説明

隊列走行制御装置

【課題】隊列走行を行う各車両の燃費を向上することが可能な隊列走行制御装置を提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る隊列走行制御装置1Aは、隊列を組んで複数の車両を走行させる隊列走行制御装置において、各車両における加減速を含む走行計画に基づいて隊列を組む車両を決定する隊列車両決定手段20Aを備える。走行計画は、加速走行と、減速走行又は惰性走行とを交互に繰り返すことによって車両の走行速度を目標速度に速度制御するための走行計画である。隊列車両決定手段20Aは、走行計画の1周期における走行距離が比較的近い車両から優先的に隊列を組むように決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隊列走行制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車専用道路では、安全性の向上や運転者の負担軽減、交通の効率向上の観点から、複数の車両が隊列を組んで走行することが望ましいことがある。特許文献1には、このような複数の車両による隊列走行を制御する隊列走行制御装置が記載されている。この隊列走行制御装置は、緊急停止時であっても追突することなく安全に停止することができるように、制動距離が長い車両から順に並ぶように隊列の順序を決定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−293899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の隊列走行制御装置では、制動距離が長い車両、すなわち制動タイミングが早い車両から順に並ぶように隊列の順序が決定されるので、先行車両と後続車両との車間距離が短くなり、各車両は車間距離調整のための減速を行わなければならない。その結果、各車両では、この減速により無駄なエネルギーが消費され、燃費が悪くなってしまう。
【0005】
このように、特許文献1に記載の隊列走行制御装置では、緊急停止時の追突防止の確保のみが考慮されており、低燃費走行を前提とした自動運転の通常走行状態での最適な制御を行うことができない。
【0006】
そこで、本発明は、隊列走行を行う各車両の燃費を向上することが可能な隊列走行制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の隊列走行制御装置は、隊列を組んで複数の車両を走行させる隊列走行制御装置において、各車両における加減速を含む走行計画に基づいて隊列を組む車両を決定する隊列車両決定手段を備える。
【0008】
この隊列走行制御装置によれば、隊列車両決定手段が、各車両の走行計画に基づいて隊列を組む車両を決定するので、先行車両と後続車両との車間距離が短くならないように隊列を組む車両を決定することができる。したがって、隊列走行を行う各車両は、車間距離調整のための減速に起因する無駄なエネルギー消費を低減することができ、燃費を向上することが可能となる。
【0009】
上記した走行計画は、加速走行と、減速走行又は惰性走行とを交互に繰り返すことによって車両の走行速度を目標速度に速度制御するための走行計画であり、上記した隊列車両決定手段は、走行計画の1周期における走行距離が比較的近い車両から優先的に隊列を組むように決定することが好ましい。この構成によれば、隊列車両決定手段が、走行計画の1周期における走行距離が比較的近い車両で隊列を組むので、先行車両と後続車両との車間距離が短くなることを低減することができる。
【0010】
上記した隊列走行制御装置は、速度制御のための自車両の走行速度パターンを自車両の走行計画として生成すると共に、自車両の該走行速度パターンの1周期における自車両の走行距離を求める走行速度パターン生成手段と、複数の他車両の走行速度パターンをそれぞれ各他車両の走行計画として取得すると共に、他車両の該走行速度パターンの1周期における他車両の走行距離をそれぞれ取得する走行速度パターン取得手段とを更に備え、上記した隊列車両決定手段は、自車両の走行距離と比較的近い走行距離を有する他車両から優先的に自車両と隊列を組むように決定する。
【0011】
なお、隊列走行制御装置は、隊列を組んで複数の車両を走行させる隊列走行制御装置において、各車両における加減速を含む走行計画に基づいて隊列の順序を決定する隊列順序決定手段を備える形態であってもよい。
【0012】
この隊列走行制御装置によれば、隊列順序決定手段が、各車両の走行計画に基づいて複数の車両の隊列順序を決定するので、先行車両と後続車両との車間距離が短くならないように隊列順序を決定することができる。したがって、隊列走行を行う各車両は、車間距離調整のための減速に起因する無駄なエネルギー消費を低減することができ、燃費を向上することが可能となる。
【0013】
上記した走行計画は、進行方向前方に位置する目標地点において目標速度となるように車両の走行速度を減速制御するための走行計画であり、上記した隊列順序決定手段は、各車両の走行計画を比較し、減速制御を開始する地点から終了する目標地点までの減速距離が短い車両から順に並ぶように隊列の順序を決定してもよい。この構成によれば、隊列順序決定手段が、減速制御における減速距離が短い車両、すなわち減速制御の開始タイミングが遅い車両を先行させるので、先行車両と後続車両との車間距離が短くなることを低減することができる。
【0014】
また、上記した隊列順序決定手段は、減速制御における減速度が大きい車両から順に並ぶように隊列の順序を決定してもよい。この構成によれば、隊列順序決定手段が、減速制御における減速度が大きい車両、すなわち減速制御の開始タイミングが遅い車両を先行させるので、先行車両と後続車両との車間距離が短くなることを低減することができる。
【0015】
また、上記した隊列順序決定手段は、目標地点側における減速度が大きい車両から順に並ぶように隊列の順序を決定してもよい。この構成によれば、隊列順序決定手段が、目標地点側における減速度が大きい車両を先行させる。その結果、減速距離が比較的近い車両が存在する場合であっても、より大きな減速制御の開始タイミングが遅い車両を先行させることができ、先行車両と後続車両との車間距離が短くなることを低減することができる。
【0016】
上記した隊列走行制御装置は、減速制御のための自車両の減速速度パターンを生成する減速速度パターン生成手段と、自車両の減速速度パターンを時間積分し、目標地点に到達するまでに要する到達時間に対する目標地点までの距離を表す自車両の積分減速速度パターンを自車両の走行計画として生成する積分減速速度パターン生成手段と、1以上の他車両の積分減速速度パターンをそれぞれ各他車両の走行計画として取得する積分減速速度パターン取得手段とを更に備え、上記した隊列順序決定手段は、自車両の積分減速速度パターン及び他車両の積分減速速度パターンをそれぞれ比較し、同一な到達時間における目標地点までの距離が長い車両から順に並ぶように隊列の順序を決定してもよい。
【0017】
上記したように、減速速度パターンは、目標地点において目標速度となるように車両の走行速度を減速制御するための速度パターンであるので、この減速速度パターンを時間積分した積分減速速度パターンは、目標地点に到達するまでに要する到達時間に対する目標地点までの距離を表す距離パターンとなる。したがって、この積分減速速度パターンでは、ある到達時間に対する目標地点までの距離が長いほど、減速制御における減速度が大きいことを表しており、すなわち減速制御に要する減速距離が短いことを表している。
【0018】
この隊列走行制御装置によれば、隊列順序決定手段が、同一な到達時間における目標地点までの距離が長い車両を先行させるので、減速制御における減速度が大きい車両、すなわち減速制御における減速距離が短い車両を先行させることができる。
【0019】
また、上記した隊列走行制御装置は、減速制御のための自車両の減速速度パターンを生成する減速速度パターン生成手段と、自車両の減速速度パターンを時間積分し、目標地点に到達するまでに要する到達時間に対する目標地点までの距離を表す自車両の積分減速速度パターンを自車両の走行計画として生成する積分減速速度パターン生成手段と、1以上の他車両の積分減速速度パターンをそれぞれ各他車両の走行計画として取得する積分減速速度パターン取得手段とを更に備え、上記した隊列順序決定手段は、自車両の積分減速速度パターン及び他車両の積分減速速度パターンをそれぞれ比較し、前記目標地点側の同一な到達時間における目標地点までの距離が長い車両から順に並ぶように隊列の順序を決定してもよい。
【0020】
この構成によれば、隊列順序決定手段が、目標地点側の同一な到達時間における目標地点までの距離が長い車両、すなわち目標地点側における減速度が大きい車両を先行させる。その結果、減速距離が比較的近い車両が存在する場合であっても、より大きな減速制御の開始タイミングが遅い車両を先行させることができる。
【0021】
また、上記した隊列順序決定手段は、自車両の積分減速速度パターン及び他車両の積分減速速度パターンをそれぞれ比較し、自車両及び他車両のうちの少なくとも2つの積分減速速度パターンが交差する場合に、目標地点までの距離が長くなっている時間が長い積分減速速度パターンを有する車両から順に並ぶように隊列の順序を決定し、上記した隊列走行制御装置は、目標地点までの距離が長くなっている時間が短い積分減速速度パターンの減速制御の開始タイミングを、交差を解消するように早める積分減速速度パターン調整手段を更に備える形態であってもよい。
【0022】
積分減速速度パターンが交差することは、その交差時に先行車両と後続車両との順序が入れ換わることを表す。この構成によれば、隊列順序決定手段が、目標地点までの距離が長くなっている時間が長い積分減速速度パターンを有する車両、すなわち先行車両となりうる時間が長い車両を先行させるので、先行車両と後続車両との車間距離が短くなることを比較的低減することができる。また、積分減速速度パターン調整手段が、目標地点までの距離が長くなっている時間が短い積分減速速度パターンの減速制御の開始タイミングを、交差を解消するようにそれぞれ早めるので、先行車両と後続車両との車間距離が短くなることをより低減することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、隊列走行を行う各車両の燃費を向上することが可能な隊列走行制御装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に関連する実施形態、及び、本発明の実施形態に係る隊列走行制御装置の構成を示す図である。
【図2】本発明関連の実施形態の減速速度パターンの一例を示す図である。
【図3】本発明関連の実施形態の積分減速速度パターンの一例を示す図である。
【図4】本発明関連の実施形態の積分減速速度パターンの調整の一例を示す図である。
【図5】本発明関連の実施形態のECUが行う隊列走行制御処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態の走行速度パターンの一例を示す図である。
【図7】本発明の実施形態のECUが行う隊列走行制御処理を示すフローチャートである。
【図8】本発明関連の変形例1、及び、本発明の変形例2に係る隊列走行制御装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
[本発明に関連する実施形態]
【0026】
図1は、本発明に関連する実施形態に係る隊列走行制御装置の構成を示す図である。図1に示す隊列走行制御装置1は、隊列走行を行う複数のハイブリット車両にそれぞれ搭載されている。これらの隊列走行制御装置1がそれぞれ自車両の走行計画を求め、複数の車両におけるリーダ車両、例えば先頭の車両における隊列走行制御装置1が、複数の車両の走行計画に基づいて隊列走行を制御する。以下では、このリーダ車両における隊列走行制御装置1について説明する。
【0027】
隊列走行制御装置1は、エンジン2と、バッテリ3と、インバータ4と、モータ5と、ジェネレータ6と、動力分割機構7と、ディファレンシャル8と、ブレーキ装置9と、操舵装置10と、ナビゲーション装置11と、通信装置12と、電子制御ユニット(以下、ECU:Electrical Control Unitという。)20とを備えている。
【0028】
エンジン2は、ハイブリット車両における第1の動力源であり、ECU20からのエンジン出力要求に応じて、動力分割機構7にエンジン出力を供給する。例えば、エンジン2は、吸気マニホールド内に配置されるスロットルバルブの開度、すなわちスロットル開度を制御したり、燃料室に噴射される燃料の量を制御したり(燃料カット制御を含む)、あるいは、バルブ開閉タイミングを調整するインデークカムシャフトの位相を制御したりすることによって、エンジン出力を制御する。
【0029】
インバータ4は、本実施形態では三相ブリッジタイプのインバータであり、バッテリ3からの直流電力を変換した三相交流電力をモータ5に供給する。
【0030】
モータ5は、ハイブリット車両の第2の動力源として機能し、インバータ4からの交流電力を受けて、ECU20からのモータ出力要求に応じて、動力分割機構7にモータ出力を供給する。また、モータ5は、回生ブレーキ作動時には発電機として機能し、動力分割機構7を介してディファレンシャル(減速機構部)8から受ける運動エネルギーを電気エネルギーに変換し、インバータ4を介してバッテリ3を充電する。
【0031】
ジェネレータ6は、動力分割機構7を介して伝達されるエンジン2からのエンジン出力に応じて発電し、インバータ4を介してバッテリ3を充電する。また、ジェネレータ6は、エンジン2の始動時には、スタータとして機能し、インバータ4を介してバッテリ3から受ける電気エネルギーを運動エネルギーに変換し、動力分割機構7を介してエンジン2へ供給する。
【0032】
動力分割機構7は、例えば遊星歯車機構からなり、エンジン2からのエンジン出力をジェネレータ6及びディファレンシャル8へ伝達する。また、動力分割機構7は、モータ5からのモータ出力をディファレンシャル8へ伝達する。動力分割機構7により、エンジン2のみを駆動源とする「エンジン走行」、モータ5のみを駆動源とする「モータ走行」、エンジン2とモータ5との両方を駆動源とする「エンジン+モータ走行(併用加速)」が選択可能となっている。
【0033】
ディファレンシャル8は、動力分割機構7を介して伝達されるエンジン出力又はモータ出力、あるいはエンジン出力及びモータ出力に応じて、各車輪(図示せず)を駆動する。
【0034】
ブレーキ装置9は、ECU20からのブレーキ出力要求に応じて、各車輪に制動力を作用させる。例えば、ブレーキ装置9は、ディスクブレーキやドラムブレーキであり、ブレーキアクチュエータを介した油圧制御により各車輪に作用させる制動力を制御する。
【0035】
操舵装置10は、ECU20からの操舵出力要求に応じて、各車輪の方向を変更する。例えば、操舵装置10は、アクチュエータの作動により車輪に接続されたタイロッドを駆動し、車輪を転舵させる。
【0036】
ナビゲーション装置11は、地図データベース、GPS(GlobalPositioning System)装置及びVICS(Vehicle Information andCommunication System)を有している。地図データベースは、高精度の地図情報を記憶している。GPS装置は、GPS受信機によるGPS衛星からの受信情報(衛星信号)に基づいて、自車両の位置を2次元もしくは3次元の座標データによって特定する。VICSは、車両外部の管理センターから、例えば道路に設置された基地局を経由して道路交通情報を取得する。
【0037】
ここで、高精度な地図情報には、道路における法定速度やその法定速度区間などの情報が座標データに対応して含まれている。また、道路交通情報には、道路における渋滞区間や渋滞度合いなどの情報が座標データに対応して含まれている。
【0038】
ナビゲーション装置11は、GPS装置により検出された自車両の位置に基づいて、現在走行している走行区間やこの走行区間の法定速度などの情報を地図データベースから抽出すると共に、進行方向前方に位置する前方区間やこの前方区間の法定速度などの情報を地図データベースから抽出する。また、ナビゲーション装置11は、VICSにより検出された道路交通情報に基づいて、渋滞区間やその渋滞区間の渋滞度合いなどの情報を地図データベースから抽出する。ナビゲーション装置11は、抽出した情報をECU20へ送信する。
【0039】
通信装置12は、車車間通信及び路車間通信を行う。通信装置12は、他車両の隊列走行制御装置にて以下のように求められた他車両の積分減速速度パターンを取得し、ECU20へ送信する。
【0040】
ECU20は、演算を行うCPU(Central Processing Unit)、CPUに各処理を実行させるためのプログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)、演算結果などの各種データを記憶するRAM(RandomAccess Memory)などから構成されている。このような構成により、ECU20は、走行速度想定手段、目標速度想定手段、減速速度パターン生成手段、積分減速速度パターン生成手段、積分減速速度パターン取得手段、隊列順序決定手段及び積分減速速度パターン調整手段として機能する。
【0041】
ECU20は、走行速度想定手段として機能し、ナビゲーション装置11から現在走行している走行区間の法定速度を受ける。また、ECU20は、ナビゲーション装置11から走行区間の渋滞情報を受け、この渋滞情報が示す渋滞度合いから予想される走行区間の平均速度を渋滞走行速度として求める。また、ECU20は、運転者が設定した希望走行速度を受ける。ECU20は、これらの法定速度、渋滞走行速度及び希望走行速度のうちの最小値を走行区間の走行速度として想定する。
【0042】
また、ECU20は、減速目標速度想定手段として機能し、進行方向前方に位置する前方区間の法定速度をナビゲーション装置11から受ける。また、ECU20は、ナビゲーション装置11から前方区間の渋滞情報を受け、この渋滞情報が示す渋滞度合いから予想される前方区間の平均速度を渋滞走行速度として求める。ECU20は、これらの法定速度及び渋滞走行速度のうちの最小値が走行区間の走行速度より小さい場合に、この前方区間又は渋滞区間の開始地点を減速目標地点として想定すると共に、法定速度及び渋滞走行速度のうちの最小値を減速目標地点における減速目標速度として想定する。
【0043】
また、ECU20は、減速速度パターン生成手段として機能し、図2に示すように、減速目標地点Aにおいて減速目標速度V1となるように、走行区間の走行速度V2から減速制御するための自車両の減速速度パターンを生成する。図2は、減速速度パターンの一例を示す図である。図2には、減速目標地点Aに対して1000m手前から減速制御を開始する場合の減速速度パターンが示されている。
【0044】
また、ECU20は、積分減速速度パターン生成手段として機能し、減速制御を終了する減速目標地点Aをゼロとして、図3に示すように、自車両の減速速度パターンを時間積分した自車両の積分減速速度パターン(走行計画)51を生成する。図3は、積分減速速度パターンの一例を示す図である。図3に示す積分減速速度パターンは、減速目標地点Aに到達するまでの到達時間に対する減速目標地点Aまでの距離を表している。
【0045】
また、ECU20は、積分減速速度パターン取得手段として機能し、図3に示すように、他車両の隊列走行制御装置において上記と同一に生成された他車両の積分減速速度パターン52,53,54をそれぞれ取得する。
【0046】
また、ECU20は、隊列順序決定手段として機能し、自車両の積分減速速度パターン51と各他車両の積分減速速度パターン52,53,54とをそれぞれ比較し、同一な到達時間における減速目標地点Aまでの距離が長い車両から順に並ぶように隊列の順序を決定する。例えば、図3には同一グラフ上に自車両の積分減速速度パターン51と各他車両の積分減速速度パターン52,53,54とを重ね合わせた場合を示しており、グラフ上において縦軸方向に最も上位にある車両から順に並ぶように隊列の順序を決定する。
【0047】
ここで、減速速度パターンは、減速目標地点Aにおいて減速目標速度V1となるように車両の走行速度を減速制御するための速度パターンであるので、この減速速度パターンを時間積分した積分減速速度パターンは、減速目標地点Aに到達するまでに要する到達時間に対する減速目標地点Aまでの距離を表す距離パターンとなる。したがって、この積分減速速度パターンでは、ある到達時間に対する減速目標地点Aまでの距離が長いほど、減速制御における減速度が大きいことを表しており、すなわち減速制御に要する減速距離が短いことを表している。
【0048】
したがって、ECU20は、走行速度V2から減速目標速度V1までの減速制御における減速度が大きい車両、すなわち、減速制御を開始する地点から終了する減速目標地点Aまでの減速距離が短い車両から順に並ぶように隊列の順序を決定することとなる。その結果、ECU20は、減速制御の開始タイミングが遅い車両から順に並ぶように隊列の順序を決定することとなる。
【0049】
なお、積分減速速度パターン51,52のように、減速距離(減速制御の開始地点から減速目標地点Aまでの距離)が比較的近い車両が存在する場合、ECU20は、減速目標地点A側の同一な到達時間における減速目標地点Aまでの距離が長い車両から順に並ぶように隊列の順序を決定する。例えば、図3に示すグラフ上において、積分減速速度パターン52のように右上における距離が比較的近い車両が存在する場合、より凸である積分減速速度パターン52を有する車両を優先する。このようにして、ECU20は、低速ほど減速度が大きい車両、すなわち減速制御の開始タイミングがより遅い車両から順に並ぶように隊列の順序を決定することとなる。
【0050】
また、ECU20は、積分減速速度パターン53,54のように交差する場合には、減速目標地点までの距離が長くなっている時間が長い積分減速速度パターン53を有する車両を優先する。例えば、図3に示すグラフ上において、時間範囲Aでは積分減速速度パターン53が積分減速速度パターン54より上位にあるので、減速目標地点までの距離が長く、時間範囲Bでは積分減速速度パターン54が積分減速速度パターン53より上位にあるので、減速目標地点までの距離が長い。このように、時刻によって最も上位にある車両が複数存在する場合には、時間範囲Bより長い時間範囲Aにおいて上位にある積分減速速度パターン53を有する車両を優先する。
【0051】
ここで、積分減速速度パターンが交差するということは、その交差時に先行車両と後続車両との順序が入れ換わること(追い越すこと)を表している。したがって、ECU20は、先行車両となりうる時間が長い車両から順に並ぶように隊列の順序を決定することとなる。
【0052】
このように、本実施形態では、ECU20は、積分減速速度パターン52を有する他車両、積分減速速度パターン51を有する自車両、積分減速速度パターン53を有する他車両、積分減速速度パターン54を有する他車両の順に並ぶように隊列の順序を決定する。
【0053】
また、ECU20は、積分減速速度パターン調整手段として機能し、積分減速速度パターン53,54の交差を解消するように、減速目標地点までの距離が長くなっている時間が短い車両、すなわち優先順位が低い車両の減速速度パターン54の減速制御の開始タイミングを早める。図4は、積分減速速度パターンの調整の一例を示す図である。例えば、図4に示すグラフ上において、減速速度パターン54を横軸方向に移動する。このようにして、ECU20は、先行車両と後続車両との車間距離が短くならないように後続車両の減速制御の開始タイミングを早めることとなる。このとき、ECU20は、通信装置12を介して対象の他車両に調整後の積分減速速度パターン54を送信し、この積分減速速度パターン54に従って走行するように指令する。
【0054】
また、ECU20は、決定した順序に自車両及び他車両が並ぶように追い越しなどを行わせることによって、隊列を形成させる。具体的には、ECU20は、エンジン出力要求やモータ出力要求をそれぞれエンジン2、モータ5へ出力したり、ブレーキ出力要求をブレーキ装置9へ出力したり、操舵出力要求を操舵装置10へ出力したりして、自車両に追い越しなどを行わせる。また、ECU20は、自車両の減速走行速度パターンに応じて、エンジン出力要求やモータ出力要求による加速やブレーキ出力要求による減速などを行わせる。
【0055】
次に、本実施形態に係る隊列走行制御装置1の動作を説明する。まず、ナビゲーション装置11は、現在走行している走行区間の法定速度、渋滞走行速度及び希望走行速度をECU20へ送信すると共に、進行方向前方の前方区間の法定速度及び渋滞走行速度をECU20へ送信する。
【0056】
すると、ECU20が隊列走行制御処理を行う。図5は、ECU20が行う隊列走行制御処理を示すフローチャートである。ECU20は、走行区間の法定速度、渋滞走行速度及び希望走行速度のうちの最小値を走行区間の走行速度V2として想定する(ステップS01)。また、ECU20は、前方区間の法定速度及び渋滞走行速度のうちの最小値が走行区間の走行速度V2より小さい場合に、この前方区間又は渋滞区間の開始地点を減速目標地点Aとして想定すると共に、法定速度及び渋滞走行速度のうちの最小値を減速目標地点Aでの減速目標速度V1として想定する(ステップS02)。
【0057】
その後、ECU20は、図2に示すように、減速目標地点Aにおいて減速目標速度V1となるように、走行区間の走行速度V2から減速制御するための自車両の減速速度パターンを生成し、図3に示すように、この自車両の減速速度パターンを積分変換した自車両の積分減速速度パターン51を生成する。また、ECU20は、他車両の隊列走行制御装置において生成された他車両の積分減速速度パターン52,53,54をそれぞれ取得する(ステップS03)。
【0058】
次に、ECU20は、図3に示すように、自車両の積分減速速度パターン51と各他車両の積分減速速度パターン52,53,54とを比較し(ステップS04)、同一な到達時間における減速目標地点Aまでの距離が長い車両から順に並ぶように隊列の順序を決定する。また、ECU20は、変換減速速度パターン51,52のように、減速距離が比較的近い車両が存在する場合には、減速目標地点A側の同一な到達時間における減速目標地点Aまでの距離が長い積分減速速度パターン52を有する車両を優先する(ステップS05)。
【0059】
このようにして、ECU20は、減速制御における減速度が大きい車両、すなわち、減速目標地点Aまでの減速距離が短い車両、換言すれば、減速制御の開始タイミングが遅い車両から順に並ぶように隊列の順序を決定することとなる。また、ECU20は、低速ほど減速度が大きい車両、すなわち減速制御の開始タイミングがより遅い車両から順に並ぶように隊列の順序を決定することとなる。
【0060】
次に、ECU20は、積分減速速度パターンが交差しているか否かを判断し(ステップS06)、交差していない場合には処理を終了する。一方、積分減速速度パターン53,54のように交差している場合には、ECU20は、減速目標地点までの距離が長くなっている時間が長い積分減速速度パターン53を有する車両を優先する。
【0061】
その後、ECU20は、図4に示すように、交差を解消するように、優先順位が低い車両の減速速度パターン54の減速制御の開始タイミングを早める。このようにして、ECU20は、先行車両となりうる時間が長い車両から順に並ぶように隊列の順序を決定し、後続車両の減速制御の開始タイミングを早めることとなる。
また、ECU20は、通信装置12を介して対象の他車両に調整後の積分減速速度パターン53を送信し、この積分減速速度パターン53に従って走行するように指令する(ステップS07)。
【0062】
その後、ECU20は、自車両及び他車両が決定した順序に並ぶように追い越しなどを行わせることによって隊列を形成させ、各車両における減速走行パターンに従って各車両を走行させる。
【0063】
このように、本実施形態の隊列走行制御装置1によれば、ECU20が、自車両の積分減速速度パターン及び複数の他車両の積分減速速度パターンをそれぞれ比較し、同一な到達時間における減速目標地点Aまでの距離が長い車両を先行させるので、減速目標速度V1までの減速制御における減速度が大きい車両、すなわち減速制御を開始する地点から減速目標地点Aまでの減速距離が短い車両を先行させることとなる。換言すれば、ECU20は、減速制御の開始タイミングが遅い車両を先行させることとなる。その結果、先行車両と後続車両との車間距離が短くなることを低減することができる。
【0064】
また、本実施形態の隊列走行制御装置1によれば、減速目標地点A側の同一な到達時間における減速目標地点Aまでの距離が長い車両、すなわち減速目標地点A側における減速度が大きい車両を先行させる。その結果、減速距離が比較的近い車両が存在する場合であっても、より大きな減速制御の開始タイミングが遅い車両を先行させることができる。
【0065】
また、本実施形態の隊列走行制御装置1によれば、積分減速速度パターンが交差する場合には、ECU20が、減速目標地点Aまでの距離が長くなっている時間が長い積分減速速度パターンを有する車両、すなわち先行車両となりうる時間が長い車両を先行させるので、先行車両と後続車両との車間距離が短くなることを比較的低減することができる。また、ECU20が、目標地点までの距離が長くなっている時間が短い積分減速速度パターンの減速制御の開始タイミングを、交差を解消するようにそれぞれ早めるので、先行車両と後続車両との車間距離が短くなることをより低減することができる。
【0066】
したがって、本実施形態の隊列走行制御装置1によれば、隊列走行を行う各車両は、車間距離調整のための減速に起因する無駄なエネルギー消費を低減することができ、燃費を向上することが可能となる。
[本発明の実施形態]
【0067】
次に、本発明の実施形態に係る隊列走行制御装置1Aについて説明する。図1に示すように、隊列走行制御装置1Aは、隊列走行制御装置1においてECU20に代えてECU20Aを備えている構成で本発明関連の実施形態と異なっている。隊列走行制御装置1Aの他の構成は、隊列走行制御装置1と同一である。
【0068】
ECU20Aは、ECU20において減速目標速度想定手段、減速速度パターン生成手段、積分減速速度パターン生成手段及び減速速度パターン取得手段に代えて走行速度パターン生成手段、走行速度パターン取得手段、隊列車両決定手段として機能する点で本発明関連の実施形態と異なっている。
【0069】
ECU20Aは、走行速度パターン生成手段として機能し、図6に示すように、走行区間の走行速度V3を目標速度として、この走行速度V3を保持して走行する速度保持制御のために、加速走行と無加速無回生走行(惰性走行)とを交互に繰り返す自車両の走行速度パターン56を生成するとともに、自車両の走行速度パターンの1周期における走行距離を求める。図6は、走行速度パターンの1周期の一例を示す図である。
【0070】
ここで、無加速無回生とは、シフトN(ニュートラル)以外のシフトD(ドライブ)又はシフトBであるときの制御則に従った場合に、エンジン2及びモータ5による加速が無く、且つモータ5による回生が作動しない状態に相当する。アクセル開度領域(加速要求レベル)の観点によれば、無加速無回生とは、エンジン2の停止状態で、モータ5による回生が行われるアクセル開度領域と加速が行われるアクセル開度領域との間の境界付近のアクセル開度領域であり、アクセル開度5%付近のアクセル開度領域に相当する状態である。
【0071】
シフトBとは、シフトDより強い回生が作動するように設定されたシフトパターンに従って変速比が決定されるシフトである。例えばCVTを用いた構成の場合、シフトBでは、CVTの減速比が通常時(シフトD時)より上げられている。
【0072】
なお、無加速無回生走行時では、エンジン2が停止され、且つモータ5による回生が行われないので、主に走行抵抗トルク(車輪の転がり抵抗など)、車両の空気抵抗、道路の路面μ(タイヤと道路との摩擦力)、道路の横断勾配などの要因に依存して、車両の減速ないし加速が実現されうる。
【0073】
また、ECU20Aは、走行速度パターン取得手段として機能し、図6に示すように、他車両の隊列走行制御装置において上記と同一に生成された他車両の走行速度パターン57,58をそれぞれ取得すると共に、他車両の走行速度パターン57,58の1周期における他車両の走行距離をそれぞれ取得する。
【0074】
また、ECU20Aは、隊列車両決定手段として機能し、自車両の走行速度パターン56の1周期の走行距離及び他車両の走行速度パターン57,58の1周期の走行距離の分布を集計し、走行距離が比較的近い車両を優先的に隊列走行の車群として決定する。
【0075】
また、ECU20Aは、隊列順序決定手段として機能し、図6に示すように、自車両の走行速度パターン56と各他車両の走行速度パターン57,58とを比較し、ピーク点(最高速度点)が周期内で手前にある車両、すなわち、加速走行距離が短く(加速度が大きく)、無加速無回生走行距離が長い車両から順に並ぶように隊列の順序を決定する。なお、図6では、走行速度パターン56,57,58の1周期分が加速走行開始点を揃えて示されている。
【0076】
次に、本発明の実施形態の隊列走行制御装置1Aの動作を説明する。図7は、ECU20Aが行う隊列走行制御処理を示すフローチャートである。まず、ECU20は、本発明関連の実施形態と同様に、走行区間の法定速度、渋滞走行速度及び希望走行速度のうちの最小値を走行区間の走行速度(目標速度)V3として想定する(ステップS10)。
【0077】
その後、ECU20は、図6に示すように、速度保持制御のために、加速走行と無加速無回生走行とを交互に繰り返す自車両の走行速度パターン56を生成するとともに、自車両の走行速度パターン56の1周期における走行距離を求める。また、ECU20は、他車両の隊列走行制御装置において生成された他車両の走行速度パターン57,58をそれぞれ取得すると共に、他車両の走行速度パターン57,58の1周期における走行距離をそれぞれ求める(ステップS11)。
【0078】
次に、ECU20は、自車両の走行速度パターン56の1周期の走行距離及び他車両の走行速度パターン57,58の1周期の走行距離をそれぞれ比較し、比較的近い車両を優先的に隊列走行の車群として決定する(ステップS12)。
【0079】
次に、ECU20は、図6に示すように、自車両の走行速度パターン56と各他車両の走行速度パターン57,58とを比較し、ピーク点(最高速度点)が周期内で手前にある車両、すなわち、加速距離が短く(加速度が大きく)、無加速無回生走行距離が長い車両から順に並ぶように隊列の順序を決定する(ステップS13)。
【0080】
このように、本発明の実施形態の隊列走行制御装置1Aによれば、ECU20Aが、走行速度パターンの1周期における走行距離が比較的近い車両で隊列を組むので、加減速のタイミングが一致することとなる。その結果、先行車両と後続車両との車間距離が短くなることを低減することができる。
【0081】
また、本発明の実施形態の隊列走行制御装置1Aによれば、ECU20Aが、加速距離が短く(加速度が大きく)、無加速無回生走行距離が長い車両を先行させるので、先行車両と後続車両との車間距離が短くなることを低減することができる。
【0082】
したがって、本発明の実施形態の隊列走行制御装置1Aによれば、隊列走行を行う各車両は、車間距離調整のための減速に起因する無駄なエネルギー消費を低減することができ、燃費を向上することが可能となる。
【0083】
なお、本発明は上記した本実施形態に限定されることなく種々の変形が可能である。例えば、本発明は、ハイブリット車両でなくエンジン駆動車両にも適用可能である。以下では、本発明関連の実施形態をエンジン駆動車両であるAT車に適用した変形例1に係る隊列走行制御装置1Bについて説明する。
[変形例1]
【0084】
図8は、本発明関連の実施形態の変形例1に係る隊列走行制御装置を示す図である。図8に示す隊列走行制御装置1Bは、隊列走行制御装置1においてバッテリ3、インバータ4、モータ5及びジェネレータ6を備えず、動力分割機構7に代えて自動変速機13を介してエンジン2がディファレンシャル8に接続されている構成で本発明関連の実施形態と異なっている。また、隊列走行制御装置1Bは、隊列走行制御装置1においてECU20に代えてECU20Bを備えている構成で本発明関連の実施形態と異なっている。隊列走行制御装置1Bの他の構成は、隊列走行制御装置1と同一である。
【0085】
自動変速機13は、ECU20Bからの変速要求に応じて変速比を設定し、この変速比に応じてエンジン2からのエンジン出力をディファレンシャル8へ伝達する。例えば、自動変速機13は、ソレノイドにより油圧制御を行い、クラッチやブレーキを適切に作動させて、変速比(ギアのロック、結合態様)を設定する。自動変速機13は、有段変速機であってもよく、無段階変速機(CVT)であってもよい。無段階変速機の一例としては、1対のプーリーと金属ベルトから構成される無段階変速機構があり、この場合、プーリーの溝幅を油圧により可変させることで、無段階の変速が実現される。
【0086】
ECU20Bは、ECU20の機能に加えて、適切な駆動トルクを発生させるために適切な変速比を設定するための変速要求を自動変速機13へ出力する。
【0087】
このように、変形例1の隊列走行制御装置1Bでも、本発明関連の実施形態の隊列走行制御装置1と同様な利点を得ることができる。
[変形例2]
【0088】
次に、本発明の変形例2に係る隊列走行制御装置1Cについて説明する。図8に示すように、隊列走行制御装置1Cは、隊列走行制御装置1BにおいてECU20Bに代えてECU20Cを備えている構成で変形例1と異なっている。隊列走行制御装置1Cの他の構成は、隊列走行制御装置1Bと同一である。
【0089】
換言すれば、隊列走行制御装置1Cは、隊列走行制御装置1Aにおいてバッテリ3、インバータ4、モータ5及びジェネレータ6を備えず、動力分割機構7に代えて自動変速機13を介してエンジン2がディファレンシャル8に接続されている構成で本発明の実施形態と異なっている。また、隊列走行制御装置1Cは、隊列走行制御装置1AにおいてECU20Aに代えてECU20Cを備えている構成で本発明の実施形態と異なっている。隊列走行制御装置1Cの他の構成は、隊列走行制御装置1Aと同一である。
【0090】
ECU20Cは、ECU20Aの機能に加えて、適切な駆動トルクを発生させるために適切な変速比を設定するための変速要求を自動変速機13へ出力する。
【0091】
また、ECU20Cは、ECU20Aの機能において、惰性走行として無加速無回生走行に代えてニュートラル走行を行う点で、ECU20Aと異なる。すなわち、ECU20Cは、加速走行とニュートラル走行とを交互に繰り返す走行速度パターンを生成する。
【0092】
なお、ニュートラル走行時には、エンジン2はアイドル運転状態を維持するが、エンジンブレーキは作動しないので、主に、走行抵抗トルク(車輪の転がり抵抗など)、車両の空気抵抗、道路の路面μ(タイヤと道路との摩擦力)、道路の横断勾配などの要因に依存して、車両の減速ないし加速が実現されうる。
【0093】
このように、変形例2の隊列走行制御装置1Cでも、本発明の実施形態の隊列走行制御装置1Aと同様な利点を得ることができる。
【0094】
また、本実施形態及び本変形例では、リーダ車両における隊列走行制御装置が隊列走行を制御したが、車両外部に設けられた基地局が隊列走行制御装置を備え、この基地局における隊列走行制御装置が複数の車両の走行計画を取得し、これらの走行計画に基づいて隊列走行を制御してもよい。
【0095】
また、本実施形態及び本変形例では、複数の車両における隊列走行制御装置がそれぞれ自車両の走行計画を求めたが、リーダ車両における隊列走行制御装置が各車両の走行計画を求めてもよい。
【0096】
また、本発明の実施形態では、目標速度に速度保持制御するために、加速走行と無加速無回生走行とを交互に繰り返す走行速度パターンを用いたが、加速走行と減速走行とを交互に繰り返す走行速度パターンを用いてもよい。同様に、変形例2では、目標速度に速度保持制御するために、加速走行とニュートラル走行とを交互に繰り返す走行速度パターンを用いたが、加速走行と減速走行とを交互に繰り返す走行速度パターンを用いてもよい。
【0097】
また、本発明の実施形態及び変形例2では、目標速度に速度保持制御するための車群を決定する隊列走行制御装置を例示したが、本発明は、目標速度に加速制御や減速制御などするための車群を決定する隊列走行制御装置にも適用可能である。
【0098】
また、本実施形態及び本変形例におけるECU20,20A,20B,20Cは、一つの制御ユニットとは限らず、制御が分担されるように接続された複数の制御ユニットであってもよい。
【0099】
また、ハイブリットシステムとしては、上記したパラレルシリーズハイブリットシステムに限られるものではない。例えば、四輪駆動車両の場合、フロント側をパラレルハイブリットシステムとし、リア側にはシリーズハイブリットシステムの要素を取り入れることも可能である。
【0100】
また、本発明関連の実施形態及び変形例1において、エンジン2による駆動状態(主に、エンジン走行状態)では、変速比はジェネレータ6の回転数により制御されるが、例えば、本発明の実施形態及び変形例2のように、無段階変速機(CVT)のような自動変速機を動力分割機構7とディファレンシャル8との間に設置し、自動変速機により変速比を可変制御してもよい。
【0101】
また、上記した高精度な地図情報には、減速が必要な地点(目標減速地点)として、カーブやETC(Electronic Toll Collection)レーンなどの地点情報もその地点の座標データと共に含まれていてもよいし、三叉路をはじめとする交差点、踏み切り、有料道路の料金所などの一時停止が必要な地点の情報がその地点の座標データと共に含まれていてもよい。また、この地図情報には、座標データだけでなく、カーブの半径や曲率、カント、路面勾配、道路の車線数や車線幅、停止線の詳細位置、右左折レーン、標高、法定速度などの通過可能速度といった要減速地点に関する詳細な数値情報が含まれていてもよい。
【0102】
また、ナビゲーション装置11による自車両の位置検出に代えて、IMTS(IntelligentMulti-mode Transit System)による路車間通信により自車両の位置検出が行われてもよい。例えば、道路に埋設されたループアンテナ及び通信機と車両側のアンテナ及び通信機との間で無線通信を行うことで、路側から自車両の位置情報が提供されてもよい。なお、IMTSでは、車両が通行すべき進路を規定する磁気マーカが道路に埋設される。この場合、磁気センサにより磁気マーカを検出し、操舵装置10を介して適切な進路に従って走行するように、適切な操舵制御が実行される。また、他の形態の路車間通信や、周辺車両との無線通信(車車間通信)を介して、自動走行制御に必要な各種情報が取得されてもよい。
【符号の説明】
【0103】
1,1A,1B,1C…隊列走行制御装置、2…エンジン、3…バッテリ、4…インバータ、5…モータ、6…ジェネレータ、7…動力分割機構、8…ディファレンシャル、9…ブレーキ装置、10…操舵装置、11…ナビゲーション装置、12…通信装置、13…自動変速機、20,20B…ECU(走行速度想定手段、目標速度想定手段、減速速度パターン生成手段、積分減速速度パターン生成手段、積分減速速度パターン取得手段、隊列順序決定手段、積分減速速度パターン調整手段)、20A,20C…ECU(走行速度想定手段、走行速度パターン生成手段、走行速度パターン取得手段、隊列車両決定手段、隊列順序決定手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
隊列を組んで複数の車両を走行させる隊列走行制御装置において、
各車両における加減速を含む走行計画に基づいて前記隊列を組む車両を決定する隊列車両決定手段を備え、
前記走行計画は、加速走行と、減速走行又は惰性走行とを交互に繰り返すことによって車両の走行速度を目標速度に速度制御するための走行計画であり、
前記隊列車両決定手段は、前記走行計画の1周期における走行距離が比較的近い車両から優先的に前記隊列を組むように決定する、
隊列走行制御装置。
【請求項2】
前記速度制御のための自車両の走行速度パターンを自車両の前記走行計画として生成すると共に、自車両の該走行速度パターンの1周期における自車両の走行距離を求める走行速度パターン生成手段と、
複数の他車両の走行速度パターンをそれぞれ各他車両の前記走行計画として取得すると共に、他車両の該走行速度パターンの1周期における他車両の走行距離をそれぞれ取得する走行速度パターン取得手段と、
を更に備え、
前記隊列車両決定手段は、自車両の前記走行距離と比較的近い前記走行距離を有する他車両から優先的に自車両と隊列を組むように決定する、
請求項1に記載の隊列走行制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−43444(P2012−43444A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−199871(P2011−199871)
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【分割の表示】特願2007−38372(P2007−38372)の分割
【原出願日】平成19年2月19日(2007.2.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】