説明

陰イオン交換体及びその製造方法

【課題】十分なイオン交換量を有し、吸着速度が速い陰イオン交換体を提供する。
【解決手段】陰イオン交換体の製造方法は、少なくとも1つの水酸基を有する繰り返し構造単位を含む高分子基材に電離放射線を照射する工程と、電離放射線を照射した上記高分子基材を、下記一般式(I)


(又は、


(式中、Rは炭素数1以上8以下のアルキレン基である)であり、Xはハロゲン原子である)で表される構造を有するモノマーと接触させることにより、上記高分子基材に4級アンモニウム基を有するグラフト鎖を導入する工程と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、陰イオン交換体及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、4級アンモニウム基等を有する強塩基性陰イオン交換樹脂の製造では、一般的に、ポリスチレンをジビニルベンゼンで架橋したビーズ等を基材樹脂として用いる。ここで、強塩基性陰イオン交換樹脂は、基材樹脂をクロロメチル化した後、トリメチルアミン等の3級アミンを反応させて4級アンモニウム化を行うことにより製造することができる。しかしながら、クロロメチル化には、発癌性物質であるクロロメチルエーテルが必要であり、更に4級アンモニウム化工程は法定悪臭物質であるトリメチルアミンを使用する。
【0003】
このため、現在市販されているポリスチレン系基材を用いた強塩基性陰イオン交換樹脂の製造では、上記方法を避け、複雑なプロセスにより行われている。また、このようにして得られる強塩基性陰イオン交換樹脂は、基材が架橋構造を有しているため、疎水性マトリックス樹脂内への陰イオン種の拡散速度が遅く、その吸着速度の改善が望まれている。
【0004】
一方、放射線グラフト法が、化学引発剤を使用せず、所与の高分子基材に任意の反応性モノマーをグラフト鎖として導入する方法であり、表面のみならず内部にも反応性モノマーをグラフトすることにより、高分子機材の特性を損なうことなく、官能基を付与できる方法として知られている。このため、放射線グラフト法により、高分子基材にイオン交換官能基を導入してイオン交換樹脂、特に陰イオン交換樹脂を製造する方法が報告されている(例えば、特許文献1、2、非特許文献1参照)。
【0005】
上記文献に記載の方法では、従来の架橋技術では困難であった拡散速度や吸着速度の課題を克服できる、自由度の高い、被吸着陰イオン成分を包み込み易い構造を有するイオン交換体を合成することができる。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1、2及び非特許文献1に記載の方法では、クロロメチルスチレン等のハロゲン化アルキル基がベンゼン環に置換されたスチレン系化合物モノマーを、活性化した高分子基材にグラフトさせた後に、トリメチルアミン等の3級アミンを反応させて4級アンモニウム化を行い、強塩基性陰イオン交換樹脂を得る。このため、上記方法では、反応が2段となり、また、各反応工程後に不純物を除去する精製工程等を行う必要があるため、製造コストが高くなってしまう。また、クロロメチルスチレンが、強い刺激性で、催涙性を有し、更には、4級アンモニウム化工程では、法定悪臭物質であるトリメチルアミンを使用するため、作業環境が悪い。
【0007】
これに対して、4級アンモニウム基を有するモノマーを一段階でグラフト重合させる方法が報告されている(例えば、特許文献3,4、非特許文献2,3参照)。
【特許文献1】特開2005−344263号公報(2005年12月15日公開)
【特許文献2】特開2002−346400号公報(2002年12月3日公開)
【特許文献3】特開2002−88132号公報(2002年3月27日公開)
【特許文献4】特開平6−49236号公報(1994年2月22日公開)
【非特許文献1】岡本次郎、「放射線グラフトによる繊維状吸着材の開発」(1989)、化学経済 1月号、p88
【非特許文献2】S. Tsuneda, et al., "Novel ion-exchange membranes for electodialysis prepared by radiation-induced graft polymerization", 1995, J. Electrochem. Soc., Vol.142, P3659-3663(Elsevier Science)
【非特許文献3】V. Kumar, et al., "Radiation-induced grafting of vinylbenzyltrimethylammonium chloride(VBT) onto cotton fabric and study of itanti-bacterial activation", 2005, Radiation physics and Chemistry, Vol.73, P175-182(Elsevier Science)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、一段階でグラフト重合させる上記従来の方法では、十分なイオン交換量を有し、イオン種の吸着速度が速い陰イオン交換体を製造することが困難であるという問題を生じる。
【0009】
具体的には、上記非特許文献2及び特許文献4に記載の方法では、4級アンモニウム基を有するモノマーを単独でグラフトさせることができないため、得られるイオン交換体のイオン交換量は低くなる。その結果、強塩基性イオン交換体が得られない。
【0010】
また、上記特許文献3に記載の方法では、基材とモノマーとの反応性が低いため、モノマー同士が反応したホモポリマーが大量に副生し、所望のイオン交換量を有する陰イオン交換体を得ることが困難である。尚、上記非特許文献2、及び特許文献3、4の方法では、得られる生成物の何れも吸着速度が不十分であった。
【0011】
更には、非特許文献3に記載の方法では、基材にダメージを与えない線量で電離放射線を照射し、コットンセルロース基材と4級アンモニウム塩基含有モノマーとを混合した後に放射線を照射している。しかしながら、当該方法であっても、4級アンモニウム基を高いグラフト率でグラフトさせることができないため、得られるイオン交換体のイオン交換量は低くなる。
【0012】
最も重要なことは、この方法では照射工程と反応工程とを同時に行うため、副生物のホモポリマーが大量に副生し、後の分離精製が困難となる。このため、大量生産の工業用途で用いることが困難である。
【0013】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、十分なイオン交換量を有し、イオン種の吸着速度が速い陰イオン交換体、及びその製造方法を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討を行った。具体的には、本発明者は、4級アンモニウム基を含有するグラフト鎖を高いグラフト率で基材へ導入できない原因は、4級アンモニウム基を含有するモノマーの親水性が基材に比べて高いため、モノマーと基材とが反応し難いことであると考えた。また、上記非特許文献2、及び特許文献3、4の方法で得られる陰イオン交換体の吸着速度が不十分なのは、基材として疎水性のポリオレフィンを用いているためであると考えた。
【0015】
また、非特許文献3に記載の方法では、ホモポリマーが大量に副生し、ラジカルの利用率が低いために、4級アンモニウム基を高いグラフト率でグラフトさせることができないと考えた。
【0016】
そして、上記考えに基づいて検討を行った結果、所定の親水性を有する4級アンモニウム基を含有するモノマーを、放射線を照射した、所定の親水性を有する高分子基材にグラフト重合させることにより、高いグラフト率で4級アンモニウム基を含有するグラフト鎖が導入され、且つ吸着速度が速い陰イオン交換体を簡便に製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0017】
即ち、本発明に係る陰イオン交換体の製造方法は、上記課題を解決するために、少なくとも1つの水酸基を有する繰り返し構造単位を含む高分子基材に電離放射線を照射する工程と、電離放射線を照射した上記高分子基材を、下記一般式(I)
【0018】
【化1】

【0019】
(式中、Rは炭素数1以上20以下のアルキル基であり、Rは炭素数1以上8以下のアルキレン基、又は、
【0020】
【化2】

【0021】
(式中、Rは炭素数1以上8以下のアルキレン基である)
であり、Xはハロゲン原子である)
で表される構造を有するモノマーと接触させることにより、上記高分子基材に4級アンモニウム基を有するグラフト鎖を導入する工程と、を含むことを特徴としている。
【0022】
上記方法によれば、4級アンモニウム基を含有するグラフト鎖を高いグラフト率で導入できるため、得られる陰イオン交換体のイオン交換量が高い。また、高分子基材が親水性であるため、イオンの陰イオン交換体への拡散速度が速く、その結果、吸着速度が速い。このため、十分なイオン交換量を有し、イオン種の吸着速度が速い陰イオン交換体を製造することができるという効果を奏する。
【0023】
更には、上記方法では、親水性の高分子基材を活性化させてラジカルを発生させた後に、4級アンモニウム基を含むモノマーをグラフト重合させるため、発癌性物質や悪臭物質を用いることなく、1段階の反応により、高いグラフト率で陰イオン交換体を製造することができる。よって、低コストで、且つ良好な環境下で、陰イオン交換体を製造することができる。
【0024】
本発明に係る陰イオン交換体の製造方法では、上記モノマーは、下記一般式(II)
【0025】
【化3】

【0026】
(式中、R及びXは一般式(I)と同義であり、Rは炭素数1以上8以下のアルキレン基である)
で表される構造を有する化合物であることが好ましい。
【0027】
本発明に係る陰イオン交換体の製造方法では、上記高分子基材は、セルロース、リグニン、ヘミセルロース、キチン、及びキトサンからなる群から選択される少なくとも1つの高分子化合物を含むことが好ましい。
【0028】
上記方法によれば、高分子基材が天然由来の化合物であるため得られる陰イオン交換体は生分解性に優れる。このため、環境への負荷が小さい陰イオン交換体を製造することができるという更なる効果を奏する。
【0029】
本発明に係る陰イオン交換体の製造方法では、上記高分子基材はエチレン−ビニルアルコールコポリマーを含むことが好ましい。
【0030】
本発明に係る陰イオン交換体の製造方法では、上記高分子基材は、結晶化度が80%以上のセルロースを主成分とする粒子状セルロース系基材であることが好ましい。
【0031】
上記方法によれば、化学的安定性に優れ、優れた機械的強度を有する陰イオン交換体を製造することができる。
【0032】
本発明に係る陰イオン交換体の製造方法では、上記粒子状セルロース系基材は結晶化度が95%以上のセルロースからなることが好ましい。
【0033】
上記方法によれば、化学的安定性により優れ、より優れた機械的強度を有する陰イオン交換体を製造することができる。
【0034】
本発明に係る陰イオン交換体は、上記課題を解決するために、少なくとも1つの水酸基を有する繰り返し構造単位を含む高分子基材に、45%以上200%以下の範囲内のグラフト率で、下記一般式(III)
【0035】
【化4】

【0036】
(式中、Rは炭素数1以上20以下のアルキル基であり、Rは炭素数1以上8以下のアルキレン基、又は、
【0037】
【化5】

【0038】
(式中、Rは炭素数1以上8以下のアルキレン基である)
であり、Xはハロゲン原子である)
で表される構造単位からなるグラフト鎖が導入されていることを特徴としている。
【0039】
上記構成によれば、4級アンモニウム基を含有するグラフト鎖が高いグラフト率で導入されているため、イオン交換量が高い。また、高分子基材が親水性であるため、イオンの陰イオン交換体への拡散速度が速く、その結果、吸着速度が速い。このため、十分なイオン交換量を有し、イオン種の吸着速度が速い陰イオン交換体を提供することができるという効果を奏する。
【0040】
本発明に係る陰イオン交換体では、上記グラフト鎖が、下記一般式(IV)
【0041】
【化6】

【0042】
(式中、R及びXは一般式(III)と同義であり、Rは炭素数1以上8以下のアルキレン基である)
で表される構造単位からなるグラフト鎖であることが好ましい。
【0043】
上記構成によれば、より強塩基性の陰イオン交換体を提供することができるという効果を奏する。
【0044】
本発明に係る陰イオン交換体では、上記高分子基材は、セルロース、リグニン、ヘミセルロース、キチン、及びキトサンからなる群から選択される少なくとも1つの高分子化合物を含むことが好ましい。
【0045】
上記構成によれば、高分子基材が天然由来の化合物であり生分解性に優れるため、環境への負荷が小さい陰イオン交換体を提供することができるという更なる効果を奏する。
【0046】
本発明に係る陰イオン交換体では、上記高分子基材は、エチレン−ビニルアルコールコポリマーを含むことが好ましい。
【0047】
上記構成によれば、基材が親水性であるため、モノマーとの相性が良く反応性が高くなるという効果を奏する。
【発明の効果】
【0048】
本発明に係る陰イオン交換体の製造方法は、少なくとも1つの水酸基を有する繰り返し構造単位を含む高分子基材を活性化させ、ラジカルを発生させる工程と、電離放射線を照射した上記高分子基材を、一般式(I)で表される構造を有するモノマーと接触させることにより、上記高分子基材に4級アンモニウム基を有するグラフト鎖を導入する工程と、を含むことを特徴としている。
【0049】
このため、十分なイオン交換量を有し、イオン種の吸着速度が速い陰イオン交換体を製造することができるという効果を奏する。
【0050】
本発明に係る陰イオン交換体は、以上のように、少なくとも1つの水酸基を有する繰り返し構造単位を含む高分子基材に、20%以上200%以下の範囲内のグラフト率で、一般式(III)で表される構造単位からなるグラフト鎖が導入されていることを特徴としている。
【0051】
このため、十分なイオン交換量を有し、イオン種の吸着速度が速い陰イオン交換体を提供することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
以下、本発明について詳しく説明する。尚、本明細書では、範囲を示す「A〜B」は、A以上B以下であることを意味し、「重量」は「質量」と同義語として扱い、「重量%」は「質量%」と同義語として扱う。また、本明細書で挙げられている各種物性は、特に断りの無い限り後述する実施例に記載の方法により測定した値を意味する。
【0053】
(A)陰イオン交換体
本実施の形態に係る陰イオン交換体は、少なくとも1つの水酸基を有する繰り返し構造単位を含む高分子基材に、45%以上200%以下の範囲内のグラフト率で、一般式(III)で表される構造単位を有するグラフト鎖が導入されている。
【0054】
ここで、グラフト率とは、上記高分子基材に対する、グラフト重合により導入されているモノマーの量(質量百分率)をいい、後述する実施例に記載の方法により算出される値をいう。
【0055】
(a−1)高分子基材
上記高分子基材としては、少なくとも1つの水酸基を有する繰り返し構造単位を含む高分子であれば特には限定されない。
【0056】
上記高分子基材における、少なくとも1つの水酸基を有する上記構造単位の含有割合は、好ましくは5〜100質量%の範囲内であり、より好ましくは50〜100質量%の範囲内であり、更に好ましくは70〜100質量%の範囲内であり、特に好ましくは90〜100質量%の範囲内であり、最も好ましくは100質量%である。
【0057】
上記高分子基材の分子量は特には限定されないが、2万〜20万の範囲内とすることができる。
【0058】
上記高分子基材として具体的には、エチレン−ビニルアルコールコポリマー等の合成高分子化合物や、セルロース、リグニン、ヘミセルロース、キチン、及びキトサン等の多糖類等の天然高分子化合物を主成分として含有する高分子化合物が挙げられる。尚、生分解性に優れ、環境に対する負荷が少ないため、天然高分子化合物を用いることがより好ましい。また、加工を行い易い観点からは、セルロール及びチレン−ビニルアルコールコポリマーが好ましい。
【0059】
上記高分子基材としては、結晶化度が80%以上のセルロースを主成分とするセルロース系基材がより好ましい。ここで、上記セルロース系基材は結晶化度が95%以上のセルロースからなることがより好ましい。高分子基材として、結晶化度が80%以上のセルロースを主成分とするセルロース系基材を用いることにより、化学的安定性を有し、且つ機械的強度に優れたイオン交換体を得ることができる。
【0060】
尚、結晶化度の高いセルロースは、従来、代表的な放射線分解型高分子であり、化学的安定性が高く、反応性が低いと考えられているために放射線グラフト法を適用するとの発想自体がなかった。しかしながら、このような常識に反して、本発明者は、結晶化度の高いセルロースを用い、4級アンモニウム基を含有する反応性モノマーをグラフト重合させることにより、高いグラフト率でグラフト重合させる方法を見出した。
【0061】
上記セルロース系基材は、結晶化度が80%以上のセルロースのみからなるものであることが好ましいが、吸着性能に悪影響を与えない限り他の成分が含まれていてもよい。より具体的には、上記セルロース系基材中に結晶化度が80%以上のセルロースが、90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、更に好ましくは99質量%以上含まれていればよい。また、含まれ得る他の成分は特に限定されるものではないが、例えば、ヘミセルロース、リグニン、スターチ等が挙げられる。
【0062】
上記セルロース系基材の主成分であるセルロースは結晶化度が80%以上のセルロースである。ここで、結晶化度が80%以上のセルロースとは、セルロースにおいて、結晶性部分の質量分率が80%以上のものであればよく、通常の結晶性部分と非結晶性部分とからなるセルロースで結晶化度が80%以上のもの、80%以上が微結晶セルロースからなるセルロース等を含む趣旨である。尚、ここで、微結晶セルロースとは、通常のセルロースの非結晶性部分を取り除いて精製したものであり、結晶化度は100%に近いものである。
【0063】
上記セルロース系基材の主成分であるセルロースは、結晶化度が80%以上のものであればよいが、90%以上のものであることがより好ましく、95%以上のものであることが更に好ましく、99%以上のものであることが特に好ましい。
【0064】
結晶化度が99%以上のセルロース系基材としては、例えば、微結晶セルロース100%の集合体が挙げられる。上記微結晶セルロースとしては、具体的には、例えば、薬剤用等に市販されている微結晶セルロースが挙げられ、例えば、旭化成ケミカルズのセオラス(登録商標)、セルフィア(登録商標)等が挙げられる。
【0065】
また、上記セルロースは多孔質セルロースであってもよい。多孔質セルロースを用いることにより、得られるイオン交換体は、細孔内にもイオン交換基が導入されており、また、吸着対象が細孔内を流れることができる。それゆえ、吸着性能により優れたイオン交換体を得ることができる。
【0066】
上記高分子基材の形態としては特には限定されず、例えば、粒子、繊維、糸、フィルム、中空糸膜、織布、不織布のような形状とすることができる。但し、従来のイオン交換球用の吸着塔、再生設備等をそのまま使用することができる観点から、粒子状であることがより好ましい。
【0067】
高分子基材が粒子状である場合、その形状については特に限定されず、例えば、球形、楕円形、不定径破砕形状等とすることができる。これらの中でも、機械的強度の観点から、球形であることがより好ましい。
【0068】
また、上記粒子の平均粒子径は、例えば、乾燥状態で、30〜800μmとすることができ、50〜500μmであることがより好ましく、100〜300μmであることが更に好ましい。
【0069】
尚、本明細書において、他に特に規定する場合を除き、平均粒子径とは以下の方法で決定された値をいう。まず、試料となる粒子の集合の数箇所から試料を採取する。それぞれの試料について、電子顕微鏡による観察を行い、数箇所から採取した試料全体で、合計100個以上の粒子に対して、それぞれ、対象となる粒子1つの長軸径、すなわち、粒子の形状の最も寸法の大きい方向の寸法を計測する。計測した100個以上の値のうち、上下各20%を除いた、60%の計測値の平均を本明細書における平均粒子径とする。
【0070】
(a−2)グラフト鎖
本実施の形態に係る陰イオン交換体は、上記高分子基材に、45%以上200%以下の範囲内のグラフト率で、上記一般式(III)で表される構造単位を有するグラフト鎖が導入されている。
【0071】
上記一般式(III)で表される構造単位におけるRは、メチル基、エチル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。上記一般式(III)の構造単位におけるRは、エチレン基、ブチレン基であることが好ましく、ブチレン基であることがより好ましい。上記一般式(I)の構造単位におけるXはハロゲン原子であれば特には限定されず、例えば、F、Cl、Br、I等が挙げられる。
【0072】
上記一般式(III)で表される構造単位は、具体的には、上記一般式(IV)で表される構造単位であることがより好ましい。
【0073】
上記高分子基材にグラフト重合される全グラフト鎖における、上記一般式(III)で表される構造単位を有するグラフト鎖の割合は、10〜100質量%の範囲内であることが好ましく、50〜100質量%の範囲内であることがより好ましく、70〜100質量%の範囲内であることが更に好ましく、90〜100質量%の範囲内であることが特に好ましい。グラフト鎖における、上記一般式(III)で表される構造単位を有するグラフト鎖の割合は、最も好ましくは100質量%である。つまり、上記グラフト鎖は、上記一般式(III)で表される構造単位からなることが最も好ましい。
【0074】
尚、上記「一般式(III)で表される構造単位からなる」グラフト鎖とは、構成するモノマー単位が、上記一般式(III)で表される構造単位のみからなるグラフト鎖を意味し、具体的には、一般式(I)で表される構造を有するモノマーのみをグラフト重合させることにより得られるグラフト鎖を意味する。よって、例えば、末端に水素原子が置換されている構成のグラフト鎖も、上記「一般式(III)で表される構造単位からなる」グラフト鎖の範囲に含まれる。
【0075】
上記グラフト率は、より好ましくは50〜200%の範囲内であり、更に好ましくは75〜200%の範囲内であり、特に好ましくは100〜200%の範囲内である。
【0076】
(a−3)陰イオン交換体
本実施の形態に係る陰イオン交換体の形状は、上記高分子基材と同様、特に限定されるものではなく、例えば、粒子、繊維、糸、フィルム、中空糸膜、織布、不織布のような形状とすることができる。但し、従来のイオン交換樹脂用の吸着塔、再生設備等をそのまま使用することができる観点から、粒子状であることがより好ましい。
【0077】
陰イオン交換体が粒子状である場合、その形状については特に限定されず、例えば、球形、楕円形、不定径破砕形状等とすることができる。これらの中でも、機械的強度の観点から、球形であることがより好ましい。
【0078】
また、上記陰イオン交換体が粒子状である場合の平均粒子径は、100〜1500μmの範囲内であることが好ましく、100〜800μmの範囲内であることがより好ましく、200〜500μmの範囲内であることが更に好ましい。平均粒子径が上記範囲であることにより、従来の陰イオン交換体の吸着塔、再生設備等をそのまま使用することができる。
【0079】
上記陰イオン交換体を処理対象と接触させる方法は特に限定されるものではないが、例えば、上記処理対象中に上記陰イオン交換体を投入して攪拌し又は振り混ぜる方法、或いは、上記陰イオン交換体を充填したカラム又は吸着塔に上記処理対象を通過させる方法等を用いることができる。
【0080】
(B)陰イオン交換体の製造方法
本実施の形態に係る陰イオン交換体の製造方法は、少なくとも1つの水酸基を有する構造単位を含む高分子基材を活性化させ、ラジカルを発生させる工程(活性化工程)と、ラジカルが発生した上記高分子基材を、一般式(I)の構造を有するモノマー(以下、「4級アンモニウム基含有モノマー」と記す)と接触させることにより、上記高分子基材に4級アンモニウム基を有するグラフト鎖を導入する工程と、を含む。
【0081】
(b−1)活性化工程
上記陰イオン交換体の製造方法では、まず、活性化工程において、上記高分子基材を活性化する。
【0082】
本実施の形態では、上記活性化は、製造プロセスが簡単、安全、且つ、低公害であり、グラフト鎖を粒子状セルロース系基材の表面から内部まで導入することができ、吸着能力により優れた陰イオン交換体得ることができるため、電離放射線を照射することにより行う。
【0083】
上記電離放射線の線量は20〜200kGyの範囲内であることが好ましく、50〜200kGyの範囲内であることがより好ましく、50〜100kGyの範囲内であることが更に好ましい。
【0084】
電離放射線の線量が20kGy以上であることにより、高分子基材に必要なラジカル活性点を生成することができる。また、電離放射線の線量が200kGy以下であることにより、高分子基材に加えられるダメージを抑制することができる。このため、高分子基材の機械的強度が低下し難く、その結果、機械的強度に優れた陰イオン交換体を製造することができる。また、低線量の電離放射線を照射することにより、エネルギーと照射時間とを節約することができるため、製造コストを低減することができる。
【0085】
上記電離放射線としては、α線、β線、γ線、電子線、X線等が挙げられる。中でも、工業的な生産性の観点から、例えばコバルト−60からのγ線、電子線加速器による電子線、X線等をより好適に用いることができる。また、照射時間が短いため、電子線加速器による電子線を用いることがより好ましい。また、電子線加速器による電子線を用いる場合、電子線加速器としては、厚物の照射を行うことができる電子線加速器を用いることがより好ましく、加速電圧1MeV以上の中エネルギーから高エネルギーの電子線加速器を好適に用いることができる。
【0086】
(b−2)グラフト鎖導入工程
グラフト鎖導入工程では、上記活性化工程で活性化された高分子基材を、4級アンモニウム基含有モノマーと溶剤とを含む混合液と接触させて、当該4級アンモニウム基含有モノマーを上記高分子基材にグラフト重合させる。これにより、上記高分子基材にグラフト鎖が導入される。尚、上記グラフト重合では、上記4級アンモニウム基含有モノマー以外のモノマーを共存させても構わないが、得られる陰イオン交換体のイオン交換量を高める観点から、上記4級アンモニウム基含有モノマーのみを用いてグラフト重合を行うことが好ましい。
【0087】
本工程において用いられる、上記一般式(I)で表される構造を有する上記4級アンモニウム基含有モノマーにおける、R、R、R、Xは、上述した一般式(III)と同義である。また、上記4級アンモニウム基含有モノマーは、一般式(II)で表される構造を有するモノマーであることがより好ましい。
【0088】
本工程において用いられる上記混合液に含まれる上記4級アンモニウム基含有モノマーの濃度は、上記混合液全量に対して30質量%より大きく80質量%以下の範囲内であることが好ましく、40〜60質量%であることがより好ましく、45〜55質量%であることが更に好ましい。
【0089】
これにより、高いグラフト率で4級アンモニウム基含有モノマーをグラフト重合することができる。更に活性化された高分子基材と、4級アンモニウム基含有モノマーを含む混合液との接触時間も短縮することができる。また、上記4級アンモニウム基含有モノマーの量が、上記混合液全量に対して80質量%より大きくなると、均一な混合液が調製し難くなり、分散が不均一になったり安定性が悪くなったりする傾向がある。
【0090】
また、上記混合液に含まれる溶剤は水であることが好ましい。ここで用いられる水としては、イオン交換水、純水、超純水等を用いればよい。
【0091】
活性化された高分子基材と4級アンモニウム基含有モノマーを含む混合液との接触時間は特には限定されず、例えば、接触方法として浸漬する方法を用いる場合5分〜24時間で行うことができる。
【0092】
また、反応温度、すなわち、活性化された高分子基材と4級アンモニウム基含有モノマーを含む混合液とを接触させる温度は、接触方法として浸漬する方法を採用する場合、50〜80℃であり、より好ましくは、50〜70℃である。
【0093】
また、活性化された高分子基材と4級アンモニウム基含有モノマーを含む混合液との接触は、窒素ガス、ネオンガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。これにより、ラジカルと酸素との反応を防止することができる。
【0094】
本発明に係る陰イオン交換体の製造方法は、更には以下の特徴を有する。
1.放射線グラフト重合は、基材の形状を比較的自由に選択できるため、用途に適した形状を広い範囲で選択できる。
2.反応に、有機溶媒、刺激性モノマー、悪臭物質であるアミン物質等を用いる必要が無いため、プロセスのコスト及び公害性を低減でき、加えてプロセスの安全性を向上させることができる。
【実施例】
【0095】
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0096】
<グラフト率>
高分子基材に対する、グラフト重合により導入されている4級アンモニウム基含有モノマーの量(質量百分率)は、以下の方法で求めた。
【0097】
グラフト重合後、4級アンモニウム基含有モノマーが導入された高分子基材を、メタノール、アセトン等の有機溶媒に48時間浸漬して未反応の4級アンモニウム基含有モノマー及びホモポリマーを除去した。その後、当該高分子基材を更に水に12時間浸漬した後、水で洗浄し、50℃で24時間乾燥した。この乾燥後の高分子基材の質量(W)と、4級アンモニウム基含有モノマーを導入する前の高分子基材の乾燥質量(W)とからグラフト率を次式により算出した。
【0098】
グラフト率(%)=((W−W)/W)×100
<結晶化度>
セルロースの結晶化度は、広角X線回折(WAXD)により測定した。
【0099】
〔実施例1〕
高分子基材として、結晶化度が99%のセルロース微粒子(旭化成ケミカルズ社製、商品名:セルファー、直径200〜300μm)を、薄いプラスチックバッグの中に入れ、このバッグを窒素で数回置換した後にバッグを封着した。続いて上記基材に、窒素雰囲気中、ドライアイスによる冷却条件下、電子線加速器(NHVコーポレーション製、EPS−800)を用いて、電子線を100kGy照射し、ラジカル活性点を生成させた。
【0100】
照射後の上記基材を、すぐに、予め調製し窒素置換された塩化ビニルベンジルトリメチルアンモニウム(VBTMA)水溶液(30質量%)に浸漬させ、70℃に保持しながら24時間反応させた。その結果、グラフト率は110%であった。
【0101】
〔参考例1〜17〕
電子線の線量及びVBTMAの濃度を表1に記載の値に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、それぞれ反応を行った。結果を実施例1の結果と共に図1に示す。
【0102】
【表1】

【0103】
図1の結果から、塩化ビニルベンジルトリメチルアンモニウムのセルロース基材へのグラフト反応は非常に起こり易いこと、並びにグラフト率が照射線量及びモノマー濃度の増加と共に高くなることが確認できた。よって、グラフト率を、モノマー濃度や照射線量等の条件で制御することが可能であることが確認できた。
【0104】
〔参考例18〜23〕
電子線の線量を20kGyに、反応時間を表2に記載の値に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、それぞれ反応を行った。結果を、参考例7の結果と共に図2に示す。
【0105】
【表2】

【0106】
図2に示すように、塩化ビニルベンジルトリメチルアンモニウムのセルロース基材へのグラフト反応は非常に速く、約2時間で平衡に達することが確認できた。つまり、短時間で、且つ高いグラフト率で陰イオン交換官能基を基材に導入できることが確認できた。
【0107】
〔参考例24〕
高分子基材としてセルロース微粒子を用いる代わりに、ポリ(エチレン−ビニルアルコール)(EVOH)の樹脂ペレットの球状粉砕品(日本合成化学社製、商品名:ソアノール、直径250〜500μm)を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、反応を行った。その結果、グラフト率は35%であった。
【0108】
〔参考例25〜48〕
電子線の線量及びVBTMAの濃度を表3に記載の値に変更したこと以外は参考例24と同様の操作を行い、反応を行った。結果を図3に示す。
【0109】
【表3】

【0110】
図3の結果から、塩化ビニルベンジルトリメチルアンモニウムのEVOH基材へのグラフト反応のグラフト率は、照射線量及びモノマー濃度の増加と共に高くなることが確認できた。よって、グラフト率を、モノマー濃度や照射線量等の条件で制御することが可能であることが確認できた。
【0111】
〔実施例2〕
高分子基材としてセルロース微粒子を用いる代わりに、EVOHフィルム(クラレ社製、商品名:エバール、厚さ25μm)を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、反応を行った。その結果、グラフト率は60%であった。
【0112】
〔比較例1〕
高分子基材としてセルロース微粒子を用いる代わりに、ポリプロピレン微粒子(旭化成社製、直径80〜150μm)を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、反応を行ったが、重合反応は起こらなかった。
【0113】
〔比較例2〕
高分子基材としてセルロース微粒子を用いる代わりに、ポリエチレン微粒子(旭化成社製、商品名:サンファイン、直径80〜150μm)を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、反応を行ったが、重合反応は起こらなかった。
【0114】
〔比較例3〕
高分子基材としてセルロース微粒子を用いる代わりに、ポリプロピレンフィルム(東レ社製、厚さ20μm)を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、反応を行ったが、重合反応は起こらなかった。
【0115】
〔比較例4〕
高分子基材としてセルロース微粒子を用いる代わりに、ポリエチレンフィルム(東レ社製、厚さ30μm)を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、反応を行ったが、重合反応は起こらなかった。
【0116】
以上のように、本発明によれば、従来技術では高いグラフト率を達成することが困難であったワンステップのグラフト反応により、強塩基性陰イオン交換官能基を導入する方法を提供することができる。このワンステップのグラフト反応により、塩化ビニルベンジルトリメチルアンモニウム等の陰イオン交換基を有するモノマーを高いグラフト率で導入することが可能となる。
【0117】
上記方法では、有機溶媒、刺激性モノマー、並びに悪臭物質であるアミン化合物を使用しないため、プロセスのコスト、低公害性、プロセスの安全性において優れる。また、得られる強塩基性イオン交換体は架橋構造を有さないため、自由度が高く、被吸着陰イオン成分を包み込み易い構造を有する。また、グラフト条件の調製により、所望のグラフト率を制御することができる。これにより、得られる強塩基性イオン交換体のイオン交換容量を制御することができ、イオン交換量が高く、吸着速度が速い陰イオン交換体を実現することができる。
【0118】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明の陰イオン交換体は十分なイオン交換量を有し、吸着速度が速いため、水処理に用いられるイオン交換性樹脂等に好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】参考例1〜17の結果を示すグラフである。
【図2】参考例18〜23の結果を示すグラフである。
【図3】参考例24〜48の結果を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの水酸基を有する繰り返し構造単位を含む高分子基材に電離放射線を照射する工程と、
電離放射線を照射した上記高分子基材を、下記一般式(I)
【化1】

(式中、Rは炭素数1以上20以下のアルキル基であり、Rは炭素数1以上8以下のアルキレン基、又は、
【化2】

(式中、Rは炭素数1以上8以下のアルキレン基である)
であり、Xはハロゲン原子である)
で表される構造を有するモノマーと接触させることにより、上記高分子基材に4級アンモニウム基を有するグラフト鎖を導入する工程と、
を含むことを特徴とする陰イオン交換体の製造方法。
【請求項2】
上記モノマーは、下記一般式(II)
【化3】

(式中、R及びXは一般式(I)と同義であり、Rは炭素数1以上8以下のアルキレン基である)
で表される構造を有する化合物であることを特徴とする請求項1に記載の陰イオン交換体の製造方法。
【請求項3】
上記高分子基材は、セルロース、リグニン、ヘミセルロース、キチン、及びキトサンからなる群から選択される少なくとも1つの高分子化合物を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の陰イオン交換体の製造方法。
【請求項4】
上記高分子基材は、エチレン−ビニルアルコールコポリマーを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の陰イオン交換体。
【請求項5】
上記高分子基材は、結晶化度が80%以上のセルロースを主成分とする粒子状セルロース系基材であることを特徴とする請求項3に記載の陰イオン交換体の製造方法。
【請求項6】
上記粒子状セルロース系基材は結晶化度が95%以上のセルロースからなることを特徴とする請求項5に記載の陰イオン交換体の製造方法。
【請求項7】
少なくとも1つの水酸基を有する繰り返し構造単位を含む高分子基材に、45%以上200%以下の範囲内のグラフト率で、下記一般式(III)
【化4】

(式中、Rは炭素数1以上20以下のアルキル基であり、Rは炭素数1以上8以下のアルキレン基、又は、
【化5】

(式中、Rは炭素数1以上8以下のアルキレン基である)
であり、Xはハロゲン原子である)
で表される構造単位からなるグラフト鎖が導入されていることを特徴とする陰イオン交換体。
【請求項8】
上記グラフト鎖が、下記一般式(IV)
【化6】

(式中、R及びXは一般式(III)と同義であり、Rは炭素数1以上8以下のアルキレン基である)
で表される構造単位からなるグラフト鎖であることを特徴とする請求項7に記載の陰イオン交換体。
【請求項9】
上記高分子基材は、セルロース、リグニン、ヘミセルロース、キチン、及びキトサンからなる群から選択される少なくとも1つの高分子化合物を含むことを特徴とする請求項7又は8に記載の陰イオン交換体。
【請求項10】
上記高分子基材は、エチレン−ビニルアルコールコポリマーを含むことを特徴とする請求項7又は8に記載の陰イオン交換体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−1392(P2010−1392A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−161938(P2008−161938)
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【出願人】(503237806)株式会社NHVコーポレーション (37)
【Fターム(参考)】