び対向ブラシ部材46の先端部の形状は、傾斜辺42A及び傾斜辺46Aを有する波型とされている。つまり、傾斜辺42A及び傾斜辺46Aは、直線ではなく曲線にて構成されている。
【0075】
この構成により、搬送されるシート材Pはブラシ部材42及び対向ブラシ部材46に押圧され、シート材Pの形状が矯正される。これにより、傾斜辺42A及び傾斜辺46Aの中央部近傍をシート材Pが通過するようになっている。
【0076】
次に本発明の第5実施形態の除電ブラシ50が搭載された画像形成装置100を図8、図9に従って説明する。
【0077】
なお、第1実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0078】
図8で示されるように、この実施形態では第1実施形態とは違い、シート材Pの搬送方向(図8に示す矢印A方向)にブラシ部材14と並んで並設ブラシ部材52及び並設ブラシ部材54が設けられている。
【0079】
詳細には、図8、図9に示されるように、導電性フレーム56に支持される並設ブラシ部材52及び導電性フレーム58に支持される並設ブラシ部材54の先端部は、ブラシ部材14と同様に傾斜辺52A及び傾斜辺54Aを有するノコギリ型とされている。
【0080】
また、図9(B)に示されるように、並設ブラシ部材52の先端部のノコギリ型の山部は、ブラシ部材14のノコギリ型の山部に対して交差方向(図9(B)に示す矢印B方向)へずれている。さらに、並設ブラシ部材54の先端部のノコギリ型の山部は、並設ブラシ部材52のノコギリ型の山部に対して交差方向(図9(B)に示す矢印B方向)へずれている。つまり、傾斜辺14A,52A、及び54Aが、交差方向へずれる構成とされている。
【0081】
このように、傾斜辺14A,52A、及び54Aを交差方向にずらすことで、ブラシ部材14の先端部を通過するシート材Pの部位と、並設ブラシ部材52の先端部を通過するシート材Pの部位と、並設ブラシ部材54の先端部を通過するシート材Pの部位が、交差方向にずれる。
【0082】
これにより、ブラシ部材14の先端部で充分除電できなかった部位を並設ブラシ部材52の先端部が除電し、さらに、ブラシ部材14及び並設ブラシ部材52の先端部で充分除電できなかった部位を並設ブラシ部材54の先端部が除電する。このため、交差方向に渡って満遍なくシート材Pの静電気を除電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の第1実施形態に係る除電ブラシを示した拡大正面図である。
【図2】(A)(B)本発明の第1実施形態に係る除電ブラシを示した正面図及び斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る除電ブラシが採用された画像形成装置の概略構成図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る除電ブラシを示した正面図及び斜視図である。
【図5】(A)(B)本発明の第2実施形態に係る除電ブラシを試験した結果と比較試験の結果を示した図面である。
【図6】(A)(B)本発明の第3実施形態に係る除電ブラシを示した正面図及び斜視図である。
【図7】(A)(B)本発明の第4実施形態に係る除電ブラシを示した正面図及び斜視図である。
【図8】本発明の第5実施形態に係る除電ブラシを示した斜視図である。
【図9】(A)(B)本発明の第5実施形態に係る除電ブラシを示した平面図及び正面図である。
【符号の説明】
【0084】
10 除電ブラシ(除電手段)
14 ブラシ部材
14A 傾斜辺
20 除電ブラシ(除電手段)
22A 傾斜辺
22 対向ブラシ部材
30 除電ブラシ(除電手段)
32 ブラシ部材
32A 傾斜辺
36 対向ブラシ部材
36A 傾斜辺
40 除電ブラシ(除電手段)
42 ブラシ部材
42A 傾斜辺
46 対向ブラシ部材
46A 傾斜辺
50 除電ブラシ(除電手段)
52 並設ブラシ部材
52A 傾斜辺
80 感光体ドラム(画像形成手段)
86 転写ロール(画像形成手段)
100 画像形成装置
P シート材(被除電部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される被除電部材に接して、前記被除電部材に帯電した静電気を除電する除電手段であって、
前記被除電部材の搬送方向に対して交差する交差方向に延びて前記被除電部材と接すると共に、前記交差方向に傾斜辺を有する山谷形状とされた先端部を備えるブラシ部材が設けられることを特徴とする除電手段。
【請求項2】
前記ブラシ部材に対向する対向ブラシ部材が設けられ、
前記対向ブラシ部材の先端部は、前記ブラシ部材の先端部と向かい合い、前記ブラシ部材の先端部に沿った傾斜辺を有する山谷形状とされることを特徴とする請求項1に記載の除電手段。
【請求項3】
前記被除電部材の搬送方向に前記ブラシ部材と並んで並設ブラシ部材が設けられ、
前記並設ブラシ部材の先端部は前記交差方向に対して傾斜辺を有する山谷形状とされ、前記並設ブラシの先端部の山谷形状の山部は前記ブラシ部材の先端部の山谷形状の山部に対して前記交差方向へずれていることを特徴とする請求項1に記載の除電手段。
【請求項4】
被除電部材としての記録媒体に画像を形成させる画像形成手段と、
前記画像形成手段によって前記記録媒体に帯電した静電気を除電する請求項1〜3何れか1項に記載の除電手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−128692(P2009−128692A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−304486(P2007−304486)
【出願日】平成19年11月26日(2007.11.26)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】