説明

除電装置

【課題】放電雰囲気が変動しても簡単な構成により均等なイオンバランスが自動的に保たれる除電装置を提供する。
【解決手段】印加される直流高電圧の極性に応じて正又は負のイオンを生成する2n個の放電針が、n個ずつ2つのグループに分けて構成された放電電極と、前記各グループの放電針に対して互いに逆極性の直流高電圧を一定期間毎に極性を反転させて印加する高電圧発生回路と、前記イオンが送出される前方空間を適宜の形状で遮る対向電極とを備え、前記高電圧発生回路の2つの高圧側出力端子をそれぞれ各グループの放電針に接続し、かつそれらの共通側端子をフローティングの状態で前記対向電極に接続した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は除電装置に関し、更に詳しくは、帯電物体に正負のイオンを照射して電気的に中性にする除電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体や携帯電話等の製造ラインでは部品の帯電に起因する静電気障害を防ぐため作業台やコンベア等の近傍に除電装置が配置される。この種の除電装置では、帯電物体に正と負のバランスのとれた空気イオンを照射することにより電気的に中性にするが、放電針が汚れたり腐食してしまうと正イオン又は負イオンが過剰となり、逆に除電対象物を帯電させてしまう問題があった。
【0003】
この点、従来は、放電針に隣接して設けられた対向電極と接地との間に可変抵抗とダイオードとからなる並列回路を介挿し、この可変抵抗をマニュアル調整することにより対向電極を抜け出る正負イオンのバランスを調整可能としたイオン生成装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−255669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、イオンバランスが偏るのは放電針の汚れや腐食だけが原因ではない。本発明者等は、放電針に汚れや腐食がなくても、例えば除電装置を電子親和性の低いVOCガスが混入したような外乱雰囲気の下で使用すると、正イオンの発生が過多になってイオンバランスが著しく崩れる場合があることを突き止めた。ここで、VOC(Volatile organic compounds)とは、常温、常圧で大気中に容易に揮発する有機化合物の総称であり、トルエン、ベンゼン、ジクロロメタン等の工場等でよく使われる洗浄剤や溶媒等が含まれる。しかるに、上記イオンバランスをマニュアル調整するような従来方式ではこのような放電雰囲気の変動に対して自動的には対応できなかった。
【0006】
本発明は上記従来技術の課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、放電雰囲気が変動しても簡単な構成により均等なイオンバランスが自動的に保たれる除電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明の第1の態様による除電装置は、印加される直流高電圧の極性に応じて正又は負のイオンを生成する2n(nは自然数)個の放電針が、n個ずつ2つのグループに分けて構成された放電電極と、前記各グループの放電針に対して互いに逆極性の直流高電圧を一定期間毎に極性を反転させて印加する高電圧発生回路と、前記イオンが送出される前方空間を適宜の形状で遮る対向電極とを備え、前記高電圧発生回路の2つの高圧側出力端子をそれぞれ各グループの放電針に接続し、かつそれらの高圧側共通端子を非接地の状態で前記対向電極に接続したものである。
【0008】
本発明では、高電圧発生回路の高圧側共通端子を非接地の状態で対向電極に接続したことにより、対向電極の電位は放電雰囲気の変動に応じて適宜に変化する。即ち、本装置を別段のガスを含まない通常雰囲気の下で使用した場合は、放電空間で正負等量のイオンが生成されることにより、対向電極の電位は略0Vに保たれる。この場合は、対向電極を抜け出るイオンも正と負でバランスがとれており、除電対象物を能率良く除電できる。
【0009】
一方、例えば特定のガスの混入により放電空間でより多くの正イオンが生成された場合には、該放電空間で正味(平均)の正電荷が増加することになり、この正電荷によって対向電極の電位は負側に誘導される。この負電位によって、より多くの正イオンが対向電極に捕捉されると同時に、負イオンは反発されるためより多くが対向電極を通過する。その結果、対向電極を抜け出る正イオンの増加は抑えられる共に、負イオンの通過は増加し、こうして対向電極を抜け出る正イオンと負イオンのバランスは略均等に保たれる。
【0010】
逆に、特定のガスの混入により放電空間でより多くの負イオンが生成された場合は、該放電空間で正味(平均)の負電荷が増加することになり、この負電荷によって対向電極の電位は正側に誘導される。この正電位によって、より多くの負イオンが対向電極に捕捉されると同時に、正イオンは反発されるためより多くが対向電極を通過する。その結果、対向電極を抜け出る負イオンの増加は抑えられる共に、正イオンの通過は増加し、こうして対向電極を抜け出る正イオンと負イオンのバランスは略均等に保たれる。
【0011】
かくして、本発明によれば、この除電装置を様々な放電雰囲気の下で使用しても、簡単な構成により均等なイオンバランスが自動的に保たれるため、常に除電対象物における電位の中和を促進でき、除電対象物表面の残留電位を小さくできる。
【0012】
本発明の第2の態様では、前記高電圧発生回路の高圧側共通端子と接地との間に第1、第2のコンデンサを直列に接続し、該第2のコンデンサの端子電圧を検出する高電圧異常検出回路を備える。
【0013】
本発明においては、高電圧異常検出回路は第2のコンデンサの端子電圧を検出することで高圧回路の異常を監視する。この場合に、高電圧回路の放電が正常に行われている場合は、放電空間に正極性と負極性の高電圧が同時に加えられるため、対向電極(即ち、高圧側共通端子)の電位は略一定(例えば0V)に保たれる。しかし、何れか一方のグループの放電針が絶縁不良により接地されたような場合には、放電空間は専ら他方のグループの放電針のみによって駆動されることになるため、対向電極(即ち、第2のコンデンサの端子間)には比較的顕著な振幅の交番電圧が現れる。本発明では、第2のコンデンサの端子電圧を監視することで高圧回路の異常を的確に検出可能となる。また、本発明では、第2のコンデンサの端子電圧を観測(即ち、モニタ回路を接続)しても、高圧側共通端子をフローティングの状態に維持できるよう、第1のコンデンサを直列に接続している。
【0014】
本発明の第3の態様では、前記高電圧発生回路の高圧側共通端子と対向電極との間にコンデンサを直列に接続したものである。
【0015】
本発明によれば、特定のガスの混入により放電空間で発生する正負イオンのバランスに偏りが生じても、これに伴う正味の電荷(電圧)の変動は、放電電極と対向電極との間に形成される実質的な容量と、この容量に直列に挿入したコンデンサの容量とによって分圧されることにより、対向電極に誘導される電位の大きさを所望の感度で制御可能となる。また、これによって対向電極を抜け出るイオンのバランスを所望の利得で制御可能となる。
【0016】
本発明の第4の態様では、前記放電電極は矩形状平面の対角線上に向き合って配置された少なくとも4つの針電極を備え、一方の対角線上で向き合う放電針が一方のグループを構成し、かつ他方の対角線上で向き合う放電針が他方のグループを構成する。
【0017】
本発明によれば、放電電極は矩形状平面の対角線上に向き合って配置された2グループ(少なくとも4つ)の放電針を備えるため、前方空間を遮る対向電極との間で形成される放電空間では、正負イオンの発生を時間的にも空間的にも均等にできる。これにより、本装置を別段のガスを含まない通常雰囲気の下で使用した場合は、対向電極の電位を略0Vに保持できると共に、別段のガスが混入したような外乱雰囲気の下で使用した場合には、正イオンと負イオンのアンバランスに応じた正味の電荷(電位)が対向電極の側に忠実に反映(誘導)されることとなり、高感度なイオンバランスの自動制御が可能となる。
【0018】
本発明の第5の態様では、前記対向電極は、前記放電電極の下流側に所定間隔離れて設けられ、該放電電極と平行な面に多数の通風孔を有する導電性の電極である。
【0019】
本発明においては、対向電極を前記放電電極と平行な面に多数の通風孔を有するようなハニカム構造又はメッシュ構造等からなる導電性の電極となすと共に、その通風孔の目開きを適宜の大きさに選択することにより、放電電極に安定な放電を起こさせる基準電位を保持する電極としての機能と、放電雰囲気の外乱によらず対向電極を通過するイオンのバランスを自ら均等に調整する機能とを効率よく実現できる。詳細は後述する。
【0020】
本発明の第6の態様では、前記高電圧発生回路は、直流電源回路と、前記直流電源回路の直流電圧を高周波電圧に変換して2系統の出力ラインに一定期間毎に交互に切り換えて出力する出力制御回路と、前記出力制御回路から出力された2系統の高周波電圧をそれぞれ高周波高電圧に昇圧して出力する絶縁型の変圧回路と、前記変圧回路の出力の一方の高周波高電圧を互いに極性の異なる2つの直流高電圧に変換して各グループの放電針に引加し、次に他方の高周波高電圧を前記と逆極性の2つの直流高電圧に変換して前記各グループの放電針に引加する極性反転回路とを備える。
本発明の第6の態様では、前記出力制御回路による2系統の高周波電圧の切換周波数は10乃至100Hzの範囲である。
【発明の効果】
【0021】
以上述べた如く本発明によれば、除電装置を様々な放電雰囲気の下で使用しても、簡単な構成により均等なイオンバランスが自動的に保たれるため、様々な作業環境における対象物の除電を能率よく行える。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施の形態による除電装置の構成図である。
【図2】第1の実施の形態による高電圧発生回路の回路図である。
【図3】実施の形態による除電装置の除電特性を説明する図である。
【図4】実施の形態による放電空間部の斜視図である。
【図5】第2の実施の形態による高電圧発生回路の回路図である。
【図6】第3の実施の形態による高電圧発生回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面に従って本発明に好適なる実施の形態を詳細に説明する。図1は実施の形態による除電装置1の概略構成図であり、図1(A)は除電装置1の側面図、図1(B)は放電電極20の正面図を示している。この除電装置1は、送風用のファン30と、高電圧発生回路10と、この高電圧発生回路より印加された直流高電圧の極性に応じて正と負の空気イオンを生成する放電電極20と、この放電電極の前方空間を適宜の形状で遮る対向電極5と、人の手の挿入を阻止するガード電極60とを備える。70は外部の除電対象物である。
【0024】
高電圧発生回路10は、所定時間毎に極性が正と負に反転する直流高電圧OAと、その逆極性の直流高電圧OBとを同時に発生し、これらを放電電極20に加える。一例の放電電極20は、図1(B)に示す如く、放電針21a、21bの組と放電針22a、22bの組とを備え、各放電針はそれぞれの先端部が矩形枠の中心方向に向くように2つの対角線上に配置されている。このうち、先端部が向き合う放電針の組には同一極性の直流高電圧を印加する。これにより、放電針21a、21bの組が正イオンを生成する間、放電針22a、22bの組では負イオンを生成し、次に放電針21a、21bの組が負イオンを生成する間、放電針22a、22bの組では正イオンを生成することになる。この放電電極20は矩形状平面の対角線上に向き合って配置された2組(少なくとも4つ)の放電針21a、21b、22a、22bを備えるため、前方空間を遮る対向電極5との間で形成される放電空間では正負イオンの発生を時間的にも空間的にも均等にできる。
【0025】
対向電極5は、放電針21、22に対する電位(例えば0V)を安定に保つことにより、コロナ放電(空気イオンの発生)を安定に維持させる機能を有する。このような対向電極5は、空気の流れ方向と垂直な面に多数の通風孔を有するような金属又は導電性を有する樹脂により構成される。例えば、後述の図4(A)に示すようなハニカム構造のハニカム電極5A、又は図4(B)に示すような金網構造のメッシュ電極5B、或いは、図示しないが、リング状の金属電極を同心円上に配置したリング状電極等が用いられる。
【0026】
このような構成により、放電電極20で発生した正及び負の空気イオンは、対向電極5との間(放電空間)に形成される電界により該対向電極5の側に運ばれると共に、ファン30からの送風を受けて除電対象物70の側に搬送される。
【0027】
好ましくは、除電対象物70における十分な除電効果を得るために、次の点が考慮される。即ち、放電針21、22から除電対象物70までの距離をLとすると、放電針間の距離Kは、放電電極20で発生した正と負のイオンが除電対象物70において略均一に混ざり合うように、K=L/5〜L/4程度に選ばれる。一例として、L=150mm〜600mmの範囲では、K=40mm〜120mm程度に選ばれる。また、隣接する放電針21、22間の距離をK(例えばK=40mm〜120mm程度)とする場合に、放電針21、22と対向電極5との間の距離Mは、M<Kとなるように選ばれる。これにより、各放電針21、22で発生した正と負のイオンを距離の短い対向電極5の側に向かって効率よく飛ばすことができる。
【0028】
また、この対向電極5は、本装置の使用時における放電雰囲気の変動(VOCガスの混入等)によらず、該対向電極5を通過する正イオンと負イオンのバランスを略均一に保つイオンバランス調整機能をも兼ね備えている。この点については後述する。
【0029】
ガード電極60は、高電圧が印加されている放電空間内に作業者の指などが入らないようにガードする。このガード電極60は金属等の導体で形成され、対向電極5の近くの下流側に配置される。好ましくは、このガード電極60を非接地とすることで、ガード電極60の静電的影響(アース電位)が放電空間の側に及ばないようにしている。
【0030】
図2は実施の形態による高電圧発生回路の回路図である。この高電圧発生回路10は、DC電源回路11と、出力制御回路12と、変圧回路13と、極性反転回路14とを備えている。DC電源回路11は、入力の交流電圧(例えばAC100V)を降圧・整流して直流電圧(例えばDC12V)を出力する。出力制御回路12は、この直流電圧を入力として可聴周波数を上回る周波数(例えば20kHz)の正弦波交流電圧を発生すると共に、この交流電圧を2系統のラインIA、IBに一定期間毎に交互に切り換えて出力する。この切換周波数は例えば10Hz〜100Hzの範囲で選択される。
【0031】
変圧回路13は、例えば絶縁型の高周波巻線トランスL1、L2からなり、それぞれは交互に入力される1次側入力の交流電圧IA、IBを昇圧して2次側に出力する。トランスL1、L2の1次側入力では1次巻線の共通側端子が互いに接続されており、これらはDC電源回路11、出力制御回路12と共に共通のアースに接地されている。また、このトランスL1、L2の1次側入力と2次側出力との間は絶縁されている。そして、この2次側出力の各一方はそれぞれ極性反転回路14に接続すると共に、各他方の高圧側共通端子HCは互いに接続され、これらは接地されずに、対向電極5に直接接続されている。
【0032】
極性反転回路14は、トランスL1から入力された高周波高電圧を倍電圧整流して放電針21の組に正の直流高電圧を印加すると同時に放電針22の組には負の直流高電圧を印加する。また、次の時点では、トランスL2から入力された高周波高電圧を倍電圧整流して放電針21の組に負の直流高電圧を印加すると同時に放電針22の組には正の直流高電圧を印加する。
【0033】
次にこの極性反転回路14の動作を詳細に説明する。トランスL1が通電中の間は、トランスL2の入出力は0Vである。この状態で、トランスL1の2次側出力が負の半波ではダイオードD8のルートが導通し、コンデンサC1を図示の極性に充電する。次の正の半波ではダイオードD1(及びD4、D5)のルートが導通し、これによりコンデンサC5、C4の並列回路を正に充電する。このとき、コンデンサC5、C4の並列回路には正の半波と前記コンデンサC1に蓄積された充電電圧との和の電圧が印加されるため、コンデンサC5、C4の並列回路には最終的にトランスL1の2次側出力よりも高い正の電圧が充電され、これが放電針21の組に印加される。
【0034】
一方、トランスL1の2次側出力が正の半波ではダイオードD7のルートが導通し、コンデンサC2を図示の極性に充電する。次の負の半波ではダイオードD2(及びD3、D6)のルートが導通し、これによりコンデンサC6、C3の並列回路を負に充電する。このとき、コンデンサC6、C3の並列回路には負の半波と前記コンデンサC2に蓄積された充電電圧の和の電圧が印加されるため、コンデンサC6、C3の並列回路には最終的にトランスL1の2次側出力よりも低い負の電圧が充電され、これが放電針22の組に印加される。なお、トランスL1が非通電中になると、コンデンサC5、C4の蓄積電圧は抵抗R1を介して放電され、コンデンサC6、C3の蓄積電圧は抵抗R2を介して放電される。
【0035】
次に、トランスL2が通電中の間は、トランスL1の入出力は0Vである。この状態で、トランスL2の2次側出力が負の半波ではダイオードD6のルートが導通し、コンデンサC3を図示の極性に充電する。次の正の半波ではダイオードD3(及びD2、D7)のルートが導通し、これによりコンデンサC7、C2の並列回路を正に充電する。このとき、コンデンサC7、C2の並列回路には正の半波と前記コンデンサC3に蓄積された充電電圧との和の電圧が印加されるため、コンデンサC7、C2の並列回路には最終的にトランスL2の2次側出力よりも高い正の電圧が充電され、これが放電針22の組に印加される。
【0036】
一方、トランスL2の2次側出力が正の半波ではダイオードD5のルートが導通し、コンデンサC4を図示の極性に充電する。次の負の半波ではダイオードD4(及びD1、D8)のルートが導通し、これによりコンデンサC8、C1の並列回路を負に充電する。このとき、コンデンサC8、C1の並列回路には負の半波と前記コンデンサC4に蓄積された充電電圧との和の電圧が印加されるため、コンデンサC8、C1の並列回路には最終的にトランスL2の2次側出力よりも低い負の電圧が充電され、これが放電針21の組に印加される。なお、トランスL2が非通電中になると、コンデンサC8、C1の蓄積電圧は抵抗R4を介して放電され、コンデンサC7、C2の蓄積電圧は抵抗R3を介して放電される。
【0037】
こうして、放電針21a、21bに正の直流高電圧が印加されるときは、放電針22a、22bに負の直流高電圧が印加され、次に、放電針21a、21bに負の直流高電圧が印加されるときは、放電針22a、22bに正の直流高電圧が印加される。
【0038】
このような構成において、この対向電極5は、上記の如く放電針21、22に安定なコロナ放電を発生させる機能と、該放電針21、22が外乱雰囲気の下で放電することによって発生イオンのバランスに偏り(プラス優位又はマイナス優位)が生じても、対向電極5を抜け出る正イオンと負イオンのバランスを偏りの無いものに自動調整するイオンバランス調整電極としての機能とを兼ね備えている。以下、対向電極のイオンバランス調整作用を説明する。
【0039】
この除電装置1は、別段のVOCガスを含まない通常雰囲気の下で使用する場合には、対向電極5を抜け出る正イオンと負イオンのバランスが均等となるように調整されている。この状態では、正の高電圧が印加された放電針21a、21bでは正の空気イオンが生成され、この正イオンによる一部の電流は放電針21a、21bから対向電極5を介して高圧側共通端子HCの側に流れる。同時に、負の高電圧が印加された放電針22a、22bでは負の空気イオンが生成され、この負イオンによる一部の電流は高圧側共通端子HCから対向電極5を介して放電針22a、22bの側に流れる。正イオンと負イオンの発生がバランスした通常雰囲気の下では、放電針21、22と対向応極5との間に流れる電流は釣り合いがとれているため、非接地とされた対向電極5は発生イオンのバランス状態に応じた一定の電位(0V)に保たれている。
【0040】
ところで、一般に大気中には窒素、酸素、アルゴン、炭酸ガス等の成分が含まれるが、大気を放電の観点から見るとき、これらの電離電圧は同じではなく、電離し易いガスと電離し難いガスとがある。このうちコロナ放電に寄与しているのは電離電圧の低いガスであり、放電空間に電離電圧の低いガスが混入すると、そのガスは選択的に電離することになるため、ガス濃度が薄くてもイオン濃度の比率は高いものとなり得る。
【0041】
即ち、24Lの大気中に含まれる気体分子の数は6×1023個であり、これを1m当たりに換算すると2.5×1025個/mとなる。一方、空気のコロナ放電で作られるイオンの濃度は1016個/m程度であることが知られている。これに対して、1ppb(part per billion)のVOCガスは2.5×1016個/mの濃度になり、更に、10ppbのVOCガスは2.5×1017個/mの濃度になる。この内の10%がコロナ放電で電離したとすると、ガスのイオン濃度は2.5×1016個/mとなり、これは空気のコロナ放電で生成されるイオンの濃度と略同程度となる。
【0042】
このことは、ガス濃度がppbオーダと極めて低くても、ガスの電離電圧が低ければ、そのガスの電離度が選択的に高くなるため、全体としても十分なイオン濃度になることを意味する。更に、ガスの電子親和性が低ければそのガスは正イオンにしかなり得す、この場合のイオンバランスは正の側に傾く。特にイソホロン等のVOCガスは電子親和性が低く、電離電圧が低いため、イオンバランスは正の側に大きく頃くと考えられる。
【0043】
これを対向電極5の側から見ると、放電針21、22の側では正味(平均)の正電荷が増したことになるため、この正電荷によって対向電極5の電位は負側に静電誘導される。対向電極5は、この負電位によって、過剰となったより多くの正イオンを捕捉すると同時に、負イオンについては反発するため、より多くの負イオンが対向電極5を通過する。その結果、対向電極5を抜け出る正イオンの増加は抑えられる共に、負イオンの通過は増加し、こうして対向電極5を抜け出る正イオンと負イオンのバランスは略均一に保たれる。
【0044】
上記とは逆に、特定のガスの混入により放電空間でより多くの負イオンが生成されたような場合には、該放電空間で正味(平均)の負電荷が増加することにより対向電極の電位は正側に静電誘導される。対向電極5は、この正電位によって、過剰となったより多くの負イオンを捕捉すると同時に、正イオンについては反発するため、より多くの正イオンが対向電極を通過する。その結果、対向電極5を抜け出る負イオンの増加は抑えられる共に、正イオンの通過は増加し、こうして対向電極5を抜け出る正イオンと負イオンのバランスは略均一に保たれる。
【0045】
かくして、本実施の形態によれば、対向電極5抜け出る正イオンと負イオンのバランスは放電雰囲気の変動によらず略一定に保たれる。
【0046】
図3は実施の形態による除電装置の除電特性を説明する図である。一般に、この種の除電装置の評価にはEOS/ESD規格St3.1に準拠した測定方法が用いられる。この評価方法では、図示しないが、基板上に除電対象物となる12枚の帯電プレートを縦横300mm間隔で3行×4列分配列すると共に、第1列第2行目の帯電プレートから300mm離れた位置に除電装置1を配置し、減衰時間特性とイオンバランス特性の測定が行なわれる。なお、帯電プレートは縦横が150mm×150mm、容量20pFの部材で構成されている。
【0047】
また、図示しないが、各帯電プレートには、非接触型の電位センサと、この電位センサに接続された帯電電位計とが設けられている。更に、各帯電プレートには、予め帯電プレートを所定の電位に帯電させるための+1kV高圧電源と、−1kV高圧電源とが接続されており、更に、測定時間を監理するためのタイマが設けられている。
【0048】
このような構成により、帯電プレートの減衰時間特性は、予め+1000V(又は−1000V)に帯電した除電対象物を+100V(又は−100V)にまで除電するのに要した時間を測定し、イオンバランス特性は、残留電荷を除去した帯電プレートにイオンを照射し、一定時間経過後の帯電プレートの電位を測定することで行った。
【0049】
図3(A)は比較例として高圧側共通端子HC(例えば、ハニカム構造の対向電極5A)を接地した場合の測定結果を示す。通常雰囲気において除電対象物70のイオンバランス電圧が0Vになるように設定した除電装置1を外乱雰囲気に曝すと、除電対象物70のイオンバランス電圧が+34Vにまで上昇した。これは、除電装置1におけるコロナ放電が外乱雰囲気による影響を受けたことにより、対向電極5を抜け出る正イオンが多くなってしまった為だと考えられる。この影響は帯電プレートの減衰時間特性にも現れ、正イオンが多くなった為、−1000V→−100Vまでの減衰時間が速まり、また正イオンが多くなった事により負イオンが再結合して少なくなった結果+1000V→+100Vの減衰時間が遅くなっている。
【0050】
図3(B)は本実施の形態により高圧側共通端子HC(対向電極5A)を非接地とした場合の測定結果を示す。通常雰囲気において、除電対象物の電位を≒0Vになるように設定した除電装置を外乱雰囲気に曝しても、除電対象物の電位が+5.5Vまでにしか上昇しなかった。これは、外乱雰囲気の下では図3(A)の場合と同様に正イオンの発生が多くはなるが、対向電極5の電位が+0.12kV→−0.08kV(約200Vのマイナス)となることにより、正イオンが対向電極5に吸収され易くなり、かつ負イオンは反発される為、結果的に対向電極を抜け出る正イオンと負イオンとがほぼ等量に自動調整され、これにより除電対象物のイオンバランス電圧が低く保たれているものと考えられる。
【0051】
図4は実施の形態による放電空間部の斜視図で、この除電装置に採用して好適なる対向電極5のいくつかの実施例を示している。この対向電極5は放電針21、22に安定なコロナ放電を発生させる機能と、外乱雰囲気の下でもイオンバランスを均等に保つイオンバランス調整電極としての機能とを兼ね備えるため、2つの機能を効率よく実現できる構成が望まれる。
【0052】
図4(A)は放電電極20から距離Mだけ離れた下流側の位置にハニカム構造のハニカム電極5Aを備える場合を示している。このハニカム電極5Aは金属又は導電性を有する樹脂により構成され、空気の流れ方向と直交する面に多数の通風孔51を備えている。このハニカム電極5Aは放電電極20が展開する矩形平面とほぼ同じ広さの矩形平面に展開しており、これによってイオンが送出される放電空間を適正に遮っている。
【0053】
ハニカム電極5Aは、放電針21、22に安定なコロナ放電を発生させるための基準電位を保持すると共に、生成された空気イオンは所要の目開きを有する通風孔51を通過して除電対称物70の側に搬送される。この場合に、コロナ放電の強さは、放電針21、22とハニカム電極5Aとの間の距離Mに関係する。距離Mが小さいと、強いコロナ放電が発生し、有害なオゾンの発生量も多くなる。そこで、この距離Mは、少ないオゾンの発生量(少ない放電電流)で、より多くのイオンを発生できる範囲で選択される。
【0054】
挿入図(a)にハニカム電極5Aの部分拡大図を示す。目開きとは、メッシュ(金網)の規格にあるもので、通風孔51の開き具合を長さDで表したものである。即ち、目開きDは、
D=(1インチ/メッシュ数)−t
t:ハニカム構造の実質的な板厚
により求められる。
【0055】
この目開きDは、あまりに大きいと放電針21、22にコロナ放電を起こさせる効果が小さくなり、またあまりに小さいと生成した正負イオンの多くがハニカム電極5Aに捕捉されてしまう。そこで、この目開きDは、基本的には、より多くのイオンを発生し、下流側に通過させるように選択される。
【0056】
さらに、この目開きDについては、イオンバランスの制御利得をも考慮して選択する必要がある。上述した如く、本装置を外乱雰囲気の下で使用したため、放電空間でより多くの正イオンが発生したような場合には、ハニカム電極5Aの電位が負側に誘導される結果、ハニカム電極5Aでは、この負電位により、過剰となったより多くの正イオンを捕捉すると同時に、より多くの負イオンを反発して通過させるが、これらの作用・効果は目開きDが小さいほど大きく、目開きDが大きいほど小さいことが容易に理解できる。
【0057】
即ち、ハニカム電極5Aに誘導された負電位の大きさ対して、目開きDが小さい場合は、単位面積当たりの開口率は小さくなるため、正イオンの捕捉量と、負イオンの通過量とは共に電極電位の影響を強く受けることになり、この意味でイオンバランスの制御利得は大きい。逆に、目開きDが大きい場合は、単位面積当たりの開口率は大きくなるため、正イオンの捕捉量と、負イオンの通過量とは共に電極電位の影響を弱く受けることになり、この意味でイオンバランスの制御利得は小さい。そこで、この目開きDの大きさは、イオンバランスの制御利得をも考慮して選択される。
【0058】
さらに、本実施の形態では、放電針21a、21bが正イオンを発生すると同時に放電針22a、22bでは負イオンを発生し、次に放電針21a、21bが負イオンを発生すると同時に放電針22a、22bでは負イオンを発生するため、例えばVOCガスの混入により正イオンの発生が過剰となる場合には、ある時点で一方の対角線上の放電針21a、21bの周りで正イオンが過剰になると共に、次の時点では他方の対角線上の放電針22a、22bの周りで正イオンが過剰となる。
【0059】
これをハニカム電極5Aの側から見ると、放電針21、22の周囲では正味(平均)の正電荷が時間的にも空間的にも増すことになるため、この正電荷によってハニカム電極5Aの電位は負側に強く静電誘導されることになる。即ち、ハニカム電極5Aは外乱の程度に応じて高い感度で自己の電位を変化させることになる。そこで、好ましくは、この目開きDの大きさは、ハニカム電極5Aへの静電誘導電圧の利得をも考慮して選択される。
【0060】
本発明者等は、更に多くの実験を行った結果、目開きDと、放電空間の距離Mとの比D/Mが、D/M≧0.05(即ち、1/20以上)の範囲で良好なイオンバランス調整効果が得られることを見い出した。なお、目開きDについては、別段の上限を設けるものでは無いが、実用的には保安基準に従えば、通風孔5Aに指を挿入できない程度と言うことになる。
【0061】
なお、上記本実施の形態では対向電極5をハニカム構造としたが、これに限らない。通風孔51の形状は他にも四角形、三角形、菱形、円形等に出来る。この場合も上記同様の作用・効果が得られる。
【0062】
図4(B)は、放電電極20から距離Mだけ離れた下流側の位置にメッシュ構造のメッシュ電極5Bを備える場合を示している。このメッシュ電極5Bは導電性の細線を正四角形に編み込んだ構造を備えている。この場合も上記ハニカム電極5Aについて述べたと同様の作用・効果が得られる。なお、メッシュ電極5Bの構造は導電性の細線を長方形、菱形等に編んだメッシュ(金網)構造としても良い。
【0063】
或いは、上記ハニカム電極5Aやメッシュ電極5Bに代えて、導電性の平板に円形、三角形、四角形、菱形等を含む任意多角形、楕円形等を高い密度で打ち抜いた所謂パンチングメタル構造としても良い。
【0064】
図5は第2の実施の形態による高電圧発生回路の回路図であり、高電圧発生回路10の高圧側共通端子HCと接地との間に第1、第2のコンデンサCA、CBを直列に接続し、該第2のコンデンサCBの端子電圧をモニタすることで高電圧回路の異常を検出する場合を示している。コンデンサCBの下端は接地されており、コンデンサCBの端子電圧をモニタすべく該コンデンサCBと並列に高電圧異常検出回路としての例えば電圧監視回路40が接続されている。
【0065】
一般に、電圧監視回路40は有限の入力インピーダンスを有するため、このままでは高圧側共通端子HCが接地からの影響を受けてしまう。そこで、本実施の形態ではコンデンサCBと直列にコンデンサCAを挿入することで電圧監視回路40を高圧側共通端子HCから直流的に切り離し、これにより高圧側共通端子HCをフローティングの状態に維持している。なお、コンデンサCBと並列に抵抗を接続しても良い。
【0066】
次に電圧監視回路40の動作を説明する。高電圧発生回路は放電針21,22のグループに対して互いに逆極性の直流高電圧を同時に印加することにより、もし両グループの放電が共に正常な場合は、放電空間に正極性と負極性の高電圧が同時に加えられるため、対向電極5(即ち、高圧側共通端子HC)の電位は略一定(例えば略0V)に保たれる。これに伴い、コンデンサCBの端子電圧も略0V(交流成分を含まない状態)に保たれる。
【0067】
しかし、例えば第1のグループの放電針21と、接地された装置筐体(不図示)との間に絶縁不良(例えば短絡)が発生したような場合には、放電針21の電位はアース電位に固定されるため、放電空間は専ら放電針22のグループによって駆動されることになる。このため、高圧側共通端子HC(即ち、コンデンサCBの端子間)には比較的顕著な振幅の交番電圧が観測されることになる。また、第2のグループの放電針22と装置筐体との間に絶縁不良が発生したような場合には、上記とは逆極性の交番電圧が観測されることになる。
【0068】
本実施の形態によれば、高電圧発生回路の高圧側共通端子HCと接地との間に第1、第2のコンデンサCA、CBを直列に接続するだけの簡単な構成により、放電異常の発生のみならず、何れのグループの放電針で放電異常が発生したかを的確に検出可能となる。
【0069】
図6は他の実施の形態による高電圧発生回路の回路図であり、高電圧発生回路の高圧側共通端子HCと対向電極5との間にコンデンサCbを直列に接続した場合を示している。放電針21、22と対向電極5との間に形成される実質的なコンデンサCaと直列にコンデンサCbを挿入することで、放電針21、22と高圧側共通端子HCとの間に介在する正味(平均)の電荷に応じた電圧を2つのコンデンサCa、Cbにより所望に分圧できる。
【0070】
即ち、外乱雰囲気の下で+イオンの発生が+Qだけ優位になると、放電針21、22と対向電極5との間ではこの電荷+Qを、Va=Q/Ca、Vb=Q/Cbに分割できる。この場合の対向電極5の電位は、もしCa>Cbに選んだ場合は、Va<Vbの関係で推移し、またCa<Cbに選んだ場合は、Va>Vbの関係で推移する。後者の方がイオンバランスの偏り対する感度が高い。
【0071】
以上述べた如く、上記各実施の形態では、 第1、第2のグループの放電針に対して互いに逆極性の直流高電圧を一定期間毎に極性を反転させて印加するため、AC式除電装置に比べて正負イオンの発生量を多くすることができ、減衰時間特性を向上させることができる。
【0072】
また、正負イオンが同時に発生するため、帯電プレート表面における電位の中和が促進されて、帯電プレート表面の残留電位を小さくできる。この結果、イオンバランスの振幅をゼロに近づけることができるともに、振幅の偏りも少なくできる。
【0073】
また、放出される正負イオンの極性が一定期間毎に反転するともに、イオンを放出する位置も一定期間毎に切り替わるため、イオンバランスの空間的な偏りを小さくできる。
【0074】
また、正負イオンの極性を一定期間毎に反転させるため、連続運転した場合でも、それぞれの放電針の汚れ付着及び腐食、磨耗の度合いはほぼ均等となる。このため、放電針ごとの残留電位の偏りが生じることがなく、イオンバランスの経時的な偏りを少なくすることができる。
【0075】
また、交互切換周波数を10〜100Hzの範囲としているため、正負イオンの発生間隔を長くできる。このため、AC高周波式除電装置に比べて、放出された正負イオンが除電対象物に達するまでに再結合しにくくなり、イオンを遠くまで飛ばすことができる。
【符号の説明】
【0076】
1 除電装置
5 対向電極
10 高電圧発生回路
20 放電電極
30 ファン
60 ガード電極
70 除電対象物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印加される直流高電圧の極性に応じて正又は負のイオンを生成する2n(nは自然数)個の放電針が、n個ずつ2つのグループに分けて構成された放電電極と、
前記各グループの放電針に対して互いに逆極性の直流高電圧を一定期間毎に極性を反転させて印加する高電圧発生回路と、
前記イオンが送出される前方空間を適宜の形状で遮る対向電極とを備え、
前記高電圧発生回路の2つの高圧側出力端子をそれぞれ各グループの放電針に接続し、かつそれらの高圧側共通端子を非接地の状態で前記対向電極に接続したことを特徴とする除電装置。
【請求項2】
前記高電圧発生回路の高圧側共通端子と接地との間に第1、第2のコンデンサを直列に接続し、該第2のコンデンサの端子電圧を検出する高電圧異常検出回路を備えることを特徴とする請求項1記載の除電装置。
【請求項3】
前記高電圧発生回路の高圧側共通端子と対向電極との間にコンデンサを直列に接続したことを特徴とする請求項1記載の除電装置。
【請求項4】
前記放電電極は矩形状平面の対角線上に向き合って配置された少なくとも4つの針電極を備え、一方の対角線上で向き合う放電針が一方のグループを構成し、かつ他方の対角線上で向き合う放電針が他方のグループを構成することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一つに記載の除電装置。
【請求項5】
前記対向電極は、前記放電電極の下流側に所定間隔離れて設けられ、該放電電極と平行な面に多数の通風孔を有する導電性の電極であることを特徴とする請求項4記載の除電装置。
【請求項6】
前記高電圧発生回路は、
直流電源回路と、
前記直流電源回路の直流電圧を高周波電圧に変換して2系統の出力ラインに一定期間毎に交互に切り換えて出力する出力制御回路と、
前記出力制御回路から出力された2系統の高周波電圧をそれぞれ高周波高電圧に昇圧して出力する絶縁型の変圧回路と、
前記変圧回路の出力の一方の高周波高電圧を互いに極性の異なる2つの直流高電圧に変換して各グループの放電針に引加し、次に他方の高周波高電圧を前記と逆極性の2つの直流高電圧に変換して前記各グループの放電針に引加する極性反転回路とを備えることを特徴とする請求項4又は5記載の除電装置。
【請求項7】
前記出力制御回路による2系統の高周波電圧の切換周波数は10乃至100Hzの範囲であることを特徴とする請求項6記載の除電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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