説明

集中基地局および光伝送システム

【課題】カスケード接続された複数の遠隔基地局において、各遠隔基地局が所望の信号レベルの範囲で光信号を受け取れるように信号レベルを調整する集中基地局および光伝送システムを提供することである。
【解決手段】本発明に係る集中基地局10は、遠隔基地局20毎に異なるサブキャリアを割り当てて多重したダウンリンク信号を生成するダウンリンク信号生成部112と、ダウンリンク信号を光信号に変換する電気光変換部114とを備え、ダウンリンク信号生成部112は、各遠隔基地局20が受け取る、各遠隔基地局20に割り当てられたサブキャリアの信号レベルが所望の信号レベルの範囲内になるように、サブキャリア毎に信号レベルを調整して多重することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集中基地局および光伝送システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
LTE(Long Term Evolution)などの無線通信システムにおいては、ビル内や地下街等の電波不感地帯を解消するため、遠隔基地局(BS:Base Station)を電波不感地帯に設置し、遠隔基地局が電波不感地帯にあった無線端末と無線通信を行うことにより電波不感地帯を解消している。遠隔基地局は、ベースバンド処理などを行う集中基地局(CS:Central Station)と光ファイバを介して接続している。
【0003】
集中基地局と遠隔基地局との間の光ファイバを介した伝送技術として、RoF(Radio over Fiber)が知られている。RoFは、無線周波数(RF:Radio Frequency)信号を光信号に変換し、アナログ信号として光ファイバ内を伝送する技術である。RoFを用いた無線通信システムとしては、例えば、特許文献1などが知られている。
【0004】
低コストで無線信号を光ファイバ内で伝送するためには、1本の光ファイバで複数の無線信号を多重して伝送できることが望ましい。これを実現する方式として、無線信号を電気信号の段階で多重し、まとめて光信号に変換するサブキャリア多重(SCM:Sub Carrier Modulation)方式が知られている。
【0005】
また、低コストで集中基地局と複数の遠隔基地局とを光ファイバにより接続するためには、接続に使用する光ファイバは少ない方が望ましい。少ない光ファイバで光伝送システムを構成するためには、スター接続で集中基地局と各遠隔基地局を接続するよりも、カスケード接続で集中基地局から複数の遠隔基地局を接続する方が望ましい。
【0006】
複数の遠隔基地局をカスケード接続するには、例えば、各遠隔基地局が分岐カプラを備え、分岐カプラをカスケード接続する構成とすることができる。すなわち、分岐カプラにより分岐された一方の光信号を各遠隔基地局が受け取り、他方の光信号を後段の遠隔基地局内の分岐カプラが受け取るようにして、分岐カプラを直列的に接続する構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−87921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のように、分岐カプラを用いることにより集中基地局から複数の遠隔基地局をカスケード接続することができる。この際、設備のメンテナンスや保守部品の確保等を考慮すると各遠隔基地局の仕様は共通であることが望ましい。そのためには、各遠隔基地局は同一の分岐比の分岐カプラを備える必要がある。
【0009】
しかしながら、同一の分岐比の分岐カプラをカスケード接続でつなげると、後段になるほど各遠隔基地局が受け取る光信号の信号レベルが小さくなってしまう。
【0010】
例えば、ダウンリンク方向(下り方向)の光信号について、分岐カプラが30%と70%の比率で光信号を分岐し、各遠隔基地局が30%の光信号を受け取るとした場合、集中基地局が出力する光信号の信号レベルを100%とすると、各遠隔基地局が受け取る光信号の信号レベルは、初段が30%、2段目が21%、3段目が14.7%と後段になるほど小さくなる。
【0011】
このように後段の遠隔基地局の受け取る光信号の信号レベルが小さくなっていくと、いずれかの遠隔基地局以降において、所望の信号レベルの範囲を下回る光信号しか受け取れなくなる場合が生じ得る。
【0012】
したがって、係る点に鑑みてなされた本発明の目的は、カスケード接続された複数の遠隔基地局において、各遠隔基地局が所望の信号レベルの範囲で光信号を受け取れるように信号レベルを調整する集中基地局および光伝送システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成する第1の観点に係る集中基地局の発明は、
複数の遠隔基地局と光ファイバを介して結合する集中基地局であって、
前記遠隔基地局毎に異なるサブキャリアを割り当てて多重したダウンリンク信号を生成するダウンリンク信号生成部と、
前記ダウンリンク信号を光信号に変換する電気光変換部と
を備え、
前記ダウンリンク信号生成部は、前記各遠隔基地局が受け取る、前記各遠隔基地局に割り当てられたサブキャリアの信号レベルが所望の信号レベルの範囲内になるように、サブキャリア毎に信号レベルを調整して多重する
ことを特徴とする。
【0014】
第2の観点に係る光伝送システムの発明は、集中基地局および複数の遠隔基地局を備える光伝送システムにおいて、当該集中基地局は、第1の観点に係る集中基地局であることを特徴とする。
【0015】
第3の観点に係る発明は、
第2の観点に係る光伝送システムであって、
前記各遠隔基地局は、さらに、多重された前記ダウンリンク信号を分岐する分岐カプラを備え、
当該分岐カプラの分岐比は、全ての前記遠隔基地局において等しい
ことを特徴とする。
【0016】
上述したように本発明の解決手段を装置およびシステムとして説明してきたが、本発明はこれらに実質的に相当する方法、プログラム、プログラムを記録した記憶媒体としても実現し得るものであり、本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、カスケード接続された複数の遠隔基地局において、各遠隔基地局が所望の信号レベルの範囲で光信号を受け取れるように信号レベルを調整する集中基地局および光伝送システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る光伝送システムの概略図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る集中基地局の概略を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るサブキャリア多重の様子を示すである。
【図4】本発明の一実施形態に係る遠隔基地局の概略を示すブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る光伝送システムの概略図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るサブキャリアの信号レベルを調整した様子を示すである。
【図7】本発明の他の実施形態に係る光伝送システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照して説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係る光伝送システムの概略図である。光伝送システム1は、集中基地局10および遠隔基地局20(20a、20bおよび20c)を備え、それぞれの間は光ファイバで接続される。なお、図1においては、3つの遠隔基地局20を示しているが、これは一例であって、遠隔基地局20は2つ以上の任意の個数でよい。
【0021】
集中基地局10は、デジタル信号処理機能、電気信号と光信号の変換機能などを備え、遠隔基地局20を一括して管理する。集中基地局10は、ダウンリンク信号を生成し、当該ダウンリンク信号を電気信号の段階で多重し、まとめて光信号に変換する。ダウンリンク信号を電気信号の段階で多重化する方法はいくつかの方法が考えられるが、本実施形態の説明においては、互いに周波数が異なるIF(Intermediate Frequency)信号を多重化する方法を例として説明する。遠隔基地局20は、カバーするセル内の通信端末2とRF信号により無線通信を行う。無線通信システムとしてLTEを採用している場合は、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)通信方式が採用される。
【0022】
図2は、本発明の一実施形態に係る集中基地局の概略を示すブロック図である。集中基地局10は、第1WDM(Wavelength Division Multiplexing)カプラ110、ダウンリンク信号生成部112、電気光変換部114、光電気変換部116およびアップリンク信号処理部118を備える。
【0023】
まず、ダウンリンク(下り)信号の流れに沿って説明する。
【0024】
ダウンリンク信号生成部112は、ダウンリンク信号を生成し、遠隔基地局20毎に異なるIF周波数を割り当てて多重化する。また、遠隔基地局20がMIMO(Multiple Input Multiple Output)を採用し複数のアンテナを有する場合は、ダウンリンク信号生成部112は、当該アンテナ毎にも異なるIF周波数を割り当てて多重化する。
【0025】
図3に、ダウンリンク信号生成部112が、各遠隔基地局20のアンテナ毎に異なるIF周波数を割り当てて多重化した信号の様子を示す。各遠隔基地局20は、2本のアンテナを有しており、遠隔基地局20aにはIF1およびIF2が、遠隔基地局20bにはIF3およびIF4が、遠隔基地局20cにはIF5およびIF6が割り当てられている。
【0026】
ダウンリンク信号生成部112は、上記の多重化したダウンリンク信号を電気光変換部114に出力する。
【0027】
電気光変換部114は、ダウンリンク信号生成部112から受け取った多重化されたダウンリンク信号を光信号に変換して、第1WDMカプラ110に出力する。電気光変換部114としては、例えば半導体レーザが用いられる。
【0028】
第1WDMカプラ110は、ダウンリンク光信号の波長とアップリンク光信号の波長に対して、異なる周波数選択性を有する。ダウンリンク光信号の波長に対しては、ポート3(P3)から入力した光信号をポート1(P1)から出力するという特性を有する。また、アップリンク光信号の波長に対しては、ポート1(P1)から入力した光信号をポート2(P2)から出力するという特性を有する。
【0029】
第1WDMカプラ110は、電気光変換部114からダウンリンク光信号をポート3において受け取り、ポート1から出力する。
【0030】
続いて、アップリンク(上り)信号の流れに沿って説明する。
【0031】
第1WDMカプラ110は、遠隔基地局20からアップリンク光信号をポート1において受け取り、ポート2から光電気変換部116へ出力する。
【0032】
光電気変換部116は、第1WDMカプラ110から受け取ったアップリンク光信号を無線信号に変換してアップリンク信号処理部118に出力する。光電気変換部116としては、例えばPINフォトダイオードが用いられる。
【0033】
アップリンク信号処理部118は、光電気変換部116から受け取った無線信号をIF周波数毎に分離し、また、その他のベースバンド信号処理などを行う。
【0034】
図4は、本発明の一実施形態に係る遠隔基地局の概略を示すブロック図である。遠隔基地局20は、無線部211(211−1および211−2)、加算部213、アップリンク信号光電気変換部215、アップリンク信号加算部217、電気光変換部219、信号処理部223、第2WDMカプラ230、第1WDMカプラ240および分岐カプラ250を備える。なお、遠隔基地局20は2つのアンテナ212−1および212−2を有するMIMO構成であり、無線部211−1および無線部211−2が、それぞれアンテナ212−1および212−2に接続している。
【0035】
まず、ダウンリンク(下り)信号の流れに沿って説明する。
【0036】
第2WDMカプラ230は、ポート1においてダウンリンク光信号を受け取りポート3から分岐カプラ250に出力する。
【0037】
第2WDMカプラ230は、ダウンリンク光信号の波長とアップリンク光信号の波長に対して、異なる周波数選択性を有する。第2WDMカプラ230は、ダウンリンク光信号の波長に対しては、ポート1(P1)から入力した光信号をポート3(P3)から出力するという特性を有する。また、第2WDMカプラ230は、アップリンク光信号の波長に対しては、ポート2(P2)から入力した光信号をポート1(P1)から出力するという特性を有するものである。
【0038】
分岐カプラ250は、第2WDMカプラ230から受けとったダウンリンク光信号を一定の分岐比で分岐し、一方をダウンリンク信号光電気変換部221に出力し、他方を第1WDMカプラ240に出力する。例えば、分岐カプラ250の分岐比を30%と70%にして、30%をダウンリンク信号光電気変換部221に出力し、70%を第1WDMカプラ240に出力することができる。
【0039】
第1WDMカプラ240がポート3において分岐カプラ250から受け取ったダウンリンク光信号は、ポート1から出力される。第1WDMカプラ240の入出力特性は、図2で説明した第1WDMカプラ110の入出力特性と同様である。
【0040】
ダウンリンク信号光電気変換部221は、分岐カプラ250から受けとったダウンリンク光信号を無線信号に変換する。この無線信号は各遠隔基地局20、および、各遠隔基地局20のアンテナ毎に異なるIF周波数で多重化された信号である。
【0041】
信号処理部223は、異なるIF周波数で多重化されている無線信号から、アンテナ212−1およびアンテナ212−2からの送信に用いるIF周波数を分離して、それぞれ、無線部211−1および無線部211−2に出力する。
【0042】
信号処理部223は、例えば、それぞれのIF周波数を中心周波数とする2つのバンドパスフィルタを用いてIF周波数を分離する。
【0043】
無線部211−1および無線部211−2は、信号処理部223から、分離されたIF信号を受け取り、アップコンバート、増幅などの処理をして、それぞれ、アンテナ212−1および212−2から通信端末2に無線信号を送信する。なお、無線部211−1および無線部211−2は、アップコンバートにはミキサなどの回路を用い、増幅にはパワーアンプなどの回路を用いる。
【0044】
続いて、アップリンク(上り)信号の流れに沿って説明する。
【0045】
無線部211−1および無線部211−2は、それぞれ、アンテナ212−1および212−2から無線信号を受信し、増幅、ダウンコンバートなどの処理をして、IF周波数に変換された無線信号を加算部213に出力する。ここで、無線部211−1および無線部211−2は、無線信号をそれぞれ異なるIF周波数にダウンコンバートすることにより、IF信号の多重化を可能にする。なお、無線部211−1および無線部211−2は、無線信号の増幅には、LNA(Low Noise Amplifier)などの回路を用い、ダウンコンバートにはミキサなどの回路を用いる。
【0046】
加算部213は、無線部211−1および無線部211−2から受け取った異なる周波数のIF信号を加算して多重化する。加算部213は、多重化したIF信号をアップリンク信号加算部217に出力する。
【0047】
アップリンク信号加算部217は、自局の多重化されたIF信号および他の遠隔基地局20から受け取った多重化されたIF信号を加算する。ここで、自局のIF信号と他の遠隔基地局20のIF信号とは、各遠隔基地局20の無線部211−1および無線部211−2によって異なるIF周波数に変換されているため、多重化が可能である。
【0048】
アップリンク信号加算部217は、他の遠隔基地局20からのIF信号をアップリンク信号光電気変換部215から受け取る。
【0049】
アップリンク信号光電気変換部215は、他の遠隔基地局20から第1WDMカプラ240が受け取ったアップリンク光信号を、第1WDMカプラ240のポート2から受け取り、IF信号に変換してアップリンク信号加算部217に出力する。ここで第1WDMカプラ240は、図2において説明したWDMカプラ110と同様の入出力特性を有するものである。
【0050】
アップリンク信号加算部217は、自局の多重化されたIF信号と他の遠隔基地局20の多重化されたIF信号とを多重化して電気光変換部219に出力する。
【0051】
電気光変換部219は、アップリンク信号加算部217から多重化されたIF信号を受け取り、アップリンク光信号に変換する。
【0052】
第2WDMカプラ230は、電気光変換部219からポート2においてアップリンク光信号を受け取って集中基地局10または隣の遠隔基地局20へ出力する。
【0053】
図5は、本発明の一実施形態に係る光伝送システムの概略図である。図5は、集中基地局10に遠隔基地局20a、20bおよび20cがカスケード接続した様子を示したものである。なお、図5においては、各遠隔基地局20に分配されるダウンリンク光信号の信号レベルの様子を強調して示すために、各遠隔基地局20においては、分岐カプラ250とダウンリンク信号光電気変換部221のみを示している。
【0054】
図5には、分岐比が30%と70%の分岐カプラ250を例として示した。全ての遠隔基地局20において、同じ分岐比の分岐カプラ250を用いている。
【0055】
図5に、分岐カプラ250の分岐比を、30%と70%とした場合に、ダウンリンク信号光電気変換部221が受け取るダウンリンク光信号の信号レベルを示す。もともと、集中基地局10が出力したダウンリンク光信号の信号レベルを100%とすると、ダウンリンク信号光電気変換部221が受け取る光信号の信号レベルは、それぞれ、初段が30%、2段目が21%、3段目が14.7%となる。このように、後段になるほど遠隔基地局20が受け取る光信号の信号レベルは小さくなる。
【0056】
図6(a)は、上述のように、後段になるほど遠隔基地局20が受け取る光信号の信号レベルは小さくなることを考慮して、集中基地局10のダウンリンク信号生成部112が、後段の遠隔基地局20に割り当てたIF周波数については信号レベルが大きいダウンリンク信号を生成している様子を示す図である。
【0057】
図6(a)において、IF1およびIF2は遠隔基地局20aに割り当てられたIF周波数であり、IF3およびIF4は遠隔基地局20bに割り当てられたIF周波数であり、IF5およびIF6は遠隔基地局20cに割り当てられたIF周波数である。
【0058】
集中基地局10のダウンリンク信号生成部112は、図6(a)に示すように、遠隔基地局20cのような後段の遠隔基地局20に割り当てているIF周波数の信号レベルが大きくなるように多重化する。これにより、ダウンリンク信号生成部112は、後段の遠隔基地局20の方が分岐カプラ250による減衰量が大きくなる影響を相殺している。
【0059】
例えば、集中基地局10のダウンリンク信号生成部112は、集中基地局10の出力の30%の信号レベルを受け取る遠隔基地局20aのためのIF信号は、信号レベルを小さくする。また、ダウンリンク信号生成部112は、集中基地局10の出力の14.7%の信号レベルを受け取る遠隔基地局20cのためのIF信号は、信号レベルを大きくする。
【0060】
図6(b)は、集中基地局10のダウンリンク信号生成部112が図6(a)に示したような多重信号を生成した場合に、遠隔基地局20内のダウンリンク信号光電気変換部221が受け取る信号レベルの様子を示す図である。図6(b)に示すように、集中基地局10のダウンリンク信号生成部112は、分岐カプラ250の影響を考慮してIF信号の信号レベルを調整しておくことにより、遠隔基地局20内のダウンリンク信号光電気変換部221が受け取る信号レベルを同等にすることができる。これにより、ダウンリンク信号生成部112は、各遠隔基地局20が受け取る信号レベルが所望の信号レベルの範囲内に入るようにすることができる。
【0061】
このように、本実施形態によれば、カスケード接続された複数の遠隔基地局20において、各遠隔基地局20が所望の信号レベルの範囲で光信号を受け取ることができる。
【0062】
図7は、本発明の他の実施形態に係る光伝送システムの概略図である。図7は、6つの遠隔基地局20を集中基地局30に接続した光伝送システムであるが、6つの遠隔基地局20を全てカスケード接続するのではなく、遠隔基地局20を3つカスケード接続したもの2組をスター接続した構成となっている。この構成において、ダウンリンク光信号については、電気光変換部114が出力するダウンリンク光信号を3dBカプラ60により2つに分岐している。ここで3dBカプラとは、分岐カプラのうち分岐比が50%と50%のものである。
【0063】
また、この構成において、アップリンク光信号については、遠隔基地局20の3つのカスケード接続に対し、1つの第1WDMカプラ50が接続するようにし、光電気変換部316は、第1WDMカプラ50aおよび第1WDMカプラ50bの2つからアップリンク光信号を受け取る。本実施形態における光電気変換部316は、これを可能にするため、例えば、PINフォトダイオードを2つ備える構成となっている。
【0064】
このように、本実施形態によれば、カスケード接続とスター接続を併用する構成とすることができる。
【0065】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各部材、各手段、各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段やステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0066】
なお、本発明の説明においては、サブキャリア多重としてIF周波数をずらして加算する方式を用いて説明したが、これに限定するものではなく、電気信号を分離できる多重方式であれば他のサブキャリア多重方式とすることもできる。
【符号の説明】
【0067】
10 集中基地局
20 遠隔基地局
30 集中基地局
50 第1WDMカプラ
60 3dBカプラ
110 第1WDMカプラ
112 ダウンリンク信号生成部
114 電気光変換部
116 光電気変換部
118 アップリンク信号処理部
211 無線部
213 加算部
215 アップリンク信号光電気変換部
217 アップリンク信号加算部
219 電気光変換部
221 ダウンリンク信号光電気変換部
223 信号処理部
230 第2WDMカプラ
240 第1WDMカプラ
250 分岐カプラ
316 光電気変換部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の遠隔基地局と光ファイバを介して結合する集中基地局であって、
前記遠隔基地局毎に異なるサブキャリアを割り当てて多重したダウンリンク信号を生成するダウンリンク信号生成部と、
前記ダウンリンク信号を光信号に変換する電気光変換部と
を備え、
前記ダウンリンク信号生成部は、前記各遠隔基地局が受け取る、前記各遠隔基地局に割り当てられたサブキャリアの信号レベルが所望の信号レベルの範囲内になるように、サブキャリア毎に信号レベルを調整して多重する
ことを特徴とする集中基地局。
【請求項2】
集中基地局および複数の遠隔基地局を備える光伝送システムにおいて、当該集中基地局は、請求項1に記載の集中基地局である光伝送システム。
【請求項3】
請求項2に記載の光伝送システムであって、
前記各遠隔基地局は、さらに、多重された前記ダウンリンク信号を分岐する分岐カプラを備え、
当該分岐カプラの分岐比は、全ての前記遠隔基地局において等しい
ことを特徴とする光伝送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−90286(P2013−90286A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231993(P2011−231993)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】