説明

陰極線管装置

【課題】垂直偏向コイルのL/Rに関して従来の偏向ヨークと互換性を有しながら、水平偏向電力を低減する。
【解決手段】フェライトコア63の円筒部63aを通り管軸に垂直な断面図において、フェライトコアの内周面は、垂直偏向コイル62が巻装されていない領域では管軸を中心とする半径r1の円にほぼ沿っており、垂直偏向コイルが巻装された領域621では半径r1の円に対して管軸から離れる方向に後退した曲線に沿っており、垂直偏向コイルが巻装された領域おいて管軸から垂直偏向コイルまでの距離RVの最大値と最小値のとの差が2
mm以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトロイダル型垂直偏向コイルを備えた偏向ヨークが搭載された陰極線管装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インライン型電子銃を備えたカラー陰極線管に搭載される偏向ヨークとして、サドル型の水平偏向コイルと、水平偏向コイルよりも外側に配置され、フェライトコアに巻線が周回されたトロイダル型の垂直偏向コイルと、水平偏向コイルと垂直偏向コイルとの間に配置された樹脂枠とを備えたサドル−トロイダル型偏向ヨーク(STDY)が知られている。このサドル−トロイダル型偏向ヨークでは、フェライトコアの内径は、一般に、その内側に配される樹脂枠の外径、垂直偏向コイルの内径のばらつき、フェライトコアの焼結加工誤差、及び、磁界調整のために垂直偏向コイルと樹脂枠との間に配される磁性体の厚みなどを考慮して、垂直偏向コイルの内径が最小となる位置でも、垂直偏向コイルの内周面と樹脂枠又は上記磁性体とが当接しないように余裕をもたせて若干大きめに設計されている。このために、フェライトコアと電子ビームとの距離が大きくなり、特に水平偏向効率が低下し、投入する水平偏向電力の低減に改善の余地を残していた。
【0003】
特許文献1には、フェライトコアの内周面に、管軸方向に沿った複数条の溝を形成し、この溝内に垂直偏向コイルの巻線を配置する、いわゆるスロットコアが記載されている。
【0004】
このスロットコアによれば、スロットコアの内周面の溝間の凸条部を電子ビームに接近させることができるので、偏向電力を約20%低減することができる。
【0005】
しかしながら、上記のスロットコアは以下の課題を有している。即ち、スロットコアの形状が複雑であるので加工工数が増大しコストが上昇する。また、スロットコアの肉厚が周方向において大きく変化するので、スロットコアを焼結して製造する際の収縮率が均一にならず、内径の加工誤差が大きくなり、特性のばらつきが増大する。更に、垂直偏向コイルの巻線をスロットコアの内周面に形成された溝内に配置する必要があるので、巻線の配置の自由度がほとんどない。また、溝の総断面積が小さくなるので、抵抗値Rに対するインダクタンスLの比(L/R)が大きくなり、TVセットと組み合わせたときにリニアリティーが悪化する。
【0006】
特許文献2には、管軸に垂直な断面形状が略長方形であるフェライトコア(いわゆる角コア)が記載されている。
【0007】
この角コアによれば、角コアの水平方向軸上及び垂直方向軸上の内径を小さくすることができるので、偏向電力を低減することができる。
【0008】
しかしながら、上記の角コアに用いられる垂直偏向コイルはサドル型である必要があり、トロイダル型の垂直偏向コイルに適用することができない。また、角コアの断面形状を略長方形にすることで、角コアのコストが上昇する。
【特許文献1】特開平1−157037号公報
【特許文献2】特開2000−113832号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記従来の課題を解決し、サドル型の水平偏向コイルとトロイダル型の垂直偏
向コイルとを備えたサドル−トロイダル型偏向ヨークであって、垂直偏向コイルの巻線配置の自由度が確保され、垂直偏向コイルのL/Rに関して従来の偏向ヨークと互換性を有し、焼結時の変形が少なく且つコスト上昇が抑えられたフェライトコアを備え、水平偏向電力の低減が可能な偏向ヨークを備えた陰極線管装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の陰極線管装置は、内面に略矩形状の蛍光体スクリーンが形成されたパネルと、前記パネルに接合されたファンネルと、前記ファンネルのネック部内に収納され、電子ビームを放出する電子銃と、前記蛍光体スクリーンに対向し、前記電子ビームが通過する多数の開口が形成されたシャドウマスクと、前記ファンネルの外周面上に搭載された偏向ヨークと、前記ファンネルのネック部の外周面上に搭載され、前記蛍光体スクリーンの中央での色純度と色ずれを調整するCPUとを備える。
【0011】
前記偏向ヨークは、略漏斗形状を有するフェライトコアと、前記電子ビームを水平方向に偏向するサドル型の水平偏向コイルと、前記電子ビームを垂直方向に偏向する、前記フェライトコアに巻装されたトロイダル型の垂直偏向コイルと、管軸方向には前記フェライトコアの小径側端近傍に位置し、前記ファンネルを垂直軸方向に挟むように前記フェライトコアに対して前記ファンネル側に配された一対の磁性体とを備える。
【0012】
前記フェライトコアは、その小径側端近傍に、その外周面が略円筒面である円筒部を有する。
【0013】
前記円筒部を通り管軸に垂直な断面図において、前記フェライトコアの内周面は、前記垂直偏向コイルが巻装されていない領域では管軸を中心とする半径r1の円にほぼ沿っており、前記垂直偏向コイルが巻装された領域では前記半径r1の円に対して管軸から離れる方向に後退した曲線に沿っており、前記垂直偏向コイルが巻装された領域おいて前記管軸から前記垂直偏向コイルまでの距離の最大値と最小値のとの差が2mm以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、垂直偏向コイルのL/Rに関して従来の偏向ヨークと互換性を有しながら、フェライトコアを電子ビームに接近させることができるので、水平偏向電力を低減することができる。また、トロイダル型垂直偏向コイルの巻線配置の自由度も阻害されない。更に、フェライトコアの焼結時の変形が少なく、フェライトコアのコストが上昇することもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を図を参照して詳しく説明する。
【0016】
図1は本発明の一実施形態にかかる陰極線管装置1の概略構成図である。以下の説明の便宜のために、管軸をZ軸、水平方向(蛍光体スクリーンの長辺方向)軸をX軸、垂直方向(蛍光体スクリーンの短辺方向)軸をY軸とする。X軸とY軸とはZ軸上にて交差する。図1では、Z軸より上側に断面図を、下側に外観図をそれぞれ示している。
【0017】
陰極線管は、略矩形状のパネル2及び略漏斗形状のファンネル3とからなる外囲器と、ファンネル3のネック部3a内に設けられたインライン型の電子銃4とを備える。陰極線管装置1は、この陰極線管と、ファンネル3の外周面に装着された偏向ヨーク6及びCPU(Convergence and Purity Unit)10とを備える。パネル2の内面には、青(B)、
緑(G)、赤(R)の各蛍光体ドット(又は蛍光体ストライプ)が配列されてなる略矩形状の蛍光体スクリーン2aが形成されている。蛍光体スクリーン2aが形成されたパネル
2の領域の内面は所定の曲面に形成されており、その外面はほぼ平坦面又は所定の曲率を有する曲面である。色選別用のシャドウマスク5が、蛍光体スクリーン2aに対向して、パネル2の内壁面に保持機構(図示せず)を介して取り付けられている。シャドウマスク5は、電子ビーム通過孔である略スロット形の開孔(電子ビーム通過孔)がエッチングにより多数形成された金属板からなる。電子銃4は、中央電子ビームとこの両側の一対のサイド電子ビームとからなる、X軸と平行な一直線上に並んだ3本の電子ビーム7(3本の電子ビームはX軸と平行な一直線上に配列されるため、図では手前の1本の電子ビームのみが示されている。)を蛍光体スクリーン2aに向かって出射する。電子銃4から出射された3本の電子ビーム7はシャドウマスク5に形成された開孔を通過して所定の蛍光体に射突する。
【0018】
偏向ヨーク6は、電子銃4から出射される3本の電子ビーム7を水平方向及び垂直方向に偏向し、蛍光体スクリーン2a上を走査させる。偏向ヨーク6は、サドル型の水平偏向コイル61とトロイダル型の垂直偏向コイル62とフェライトコア(以下、単に「コア」という)63とを備えている。コア63は全体として略漏斗形状を有し、その小径側端近傍に、外周面が実質的に円筒面である円筒部63aを有する。水平偏向コイル61と垂直偏向コイル62との間には、樹脂製の樹脂枠64が設けられている。樹脂枠64は、水平偏向コイル61と垂直偏向コイル62との間の電気的な絶縁状態を維持する役割を果たしている。樹脂枠64の外周面(コア63側の面)には、偏向磁界(特に垂直偏向磁界)の分布を調整してコンバーゼンスを最適化するための一対の磁性体69が設けられている。一対の磁性体69は、ファンネル3をY軸方向に挟むようにYZ面と交差して配置され、Z軸方向にはコア63の円筒部63aと重複する位置に配置されている。
【0019】
ネック部3aの外周面上には、画面(即ち、蛍光体スクリーン2a)中央における色純度(ピュリティ)及び色ずれ(コンバーゼンス)を調整するためのCPU10が搭載されている。CPU10は、2極マグネットリング11、4極マグネットリング12、及び6極マグネットリング13よりなる。2極、4極、6極の各マグネットリング11,12,13は、いずれも円環状の2枚の磁石を重ね合わせて構成されている。
【0020】
最初に、従来の偏向ヨークの構成及びその問題点を説明する。図2は、従来の陰極線管装置の偏向ヨークの、コア630の円筒部63aを通り管軸(Z軸)に垂直な面に沿った断面図である。図2では、水平偏向コイル61の図示を省略している。
【0021】
図示したように、コア630の内周面の断面形状は、Z軸を中心とする半径r10の円形である。コア630の内半径r10は、一般に、樹脂枠64の外径、垂直偏向コイル62の、コア630に対してZ軸側に配された部分の厚み、コア630の焼結加工誤差、及び、磁性体69の厚みなどを考慮して決定される。
【0022】
このコア630上に、トロイダル型の垂直偏向コイル62が巻装される。図示したように、垂直偏向コイル62は、X軸及びY軸で分割された4つの象限のそれぞれの所定の領域内に巻装されている。以下、垂直偏向コイル62が巻装された領域を巻線領域621と呼ぶことにする。垂直偏向コイル62の、コア630に対してZ軸側に配された部分の半径方向の厚み(即ち、Z軸を中心とする単位角度あたりの垂直偏向コイル62の巻線密度)は、3電子ビームのコンバーゼンスや画像歪みを最適にするために、コア630の周方向において一定ではなく、通常は巻線領域621のほぼ中央部において最大となり、これより両端部に近づくにしたがって小さくなる。即ち、巻線領域621において、Z軸から垂直偏向コイル62までの距離(垂直偏向コイル62の内半径)RVは、コア630の周
方向において、巻線領域621のほぼ中央で最小値RVminをとり、巻線領域621の両端部で最大値RVmaxをとる。一般に、両者の差RVmax−RVminは約3mmである。
【0023】
このように、従来の偏向ヨークでは、内半径r10を有するコア630よりも垂直偏向コイル62がZ軸に向かって突出し、しかも、巻線領域621内において垂直偏向コイル62の内半径RVもコア630の周方向において一定でない。従って、コア630の内半
径r10は、巻線領域621上の垂直偏向コイル62と樹脂枠64又は磁性体69との間の距離が最も狭くなる部分において、両者が当接しないように設定される。この結果、巻線領域621以外の領域(即ち、X軸上及びX軸近傍領域とY軸上及びY軸近傍領域、以下、「非巻線領域」という)では、コア630と樹脂枠64とが必要以上に大きく離間してしまう。これが偏向電力の低減の観点からは改善の余地を残していた。
【0024】
次に、本発明の一実施形態の偏向ヨークについて説明する。図3は、コア63の円筒部63aを通りZ軸に垂直な面に沿った、コア63の断面図である。図3では、Y軸に対して左側にのみ垂直偏向コイル62を併せて描いている。コア63及び垂直偏向コイル62の断面形状は、X軸及びY軸に対してそれぞれ対称である。
【0025】
本実施形態では、コア63の内周面の形状が図2に示した従来の偏向ヨークと異なる。即ち、図3に示すようにZ軸に垂直な断面図において、コア63の内周面は、垂直偏向コイル62が巻装されていない非巻線領域ではZ軸を中心とする半径r1の円にほぼ沿っており、巻線領域621では、半径r1の円に対してZ軸から離れる方向に僅かに後退した緩やかな曲線に沿っている。非巻線領域の半径r1の円弧と、巻線領域621の曲線とは、滑らかに接続されている。
【0026】
巻線領域621においてコア63の内周面がなす曲線は、この巻線領域621に巻装される垂直偏向コイル62の、コア63に対してZ軸側に配された部分の半径方向の厚み(即ち、Z軸を中心とする単位角度あたりの垂直偏向コイル62の巻線密度)の分布や、巻線領域621に巻装される垂直偏向コイル62と樹脂枠64又は磁性体69との距離を考慮して決定することができる。例えば、Z軸から垂直偏向コイル62までの距離(垂直偏向コイル62の内半径)RVを、巻線領域621内においてほぼ一定にすることが好まし
い。具体的には、垂直偏向コイル62の内半径RVの最小値RVminと最大値RVmaxとの差
RVmax−RVminを2mmにすることが可能である。
【0027】
上記のように、コア63の内周面を、非巻線領域ではZ軸を中心とする半径r1の円にほぼ沿って形成し、巻線領域621では非巻線領域のこの円よりもZ軸から後退した曲線に沿って形成することにより、垂直偏向コイル62と樹脂枠64又は磁性体69との間の距離に余裕が生じる。この余裕の距離だけ、非巻線領域の内半径r1を従来のコア630の内半径r10よりも小さく(即ちr1<r10)することができる。これにより、非巻線領域でのコア63とファンネル3(又は電子ビーム7)との間の距離を、従来の偏向ヨークよりも短くすることができる。その結果、偏向電力を低減することが可能となる。
【0028】
本実施形態では、前記断面図において、コア63の内周面は、巻線領域621において半径r1の円に対してZ軸から離れる方向に僅かに後退しているものの、全体としてみれば半径r1の円にほぼ沿っているので、その肉厚は周方向にほとんど変化しない。従って、焼結時の収縮率はほぼ均一となり、製造誤差を図2に示した従来のコアとほぼ同程度に小さく抑えることができる。
【0029】
また、本実施形態のコア63の製造において、図2に示した従来のコアに比べて追加の又は異なる工程は必要なく、コストが上昇することはない。
【0030】
さらに、コア63の巻線領域621内の内周面は滑らかな曲面であるので、垂直偏向コイル62の巻線配置を自由に変更することが可能である。
【0031】
図3に示すように、巻線領域621は、Z軸に対して、X軸からθ1〜θ2の範囲内に存在する。ここで、θ1は30度以上、θ2は80度以下であることが好ましい。巻線領域621がこの範囲を超えると、半径r1の円に沿った非巻線領域が狭くなるので、コア63の焼結時に発生する製造誤差が大きくなるなどの問題が生じることがある。
【0032】
本発明では、コア63は、図3に示した断面図を、コア63の円筒部63aを通過する少なくとも一つの断面において有していれば良く、円筒部63aのZ軸方向における全領域内の全ての断面において有している必要はない。
【実施例】
【0033】
画面対角サイズが29インチ、画面アスペクト比が4:3、偏向角が104°、ネック径がφ29.1mmのインライン型カラー陰極線管装置に用いられる偏向ヨークについての実施例を以下に示す。
【0034】
本実施例に係るカラー陰極線管装置の概略構成は図1に示した通りであり、コア63の概略構成は図3に示した通りとした。
【0035】
従来例として、図2に示すコア630を用いる以外は実施例と同様にしてインライン型カラー陰極線管装置を作成した。
【0036】
従来例のコア630の内半径r10は25mmとし、Z軸に対してX軸から30度〜80度の範囲である巻線領域621に垂直偏向コイル62をトロイダル型に巻装した。垂直偏向コイル62の内半径の最小値RVminは22mmであった。小径側の円筒部63aの外周面は直径66mmの円筒面とした。
【0037】
これに対して、実施例のコア63の非巻線領域の内半径r1は23mmとし、従来例と同様に、Z軸に対してX軸から30度〜80度の範囲である巻線領域621に垂直偏向コイル62をトロイダル型に巻装した。垂直偏向コイル62のコア63に対してZ軸側に配された部分の半径方向の厚みは、Z軸に対してX軸から59度の位置で最大である。そこで、この位置でコア63の内半径が最大となるように、巻線領域621の内周面を、(x,y)=(±5.8mm,±6.9mm)の点Pを中心とし、半径r3が16mmの円弧に沿って形成した(図3参照)。この結果、垂直偏向コイル62の内半径RVはコア63
の周方向においてほぼ一定で22mmであった。Z軸方向において、半径r3の内周面は、コア63の小径側端から磁性体69の蛍光体スクリーン2a側端までの範囲よりも広い範囲にわたって形成した。小径側の円筒部63aの外周面は直径66mmの円筒面とした。
【0038】
実施例及び従来例の偏向ヨークの、抵抗値Rに対するインダクタンスLの比(L/R)を測定した。実施例では、垂直偏向コイル62の巻線の線径や巻数を従来例に対して変更する必要が無いため、L/Rは、実施例及び従来例とも1.6で同じであった。
【0039】
また、実施例及び従来例の水平偏向電力を測定した。コアの非巻線領域の内半径を、実施例では従来例に比べて2mm小さくすることができたので、実施例の水平偏向電力は従来例の水平偏向電力に比べて約10%低減することができた。
【0040】
上記の実施形態及び実施例は一例に過ぎず、本発明はこれらに限定されず、適宜変更して実施することができる。
【0041】
例えば、陰極線管のサイズによって垂直偏向コイル62の巻線領域621の位置や、垂直偏向コイル62のコア63に対してZ軸側に配された部分の半径方向の厚みは変化する
。従って、これらの変化に応じて巻線領域621の内周面の半径r3やその中心Pの位置を変えることが好ましい。また、巻線領域621の内周面は半径r3の円弧に沿っている必要はなく、円弧以外の曲線、例えば楕円の一部に沿っていても良い。巻線領域621の内周面の形状は、この巻線領域621に巻装される垂直偏向コイル62の内半径RVの最
小値RVminと最大値RVmaxとの差RVmax−RVminが2mm以下になるように設定されていればよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、トロイダル型垂直偏向コイルのL/R特性に関して従来の偏向ヨークと互換性を保ちながら、水平偏向電力を低減することが出来る偏向ヨークを装備した陰極線管装置として広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る陰極線管装置の概略構成を示した半断面図である。
【図2】図2は、従来の偏向ヨークの、フェライトコアの円筒部を通り管軸に垂直な面に沿った断面図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態に係る陰極線管装置において、フェライトコアの円筒部を通り管軸に垂直な面に沿った、フェライトコアの断面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 陰極線管装置
2 パネル
2a 蛍光体スクリーン
3 ファンネル
3a ネック部
4 電子銃
5 シャドウマスク
6 偏向ヨーク
7 電子ビーム
10 CPU
11 2極マグネットリング
12 4極マグネットリング
13 6極マグネットリング
61 水平偏向コイル
62 垂直偏向コイル
621 巻線領域
63,630 フェライトコア(コア)
63a 円筒部
64 樹脂枠
69 磁性体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面に略矩形状の蛍光体スクリーンが形成されたパネルと、前記パネルに接合されたファンネルと、前記ファンネルのネック部内に収納され、電子ビームを放出する電子銃と、前記蛍光体スクリーンに対向し、前記電子ビームが通過する多数の開口が形成されたシャドウマスクと、前記ファンネルの外周面上に搭載された偏向ヨークと、前記ファンネルのネック部の外周面上に搭載され、前記蛍光体スクリーンの中央での色純度と色ずれを調整するCPUとを備えた陰極線管装置であって、
前記偏向ヨークは、略漏斗形状を有するフェライトコアと、前記電子ビームを水平方向に偏向するサドル型の水平偏向コイルと、前記電子ビームを垂直方向に偏向する、前記フェライトコアに巻装されたトロイダル型の垂直偏向コイルと、管軸方向には前記フェライトコアの小径側端近傍に位置し、前記ファンネルを垂直軸方向に挟むように前記フェライトコアに対して前記ファンネル側に配された一対の磁性体とを備え、
前記フェライトコアは、その小径側端近傍に、その外周面が略円筒面である円筒部を有し、
前記円筒部を通り管軸に垂直な断面図において、前記フェライトコアの内周面は、前記垂直偏向コイルが巻装されていない領域では管軸を中心とする半径r1の円にほぼ沿っており、前記垂直偏向コイルが巻装された領域では前記半径r1の円に対して管軸から離れる方向に後退した曲線に沿っており、前記垂直偏向コイルが巻装された領域おいて前記管軸から前記垂直偏向コイルまでの距離の最大値と最小値のとの差が2mm以下であることを特徴とする陰極線管装置。
【請求項2】
前記断面図において、前記垂直偏向コイルが巻装された領域は、管軸に対して水平方向軸から30度以上80度以下の範囲内にある請求項1に記載の陰極線管装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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