説明

集中外部配管集合住宅

【課題】メータボックスや空調設備の室外機、更には給湯器をまとめて設置できるようにして住宅の設計の自由度を拡大すると共に、配管や機器のメンテナンスを容易とする。
【解決手段】外廊下2を有する集合住宅であって、ガス、電力、水道用の竪管が外壁に沿って上下方向に配設してあり、各住戸への分岐管及び空調用の配管が外廊下の天井に配設してあると共に、配管に接続する機器、メータ及び空調機器は、外廊下の外壁部に突出する張出部21を設け、この張出部21に枠体10、11からなるラック1を固定し、適宜の段数の棚12を設置する。このラック1に給湯器30、メータ、さらには空調機の室外機34をまとめて設置し、パイプシャフトスペースを居住用空間に転用できるようにした。外壁に沿って露出するガス、水道用の竪管及び電力ケーブルの配設管をラック1に設けたルーバーで隠して建物の外観を良好にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス、電力、水道用の配管を収容するパイプシャフトを設けることなく、また、それらの配管に接続される設備機器及び空調室外機を集中的に設置できるようにしてスペースを効率的に使用するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、集合住宅では、電力ケーブル、ガス、水道の配管は居住空間にパイプシャフトを設けて収納していた。各住戸においてはパイプシャフトを拡張するか、図9に示すように外廊下に電力メータ、水道メータが設置されていた。各住戸内には、パイプシャフトから水道管、ガス管、電力用配管が壁を通して引き込まれていた。
パイプシャフトは、居住用空間のスペースを使用することにもなることから、特許文献1(特開2000−027466号公報)では、パイプシャフト内の配管、配線等のメンテナンスや更新が容易におこなえるように、また、居住空間をすっきりとさせるため、パイプシャフトを屋外バルコニーの部屋に隣接した位置に設置することが提案されている。
特許文献2(特許第2797245号公報)では、各住戸の水場の配置の自由度を大きくすると共に建築物の外観を良くするため、パイプシャフトを各住戸について居住空間の外部の外廊下側とバルコニー側にそれぞれ配置し、給排水管等の接続の自由度を増大させることが提案されている。
【特許文献1】特開2000−027466号公報
【特許文献2】特許第2797245号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
給湯器等の設備機器の設置は、パイプシャフトを拡大することによってメータボックス等の設置空間を確保していたので、その分居住用空間が小さくなっていた。また、空調設備の室外機はベランダに設置されたり、ベランダの天井に吊り下げられており、利用空間を狭めたり、建築物の景観を損ねることになっていた。
外廊下側居室の空調設備は外廊下に設置されたり、居室空間の一部に置場を設けており、利用空間を狭めたり、安全に影響を与えている現状もある。
本発明は、メータボックスや空調設備の室外機、更には給湯器を一箇所にまとめて設置できるようにしてスペースを作り出すと共に、住宅の設計の自由度を拡大し、配管や機器のメンテナンスを容易にして住宅の寿命を延ばすことを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
外廊下を有する集合住宅であって、ガス、電力、水道用の竪管が外壁に沿って上下方向に配設してあり、各住戸への分岐管及び空調用の配管が外廊下の天井に配設してあると共に、配管に接続する機器、メータ及び空調機器は、外廊下の外壁部に突出する張出部を設け、この張出部に支持具を設け、この支持具に給湯器、メータボックス、更には空調機の室外機をまとめて設置できるようにしてパイプシャフトスペースを居住用空間に転用できるようにし、外壁に沿って露出するガス、水道用の竪管及び電力ケーブルの配設管をルーバーで隠すことによって、建築物の景観を良好に保つものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、設備機器やメータを設置するための空間であるパイプシャフトを設けず、外廊下に設けた張出部に設置した棚にまとめて配置したので、居住部分の面積を増大させることができ、住居の設計の自由度が増大すると共に、メータ、配管及び設備機器等へのアクセスが容易であり、メンテナンスを極めて容易におこなうことができ、建築物を良好な状態に長期間維持することができるので、建物の寿命を延長することになる。
パイプ類を建物の外側に沿って設置するので配管工事を躯体工事から独立させると共に、配管作業を建物の躯体工事と分離施工でき、工程管理が容易であり、パイプシャフトを設けないので、躯体工事の際にパイプシャフト用の型枠を必要としないので工期が短縮されることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
実施例1
外廊下を有する共同住宅において、図1に示すように外廊下2に張出部21、21を設け、張出部21の間の空間20にガス、水道の竪管を建物の外壁に沿って上下方向に配設し、また、電力ケーブルの配設管を同様に上下方向に配設してある。この張出部21の間隔は、設置する棚の幅に合わせて決定する。
【0007】
この張出部に棚を設けるには、図2に示す縦枠材10と横枠材11を組み立て、上下方向に棚12を設けたラック1が設置される。このラック1には、図3の正面図及び図4の側面図に示すように、給湯器30、ガスメータ31、水道メータ32、及び電力メータ33が適宜の取付具(取付金具等)でラック1の中段部に固定されている。ラック1の下段及び上段には空調機の室外機34が設置される。設置する機器の種類や数に応じてラック1の棚12の段数や棚12の配列を変更する。
ラック1の下部には取付金具(図示しない)が設けてあり、張出部21に設けたアンカーに取付金具を溶接したり、張出部21に設けたアンカーボルトに固定する。
【0008】
ラック1は、枠材10、11を現場で組み立てるか、または、予め工場で組み立て、ガス、水道の竪管、メータ類、及び給湯器を組み付けて建設現場に搬送するなど、建設現場の条件及び交通条件に応じて選択する。工場で組み立てた場合は、竪管や竪管と機器及びメータを接続する連結管等の配管の圧力テスト等の検査もおこなうのが好ましい。
【0009】
ラック1の外廊下に面する側はオープンであり、配管作業や竪管の設置作業及びメンテナンス作業を容易におこなうことができる。ラック1の屋外に面する側にはルーバーを設け、ラック1内に配設されている竪管や設備機器を外側からみえないように隠すと共に通気を確保する。ルーバーを適宜の角度にすることによって雨水の内部への浸入を防止することができる。ルーバーを設けた場合の建物の外観の例を図5に示す。
【0010】
給水竪管には分岐管が接続され、水道メータ32を介して給湯器30に接続され、水道水を供給する。ガス竪管5は、ガスメータ31を介して給湯器30に接続され、ガスを供給する。
電力ケーブルは、電気メータ33を介して外廊下2の天井部22から各住居内に取り込まれ、住居内に設置された配電盤(図示しない)を介して住居内に配線される。
ラック1から住居内への配線・配管の例を図6に示す。
ラック1に設置された給水管、ガス管、電力を住居内の機器及び、空調室外機と住居内に設置した室内機を連結するため、ラック1の上部に連結管を延ばし、図6に示すように各種の配管a、b(冷媒管)、c(弱電、通信)、d(電力)、e(追い焚き)、f(給湯)、g(水道)、h(ガス)を並列させて外廊下の天井22に沿って配設し、住居の壁を貫通させて内部と連結するようにしたものである。
これらの配管が剥き出しにならないように照明器具等で覆い、外廊下を通行する人に見えないようにした。
【0011】
実施例2
図7に示す例は、外廊下2の下側に張出部21とする梁22を設けたものであり、梁22は外廊下の端部より450mm程度飛び出させてある。
この張出部21に図8に示すように、支持具となる取付金具23を張出部21の先端部付近に防振用ゴムを介在させて取り付けてある。
空調室外機等の設備機器を複数設置する場合には、取付金具23にフレーム部材24を固定し、フレーム部材24に水平アーム(図示しない)を取り付けて棚を設置する。フレーム24にはルーバーを取り付け、張出部21に設置した空調機器やメータ類が建物の外部から見えないようにする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の建物のパイプレイアウトの説明図。
【図2】ラックの斜視図。
【図3】ラックに機器とメータを設置した状態の正面図。
【図4】ラックに機器とメータを設置した状態の側面図。
【図5】本発明建物の外観の一例。
【図6】外廊下天井部の配管図。
【図7】張出部の他の実施例の斜視図。
【図8】張出部の他の実施例の側面図。
【図9】従来の建物のパイプレイアウトの説明図。
【符号の説明】
【0013】
1 ラック
10 枠体
12 棚
2 外廊下
21 張出部
22 梁
23 取付金具
30 給湯器
31 ガスメータ
32 水道メータ
33 電気メータ
34 室外機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外廊下を有する構造物であって、ガス、電力、水道用の竪管が外壁に沿って上下方向に配設してあり、各住戸への分岐管及び空調用の配管が外廊下の天井に配設してあると共に、配管に接続する機器、メータ及び空調機器を設置する支持具が外廊下の張出部に設けてある集中外部配管集合住宅。
【請求項2】
請求項1において、支持具が枠体からなるラックである集中外部配管集合住宅。
【請求項3】
請求項1または2において、支持具に棚が設けてある集中外部配管集合住宅。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかにおいて、支持具の外側面にルーバーが設けてある集中外部配管集合住宅。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図2】
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【図5】
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