陽電子放射断層撮像装置
【課題】検出器の一部を抜き取って構成する場合でも、アーチファクトを低減させることができる陽電子放射断層撮像装置を提供することを目的とする。
【解決手段】PET装置1は、データ収集部13は、対消滅光子が検出された検出器対を結ぶ線を示すLORデータを収集し、補間LORデータ作成部17は、抜き取った検出器部分があれば収集されると推定する補間LORの本数を確率的に算出して補間LORデータを作成している。抜き取った検出器部分の欠損したLORを、確率的に算出した補間LORデータで補間しているので、断層画像に発生していたアーチファクトを低減させることができる。
【解決手段】PET装置1は、データ収集部13は、対消滅光子が検出された検出器対を結ぶ線を示すLORデータを収集し、補間LORデータ作成部17は、抜き取った検出器部分があれば収集されると推定する補間LORの本数を確率的に算出して補間LORデータを作成している。抜き取った検出器部分の欠損したLORを、確率的に算出した補間LORデータで補間しているので、断層画像に発生していたアーチファクトを低減させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射性薬剤が投与された被検体から対消滅光子を検出して、被検体内の放射性薬剤の分布を画像化する陽電子放射断層撮像装置に係り、特に、アーチファクトを低減する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
陽電子放射断層撮像装置(PET(Positron Emission Tomography)装置ともいう:以下適宜「PET装置」と称する)は、放射性薬剤が投与された被検体から180°反対方向に放射される511KeVの対消滅光子(例えばγ線)をPETガントリ内に設けられた複数個の検出器がリング状に配置されたリング型検出器で検出する。そして、この光子の検出した時刻を測定し、2つの検出器での検出時刻差が一定時間以内の場合にそれを一対の対消滅光子として計数(同時計数)する。さらに対消滅の発生地点を、その2つの検出器の直線上に存在するものとして特定する。このように計数したデータを蓄積して再構成処理を行い、断層画像を取得している(例えば、特許文献1参照)。なお、特定の病巣に集積しやすい放射性薬剤を使用する場合、その病巣が断層画像上に高い画素値となって現れて識別することができる。
【0003】
また、PET装置は、断層画像を取得するために複数個の検出器をリング状(正確には多角形)に配置している。これは断層方向に対して全ての角度に関する情報を収集し、断層画像を再構成するためである(完全投影)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−245695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のように、仮に検出器の故障などによって情報の一部が欠落すると、断層画像にアーチファクトが発生する問題がある。すなわち、不完全投影によるアーチファクトが発生する。そこで従来装置は、故障などにより情報の一部が欠落した検出器データを使用しないようにしたり、隣接する検出器など、近くの検出器のデータをそのまま流用したりする方法でアーチファクトを低減させている。また、基本的にこれらの手法は、検出器交換までの臨時的な処置である。
【0006】
ところが、リング状に配置された複数個の検出器から、一部(例えば2個)の検出器を抜き取った、例えばC型の検出器配置の場合、決して完全投影の情報を得られることは無く、また、情報が欠損している角度が大きい。そのため、検出器データを使用しないようにしたり、近くの検出器データをそのまま流用したりして再構成しても顕著にアーチファクトが発生することになる。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、検出器の一部を抜き取って構成する場合でも、アーチファクトを低減させることができる陽電子放射断層撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。すなわち、本発明に係る陽電子放射断層撮像装置は、リング状に配置された複数個の検出器の一部を抜き取って構成され、放射性薬剤が投与された被検体から放射される対消滅光子を検出する検出部と、前記対消滅光子が検出された検出器対を結ぶ線を示すLORデータを収集するデータ収集部と、前記抜き取った検出器部分があれば収集されると推定する補間LORの本数を確率的に算出して補間LORデータを作成する補間LORデータ作成部と、前記データ収集部で収集された前記LORデータに前記補間LORデータ作成部で算出された前記補間LORデータを加算処理する確率LOR補間処理部と、を備えることを特徴とするものである。
【0009】
本発明に係る陽電子放射断層撮像装置によれば、データ収集部は、対消滅光子が検出された検出器対を結ぶ線を示すLORデータを収集し、補間LORデータ作成部は、抜き取った検出器部分があれば収集されると推定する補間LORの本数を確率的に算出して補間LORデータを作成している。抜き取った検出器部分の欠損したLORを、確率的に算出した補間LORデータで補間しているので、断層画像に発生していたアーチファクトを低減させることができる。
【0010】
すなわち、リング状に配置した複数個の検出器の一部を抜き取って構成された検出部のうち、その抜き取った部分の検出器があれば、実測できたであろう欠損したLORデータを実測したLORデータから推定して補間することができる。したがって、断層画像に発生していたアーチファクトを低減させることができる。それにより、リング状に配置した検出器の一部を抜き取って構成された検出部を備えた本装置を有効なものとすることができる。
【0011】
また、検出部は、リング状に配置された複数個の検出器のうちの抜き取った検出器部分で、採血チューブなどの器具や天板に載置された被検体や光などの様々な物を通すことができる。例えば、複数個の検出器が完全なリング状に配置された検出部(検出器リング)である場合、その検出部内の被検体は、圧迫感を感じてしまう。しかしながら、検出部は、リング状に配置される複数個の検出器の一部を抜き取って構成されているので、その抜き取った検出器部分で、光や空気などが通すことができ、被検体が感じる圧迫感を軽減させることができる。また、検出部を構成する検出器の個数を少なくすることができるので、本装置の製造コストを低減させることができる。
【0012】
また、本発明に係る陽電子放射断層撮像装置において、前記検出部のリング状に配置された複数個の検出器の内側の空間を格子状に分割し、各格子を通過したLORの本数をカウントして格子状データを作成する格子状データ作成部を備え、前記補間LORデータ作成部は、前記格子状データの各格子を通過したLORの本数と各格子の実測検出面の角度と全角度から各格子を通過するLORの推定総本数を算出し、この推定総本数と前記抜き取った検出器部分の欠損検出面の角度と全角度から補間する補間LORの本数を算出して補間LORデータを作成することが好ましい。すなわち、格子状データ作成部は、空間を格子状に分割した各格子を通過したLORの本数をカウントして格子状データを作成し、補間LORデータ作成部は、格子状データの各格子を通過したLORの本数や実測検出面の角度や欠損検出面の角度などから、補間する補間LORの本数を算出して補間LORデータを作成している。それにより。欠損したLORを補間することができるので、断層画像に発生していたアーチファクトを低減させることができる。
【0013】
また、本発明に係る陽電子放射断層撮像装置は、リング状に配置された複数個の検出器の中心軸を中心に前記検出部を回転させる回転機構と、前記確率LOR補間処理部で補間処理された前記抜き取った検出器部分の位置のLORデータを、前記回転機構により回転させて収集された前記抜き取った検出器部分の位置に対応するLORデータで補間する補間処理を行う回転LOR補間処理部と、を備えることが好ましい。それにより、確率LOR補間処理部で補間処理されたLORデータを、さらに、回転機構により回転させて収集した、抜き取った検出器部分の位置に対応するLORデータで補間処理を行っているので、断層画像に発生していたアーチファクトをより低減させることができる。
【0014】
また、本発明に係る陽電子放射断層撮像装置は、前記補間LORデータ作成部は、LORデータを収集するごとに補間LORの本数を確率的に算出して補間LORデータを作成し、前記確率LOR補間処理部は、算出された補間LORデータの積算値が予め設定された値以上の場合に補間LORデータを補間処理することが好ましい。時間経過に伴って変動するデータ収集の場合に、データ収集後にまとめてLOR補間をすると、変動量によっては、アーチファクトを良好に低減できないことがある。しかしながら、確率LOR補間処理部は、LORデータを収集するごとに算出された補間LORデータの積算値が予め設定された値以上の場合に補間LORデータを補間処理するので、リアルタイムでLOR補間することができる。
【0015】
また、本発明に係る陽電子放射断層撮像装置は、リング状に配置された複数個の検出器の一部を抜き取って構成され、放射性薬剤が投与された被検体から放射される対消滅光子を検出する検出部と、前記対消滅光子が検出された検出器対を結ぶ線を示すLORデータを収集するデータ収集部と、リング状に配置された複数個の検出器の中心軸を中心に前記検出部を回転させる回転機構と、前記抜き取った検出器部分の位置の欠損したLORデータを、前記回転機構により回転させて収集された前記抜き取った検出器部分の位置に対応するLORデータで補間する補間処理を行う回転LOR補間処理部と、を備えることを特徴とするものである。
【0016】
本発明に係る陽電子放射断層撮像装置によれば、回転LOR補間処理部は、抜き取った検出器部分の位置の欠損したLORデータを、回転機構により回転させて収集した、抜き取った検出器部分の位置に対応するLORデータで補間する処理を行っている。すなわち、欠損したLORデータを、実測したLORデータで補間している。それにより、断層画像に発生していたアーチファクトを低減させることができる。
【0017】
すなわち、リング状に配置した複数個の検出器の一部を抜き取って構成された検出部のうち、その抜き取った部分の検出器があれば、実測できたであろう欠損したLORデータを実測したLORデータから推定して補間することができる。したがって、断層画像に発生していたアーチファクトを低減させることができる。それにより、リング状に配置した検出器の一部を抜き取って構成された検出部を備えた本装置を有効なものとすることができる。
【0018】
また、検出部は、リング状に配置された複数個の検出器のうちの抜き取った検出器部分で、採血チューブなどの器具や天板に載置された被検体や光などの様々な物を通すことができる。例えば、複数個の検出器が完全なリング状に配置された検出部(検出器リング)である場合、その検出部内の被検体は、圧迫感を感じてしまう。しかしながら、検出部は、リング状に配置される複数個の検出器の一部を抜き取って構成されているので、その抜き取った検出器部分で、光や空気などが通すことができ、被検体が感じる圧迫感を軽減させることができる。また、検出部を構成する検出器の個数を少なくすることができるので、本装置の製造コストを低減させることができる。
【0019】
また、本発明に係る陽電子放射断層撮像装置の前記補間処理の一例は、重み付け平均である。これにより、例えば、抜き取った検出器部分の位置の重み付けを“0(ゼロ)”とし、回転機構により回転させて、その抜き取った検出器部分の位置で検出して収集されたLORデータの重み付けを“2”として平均処理する。また、回転前後でLORデータが収集される場合は、収集されたLORデータの重み付けをそれぞれ“1”として平均処理する。このように重み付け平均処理することにより、良好に補間処理することができる。
【0020】
また、本発明に係る陽電子放射断層撮像装置の前記検出部の一例は、C型である。これにより、採血チューブなどの器具や天板に載置された被検体や光など、様々な物を通すことができ、また、本装置の製造コストを低減させることができる。さらに、乳房の画像を撮影する場合に、被検体の腋(わき)窩リンパ部の撮影を良好に行うことができる。
【0021】
また、本発明に係る陽電子放射断層撮像装置の前記検出部の一例は、リング状でかつ多層に配置された複数個の検出器の一部を抜き取って構成されていることである。例えば、複数個の検出器がリング状に配置された検出部(検出器リング)が、被検体Mの体軸方向に多層に構成されている場合、多層に構成された検出部の一部を抜き取って構成されていても、アーチファクトを低減させた断層画像を取得することができる。
【0022】
また、本発明に係る陽電子放射断層撮像装置において、補間されたLORデータを用いて画像再構成する画像再構成部を備えていることが好ましい。それにより、欠損したLORデータが補間されたLORデータで画像再構成が行われるので、アーチファクトが低減された断層画像を取得することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る陽電子放射断層撮像装置によれば、リング状に配置した複数個の検出器の一部を抜き取って構成された検出部のうち、その抜き取った検出器部分があれば、実測できたであろう欠損したLORデータを実測したLORデータから推定して補間することができる。したがって、断層画像に発生していたアーチファクトを低減させることができる。それにより、リング状に配置した検出器の一部を抜き取って構成された検出部を備えた本装置を有効なものとすることができる。
【0024】
第1の発明によれば、データ収集部は、対消滅光子が検出された検出器対を結ぶ線を示すLORデータを収集し、補間LORデータ作成部は、抜き取った検出器部分があれば収集されると推定する補間LORの本数を確率的に算出して補間LORデータを作成している。抜き取った検出器部分の欠損したLORを、確率的に算出した補間LORデータで補間しているので、断層画像に発生していたアーチファクトを低減させることができる。
【0025】
また、第2の発明によれば、回転LOR補間処理部は、抜き取った検出器部分の位置の欠損したLORデータを、回転機構により回転させて収集した、抜き取った検出器部分の位置に対応するLORデータで補間する処理を行っている。すなわち、欠損したLORデータを、実測したLORデータで補間している。それにより、断層画像に発生していたアーチファクトを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施例1に係る陽電子放射断層撮像装置(PET装置)の概略構成図である。
【図2】図1のA方向から見た検出器の配置の一例を示す図である。
【図3】格子状データの説明に供する図である。
【図4】格子状データ作成部の動作の説明に供する図である。
【図5】補間LORデータ作成部の動作の説明に供する図である。
【図6】実施例2に係る陽電子放射断層撮像装置(PET装置)の概略構成図である。
【図7】LOR補間部の動作の説明に供する図であり、(a)は1回目のLORデータ収集を示し、(b)は2回目のLORデータ収集を示す。
【図8】実施例3に係る陽電子放射断層撮像装置(PET装置)の概略構成図である。
【図9】LOR補間部の動作の説明に供する図であり、(a)は1回目のLORデータ収集を示し、(b)は2回目のLORデータ収集を示す。
【図10】実施例4に係る陽電子放射断層撮像装置(PET装置)の概略構成図である。
【図11】リアルタイムでLORデータを補間する補間処理の説明に供する図であり、(a)は、実測したLORと補間LORを示し、(b)は算出された補間LORの本数を積算して判定する動作を示し、(c)は補間LORの加算処理を示す。
【図12】実施例5に係る陽電子放射断層撮像装置(PET装置)の概略構成図であり、(a)はその多層検出部を示し、(b)は(a)のA方向から見た検出器の配置の一例を示す。
【図13】変形例に係る検出器の配置の一例を示す図である。
【実施例1】
【0027】
以下、図面を参照して本発明の実施例1を説明する。図1は、実施例1に係る陽電子放射断層撮像装置(PET装置)の概略構成図であり、図2は、図1のA方向から見た検出器の配置の一例を示す図である。図3は、格子状データの説明に供する図であり、図4は、格子状データ作成部の動作の説明に供する図である。図5は、補間LORデータ作成部の動作の説明に供する図である。
【0028】
図1を参照する。PET装置1は、被検体Mを載置する天板2を有するベッド装置3と、開口部4を有するガントリ5とを備えている。ベッド装置3は、上下方向に天板2を昇降移動するように、また、被検体Mの体軸方向に沿って天板2を平行移動するように構成されている。ガントリ5は、被検体Mから発生したγ線を検出する検出部7を備えている。
【0029】
検出部7は、図2に示すように、被検体Mの体軸を中心にリング状に配置された複数個の検出器9のうち、一部の検出器9を抜き取って構成されている(符号d)。すなわち、検出部7は、C型で構成されている。検出器9は、例えば、シンチレータブロックとライトガイドと光電子増倍管とを備えた検出器ブロックで構成されている(いずれも図示しない)。シンチレータブロックは、複数個のシンチレータから構成される。放射性薬剤が投与された被検体Mから発生されたγ線をシンチレータブロックが光に変換し、変換された光をライトガイドが案内して、光電子増倍管が光電変換して電気信号を出力する。また、ガントリ5の開口部4は、トンネル状に開口され、さらにC型に配置された検出器9の抜き取った検出器部分に沿って開口するように構成される。
【0030】
また、検出部7は、被検体Mの体軸方向に多層に重ねて構成されている。この多層に重ねられた検出部7を多層検出部11とする。
【0031】
データ収集部13は、多層検出部11の各検出器9から出力された電気信号(検出信号)に基づいて、180°反対方向に放射する2つのγ線が検出された検出器対を結ぶ線を示すLOR(Line of Response)データを収集する。データ収集部13は、例えば、アンプ、A/D変換器、エネルギウィンドウ判定部および同時計数回路などで構成される(いずれも図示しない)。γ線の電気信号は、増幅されてデジタル化される。エネルギウィンドウ判定部は、増幅されてデジタル化されたγ線の電気信号が予め設定されたエネルギウィンドウ(例えば、400KeV〜600KeV)内にあるか否かを判定する。エネルギウィンドウ内と判定されたγ線のみが同時計数回路で同時計数される。同時計数回路は、γ線を検出した時刻を測定し、2つの検出器9での時刻差が予め設定された時間以内(タイムウィンドウ内)であれば、一対のγ線として同時計数する。そして、同時計数された一対のγ線は、LORデータとして収集される。
【0032】
LOR補間部15は、C型の検出部7の抜き取った検出器部分があれば収集されると推定する補間LORで欠損したLORを補間する。LOR補間部15は、格子状データ作成部17、補間LORデータ作成部19および加算処理部21などで構成されている。なお、加算処理部21は、本発明における確率LOR補間処理部に相当する。
【0033】
格子状データ作成部17は、検出部7のリング状に配置された複数個の検出器9の内側の空間を格子状に分割し、各格子を通過したLORの本数をカウントして格子状データ23を作成する。すなわち、格子状データ23は、まず、図3に示すように、多層検出部11(複数個の検出器9)の内側の空間を3次元の格子状に分割する。この1つの格子は、ボクセル(またはピクセル)と呼ばれる。そして、図4に示すように、LORデータが収集されると、同時計数された検出器9対を結ぶLORが通過する全ての格子に1がカウントされる。なお、図4の符号eで示すLORが重なった格子では、複数個のカウントとなる。実測した全てのLORデータに対して、このようなカウントが行われて格子状データ23が作成される。
【0034】
格子状データ23は、ヒストグラムデータが用いられる。これにより、余計にデータを作成しなくてもよい効果がある。ヒストグラムデータは、記憶容量の都合から巨大なリストデータを圧縮したデータである。リストデータは、1つのLORデータを収集するごと(1イベントごと)のデータであり、個々のデータが時系列に並んでいる。なお、リストデータは、一度ヒストグラムデータにすると、そのプロセス上の理由から元のリストデータに戻せない。そのため、ヒストグラムデータから画像再構成する場合は、格子状データ23から補間後のLORデータ(格子状データ)が作成される。
【0035】
補間LORデータ作成部19は、格子状データ23の各格子を通過したLORの本数(カウント数)から、抜き取った検出器部分があれば収集されると推定する補間LORの本数を確率的に算出して補間LORデータを作成する。具体的には、補間LORデータ作成部19は、格子状データ23の各格子を通過したLORの本数と各格子の実測検出面の立体角と全立体角から各格子を通過するLORの推定総本数を算出し、この推定総本数と抜き取った検出器部分の欠損検出面の立体角と全立体角から補間する補間LORの本数を算出して補間LORデータを作成する。すなわち、下記の式(1)および式(2)から補間するLORの本数が算出される。
【0036】
ある格子を通過するLORの推定総本数Pm=ある格子のカウント数/実測検出面の立体角×全立体角 …(1)
補間するLORの本数=Pm×補間検出面の立体角/全立体角 …(2)
【0037】
なお、実測検出面の立体角は、多層検出部11の複数個の検出器9のうち、一部の検出器9を抜き取った構成の実測にγ線を検出する面の立体角を示す。また、補間検出面の立体角は、抜き取った検出器部分の補間される面の立体角を示す。仮に2次元で説明すると、例えば、隣接する検出器の間に隙間がなく、リング状に配置された12個の検出器9のうち、2個の検出器9を抜き取った構成である場合、検出器9で実測される角度は、300°{=360°−(30°×2個分)}である。また、補間される角度は、2個の検出器分の角度60°(30°×2個分)である。なお、上述の式(1)および式(2)には、各格子に応じて異なる実測検出面の立体角や補間検出面の立体角が与えられる。
【0038】
このように補間LORデータ作成部19は、格子状データ23の各格子を通過したLORの本数から、仮に、抜き取った部分の検出器9があれば測定できると推定される各格子の補間するLORの本数を算出する。式(1)および式(2)の計算は、補間するLORが通過する全ての格子に対して行われる。そして、補間するLORが通過する全ての格子の積算値が補間するLORの本数となる。この処理が全ての補間するLORに対して行われる。それにより、補間する各LORの本数を含む補間LORデータが作成される。
【0039】
例えば、図5の符号fで示す補間するLORが通過する全ての格子が、f1、f2,f3,…,fnの場合、式(1)および式(2)で算出された各格子における補間するLORの本数が(f1、f2,f3,…,fn)=(g1,g2,g3,…、gn)であるとする。そして、符号fで示す補間するLORの本数Gは、G=(g1+g2+g3+…+gn)と求められる。
【0040】
加算処理部21は、データ収集部13で収集されたLORデータに補間LORデータ作成部19で算出された補間LORデータを加算処理する。すなわち、加算処理部21は、格子状データ作成部17で作成された格子状データ23に、補間LORデータの補間するLORを追加して加算する。この場合、格子状データ23の各格子を通過した補間するLORの本数をカウントすることにより加算される。なお、例えば、補間するLORの本数Gが2.5本の場合は、2本として加算してもよい。また、小数点以下を含んだ2.5本のままで加算するようにしてもよいし、10倍して25本として加算するようにしてもよい。後述する感度補正などの補正処理で、小数点以下の部分のデータを含んで補正することができる。
【0041】
なお、例えば、格子(ボクセル)の体積が小さい場合であって、各格子のカウント数の合計が少ないとき、LORの補間精度が低下する。この場合は、格子の体積を大きく設定する。すなわち、空間を格子状に分割した各格子は、LORの補間精度が良好になるような大きさに、後述する入力部35により予め設定される。
【0042】
補正処理部25は、例えば、トランスミッションデータを収集して行う吸収補正や感度補正など必要な補正処理を行う。画像再構成部27は、補間されたLORデータを用いて画像再構成する。これにより、断層画像を取得することができる。
【0043】
また、PET装置1は、主制御部29、表示部31、メモリ部33および入力部35を備えている。主制御部29は、各構成を統括的に制御する。表示部31は、液晶表示パネルなどで構成され、画像再構成されて取得した断層画像等を表示する。メモリ部33は、断層画像等を記憶し、ROM(Read-only Memory)、RAM(Random-Access Memory)またはハードディスク等の記憶媒体で構成される。入力部35は、入力設定や各種操作が行われ、キーボードやマウス等で構成される。
【0044】
<PET装置1の動作>
次に、PET装置1の動作について説明する。被検体Mには、ポジトロン放射性同位元素(ラジオアイソトープ:RI)で標識した放射性薬剤が投与される。そして、ベッド装置3により天板2に載置された被検体Mがガントリ5の開口部4内の任意の位置に移動される。
【0045】
被検体から放射されるγ線は、4π方向(全方向)に一様に放射される。多層検出部11の各検出器9は、被検体Mから180°反対方向に放射する2つのγ線を検出し、γ線を検出した検出器9は、電気信号(検出信号)を出力する。データ収集部13は、2つの検出器9で検出されたγ線の時刻差が予め設定された時間以内であれば、一対のγ線として同時計数する。そして、180°反対方向に放射する2つのγ線が検出された検出器対を結ぶLORデータを収集する。
【0046】
データ収集部13で収集されたLORデータは、格子状データ作成部17に送信される。格子状データ作成部17は、図3および図4に示すように、空間を3次元の格子状に分割した各格子を通過したLORの本数をカウントして格子状データ23を作成する。すなわち、LORが通過した全ての格子に1をカウントして、これを実測した全てのLORデータに対して行う。
【0047】
補間LORデータ作成部19は、格子状データ23の各格子を通過した実測したLORの本数から、抜き取った検出器部分があれば収集されると推定する、補間LORの本数を確率的に算出して補間LORデータを作成する。例えば、図5の符号fで示す補間するLORの本数を算出する場合、補間するLORが通過する全ての格子(f1,f2,f3,…、fn)の実測したLORの本数から、上述の式(1)および式(2)により、抜き取った部分の検出器9があれば確率的に測定できると推定される補間するLORの本数を算出する。補間するLORの本数は、(f1,f2,f3,…、fn)=(g1,g2,g3,…、gn)と算出されたとする。補間するLORの本数Gは、積算した値、すなわち、G=(g1+g2+g3+…+gn)により算出される。これを全ての補間LORに対して行って、補間LORデータが作成される。このように、全ての補間LORに対して個々に補間LORを算出しているので正確なLOR補間処理を行うことができる。
【0048】
加算処理部21は、格子状データ作成部17で作成された格子状データ23に、補間LORデータの補間するLORを追加して加算する。これにより、データ収集部13で収集されたLORデータは、補間LORデータ作成部19で作成された補間LORデータで補間される。そして、画像再構成部27は、補正処理部25を介して得られた、補間されたLORデータを用いて画像再構成する。これにより、リング状に配置された複数個の検出器9の一部を抜き取って構成されていても、抜き取った検出器部分を有するときのようなアーチファクトを低減させた断層画像を取得することができる。取得した断層画像は、表示部31に表示されたり、メモリ部33に記憶されたりする。
【0049】
本実施例に係るPET装置1によれば、データ収集部13は、γ線が検出された検出器対を結ぶ線を示すLORデータを収集し、格子状データ作成部17は、検出部7のリング状に配置された複数個の検出器9の内側の空間を格子状に分割し、各格子を通過したLORの本数をカウントして格子状データ23を作成する。そして、補間LORデータ作成部19は、格子状データ23の各格子を通過したLORの本数から、抜き取った部分の検出器があれば収集されると推定する補間LORの本数を確率的に算出して補間LORデータを作成している。このように格子状データ23の各格子を通過したLORの本数から算出され作成された補間LORデータで、抜き取った検出器部分の欠損したLORデータを補間しているので、断層画像に発生していたアーチファクトを低減させることができる。
【0050】
すなわち、リング状に配置した複数個の検出器9の一部を抜き取って構成された検出部9のうち、その抜き取った検出器部分があれば、実測できたであろう欠損したLORデータを実測したLORデータから推定して補間することができる。したがって、断層画像に発生していたアーチファクトを低減させることができる。それにより、リング状に配置した検出器9の一部を抜き取って構成された検出部7を備えた本装置1を実現可能な有効なものとすることができる。
【0051】
また、検出部7は、リング状に配置された複数個の検出器9のうちの抜き取った検出器部分で、採血チューブなどの器具や天板2に載置された被検体Mや光などの様々な物を通すことができる。例えば、複数個の検出器9が完全なリング状に配置された検出部(検出器リング)である場合、その検出部のリング内の被検体Mは、圧迫感を感じてしまう。しかしながら、検出部7は、リング状に配置した複数個の検出器9の一部を抜き取って構成されているので、その抜き取った検出器部分で、光や空気などが通すことができ、被検体Mが感じる圧迫感を軽減させることができる。また、複数個の検出器9が完全なリング状に配置された検出部(検出器リング)である場合、ガントリの開口部(トンネル)に沿って、採血チューブなどの器具の配置させているが、抜き取った検出器部分から配置することができる。また、検出部7を構成する検出器9の個数を少なくすることができるので、本装置1の製造コストを低減させることができる。さらに、検出部7がC型であることにより、乳房のPET画像を撮影する場合に、被検体の腋(わき)窩リンパ部の撮影を良好に行うことができる。
【実施例2】
【0052】
次に、図面を参照して本発明の実施例2を説明する。図6は、実施例2に係るPET装置の概略構成図である。図7は、LOR補間部の動作の説明に供する図であり、(a)は1回目のLORデータ収集を示し、(b)は2回目のLORデータ収集を示す。なお、上述した実施例と重複する構成については、その説明を省略する。
【0053】
実施例2では、リング状に配置された複数個の検出器9の一部を抜き取って構成された検出部7において、抜き取った検出器部分があれば収集されると推定される欠損したLORを、検出部7を回転させて、その抜き取った検出器部分の位置で実測したLORで補間する。
【0054】
PET40は、抜き取った検出器部分を有する、リング状に配置された複数個の検出器9の中心軸hを中心に検出部7を回転させる回転機構41を備えている。中心軸hは、被検体Mの体軸方向と平行である。回転機構41は、主制御部29により制御される。回転機構41は、抜き取った検出器部分の位置に、検出器9が配置されるように回転する。回転機構41は、例えば、抜き取った検出器部分を含めてリング状に配置された複数個の検出器9が等間隔に配置される場合は、検出器9の間隔単位で回転させるようにしてもよい。
【0055】
また、PET40は、抜き取った検出器部分の欠損したLORを補間するLOR補間部43を備えている。LOR補間部43は、第1収集メモリ部45と、第2収集メモリ部46と、重み付け平均処理部47とを備えている。第1収集メモリ部45は、1回目に、予め設定された期間内に収集されたLORデータを記憶する。同様に、第2収集メモリ部46は、2回目に収集されたLORデータを記憶する。2回目の収集は、1回目のLORデータの収集の位置から、回転機構41により回転された位置で行われる。
【0056】
重み付け平均処理部47は、抜き取った検出器部分の位置の欠損したLORデータを、回転機構41により回転させて収集された、抜き取った検出器部分の位置に対応するLORデータで補間する補間処理を行う。例えば、図7(a)および図7(b)に示すような検出器9の回転位置でLORが収集されるとする。回転前後の検出器9の位置で、欠損したLORデータが無く、実測したLORデータが2つ存在する位置では、重み付けを“1”として2つの実測したLORデータを平均する。また、回転前後の検出器9の位置で、実測したLORデータが1つ存在する、欠損したLORを有する位置では、欠損したLORの重み付けを“0”として、実測したLORの重み付けを“2”として、欠損したLORと実測したLORデータを平均する。なお、図7において、重み付けを符号Sで示す。例えば、符号Pで示す位置では、重み付けS=1である。また、重み付け平均処理部47は、本発明における回転LOR補間処理部に相当する。
【0057】
<PET装置40の動作>
次に、PET装置40の動作、特にLOR補間部43の動作について説明する。データ収集部13は、図7(a)に示す1回目のLORデータを収集する。収集されたLORデータは、第1収集メモリ部45に記憶される。LORデータの収集は、予め設定された期間で行われる。1回目のLORデータの収集が終わると、回転機構41により検出部7が中心軸hを中心に回転される。そして、データ収集部13は、図7(b)に示す2回目のLORデータを収集する。収集されたLORデータは、第2収集メモリ部46に記憶される。2回目のLORデータの収集は、1回目の収集で抜き取った検出器部分に対応する位置の収集が行えるように回転機構41により回転されて行われる。
【0058】
重み付け平均処理部47は、図7(a)に示す1回目のLORデータの収集と、図7(b)に示す2回目のLORデータ収集との重み付け平均処理を行う。例えば、図7(a)および図7(b)に示すように、符号Pで示す位置において、ともにLORデータの収集が行われることから重み付けを“1”として平均する。また、符号Qで示す位置において、1回目の収集では、抜き取った検出器部分となるのでLOR収集データはなく、2回目の収集では、検出器9でLORデータの収集が行われる。そのため、1回目の重み付けを“0”として、2回目の重み付けを“2”として平均する。これにより、欠損したLORを補間する。
【0059】
なお、PET装置40は、2回のLORデータの収集を行って欠損したLORを補間しているが、3回以上のLORデータから欠損したLORを補間するようにしてもよい。
【0060】
本実施例に係るPET装置40によれば、重み付け平均処理部47は、抜き取った検出器部分の位置の欠損したLORデータを、回転機構41により回転させて収集した、抜き取った検出器部分の位置に対応するLORデータで補間する処理を行っている。すなわち、抜き取った検出器部分の位置と同位置の、回転機構により回転させて収集したLORデータで補間することで、断層画像に発生していたアーチファクトを低減させることができる。
【0061】
すなわち、リング状に配置した複数個の検出器9の一部を抜き取って構成された検出部7のうち、その抜き取った部分の検出器があれば、実測できたであろう欠損したLORデータを実測したLORデータから推定して補間することができる。これにより、断層画像に発生していたアーチファクトを低減させることができる。それにより、リング状に配置した検出器9の一部を抜き取って構成された検出部を備えた本装置を有効なものとすることができる。
【0062】
また、検出部7は、リング状に配置された複数個の検出器9のうちの抜き取った検出器部分で、採血チューブなどの器具や天板2に載置された被検体Mや光などの様々な物を通すことができる。例えば、複数個の検出器9が完全なリング状に配置された検出部(検出器リング)である場合、その検出部のリング内の被検体Mは、圧迫感を感じてしまう。しかしながら、検出部9は、リング状に配置した複数個の検出器9の一部を抜き取って構成されているので、その抜き取った検出器部分で、光や空気などが通すことができ、被検体Mが感じる圧迫感を軽減させることができる。また、複数個の検出器9が完全なリング状に配置された検出部(検出器リング)である場合、ガントリの開口部に沿って、採血チューブなどの器具の配置させているが、抜き取った検出器部分から配置することができる。また、検出部7を構成する検出器9の個数を少なくすることができるので、本装置1の製造コストを低減させることができる。
【実施例3】
【0063】
次に、図面を参照して本発明の実施例3を説明する。図8は、実施例3に係るPET装置の概略構成図である。図9は、LOR補間部の動作の説明に供する図であり、(a)は1回目のLORデータ収集を示し、(b)は2回目のLORデータ収集を示す。なお、上述した各実施例と重複する構成については、その説明を省略する。
【0064】
実施例3では、実施例1と実施例2を組み合わせた構成で欠損したLORを補間する。
【0065】
PET装置50において、LOR補間部51は、1回目のLORデータ収集で用いられる、第1格子状データ作成部53、第1補間LORデータ作成部54および第1加算処理部55とを備えている。また、LOR補間部51は、2回目のLORデータ収集で用いられる、第2格子状データ作成部57、第2補間LORデータ作成部58および第2加算処理部59とを備えている。各構成の詳細については、実施例1の格子状データ作成部17、補間LORデータ作成部19および加算処理部21の説明と重複するので省略する。
【0066】
また、LOR補間部51は、抜き取った検出器部分の位置の第1加算処理部55で補間処理されたLORデータを、回転機構41により回転させて収集された、抜き取った検出器部分位置に対応するLORデータで補間する補間処理を行う重み付け平均処理部61を備えている。なお、第1加算処理部55および第2加算処理部59は、本発明における確率LOR補間処理部に相当する。また、重み付け平均処理部61は、本発明における回転LOR補間処理部に相当する。
【0067】
<PET装置50の動作>
次に、PET装置50の動作、特にLOR補間部51の動作について説明する。データ収集部13は、図9(a)に示す1回目のLORデータを収集する。収集されたLORデータは、第1格子状データ作成部53に送信される。LORデータの収集は、予め設定された期間で行われる。
【0068】
第1格子状データ作成部53は、図3に示すように、空間が分割された3次元の格子状の各格子を通過したLORの本数をカウントして格子状データ23を作成する。そして、第1補間LORデータ作成部54は、格子状データ23の各格子を通過した実測したLORの本数から、抜き取った検出器部分があれば収集されると推定する補間LORの本数を確率的に算出して補間LORデータを作成する。
【0069】
第1加算処理部55は、格子状データ作成部17で作成された格子状データ23に、補間LORデータの補間するLORを追加して加算する。これにより、データ収集部13で収集されたLORデータは、第1補間LORデータ作成部54で作成された補間LORデータで補間される。補間処理された1回目の補間後LORデータは、重み付け平均処理部61に送信される。
【0070】
1回目のLORデータの収集が終わると、回転機構41により、検出部7が中心軸hを中心に回転される。そして、データ収集部13は、図9(b)に示す2回目のLORデータを収集する。収集されたLORデータは、第2格子状データ作成部57に送信される。LORデータの収集は、予め設定された期間で行われる。
【0071】
第2格子状データ作成部57、第2補間LORデータ作成部58および第2加算処理部59は、第1格子状データ作成部53、第1補間LORデータ作成部54および第1加算処理部55と同様の動作が実行される。これにより、データ収集部13で収集されたLORデータは、第2補間LORデータ作成部58で作成された補間LORデータで補間される。補間処理された2回目の補間後LORデータは、重み付け平均処理部61に送信される。
【0072】
重み付け平均処理部61は、図9(a)に示す1回目の補間後LORデータと、図9(b)に示す2回目の補間後LORデータとの重み付け平均を行う。例えば、図9(a)および図9(b)に示すように、符号Pで示す位置において、ともにLORデータの収集が行われ、補間するLORの対象となっていないことから、重み付けを“1”として平均する。また、符号Qで示す位置において、1回目の収集では、抜き取った検出器部分に当たるので、補間するLORの対象となり補間されたLORデータを有している。一方、2回目の収集では、検出器9でLORデータの収集が行われ、補間するLORの対象となっていない。そして、補間されたLORデータの信頼性を考慮して、1回目の重み付けを“0.5”として、2回目の重み付けを“1.5”として平均する。これにより、LORデータを補間する。
【0073】
本実施例に係るPET装置50によれば、第1加算処理部55および第2加算処理部59で補間処理されたLORデータを、さらに、回転機構41により回転させて収集した、抜き取った検出器部分の位置に対応するLORデータで補間する補間処理を行っているので、断層画像に発生していたアーチファクトをより低減させることができる。
【実施例4】
【0074】
次に、図面を参照して本発明の実施例4を説明する。図10は、実施例4に係るPET装置の概略構成図である。図11は、リアルタイムでLORデータを補間する補間処理の説明に供する図であり、(a)は、実測したLORと補間LORを示し、(b)は算出された補間LORの本数を積算して判定する動作を示し、(c)は補間LORの加算処理を示す。なお、上述した各実施例と重複する構成については、その説明を省略する。
【0075】
上述の実施例1および3は、ある程度の本数のLORを含むLORデータに対して、まとめてLORデータを補間していたが、実施例4では、リアルタイムでLORを補間する。
【0076】
PET装置70のLOR補間部71は、補間LORデータ作成部73、判定処理部75および補間処理部77を備えている。なお、判定処理部75および補間処理部77は本発明における確率LOR補間処理部に相当する。
【0077】
補間LORデータ作成部73は、1つのLORデータを収集するごとに抜き取った検出器部分があれば収集されると推定する補間LORの本数を確率的に算出して補間LORデータを作成・更新する。すなわち、補間LORデータ作成部73は、1つのLORデータ(リストデータ)ごとに補間LORの本数を算出している。
【0078】
データ収集部13には、図11(a)に示すように、イベントA、イベントB、イベントC、…、イベントZの順番にLORデータが収集されるとする。この場合、LORデータが収集されるごとに、補間LORデータ作成部73は、補間LORの本数を確率的に算出する。例えば、同時計数されたイベントAと補間LOR1とが、ある格子で交差する場合、その格子における実測検出面の立体角、補間検出面の立体角、および1回のイベントが収集された事実等から補間するLORの本数が算出される。なお、ある1つのLORデータが収集された時に、各格子における補間LORの確率(本数)は、予め計算されてわかっている。そのため、変換テーブルを設けて、収集されたLORデータを補間LORの本数に変換するようにしてもよい。
【0079】
補間LORデータは、図11(b)に示すように、例えば、100本の補間LOR(補間LOR1、補間LOR2、補間LOR3、…、補間LOR100)があるとする。そして、1つのLORデータが収集されるごとに、抜き取った部分の検出器があれば収集されると推定する補間LORの本数を確率的に算出し,確率的に算出された補間LORの本数が積算される。このようにして補間LORデータを作成・更新している。
【0080】
判定処理部75は、作成された補間LORデータの補間LORの本数の積算値が予め設定された値以上であるかを判定する。補間処理部77は、補間LORの本数の積算値が予め設定された値以上である場合に、データ収集部13で収集されたLORデータに補間LORを加算して補間処理する。すなわち、判定処理部75は、例えば、補間LOR1の積算された補間LORデータの本数が、イベントYを収集したときに1本を越える場合、補間LOR1が1本存在するとして判定する。そして、判定処理部75は、補間LOR1を補間することを補間処理部75に通知する。補間処理部77は、判定処理部75からの補間LOR1を補間することの通知に基づいて、図11(c)に示すように、イベントYとイベントZとの間にLORを補間する。
【0081】
<PET装置70の動作>
次に、PET装置70の動作、特にLOR補間部71の動作について説明する。データ収集部13は、イベントAなどのLORデータを収集する。格子状データ作成部73は、収集された1つのLORデータごとに、補間LORデータ作成部73は、抜き取った部分の検出器があれば収集されると推定する補間LORの本数を確率的に算出する。そして、補間LORデータ作成部73は、補間する補間LOR1〜100が通過する各格子において、LORデータが収集されるごとに、確率的に算出された補間LORの本数を積算する(図11b)。
【0082】
判定処理部75は、補間LOR1〜100が通過する各格子において、確率的に算出された補間LORの本数の積算値が予め設定された値(例えば1本)以上であるかを判定する。その積算値が1本を越える場合、判定処理部75は、そのことを補間処理部77に通知する。補間処理部77は、その通知に基づいて、1本を越えた際のLORデータの後に補間LORを1本加算する。それにより、欠損したLORを補間する。なお、判定処理部75は、積算値が1本を越えて、そのことを補間処理部77に通知した場合、例えば積算値から1を減算するようにしてもよい。また、再構成処理部27は、LORデータを収集するごとにリアルタイムで画像再構成して断層画像を取得する。
【0083】
本実施例に係るPET装置70によれば、時間経過に伴って変動するデータ収集の場合に、データ収集後にまとめてLOR補間をすると、変動量によっては、アーチファクトを良好に低減できないことがある。しかしながら、判定処理部75および補間処理部77は、LORデータを収集するごとに算出された補間LORデータの積算値が予め設定された値以上の場合に補間LORデータを補間処理するので、リアルタイムでLOR補間することができる。
【実施例5】
【0084】
次に、図面を参照して本発明の実施例5を説明する。図12は、実施例5に係る陽電子放射断層撮像装置(PET装置)の概略構成図であり、(a)はその多層検出部を示し、(b)は(a)のA方向から見た検出器の配置の一例を示す。なお、上述した各実施例と重複する構成については、その説明を省略する。
【0085】
上述した実施例1では、リング状に配置された複数個の検出器9の一部を抜き取って構成されたC型の検出部7を備えて、欠損したLORを補間していたが、この構成に限定されない。
【0086】
すなわち、本実施例のPET装置80は、リング状に配置された複数個の検出器9で構成された多層の検出部(検出器リング)81のうち、一部の検出部81を抜き取って構成された多層検出部83を備えている。すなわち、多層検出部83は、被検体Mの体軸の垂直方向に対しては、抜き取った検出器部分が存在せず、被検体Mの体軸方向に多層に重ねて構成された検出部81の一部が抜き取られた構成である。
【0087】
なお、PET装置80は、治療用放射線照射部85を備えて、治療用放射線照射部85から多層検出部83の抜き取った検出部81部分を通して被検体Mに放射線を照射するようにしてもよい。
【0088】
本実施例に係るPET装置80によれば、複数個の検出器9がリング状に配置された検出部(検出器リング)81が、被検体Mの体軸方向に多層に構成されている場合(多層検出部83)、多層に構成された検出部81の一部を抜き取って構成されていても、アーチファクトを低減させた断層画像を取得することができる。
【0089】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0090】
(1)上述した実施例1〜4では、リング状に配置された複数個の検出器9の一部を抜き取って構成されたC型の検出部7を備えていたが、検出部7がC型の構成に限定されない。例えば、検出部は、図13(a)のO型を2分割した構成や、図13(b)のO型を3分割した構成であってもよい。
【0091】
(2)上述した実施例5では、リング状に配置された複数個の検出器9で構成された多層の検出部(検出器リング)81のうち、一部の検出部81を抜き取って構成されていたが、この構成に限定されない。例えば、抜き取った検出部部分がC型の検出部や変形例(1)の検出部で構成されていてもよい。
【0092】
(3)上述した各実施例では、検出器9は、検出器ブロックで構成されたが、この構成に限定されない。例えば、検出素子が半導体であるテルル化カドミウム(CdTe)等で構成され、γ線の入射によって生成される電荷を検出する半導体カメラであってもよい。
【0093】
(4)上述した実施例1および3では、格子状データ作成部17で格子状データ23を作成し、補間LORデータ作成部19は、格子状データ23の各格子を通過したLORの本数から補間LORの本数を算出している。しかしながら、図11(b)に示すように、積算された各補間LORの本数に基づいて、まとめてLORを補間するようにしてもよい。
【0094】
(5)上述した実施例4では、画像再構成部27は、リストデータ(1つのLORデータ)から算出して作成された補間LORデータをリストデータ内に挿入し、その補間されたリストデータから画像再構成して断層画像を取得している。しかしながら、図10において、データ収集部13と補間LORデータ作成部73との間に、実施例1の格子状データ作成部を設けるようにしてもよい。この場合、格子状データ作成部は、1つのLORデータを収集するごとに、格子状データ23を作成し、補間LORデータ作成部73は、その格子状データ23の各格子を通過したLORの本数から、抜き取った検出器部分があれば収集されると推定する補間LORの本数を確率的に算出して補間LORデータを作成・更新する。すなわち、1つのLORデータを収集するごとに格子状データ23を作成してもよいし、この格子状データ23から補間するLORを算出するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0095】
1,40,50,70,80 … PET装置
7,81 … 検出部
9 … 検出器
11,83 … 多層検出部
13 … データ収集部
15,43,51,71 … LOR補間部
17 … 格子状データ作成部
19,73 … 補間LORデータ作成部
21 … 加算処理部
23 … 格子状データ
29 … 主制御部
41 … 回転機構
45 … 第1収集メモリ部
46 … 第2収集メモリ部
47,61 … 重み付け平均処理部
53 … 第1格子状データ作成部
54 … 第1補間LORデータ作成部
55 … 第1加算処理部
57 … 第2格子状データ作成部
58 … 第2補間LORデータ作成部
59 … 第2加算処理部
75 … 判定処理部
77 … 補間処理部
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射性薬剤が投与された被検体から対消滅光子を検出して、被検体内の放射性薬剤の分布を画像化する陽電子放射断層撮像装置に係り、特に、アーチファクトを低減する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
陽電子放射断層撮像装置(PET(Positron Emission Tomography)装置ともいう:以下適宜「PET装置」と称する)は、放射性薬剤が投与された被検体から180°反対方向に放射される511KeVの対消滅光子(例えばγ線)をPETガントリ内に設けられた複数個の検出器がリング状に配置されたリング型検出器で検出する。そして、この光子の検出した時刻を測定し、2つの検出器での検出時刻差が一定時間以内の場合にそれを一対の対消滅光子として計数(同時計数)する。さらに対消滅の発生地点を、その2つの検出器の直線上に存在するものとして特定する。このように計数したデータを蓄積して再構成処理を行い、断層画像を取得している(例えば、特許文献1参照)。なお、特定の病巣に集積しやすい放射性薬剤を使用する場合、その病巣が断層画像上に高い画素値となって現れて識別することができる。
【0003】
また、PET装置は、断層画像を取得するために複数個の検出器をリング状(正確には多角形)に配置している。これは断層方向に対して全ての角度に関する情報を収集し、断層画像を再構成するためである(完全投影)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−245695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のように、仮に検出器の故障などによって情報の一部が欠落すると、断層画像にアーチファクトが発生する問題がある。すなわち、不完全投影によるアーチファクトが発生する。そこで従来装置は、故障などにより情報の一部が欠落した検出器データを使用しないようにしたり、隣接する検出器など、近くの検出器のデータをそのまま流用したりする方法でアーチファクトを低減させている。また、基本的にこれらの手法は、検出器交換までの臨時的な処置である。
【0006】
ところが、リング状に配置された複数個の検出器から、一部(例えば2個)の検出器を抜き取った、例えばC型の検出器配置の場合、決して完全投影の情報を得られることは無く、また、情報が欠損している角度が大きい。そのため、検出器データを使用しないようにしたり、近くの検出器データをそのまま流用したりして再構成しても顕著にアーチファクトが発生することになる。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、検出器の一部を抜き取って構成する場合でも、アーチファクトを低減させることができる陽電子放射断層撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。すなわち、本発明に係る陽電子放射断層撮像装置は、リング状に配置された複数個の検出器の一部を抜き取って構成され、放射性薬剤が投与された被検体から放射される対消滅光子を検出する検出部と、前記対消滅光子が検出された検出器対を結ぶ線を示すLORデータを収集するデータ収集部と、前記抜き取った検出器部分があれば収集されると推定する補間LORの本数を確率的に算出して補間LORデータを作成する補間LORデータ作成部と、前記データ収集部で収集された前記LORデータに前記補間LORデータ作成部で算出された前記補間LORデータを加算処理する確率LOR補間処理部と、を備えることを特徴とするものである。
【0009】
本発明に係る陽電子放射断層撮像装置によれば、データ収集部は、対消滅光子が検出された検出器対を結ぶ線を示すLORデータを収集し、補間LORデータ作成部は、抜き取った検出器部分があれば収集されると推定する補間LORの本数を確率的に算出して補間LORデータを作成している。抜き取った検出器部分の欠損したLORを、確率的に算出した補間LORデータで補間しているので、断層画像に発生していたアーチファクトを低減させることができる。
【0010】
すなわち、リング状に配置した複数個の検出器の一部を抜き取って構成された検出部のうち、その抜き取った部分の検出器があれば、実測できたであろう欠損したLORデータを実測したLORデータから推定して補間することができる。したがって、断層画像に発生していたアーチファクトを低減させることができる。それにより、リング状に配置した検出器の一部を抜き取って構成された検出部を備えた本装置を有効なものとすることができる。
【0011】
また、検出部は、リング状に配置された複数個の検出器のうちの抜き取った検出器部分で、採血チューブなどの器具や天板に載置された被検体や光などの様々な物を通すことができる。例えば、複数個の検出器が完全なリング状に配置された検出部(検出器リング)である場合、その検出部内の被検体は、圧迫感を感じてしまう。しかしながら、検出部は、リング状に配置される複数個の検出器の一部を抜き取って構成されているので、その抜き取った検出器部分で、光や空気などが通すことができ、被検体が感じる圧迫感を軽減させることができる。また、検出部を構成する検出器の個数を少なくすることができるので、本装置の製造コストを低減させることができる。
【0012】
また、本発明に係る陽電子放射断層撮像装置において、前記検出部のリング状に配置された複数個の検出器の内側の空間を格子状に分割し、各格子を通過したLORの本数をカウントして格子状データを作成する格子状データ作成部を備え、前記補間LORデータ作成部は、前記格子状データの各格子を通過したLORの本数と各格子の実測検出面の角度と全角度から各格子を通過するLORの推定総本数を算出し、この推定総本数と前記抜き取った検出器部分の欠損検出面の角度と全角度から補間する補間LORの本数を算出して補間LORデータを作成することが好ましい。すなわち、格子状データ作成部は、空間を格子状に分割した各格子を通過したLORの本数をカウントして格子状データを作成し、補間LORデータ作成部は、格子状データの各格子を通過したLORの本数や実測検出面の角度や欠損検出面の角度などから、補間する補間LORの本数を算出して補間LORデータを作成している。それにより。欠損したLORを補間することができるので、断層画像に発生していたアーチファクトを低減させることができる。
【0013】
また、本発明に係る陽電子放射断層撮像装置は、リング状に配置された複数個の検出器の中心軸を中心に前記検出部を回転させる回転機構と、前記確率LOR補間処理部で補間処理された前記抜き取った検出器部分の位置のLORデータを、前記回転機構により回転させて収集された前記抜き取った検出器部分の位置に対応するLORデータで補間する補間処理を行う回転LOR補間処理部と、を備えることが好ましい。それにより、確率LOR補間処理部で補間処理されたLORデータを、さらに、回転機構により回転させて収集した、抜き取った検出器部分の位置に対応するLORデータで補間処理を行っているので、断層画像に発生していたアーチファクトをより低減させることができる。
【0014】
また、本発明に係る陽電子放射断層撮像装置は、前記補間LORデータ作成部は、LORデータを収集するごとに補間LORの本数を確率的に算出して補間LORデータを作成し、前記確率LOR補間処理部は、算出された補間LORデータの積算値が予め設定された値以上の場合に補間LORデータを補間処理することが好ましい。時間経過に伴って変動するデータ収集の場合に、データ収集後にまとめてLOR補間をすると、変動量によっては、アーチファクトを良好に低減できないことがある。しかしながら、確率LOR補間処理部は、LORデータを収集するごとに算出された補間LORデータの積算値が予め設定された値以上の場合に補間LORデータを補間処理するので、リアルタイムでLOR補間することができる。
【0015】
また、本発明に係る陽電子放射断層撮像装置は、リング状に配置された複数個の検出器の一部を抜き取って構成され、放射性薬剤が投与された被検体から放射される対消滅光子を検出する検出部と、前記対消滅光子が検出された検出器対を結ぶ線を示すLORデータを収集するデータ収集部と、リング状に配置された複数個の検出器の中心軸を中心に前記検出部を回転させる回転機構と、前記抜き取った検出器部分の位置の欠損したLORデータを、前記回転機構により回転させて収集された前記抜き取った検出器部分の位置に対応するLORデータで補間する補間処理を行う回転LOR補間処理部と、を備えることを特徴とするものである。
【0016】
本発明に係る陽電子放射断層撮像装置によれば、回転LOR補間処理部は、抜き取った検出器部分の位置の欠損したLORデータを、回転機構により回転させて収集した、抜き取った検出器部分の位置に対応するLORデータで補間する処理を行っている。すなわち、欠損したLORデータを、実測したLORデータで補間している。それにより、断層画像に発生していたアーチファクトを低減させることができる。
【0017】
すなわち、リング状に配置した複数個の検出器の一部を抜き取って構成された検出部のうち、その抜き取った部分の検出器があれば、実測できたであろう欠損したLORデータを実測したLORデータから推定して補間することができる。したがって、断層画像に発生していたアーチファクトを低減させることができる。それにより、リング状に配置した検出器の一部を抜き取って構成された検出部を備えた本装置を有効なものとすることができる。
【0018】
また、検出部は、リング状に配置された複数個の検出器のうちの抜き取った検出器部分で、採血チューブなどの器具や天板に載置された被検体や光などの様々な物を通すことができる。例えば、複数個の検出器が完全なリング状に配置された検出部(検出器リング)である場合、その検出部内の被検体は、圧迫感を感じてしまう。しかしながら、検出部は、リング状に配置される複数個の検出器の一部を抜き取って構成されているので、その抜き取った検出器部分で、光や空気などが通すことができ、被検体が感じる圧迫感を軽減させることができる。また、検出部を構成する検出器の個数を少なくすることができるので、本装置の製造コストを低減させることができる。
【0019】
また、本発明に係る陽電子放射断層撮像装置の前記補間処理の一例は、重み付け平均である。これにより、例えば、抜き取った検出器部分の位置の重み付けを“0(ゼロ)”とし、回転機構により回転させて、その抜き取った検出器部分の位置で検出して収集されたLORデータの重み付けを“2”として平均処理する。また、回転前後でLORデータが収集される場合は、収集されたLORデータの重み付けをそれぞれ“1”として平均処理する。このように重み付け平均処理することにより、良好に補間処理することができる。
【0020】
また、本発明に係る陽電子放射断層撮像装置の前記検出部の一例は、C型である。これにより、採血チューブなどの器具や天板に載置された被検体や光など、様々な物を通すことができ、また、本装置の製造コストを低減させることができる。さらに、乳房の画像を撮影する場合に、被検体の腋(わき)窩リンパ部の撮影を良好に行うことができる。
【0021】
また、本発明に係る陽電子放射断層撮像装置の前記検出部の一例は、リング状でかつ多層に配置された複数個の検出器の一部を抜き取って構成されていることである。例えば、複数個の検出器がリング状に配置された検出部(検出器リング)が、被検体Mの体軸方向に多層に構成されている場合、多層に構成された検出部の一部を抜き取って構成されていても、アーチファクトを低減させた断層画像を取得することができる。
【0022】
また、本発明に係る陽電子放射断層撮像装置において、補間されたLORデータを用いて画像再構成する画像再構成部を備えていることが好ましい。それにより、欠損したLORデータが補間されたLORデータで画像再構成が行われるので、アーチファクトが低減された断層画像を取得することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る陽電子放射断層撮像装置によれば、リング状に配置した複数個の検出器の一部を抜き取って構成された検出部のうち、その抜き取った検出器部分があれば、実測できたであろう欠損したLORデータを実測したLORデータから推定して補間することができる。したがって、断層画像に発生していたアーチファクトを低減させることができる。それにより、リング状に配置した検出器の一部を抜き取って構成された検出部を備えた本装置を有効なものとすることができる。
【0024】
第1の発明によれば、データ収集部は、対消滅光子が検出された検出器対を結ぶ線を示すLORデータを収集し、補間LORデータ作成部は、抜き取った検出器部分があれば収集されると推定する補間LORの本数を確率的に算出して補間LORデータを作成している。抜き取った検出器部分の欠損したLORを、確率的に算出した補間LORデータで補間しているので、断層画像に発生していたアーチファクトを低減させることができる。
【0025】
また、第2の発明によれば、回転LOR補間処理部は、抜き取った検出器部分の位置の欠損したLORデータを、回転機構により回転させて収集した、抜き取った検出器部分の位置に対応するLORデータで補間する処理を行っている。すなわち、欠損したLORデータを、実測したLORデータで補間している。それにより、断層画像に発生していたアーチファクトを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施例1に係る陽電子放射断層撮像装置(PET装置)の概略構成図である。
【図2】図1のA方向から見た検出器の配置の一例を示す図である。
【図3】格子状データの説明に供する図である。
【図4】格子状データ作成部の動作の説明に供する図である。
【図5】補間LORデータ作成部の動作の説明に供する図である。
【図6】実施例2に係る陽電子放射断層撮像装置(PET装置)の概略構成図である。
【図7】LOR補間部の動作の説明に供する図であり、(a)は1回目のLORデータ収集を示し、(b)は2回目のLORデータ収集を示す。
【図8】実施例3に係る陽電子放射断層撮像装置(PET装置)の概略構成図である。
【図9】LOR補間部の動作の説明に供する図であり、(a)は1回目のLORデータ収集を示し、(b)は2回目のLORデータ収集を示す。
【図10】実施例4に係る陽電子放射断層撮像装置(PET装置)の概略構成図である。
【図11】リアルタイムでLORデータを補間する補間処理の説明に供する図であり、(a)は、実測したLORと補間LORを示し、(b)は算出された補間LORの本数を積算して判定する動作を示し、(c)は補間LORの加算処理を示す。
【図12】実施例5に係る陽電子放射断層撮像装置(PET装置)の概略構成図であり、(a)はその多層検出部を示し、(b)は(a)のA方向から見た検出器の配置の一例を示す。
【図13】変形例に係る検出器の配置の一例を示す図である。
【実施例1】
【0027】
以下、図面を参照して本発明の実施例1を説明する。図1は、実施例1に係る陽電子放射断層撮像装置(PET装置)の概略構成図であり、図2は、図1のA方向から見た検出器の配置の一例を示す図である。図3は、格子状データの説明に供する図であり、図4は、格子状データ作成部の動作の説明に供する図である。図5は、補間LORデータ作成部の動作の説明に供する図である。
【0028】
図1を参照する。PET装置1は、被検体Mを載置する天板2を有するベッド装置3と、開口部4を有するガントリ5とを備えている。ベッド装置3は、上下方向に天板2を昇降移動するように、また、被検体Mの体軸方向に沿って天板2を平行移動するように構成されている。ガントリ5は、被検体Mから発生したγ線を検出する検出部7を備えている。
【0029】
検出部7は、図2に示すように、被検体Mの体軸を中心にリング状に配置された複数個の検出器9のうち、一部の検出器9を抜き取って構成されている(符号d)。すなわち、検出部7は、C型で構成されている。検出器9は、例えば、シンチレータブロックとライトガイドと光電子増倍管とを備えた検出器ブロックで構成されている(いずれも図示しない)。シンチレータブロックは、複数個のシンチレータから構成される。放射性薬剤が投与された被検体Mから発生されたγ線をシンチレータブロックが光に変換し、変換された光をライトガイドが案内して、光電子増倍管が光電変換して電気信号を出力する。また、ガントリ5の開口部4は、トンネル状に開口され、さらにC型に配置された検出器9の抜き取った検出器部分に沿って開口するように構成される。
【0030】
また、検出部7は、被検体Mの体軸方向に多層に重ねて構成されている。この多層に重ねられた検出部7を多層検出部11とする。
【0031】
データ収集部13は、多層検出部11の各検出器9から出力された電気信号(検出信号)に基づいて、180°反対方向に放射する2つのγ線が検出された検出器対を結ぶ線を示すLOR(Line of Response)データを収集する。データ収集部13は、例えば、アンプ、A/D変換器、エネルギウィンドウ判定部および同時計数回路などで構成される(いずれも図示しない)。γ線の電気信号は、増幅されてデジタル化される。エネルギウィンドウ判定部は、増幅されてデジタル化されたγ線の電気信号が予め設定されたエネルギウィンドウ(例えば、400KeV〜600KeV)内にあるか否かを判定する。エネルギウィンドウ内と判定されたγ線のみが同時計数回路で同時計数される。同時計数回路は、γ線を検出した時刻を測定し、2つの検出器9での時刻差が予め設定された時間以内(タイムウィンドウ内)であれば、一対のγ線として同時計数する。そして、同時計数された一対のγ線は、LORデータとして収集される。
【0032】
LOR補間部15は、C型の検出部7の抜き取った検出器部分があれば収集されると推定する補間LORで欠損したLORを補間する。LOR補間部15は、格子状データ作成部17、補間LORデータ作成部19および加算処理部21などで構成されている。なお、加算処理部21は、本発明における確率LOR補間処理部に相当する。
【0033】
格子状データ作成部17は、検出部7のリング状に配置された複数個の検出器9の内側の空間を格子状に分割し、各格子を通過したLORの本数をカウントして格子状データ23を作成する。すなわち、格子状データ23は、まず、図3に示すように、多層検出部11(複数個の検出器9)の内側の空間を3次元の格子状に分割する。この1つの格子は、ボクセル(またはピクセル)と呼ばれる。そして、図4に示すように、LORデータが収集されると、同時計数された検出器9対を結ぶLORが通過する全ての格子に1がカウントされる。なお、図4の符号eで示すLORが重なった格子では、複数個のカウントとなる。実測した全てのLORデータに対して、このようなカウントが行われて格子状データ23が作成される。
【0034】
格子状データ23は、ヒストグラムデータが用いられる。これにより、余計にデータを作成しなくてもよい効果がある。ヒストグラムデータは、記憶容量の都合から巨大なリストデータを圧縮したデータである。リストデータは、1つのLORデータを収集するごと(1イベントごと)のデータであり、個々のデータが時系列に並んでいる。なお、リストデータは、一度ヒストグラムデータにすると、そのプロセス上の理由から元のリストデータに戻せない。そのため、ヒストグラムデータから画像再構成する場合は、格子状データ23から補間後のLORデータ(格子状データ)が作成される。
【0035】
補間LORデータ作成部19は、格子状データ23の各格子を通過したLORの本数(カウント数)から、抜き取った検出器部分があれば収集されると推定する補間LORの本数を確率的に算出して補間LORデータを作成する。具体的には、補間LORデータ作成部19は、格子状データ23の各格子を通過したLORの本数と各格子の実測検出面の立体角と全立体角から各格子を通過するLORの推定総本数を算出し、この推定総本数と抜き取った検出器部分の欠損検出面の立体角と全立体角から補間する補間LORの本数を算出して補間LORデータを作成する。すなわち、下記の式(1)および式(2)から補間するLORの本数が算出される。
【0036】
ある格子を通過するLORの推定総本数Pm=ある格子のカウント数/実測検出面の立体角×全立体角 …(1)
補間するLORの本数=Pm×補間検出面の立体角/全立体角 …(2)
【0037】
なお、実測検出面の立体角は、多層検出部11の複数個の検出器9のうち、一部の検出器9を抜き取った構成の実測にγ線を検出する面の立体角を示す。また、補間検出面の立体角は、抜き取った検出器部分の補間される面の立体角を示す。仮に2次元で説明すると、例えば、隣接する検出器の間に隙間がなく、リング状に配置された12個の検出器9のうち、2個の検出器9を抜き取った構成である場合、検出器9で実測される角度は、300°{=360°−(30°×2個分)}である。また、補間される角度は、2個の検出器分の角度60°(30°×2個分)である。なお、上述の式(1)および式(2)には、各格子に応じて異なる実測検出面の立体角や補間検出面の立体角が与えられる。
【0038】
このように補間LORデータ作成部19は、格子状データ23の各格子を通過したLORの本数から、仮に、抜き取った部分の検出器9があれば測定できると推定される各格子の補間するLORの本数を算出する。式(1)および式(2)の計算は、補間するLORが通過する全ての格子に対して行われる。そして、補間するLORが通過する全ての格子の積算値が補間するLORの本数となる。この処理が全ての補間するLORに対して行われる。それにより、補間する各LORの本数を含む補間LORデータが作成される。
【0039】
例えば、図5の符号fで示す補間するLORが通過する全ての格子が、f1、f2,f3,…,fnの場合、式(1)および式(2)で算出された各格子における補間するLORの本数が(f1、f2,f3,…,fn)=(g1,g2,g3,…、gn)であるとする。そして、符号fで示す補間するLORの本数Gは、G=(g1+g2+g3+…+gn)と求められる。
【0040】
加算処理部21は、データ収集部13で収集されたLORデータに補間LORデータ作成部19で算出された補間LORデータを加算処理する。すなわち、加算処理部21は、格子状データ作成部17で作成された格子状データ23に、補間LORデータの補間するLORを追加して加算する。この場合、格子状データ23の各格子を通過した補間するLORの本数をカウントすることにより加算される。なお、例えば、補間するLORの本数Gが2.5本の場合は、2本として加算してもよい。また、小数点以下を含んだ2.5本のままで加算するようにしてもよいし、10倍して25本として加算するようにしてもよい。後述する感度補正などの補正処理で、小数点以下の部分のデータを含んで補正することができる。
【0041】
なお、例えば、格子(ボクセル)の体積が小さい場合であって、各格子のカウント数の合計が少ないとき、LORの補間精度が低下する。この場合は、格子の体積を大きく設定する。すなわち、空間を格子状に分割した各格子は、LORの補間精度が良好になるような大きさに、後述する入力部35により予め設定される。
【0042】
補正処理部25は、例えば、トランスミッションデータを収集して行う吸収補正や感度補正など必要な補正処理を行う。画像再構成部27は、補間されたLORデータを用いて画像再構成する。これにより、断層画像を取得することができる。
【0043】
また、PET装置1は、主制御部29、表示部31、メモリ部33および入力部35を備えている。主制御部29は、各構成を統括的に制御する。表示部31は、液晶表示パネルなどで構成され、画像再構成されて取得した断層画像等を表示する。メモリ部33は、断層画像等を記憶し、ROM(Read-only Memory)、RAM(Random-Access Memory)またはハードディスク等の記憶媒体で構成される。入力部35は、入力設定や各種操作が行われ、キーボードやマウス等で構成される。
【0044】
<PET装置1の動作>
次に、PET装置1の動作について説明する。被検体Mには、ポジトロン放射性同位元素(ラジオアイソトープ:RI)で標識した放射性薬剤が投与される。そして、ベッド装置3により天板2に載置された被検体Mがガントリ5の開口部4内の任意の位置に移動される。
【0045】
被検体から放射されるγ線は、4π方向(全方向)に一様に放射される。多層検出部11の各検出器9は、被検体Mから180°反対方向に放射する2つのγ線を検出し、γ線を検出した検出器9は、電気信号(検出信号)を出力する。データ収集部13は、2つの検出器9で検出されたγ線の時刻差が予め設定された時間以内であれば、一対のγ線として同時計数する。そして、180°反対方向に放射する2つのγ線が検出された検出器対を結ぶLORデータを収集する。
【0046】
データ収集部13で収集されたLORデータは、格子状データ作成部17に送信される。格子状データ作成部17は、図3および図4に示すように、空間を3次元の格子状に分割した各格子を通過したLORの本数をカウントして格子状データ23を作成する。すなわち、LORが通過した全ての格子に1をカウントして、これを実測した全てのLORデータに対して行う。
【0047】
補間LORデータ作成部19は、格子状データ23の各格子を通過した実測したLORの本数から、抜き取った検出器部分があれば収集されると推定する、補間LORの本数を確率的に算出して補間LORデータを作成する。例えば、図5の符号fで示す補間するLORの本数を算出する場合、補間するLORが通過する全ての格子(f1,f2,f3,…、fn)の実測したLORの本数から、上述の式(1)および式(2)により、抜き取った部分の検出器9があれば確率的に測定できると推定される補間するLORの本数を算出する。補間するLORの本数は、(f1,f2,f3,…、fn)=(g1,g2,g3,…、gn)と算出されたとする。補間するLORの本数Gは、積算した値、すなわち、G=(g1+g2+g3+…+gn)により算出される。これを全ての補間LORに対して行って、補間LORデータが作成される。このように、全ての補間LORに対して個々に補間LORを算出しているので正確なLOR補間処理を行うことができる。
【0048】
加算処理部21は、格子状データ作成部17で作成された格子状データ23に、補間LORデータの補間するLORを追加して加算する。これにより、データ収集部13で収集されたLORデータは、補間LORデータ作成部19で作成された補間LORデータで補間される。そして、画像再構成部27は、補正処理部25を介して得られた、補間されたLORデータを用いて画像再構成する。これにより、リング状に配置された複数個の検出器9の一部を抜き取って構成されていても、抜き取った検出器部分を有するときのようなアーチファクトを低減させた断層画像を取得することができる。取得した断層画像は、表示部31に表示されたり、メモリ部33に記憶されたりする。
【0049】
本実施例に係るPET装置1によれば、データ収集部13は、γ線が検出された検出器対を結ぶ線を示すLORデータを収集し、格子状データ作成部17は、検出部7のリング状に配置された複数個の検出器9の内側の空間を格子状に分割し、各格子を通過したLORの本数をカウントして格子状データ23を作成する。そして、補間LORデータ作成部19は、格子状データ23の各格子を通過したLORの本数から、抜き取った部分の検出器があれば収集されると推定する補間LORの本数を確率的に算出して補間LORデータを作成している。このように格子状データ23の各格子を通過したLORの本数から算出され作成された補間LORデータで、抜き取った検出器部分の欠損したLORデータを補間しているので、断層画像に発生していたアーチファクトを低減させることができる。
【0050】
すなわち、リング状に配置した複数個の検出器9の一部を抜き取って構成された検出部9のうち、その抜き取った検出器部分があれば、実測できたであろう欠損したLORデータを実測したLORデータから推定して補間することができる。したがって、断層画像に発生していたアーチファクトを低減させることができる。それにより、リング状に配置した検出器9の一部を抜き取って構成された検出部7を備えた本装置1を実現可能な有効なものとすることができる。
【0051】
また、検出部7は、リング状に配置された複数個の検出器9のうちの抜き取った検出器部分で、採血チューブなどの器具や天板2に載置された被検体Mや光などの様々な物を通すことができる。例えば、複数個の検出器9が完全なリング状に配置された検出部(検出器リング)である場合、その検出部のリング内の被検体Mは、圧迫感を感じてしまう。しかしながら、検出部7は、リング状に配置した複数個の検出器9の一部を抜き取って構成されているので、その抜き取った検出器部分で、光や空気などが通すことができ、被検体Mが感じる圧迫感を軽減させることができる。また、複数個の検出器9が完全なリング状に配置された検出部(検出器リング)である場合、ガントリの開口部(トンネル)に沿って、採血チューブなどの器具の配置させているが、抜き取った検出器部分から配置することができる。また、検出部7を構成する検出器9の個数を少なくすることができるので、本装置1の製造コストを低減させることができる。さらに、検出部7がC型であることにより、乳房のPET画像を撮影する場合に、被検体の腋(わき)窩リンパ部の撮影を良好に行うことができる。
【実施例2】
【0052】
次に、図面を参照して本発明の実施例2を説明する。図6は、実施例2に係るPET装置の概略構成図である。図7は、LOR補間部の動作の説明に供する図であり、(a)は1回目のLORデータ収集を示し、(b)は2回目のLORデータ収集を示す。なお、上述した実施例と重複する構成については、その説明を省略する。
【0053】
実施例2では、リング状に配置された複数個の検出器9の一部を抜き取って構成された検出部7において、抜き取った検出器部分があれば収集されると推定される欠損したLORを、検出部7を回転させて、その抜き取った検出器部分の位置で実測したLORで補間する。
【0054】
PET40は、抜き取った検出器部分を有する、リング状に配置された複数個の検出器9の中心軸hを中心に検出部7を回転させる回転機構41を備えている。中心軸hは、被検体Mの体軸方向と平行である。回転機構41は、主制御部29により制御される。回転機構41は、抜き取った検出器部分の位置に、検出器9が配置されるように回転する。回転機構41は、例えば、抜き取った検出器部分を含めてリング状に配置された複数個の検出器9が等間隔に配置される場合は、検出器9の間隔単位で回転させるようにしてもよい。
【0055】
また、PET40は、抜き取った検出器部分の欠損したLORを補間するLOR補間部43を備えている。LOR補間部43は、第1収集メモリ部45と、第2収集メモリ部46と、重み付け平均処理部47とを備えている。第1収集メモリ部45は、1回目に、予め設定された期間内に収集されたLORデータを記憶する。同様に、第2収集メモリ部46は、2回目に収集されたLORデータを記憶する。2回目の収集は、1回目のLORデータの収集の位置から、回転機構41により回転された位置で行われる。
【0056】
重み付け平均処理部47は、抜き取った検出器部分の位置の欠損したLORデータを、回転機構41により回転させて収集された、抜き取った検出器部分の位置に対応するLORデータで補間する補間処理を行う。例えば、図7(a)および図7(b)に示すような検出器9の回転位置でLORが収集されるとする。回転前後の検出器9の位置で、欠損したLORデータが無く、実測したLORデータが2つ存在する位置では、重み付けを“1”として2つの実測したLORデータを平均する。また、回転前後の検出器9の位置で、実測したLORデータが1つ存在する、欠損したLORを有する位置では、欠損したLORの重み付けを“0”として、実測したLORの重み付けを“2”として、欠損したLORと実測したLORデータを平均する。なお、図7において、重み付けを符号Sで示す。例えば、符号Pで示す位置では、重み付けS=1である。また、重み付け平均処理部47は、本発明における回転LOR補間処理部に相当する。
【0057】
<PET装置40の動作>
次に、PET装置40の動作、特にLOR補間部43の動作について説明する。データ収集部13は、図7(a)に示す1回目のLORデータを収集する。収集されたLORデータは、第1収集メモリ部45に記憶される。LORデータの収集は、予め設定された期間で行われる。1回目のLORデータの収集が終わると、回転機構41により検出部7が中心軸hを中心に回転される。そして、データ収集部13は、図7(b)に示す2回目のLORデータを収集する。収集されたLORデータは、第2収集メモリ部46に記憶される。2回目のLORデータの収集は、1回目の収集で抜き取った検出器部分に対応する位置の収集が行えるように回転機構41により回転されて行われる。
【0058】
重み付け平均処理部47は、図7(a)に示す1回目のLORデータの収集と、図7(b)に示す2回目のLORデータ収集との重み付け平均処理を行う。例えば、図7(a)および図7(b)に示すように、符号Pで示す位置において、ともにLORデータの収集が行われることから重み付けを“1”として平均する。また、符号Qで示す位置において、1回目の収集では、抜き取った検出器部分となるのでLOR収集データはなく、2回目の収集では、検出器9でLORデータの収集が行われる。そのため、1回目の重み付けを“0”として、2回目の重み付けを“2”として平均する。これにより、欠損したLORを補間する。
【0059】
なお、PET装置40は、2回のLORデータの収集を行って欠損したLORを補間しているが、3回以上のLORデータから欠損したLORを補間するようにしてもよい。
【0060】
本実施例に係るPET装置40によれば、重み付け平均処理部47は、抜き取った検出器部分の位置の欠損したLORデータを、回転機構41により回転させて収集した、抜き取った検出器部分の位置に対応するLORデータで補間する処理を行っている。すなわち、抜き取った検出器部分の位置と同位置の、回転機構により回転させて収集したLORデータで補間することで、断層画像に発生していたアーチファクトを低減させることができる。
【0061】
すなわち、リング状に配置した複数個の検出器9の一部を抜き取って構成された検出部7のうち、その抜き取った部分の検出器があれば、実測できたであろう欠損したLORデータを実測したLORデータから推定して補間することができる。これにより、断層画像に発生していたアーチファクトを低減させることができる。それにより、リング状に配置した検出器9の一部を抜き取って構成された検出部を備えた本装置を有効なものとすることができる。
【0062】
また、検出部7は、リング状に配置された複数個の検出器9のうちの抜き取った検出器部分で、採血チューブなどの器具や天板2に載置された被検体Mや光などの様々な物を通すことができる。例えば、複数個の検出器9が完全なリング状に配置された検出部(検出器リング)である場合、その検出部のリング内の被検体Mは、圧迫感を感じてしまう。しかしながら、検出部9は、リング状に配置した複数個の検出器9の一部を抜き取って構成されているので、その抜き取った検出器部分で、光や空気などが通すことができ、被検体Mが感じる圧迫感を軽減させることができる。また、複数個の検出器9が完全なリング状に配置された検出部(検出器リング)である場合、ガントリの開口部に沿って、採血チューブなどの器具の配置させているが、抜き取った検出器部分から配置することができる。また、検出部7を構成する検出器9の個数を少なくすることができるので、本装置1の製造コストを低減させることができる。
【実施例3】
【0063】
次に、図面を参照して本発明の実施例3を説明する。図8は、実施例3に係るPET装置の概略構成図である。図9は、LOR補間部の動作の説明に供する図であり、(a)は1回目のLORデータ収集を示し、(b)は2回目のLORデータ収集を示す。なお、上述した各実施例と重複する構成については、その説明を省略する。
【0064】
実施例3では、実施例1と実施例2を組み合わせた構成で欠損したLORを補間する。
【0065】
PET装置50において、LOR補間部51は、1回目のLORデータ収集で用いられる、第1格子状データ作成部53、第1補間LORデータ作成部54および第1加算処理部55とを備えている。また、LOR補間部51は、2回目のLORデータ収集で用いられる、第2格子状データ作成部57、第2補間LORデータ作成部58および第2加算処理部59とを備えている。各構成の詳細については、実施例1の格子状データ作成部17、補間LORデータ作成部19および加算処理部21の説明と重複するので省略する。
【0066】
また、LOR補間部51は、抜き取った検出器部分の位置の第1加算処理部55で補間処理されたLORデータを、回転機構41により回転させて収集された、抜き取った検出器部分位置に対応するLORデータで補間する補間処理を行う重み付け平均処理部61を備えている。なお、第1加算処理部55および第2加算処理部59は、本発明における確率LOR補間処理部に相当する。また、重み付け平均処理部61は、本発明における回転LOR補間処理部に相当する。
【0067】
<PET装置50の動作>
次に、PET装置50の動作、特にLOR補間部51の動作について説明する。データ収集部13は、図9(a)に示す1回目のLORデータを収集する。収集されたLORデータは、第1格子状データ作成部53に送信される。LORデータの収集は、予め設定された期間で行われる。
【0068】
第1格子状データ作成部53は、図3に示すように、空間が分割された3次元の格子状の各格子を通過したLORの本数をカウントして格子状データ23を作成する。そして、第1補間LORデータ作成部54は、格子状データ23の各格子を通過した実測したLORの本数から、抜き取った検出器部分があれば収集されると推定する補間LORの本数を確率的に算出して補間LORデータを作成する。
【0069】
第1加算処理部55は、格子状データ作成部17で作成された格子状データ23に、補間LORデータの補間するLORを追加して加算する。これにより、データ収集部13で収集されたLORデータは、第1補間LORデータ作成部54で作成された補間LORデータで補間される。補間処理された1回目の補間後LORデータは、重み付け平均処理部61に送信される。
【0070】
1回目のLORデータの収集が終わると、回転機構41により、検出部7が中心軸hを中心に回転される。そして、データ収集部13は、図9(b)に示す2回目のLORデータを収集する。収集されたLORデータは、第2格子状データ作成部57に送信される。LORデータの収集は、予め設定された期間で行われる。
【0071】
第2格子状データ作成部57、第2補間LORデータ作成部58および第2加算処理部59は、第1格子状データ作成部53、第1補間LORデータ作成部54および第1加算処理部55と同様の動作が実行される。これにより、データ収集部13で収集されたLORデータは、第2補間LORデータ作成部58で作成された補間LORデータで補間される。補間処理された2回目の補間後LORデータは、重み付け平均処理部61に送信される。
【0072】
重み付け平均処理部61は、図9(a)に示す1回目の補間後LORデータと、図9(b)に示す2回目の補間後LORデータとの重み付け平均を行う。例えば、図9(a)および図9(b)に示すように、符号Pで示す位置において、ともにLORデータの収集が行われ、補間するLORの対象となっていないことから、重み付けを“1”として平均する。また、符号Qで示す位置において、1回目の収集では、抜き取った検出器部分に当たるので、補間するLORの対象となり補間されたLORデータを有している。一方、2回目の収集では、検出器9でLORデータの収集が行われ、補間するLORの対象となっていない。そして、補間されたLORデータの信頼性を考慮して、1回目の重み付けを“0.5”として、2回目の重み付けを“1.5”として平均する。これにより、LORデータを補間する。
【0073】
本実施例に係るPET装置50によれば、第1加算処理部55および第2加算処理部59で補間処理されたLORデータを、さらに、回転機構41により回転させて収集した、抜き取った検出器部分の位置に対応するLORデータで補間する補間処理を行っているので、断層画像に発生していたアーチファクトをより低減させることができる。
【実施例4】
【0074】
次に、図面を参照して本発明の実施例4を説明する。図10は、実施例4に係るPET装置の概略構成図である。図11は、リアルタイムでLORデータを補間する補間処理の説明に供する図であり、(a)は、実測したLORと補間LORを示し、(b)は算出された補間LORの本数を積算して判定する動作を示し、(c)は補間LORの加算処理を示す。なお、上述した各実施例と重複する構成については、その説明を省略する。
【0075】
上述の実施例1および3は、ある程度の本数のLORを含むLORデータに対して、まとめてLORデータを補間していたが、実施例4では、リアルタイムでLORを補間する。
【0076】
PET装置70のLOR補間部71は、補間LORデータ作成部73、判定処理部75および補間処理部77を備えている。なお、判定処理部75および補間処理部77は本発明における確率LOR補間処理部に相当する。
【0077】
補間LORデータ作成部73は、1つのLORデータを収集するごとに抜き取った検出器部分があれば収集されると推定する補間LORの本数を確率的に算出して補間LORデータを作成・更新する。すなわち、補間LORデータ作成部73は、1つのLORデータ(リストデータ)ごとに補間LORの本数を算出している。
【0078】
データ収集部13には、図11(a)に示すように、イベントA、イベントB、イベントC、…、イベントZの順番にLORデータが収集されるとする。この場合、LORデータが収集されるごとに、補間LORデータ作成部73は、補間LORの本数を確率的に算出する。例えば、同時計数されたイベントAと補間LOR1とが、ある格子で交差する場合、その格子における実測検出面の立体角、補間検出面の立体角、および1回のイベントが収集された事実等から補間するLORの本数が算出される。なお、ある1つのLORデータが収集された時に、各格子における補間LORの確率(本数)は、予め計算されてわかっている。そのため、変換テーブルを設けて、収集されたLORデータを補間LORの本数に変換するようにしてもよい。
【0079】
補間LORデータは、図11(b)に示すように、例えば、100本の補間LOR(補間LOR1、補間LOR2、補間LOR3、…、補間LOR100)があるとする。そして、1つのLORデータが収集されるごとに、抜き取った部分の検出器があれば収集されると推定する補間LORの本数を確率的に算出し,確率的に算出された補間LORの本数が積算される。このようにして補間LORデータを作成・更新している。
【0080】
判定処理部75は、作成された補間LORデータの補間LORの本数の積算値が予め設定された値以上であるかを判定する。補間処理部77は、補間LORの本数の積算値が予め設定された値以上である場合に、データ収集部13で収集されたLORデータに補間LORを加算して補間処理する。すなわち、判定処理部75は、例えば、補間LOR1の積算された補間LORデータの本数が、イベントYを収集したときに1本を越える場合、補間LOR1が1本存在するとして判定する。そして、判定処理部75は、補間LOR1を補間することを補間処理部75に通知する。補間処理部77は、判定処理部75からの補間LOR1を補間することの通知に基づいて、図11(c)に示すように、イベントYとイベントZとの間にLORを補間する。
【0081】
<PET装置70の動作>
次に、PET装置70の動作、特にLOR補間部71の動作について説明する。データ収集部13は、イベントAなどのLORデータを収集する。格子状データ作成部73は、収集された1つのLORデータごとに、補間LORデータ作成部73は、抜き取った部分の検出器があれば収集されると推定する補間LORの本数を確率的に算出する。そして、補間LORデータ作成部73は、補間する補間LOR1〜100が通過する各格子において、LORデータが収集されるごとに、確率的に算出された補間LORの本数を積算する(図11b)。
【0082】
判定処理部75は、補間LOR1〜100が通過する各格子において、確率的に算出された補間LORの本数の積算値が予め設定された値(例えば1本)以上であるかを判定する。その積算値が1本を越える場合、判定処理部75は、そのことを補間処理部77に通知する。補間処理部77は、その通知に基づいて、1本を越えた際のLORデータの後に補間LORを1本加算する。それにより、欠損したLORを補間する。なお、判定処理部75は、積算値が1本を越えて、そのことを補間処理部77に通知した場合、例えば積算値から1を減算するようにしてもよい。また、再構成処理部27は、LORデータを収集するごとにリアルタイムで画像再構成して断層画像を取得する。
【0083】
本実施例に係るPET装置70によれば、時間経過に伴って変動するデータ収集の場合に、データ収集後にまとめてLOR補間をすると、変動量によっては、アーチファクトを良好に低減できないことがある。しかしながら、判定処理部75および補間処理部77は、LORデータを収集するごとに算出された補間LORデータの積算値が予め設定された値以上の場合に補間LORデータを補間処理するので、リアルタイムでLOR補間することができる。
【実施例5】
【0084】
次に、図面を参照して本発明の実施例5を説明する。図12は、実施例5に係る陽電子放射断層撮像装置(PET装置)の概略構成図であり、(a)はその多層検出部を示し、(b)は(a)のA方向から見た検出器の配置の一例を示す。なお、上述した各実施例と重複する構成については、その説明を省略する。
【0085】
上述した実施例1では、リング状に配置された複数個の検出器9の一部を抜き取って構成されたC型の検出部7を備えて、欠損したLORを補間していたが、この構成に限定されない。
【0086】
すなわち、本実施例のPET装置80は、リング状に配置された複数個の検出器9で構成された多層の検出部(検出器リング)81のうち、一部の検出部81を抜き取って構成された多層検出部83を備えている。すなわち、多層検出部83は、被検体Mの体軸の垂直方向に対しては、抜き取った検出器部分が存在せず、被検体Mの体軸方向に多層に重ねて構成された検出部81の一部が抜き取られた構成である。
【0087】
なお、PET装置80は、治療用放射線照射部85を備えて、治療用放射線照射部85から多層検出部83の抜き取った検出部81部分を通して被検体Mに放射線を照射するようにしてもよい。
【0088】
本実施例に係るPET装置80によれば、複数個の検出器9がリング状に配置された検出部(検出器リング)81が、被検体Mの体軸方向に多層に構成されている場合(多層検出部83)、多層に構成された検出部81の一部を抜き取って構成されていても、アーチファクトを低減させた断層画像を取得することができる。
【0089】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0090】
(1)上述した実施例1〜4では、リング状に配置された複数個の検出器9の一部を抜き取って構成されたC型の検出部7を備えていたが、検出部7がC型の構成に限定されない。例えば、検出部は、図13(a)のO型を2分割した構成や、図13(b)のO型を3分割した構成であってもよい。
【0091】
(2)上述した実施例5では、リング状に配置された複数個の検出器9で構成された多層の検出部(検出器リング)81のうち、一部の検出部81を抜き取って構成されていたが、この構成に限定されない。例えば、抜き取った検出部部分がC型の検出部や変形例(1)の検出部で構成されていてもよい。
【0092】
(3)上述した各実施例では、検出器9は、検出器ブロックで構成されたが、この構成に限定されない。例えば、検出素子が半導体であるテルル化カドミウム(CdTe)等で構成され、γ線の入射によって生成される電荷を検出する半導体カメラであってもよい。
【0093】
(4)上述した実施例1および3では、格子状データ作成部17で格子状データ23を作成し、補間LORデータ作成部19は、格子状データ23の各格子を通過したLORの本数から補間LORの本数を算出している。しかしながら、図11(b)に示すように、積算された各補間LORの本数に基づいて、まとめてLORを補間するようにしてもよい。
【0094】
(5)上述した実施例4では、画像再構成部27は、リストデータ(1つのLORデータ)から算出して作成された補間LORデータをリストデータ内に挿入し、その補間されたリストデータから画像再構成して断層画像を取得している。しかしながら、図10において、データ収集部13と補間LORデータ作成部73との間に、実施例1の格子状データ作成部を設けるようにしてもよい。この場合、格子状データ作成部は、1つのLORデータを収集するごとに、格子状データ23を作成し、補間LORデータ作成部73は、その格子状データ23の各格子を通過したLORの本数から、抜き取った検出器部分があれば収集されると推定する補間LORの本数を確率的に算出して補間LORデータを作成・更新する。すなわち、1つのLORデータを収集するごとに格子状データ23を作成してもよいし、この格子状データ23から補間するLORを算出するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0095】
1,40,50,70,80 … PET装置
7,81 … 検出部
9 … 検出器
11,83 … 多層検出部
13 … データ収集部
15,43,51,71 … LOR補間部
17 … 格子状データ作成部
19,73 … 補間LORデータ作成部
21 … 加算処理部
23 … 格子状データ
29 … 主制御部
41 … 回転機構
45 … 第1収集メモリ部
46 … 第2収集メモリ部
47,61 … 重み付け平均処理部
53 … 第1格子状データ作成部
54 … 第1補間LORデータ作成部
55 … 第1加算処理部
57 … 第2格子状データ作成部
58 … 第2補間LORデータ作成部
59 … 第2加算処理部
75 … 判定処理部
77 … 補間処理部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リング状に配置された複数個の検出器の一部を抜き取って構成され、放射性薬剤が投与された被検体から放射される対消滅光子を検出する検出部と、
前記対消滅光子が検出された検出器対を結ぶ線を示すLORデータを収集するデータ収集部と、
前記抜き取った検出器部分があれば収集されると推定する補間LORの本数を確率的に算出して補間LORデータを作成する補間LORデータ作成部と、
前記データ収集部で収集された前記LORデータに前記補間LORデータ作成部で算出された前記補間LORデータを加算処理する確率LOR補間処理部と、
を備えることを特徴とする陽電子放射断層撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の陽電子放射断層撮像装置において、
前記検出部のリング状に配置された複数個の検出器の内側の空間を格子状に分割し、各格子を通過したLORの本数をカウントして格子状データを作成する格子状データ作成部を備え、
前記補間LORデータ作成部は、前記格子状データの各格子を通過したLORの本数と各格子の実測検出面の角度と全角度から各格子を通過するLORの推定総本数を算出し、この推定総本数と前記抜き取った検出器部分の欠損検出面の角度と全角度から補間する補間LORの本数を算出して補間LORデータを作成することを特徴とする陽電子放射断層撮像装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の陽電子放射断層撮像装置において、
リング状に配置された複数個の検出器の中心軸を中心に前記検出部を回転させる回転機構と、
前記確率LOR補間処理部で補間処理された前記抜き取った検出器部分の位置のLORデータを、前記回転機構により回転させて収集された前記抜き取った検出器部分の位置に対応するLORデータで補間する補間処理を行う回転LOR補間処理部と、
を備えることを特徴とする陽電子放射断層撮像装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の陽電子放射断層撮像装置において、
前記補間LORデータ作成部は、LORデータを収集するごとに補間LORの本数を確率的に算出して補間LORデータを作成し、
前記確率LOR補間処理部は、算出された補間LORデータの積算値が予め設定された値以上の場合に補間LORデータを補間処理することを特徴とする陽電子放射断層撮像装置。
【請求項5】
リング状に配置された複数個の検出器の一部を抜き取って構成され、放射性薬剤が投与された被検体から放射される対消滅光子を検出する検出部と、
前記対消滅光子が検出された検出器対を結ぶ線を示すLORデータを収集するデータ収集部と、
リング状に配置された複数個の検出器の中心軸を中心に前記検出部を回転させる回転機構と、
前記抜き取った検出器部分の位置の欠損したLORデータを、前記回転機構により回転させて収集された前記抜き取った検出器部分の位置に対応するLORデータで補間する補間処理を行う回転LOR補間処理部と、
を備えることを特徴とする陽電子放射断層撮像装置。
【請求項6】
請求項3または5に記載の陽電子放射断層撮像装置において、
前記補間処理は、重み付け平均であることを特徴とする陽電子放射断層撮像装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の陽電子放射断層撮像装置において、
前記検出部はC型であることを特徴とする陽電子放射断層撮像装置。
【請求項8】
請求項1または2に記載の陽電子放射断層撮像装置において、
前記検出部は、リング状でかつ多層に配置された複数個の検出器の一部を抜き取って構成されていることを特徴とする陽電子放射断層撮像装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の陽電子放射断層撮像装置において、
補間されたLORデータを用いて画像再構成する画像再構成部を備えていることを特徴とする陽電子放射断層撮像装置。
【請求項1】
リング状に配置された複数個の検出器の一部を抜き取って構成され、放射性薬剤が投与された被検体から放射される対消滅光子を検出する検出部と、
前記対消滅光子が検出された検出器対を結ぶ線を示すLORデータを収集するデータ収集部と、
前記抜き取った検出器部分があれば収集されると推定する補間LORの本数を確率的に算出して補間LORデータを作成する補間LORデータ作成部と、
前記データ収集部で収集された前記LORデータに前記補間LORデータ作成部で算出された前記補間LORデータを加算処理する確率LOR補間処理部と、
を備えることを特徴とする陽電子放射断層撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の陽電子放射断層撮像装置において、
前記検出部のリング状に配置された複数個の検出器の内側の空間を格子状に分割し、各格子を通過したLORの本数をカウントして格子状データを作成する格子状データ作成部を備え、
前記補間LORデータ作成部は、前記格子状データの各格子を通過したLORの本数と各格子の実測検出面の角度と全角度から各格子を通過するLORの推定総本数を算出し、この推定総本数と前記抜き取った検出器部分の欠損検出面の角度と全角度から補間する補間LORの本数を算出して補間LORデータを作成することを特徴とする陽電子放射断層撮像装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の陽電子放射断層撮像装置において、
リング状に配置された複数個の検出器の中心軸を中心に前記検出部を回転させる回転機構と、
前記確率LOR補間処理部で補間処理された前記抜き取った検出器部分の位置のLORデータを、前記回転機構により回転させて収集された前記抜き取った検出器部分の位置に対応するLORデータで補間する補間処理を行う回転LOR補間処理部と、
を備えることを特徴とする陽電子放射断層撮像装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の陽電子放射断層撮像装置において、
前記補間LORデータ作成部は、LORデータを収集するごとに補間LORの本数を確率的に算出して補間LORデータを作成し、
前記確率LOR補間処理部は、算出された補間LORデータの積算値が予め設定された値以上の場合に補間LORデータを補間処理することを特徴とする陽電子放射断層撮像装置。
【請求項5】
リング状に配置された複数個の検出器の一部を抜き取って構成され、放射性薬剤が投与された被検体から放射される対消滅光子を検出する検出部と、
前記対消滅光子が検出された検出器対を結ぶ線を示すLORデータを収集するデータ収集部と、
リング状に配置された複数個の検出器の中心軸を中心に前記検出部を回転させる回転機構と、
前記抜き取った検出器部分の位置の欠損したLORデータを、前記回転機構により回転させて収集された前記抜き取った検出器部分の位置に対応するLORデータで補間する補間処理を行う回転LOR補間処理部と、
を備えることを特徴とする陽電子放射断層撮像装置。
【請求項6】
請求項3または5に記載の陽電子放射断層撮像装置において、
前記補間処理は、重み付け平均であることを特徴とする陽電子放射断層撮像装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の陽電子放射断層撮像装置において、
前記検出部はC型であることを特徴とする陽電子放射断層撮像装置。
【請求項8】
請求項1または2に記載の陽電子放射断層撮像装置において、
前記検出部は、リング状でかつ多層に配置された複数個の検出器の一部を抜き取って構成されていることを特徴とする陽電子放射断層撮像装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の陽電子放射断層撮像装置において、
補間されたLORデータを用いて画像再構成する画像再構成部を備えていることを特徴とする陽電子放射断層撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−145446(P2012−145446A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−4072(P2011−4072)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]