陳列システムおよび陳列装置
【課題】手前側からの飲料容器の投入を可能としつつ飲料容器に生じる不具合の発生を抑制可能な陳列システム等を提供する。
【解決手段】第3移動機構30Cは、上下方向に移動可能に設けられた移動ユニット100、移動ユニット100の背面側に設けられ移動ユニット100の移動をガイドするガイド110、移動ユニット100を上方へ付勢するコイルスプリング120、下方へ移動する移動ユニット100を予め定められた位置にて停止させる第1停止部材130を備えている。また上方へ移動する移動ユニット100を予め定められた位置にて停止させる第2停止部材140を備えている。また、ガイド110、第1停止部材130、およびコイルスプリング120を支持するとともに、陳列ケースに設けられた棚11の上に設置される設置台150を備えている。
【解決手段】第3移動機構30Cは、上下方向に移動可能に設けられた移動ユニット100、移動ユニット100の背面側に設けられ移動ユニット100の移動をガイドするガイド110、移動ユニット100を上方へ付勢するコイルスプリング120、下方へ移動する移動ユニット100を予め定められた位置にて停止させる第1停止部材130を備えている。また上方へ移動する移動ユニット100を予め定められた位置にて停止させる第2停止部材140を備えている。また、ガイド110、第1停止部材130、およびコイルスプリング120を支持するとともに、陳列ケースに設けられた棚11の上に設置される設置台150を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料容器の陳列を行う陳列システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばコンビニエンスストアなどにおいては、ペットボトルなど飲料が充填された飲料容器が、陳列装置に縦置きに載せられて販売される。そしてこのような陳列装置は、例えば、飲料容器自身の自重により陳列ケースの前方に飲料容器が移動するように傾斜した状態で配置される。そして、手前側(最前列)の1つの飲料容器を抜き取ると、後続の飲料容器が自重で手前側に移動する。
ここで陳列装置の飲料容器が載せられる箇所には、滑りの良さから例えばプラスチックの平板が設けられる。また、近年では回転可能なローラを多数配置した陳列装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、飲料容器の補充は陳列装置の後方側から行うのが一般的であるが、手前側からの飲料容器の投入を可能とするとともに、奥側に移動した飲料容器が、再度手前側に移動し陳列される陳列装置も提案されている(例えば、特許文献2参照)。即ち、前方側から投入された飲料容器がUターンして戻ってくる陳列装置が提案されている。さらに、飲料容器に関するものとして、缶底に形成された環状凸部の内周壁に、内側凹部と縦リブとが円周方向に交互に形成された缶が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平11−155701号公報
【特許文献2】米国特許第6502408号
【特許文献3】特開2000−211624号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで陳列装置では、手前側からの飲料容器の投入を可能とするとともに、奥側にて飲料容器を落下させ、この飲料容器を再度手前側に移動させる構成とすることもできる。コンビニエンスストアなどにおいては、店舗面積等の関係から陳列装置の奥側からの飲料容器の投入が困難な場合が想定される。上記陳列装置では、奥側ではなく手前側からの飲料容器の投入が可能となる。
ところで飲料容器を落下させると、飲料容器に傷が発生したり飲料容器が凹んだりし外観が低下するおそれがある。また落下衝撃が加わることとなり、内部の飲料を変質等させるおそれもある。
本発明の目的は、手前側からの飲料容器の投入を可能としつつ飲料容器に生じる不具合の発生を抑制可能な陳列システム等を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的のもと、本発明が適用される陳列システムは、飲料容器と、飲料容器を陳列する陳列装置と、を備え、陳列装置は、飲料容器が投入される投入部を有し、投入部に投入された飲料容器を一方向に移動させる第1の移動手段と、第1の移動手段により移動してきた飲料容器を支持する支持部を有し、支持部を移動させることで飲料容器を下降させる下降手段と、第1の移動手段の下方に配置され、下降手段により下降してきた飲料容器を投入部が設けられている側に移動させる第2の移動手段と、を備えることを特徴とする陳列システムである。
【0006】
ここで、第1の移動手段は、投入された飲料容器が載置される載置面の傾斜を利用して、飲料容器を一方向に且つ載置面の端部に向けて移動させ、下降手段は、第1の移動手段により移動され載置面から落下した飲料容器を支持部により支持することを特徴とすることができる。また、下降手段の支持部は、第1の移動手段により移動してきた飲料容器を下方から支持する支持面であり、下降手段は、支持面を下降させることで飲料容器を下降させることを特徴とすることができる。さらに、支持面には、支持面に載っている飲料容器を第2の移動手段が配置された側に移動させる傾斜が付与されていることを特徴とすることができる。また、第2の移動手段は、支持面から移動してきた飲料容器を、傾斜面を用いて投入部が設けられている側に移動させ、下降手段は、支持面の傾斜面側の端部と傾斜面の支持面側の端部とが揃うように、下降させた支持面を停止させることを特徴とすることができる。
【0007】
また本発明を陳列装置として捉えた場合、本発明が適用される陳列装置は、飲料容器が投入される投入部を有し、投入部に投入された飲料容器を一方向に移動させる第1の移動手段と、第1の移動手段により移動してきた飲料容器を支持する支持部を有し、支持部を移動させることで飲料容器を下降させる下降手段と、第1の移動手段の下方に配置され、下降手段により下降してきた飲料容器を投入部が設けられている側に移動させる第2の移動手段と、含む陳列装置である。
【0008】
ここで、支持部により飲料容器が支持されている際に第1の移動手段により移動してきた他の飲料容器の支持部への移動を規制する規制手段を更に備えることを特徴とすることができる。また、下降手段は、飲料容器の重みを利用して支持部を移動させることを特徴とすることができる。さらに、飲料容器の外面には標記が付され、標記を投入部が設けられている側に向けるために飲料容器を回転させる回転手段を更に備えることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、手前側からの飲料容器の投入を可能としつつ飲料容器に生じる不具合の発生を抑制可能な陳列システム等を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る陳列装置の概略構成を示した図である。
本実施形態における陳列装置30は、容器20が投入される投入部を前方側に有し、投入された容器20を後方側へ(一方向へ)移動させる第1移動機構30Aを備えている。また、容器20が取り出される取り出し部を前方側に有し、後方側に位置する容器20をこの取り出し部まで(投入部が設けられている側へ)移動させる第2移動機構30Bを備えている。ここで第1移動機構30Aは、第2移動機構30Bの上方に配置されている。また、陳列装置30は、第1移動機構30Aにより後方側へ移動した容器20を、第2移動機構30Bの後方側へ移動させる第3移動機構30Cを備えている。なお、本図では、容器20として、缶体として形成され飲料が内部に充填された飲料容器を例示している。
【0011】
第1の移動手段として機能する第1移動機構30Aは、容器20が載せられる載置部(載置面)31と、容器20の移動経路を形成するとともに容器20の移動を案内するガイド32とを備えている。ここで載置部31は、陳列装置30の前方側(容器20の投入部側)から後方側に向かって下り傾斜した状態で配置されている。
また、第2の移動手段として機能する第2移動機構30Bも、容器20が載せられる載置部(載置面)31と、容器20の移動経路を形成するとともに容器20の移動を案内するガイド32とを備えている。ここで第2移動機構30Bにおける載置部31は、陳列装置30の後方側から前方側(容器20の取り出し部側)に向かって下り傾斜した状態で配置されている。また第2移動機構30Bには、好ましくは透明に形成されるとともに載置部31の一側辺に沿って配置され、移動してきた容器20を停止させる規制板34が設けられている。
【0012】
また本実施形態における陳列装置30では、第1移動機構30Aにおける載置部31と、第2移動機構30Bにおけるガイド32との間に配置され、第1移動機構30Aを下方から支持する支持柱(不図示)が設けられている。
【0013】
図2は、陳列装置30が設置される陳列ケースを示した図である。
陳列装置30は、同図に示すように、コンビニエンスストア、スーパーマーケットなどに設置される陳列ケース10の内部に収納される。この陳列ケース10は、直方体状に形成されたケース本体部10Aと、このケース本体部10Aに対して開閉可能に設けられたドア10Bとにより主要部が構成されている。ここで陳列装置30は、容器20の投入部および取り出し部(図1参照)がドア10B側に位置するように、陳列ケース10に設けられた棚(本図では不図示)の上に設置される。なお、本明細書では、ドア10B側を前方側(前方)と称しドア10Bとは反対側を後方側(後方)と称する場合がある。また、陳列ケース10の幅方向(容器20が移動する方向に直交する方向)を横方向、幅方向と称する場合がある。
【0014】
次いで第3移動機構30Cについて詳細に説明する。
図3は、第3移動機構30Cを説明するための図である。また、図4は、図3のA−A線における断面図である。なお、図3では、第1移動機構30Aにおける載置部31、第2移動機構30Bにおける載置部31も併せて図示している。
【0015】
下降手段の一例としての第3移動機構30Cは、上下方向に移動可能に設けられた移動ユニット100、移動ユニット100の背面側に設けられ移動ユニット100の移動をガイドするガイド110、移動ユニット100を上方へ付勢するコイルスプリング120、下方へ移動する移動ユニット100を予め定められた位置にて停止させる第1停止部材130を備えている。また上方へ移動する移動ユニット100を予め定められた位置にて停止させる第2停止部材140を備えている。また、ガイド110、第1停止部材130、およびコイルスプリング120を支持するとともに、陳列ケース10(図2参照)に設けられた棚11の上に設置される設置台150を備えている。
【0016】
ここで移動ユニット100は、その断面が略矩形状に形成されている。また移動ユニット100は、この移動ユニット100の下部に位置し容器20を下方から支持する底部101を備えている。ここで底部101は、容器20を支持する支持部として捉えることができる。また底部101の上面は、容器20を下方から支持する支持面として捉えることができる。
また、移動ユニット100は、第1移動機構30A側および第2移動機構30B側に配置されるとともに移動ユニット100の上部に位置する前面部102を備えている。また、前面部102が設けられた側とは反対側に位置する背面部103と、移動ユニット100の上部に位置し前面部102と背面部103とを接続する接続部104とを備えている。また移動ユニット100は、前面部102と底部101との間に開口105を有している。
【0017】
なお底部101には、回転可能なロール状部材106が複数設けられており、このロール状部材106は、底部101に載った容器20を第2移動機構30Bに向けて円滑に移動させる(詳細は後述)。また本実施形態では、第1移動機構30Aおよび第2移動機構30Bにおける載置部31にも、ロール状部材106が複数設けられている。
【0018】
ここでガイド110は、移動ユニット100の背面部103側に位置し、この移動ユニット100が上下方向に沿って移動するようにガイドを行う。詳細には、図4に示すように、ガイド110は、背面部103と対向する側に上下方向に沿った第1溝111を有している。また、この第1溝111に接続して設けられ且つ第1溝111と直交する関係で配置され、上下方向に沿った第2溝112を有している。
一方、移動ユニット100は、背面部103から離れる方向に突出した第1突出部103aを備えている。また、移動ユニット100は、この第1突出部103aと直交する関係で配置され、第1突出部103aの端部から突出する第2突出部103bを備えている。
そして本実施形態では、第1突出部103aが第1溝111内に位置し、第2突出部103bが第2溝112内に位置することで、移動ユニット100がガイド110によりガイドされるようになっている。
【0019】
図3を再度参照し説明を続ける。
コイルスプリング120は、移動ユニット100と設置台150との間に設置され、移動ユニット100を上方に向けて付勢する。第1停止部材130は、容器20が載せられることにより下方に移動した移動ユニット100を予め定められた位置に停止させる(詳細は後述)。第2停止部材140は、ガイド110の上部に設置され、コイルスプリング120によって上方へ移動する移動ユニット100を予め定められた位置にて停止させる。なお、本実施形態ではコイルスプリング120を移動ユニット100の下方に配置したが、例えばコイルスプリング120を引っ張りばねとし、移動ユニット100の上方に設けてもよい。
【0020】
ここで図5〜図7を参照しながら、陳列装置30における容器20の動作について説明する。
図5〜図7は、陳列装置30における容器20の動作を示した図である。
本実施形態では、まず第1移動機構30Aに対して容器20が投入される。より具体的には、図1に示した容器20の投入部から容器20が投入される。さらに詳細に説明すると、第1移動機構30Aにおける載置部31の前方側に、容器20が寝かされた状態で載置される。その後、容器20は、載置部31上を、陳列装置30の後方側(載置部31の端部)に向かってスライドしていく。この結果、図5(A)に示すように、第1移動機構30Aの後方側に容器20が到達する。
【0021】
その後、容器20は、図5(B)に示すように、移動ユニット100に設けられた開口105を通じ、移動ユニット100の内部に進入する。ここで、容器20が進入する前、移動ユニット100は、その底部101が、第1移動機構30Aにおける載置部31の後端部よりも下方に位置するように、第2停止部材140によって位置決めされている(同図(A)参照)。このため、容器20は、第1移動機構30Aの載置部31から、移動ユニット100の底部101に向かって落下するとともに、寝た状態から起立した状態となる。また、移動ユニット100内に容器20が入ると、同図(B)に示すように、移動ユニット100は容器20の重みによって下降する。なお、本実施形態では、底部101の上面に傾斜が付与されている。このため、移動ユニット100が下降している際、移動ユニット100内の容器20は、第2移動機構30B側に向かってスライド移動する。
【0022】
その後、図6(A)に示すように、移動ユニット100の下降が第1停止部材130によって停止される。なお、この際、移動ユニット100の底部101の上面(容器20が載置される面)の前端部と、第2移動機構30Bにおける載置部31の上面(傾斜面)の後端部とがほぼ等しい高さとなる。付言すれば、底部101の上面と載置部31の上面とが揃うように、移動ユニット100は停止する。その後、同図(A)に示すように、容器20が、移動ユニット100から第2移動機構30Bの載置部31へと移動する。その後、この容器20は、第2移動機構30Bに設けられた容器20の取り出し部(図1参照)まで移動していく。また、同図(B)に示すように移動ユニット100が上方へ移動し、移動ユニット100が初期位置に戻る。
【0023】
ここで陳列装置30に対する容器20の投入は、一般的に、陳列装置30の後部側から行われるのが一般的である。付言すれば、陳列ケース10(図2参照)の後方側から容器20の投入が行われるのが一般的である。ところで陳列装置30が設置される店舗等によっては、陳列装置30(陳列ケース10)の後方側にスペースを確保できず、後方側からの容器20の投入が困難な場合がある。そこで本実施形態では、上記のように前方側に容器20の投入部を設けるとともに、後方側に移動した容器20を再度前方側へ移動させる構成としている。
【0024】
ここで、本実施形態のように容器20を寝かせた状態で投入する場合、起立した状態で投入する場合に比べ、陳列装置30の高さ方向における寸法を小さいものとすることができる。ところでこの場合、容器20の取り出し部において容器20が寝た状態となってしまう。そこで、本実施形態では、上記のように、第1移動機構30Aの載置部31から容器20を落下させる構成とし、寝た状態の容器20を起立させるようにしている。
また本実施形態では、容器20を第2移動機構30Bへ直接落下させず、この第2移動機構30Bよりも上方に位置している移動ユニット100に落下させている。そして、移動ユニット100の移動によって第2移動機構30Bへ容器20を運んでいる。このような構成の場合、第2移動機構30Bへ直接容器20を落下させる場合に比べ、落下衝撃が小さいものとなる。
【0025】
なお、移動ユニット100の底部101に容器20が載っている状態で、後続する容器20(他の容器20)がこの移動ユニット100に落下してくる場合もある。そしてこのような場合、容器20の詰まりが発生するおそれがある。詳細には、底部101に載っている容器20の移動が、後続する容器20によって阻害されてしまう場合がある。そこで本実施形態では、図7に示すように、移動ユニット100が下降した際に、規制手段の一例としての前面部102を容器20の移動経路上に位置させるようにしている。付言すれば、移動ユニット100が下降した際に前面部102が容器20の移動経路上に突出するように、移動ユニット100を構成している。これにより後続する容器20の移動ユニット100内への進入が規制され、容器20の詰まりなどの発生が抑制される。
【0026】
ところで容器20には、商標名や商品名など他の商品と識別するための識別標記が付されるのが一般的であるが、この識別標記が購入者の取り出し方向に向いていないと、容器20の識別がしにくくなるとともに、容器20の陳列時の見栄えが悪くなる。このため、陳列装置30には、容器20を回転させ容器20に付された識別標記を特定の方向に向ける回転機構を設けることが好ましい。以下、この回転機構について説明していく。なお、以下の説明では、回転機構を第2移動機構30Bに設ける例を説明するが、第1移動機構30Aに設けてもよい。但し第1移動機構30Aに回転機構を設ける場合には、第1移動機構30Aに対して容器20を起立させた状態で投入する必要がある。
【0027】
図8、図9は、第2移動機構30Bの他の一例を示した図である。なお、図8は第2移動機構30Bの斜視図であり、図9は第2移動機構30Bの正面図である。
上記および図8に示すとおり、第2移動機構30Bは、容器20が載せられる載置部31と、容器20の移動経路を形成するとともに容器20の移動を案内するガイド32とを備えている。また、載置部31の一側辺に沿って配置され、容器20の移動を停止させる規制板34を備えている。
【0028】
さらに、第2移動機構30Bは、図9(A)にも示すように、容器20の移動方向に沿って設けられ且つ図中左側のガイド32に取り付けられ、容器20に抗力を付与する抗力付与部35を備えている。ここで、抗力付与部35は、例えばEPDMなどのゴム部材により形成することができる。なお、図9(A)では円柱状の抗力付与部35を示したが、同図(B)に示すように半円状としてもよい。また、同図(C)に示すように、円柱状の抗力付与部35をガイド32に埋め込んでもよい。
【0029】
第2移動機構30Bについてさらに説明する。
図10は、第2移動機構30Bを説明するための図である。
同図(A)に示すように、第2移動機構30Bのガイド32は、容器20の移動経路に沿って配置されている。またガイド32は、容器20の移動経路の両側(両側方)に設けられている。
【0030】
ここで、載置部31上には、上記のとおり、回転可能に設けられた複数のロール状部材106が設けられている。詳細に説明すると、載置部31には、複数のロール状部材106により構成された第1のローラ部61、第2ローラ部62、第3ローラ部63が設けられている。
【0031】
ここで本実施形態では、載置部31に前後方向の傾斜が付与されているために、載置部31に載っている容器20は、基本的に、一方向(前方)に向かって移動しようとする(同図(C)参照)。即ち、容器20は、載置部31の前後方向における傾斜により、前後方向に沿った移動経路に沿って移動しようとする。
【0032】
その一方、同図(B)に示すように、ロール状部材106の回転軸106aと直交する仮想線を想定した場合、第1ローラ部61を構成するロール状部材106の各々は、この仮想線が上記一方向(容器20の移動経路)と交差するように傾斜して配置されている(同図(C)参照)。さらに説明すると、ロール状部材106の各々は、上記仮想線が向かう方向が上記一方向以外の方向(前後方向以外の方向)となるように配置されている。さらに説明を行うと、ロール状部材106の各々は、上記仮想線が上記一方向に対して傾斜して配置されている。より詳細に説明すると、ロール状部材106の各々は、上記仮想線が向かう方向が、抗力付与部35が設けられた側となるように配置されている。
【0033】
このため、載置部31に載っている容器20は、上記一方向へ移動しようとするものの第1ローラ部61により誘導され抗力付与部35へ向かうこととなる(詳細は後述)。
なおロール状部材106の断面(ロール状部材106の回転軸106aと直交する平面における断面)を示した図10(B)を参照してさらに説明すると、ロール状部材106の各々は、ロール状部材106の外周面における接線が左方側のガイド32側を向くように傾斜して配置されている。
【0034】
また、第2ローラ部62を構成するロール状部材106の各々も、上記仮想線が上記一方向と交差するように傾斜して配置されている。なお第2ローラ部62のロール状部材106の仮想線が向かう方向は、前方且つ右方側のガイド32が設けられた側となっている。このため、載置部31に載っている容器20は、上記一方向へ移動しようとするものの第2ローラ部62により誘導され抗力付与部35から離間するようになる(詳細は後述)。
一方、第3ローラ部63を構成するロール状部材106の各々は、上記仮想線が上記一方向に沿うように配置されている。即ち、上記のような傾斜が付与されていない状態で配置されている。
【0035】
また、第2移動機構30Bにおける載置部31には、第1ローラ部61と第2ローラ部62との間に配置され、第1ローラ部61から移動してきた容器20を第2ローラ部62に受け渡す複数の第1受け渡しロール64が設けられている。また、第2ローラ部62と第3ローラ部63との間に配置され、第2ローラ部62から移動してきた容器20を第3ローラ部63に受け渡す第2受け渡しロール65が設けられている。
【0036】
なお図10(A)では、左方側のガイド32のほぼ全長に亘り抗力付与部35が設けられているが、図11(第2移動機構30Bの他の一例を示す図)に示すように、左方側のガイド32の一部に設けるようにしてもよい。また抗力付与部35は、断面が円形状あるいは半円状であるほうが好ましい。容器20が上下に動いたり左右に傾いたりしても、容器20との接触面積を確保できるためである。また、本実施形態における抗力付与部35は、板状のガイド32に取り付けられているが、断面が円形のガイド32に対しビニールテープやEPDM(エチレン−プロピレンゴム)などのゴム部材を巻き付けることで抗力付与部35を形成することもできる。
【0037】
また、上記ではロール状部材106を一例に説明した。即ち円筒状の部材を一例に説明した。ところでこのような円筒状の部材に限られず球状の部材を採用してもよい。また、ロール状部材106はモータなどの駆動源により回転駆動させてもよい。この場合、容器20の誘導などをより確実に行うことができる。
【0038】
次に容器20について詳細に説明する。
容器20は、抗力付与部35に接触する第1接触部および第2接触部(詳細は後述)を有している。そして、この第1接触部と抗力付与部35との間に働く摩擦力が、第2接触部と抗力付与部35との間で働く摩擦力よりも大きくなっている。これにより、容器20が自動的に所定の方向を向く。
【0039】
図12は、容器20を説明するための図である。
なお、同図(A)は容器20を一方側から図示したものであり、同図(B)は、容器20を他方側から図示したものである。また、同図(C)は同図(A)のS部における断面を示し、同図(D)は同図(A)のT部における断面を示している。
【0040】
同図に示す容器20は、いわゆる2ピース缶であり、飲料などの内容物が充填され且つプルタブ(不図示)を有した蓋部材が取り付けられている。
本容器20は、同図(A)および(B)に示すように、外周面に、第1領域R1〜第4領域R4を有している。ここでこれらの領域は、容器20の周方向において、第1領域R1、第2領域R2、第3領域R3、第4領域R4の順に設けられている。なお、第1領域R1の表面状態および第3領域R3の表面状態は同様に構成されている。また、第2領域R2の表面状態および第4領域R4の表面状態は同様に構成されている。このため以下の説明では、第1領域R1および第2領域R2を中心に説明する。さらに本実施形態では、表面における摩擦係数は、第1領域R1(第3領域R3)>第2領域R2(第4領域R4)となっている。
【0041】
ここで同図(C)を参照し第2領域R2の表面状態についてまず説明する。
同図(C)に示すように、第2領域R2には、容器本体50Aの表面にインキ層51Aが設けられている。また、インキ層51Aの表面にクレーター状の凹凸を有したトップコート層(最外層)52Aが設けられている。
【0042】
ここでインキ層51Aに用いるインキには、例えば金属印刷用のものを用いることができる。ここでインキの顔料(色量)としては、各種の有機顔料や無機顔料が用いられる。また、インキのビヒクルは、熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂等の樹脂を主成分としている。ここで熱硬化性樹脂としては、アルキッド型又はポリエステル型の樹脂等が用いられる。また、紫外線硬化性樹脂としては、紫外線ラジカル重合型、紫外線カチオン重合型の樹脂等が用いられる。さらに、インキには添加剤が含有されていても良い。添加剤としては、艶消し剤、ワックス類(天然系、石油系、合成系)、乾燥剤、分散剤、湿潤剤、架橋剤、ゲル化剤、増粘剤、皮張り防止剤、安定剤、消泡剤、光重合開始剤等が用いられる。
【0043】
またインキ層51Aは、いわゆるはじきインキにより形成されている。即ち、インキ層51Aは、このインキ層51Aの表面にトップコート層52Aを形成する塗料が塗られた場合にこの塗料をはじくインキにより形成されている。ここでトップコート層52Aにおける上記凹凸は、トップコート層52Aを形成する塗料がこのインキ層51Aによりはじかれることにより形成されたものである。
【0044】
なおトップコート層52Aを形成する塗料をインキ層51Aによりはじくためには(上記凹凸を形成するためには)、インキ層51Aの形成に用いるインキの表面張力を、トップコート層52Aの形成に用いる塗料の表面張力よりも5mN/m以上低く設定することが望ましい。換言すると、インキの表面張力が塗料の表面張力よりも低く、且つ、インキと塗料との間の表面張力の差が5mN/m以上であることが望ましい。ここでインキの表面張力の低下は、例えば、通常のインキにシリコーンを添加することにより行うことができる。
【0045】
一方、トップコート層52Aに用いる塗料は、熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂等の樹脂を主成分とするものであり、必要に応じてワックス成分を含有している。
熱硬化性樹脂としては、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、フラン−ホルムアルデヒド樹脂、キシレン−ホルムアルデヒド樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、シリコーン樹脂、油性樹脂等が用いられる。
【0046】
さらに、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との組成物を用いても良い。この場合、熱可塑性樹脂としては、塩化ビニル−マレイン酸−酢酸ビニル共重合体、アクリル重合体、飽和ポリエステル樹脂等が用いられる。これらの樹脂は、単独でも2種以上を組み合わせても使用できる。また、これらの樹脂組成物には、必要に応じて、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の公知の酸触媒が添加されていても良い。酸触媒を用いる場合は、酸触媒は樹脂に対して0.5〜1質量%添加するのが望ましい。また、これらの樹脂のうち、特に、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂と飽和ポリエステル樹脂との組成物や、熱硬化性アクリル樹脂とメラミン−ホルムアルデヒド樹脂との組成物を用いることが塗膜性能面で望ましい。
【0047】
一方、紫外線硬化性樹脂としては、例えば、カチオン硬化型樹脂、ラジカル硬化型樹脂等が用いられる。カチオン硬化型樹脂としては、紫外線硬化型エポキシ樹脂と光カチオン重合触媒との組成物等が用いられる。
【0048】
また、トップコート層52Aに用いる塗料において、上記の樹脂に架橋剤や増感剤を必要に応じて添加しても良い。架橋剤としては、種々のポリオール類(例:ε−カプロラクトントリオール)等が用いられる。増感剤としては、チオキサントン誘導体等が用いられる。
さらに、トップコート層52Aに用いる塗料に、滑りを補うために、ワックス成分として天然系、石油系、合成系のワックス剤を単独で又は複合して添加しても良い。
さらに、トップコート層52Aの表面のレベリング剤として、あるいは/更に、塗料状態での安定性を高めるためや初期滑り性をトップコート層52Aに付与するために、各種のシリコーンオイルを添加しても良い。
【0049】
なお、インキ層51Aおよびトップコート層52Aの組成等の一例を挙げると以下のようになる。
[トップコート層52A]
樹脂成分:ポリエステル30%、アクリル13%、アミノ55%、エポキシ2%
ワックス:石油系0.3%、天然系1%、合成系0.2%(樹脂成分に対し)
シリコーンオイル(混合):0.15%(樹脂成分に対し)
表面張力:33mN/m
厚さ:5μm
[インキ層51A](はじきインキ)
主樹脂:アルキッド樹脂
顔料:TiO2
表面張力:28mN/m
厚さ:2μm
【0050】
なお上記は、第2領域R2の形成方法の一例を説明したものであり、例えば特開2002−361172号公報に開示されている技術を用いて第2領域R2を形成してもよい。即ち、トップコート層52Aを形成する塗料をインキ層51Aの表面で斑状に凝集させることで凹凸を形成し第2領域R2を形成してもよい。
【0051】
次いで、同図(D)を参照し第1領域R1の表面状態について説明する。
同図(D)に示すように第1領域R1には、上記と同様、容器本体50Aの表面にインキ層51Aが設けられている。また、インキ層51Aの表面に、上記第2領域R2におけるトップコート層52Aよりも表面が平滑に形成されたトップコート層(最外層)52Aが設けられている。
【0052】
ここで第1領域R1におけるインキ層51Aは、トップコート層52Aを形成する塗料をはじかないインキ(通常インキ)を用いて形成している。付言すれば、インキ層51Aを形成するインキは、表面張力がトップコート層52Aを形成する塗料の表面張力と等しいか又はそれよりも高いインキが用いられている。このため第1領域R1では、トップコート層52Aを形成する塗料がはじかれず、トップコート層52Aの表面は、第2領域R2におけるトップコート層52Aに比べ平滑となる。なお、インキ層51Aを形成するインキの基本的な組成等は上記と同様である。トップコート層52Aを形成する塗料の基本的な組成等は上記と同様である。
【0053】
また本実施形態における容器20は、その外面(外周面)に、商品名、商標名など他の商品と識別するための第1識別標記23a、第2識別標記23b(なお本明細書においては、以下単に「識別標記23」と称する場合がある。)を有している。ここで、第1識別標記23aは第1領域R1に形成され、第2識別標記23bは第3領域R3に形成されている。なお、第1識別標記23aおよび第2識別標記23bは、上記インキ層51Aにより形成されている。また、同図では、第1識別標記23aおよび第2識別標記23bが異なる例を図示しているが、同一の形態としてもよい。
【0054】
次に、第2移動機構30Bにおける容器20の動作について説明する。
図13は、第2移動機構30Bにおける容器20の動作を説明するための図である。なお、本図においては、図を見やすくするため、第1ローラ部61〜第3ローラ部63等の図示を省略している。
【0055】
第3移動機構30Cから移動してきた容器20、即ち載置部31の後方に位置する容器20(符号14A参照)は、第1ローラ部61によって抗力付与部35に誘導される。
その後、容器20は、符号14Bに示すように、抗力付与部35によって案内されながら前方に向かって移動する。そしてこの際、第1領域R1が抗力付与部35に接触する状態にあると、第1領域R1と抗力付与部35との間における滑りが抑制され(第1領域R1に抗力が付与され)、容器20は、時計回りの回転を行いながら前方へ移動する(符号14B参照)。
【0056】
そして符号14Cのように、第2領域R2が抗力付与部35に接触する状態となると、第2領域R2と抗力付与部35との間で滑りが生じ、容器20の回転は停止する。この際、識別標記23(本図では第2識別標記23b)が前方に向く状態にある。付言すると、本実施形態では、第2領域R2と第2識別標記23bは、予め定められた所定の位置関係を有して配置されている。より詳細には、第2領域R2が左方側(一方向)を向いている場合に第2識別標記23bが前方(一方向と交差する方向、一方向と直交する方向)を向くように配置されている。このため、第2領域R2が抗力付与部35に接触した状態となると、第2識別標記23bが前方を向く。
【0057】
その後、容器20は、第2ローラ部62によって、矢印14Dに示すように抗力付与部35から離れるように移動する。これにより容器20は抗力付与部35から離間する。
そして抗力付与部35から離間した容器20は、第3ローラ部63によって更に前方へ移動し、容器20の取り出し部に到達する。この結果、陳列装置30の前方に達した容器20は、第2識別標記23bが前方を向いた状態となる。
【0058】
ここで、第2領域R2が抗力付与部35に接触した場合、第2領域R2と抗力付与部35とは点接触に近い状態で接触する。付言すれば、第2領域R2と抗力付与部35とは接触面積が低下する状態となる。このため、第2領域R2と抗力付与部35との間で上記滑りが生じるものと考えられる。
【0059】
ここで第1領域R1〜第4領域R4の形成方法についてより詳細に説明する。第1領域R1〜第4領域R4は、例えば、2ピース缶である容器20の製造工程に含まれる印刷工程にて形成することができる。より詳細には、印刷工程に設置された印刷機を用いて形成することができる。
【0060】
ここで図14は、容器20に対して印刷を行う印刷機を示した図である。
同図に示す印刷機500は、いわゆるオフセット印刷を行う印刷機である。印刷機500は、ブランケットシリンダ510、図柄に対応した版を有し上記インキ層51Aを形成するインキをブランケットシリンダ510に塗布するインキ塗布装置520、支持ロール530、上記トップコート層52Aを形成する塗料を塗布する塗料塗布装置540を備える。
【0061】
ブランケットシリンダ510は、円盤状に形成されるとともに一方向に回転する。また、ブランケットシリンダ510は、外周面に複数のブランケット(被転写部)511Aを有している。また、ブランケットシリンダ510は、インキ塗布装置520における上記版からブランケット511Aに転写されたインキを、転写部Teにて2ピース缶の基体となる素缶体に対して転写しこの素缶体に上記識別標記23を含む図柄を形成する。
【0062】
インキ塗布装置520は、ブランケットシリンダ510の周方向に沿って色毎に複数設けられている。各インキ塗布装置520は、ブランケットシリンダ510のブランケット511Aに接触する印刷用シリンダ522A、印刷用シリンダ522Aの外周面にインキを供給するインキ供給装置521Aを備えている。ここで印刷用シリンダ522Aは、外周面に上記版を有しインキ供給装置521Aにより供給されたインキをブランケット511Aに転写する。
【0063】
これにより、各ブランケット511Aの表面にインキが載せられる。詳細には、各ブランケット511Aの表面であって印刷用シリンダ522A毎に割り当てられた各領域に、印刷用シリンダ522Aの各々からインキが順次載せられる。この結果、各ブランケット511Aの表面には、図柄に対応したインキ像が形成される。そして、このインキ像は、ブランケットシリンダ510の回転に伴い、転写部Teまで移動し、周方向に回転している素缶体の外周面に転写される。これによって上記インキ層51Aが形成される。
【0064】
支持ロール530は、ブランケットシリンダ510の対向位置に配置されるとともに一方向に回転し、不図示のウォッシャー工程から移動してきた素缶体を上記転写部Teまで搬送する。また支持ロール530は、ウォッシャー工程から移動してきた素缶体を回転させた状態で上記転写部Teまで搬送する。
塗料塗布装置540は、上記インキ像が転写された素缶体(インキ層51Aが形成された素缶体)の外周面に対して塗料を塗布する。これによって上記トップコート層52Aが形成される。
【0065】
ここでこのような印刷機500を用いる場合、上記第2領域R2におけるインキ層51Aを担当する印刷用シリンダ522Aから塗料をはじく機能を有したインキをブランケット511Aに載せることにより、第2領域R2と、この第2領域R2に隣り合う第1領域R1、第3領域R3との間に表面の違いを形成することができる。
【0066】
ところで、容器20の外周面における同色の箇所は、通常、共通の(一つの)印刷用シリンダ522Aからインクが供給される。しかしながら本実施形態では、第1領域R1〜第4領域R4に同色の箇所があったとしても、異なる印刷用シリンダ522Aからインキの供給が行われる。即ち、第1領域R1、第3領域R3における同色の箇所は、一の印刷用シリンダ522Aからインキが供給され、第2領域R2、第4領域R4における同色の箇所は、この一の印刷用シリンダ522Aとは異なる他の印刷用シリンダ522A(はじきインキを供給する印刷用シリンダ522A)からインキが供給される。
【0067】
また、複数色を用いた模様が容器20の全周に渡り広範囲に存在する場合には、通常の印刷に比べ、印刷用シリンダ522Aを多数用意する必要がある。即ち、例えば、第1領域R1、第3領域R3における模様を形成するために、まず複数の印刷用シリンダ522Aを用意する必要がある。そして第2領域R2、第4領域R4における模様を形成するための複数の印刷用シリンダ522Aをさらに用意する必要がある。
【0068】
ここで上記のような印刷用シリンダ522Aの増加を防ぐため、図15(容器20の他の形態を示した図)に示すような形態とすることもできる。なお、同図(A)は容器20の正面図を示し、同図(B)は容器20の背面図を示している。
【0069】
同図に示すように、例えば、第2領域R2および第4領域R4は、容器20の底部側に設けることができる。より詳細には、容器20の周方向に沿い且つ抗力付与部35の幅よりもわずかに大きい幅を有した帯として形成することができる。さらに詳細に説明すれば、第2領域R2および第4領域R4は、容器20の周方向における長さを、容器20の周長の1/4とすることができる。このような形態とする場合、複数色を用いた模様が容器20の全周に渡り存在していても、第2領域R2、第4領域R4を形成するための一つの印刷用シリンダ522Aを追加するだけで済む。付言すれば、上記のように多数の印刷用シリンダ522Aを用意しないで済む。
なお、塗料塗布装置540により塗料が塗布された素缶体は、その後オーブン工程(加熱工程)にて200℃〜220℃で加熱される。
【0070】
なお上記ではいわゆるはじきインキを用いて、第2領域R2に凹凸を形成したが、例えば発泡剤を含有したいわゆる発泡インキを用いてインキ層51Aを形成し、第2領域R2に凹凸を形成してもよい。
また上記では、第2領域R2に凹凸を付与することで摺動抵抗を減じたが、フッ素樹脂などを第2領域R2に貼付したり塗布したりして摺動抵抗を減じてもよい。この場合、テフロン(登録商標)加工が施されたテープなどを貼付するとより簡便である。同様に、フッ素系の樹脂(PTFE、PFA、PVDF等)、これらの樹脂を表層に有するテープ、あるいは、超高分子量ポリエチレンフィルム等の摩擦抵抗の小さいテープ(フィルム)が使用できる。
【0071】
さらに、第2領域R2におけるトップコート層52Aを形成する塗料をいわゆるマット塗料とすることで第2領域R2に凹凸を付与し、摺動抵抗を減じてもよい。なおこの場合は、塗料の塗り分けが必要となる。即ち、第2領域R2に対してはマット塗料を塗布し、第1領域R1に対してはマット塗料ではない塗料を塗布する必要がある。
また、第2領域R2におけるトップコート層52Aの表面に更にマット塗料を塗布することで第2領域R2に凹凸を付与し、この領域における摺動抵抗を減じてもよい。
また、第2領域R2におけるインキ層51Aをはじきインキにより形成するとともに、このインキ層51Aの表面にマット塗料を用いてトップコート層52Aを形成してもよい。
【0072】
ここでマット塗料とは、ガラス、シリカ、樹脂等の光を散乱させる粒子が含有され、通常の塗料よりも光沢度が低下する塗料である。マット塗料には、上記のようにガラス、シリカ、樹脂等の粒子が含まれているため、その表面に凹凸が形成される。このためマット塗料を用いた場合にも、抗力付与部35と第2領域R2との摺動抵抗が小さくなり上記のような滑りを発生させることが可能となる。
【0073】
また例えば、第1領域R1〜第4領域R4におけるトップコート層52Aをマット塗料により形成した後、第1領域R1および第3領域R3に対して、表面を平滑にする塗料(例えば、上記ガラス等が含まれていない塗料)を塗布してもよい。即ち、マット塗料を塗布することで容器20の全周を滑りやすくした後、第1領域R1および第3領域R3に表面を平滑にする塗料を塗布し、第1領域R1および第3領域R3を滑りにくくしてもよい。
また例えば、第1領域R1〜第4領域R4におけるトップコート層52Aをマット塗料により形成した後、このトップコート層52Aよりも摩擦係数の小さな、例えば上記テフロン(登録商標)系のテープやシールなどを第2領域R2および第4領域R4に貼付してもよい。
【0074】
また、上記ではいわゆる2ピース缶を例示したが、3ピース缶であっても上記と同様の機能を付与可能である。
また、フィルム(例えばシュリンクフィルム)が外周面に装着された容器20であっても上記と同様の機能を付与できる。このような容器20としては、外周にフィルムが装着されたペットボトルや金属製缶等があげられる。
なおこのような容器20では、例えば図16(容器20の他の形態を示す図)に示すように、容器20に装着される前のフィルムFに対して上記第1領域R1〜第4領域R4を形成しておき、この第1領域R1〜第4領域R4が形成されたフィルムFを容器20の本体に巻き付け容器20を形成する。
【0075】
フィルムFにおける第1領域R1〜第4領域R4は、第1領域R1〜第4領域R4の全てに対して塗布材料を塗ることで形成することができる。また、第1領域R1および第3領域R3のみに塗布材料を塗り、第2領域R2および第4領域R4はフィルムFによって形成することができる。また同様に、第2領域R2および第4領域R4のみに塗布材料を塗り、第1領域R1および第3領域R3はフィルムFによって形成することができる。
【0076】
なお上記では、第2領域R2および第4領域R4に凹凸を形成するとともに、第1領域R1および第3領域R3における表面を、第2領域R2および第4領域R4における表面よりも平滑にすることで識別標記23を前方に向けた。ところで容器20の回転/非回転には、例えばトップコート層52Aを構成する材料なども影響する。このため、第1領域R1および第3領域R3に凹凸が形成され、第2領域R2および第4領域R4が平滑に形成される場合であっても識別標記23を前方に向けることが可能な場合がある。
【0077】
即ち、本実施形態では、識別標記23が設けられた箇所を平滑にするとともに識別標記23が設けられていない箇所に凹凸を付与した。ところでこのような形態に限られず、フィルムFが存在する面とフィルムFが存在しない面との組み合わせや、粘着性を有する塗料と通常の塗料との組み合わせのように、摩擦係数の異なる少なくとも2つの領域を識別標記23に対応させて形成しておけば識別標記23を前方に向けることが可能となる。
【0078】
さらにペットボトルの外周面に装着された上記フィルムFでは、自販機などにおいて詰まりを発生させないようにするため、印刷面(外面)に、滑性を持たせるための外面塗料が塗られている場合がある。そこで、この種のフィルムFを利用して、上記第2領域R2、第4領域R4に相当する領域を形成することができる。
【0079】
図17は、容器20の他の一形態を示した図である。なお、同図(A)は正面図であり、同図(B)は背面図であり、同図(C)は底面図である。
本図に示す容器20は、いわゆるペットボトルであり、その外周面には滑性を有するフィルムFが装着されている。このフィルムFは、容器20の本体部60の外周面に巻き付くように装着されるとともに、第1識別標記23aの下部に、本体部60の外周面の一部を露出させる第1露出部621を有している。また、第2識別標記23bの下部に、本体部60の外周面の一部を露出させる第2露出部622を備えている。なお、この第1露出部621によって上記第1領域R1に相当する箇所が形成され、第2露出部622によって上記第3領域R3に相当する箇所が形成される。
【0080】
ここで識別標記23が陳列装置30の側方を向いている場合には、例えば第1露出部621が抗力付与部35に接触するようになり、この第1露出部621を通じて容器20に回転力が付与される。この結果、例えば第2識別標記23bが陳列装置30の前方を向くようになる。その一方で、識別標記23が陳列装置30の前方を向いている場合には、抗力付与部35とフィルムFとが接触する状態となり、抗力付与部35とフィルムFとの間で滑りが生じる。このため、容器20は、識別標記23が前方を向いた状態で陳列装置30の前方側まで移動してくる。
【0081】
また、図18(容器20の他の形態を示した図)に示すように、第1領域R1〜第4領域R4が形成されたテープTを容器20に対し周方向に巻き付けることで、第1領域R1〜第4領域R4を容器20に付与することができる。この場合、容器20の塗装状況とは無関係に、第1領域R1〜第4領域R4を容器20に付与することができる。
【0082】
また上記の形態は、容器20に第1領域R1〜第4領域R4を設ける例であったが、図19(容器20等の他の形態を示した図)に示すように、容器20に装着される装着部材800に、第1領域R1〜第4領域R4を設けてよい。この場合、容器20に加工等を行わないでよいため、第1領域R1〜第4領域R4の形成がより簡易になる。
【0083】
なお、装着部材800は、容器20の底部側に装着することが好ましい。上部側に装着する場合に比べ容器20の回転が安定するためである。また、装着部材800は、金属や樹脂により形成することができる。また、装着部材800は、底部の摩擦係数が小さい方が好ましい。また、装着部材800は、底部の形状をドーム状とするなどして載置部31との接触面積を低下させることも好ましい。
【0084】
また、装着部材800における第1領域R1〜第4領域R4は、上記と同様に、塗布材料によって形成することができる。また、シール、テープ等を貼付することによっても形成することができる。さらに、複数の突出部を設けて形成してよい。なお本図は、円筒状に形成された装着部材800の外周面に、ライン状且つ第1領域R1〜4領域R4を有したテープTを貼付した例を示している。
また、容器20と装着部材800との位置ずれを防止するため、容器20の底部と装着部材800の内部とに、容器20と装着部材800とが噛み合う噛み合い部を設けることもできる。また、装着部材800をゴム等の摩擦係数の大きなもので形成した場合、装着後のずれを防止できる。
【0085】
なお、上記では、2つの識別標記23が、容器20の周方向において180度の位置関係で配置された例を説明した。ところで、図20(容器20の他の一例を示した図)の(A)に示すように、2つの識別標記23が180度の位置関係を有さないで設けられる場合もある。このような場合、識別標記23の位置と第1領域R1〜第4領域R4の位置を考慮し、第1領域R1〜第4領域R4の巾を均等にしない状態とすることが好ましい。
【0086】
また同図(B)のように3つの識別標記23(第1識別標記23a〜第3識別標記23c)が存在する場合もある。この場合は、第1識別標記23aが設けられた第1領域R1、第2識別標記23bが設けられた第3領域R3、第3識別標記23cが設けられた第5領域R5を摩擦係数の大きい領域とすることができる。その一方、第1識別標記23a〜第3識別標記23cが設けられていない第2領域R2、第4領域R4、第6領域R6を摩擦係数の小さい領域とすることができる。
【0087】
次に第2移動機構30Bの他の形態について説明する。
図21は、第2移動機構30Bの他の一形態を示した図である。
本図に示す第2移動機構30Bのおいても、載置部31、容器20の移動経路を形成するとともに容器20の移動を案内するガイド32が設けられている。また、載置部31の一側辺に沿って配置され、容器20の移動を停止させる規制板34が設けられている。さらに、容器20を回転させ容器20に付された識別標記23を前方に向ける回転機構50が設けられている。なお本図では、所謂ペットボトルを容器20として例示している。この容器20は、図柄が印刷されたフィルムFが外周面に装着され且つ飲料が内部に充填されている。
【0088】
次に、容器20について説明する。
図22は、容器20を説明するための図である。なお、同図(A)は正面図を示し、同図(B)は同図(A)のA−A線における断面を示している。
【0089】
本実施形態における容器20は、PET(ポリエチレンテレフタレート)などの樹脂材料により形成された容器を例示している。例えば、樹脂材料を用いた射出成形(ブロー成形)法、樹脂材料を用いてプリフォームを成形後、これをブロー成形する方法により製造することができる。
同図(A)に示すように本実施形態における容器20は、上部に開口(飲み口)を有し且つ筒状に形成され内部に飲料が充填された容器本体21と、容器本体21の開口を塞ぐキャップ22とを備えている。また容器本体21の外周面には、上記のとおりフィルムFが装着されている。
【0090】
ここでキャップ22は、その外周面に、キャップ22の高さ方向に沿って形成された凸部、同じく高さ方向に沿って形成された凹部を有している。この凸部および凹部は複数設けられるとともに、キャップ22の周方向において交互に配置されている。
またフィルムFには、同図(A)、(B)に示すように、第1識別標記23a、第2識別標記23bが印刷されている。ここで、第1識別標記23aおよび第2識別標記23bは、同一の形態でもいいし異なる形態とすることもできる。なお第1識別標記23aおよび第2識別標記23bは、容器20の周方向において、位相が180°ずれた状態で配置されている。
【0091】
また容器20は、容器本体21の上部に(キャップ22の下部に)、容器本体21の外周面から容器本体21の径方向に突出した突出部24を備えている。
ここで突出部24は、容器本体21と一体に形成されている。また、突出部24は、同図(B)に示すように、直径D2を有した円の一部が切り欠かれた形状となっている。付言すれば、突出部24は、直径D2を有した円の一部に面削ぎ状の部位が設けられた状態となっている。更に説明すれば、突出部24は、直径D2を有した円の一部に、第1平坦部241が設けられ、他の一部に、第2平坦部242が設けられた状態となっている。
【0092】
ここで、第1平坦部241および第2平坦部242は、互いに平行となる関係で配置されている。また、第1平坦部241と第2平坦部242とは、上記直径D2の大きさよりも小さい距離D1をおいて配置されている。さらに、識別標記23との関係を説明すると、第1平坦部241および第2平坦部242は、第1識別標記23aおよび第2識別標記23bに対し、位相が90°ずれた状態で配置されている。
【0093】
さらに説明すると、第1識別標記23a又は第2識別標記23bが陳列装置30(図1参照)の前方を向いた際における突出部24の幅はD1となる。また、第1識別標記23a又は第2識別標記23bが陳列装置30の幅方向を向いた際における突出部24の幅はD2となる。さらに説明すると、第1識別標記23a又は第2識別標記23bが向いている方向における突出部24の幅はD2となり、第1識別標記23a又は第2識別標記23bが向いている方向と直交する方向における突出部24の幅はD2よりも小さいD1となる。さらに説明すると、第1識別標記23a又は第2識別標記23bが付された側から容器20を眺めた場合に、突出部24は、奥行き方向の寸法がD2となり、幅方向の寸法がこのD2よりも小さいD1となる。
【0094】
次に第2移動機構30Bについてより詳細に説明する。
図23は、第2移動機構30Bの上面図を示している。また、図24は、第2移動機構30Bの正面図および背面図を示している。詳細には、同図(A)は正面図を示し、同図(B)は背面図を示している。
【0095】
この第2移動機構30Bにおいても、図23に示すように、載置部31に、複数のロール状部材106が設けられている。詳細に説明すると、複数のロール状部材106が前後方向に沿って並べられた第1ローラ列312と、同じく複数のロール状部材106が前後方向に沿って並べられた第2ローラ列313とが、載置部31に設けられている。各々のロール状部材106は、容器20の移動経路に沿った回転が可能なように設けられており、容器20を前方へ円滑に移動させる。
【0096】
また、第2移動機構30Bには、上記のとおり、容器20を回転させ容器20に付された識別標記23を前方に向ける回転機構50が設けられている。
ここで回転機構50は、第2移動機構30Bの前後方向に沿って設けられた第1ガイド51と、同じく前後方向に沿って設けられた第2ガイド52とを有している。なお、この第1ガイド51は、図中左方側のガイド32に接続された支持部材53により支持されている。また、第2ガイド52は、図中右方側のガイド32に接続された支持部材54により支持されている。
【0097】
第1ガイド51は、板状の部材により構成され、載置部31の上方に設けられている。また、第1ガイド51は、前方側に第1傾斜部511を有し、後方側に第2傾斜部512を有している。
ここで第1傾斜部511は、図24(A)に示すように、図中左上側の一端部の方が図中右下側の他端部よりも上方に位置するように、且つ、この一端部の方が他端部よりも左側に位置するように傾斜して配置されている。付言すれば、第1傾斜部511は、第2移動機構30Bの載置部31から離れるに従い左方側のガイド32側に接近するように傾斜して配置されている。また第1傾斜部511は、キャップ22の外周面(容器20の側部)が接触する(詳細は後述)接触面511aに、複数の凸部および凹部を有している。
【0098】
なお接触面511aは、図24(A)に示すように、載置部31から離れるに従い容器20の移動経路の側方(図24(A)中左方向)に接近するように傾斜した状態となっている。付言すれば、接触面511aは、容器20の移動経路の側方に向かうに従い載置部31から離れるように傾斜した状態となっている。更に付言すれば、接触面511aは、左方側のガイド32側に傾斜して配置され、斜め上方を向くように配置されている。
【0099】
図23を再度参照し説明を続ける。接触面511aに形成された凸部および凹部は、第2移動機構30Bの前後方向と直交する方向に沿って形成されるとともに、第2移動機構30Bの前後方向において、交互に配置されている。そして本実施形態では、キャップ22の外周面が接触面511aに接触した状態にあると、キャップ22の外周面に形成された凹凸と、接触面511aに形成された凹凸とが噛み合うようになる。この結果、容器20における左方側の移動が抑制され、容器20は周方向の回転を行う(詳細は後述)。
【0100】
第2傾斜部512は、第2移動機構30Bの後方側に向かうに従い、左方側のガイド32に接近するように配置されている。付言すれば第2ガイド52との間に形成される間隙が拡がるように配置されている。なお、第2傾斜部512には、上記凹凸が設けられていないが、この第2傾斜部512にも凹凸を付与することができる。この第2傾斜部512は、第3移動機構30C(図1参照)から移動してきた容器20を第2ガイド52側に誘導する。
【0101】
一方、第2ガイド52は、円柱状の部材により構成され、載置部31の上方に設けられている。また、第2ガイド52は、第1ガイド51との間に間隙を有し且つ第1ガイド51に対向配置されている。この第2ガイド52は、その前方に直線状に形成されたストレート部521を有し、その後方に傾斜部522を有している。
【0102】
傾斜部522は、第2移動機構30Bの後方側に向かうに従い右方側のガイド32に接近するように配置されている。また、傾斜部522は、第2移動機構30Bの後方側に向かうに従い載置部31に接近するように配置されている。付言すれば、第2移動機構30Bの前方に向かうに従い載置部31から離れるように配置されている。また傾斜部522は、その端部(図中上端部)が、移動してきた容器20の突出部24(図22参照)よりも下方に位置するように配置されている。この傾斜部522は、移動してきた容器20を第1ガイド51側に誘導する。また、傾斜部522およびストレート部521は、後述するように容器20に傾斜を付与する。
【0103】
ここで図25を参照して回転機構50について更に詳細に説明する。なお、同図(A)は図23のA−A線における断面図であり、同図(B)は図23のB−B線における断面図であり、同図(C)は図23のC−C線における断面図である。
【0104】
上記のとおり第2ガイド52には、傾斜部522が設けられ、そしてこの傾斜部522は、第2移動機構30Bの後方側に向かうに従い載置部31に接近するように配置されている。即ち、第2移動機構30Bの前方に向かうに従い載置部31から離れるように配置されている。付言すれば、傾斜部522と載置部31との離間距離が第2移動機構30Bの前方に向かうに従い大きくなるように、傾斜部522は配置されている。
【0105】
例えば図25(A)にて載置部31と傾斜部522との離間距離がH1であった場合に、図25(B)では離間距離がH2(>H1)となり、図25(C)では離間距離がH3(>H2>H1)となる。また、第1ガイド51の第2傾斜部512と、第2ガイド52の傾斜部522との水平方向の距離は、陳列装置30の前方側に向かうに従い小さくなっている。例えば図25(A)にて水平方向の距離がW1であった場合に、図25(B)ではW2(<W1)となり、図25(C)ではW3(<W2<W1)となる。
【0106】
本実施形態では、識別標記23が移動経路の側方を向いた状態(前方以外の方向を向いた状態)で、容器20が第3移動機構30C(図1参照)から移動してくると、容器20の右方側が傾斜部522により持ち上げられ、容器20は左方側に傾くようになる。そしてこの傾きによって、容器20のキャップ22が第1ガイド51に接触し、容器20が回転するようになる。そして識別標記23が前方を向くと、キャップ22が第1ガイド51から離間し、容器20は識別標記23が前方を向いた状態で前方に移動していく。
【0107】
図26、図27(容器20の動作を説明するための図)を用いて容器20の動作について詳細に説明する。なお、図26(A)は、図25(A)で示した回転機構50と容器20とを示した図であり、図26(B)は、図25(B)で示した回転機構50と容器20とを示した図であり、また、図26(C)は、図25(C)で示した回転機構50と容器20とを示した図である。
【0108】
図26(A)に示すように、識別標記23が移動経路の側方を向いた状態の容器20が、第1ガイド51の第2傾斜部512と第2ガイド52の傾斜部522との間に達すると、容器20の突出部24の下部に傾斜部522が位置する状態となる。そして本実施形態では、傾斜部522が、上記のとおり載置部31から離れるように傾斜した状態で配置されているために、容器20に傾斜が付与される。
【0109】
詳細には、容器20の前方への移動に伴い突出部24の下部に傾斜部522が接触する。そして、容器20がさらに前方へ移動するのに伴い、突出部24が傾斜部522に持ち上げられるようになる(同図(B)参照)。これにより容器20は、第2傾斜部512(第1ガイド51)側に傾くようになる。そして、容器20は、突出部24が傾斜部522により更に持ち上げられることで更に傾くようになり、同図(C)に示すように、キャップ22の外周面であってキャップ22の上部側が第1傾斜部511(第1ガイド51)の接触面511aに接触する。これによりキャップ22の外周面における凹凸と、第1傾斜部511の接触面511aにおける凹凸との間で噛み合いが生じる。
【0110】
その後、容器20は、図27(A)の矢印6Dに示すように周方向の回転を開始し更に前方へ移動していく。そして同図(B)に示すように識別標記23(第2識別標記23b)が前方を向く状態となると、ストレート部521(第2ガイド52)による突出部24の支持が解除される。付言すれば、識別標記23が前方を向く状態となると、突出部24の第1平坦部241あるいは第2平坦部242(図22(B)参照)が、ストレート部521と対峙するようになり、第2ガイド52による突出部24の支持が解除される。
【0111】
この結果、図27(B)、(C)に示すように、容器20の上部側(キャップ22側)がストレート部521(第2ガイド52)側に移動するようになり、キャップ22と第1傾斜部511(第1ガイド51)とが離間するようになる。これにより、容器20への回転力の付与も解除される。そして、容器20は同図(C)に示す姿勢を維持した状態で前方へスライドしていく。即ち、容器20は、識別標記23が前方を向いた状態を維持したまま第2移動機構30Bの前方まで移動していく。なお、第2ガイド52(ストレート部521)には、フッ素樹脂など摺動抵抗を減じる素材を貼付等しておくことがより好ましい。識別標記23が前方を向いた容器20の第2ガイド52による再回転をより抑制可能となるからである。
【0112】
本実施形態では、図26(A)に示したように、例えば第2識別標記23bが側方を向いた状態で容器20が移動してきたとしても、前方に達する段階において、第2識別標記23bが前方に向くようになる。このため、識別標記23の向きを考慮せずに陳列装置30に容器20を投入しても、陳列装置30の前方側に容器20が達した際に識別標記23が前方を向いた状態となる。即ち本実施形態では、容器20を陳列装置30に投入する投入者が特別な操作をしないでも、識別標記23が前方を向くこととなる。
【0113】
なお、識別標記23が前方を向いた状態で容器20が移動してきた場合には、第2ガイド52の傾斜部522による突出部24の持ち上げが行われない。このため、キャップ22と第1ガイド51との接触も行われず、容器20は識別標記23が前方を向いた姿勢を維持したまま(識別標記23が前方を向いた状態を維持したまま)第2移動機構30Bの前方へ移動していく。
【0114】
なお上記では、2つの識別標記23が180°のずれを有して配置された容器20について説明した。その一方で、容器20には識別標記23が一つのみ設けられる場合がある。また、識別標記23が180°以外のずれを有して配置される場合もある。
【0115】
図28、図29は、容器20の他の一例を示した図である。
例えば図28に示すように、識別標記23が一つのみ設けられる場合には、面削ぎ状(切り欠き状)の部位を一箇所設ける。即ち、第1平坦部241を一箇所設ける。なお、この第1平坦部241は、識別標記23に対し90°のずれを有して配置される。
また例えば図29に示すように、2つの識別標記23(第1識別標記23a、第2識別標記23b)が90°のずれを有して配置される場合がある。このような場合は、第1識別標記23aに対応して第2平坦部242を設け、第2識別標記23bに対応して第1平坦部241を設ける。
【0116】
なお、ペットボトルなどの樹脂製の容器20は、設計の自由度が高いため、円筒状のものに限られず図30に示すような形状とすることもできる。
図30は、容器20の変形例を示した図である。なお同図(A)は容器20の正面図であり、同図(B)は同図(A)のA−A線における断面図である。また、同図(C)は同図(A)のB−B線における断面図である。
同図に示す容器20は、基本形状が角柱(四角柱)状に形成されている。そして、4つある側面のうち、互いに対向する関係の第1側面211および第2側面212に識別標記23が付されている。
【0117】
ここで基本形状が角柱状である場合、容器20の回転が困難となることが想定される。このため本変形例における容器20では、載置部31と接触する箇所(容器20の底部側)を円筒状としている。付言すれば、容器20の底部側における断面の外形形状を円としている。このような形態とすることにより、容器20を円滑に回転させ識別標記23を前方に向けることが可能となる。
【0118】
また、容器20の底部が円筒状以外である場合、図31(容器20等の他の一例を示した図)の(A)に示すように、容器20の底部に外周形状が円形の装着部材70を取り付けてもよい。なお、同図(B)は、底部の形状が三角形の容器20に装着される装着部材70を示し、同図(C)は、底部の形状が四角形の容器20に装着される装着部材70を示し、同図(D)は、底部の形状が六角形の容器20に装着される装着部材70を示し、同図(E)は、底部の形状が楕円の容器20に装着される装着部材70を示している。
【0119】
また、上記実施形態では樹脂製の容器20を例示したが、いわゆる金属ボトル缶に対しても上記と同様の機能を付与することができる。但し、上記突出部24に相当する箇所は、別部材を取り付けることにより形成することが好ましい。また、上記実施形態では、載置部31に複数のロール状部材106を設けたが、ロール状部材106を省略し載置部31を平滑にしてもよい。また上記実施形態では、第1ガイド51の接触面511aに凹凸を付与したが、接触面511aに対してEPDM(エチレン−プロピレンゴム)などのゴム部材を貼付してもよい。
【0120】
また、第1ガイド51および第2ガイド52は、次のような形態とすることもできる。
図32および図33は、第1ガイド51および第2ガイド52の変形例を示した図である。
図23では、第1ガイド51が板状の部材により構成されていたが、図32(A)に示すように、第1ガイド51は、円柱状の部材により構成することができる。なおこの場合も、凹凸が第1ガイド51の表面に形成されている。また、図32(B)に示すように、第2ガイド52の表面に、回転可能に設けられた球状のコロ523を設けることもできる。なお、このようにコロ523を設ける場合、第2ガイド52は、円柱状ではなく、上面が形成されるように断面を矩形とすることが好ましい。
【0121】
さらに、第2ガイド52は、図33に示すような形態とすることもできる。ここで、同図(A)は第2移動機構30Bの上面図である。同図(B)は同図(A)のA−A線における断面図を示している。同図(B)に示すように、第2ガイド52は、円柱状ではなく、断面が半円状となるように形成することもできる。なお、この場合、円弧を有する部分が上部側に位置する。また、第2ガイド52は、同図(C)に示すように、側方からではなく下方から支持することもできる。即ち、第2ガイド52の下部に対して支持部材54を接続することもできる。
【0122】
また、第1ガイド51、第2ガイド52、および容器20には、次のような形態を採用することもできる。
図34は、第1ガイド51、第2ガイド52、および容器20の変形例を示した図である。なお同図(D)は容器20の上面図であり、同図(E)は同図(D)のA−A線における断面図であり、同図(F)は同図(D)のB−B線における断面図である。
【0123】
本形態おける容器20の突出部24は、同図(A)、(C)、(E)に示すように、第1識別標記23aが設けられた側が薄く、第2識別標記23bが設けられた側が厚くなっている。また、識別標記23と90°位相がずれた位置(同図(B)、(F)参照)では、上記薄い箇所の厚みと厚い箇所の厚みの間の厚み(中間の厚み)となっている。付言すれば、突出部24の下面は、容器20の中心軸に対して直交する面と平行とならずこの面に対して傾斜している。
【0124】
また同図(A)に示すように第1ガイド51は、同じ高さ位置に、相対するように2つ設置されている。また、第2ガイド52も、同じ高さ位置に、相対するように2つ設置されている。なお、第2ガイド52は、第1ガイド51よりも下方に位置している。
【0125】
本実施形態では、容器20の識別標記23(第1識別標記23a、第2識別標記23b)が移動方向と直交する方向を向いている場合、同図(A)、(C)に示すように第2ガイド52によって突出部24が下方から支持される。そしてこの場合、突出部24の下面が水平となり、容器20がいずれかの第1ガイド51側に傾く。これにより、キャップ22に対して第1ガイド51が接触するようになる。この結果、容器20は回転しながら移動する。そして、同図(B)に示すように例えば第1識別標記23aが進行方向を向くと、突出部24の左右における厚みが均等となり、容器20の傾きが無くなる。これにより、キャップ22と第1ガイド51との接触が解除され、容器20の回転が停止する。その後、容器20は第1識別標記23aが前方を向いた状態(進行方向を向いた状態)で、移動していく。
【0126】
また第2移動機構30Bは、次のような構成とすることもできる。
図35は、第2移動機構30Bの他の構成例を示した図である。
同図に示す第2移動機構30Bは、上記と同様、載置部31、ガイド32、および規制板34を備えている。また、この第2移動機構30Bは、容器20の移動経路に沿って配置され且つ載置部31の上方に配置され、容器20の移動をガイドする上方ガイド350を備えている。なお、この上方ガイド350は、第2移動機構30Bの後方側から容器20が取り出される前方側に向かって下り傾斜した状態で配置されている。さらに第2移動機構30Bは、この上方ガイド350を支持する支持フレーム(不図示)を備えている。
【0127】
第2移動機構30Bについてさらに詳細に説明する。
図36は、上方ガイド350を説明する図である。ここで同図(A)は、上方ガイド350を前方側から眺めた場合の図であり、同図(B)は、上方ガイド350の上面図である。
上記のように第2移動機構30Bには、載置部31の上方に上方ガイド350が設けられている。ここで、この上方ガイド350は、同図(A)に示すように、左方側に配置された左方側上方ガイド351と、右方側に配置された右方側上方ガイド352とから構成されている。即ち、上方ガイド350は、第2移動機構30Bの幅方向に並列配置された左方側上方ガイド351と右方側上方ガイド352とから構成されている。
【0128】
ここで、左方側上方ガイド351および右方側上方ガイド352は、その断面が矩形状に形成されるとともに、上面が平坦に形成されている。また、左方側上方ガイド351と右方側上方ガイド352とは、間隙Lをおいて配置されている。即ち、左方側上方ガイド351と右方側上方ガイド352は、間隙Lをおいて離間した状態で配置されている。なお、左方側上方ガイド351および右方側上方ガイド352は、上記支持フレーム(不図示)から下方に延びる支持部37にその一端部が固定されている。
【0129】
また同図(A)および同図(B)に示すように、左方側上方ガイド351の上面には、容器20に対して摺動抵抗(摩擦抵抗)を付与する抵抗付与部38が取り付けられている。ここでこの抵抗付与部38は、左方側上方ガイド351の配設方向に沿って(第2移動機構30Bの前後方向)に沿って取り付けられている。なお抵抗付与部38は、例えば、EPDM(エチレン−プロピレンゴム)などのゴム部材により構成することができる。
【0130】
次いで容器20について説明する。
図37は、容器20を説明するための図である。なお、同図(A)は正面図を示し、同図(B)は上面図を示している。
【0131】
同図に示す容器20は、PETなどの樹脂材料を用い射出成形(ブロー成形)により形成された容器を例示している。この容器20は、上記図22で示した容器20と同様に、容器本体21と、容器本体21の開口を塞ぐキャップ22とを備えている。また容器20には、フィルムFが装着されている。
【0132】
ここでフィルムFは、容器本体21の外周面に装着されている。また、フィルムFには、同図(A)、(B)に示すように、第1識別標記23a、第2識別標記23bが印刷されている。ここで、第1識別標記23aおよび第2識別標記23bは、容器20の周方向において、位相が180°ずれた状態で配置されている。また容器20は、図22で示した容器20と同様に突出部24を備えている。
【0133】
ここで突出部24は、容器本体21と一体に形成されている。また突出部24は、上記図22で示した突出部24と同様の形状となっている。即ち、突出部24は、同図(B)に示すように、直径D2を有した円の一部が切り欠かれた形状となっている。付言すれば、突出部24は、直径D2を有した円の一部に面削ぎ状の部位が設けられた状態となっている。更に説明すれば、突出部24は、直径D2を有した円の一部に、第1平坦部241が設けられ、他の一部に、第2平坦部242が設けられた状態となっている。
【0134】
また、第1平坦部241および第2平坦部242は、互いに平行となる関係で配置されている。また、第1平坦部241と第2平坦部242とは、距離D1をおいて配置されている。さらに、識別標記23との関係を説明すると、第1平坦部241および第2平坦部242は、第1識別標記23aおよび第2識別標記23bに対し、位相が90°ずれた状態で配置されている。
【0135】
また、上記間隙L(図36参照)との大小関係を説明すると、直径D2は間隙Lよりも大きくなっている。即ち、直径D2>間隙Lの関係となっている。また、上記距離D1は間隙Lよりも小さくなっている。即ち、距離D1<間隙Lとなっている。
さらに説明すると、第1識別標記23a又は第2識別標記23bが陳列装置30(図1参照)の前方を向いた際における突出部24の幅は、間隙Lよりも小さくなっている。また、第1識別標記23a又は第2識別標記23bが前方以外の方向(例えば陳列装置30の幅方向)を向いた際における突出部24の幅は、間隙Lよりも大きくなっている。
【0136】
さらに説明すると、第1識別標記23a又は第2識別標記23bが向いている方向における突出部24の幅はD2となり、第1識別標記23a又は第2識別標記23bが向いている方向と直交する方向における突出部24の幅はD2よりも小さいD1となっている。
このため本実施形態では、識別標記23が前方以外を向いている際には容器20が上方ガイド350により支持され、識別標記23が前方を向いた場合に容器20が上方ガイド350から落下する(詳細は後述)。なお突出部24のうち直径D2を有する部分は幅広部として捉えることが可能であり、突出部24のうち第1平坦部241が設けられた箇所から第2平坦部242が設けられた箇所にかけては幅狭部として捉えることができる。
【0137】
次に、第2移動機構30Bにおける容器20の動作について説明する。
なお、本形態における第2移動機構30Bでは、第2移動機構30Bの載置部31に対し容器20を浮かせる必要がある。付言すれば、載置部31と容器20とを離れた状態としないと容器20を落下させることができない。そこで本実施形態では、図38(第3移動機構30Cの変形例を示す図)に示すように、第3移動機構30Cにおける第1停止部材130の高さ方向における寸法を大きくしている。これにより、移動ユニット100が下方にて停止した際、載置部31と移動ユニット100の底部101との間に高低差(段差)ができる。この結果、容器20は、第2移動機構30Bへ移動する際、第2移動機構30Bの載置部31から離間した状態となる。
【0138】
図39は、第2移動機構30Bにおける容器20の動作を示した図である。
ここで容器20は、突出部24が上方ガイド350よりも上方に位置する状態で、第3移動機構30Cから移動してくる。この結果、容器20は、上方ガイド350によってつり下げられた状態となる。なお、容器20の重心位置よりも上部にて容器20は上方ガイド350により支持される。このため、容器20の重心位置よりも下部にて容器20が支持される場合に比べ、容器20の回転(後述)が安定する。
【0139】
第2移動機構30Bに容器20が移動してきた際に、例えば図39の符号4Aに示すように、第1識別標記23aおよび第2識別標記23bが第2移動機構30Bの幅方向を向いている場合、突出部24が左方側上方ガイド351および右方側上方ガイド352によって支持される。即ち、突出部24のうち上記直径D2を有した部位が、左方側上方ガイド351および右方側上方ガイド352によって支持される。
【0140】
その後容器20は前方へのスライド移動を開始するが、左方側上方ガイド351には抵抗付与部38が設けられているために、容器20の左方側に対し抗力が付与され、容器20の左側は移動が抑制される。その一方で、容器20の右方側は前方へ移動しようとする。このため容器20は、符号4Aに示すような時計回りの回転(周方向)の行いながら前方へ移動していく。
【0141】
そして符号4Bに示すように、第1平坦部241および第2平坦部242が第2移動機構30Bの幅方向を向く状態となると、突出部24が左方側上方ガイド351および右方側上方ガイド352の間を通過可能となり、容器20は載置部31(図35参照)へ(下方へ)落下する。付言すれば、上方ガイド350から載置部31へ容器20が受け渡される。なお、容器20が落下する際には、例えば第1識別標記23aが前方を向く状態となっている。そして載置部31に落下した容器20は、周方向の回転を行わずに(第1識別標記23aが前方を向いた状態で)第2移動機構30Bの前方まで移動していく。
【0142】
なお、上方ガイド350および容器20等は次のような形態とすることもできる。
図40は、上方ガイド350、容器20等の他の構成例を示した図である。
本例では、左方側上方ガイド351の上部であって左方に、ガイド突出部41aを備えた回転付与部141が設けられている。
【0143】
一方、容器20の突出部24は、同図(C)に示すように、第1識別標記23a、第2識別標記23bと対応する位置に凹凸状の突起341を有している。
また、本実施形態では、上方ガイド350が図35に示した位置よりも下方に位置している。このため、本形態では、図40(A)に示すように、突出部24の下面よりも上方ガイド350が下方に位置し、上方ガイド350の上面と突出部24の下面とが接触しないようになっている。本形態における上方ガイド350は、容器20の左右方向への移動を規制する役割を果たしている。
【0144】
ここで容器20は、載置部31上を移動するが、上方ガイド350が設置された部分を通過するときに、同図(B)に示すように、突出部24の突起341が左方側上方ガイド351側に設けられた回転付与部141のガイド突出部41aに噛み合うようになる。これにより容器20は回転しながら前方へ移動する。そして、突起341とガイド突出部41aとの噛み合いが終了すると、容器20の回転が停止する。そして容器20は回転せずに前方へ移動していく。
【0145】
なお、上記にて説明した形態では、飲料が充填された容器20を一例に説明したが、容器20は飲料を充填したものに限られない。例えば化粧品が充填された容器20や、液体状の石鹸が充填された容器20なども一例として挙げられる。また、内部に被充填物が充填された容器20に限られず、識別標記23が付され商品(物品)であれば上記形態を利用して識別標記23を前方(特定の方向)に向けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1】本実施形態に係る陳列装置の概略構成を示した図である。
【図2】陳列装置が設置される陳列ケースを示した図である。
【図3】第3移動機構を説明するための図である。
【図4】図3のA−A線における断面図である。
【図5】陳列装置における容器の動作を示した図である。
【図6】陳列装置における容器の動作を示した図である。
【図7】陳列装置における容器の動作を示した図である。
【図8】第2移動機構の他の一例を示した図である。
【図9】第2移動機構の他の一例を示した図である。
【図10】第2移動機構を説明するための図である。
【図11】第2移動機構の他の一例を示す図である。
【図12】容器を説明するための図である。
【図13】第2移動機構における容器の動作を説明するための図である。
【図14】容器に対して印刷を行う印刷機を示した図である。
【図15】容器の他の形態を示した図である。
【図16】容器の他の形態を示す図である。
【図17】容器の他の一形態を示した図である。
【図18】容器の他の形態を示した図である。
【図19】容器等の他の形態を示した図である。
【図20】容器の他の一例を示した図である。
【図21】第2移動機構の他の一形態を示した図である。
【図22】容器を説明するための図である。
【図23】第2移動機構の上面図である。
【図24】第2移動機構の正面図および背面図である。
【図25】回転機構について説明するための図である。
【図26】容器の動作を説明するための図である。
【図27】容器の動作を説明するための図である。
【図28】容器の他の一例を示した図である。
【図29】容器の他の一例を示した図である。
【図30】容器の変形例を示した図である。
【図31】容器等の他の一例を示した図である。
【図32】第1ガイドおよび第2ガイドの変形例を示した図である。
【図33】第1ガイドおよび第2ガイドの変形例を示した図である。
【図34】第1ガイド、第2ガイド、および容器の変形例を示した図である。
【図35】第2移動機構の他の構成例を示した図である。
【図36】上方ガイドを説明する図である。
【図37】容器を説明するための図である。
【図38】第3移動機構の変形例を示す図である。
【図39】第2移動機構における容器の動作を示した図である。
【図40】上方ガイド、容器等の他の構成例を示した図である。
【符号の説明】
【0147】
20…容器、23a…第1識別標記、23b…第2識別標記、30…陳列装置、30A…第1移動機構、30B…第2移動機構、30C…第3移動機構、31…載置部、100…移動ユニット、101…底部、102…前面部
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料容器の陳列を行う陳列システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばコンビニエンスストアなどにおいては、ペットボトルなど飲料が充填された飲料容器が、陳列装置に縦置きに載せられて販売される。そしてこのような陳列装置は、例えば、飲料容器自身の自重により陳列ケースの前方に飲料容器が移動するように傾斜した状態で配置される。そして、手前側(最前列)の1つの飲料容器を抜き取ると、後続の飲料容器が自重で手前側に移動する。
ここで陳列装置の飲料容器が載せられる箇所には、滑りの良さから例えばプラスチックの平板が設けられる。また、近年では回転可能なローラを多数配置した陳列装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、飲料容器の補充は陳列装置の後方側から行うのが一般的であるが、手前側からの飲料容器の投入を可能とするとともに、奥側に移動した飲料容器が、再度手前側に移動し陳列される陳列装置も提案されている(例えば、特許文献2参照)。即ち、前方側から投入された飲料容器がUターンして戻ってくる陳列装置が提案されている。さらに、飲料容器に関するものとして、缶底に形成された環状凸部の内周壁に、内側凹部と縦リブとが円周方向に交互に形成された缶が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平11−155701号公報
【特許文献2】米国特許第6502408号
【特許文献3】特開2000−211624号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで陳列装置では、手前側からの飲料容器の投入を可能とするとともに、奥側にて飲料容器を落下させ、この飲料容器を再度手前側に移動させる構成とすることもできる。コンビニエンスストアなどにおいては、店舗面積等の関係から陳列装置の奥側からの飲料容器の投入が困難な場合が想定される。上記陳列装置では、奥側ではなく手前側からの飲料容器の投入が可能となる。
ところで飲料容器を落下させると、飲料容器に傷が発生したり飲料容器が凹んだりし外観が低下するおそれがある。また落下衝撃が加わることとなり、内部の飲料を変質等させるおそれもある。
本発明の目的は、手前側からの飲料容器の投入を可能としつつ飲料容器に生じる不具合の発生を抑制可能な陳列システム等を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的のもと、本発明が適用される陳列システムは、飲料容器と、飲料容器を陳列する陳列装置と、を備え、陳列装置は、飲料容器が投入される投入部を有し、投入部に投入された飲料容器を一方向に移動させる第1の移動手段と、第1の移動手段により移動してきた飲料容器を支持する支持部を有し、支持部を移動させることで飲料容器を下降させる下降手段と、第1の移動手段の下方に配置され、下降手段により下降してきた飲料容器を投入部が設けられている側に移動させる第2の移動手段と、を備えることを特徴とする陳列システムである。
【0006】
ここで、第1の移動手段は、投入された飲料容器が載置される載置面の傾斜を利用して、飲料容器を一方向に且つ載置面の端部に向けて移動させ、下降手段は、第1の移動手段により移動され載置面から落下した飲料容器を支持部により支持することを特徴とすることができる。また、下降手段の支持部は、第1の移動手段により移動してきた飲料容器を下方から支持する支持面であり、下降手段は、支持面を下降させることで飲料容器を下降させることを特徴とすることができる。さらに、支持面には、支持面に載っている飲料容器を第2の移動手段が配置された側に移動させる傾斜が付与されていることを特徴とすることができる。また、第2の移動手段は、支持面から移動してきた飲料容器を、傾斜面を用いて投入部が設けられている側に移動させ、下降手段は、支持面の傾斜面側の端部と傾斜面の支持面側の端部とが揃うように、下降させた支持面を停止させることを特徴とすることができる。
【0007】
また本発明を陳列装置として捉えた場合、本発明が適用される陳列装置は、飲料容器が投入される投入部を有し、投入部に投入された飲料容器を一方向に移動させる第1の移動手段と、第1の移動手段により移動してきた飲料容器を支持する支持部を有し、支持部を移動させることで飲料容器を下降させる下降手段と、第1の移動手段の下方に配置され、下降手段により下降してきた飲料容器を投入部が設けられている側に移動させる第2の移動手段と、含む陳列装置である。
【0008】
ここで、支持部により飲料容器が支持されている際に第1の移動手段により移動してきた他の飲料容器の支持部への移動を規制する規制手段を更に備えることを特徴とすることができる。また、下降手段は、飲料容器の重みを利用して支持部を移動させることを特徴とすることができる。さらに、飲料容器の外面には標記が付され、標記を投入部が設けられている側に向けるために飲料容器を回転させる回転手段を更に備えることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、手前側からの飲料容器の投入を可能としつつ飲料容器に生じる不具合の発生を抑制可能な陳列システム等を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る陳列装置の概略構成を示した図である。
本実施形態における陳列装置30は、容器20が投入される投入部を前方側に有し、投入された容器20を後方側へ(一方向へ)移動させる第1移動機構30Aを備えている。また、容器20が取り出される取り出し部を前方側に有し、後方側に位置する容器20をこの取り出し部まで(投入部が設けられている側へ)移動させる第2移動機構30Bを備えている。ここで第1移動機構30Aは、第2移動機構30Bの上方に配置されている。また、陳列装置30は、第1移動機構30Aにより後方側へ移動した容器20を、第2移動機構30Bの後方側へ移動させる第3移動機構30Cを備えている。なお、本図では、容器20として、缶体として形成され飲料が内部に充填された飲料容器を例示している。
【0011】
第1の移動手段として機能する第1移動機構30Aは、容器20が載せられる載置部(載置面)31と、容器20の移動経路を形成するとともに容器20の移動を案内するガイド32とを備えている。ここで載置部31は、陳列装置30の前方側(容器20の投入部側)から後方側に向かって下り傾斜した状態で配置されている。
また、第2の移動手段として機能する第2移動機構30Bも、容器20が載せられる載置部(載置面)31と、容器20の移動経路を形成するとともに容器20の移動を案内するガイド32とを備えている。ここで第2移動機構30Bにおける載置部31は、陳列装置30の後方側から前方側(容器20の取り出し部側)に向かって下り傾斜した状態で配置されている。また第2移動機構30Bには、好ましくは透明に形成されるとともに載置部31の一側辺に沿って配置され、移動してきた容器20を停止させる規制板34が設けられている。
【0012】
また本実施形態における陳列装置30では、第1移動機構30Aにおける載置部31と、第2移動機構30Bにおけるガイド32との間に配置され、第1移動機構30Aを下方から支持する支持柱(不図示)が設けられている。
【0013】
図2は、陳列装置30が設置される陳列ケースを示した図である。
陳列装置30は、同図に示すように、コンビニエンスストア、スーパーマーケットなどに設置される陳列ケース10の内部に収納される。この陳列ケース10は、直方体状に形成されたケース本体部10Aと、このケース本体部10Aに対して開閉可能に設けられたドア10Bとにより主要部が構成されている。ここで陳列装置30は、容器20の投入部および取り出し部(図1参照)がドア10B側に位置するように、陳列ケース10に設けられた棚(本図では不図示)の上に設置される。なお、本明細書では、ドア10B側を前方側(前方)と称しドア10Bとは反対側を後方側(後方)と称する場合がある。また、陳列ケース10の幅方向(容器20が移動する方向に直交する方向)を横方向、幅方向と称する場合がある。
【0014】
次いで第3移動機構30Cについて詳細に説明する。
図3は、第3移動機構30Cを説明するための図である。また、図4は、図3のA−A線における断面図である。なお、図3では、第1移動機構30Aにおける載置部31、第2移動機構30Bにおける載置部31も併せて図示している。
【0015】
下降手段の一例としての第3移動機構30Cは、上下方向に移動可能に設けられた移動ユニット100、移動ユニット100の背面側に設けられ移動ユニット100の移動をガイドするガイド110、移動ユニット100を上方へ付勢するコイルスプリング120、下方へ移動する移動ユニット100を予め定められた位置にて停止させる第1停止部材130を備えている。また上方へ移動する移動ユニット100を予め定められた位置にて停止させる第2停止部材140を備えている。また、ガイド110、第1停止部材130、およびコイルスプリング120を支持するとともに、陳列ケース10(図2参照)に設けられた棚11の上に設置される設置台150を備えている。
【0016】
ここで移動ユニット100は、その断面が略矩形状に形成されている。また移動ユニット100は、この移動ユニット100の下部に位置し容器20を下方から支持する底部101を備えている。ここで底部101は、容器20を支持する支持部として捉えることができる。また底部101の上面は、容器20を下方から支持する支持面として捉えることができる。
また、移動ユニット100は、第1移動機構30A側および第2移動機構30B側に配置されるとともに移動ユニット100の上部に位置する前面部102を備えている。また、前面部102が設けられた側とは反対側に位置する背面部103と、移動ユニット100の上部に位置し前面部102と背面部103とを接続する接続部104とを備えている。また移動ユニット100は、前面部102と底部101との間に開口105を有している。
【0017】
なお底部101には、回転可能なロール状部材106が複数設けられており、このロール状部材106は、底部101に載った容器20を第2移動機構30Bに向けて円滑に移動させる(詳細は後述)。また本実施形態では、第1移動機構30Aおよび第2移動機構30Bにおける載置部31にも、ロール状部材106が複数設けられている。
【0018】
ここでガイド110は、移動ユニット100の背面部103側に位置し、この移動ユニット100が上下方向に沿って移動するようにガイドを行う。詳細には、図4に示すように、ガイド110は、背面部103と対向する側に上下方向に沿った第1溝111を有している。また、この第1溝111に接続して設けられ且つ第1溝111と直交する関係で配置され、上下方向に沿った第2溝112を有している。
一方、移動ユニット100は、背面部103から離れる方向に突出した第1突出部103aを備えている。また、移動ユニット100は、この第1突出部103aと直交する関係で配置され、第1突出部103aの端部から突出する第2突出部103bを備えている。
そして本実施形態では、第1突出部103aが第1溝111内に位置し、第2突出部103bが第2溝112内に位置することで、移動ユニット100がガイド110によりガイドされるようになっている。
【0019】
図3を再度参照し説明を続ける。
コイルスプリング120は、移動ユニット100と設置台150との間に設置され、移動ユニット100を上方に向けて付勢する。第1停止部材130は、容器20が載せられることにより下方に移動した移動ユニット100を予め定められた位置に停止させる(詳細は後述)。第2停止部材140は、ガイド110の上部に設置され、コイルスプリング120によって上方へ移動する移動ユニット100を予め定められた位置にて停止させる。なお、本実施形態ではコイルスプリング120を移動ユニット100の下方に配置したが、例えばコイルスプリング120を引っ張りばねとし、移動ユニット100の上方に設けてもよい。
【0020】
ここで図5〜図7を参照しながら、陳列装置30における容器20の動作について説明する。
図5〜図7は、陳列装置30における容器20の動作を示した図である。
本実施形態では、まず第1移動機構30Aに対して容器20が投入される。より具体的には、図1に示した容器20の投入部から容器20が投入される。さらに詳細に説明すると、第1移動機構30Aにおける載置部31の前方側に、容器20が寝かされた状態で載置される。その後、容器20は、載置部31上を、陳列装置30の後方側(載置部31の端部)に向かってスライドしていく。この結果、図5(A)に示すように、第1移動機構30Aの後方側に容器20が到達する。
【0021】
その後、容器20は、図5(B)に示すように、移動ユニット100に設けられた開口105を通じ、移動ユニット100の内部に進入する。ここで、容器20が進入する前、移動ユニット100は、その底部101が、第1移動機構30Aにおける載置部31の後端部よりも下方に位置するように、第2停止部材140によって位置決めされている(同図(A)参照)。このため、容器20は、第1移動機構30Aの載置部31から、移動ユニット100の底部101に向かって落下するとともに、寝た状態から起立した状態となる。また、移動ユニット100内に容器20が入ると、同図(B)に示すように、移動ユニット100は容器20の重みによって下降する。なお、本実施形態では、底部101の上面に傾斜が付与されている。このため、移動ユニット100が下降している際、移動ユニット100内の容器20は、第2移動機構30B側に向かってスライド移動する。
【0022】
その後、図6(A)に示すように、移動ユニット100の下降が第1停止部材130によって停止される。なお、この際、移動ユニット100の底部101の上面(容器20が載置される面)の前端部と、第2移動機構30Bにおける載置部31の上面(傾斜面)の後端部とがほぼ等しい高さとなる。付言すれば、底部101の上面と載置部31の上面とが揃うように、移動ユニット100は停止する。その後、同図(A)に示すように、容器20が、移動ユニット100から第2移動機構30Bの載置部31へと移動する。その後、この容器20は、第2移動機構30Bに設けられた容器20の取り出し部(図1参照)まで移動していく。また、同図(B)に示すように移動ユニット100が上方へ移動し、移動ユニット100が初期位置に戻る。
【0023】
ここで陳列装置30に対する容器20の投入は、一般的に、陳列装置30の後部側から行われるのが一般的である。付言すれば、陳列ケース10(図2参照)の後方側から容器20の投入が行われるのが一般的である。ところで陳列装置30が設置される店舗等によっては、陳列装置30(陳列ケース10)の後方側にスペースを確保できず、後方側からの容器20の投入が困難な場合がある。そこで本実施形態では、上記のように前方側に容器20の投入部を設けるとともに、後方側に移動した容器20を再度前方側へ移動させる構成としている。
【0024】
ここで、本実施形態のように容器20を寝かせた状態で投入する場合、起立した状態で投入する場合に比べ、陳列装置30の高さ方向における寸法を小さいものとすることができる。ところでこの場合、容器20の取り出し部において容器20が寝た状態となってしまう。そこで、本実施形態では、上記のように、第1移動機構30Aの載置部31から容器20を落下させる構成とし、寝た状態の容器20を起立させるようにしている。
また本実施形態では、容器20を第2移動機構30Bへ直接落下させず、この第2移動機構30Bよりも上方に位置している移動ユニット100に落下させている。そして、移動ユニット100の移動によって第2移動機構30Bへ容器20を運んでいる。このような構成の場合、第2移動機構30Bへ直接容器20を落下させる場合に比べ、落下衝撃が小さいものとなる。
【0025】
なお、移動ユニット100の底部101に容器20が載っている状態で、後続する容器20(他の容器20)がこの移動ユニット100に落下してくる場合もある。そしてこのような場合、容器20の詰まりが発生するおそれがある。詳細には、底部101に載っている容器20の移動が、後続する容器20によって阻害されてしまう場合がある。そこで本実施形態では、図7に示すように、移動ユニット100が下降した際に、規制手段の一例としての前面部102を容器20の移動経路上に位置させるようにしている。付言すれば、移動ユニット100が下降した際に前面部102が容器20の移動経路上に突出するように、移動ユニット100を構成している。これにより後続する容器20の移動ユニット100内への進入が規制され、容器20の詰まりなどの発生が抑制される。
【0026】
ところで容器20には、商標名や商品名など他の商品と識別するための識別標記が付されるのが一般的であるが、この識別標記が購入者の取り出し方向に向いていないと、容器20の識別がしにくくなるとともに、容器20の陳列時の見栄えが悪くなる。このため、陳列装置30には、容器20を回転させ容器20に付された識別標記を特定の方向に向ける回転機構を設けることが好ましい。以下、この回転機構について説明していく。なお、以下の説明では、回転機構を第2移動機構30Bに設ける例を説明するが、第1移動機構30Aに設けてもよい。但し第1移動機構30Aに回転機構を設ける場合には、第1移動機構30Aに対して容器20を起立させた状態で投入する必要がある。
【0027】
図8、図9は、第2移動機構30Bの他の一例を示した図である。なお、図8は第2移動機構30Bの斜視図であり、図9は第2移動機構30Bの正面図である。
上記および図8に示すとおり、第2移動機構30Bは、容器20が載せられる載置部31と、容器20の移動経路を形成するとともに容器20の移動を案内するガイド32とを備えている。また、載置部31の一側辺に沿って配置され、容器20の移動を停止させる規制板34を備えている。
【0028】
さらに、第2移動機構30Bは、図9(A)にも示すように、容器20の移動方向に沿って設けられ且つ図中左側のガイド32に取り付けられ、容器20に抗力を付与する抗力付与部35を備えている。ここで、抗力付与部35は、例えばEPDMなどのゴム部材により形成することができる。なお、図9(A)では円柱状の抗力付与部35を示したが、同図(B)に示すように半円状としてもよい。また、同図(C)に示すように、円柱状の抗力付与部35をガイド32に埋め込んでもよい。
【0029】
第2移動機構30Bについてさらに説明する。
図10は、第2移動機構30Bを説明するための図である。
同図(A)に示すように、第2移動機構30Bのガイド32は、容器20の移動経路に沿って配置されている。またガイド32は、容器20の移動経路の両側(両側方)に設けられている。
【0030】
ここで、載置部31上には、上記のとおり、回転可能に設けられた複数のロール状部材106が設けられている。詳細に説明すると、載置部31には、複数のロール状部材106により構成された第1のローラ部61、第2ローラ部62、第3ローラ部63が設けられている。
【0031】
ここで本実施形態では、載置部31に前後方向の傾斜が付与されているために、載置部31に載っている容器20は、基本的に、一方向(前方)に向かって移動しようとする(同図(C)参照)。即ち、容器20は、載置部31の前後方向における傾斜により、前後方向に沿った移動経路に沿って移動しようとする。
【0032】
その一方、同図(B)に示すように、ロール状部材106の回転軸106aと直交する仮想線を想定した場合、第1ローラ部61を構成するロール状部材106の各々は、この仮想線が上記一方向(容器20の移動経路)と交差するように傾斜して配置されている(同図(C)参照)。さらに説明すると、ロール状部材106の各々は、上記仮想線が向かう方向が上記一方向以外の方向(前後方向以外の方向)となるように配置されている。さらに説明を行うと、ロール状部材106の各々は、上記仮想線が上記一方向に対して傾斜して配置されている。より詳細に説明すると、ロール状部材106の各々は、上記仮想線が向かう方向が、抗力付与部35が設けられた側となるように配置されている。
【0033】
このため、載置部31に載っている容器20は、上記一方向へ移動しようとするものの第1ローラ部61により誘導され抗力付与部35へ向かうこととなる(詳細は後述)。
なおロール状部材106の断面(ロール状部材106の回転軸106aと直交する平面における断面)を示した図10(B)を参照してさらに説明すると、ロール状部材106の各々は、ロール状部材106の外周面における接線が左方側のガイド32側を向くように傾斜して配置されている。
【0034】
また、第2ローラ部62を構成するロール状部材106の各々も、上記仮想線が上記一方向と交差するように傾斜して配置されている。なお第2ローラ部62のロール状部材106の仮想線が向かう方向は、前方且つ右方側のガイド32が設けられた側となっている。このため、載置部31に載っている容器20は、上記一方向へ移動しようとするものの第2ローラ部62により誘導され抗力付与部35から離間するようになる(詳細は後述)。
一方、第3ローラ部63を構成するロール状部材106の各々は、上記仮想線が上記一方向に沿うように配置されている。即ち、上記のような傾斜が付与されていない状態で配置されている。
【0035】
また、第2移動機構30Bにおける載置部31には、第1ローラ部61と第2ローラ部62との間に配置され、第1ローラ部61から移動してきた容器20を第2ローラ部62に受け渡す複数の第1受け渡しロール64が設けられている。また、第2ローラ部62と第3ローラ部63との間に配置され、第2ローラ部62から移動してきた容器20を第3ローラ部63に受け渡す第2受け渡しロール65が設けられている。
【0036】
なお図10(A)では、左方側のガイド32のほぼ全長に亘り抗力付与部35が設けられているが、図11(第2移動機構30Bの他の一例を示す図)に示すように、左方側のガイド32の一部に設けるようにしてもよい。また抗力付与部35は、断面が円形状あるいは半円状であるほうが好ましい。容器20が上下に動いたり左右に傾いたりしても、容器20との接触面積を確保できるためである。また、本実施形態における抗力付与部35は、板状のガイド32に取り付けられているが、断面が円形のガイド32に対しビニールテープやEPDM(エチレン−プロピレンゴム)などのゴム部材を巻き付けることで抗力付与部35を形成することもできる。
【0037】
また、上記ではロール状部材106を一例に説明した。即ち円筒状の部材を一例に説明した。ところでこのような円筒状の部材に限られず球状の部材を採用してもよい。また、ロール状部材106はモータなどの駆動源により回転駆動させてもよい。この場合、容器20の誘導などをより確実に行うことができる。
【0038】
次に容器20について詳細に説明する。
容器20は、抗力付与部35に接触する第1接触部および第2接触部(詳細は後述)を有している。そして、この第1接触部と抗力付与部35との間に働く摩擦力が、第2接触部と抗力付与部35との間で働く摩擦力よりも大きくなっている。これにより、容器20が自動的に所定の方向を向く。
【0039】
図12は、容器20を説明するための図である。
なお、同図(A)は容器20を一方側から図示したものであり、同図(B)は、容器20を他方側から図示したものである。また、同図(C)は同図(A)のS部における断面を示し、同図(D)は同図(A)のT部における断面を示している。
【0040】
同図に示す容器20は、いわゆる2ピース缶であり、飲料などの内容物が充填され且つプルタブ(不図示)を有した蓋部材が取り付けられている。
本容器20は、同図(A)および(B)に示すように、外周面に、第1領域R1〜第4領域R4を有している。ここでこれらの領域は、容器20の周方向において、第1領域R1、第2領域R2、第3領域R3、第4領域R4の順に設けられている。なお、第1領域R1の表面状態および第3領域R3の表面状態は同様に構成されている。また、第2領域R2の表面状態および第4領域R4の表面状態は同様に構成されている。このため以下の説明では、第1領域R1および第2領域R2を中心に説明する。さらに本実施形態では、表面における摩擦係数は、第1領域R1(第3領域R3)>第2領域R2(第4領域R4)となっている。
【0041】
ここで同図(C)を参照し第2領域R2の表面状態についてまず説明する。
同図(C)に示すように、第2領域R2には、容器本体50Aの表面にインキ層51Aが設けられている。また、インキ層51Aの表面にクレーター状の凹凸を有したトップコート層(最外層)52Aが設けられている。
【0042】
ここでインキ層51Aに用いるインキには、例えば金属印刷用のものを用いることができる。ここでインキの顔料(色量)としては、各種の有機顔料や無機顔料が用いられる。また、インキのビヒクルは、熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂等の樹脂を主成分としている。ここで熱硬化性樹脂としては、アルキッド型又はポリエステル型の樹脂等が用いられる。また、紫外線硬化性樹脂としては、紫外線ラジカル重合型、紫外線カチオン重合型の樹脂等が用いられる。さらに、インキには添加剤が含有されていても良い。添加剤としては、艶消し剤、ワックス類(天然系、石油系、合成系)、乾燥剤、分散剤、湿潤剤、架橋剤、ゲル化剤、増粘剤、皮張り防止剤、安定剤、消泡剤、光重合開始剤等が用いられる。
【0043】
またインキ層51Aは、いわゆるはじきインキにより形成されている。即ち、インキ層51Aは、このインキ層51Aの表面にトップコート層52Aを形成する塗料が塗られた場合にこの塗料をはじくインキにより形成されている。ここでトップコート層52Aにおける上記凹凸は、トップコート層52Aを形成する塗料がこのインキ層51Aによりはじかれることにより形成されたものである。
【0044】
なおトップコート層52Aを形成する塗料をインキ層51Aによりはじくためには(上記凹凸を形成するためには)、インキ層51Aの形成に用いるインキの表面張力を、トップコート層52Aの形成に用いる塗料の表面張力よりも5mN/m以上低く設定することが望ましい。換言すると、インキの表面張力が塗料の表面張力よりも低く、且つ、インキと塗料との間の表面張力の差が5mN/m以上であることが望ましい。ここでインキの表面張力の低下は、例えば、通常のインキにシリコーンを添加することにより行うことができる。
【0045】
一方、トップコート層52Aに用いる塗料は、熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂等の樹脂を主成分とするものであり、必要に応じてワックス成分を含有している。
熱硬化性樹脂としては、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、フラン−ホルムアルデヒド樹脂、キシレン−ホルムアルデヒド樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、シリコーン樹脂、油性樹脂等が用いられる。
【0046】
さらに、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との組成物を用いても良い。この場合、熱可塑性樹脂としては、塩化ビニル−マレイン酸−酢酸ビニル共重合体、アクリル重合体、飽和ポリエステル樹脂等が用いられる。これらの樹脂は、単独でも2種以上を組み合わせても使用できる。また、これらの樹脂組成物には、必要に応じて、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の公知の酸触媒が添加されていても良い。酸触媒を用いる場合は、酸触媒は樹脂に対して0.5〜1質量%添加するのが望ましい。また、これらの樹脂のうち、特に、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂と飽和ポリエステル樹脂との組成物や、熱硬化性アクリル樹脂とメラミン−ホルムアルデヒド樹脂との組成物を用いることが塗膜性能面で望ましい。
【0047】
一方、紫外線硬化性樹脂としては、例えば、カチオン硬化型樹脂、ラジカル硬化型樹脂等が用いられる。カチオン硬化型樹脂としては、紫外線硬化型エポキシ樹脂と光カチオン重合触媒との組成物等が用いられる。
【0048】
また、トップコート層52Aに用いる塗料において、上記の樹脂に架橋剤や増感剤を必要に応じて添加しても良い。架橋剤としては、種々のポリオール類(例:ε−カプロラクトントリオール)等が用いられる。増感剤としては、チオキサントン誘導体等が用いられる。
さらに、トップコート層52Aに用いる塗料に、滑りを補うために、ワックス成分として天然系、石油系、合成系のワックス剤を単独で又は複合して添加しても良い。
さらに、トップコート層52Aの表面のレベリング剤として、あるいは/更に、塗料状態での安定性を高めるためや初期滑り性をトップコート層52Aに付与するために、各種のシリコーンオイルを添加しても良い。
【0049】
なお、インキ層51Aおよびトップコート層52Aの組成等の一例を挙げると以下のようになる。
[トップコート層52A]
樹脂成分:ポリエステル30%、アクリル13%、アミノ55%、エポキシ2%
ワックス:石油系0.3%、天然系1%、合成系0.2%(樹脂成分に対し)
シリコーンオイル(混合):0.15%(樹脂成分に対し)
表面張力:33mN/m
厚さ:5μm
[インキ層51A](はじきインキ)
主樹脂:アルキッド樹脂
顔料:TiO2
表面張力:28mN/m
厚さ:2μm
【0050】
なお上記は、第2領域R2の形成方法の一例を説明したものであり、例えば特開2002−361172号公報に開示されている技術を用いて第2領域R2を形成してもよい。即ち、トップコート層52Aを形成する塗料をインキ層51Aの表面で斑状に凝集させることで凹凸を形成し第2領域R2を形成してもよい。
【0051】
次いで、同図(D)を参照し第1領域R1の表面状態について説明する。
同図(D)に示すように第1領域R1には、上記と同様、容器本体50Aの表面にインキ層51Aが設けられている。また、インキ層51Aの表面に、上記第2領域R2におけるトップコート層52Aよりも表面が平滑に形成されたトップコート層(最外層)52Aが設けられている。
【0052】
ここで第1領域R1におけるインキ層51Aは、トップコート層52Aを形成する塗料をはじかないインキ(通常インキ)を用いて形成している。付言すれば、インキ層51Aを形成するインキは、表面張力がトップコート層52Aを形成する塗料の表面張力と等しいか又はそれよりも高いインキが用いられている。このため第1領域R1では、トップコート層52Aを形成する塗料がはじかれず、トップコート層52Aの表面は、第2領域R2におけるトップコート層52Aに比べ平滑となる。なお、インキ層51Aを形成するインキの基本的な組成等は上記と同様である。トップコート層52Aを形成する塗料の基本的な組成等は上記と同様である。
【0053】
また本実施形態における容器20は、その外面(外周面)に、商品名、商標名など他の商品と識別するための第1識別標記23a、第2識別標記23b(なお本明細書においては、以下単に「識別標記23」と称する場合がある。)を有している。ここで、第1識別標記23aは第1領域R1に形成され、第2識別標記23bは第3領域R3に形成されている。なお、第1識別標記23aおよび第2識別標記23bは、上記インキ層51Aにより形成されている。また、同図では、第1識別標記23aおよび第2識別標記23bが異なる例を図示しているが、同一の形態としてもよい。
【0054】
次に、第2移動機構30Bにおける容器20の動作について説明する。
図13は、第2移動機構30Bにおける容器20の動作を説明するための図である。なお、本図においては、図を見やすくするため、第1ローラ部61〜第3ローラ部63等の図示を省略している。
【0055】
第3移動機構30Cから移動してきた容器20、即ち載置部31の後方に位置する容器20(符号14A参照)は、第1ローラ部61によって抗力付与部35に誘導される。
その後、容器20は、符号14Bに示すように、抗力付与部35によって案内されながら前方に向かって移動する。そしてこの際、第1領域R1が抗力付与部35に接触する状態にあると、第1領域R1と抗力付与部35との間における滑りが抑制され(第1領域R1に抗力が付与され)、容器20は、時計回りの回転を行いながら前方へ移動する(符号14B参照)。
【0056】
そして符号14Cのように、第2領域R2が抗力付与部35に接触する状態となると、第2領域R2と抗力付与部35との間で滑りが生じ、容器20の回転は停止する。この際、識別標記23(本図では第2識別標記23b)が前方に向く状態にある。付言すると、本実施形態では、第2領域R2と第2識別標記23bは、予め定められた所定の位置関係を有して配置されている。より詳細には、第2領域R2が左方側(一方向)を向いている場合に第2識別標記23bが前方(一方向と交差する方向、一方向と直交する方向)を向くように配置されている。このため、第2領域R2が抗力付与部35に接触した状態となると、第2識別標記23bが前方を向く。
【0057】
その後、容器20は、第2ローラ部62によって、矢印14Dに示すように抗力付与部35から離れるように移動する。これにより容器20は抗力付与部35から離間する。
そして抗力付与部35から離間した容器20は、第3ローラ部63によって更に前方へ移動し、容器20の取り出し部に到達する。この結果、陳列装置30の前方に達した容器20は、第2識別標記23bが前方を向いた状態となる。
【0058】
ここで、第2領域R2が抗力付与部35に接触した場合、第2領域R2と抗力付与部35とは点接触に近い状態で接触する。付言すれば、第2領域R2と抗力付与部35とは接触面積が低下する状態となる。このため、第2領域R2と抗力付与部35との間で上記滑りが生じるものと考えられる。
【0059】
ここで第1領域R1〜第4領域R4の形成方法についてより詳細に説明する。第1領域R1〜第4領域R4は、例えば、2ピース缶である容器20の製造工程に含まれる印刷工程にて形成することができる。より詳細には、印刷工程に設置された印刷機を用いて形成することができる。
【0060】
ここで図14は、容器20に対して印刷を行う印刷機を示した図である。
同図に示す印刷機500は、いわゆるオフセット印刷を行う印刷機である。印刷機500は、ブランケットシリンダ510、図柄に対応した版を有し上記インキ層51Aを形成するインキをブランケットシリンダ510に塗布するインキ塗布装置520、支持ロール530、上記トップコート層52Aを形成する塗料を塗布する塗料塗布装置540を備える。
【0061】
ブランケットシリンダ510は、円盤状に形成されるとともに一方向に回転する。また、ブランケットシリンダ510は、外周面に複数のブランケット(被転写部)511Aを有している。また、ブランケットシリンダ510は、インキ塗布装置520における上記版からブランケット511Aに転写されたインキを、転写部Teにて2ピース缶の基体となる素缶体に対して転写しこの素缶体に上記識別標記23を含む図柄を形成する。
【0062】
インキ塗布装置520は、ブランケットシリンダ510の周方向に沿って色毎に複数設けられている。各インキ塗布装置520は、ブランケットシリンダ510のブランケット511Aに接触する印刷用シリンダ522A、印刷用シリンダ522Aの外周面にインキを供給するインキ供給装置521Aを備えている。ここで印刷用シリンダ522Aは、外周面に上記版を有しインキ供給装置521Aにより供給されたインキをブランケット511Aに転写する。
【0063】
これにより、各ブランケット511Aの表面にインキが載せられる。詳細には、各ブランケット511Aの表面であって印刷用シリンダ522A毎に割り当てられた各領域に、印刷用シリンダ522Aの各々からインキが順次載せられる。この結果、各ブランケット511Aの表面には、図柄に対応したインキ像が形成される。そして、このインキ像は、ブランケットシリンダ510の回転に伴い、転写部Teまで移動し、周方向に回転している素缶体の外周面に転写される。これによって上記インキ層51Aが形成される。
【0064】
支持ロール530は、ブランケットシリンダ510の対向位置に配置されるとともに一方向に回転し、不図示のウォッシャー工程から移動してきた素缶体を上記転写部Teまで搬送する。また支持ロール530は、ウォッシャー工程から移動してきた素缶体を回転させた状態で上記転写部Teまで搬送する。
塗料塗布装置540は、上記インキ像が転写された素缶体(インキ層51Aが形成された素缶体)の外周面に対して塗料を塗布する。これによって上記トップコート層52Aが形成される。
【0065】
ここでこのような印刷機500を用いる場合、上記第2領域R2におけるインキ層51Aを担当する印刷用シリンダ522Aから塗料をはじく機能を有したインキをブランケット511Aに載せることにより、第2領域R2と、この第2領域R2に隣り合う第1領域R1、第3領域R3との間に表面の違いを形成することができる。
【0066】
ところで、容器20の外周面における同色の箇所は、通常、共通の(一つの)印刷用シリンダ522Aからインクが供給される。しかしながら本実施形態では、第1領域R1〜第4領域R4に同色の箇所があったとしても、異なる印刷用シリンダ522Aからインキの供給が行われる。即ち、第1領域R1、第3領域R3における同色の箇所は、一の印刷用シリンダ522Aからインキが供給され、第2領域R2、第4領域R4における同色の箇所は、この一の印刷用シリンダ522Aとは異なる他の印刷用シリンダ522A(はじきインキを供給する印刷用シリンダ522A)からインキが供給される。
【0067】
また、複数色を用いた模様が容器20の全周に渡り広範囲に存在する場合には、通常の印刷に比べ、印刷用シリンダ522Aを多数用意する必要がある。即ち、例えば、第1領域R1、第3領域R3における模様を形成するために、まず複数の印刷用シリンダ522Aを用意する必要がある。そして第2領域R2、第4領域R4における模様を形成するための複数の印刷用シリンダ522Aをさらに用意する必要がある。
【0068】
ここで上記のような印刷用シリンダ522Aの増加を防ぐため、図15(容器20の他の形態を示した図)に示すような形態とすることもできる。なお、同図(A)は容器20の正面図を示し、同図(B)は容器20の背面図を示している。
【0069】
同図に示すように、例えば、第2領域R2および第4領域R4は、容器20の底部側に設けることができる。より詳細には、容器20の周方向に沿い且つ抗力付与部35の幅よりもわずかに大きい幅を有した帯として形成することができる。さらに詳細に説明すれば、第2領域R2および第4領域R4は、容器20の周方向における長さを、容器20の周長の1/4とすることができる。このような形態とする場合、複数色を用いた模様が容器20の全周に渡り存在していても、第2領域R2、第4領域R4を形成するための一つの印刷用シリンダ522Aを追加するだけで済む。付言すれば、上記のように多数の印刷用シリンダ522Aを用意しないで済む。
なお、塗料塗布装置540により塗料が塗布された素缶体は、その後オーブン工程(加熱工程)にて200℃〜220℃で加熱される。
【0070】
なお上記ではいわゆるはじきインキを用いて、第2領域R2に凹凸を形成したが、例えば発泡剤を含有したいわゆる発泡インキを用いてインキ層51Aを形成し、第2領域R2に凹凸を形成してもよい。
また上記では、第2領域R2に凹凸を付与することで摺動抵抗を減じたが、フッ素樹脂などを第2領域R2に貼付したり塗布したりして摺動抵抗を減じてもよい。この場合、テフロン(登録商標)加工が施されたテープなどを貼付するとより簡便である。同様に、フッ素系の樹脂(PTFE、PFA、PVDF等)、これらの樹脂を表層に有するテープ、あるいは、超高分子量ポリエチレンフィルム等の摩擦抵抗の小さいテープ(フィルム)が使用できる。
【0071】
さらに、第2領域R2におけるトップコート層52Aを形成する塗料をいわゆるマット塗料とすることで第2領域R2に凹凸を付与し、摺動抵抗を減じてもよい。なおこの場合は、塗料の塗り分けが必要となる。即ち、第2領域R2に対してはマット塗料を塗布し、第1領域R1に対してはマット塗料ではない塗料を塗布する必要がある。
また、第2領域R2におけるトップコート層52Aの表面に更にマット塗料を塗布することで第2領域R2に凹凸を付与し、この領域における摺動抵抗を減じてもよい。
また、第2領域R2におけるインキ層51Aをはじきインキにより形成するとともに、このインキ層51Aの表面にマット塗料を用いてトップコート層52Aを形成してもよい。
【0072】
ここでマット塗料とは、ガラス、シリカ、樹脂等の光を散乱させる粒子が含有され、通常の塗料よりも光沢度が低下する塗料である。マット塗料には、上記のようにガラス、シリカ、樹脂等の粒子が含まれているため、その表面に凹凸が形成される。このためマット塗料を用いた場合にも、抗力付与部35と第2領域R2との摺動抵抗が小さくなり上記のような滑りを発生させることが可能となる。
【0073】
また例えば、第1領域R1〜第4領域R4におけるトップコート層52Aをマット塗料により形成した後、第1領域R1および第3領域R3に対して、表面を平滑にする塗料(例えば、上記ガラス等が含まれていない塗料)を塗布してもよい。即ち、マット塗料を塗布することで容器20の全周を滑りやすくした後、第1領域R1および第3領域R3に表面を平滑にする塗料を塗布し、第1領域R1および第3領域R3を滑りにくくしてもよい。
また例えば、第1領域R1〜第4領域R4におけるトップコート層52Aをマット塗料により形成した後、このトップコート層52Aよりも摩擦係数の小さな、例えば上記テフロン(登録商標)系のテープやシールなどを第2領域R2および第4領域R4に貼付してもよい。
【0074】
また、上記ではいわゆる2ピース缶を例示したが、3ピース缶であっても上記と同様の機能を付与可能である。
また、フィルム(例えばシュリンクフィルム)が外周面に装着された容器20であっても上記と同様の機能を付与できる。このような容器20としては、外周にフィルムが装着されたペットボトルや金属製缶等があげられる。
なおこのような容器20では、例えば図16(容器20の他の形態を示す図)に示すように、容器20に装着される前のフィルムFに対して上記第1領域R1〜第4領域R4を形成しておき、この第1領域R1〜第4領域R4が形成されたフィルムFを容器20の本体に巻き付け容器20を形成する。
【0075】
フィルムFにおける第1領域R1〜第4領域R4は、第1領域R1〜第4領域R4の全てに対して塗布材料を塗ることで形成することができる。また、第1領域R1および第3領域R3のみに塗布材料を塗り、第2領域R2および第4領域R4はフィルムFによって形成することができる。また同様に、第2領域R2および第4領域R4のみに塗布材料を塗り、第1領域R1および第3領域R3はフィルムFによって形成することができる。
【0076】
なお上記では、第2領域R2および第4領域R4に凹凸を形成するとともに、第1領域R1および第3領域R3における表面を、第2領域R2および第4領域R4における表面よりも平滑にすることで識別標記23を前方に向けた。ところで容器20の回転/非回転には、例えばトップコート層52Aを構成する材料なども影響する。このため、第1領域R1および第3領域R3に凹凸が形成され、第2領域R2および第4領域R4が平滑に形成される場合であっても識別標記23を前方に向けることが可能な場合がある。
【0077】
即ち、本実施形態では、識別標記23が設けられた箇所を平滑にするとともに識別標記23が設けられていない箇所に凹凸を付与した。ところでこのような形態に限られず、フィルムFが存在する面とフィルムFが存在しない面との組み合わせや、粘着性を有する塗料と通常の塗料との組み合わせのように、摩擦係数の異なる少なくとも2つの領域を識別標記23に対応させて形成しておけば識別標記23を前方に向けることが可能となる。
【0078】
さらにペットボトルの外周面に装着された上記フィルムFでは、自販機などにおいて詰まりを発生させないようにするため、印刷面(外面)に、滑性を持たせるための外面塗料が塗られている場合がある。そこで、この種のフィルムFを利用して、上記第2領域R2、第4領域R4に相当する領域を形成することができる。
【0079】
図17は、容器20の他の一形態を示した図である。なお、同図(A)は正面図であり、同図(B)は背面図であり、同図(C)は底面図である。
本図に示す容器20は、いわゆるペットボトルであり、その外周面には滑性を有するフィルムFが装着されている。このフィルムFは、容器20の本体部60の外周面に巻き付くように装着されるとともに、第1識別標記23aの下部に、本体部60の外周面の一部を露出させる第1露出部621を有している。また、第2識別標記23bの下部に、本体部60の外周面の一部を露出させる第2露出部622を備えている。なお、この第1露出部621によって上記第1領域R1に相当する箇所が形成され、第2露出部622によって上記第3領域R3に相当する箇所が形成される。
【0080】
ここで識別標記23が陳列装置30の側方を向いている場合には、例えば第1露出部621が抗力付与部35に接触するようになり、この第1露出部621を通じて容器20に回転力が付与される。この結果、例えば第2識別標記23bが陳列装置30の前方を向くようになる。その一方で、識別標記23が陳列装置30の前方を向いている場合には、抗力付与部35とフィルムFとが接触する状態となり、抗力付与部35とフィルムFとの間で滑りが生じる。このため、容器20は、識別標記23が前方を向いた状態で陳列装置30の前方側まで移動してくる。
【0081】
また、図18(容器20の他の形態を示した図)に示すように、第1領域R1〜第4領域R4が形成されたテープTを容器20に対し周方向に巻き付けることで、第1領域R1〜第4領域R4を容器20に付与することができる。この場合、容器20の塗装状況とは無関係に、第1領域R1〜第4領域R4を容器20に付与することができる。
【0082】
また上記の形態は、容器20に第1領域R1〜第4領域R4を設ける例であったが、図19(容器20等の他の形態を示した図)に示すように、容器20に装着される装着部材800に、第1領域R1〜第4領域R4を設けてよい。この場合、容器20に加工等を行わないでよいため、第1領域R1〜第4領域R4の形成がより簡易になる。
【0083】
なお、装着部材800は、容器20の底部側に装着することが好ましい。上部側に装着する場合に比べ容器20の回転が安定するためである。また、装着部材800は、金属や樹脂により形成することができる。また、装着部材800は、底部の摩擦係数が小さい方が好ましい。また、装着部材800は、底部の形状をドーム状とするなどして載置部31との接触面積を低下させることも好ましい。
【0084】
また、装着部材800における第1領域R1〜第4領域R4は、上記と同様に、塗布材料によって形成することができる。また、シール、テープ等を貼付することによっても形成することができる。さらに、複数の突出部を設けて形成してよい。なお本図は、円筒状に形成された装着部材800の外周面に、ライン状且つ第1領域R1〜4領域R4を有したテープTを貼付した例を示している。
また、容器20と装着部材800との位置ずれを防止するため、容器20の底部と装着部材800の内部とに、容器20と装着部材800とが噛み合う噛み合い部を設けることもできる。また、装着部材800をゴム等の摩擦係数の大きなもので形成した場合、装着後のずれを防止できる。
【0085】
なお、上記では、2つの識別標記23が、容器20の周方向において180度の位置関係で配置された例を説明した。ところで、図20(容器20の他の一例を示した図)の(A)に示すように、2つの識別標記23が180度の位置関係を有さないで設けられる場合もある。このような場合、識別標記23の位置と第1領域R1〜第4領域R4の位置を考慮し、第1領域R1〜第4領域R4の巾を均等にしない状態とすることが好ましい。
【0086】
また同図(B)のように3つの識別標記23(第1識別標記23a〜第3識別標記23c)が存在する場合もある。この場合は、第1識別標記23aが設けられた第1領域R1、第2識別標記23bが設けられた第3領域R3、第3識別標記23cが設けられた第5領域R5を摩擦係数の大きい領域とすることができる。その一方、第1識別標記23a〜第3識別標記23cが設けられていない第2領域R2、第4領域R4、第6領域R6を摩擦係数の小さい領域とすることができる。
【0087】
次に第2移動機構30Bの他の形態について説明する。
図21は、第2移動機構30Bの他の一形態を示した図である。
本図に示す第2移動機構30Bのおいても、載置部31、容器20の移動経路を形成するとともに容器20の移動を案内するガイド32が設けられている。また、載置部31の一側辺に沿って配置され、容器20の移動を停止させる規制板34が設けられている。さらに、容器20を回転させ容器20に付された識別標記23を前方に向ける回転機構50が設けられている。なお本図では、所謂ペットボトルを容器20として例示している。この容器20は、図柄が印刷されたフィルムFが外周面に装着され且つ飲料が内部に充填されている。
【0088】
次に、容器20について説明する。
図22は、容器20を説明するための図である。なお、同図(A)は正面図を示し、同図(B)は同図(A)のA−A線における断面を示している。
【0089】
本実施形態における容器20は、PET(ポリエチレンテレフタレート)などの樹脂材料により形成された容器を例示している。例えば、樹脂材料を用いた射出成形(ブロー成形)法、樹脂材料を用いてプリフォームを成形後、これをブロー成形する方法により製造することができる。
同図(A)に示すように本実施形態における容器20は、上部に開口(飲み口)を有し且つ筒状に形成され内部に飲料が充填された容器本体21と、容器本体21の開口を塞ぐキャップ22とを備えている。また容器本体21の外周面には、上記のとおりフィルムFが装着されている。
【0090】
ここでキャップ22は、その外周面に、キャップ22の高さ方向に沿って形成された凸部、同じく高さ方向に沿って形成された凹部を有している。この凸部および凹部は複数設けられるとともに、キャップ22の周方向において交互に配置されている。
またフィルムFには、同図(A)、(B)に示すように、第1識別標記23a、第2識別標記23bが印刷されている。ここで、第1識別標記23aおよび第2識別標記23bは、同一の形態でもいいし異なる形態とすることもできる。なお第1識別標記23aおよび第2識別標記23bは、容器20の周方向において、位相が180°ずれた状態で配置されている。
【0091】
また容器20は、容器本体21の上部に(キャップ22の下部に)、容器本体21の外周面から容器本体21の径方向に突出した突出部24を備えている。
ここで突出部24は、容器本体21と一体に形成されている。また、突出部24は、同図(B)に示すように、直径D2を有した円の一部が切り欠かれた形状となっている。付言すれば、突出部24は、直径D2を有した円の一部に面削ぎ状の部位が設けられた状態となっている。更に説明すれば、突出部24は、直径D2を有した円の一部に、第1平坦部241が設けられ、他の一部に、第2平坦部242が設けられた状態となっている。
【0092】
ここで、第1平坦部241および第2平坦部242は、互いに平行となる関係で配置されている。また、第1平坦部241と第2平坦部242とは、上記直径D2の大きさよりも小さい距離D1をおいて配置されている。さらに、識別標記23との関係を説明すると、第1平坦部241および第2平坦部242は、第1識別標記23aおよび第2識別標記23bに対し、位相が90°ずれた状態で配置されている。
【0093】
さらに説明すると、第1識別標記23a又は第2識別標記23bが陳列装置30(図1参照)の前方を向いた際における突出部24の幅はD1となる。また、第1識別標記23a又は第2識別標記23bが陳列装置30の幅方向を向いた際における突出部24の幅はD2となる。さらに説明すると、第1識別標記23a又は第2識別標記23bが向いている方向における突出部24の幅はD2となり、第1識別標記23a又は第2識別標記23bが向いている方向と直交する方向における突出部24の幅はD2よりも小さいD1となる。さらに説明すると、第1識別標記23a又は第2識別標記23bが付された側から容器20を眺めた場合に、突出部24は、奥行き方向の寸法がD2となり、幅方向の寸法がこのD2よりも小さいD1となる。
【0094】
次に第2移動機構30Bについてより詳細に説明する。
図23は、第2移動機構30Bの上面図を示している。また、図24は、第2移動機構30Bの正面図および背面図を示している。詳細には、同図(A)は正面図を示し、同図(B)は背面図を示している。
【0095】
この第2移動機構30Bにおいても、図23に示すように、載置部31に、複数のロール状部材106が設けられている。詳細に説明すると、複数のロール状部材106が前後方向に沿って並べられた第1ローラ列312と、同じく複数のロール状部材106が前後方向に沿って並べられた第2ローラ列313とが、載置部31に設けられている。各々のロール状部材106は、容器20の移動経路に沿った回転が可能なように設けられており、容器20を前方へ円滑に移動させる。
【0096】
また、第2移動機構30Bには、上記のとおり、容器20を回転させ容器20に付された識別標記23を前方に向ける回転機構50が設けられている。
ここで回転機構50は、第2移動機構30Bの前後方向に沿って設けられた第1ガイド51と、同じく前後方向に沿って設けられた第2ガイド52とを有している。なお、この第1ガイド51は、図中左方側のガイド32に接続された支持部材53により支持されている。また、第2ガイド52は、図中右方側のガイド32に接続された支持部材54により支持されている。
【0097】
第1ガイド51は、板状の部材により構成され、載置部31の上方に設けられている。また、第1ガイド51は、前方側に第1傾斜部511を有し、後方側に第2傾斜部512を有している。
ここで第1傾斜部511は、図24(A)に示すように、図中左上側の一端部の方が図中右下側の他端部よりも上方に位置するように、且つ、この一端部の方が他端部よりも左側に位置するように傾斜して配置されている。付言すれば、第1傾斜部511は、第2移動機構30Bの載置部31から離れるに従い左方側のガイド32側に接近するように傾斜して配置されている。また第1傾斜部511は、キャップ22の外周面(容器20の側部)が接触する(詳細は後述)接触面511aに、複数の凸部および凹部を有している。
【0098】
なお接触面511aは、図24(A)に示すように、載置部31から離れるに従い容器20の移動経路の側方(図24(A)中左方向)に接近するように傾斜した状態となっている。付言すれば、接触面511aは、容器20の移動経路の側方に向かうに従い載置部31から離れるように傾斜した状態となっている。更に付言すれば、接触面511aは、左方側のガイド32側に傾斜して配置され、斜め上方を向くように配置されている。
【0099】
図23を再度参照し説明を続ける。接触面511aに形成された凸部および凹部は、第2移動機構30Bの前後方向と直交する方向に沿って形成されるとともに、第2移動機構30Bの前後方向において、交互に配置されている。そして本実施形態では、キャップ22の外周面が接触面511aに接触した状態にあると、キャップ22の外周面に形成された凹凸と、接触面511aに形成された凹凸とが噛み合うようになる。この結果、容器20における左方側の移動が抑制され、容器20は周方向の回転を行う(詳細は後述)。
【0100】
第2傾斜部512は、第2移動機構30Bの後方側に向かうに従い、左方側のガイド32に接近するように配置されている。付言すれば第2ガイド52との間に形成される間隙が拡がるように配置されている。なお、第2傾斜部512には、上記凹凸が設けられていないが、この第2傾斜部512にも凹凸を付与することができる。この第2傾斜部512は、第3移動機構30C(図1参照)から移動してきた容器20を第2ガイド52側に誘導する。
【0101】
一方、第2ガイド52は、円柱状の部材により構成され、載置部31の上方に設けられている。また、第2ガイド52は、第1ガイド51との間に間隙を有し且つ第1ガイド51に対向配置されている。この第2ガイド52は、その前方に直線状に形成されたストレート部521を有し、その後方に傾斜部522を有している。
【0102】
傾斜部522は、第2移動機構30Bの後方側に向かうに従い右方側のガイド32に接近するように配置されている。また、傾斜部522は、第2移動機構30Bの後方側に向かうに従い載置部31に接近するように配置されている。付言すれば、第2移動機構30Bの前方に向かうに従い載置部31から離れるように配置されている。また傾斜部522は、その端部(図中上端部)が、移動してきた容器20の突出部24(図22参照)よりも下方に位置するように配置されている。この傾斜部522は、移動してきた容器20を第1ガイド51側に誘導する。また、傾斜部522およびストレート部521は、後述するように容器20に傾斜を付与する。
【0103】
ここで図25を参照して回転機構50について更に詳細に説明する。なお、同図(A)は図23のA−A線における断面図であり、同図(B)は図23のB−B線における断面図であり、同図(C)は図23のC−C線における断面図である。
【0104】
上記のとおり第2ガイド52には、傾斜部522が設けられ、そしてこの傾斜部522は、第2移動機構30Bの後方側に向かうに従い載置部31に接近するように配置されている。即ち、第2移動機構30Bの前方に向かうに従い載置部31から離れるように配置されている。付言すれば、傾斜部522と載置部31との離間距離が第2移動機構30Bの前方に向かうに従い大きくなるように、傾斜部522は配置されている。
【0105】
例えば図25(A)にて載置部31と傾斜部522との離間距離がH1であった場合に、図25(B)では離間距離がH2(>H1)となり、図25(C)では離間距離がH3(>H2>H1)となる。また、第1ガイド51の第2傾斜部512と、第2ガイド52の傾斜部522との水平方向の距離は、陳列装置30の前方側に向かうに従い小さくなっている。例えば図25(A)にて水平方向の距離がW1であった場合に、図25(B)ではW2(<W1)となり、図25(C)ではW3(<W2<W1)となる。
【0106】
本実施形態では、識別標記23が移動経路の側方を向いた状態(前方以外の方向を向いた状態)で、容器20が第3移動機構30C(図1参照)から移動してくると、容器20の右方側が傾斜部522により持ち上げられ、容器20は左方側に傾くようになる。そしてこの傾きによって、容器20のキャップ22が第1ガイド51に接触し、容器20が回転するようになる。そして識別標記23が前方を向くと、キャップ22が第1ガイド51から離間し、容器20は識別標記23が前方を向いた状態で前方に移動していく。
【0107】
図26、図27(容器20の動作を説明するための図)を用いて容器20の動作について詳細に説明する。なお、図26(A)は、図25(A)で示した回転機構50と容器20とを示した図であり、図26(B)は、図25(B)で示した回転機構50と容器20とを示した図であり、また、図26(C)は、図25(C)で示した回転機構50と容器20とを示した図である。
【0108】
図26(A)に示すように、識別標記23が移動経路の側方を向いた状態の容器20が、第1ガイド51の第2傾斜部512と第2ガイド52の傾斜部522との間に達すると、容器20の突出部24の下部に傾斜部522が位置する状態となる。そして本実施形態では、傾斜部522が、上記のとおり載置部31から離れるように傾斜した状態で配置されているために、容器20に傾斜が付与される。
【0109】
詳細には、容器20の前方への移動に伴い突出部24の下部に傾斜部522が接触する。そして、容器20がさらに前方へ移動するのに伴い、突出部24が傾斜部522に持ち上げられるようになる(同図(B)参照)。これにより容器20は、第2傾斜部512(第1ガイド51)側に傾くようになる。そして、容器20は、突出部24が傾斜部522により更に持ち上げられることで更に傾くようになり、同図(C)に示すように、キャップ22の外周面であってキャップ22の上部側が第1傾斜部511(第1ガイド51)の接触面511aに接触する。これによりキャップ22の外周面における凹凸と、第1傾斜部511の接触面511aにおける凹凸との間で噛み合いが生じる。
【0110】
その後、容器20は、図27(A)の矢印6Dに示すように周方向の回転を開始し更に前方へ移動していく。そして同図(B)に示すように識別標記23(第2識別標記23b)が前方を向く状態となると、ストレート部521(第2ガイド52)による突出部24の支持が解除される。付言すれば、識別標記23が前方を向く状態となると、突出部24の第1平坦部241あるいは第2平坦部242(図22(B)参照)が、ストレート部521と対峙するようになり、第2ガイド52による突出部24の支持が解除される。
【0111】
この結果、図27(B)、(C)に示すように、容器20の上部側(キャップ22側)がストレート部521(第2ガイド52)側に移動するようになり、キャップ22と第1傾斜部511(第1ガイド51)とが離間するようになる。これにより、容器20への回転力の付与も解除される。そして、容器20は同図(C)に示す姿勢を維持した状態で前方へスライドしていく。即ち、容器20は、識別標記23が前方を向いた状態を維持したまま第2移動機構30Bの前方まで移動していく。なお、第2ガイド52(ストレート部521)には、フッ素樹脂など摺動抵抗を減じる素材を貼付等しておくことがより好ましい。識別標記23が前方を向いた容器20の第2ガイド52による再回転をより抑制可能となるからである。
【0112】
本実施形態では、図26(A)に示したように、例えば第2識別標記23bが側方を向いた状態で容器20が移動してきたとしても、前方に達する段階において、第2識別標記23bが前方に向くようになる。このため、識別標記23の向きを考慮せずに陳列装置30に容器20を投入しても、陳列装置30の前方側に容器20が達した際に識別標記23が前方を向いた状態となる。即ち本実施形態では、容器20を陳列装置30に投入する投入者が特別な操作をしないでも、識別標記23が前方を向くこととなる。
【0113】
なお、識別標記23が前方を向いた状態で容器20が移動してきた場合には、第2ガイド52の傾斜部522による突出部24の持ち上げが行われない。このため、キャップ22と第1ガイド51との接触も行われず、容器20は識別標記23が前方を向いた姿勢を維持したまま(識別標記23が前方を向いた状態を維持したまま)第2移動機構30Bの前方へ移動していく。
【0114】
なお上記では、2つの識別標記23が180°のずれを有して配置された容器20について説明した。その一方で、容器20には識別標記23が一つのみ設けられる場合がある。また、識別標記23が180°以外のずれを有して配置される場合もある。
【0115】
図28、図29は、容器20の他の一例を示した図である。
例えば図28に示すように、識別標記23が一つのみ設けられる場合には、面削ぎ状(切り欠き状)の部位を一箇所設ける。即ち、第1平坦部241を一箇所設ける。なお、この第1平坦部241は、識別標記23に対し90°のずれを有して配置される。
また例えば図29に示すように、2つの識別標記23(第1識別標記23a、第2識別標記23b)が90°のずれを有して配置される場合がある。このような場合は、第1識別標記23aに対応して第2平坦部242を設け、第2識別標記23bに対応して第1平坦部241を設ける。
【0116】
なお、ペットボトルなどの樹脂製の容器20は、設計の自由度が高いため、円筒状のものに限られず図30に示すような形状とすることもできる。
図30は、容器20の変形例を示した図である。なお同図(A)は容器20の正面図であり、同図(B)は同図(A)のA−A線における断面図である。また、同図(C)は同図(A)のB−B線における断面図である。
同図に示す容器20は、基本形状が角柱(四角柱)状に形成されている。そして、4つある側面のうち、互いに対向する関係の第1側面211および第2側面212に識別標記23が付されている。
【0117】
ここで基本形状が角柱状である場合、容器20の回転が困難となることが想定される。このため本変形例における容器20では、載置部31と接触する箇所(容器20の底部側)を円筒状としている。付言すれば、容器20の底部側における断面の外形形状を円としている。このような形態とすることにより、容器20を円滑に回転させ識別標記23を前方に向けることが可能となる。
【0118】
また、容器20の底部が円筒状以外である場合、図31(容器20等の他の一例を示した図)の(A)に示すように、容器20の底部に外周形状が円形の装着部材70を取り付けてもよい。なお、同図(B)は、底部の形状が三角形の容器20に装着される装着部材70を示し、同図(C)は、底部の形状が四角形の容器20に装着される装着部材70を示し、同図(D)は、底部の形状が六角形の容器20に装着される装着部材70を示し、同図(E)は、底部の形状が楕円の容器20に装着される装着部材70を示している。
【0119】
また、上記実施形態では樹脂製の容器20を例示したが、いわゆる金属ボトル缶に対しても上記と同様の機能を付与することができる。但し、上記突出部24に相当する箇所は、別部材を取り付けることにより形成することが好ましい。また、上記実施形態では、載置部31に複数のロール状部材106を設けたが、ロール状部材106を省略し載置部31を平滑にしてもよい。また上記実施形態では、第1ガイド51の接触面511aに凹凸を付与したが、接触面511aに対してEPDM(エチレン−プロピレンゴム)などのゴム部材を貼付してもよい。
【0120】
また、第1ガイド51および第2ガイド52は、次のような形態とすることもできる。
図32および図33は、第1ガイド51および第2ガイド52の変形例を示した図である。
図23では、第1ガイド51が板状の部材により構成されていたが、図32(A)に示すように、第1ガイド51は、円柱状の部材により構成することができる。なおこの場合も、凹凸が第1ガイド51の表面に形成されている。また、図32(B)に示すように、第2ガイド52の表面に、回転可能に設けられた球状のコロ523を設けることもできる。なお、このようにコロ523を設ける場合、第2ガイド52は、円柱状ではなく、上面が形成されるように断面を矩形とすることが好ましい。
【0121】
さらに、第2ガイド52は、図33に示すような形態とすることもできる。ここで、同図(A)は第2移動機構30Bの上面図である。同図(B)は同図(A)のA−A線における断面図を示している。同図(B)に示すように、第2ガイド52は、円柱状ではなく、断面が半円状となるように形成することもできる。なお、この場合、円弧を有する部分が上部側に位置する。また、第2ガイド52は、同図(C)に示すように、側方からではなく下方から支持することもできる。即ち、第2ガイド52の下部に対して支持部材54を接続することもできる。
【0122】
また、第1ガイド51、第2ガイド52、および容器20には、次のような形態を採用することもできる。
図34は、第1ガイド51、第2ガイド52、および容器20の変形例を示した図である。なお同図(D)は容器20の上面図であり、同図(E)は同図(D)のA−A線における断面図であり、同図(F)は同図(D)のB−B線における断面図である。
【0123】
本形態おける容器20の突出部24は、同図(A)、(C)、(E)に示すように、第1識別標記23aが設けられた側が薄く、第2識別標記23bが設けられた側が厚くなっている。また、識別標記23と90°位相がずれた位置(同図(B)、(F)参照)では、上記薄い箇所の厚みと厚い箇所の厚みの間の厚み(中間の厚み)となっている。付言すれば、突出部24の下面は、容器20の中心軸に対して直交する面と平行とならずこの面に対して傾斜している。
【0124】
また同図(A)に示すように第1ガイド51は、同じ高さ位置に、相対するように2つ設置されている。また、第2ガイド52も、同じ高さ位置に、相対するように2つ設置されている。なお、第2ガイド52は、第1ガイド51よりも下方に位置している。
【0125】
本実施形態では、容器20の識別標記23(第1識別標記23a、第2識別標記23b)が移動方向と直交する方向を向いている場合、同図(A)、(C)に示すように第2ガイド52によって突出部24が下方から支持される。そしてこの場合、突出部24の下面が水平となり、容器20がいずれかの第1ガイド51側に傾く。これにより、キャップ22に対して第1ガイド51が接触するようになる。この結果、容器20は回転しながら移動する。そして、同図(B)に示すように例えば第1識別標記23aが進行方向を向くと、突出部24の左右における厚みが均等となり、容器20の傾きが無くなる。これにより、キャップ22と第1ガイド51との接触が解除され、容器20の回転が停止する。その後、容器20は第1識別標記23aが前方を向いた状態(進行方向を向いた状態)で、移動していく。
【0126】
また第2移動機構30Bは、次のような構成とすることもできる。
図35は、第2移動機構30Bの他の構成例を示した図である。
同図に示す第2移動機構30Bは、上記と同様、載置部31、ガイド32、および規制板34を備えている。また、この第2移動機構30Bは、容器20の移動経路に沿って配置され且つ載置部31の上方に配置され、容器20の移動をガイドする上方ガイド350を備えている。なお、この上方ガイド350は、第2移動機構30Bの後方側から容器20が取り出される前方側に向かって下り傾斜した状態で配置されている。さらに第2移動機構30Bは、この上方ガイド350を支持する支持フレーム(不図示)を備えている。
【0127】
第2移動機構30Bについてさらに詳細に説明する。
図36は、上方ガイド350を説明する図である。ここで同図(A)は、上方ガイド350を前方側から眺めた場合の図であり、同図(B)は、上方ガイド350の上面図である。
上記のように第2移動機構30Bには、載置部31の上方に上方ガイド350が設けられている。ここで、この上方ガイド350は、同図(A)に示すように、左方側に配置された左方側上方ガイド351と、右方側に配置された右方側上方ガイド352とから構成されている。即ち、上方ガイド350は、第2移動機構30Bの幅方向に並列配置された左方側上方ガイド351と右方側上方ガイド352とから構成されている。
【0128】
ここで、左方側上方ガイド351および右方側上方ガイド352は、その断面が矩形状に形成されるとともに、上面が平坦に形成されている。また、左方側上方ガイド351と右方側上方ガイド352とは、間隙Lをおいて配置されている。即ち、左方側上方ガイド351と右方側上方ガイド352は、間隙Lをおいて離間した状態で配置されている。なお、左方側上方ガイド351および右方側上方ガイド352は、上記支持フレーム(不図示)から下方に延びる支持部37にその一端部が固定されている。
【0129】
また同図(A)および同図(B)に示すように、左方側上方ガイド351の上面には、容器20に対して摺動抵抗(摩擦抵抗)を付与する抵抗付与部38が取り付けられている。ここでこの抵抗付与部38は、左方側上方ガイド351の配設方向に沿って(第2移動機構30Bの前後方向)に沿って取り付けられている。なお抵抗付与部38は、例えば、EPDM(エチレン−プロピレンゴム)などのゴム部材により構成することができる。
【0130】
次いで容器20について説明する。
図37は、容器20を説明するための図である。なお、同図(A)は正面図を示し、同図(B)は上面図を示している。
【0131】
同図に示す容器20は、PETなどの樹脂材料を用い射出成形(ブロー成形)により形成された容器を例示している。この容器20は、上記図22で示した容器20と同様に、容器本体21と、容器本体21の開口を塞ぐキャップ22とを備えている。また容器20には、フィルムFが装着されている。
【0132】
ここでフィルムFは、容器本体21の外周面に装着されている。また、フィルムFには、同図(A)、(B)に示すように、第1識別標記23a、第2識別標記23bが印刷されている。ここで、第1識別標記23aおよび第2識別標記23bは、容器20の周方向において、位相が180°ずれた状態で配置されている。また容器20は、図22で示した容器20と同様に突出部24を備えている。
【0133】
ここで突出部24は、容器本体21と一体に形成されている。また突出部24は、上記図22で示した突出部24と同様の形状となっている。即ち、突出部24は、同図(B)に示すように、直径D2を有した円の一部が切り欠かれた形状となっている。付言すれば、突出部24は、直径D2を有した円の一部に面削ぎ状の部位が設けられた状態となっている。更に説明すれば、突出部24は、直径D2を有した円の一部に、第1平坦部241が設けられ、他の一部に、第2平坦部242が設けられた状態となっている。
【0134】
また、第1平坦部241および第2平坦部242は、互いに平行となる関係で配置されている。また、第1平坦部241と第2平坦部242とは、距離D1をおいて配置されている。さらに、識別標記23との関係を説明すると、第1平坦部241および第2平坦部242は、第1識別標記23aおよび第2識別標記23bに対し、位相が90°ずれた状態で配置されている。
【0135】
また、上記間隙L(図36参照)との大小関係を説明すると、直径D2は間隙Lよりも大きくなっている。即ち、直径D2>間隙Lの関係となっている。また、上記距離D1は間隙Lよりも小さくなっている。即ち、距離D1<間隙Lとなっている。
さらに説明すると、第1識別標記23a又は第2識別標記23bが陳列装置30(図1参照)の前方を向いた際における突出部24の幅は、間隙Lよりも小さくなっている。また、第1識別標記23a又は第2識別標記23bが前方以外の方向(例えば陳列装置30の幅方向)を向いた際における突出部24の幅は、間隙Lよりも大きくなっている。
【0136】
さらに説明すると、第1識別標記23a又は第2識別標記23bが向いている方向における突出部24の幅はD2となり、第1識別標記23a又は第2識別標記23bが向いている方向と直交する方向における突出部24の幅はD2よりも小さいD1となっている。
このため本実施形態では、識別標記23が前方以外を向いている際には容器20が上方ガイド350により支持され、識別標記23が前方を向いた場合に容器20が上方ガイド350から落下する(詳細は後述)。なお突出部24のうち直径D2を有する部分は幅広部として捉えることが可能であり、突出部24のうち第1平坦部241が設けられた箇所から第2平坦部242が設けられた箇所にかけては幅狭部として捉えることができる。
【0137】
次に、第2移動機構30Bにおける容器20の動作について説明する。
なお、本形態における第2移動機構30Bでは、第2移動機構30Bの載置部31に対し容器20を浮かせる必要がある。付言すれば、載置部31と容器20とを離れた状態としないと容器20を落下させることができない。そこで本実施形態では、図38(第3移動機構30Cの変形例を示す図)に示すように、第3移動機構30Cにおける第1停止部材130の高さ方向における寸法を大きくしている。これにより、移動ユニット100が下方にて停止した際、載置部31と移動ユニット100の底部101との間に高低差(段差)ができる。この結果、容器20は、第2移動機構30Bへ移動する際、第2移動機構30Bの載置部31から離間した状態となる。
【0138】
図39は、第2移動機構30Bにおける容器20の動作を示した図である。
ここで容器20は、突出部24が上方ガイド350よりも上方に位置する状態で、第3移動機構30Cから移動してくる。この結果、容器20は、上方ガイド350によってつり下げられた状態となる。なお、容器20の重心位置よりも上部にて容器20は上方ガイド350により支持される。このため、容器20の重心位置よりも下部にて容器20が支持される場合に比べ、容器20の回転(後述)が安定する。
【0139】
第2移動機構30Bに容器20が移動してきた際に、例えば図39の符号4Aに示すように、第1識別標記23aおよび第2識別標記23bが第2移動機構30Bの幅方向を向いている場合、突出部24が左方側上方ガイド351および右方側上方ガイド352によって支持される。即ち、突出部24のうち上記直径D2を有した部位が、左方側上方ガイド351および右方側上方ガイド352によって支持される。
【0140】
その後容器20は前方へのスライド移動を開始するが、左方側上方ガイド351には抵抗付与部38が設けられているために、容器20の左方側に対し抗力が付与され、容器20の左側は移動が抑制される。その一方で、容器20の右方側は前方へ移動しようとする。このため容器20は、符号4Aに示すような時計回りの回転(周方向)の行いながら前方へ移動していく。
【0141】
そして符号4Bに示すように、第1平坦部241および第2平坦部242が第2移動機構30Bの幅方向を向く状態となると、突出部24が左方側上方ガイド351および右方側上方ガイド352の間を通過可能となり、容器20は載置部31(図35参照)へ(下方へ)落下する。付言すれば、上方ガイド350から載置部31へ容器20が受け渡される。なお、容器20が落下する際には、例えば第1識別標記23aが前方を向く状態となっている。そして載置部31に落下した容器20は、周方向の回転を行わずに(第1識別標記23aが前方を向いた状態で)第2移動機構30Bの前方まで移動していく。
【0142】
なお、上方ガイド350および容器20等は次のような形態とすることもできる。
図40は、上方ガイド350、容器20等の他の構成例を示した図である。
本例では、左方側上方ガイド351の上部であって左方に、ガイド突出部41aを備えた回転付与部141が設けられている。
【0143】
一方、容器20の突出部24は、同図(C)に示すように、第1識別標記23a、第2識別標記23bと対応する位置に凹凸状の突起341を有している。
また、本実施形態では、上方ガイド350が図35に示した位置よりも下方に位置している。このため、本形態では、図40(A)に示すように、突出部24の下面よりも上方ガイド350が下方に位置し、上方ガイド350の上面と突出部24の下面とが接触しないようになっている。本形態における上方ガイド350は、容器20の左右方向への移動を規制する役割を果たしている。
【0144】
ここで容器20は、載置部31上を移動するが、上方ガイド350が設置された部分を通過するときに、同図(B)に示すように、突出部24の突起341が左方側上方ガイド351側に設けられた回転付与部141のガイド突出部41aに噛み合うようになる。これにより容器20は回転しながら前方へ移動する。そして、突起341とガイド突出部41aとの噛み合いが終了すると、容器20の回転が停止する。そして容器20は回転せずに前方へ移動していく。
【0145】
なお、上記にて説明した形態では、飲料が充填された容器20を一例に説明したが、容器20は飲料を充填したものに限られない。例えば化粧品が充填された容器20や、液体状の石鹸が充填された容器20なども一例として挙げられる。また、内部に被充填物が充填された容器20に限られず、識別標記23が付され商品(物品)であれば上記形態を利用して識別標記23を前方(特定の方向)に向けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1】本実施形態に係る陳列装置の概略構成を示した図である。
【図2】陳列装置が設置される陳列ケースを示した図である。
【図3】第3移動機構を説明するための図である。
【図4】図3のA−A線における断面図である。
【図5】陳列装置における容器の動作を示した図である。
【図6】陳列装置における容器の動作を示した図である。
【図7】陳列装置における容器の動作を示した図である。
【図8】第2移動機構の他の一例を示した図である。
【図9】第2移動機構の他の一例を示した図である。
【図10】第2移動機構を説明するための図である。
【図11】第2移動機構の他の一例を示す図である。
【図12】容器を説明するための図である。
【図13】第2移動機構における容器の動作を説明するための図である。
【図14】容器に対して印刷を行う印刷機を示した図である。
【図15】容器の他の形態を示した図である。
【図16】容器の他の形態を示す図である。
【図17】容器の他の一形態を示した図である。
【図18】容器の他の形態を示した図である。
【図19】容器等の他の形態を示した図である。
【図20】容器の他の一例を示した図である。
【図21】第2移動機構の他の一形態を示した図である。
【図22】容器を説明するための図である。
【図23】第2移動機構の上面図である。
【図24】第2移動機構の正面図および背面図である。
【図25】回転機構について説明するための図である。
【図26】容器の動作を説明するための図である。
【図27】容器の動作を説明するための図である。
【図28】容器の他の一例を示した図である。
【図29】容器の他の一例を示した図である。
【図30】容器の変形例を示した図である。
【図31】容器等の他の一例を示した図である。
【図32】第1ガイドおよび第2ガイドの変形例を示した図である。
【図33】第1ガイドおよび第2ガイドの変形例を示した図である。
【図34】第1ガイド、第2ガイド、および容器の変形例を示した図である。
【図35】第2移動機構の他の構成例を示した図である。
【図36】上方ガイドを説明する図である。
【図37】容器を説明するための図である。
【図38】第3移動機構の変形例を示す図である。
【図39】第2移動機構における容器の動作を示した図である。
【図40】上方ガイド、容器等の他の構成例を示した図である。
【符号の説明】
【0147】
20…容器、23a…第1識別標記、23b…第2識別標記、30…陳列装置、30A…第1移動機構、30B…第2移動機構、30C…第3移動機構、31…載置部、100…移動ユニット、101…底部、102…前面部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料容器と、
前記飲料容器を陳列する陳列装置と、
を備え、
前記陳列装置は、
前記飲料容器が投入される投入部を有し、当該投入部に投入された当該飲料容器を一方向に移動させる第1の移動手段と、
前記第1の移動手段により移動してきた前記飲料容器を支持する支持部を有し、当該支持部を移動させることで当該飲料容器を下降させる下降手段と、
前記第1の移動手段の下方に配置され、前記下降手段により下降してきた前記飲料容器を前記投入部が設けられている側に移動させる第2の移動手段と、
を備えることを特徴とする陳列システム。
【請求項2】
前記第1の移動手段は、投入された前記飲料容器が載置される載置面の傾斜を利用して、当該飲料容器を前記一方向に且つ当該載置面の端部に向けて移動させ、
前記下降手段は、前記第1の移動手段により移動され前記載置面から落下した前記飲料容器を前記支持部により支持することを特徴とする請求項1記載の陳列システム。
【請求項3】
前記下降手段の前記支持部は、前記第1の移動手段により移動してきた前記飲料容器を下方から支持する支持面であり、
前記下降手段は、前記支持面を下降させることで前記飲料容器を下降させることを特徴とする請求項1又は2に記載の陳列システム。
【請求項4】
前記支持面には、当該支持面に載っている前記飲料容器を前記第2の移動手段が配置された側に移動させる傾斜が付与されていることを特徴とする請求項3記載の陳列システム。
【請求項5】
前記第2の移動手段は、前記支持面から移動してきた前記飲料容器を、傾斜面を用いて前記投入部が設けられている側に移動させ、
前記下降手段は、前記支持面の前記傾斜面側の端部と当該傾斜面の当該支持面側の端部とが揃うように、下降させた当該支持面を停止させることを特徴とする請求項4記載の陳列システム。
【請求項6】
飲料容器が投入される投入部を有し、当該投入部に投入された当該飲料容器を一方向に移動させる第1の移動手段と、
前記第1の移動手段により移動してきた前記飲料容器を支持する支持部を有し、当該支持部を移動させることで当該飲料容器を下降させる下降手段と、
前記第1の移動手段の下方に配置され、前記下降手段により下降してきた前記飲料容器を前記投入部が設けられている側に移動させる第2の移動手段と、
含む陳列装置。
【請求項7】
前記支持部により前記飲料容器が支持されている際に前記第1の移動手段により移動してきた他の飲料容器の当該支持部への移動を規制する規制手段を更に備えることを特徴とする請求項6記載の陳列装置。
【請求項8】
前記下降手段は、前記飲料容器の重みを利用して前記支持部を移動させることを特徴とする請求項6又は7に記載の陳列装置。
【請求項9】
前記飲料容器の外面には標記が付され、
前記標記を前記投入部が設けられている側に向けるために前記飲料容器を回転させる回転手段を更に備えることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか記載の陳列装置。
【請求項1】
飲料容器と、
前記飲料容器を陳列する陳列装置と、
を備え、
前記陳列装置は、
前記飲料容器が投入される投入部を有し、当該投入部に投入された当該飲料容器を一方向に移動させる第1の移動手段と、
前記第1の移動手段により移動してきた前記飲料容器を支持する支持部を有し、当該支持部を移動させることで当該飲料容器を下降させる下降手段と、
前記第1の移動手段の下方に配置され、前記下降手段により下降してきた前記飲料容器を前記投入部が設けられている側に移動させる第2の移動手段と、
を備えることを特徴とする陳列システム。
【請求項2】
前記第1の移動手段は、投入された前記飲料容器が載置される載置面の傾斜を利用して、当該飲料容器を前記一方向に且つ当該載置面の端部に向けて移動させ、
前記下降手段は、前記第1の移動手段により移動され前記載置面から落下した前記飲料容器を前記支持部により支持することを特徴とする請求項1記載の陳列システム。
【請求項3】
前記下降手段の前記支持部は、前記第1の移動手段により移動してきた前記飲料容器を下方から支持する支持面であり、
前記下降手段は、前記支持面を下降させることで前記飲料容器を下降させることを特徴とする請求項1又は2に記載の陳列システム。
【請求項4】
前記支持面には、当該支持面に載っている前記飲料容器を前記第2の移動手段が配置された側に移動させる傾斜が付与されていることを特徴とする請求項3記載の陳列システム。
【請求項5】
前記第2の移動手段は、前記支持面から移動してきた前記飲料容器を、傾斜面を用いて前記投入部が設けられている側に移動させ、
前記下降手段は、前記支持面の前記傾斜面側の端部と当該傾斜面の当該支持面側の端部とが揃うように、下降させた当該支持面を停止させることを特徴とする請求項4記載の陳列システム。
【請求項6】
飲料容器が投入される投入部を有し、当該投入部に投入された当該飲料容器を一方向に移動させる第1の移動手段と、
前記第1の移動手段により移動してきた前記飲料容器を支持する支持部を有し、当該支持部を移動させることで当該飲料容器を下降させる下降手段と、
前記第1の移動手段の下方に配置され、前記下降手段により下降してきた前記飲料容器を前記投入部が設けられている側に移動させる第2の移動手段と、
含む陳列装置。
【請求項7】
前記支持部により前記飲料容器が支持されている際に前記第1の移動手段により移動してきた他の飲料容器の当該支持部への移動を規制する規制手段を更に備えることを特徴とする請求項6記載の陳列装置。
【請求項8】
前記下降手段は、前記飲料容器の重みを利用して前記支持部を移動させることを特徴とする請求項6又は7に記載の陳列装置。
【請求項9】
前記飲料容器の外面には標記が付され、
前記標記を前記投入部が設けられている側に向けるために前記飲料容器を回転させる回転手段を更に備えることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか記載の陳列装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【公開番号】特開2010−240315(P2010−240315A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−95254(P2009−95254)
【出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【出願人】(000186854)昭和アルミニウム缶株式会社 (155)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【出願人】(000186854)昭和アルミニウム缶株式会社 (155)
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