説明

集塵フィルター及びそれを用いた空気清浄機

【課題】 安価に化学物質を長期間放出できる集塵フィルター及びそれを用いた空気清浄機を提供する。
【解決手段】 室内の空気を吸気口13から取り込んで吹出口29、30から送出する送風機25と、空気中の塵埃を捕集する集塵フィルター55とを備え、集塵フィルター55は芳香剤を含浸した多孔質のマイクロカプセル37を担持するとともに抗ウィルス剤を含浸した濾材55aを有するHEPAフィルターから成り、抗アレルゲン剤を含浸した通気性の抗菌シート37が表面に設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気を濾過する集塵フィルター及びそれを用いた空気清浄機に関し、特に芳香剤等の機能物質を有する集塵フィルター及び空気清浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の空気清浄機は特許文献1に開示されている。この空気清浄機はハウジングの前面に吸気口を備え、背面に吹出口を備えている。ハウジング内には送風機が配され、送風機と吸気口との間に塵埃を捕集する集塵フィルターが設けられている。送風機を駆動すると前方から吸気口を介してハウジング内に取り込まれた室内の空気は集塵フィルターにより塵埃が除去され、吹出口から送出される。これにより、塵埃を除去して清浄化された空気が室内を循環する。
【0003】
また、より快適な居住空間を得るために、抗菌剤や芳香剤等を有する空気清浄機が特許文献2、3に開示されている。この空気清浄機は抗菌剤や芳香剤を封入したマイクロカプセルが集塵フィルターあるいはリボンに担持されている。所定の時期に集塵フィルターまたはリボンを巻き取るとマイクロカプセルが破壊され、抗菌成分や芳香成分等の化学物質が放出される。これにより、抗菌剤や芳香剤を直接集塵フィルター等で担持するよりも抗菌効果や芳香効果を長期間持続できるようになっている。
【特許文献1】特開2002−102327号公報(第4頁−第10頁、第8図)
【特許文献2】特開平11−226326号公報(第3頁−第6頁、第1図)
【特許文献3】特開平1−299557号公報(第5頁−第7頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、抗菌剤や芳香剤を有する上記従来の空気清浄機によると、マイクロカプセルを破壊する手段を必要とし、空気清浄機が大型になるとともに高価になる問題があった。
【0005】
本発明は、安価に化学物質を長期間放出できる集塵フィルター及びそれを用いた空気清浄機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明は、塵埃を捕集する濾材を有した集塵フィルターにおいて、空気中に化学物質を放出して所望の機能を発揮する機能物質を含浸した多孔質のマイクロカプセルを担持したことを特徴としている。この構成によると、集塵フィルターを空気が通過することにより空気中の塵埃が捕集される。また、多孔質のマイクロカプセルに含浸される機能物質から化学物質が徐々に放出される。
【0007】
機能物質は芳香剤、消臭剤、抗菌剤、抗ウィルス剤若しくは抗アレルゲン剤等から成っている。芳香剤や消臭剤から放出される化学物質は空気とともに流通して芳香や消臭を行う。抗菌剤から放出される化学物質は集塵フィルター表面に滞留して細菌の繁殖を防止する。抗ウィルス剤や抗アレルゲン剤から放出される化学物質は集塵フィルターを通過する空気中のウィルスやアレルゲンを不活化する。
【0008】
また本発明は、上記構成の集塵フィルターにおいて、前記機能物質が芳香剤から成るとともに、前記濾材に抗ウィルス剤を含浸したことを特徴としている。この構成によると、集塵フィルターを通過する空気は不織布や紙等から成る濾材に含浸される抗ウィルス剤によりウィルスが不活化される。また、マイクロカプセルに含浸される芳香剤から放出された芳香成分が空気中に含まれる。
【0009】
また本発明は、上記構成の集塵フィルターにおいて、前記マイクロカプセルは多孔質ウレタン樹脂から成ることを特徴としている。
【0010】
また本発明は、上記構成の集塵フィルターにおいて、バインダーを溶解した溶媒中に前記マイクロカプセルを分散し、該溶媒中に前記濾材を浸漬して前記マイクロカプセルを担持したことを特徴としている。この構成によると、機能物質を含浸したマイクロカプセルがアクリル樹脂等が溶解した溶媒中に分散され、該溶媒中に濾材が浸漬される。これにより、樹脂がバインダーとなって濾材にマイクロカプセルが担持される。
【0011】
また本発明の空気清浄機は、上記各構成の集塵フィルターと、室内から空気を取り込んで前記集塵フィルターを通過して送出する送風機とを備えたことを特徴としている。この構成によると、送風機を駆動すると室内の空気が取り込まれて集塵フィルターを通過する。これにより、空気中の塵埃が捕集される。また、多孔質のマイクロカプセルに含浸される機能物質から化学物質が徐々に放出される。該化学物質は空気とともに流通や集塵フィルター表面に滞留して機能を発揮する。
【0012】
また本発明は、上記構成の空気清浄機において、前記機能物質が芳香剤から成るとともに、前記集塵フィルターは前記濾材に抗ウィルス剤を含浸したHEPAフィルターから成ることを特徴としている。
【0013】
また本発明は、上記構成の空気清浄機において、抗アレルゲン剤を含浸した通気性のシートを前記集塵フィルターに面して設けたことを特徴としている。この構成によると、シートを通過する空気は抗アレルゲン剤によりアレルゲンが不活化される。
【発明の効果】
【0014】
本発明の集塵フィルターによると、芳香剤、消臭剤、抗菌剤、抗ウィルス剤若しくは抗アレルゲン剤等から成る機能物質を含浸した多孔質のマイクロカプセルを担持したので、化学物質を徐々に放出して長期間機能を維持することができる。また、集塵フィルターを搭載する機器がマイクロカプセルを破壊する手段を必要とせず安価に得られる。
【0015】
また本発明によると、機能物質が芳香剤から成るとともに、濾材に抗ウィルス剤を含浸したので、複数の機能を有する集塵フィルターを安価に得ることができる。
【0016】
また本発明によると、マイクロカプセルは多孔質ウレタン樹脂から成るので、化学物質を徐々に放出する集塵フィルターを容易に実現することができる。
【0017】
また本発明によると、バインダーを溶解するとともにマイクロカプセルを分散した溶媒中に濾材を浸漬してマイクロカプセルを担持したので、マイクロカプセルを担持した集塵フィルターを容易に得ることができる。
【0018】
また本発明の空気清浄機によると、芳香剤、消臭剤、抗菌剤、抗ウィルス剤若しくは抗アレルゲン剤等から成る機能物質を含浸した多孔質のマイクロカプセルを担持したので、化学物質を徐々に放出して長期間効果を維持することができる。また、マイクロカプセルを破壊する手段を必要とせず、長期間効果を維持できる空気清浄機を安価に得ることができる。
【0019】
また本発明によると、集塵フィルターは機能物質が芳香剤から成るとともに、濾材に抗ウィルス剤を含浸したHEPAフィルターから成るので、集塵効果が高く、芳香効果及びウィルスの不活化効果を有する空気清浄機を安価に得ることができる。
【0020】
また本発明によると、抗アレルゲン剤を含浸した通気性のシートを集塵フィルターに面して設けたので、更にアレルゲンを不活化する効果を有する空気清浄機を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は一実施形態の空気清浄機を示す斜視図である。空気清浄機1はベース11の支持により本体部10が立設されている。本体部10の前面は前面パネル12により覆われている。前面パネル12には室内の空気を取り込む吸気口13が設けられるとともに、本体部10と前面パネル12との隙間により側面吸気口14が形成されている。本体部10の上部にはユーザ操作を行う操作パネル15が設けられる。
【0022】
図2は空気清浄機1の前面パネル12を取り外した状態を示す側面断面図である。本体部10内には軸方向に吸気して周方向に排気する送風機25が設けられる。送風機25は吸気側が吸気口13に面して配され、通気口27を有する通気パネル28により前面が覆われる。通気パネル28によって本体部10の後部には上下に延びる通風路31が形成される。通風路31は上方に向けて開口する吹出口29が設けられるとともに、斜め上方に屈曲して前方に開口する吹出口30が設けられる。これにより、送風機25の排気が吹出口29、30に導かれる。
【0023】
送風機25と吹出口29との間にはイオン発生装置26が設けられている。イオン発生装置26は高圧電圧の印加によりイオンを発生する電極(不図示)を有し、電極が通風路31に面して配されている。イオン発生装置26を吹出口29と送風機25との間に配置することにより送風機25との衝突によるイオンの消滅を防止することができる。また、イオンを発生する電極を通風路31に配置してイオン発生装置26の電源部等を別の位置に配置してもよい。
【0024】
イオン発生装置26の電極には交流波形またはインパルス波形から成る電圧が印加される。電極の印加電圧が正電圧の場合は主としてH+(H2O)nから成るプラスイオンを発生し、負電圧の場合は主としてO2-(H2O)mから成るマイナスイオンを発生する。ここで、n、mは整数である。H+(H2O)n及びO2-(H2O)mは空気中の浮遊菌や臭い成分の表面で凝集してこれらを取り囲む。
【0025】
そして、式(1)〜(3)に示すように、衝突により活性種である[・OH](水酸基ラジカル)やH22(過酸化水素)を微生物等の表面上で凝集生成して浮遊菌や臭い成分を破壊する。ここで、n’、m’は整数である。従って、プラスイオン及びマイナスイオンを発生して吹出口29、30から送出することにより室内の殺菌及び臭い除去を行うことができる。
【0026】
+(H2O)n+O2-(H2O)m→・OH+1/2O2+(n+m)H2O ・・・(1)
+(H2O)n+H+(H2O)n'+O2-(H2O)m+O2-(H2O)m' →2・OH+O2+(n+n’+m+m’)H2O ・・・(2)
+(H2O)n+H+(H2O)n'+O2-(H2O)m+O2-(H2O)m' →H22+O2+(n+n’+m+m’)H2O ・・・(3)
【0027】
前面パネル12と通気パネル28との間には空気清浄用フィルターユニット20及び加湿部21が配される。吸気口13(図1参照)に面して配される空気清浄用フィルターユニット20は、空気清浄機に組み込むものとして設計されている。図3は空気清浄用フィルターユニット20の分解斜視図を示している。
【0028】
空気清浄用フィルターユニット20は枠体56内に空気の吸込み側から順にプレフィルター52、脱臭フィルター54、集塵フィルター55の3種類のフィルターが配設されている。プレフィルター52と脱臭フィルター54との間にはフィルター押え53が配されている。
【0029】
図4はプレフィルター52を示す斜視図である。プレフィルター52はABS等の合成樹脂で形成された4段4列の窓を有する矩形の枠61にポリプロピレン製のメッシュ62を溶着して形成されている。枠61の両側面には2個づつの突起部63が設けられ、正面につまみ64が突設されている。プレフィルター52によって吸気中の大きな塵埃を捕集することができる。
【0030】
図5、図6は脱臭フィルター54の斜視図及び側面図を示している。脱臭フィルター54はポリプロピレン繊維やポリエステル繊維から成る矩形の袋体41を有している。袋体41は上下方向に連続した大きさが均等な複数の収納室42に区分けされている。各収納室42内には活性炭等の吸着材18(図13参照)が均一に分散して詰められている。これにより、各収納室42が膨らんで脱臭フィルター54は表面に凹凸が形成される。尚、収納室42の数は特に限定されない。吸着材18として、やしがら系、石炭ピッチ系、ポリアクリロニトリル系、セルロース系等の活性炭等を用いることができる。
【0031】
図7は脱臭フィルター54の側面断面図を示している。各収納室42は袋体41の表面側と裏面側とを縫い合わせて形成される。この時、縫い目67が傾斜するように縫い合わされる。脱臭フィルター54の装着状態では各収納室42に詰められた吸着材68が自重で下降し、各収納室42の上部に空間部42aが形成される。この時、縫い目67が傾斜しているため各収納室42の上方の収納室42の下部に吸着材18が詰められる。
【0032】
これにより、脱臭フィルター54に入った空気は、矢印αで示すように、必ず吸着材18と接触しながら通過して放出され、脱臭効果が向上する。また、袋体41を一列配置するだけでよく、脱臭フィルター54の薄型化を図ることができる。
【0033】
図8、図9は集塵フィルター55の斜視図及び分解斜視図を示している。集塵フィルター55はHEPAフィルターから成り、濾材55aを覆うように枠材55bがホットメルトにより溶着されている。濾材55aはポリエステル/ビニロン系の不織布から成る骨材とメルトブロー不織布とを重ね合わせ、折り畳んで構成される。メルトブロー不織布として電石加工された東レ株式会社製トレミクロン(登録商標)が用いられる。これにより、静電気を保持して細かな塵埃も捕集することができる。
【0034】
濾材55aを構成するポリエステル/ビニロン系の不織布には、ジンクピソジオンやカテキン等から成る抗ウィルス剤が含浸されている。抗ウィルス剤によって集塵フィルター55を通過する空気中のウィルスを不活化することができる。
【0035】
また、図10に示すように、ポリエステル/ビニロン系の不織布には芳香剤を含浸したマイクロカプセル37が担持されている。マイクロカプセル37は多孔質ウレタン樹脂から成り、芳香剤を多数の細孔で保持することによって芳香剤の化学物質を徐々に放出することができる。
【0036】
ポリエステル/ビニロン系の不織布から成る濾材55aは以下のように形成されている。まず、抗ウィルス剤及びアクリル樹脂を溶解した溶媒中に芳香剤を含浸したマイクロカプセル37を分散する。そして、該溶媒中にポリエステル/ビニロン系の不織布を浸漬する。これにより、濾材55aは抗ウィルス剤を含浸するとともに、図11に示すように、アクリル樹脂が通気性のバインダー38となってマイクロカプセル37を担持することができる。
【0037】
尚、溶媒中のアクリル樹脂の濃度に応じてバインダー38の厚みを可変することができる。これにより、バインダー38を厚くして芳香剤による芳香効果の持続時間を長くすることや、バインダー38を薄くして芳香効果を大きくすることができる。
【0038】
また、濾材55aの表面にはハイドロキシアパタイト加工した不織布から成る抗菌シート57が重ねて熱圧着されている。抗菌シート57はハイドロキシアパタイト等の抗アレルゲン剤を溶解した溶媒中に不織布を浸漬して形成され、抗アレルゲン剤が含浸されている。抗アレルゲン剤によって抗菌シート57を通過する空気中のアレルゲンを不活化することができる。また、枠材55bにも抗菌シート57と同様にハイドロキシアパタイト等の抗アレルゲン剤が含浸されている。
【0039】
上記構成の集塵フィルター55によって、吸気口13から取り込まれた空気中の微細な塵埃を捕集するとともにウィルス及びアレルゲンを不活化する。また、集塵フィルター55を通過する空気に芳香剤から化学物質が放出される。
【0040】
図12はフィルター押さえ枠53を脱臭フィルター54の側から見た斜視図である。フィルター押さえ枠53は矩形の枠64に空気の流入が可能な複数段複数列の角孔65を有している。角孔65の高さは脱臭フィルター54の表面の凹凸に合わせて設定されている。
【0041】
また、風下側の脱臭フィルター54に対向する面には、各角孔65の間に桟状の突起部66が設けられている。突起部66は横幅がフィルター押さえ枠53の横幅と同じであり、脱臭フィルター54に向かって水平方向に突出している。突起部66により脱臭フィルター54を押さえて位置ずれを防止するようになっている。尚、突起部66は必ずしも桟状である必要はなく、ピン等の突起であってもよい。
【0042】
図13は枠体61の斜視図を示している。枠体61は、風上側の面が開放された箱体71から成り、風下側の面には格子枠73により空気の流入が可能な角孔72が形成されている。格子枠73は集塵フィルター55の脱落を防止するためのものである。枠体61の厚さは集塵フィルター55、脱臭フィルター54、フィルター押さえ枠53及びプレフィルター52が収納可能な厚さになっている。箱体71の両側面には両側面には2個づつの係止穴74が設けられる。図14に示すように、プレフィルター52の突起部63が係止孔74に嵌合して、内部の脱臭フィルター54等が脱落することなく、空気清浄用フィルターユニット20が一体に形成される。
【0043】
図2において、空気清浄用フィルターユニット20と通気パネル28との間には所定幅の空間部32が形成されている。空間部32を設けることにより空気清浄用フィルターユニット20を通過した空気が通気口27にスムーズに流入し、圧力損失及び騒音を低減できるようになっている。
【0044】
空間部32の下部に配置される加湿部21は加湿フィルター22、トレイ23及び水タンク24(図1参照)により構成されている。水タンク24は加湿用の水が貯水され、本体部10の側部に着脱可能に立設されている。トレイ23は水タンク24に接続され、タンクから供給される水をためる。加湿フィルター22はトレイ23に浸漬される吸水性を有した吸水材から成り、前後方向にジグザグに折曲した屏風状に形成されている。これにより、加湿フィルター22はトレイ23内の水を吸い上げて保水する。
【0045】
上記構成の空気調和機1において、送風機25が駆動されると吸気口13から本体部10内に室内の空気が取り込まれる。吸気口13から取り込まれた空気は矢印A(図2参照)に示すように空気清浄用フィルターユニット20を通過して塵埃が捕集され、ウィルスやアレルゲンが不活化される。空気清浄用フィルターユニット20を通過した空気には芳香成分が含まれ、通気口27を介して通風路31に流入する。
【0046】
また、空気清浄用フィルターユニット20を通過した下方の空気は加湿フィルター22に衝突し、背面側が遮蔽されるため吸水材の折曲された壁面に沿って矢印B(図2参照)に示すように上昇する。この時、加湿フィルター22に保水された水分が空気内に取り込まれ、加湿された空気が通気口27を介して通風路31に流入する。通風路31を流通する空気はイオン発生装置26から放出されるプラスイオン及びマイナスイオンを含み、吹出口29、30から室内に送出される。これにより、室内の殺菌及び臭い除去を行うことができる。
【0047】
また、操作パネル15(図1参照)の操作によってプラスイオン及びマイナスイオンを室内に送出するモードと、マイナスイオンのみを室内に送出するモードとを切り替えることができるようになっている。これにより、モードを切り替えてマイナスイオンを室内に送出してリラクゼーション効果を得ることができる。
【0048】
室内に送出されるイオンは水分子により周囲が取り囲まれる。このため、空気中のカビ菌やウィルス等の浮遊菌とイオンとが衝突する度合が高くなる。また、空気中の塵埃にイオンが衝突した際に、イオンは水分子に保護され消滅が低減される。従って、室内の浮遊菌を迅速に除去することができる。また、マイナスイオンのみを室内に送出する際も同様にイオンが水分に取り囲まれ、塵埃との衝突によるイオンの消滅が低減される。従って、リラクゼーション効果を効率よく迅速に得ることができる。
【0049】
本実施形態によると、芳香剤を含浸した多孔質のウレタン樹脂から成るマイクロカプセル37を集塵フィルター55が担持するので、芳香剤から放出される化学物質が徐々に放出される。これにより、芳香効果を長期間持続することができる。また、従来のようにマイクロカプセルを破壊する手段を必要としないため空気清浄機1のコストダウンを図ることができる。尚、マイクロカプセルは多孔質であれば他の材料でもよく、例えば、アルミナ等のセラミックを用いることができる。
【0050】
また、芳香剤だけでなく、化学物質を放出することにより種々の機能を発揮する機能物質をマイクロカプセル37に含浸してもよい。例えば、芳香剤以外の機能物質として消臭剤、抗菌剤、抗ウィルス剤、抗アレルゲン剤等を含浸することができる。マイクロカプセル37に消臭剤を含浸すると、消臭剤から放出される化学物質が空気とともに流通し、室内の消臭を行うことができる。
【0051】
マイクロカプセル37に抗菌剤を含浸すると、抗菌剤から放出される化学物質が送風機25の停止時に空気清浄用フィルターユニット20の表面に滞留して細菌の繁殖を防止することができる。マイクロカプセル37に抗ウィルス剤や抗アレルゲン剤を含浸すると、抗ウィルス剤や抗アレルゲン剤から放出される化学物質によって空気清浄用フィルターユニット20を通過する空気中のウィルスやアレルゲンを不活化することができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、塵埃を捕集する集塵フィルターやそれを用いた空気清浄機、空気調和機に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施形態の空気清浄機を示す斜視図
【図2】本発明の実施形態の空気清浄機を示す側面断面図
【図3】本発明の実施形態の空気清浄機の空気清浄用フィルターユニットを示す分解斜視図
【図4】本発明の実施形態の空気清浄機のプレフィルターを示す斜視図
【図5】本発明の実施形態の空気清浄機の脱臭フィルターを示す斜視図
【図6】本発明の実施形態の空気清浄機の脱臭フィルターを示す側面図
【図7】本発明の実施形態の空気清浄機の脱臭フィルターを示す側面断面図
【図8】本発明の実施形態の空気清浄機の集塵フィルターを示す斜視図
【図9】本発明の実施形態の空気清浄機の集塵フィルターを示す分解斜視図
【図10】本発明の実施形態の空気清浄機の集塵フィルターのマイクロカプセルの担持状態を示す図
【図11】本発明の実施形態の空気清浄機の集塵フィルターのマイクロカプセルの担持状態を示す図
【図12】本発明の実施形態の空気清浄機のフィルター押え枠を示す斜視図
【図13】本発明の実施形態の空気清浄機の空気清浄用フィルターユニットの枠体を示す斜視図
【図14】本発明の実施形態の空気清浄機の空気清浄用フィルターユニットの枠体とプレイフィルターの結合状態を示す斜視図
【符号の説明】
【0054】
1 空気清浄機
10 本体部
12 前面パネル
13 吸気口
14 側面吸気口
15 操作パネル
20 空気清浄用フィルターユニット
21 加湿部
22 加湿フィルター
23 トレイ
25 送風機
26 イオン発生装置
27 通気口
28 通気パネル
29、30 吹出口
31 通気路
32 空間部
36 シート
37 マイクロカプセル
38 バインダー
52 プレフィルター
53 フィルター押え枠
54 脱臭フィルター
55 集塵フィルター
55a 濾材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塵埃を捕集する濾材を有した集塵フィルターにおいて、空気中に化学物質を放出して所望の機能を発揮する機能物質を含浸した多孔質のマイクロカプセルを担持したことを特徴とする集塵フィルター。
【請求項2】
前記機能物質は芳香剤、消臭剤、抗菌剤、抗ウィルス剤若しくは抗アレルゲン剤から成ることを特徴とする請求項1に記載の集塵フィルター。
【請求項3】
前記機能物質が芳香剤から成るとともに、前記濾材に抗ウィルス剤を含浸したことを特徴とする請求項1に記載の集塵フィルター。
【請求項4】
前記マイクロカプセルは多孔質ウレタン樹脂から成ることを特徴とする請求項1に記載の集塵フィルター。
【請求項5】
バインダーを溶解した溶媒中に前記マイクロカプセルを分散し、該溶媒中に前記濾材を浸漬して前記マイクロカプセルを担持したことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の集塵フィルター。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれかに記載の集塵フィルターと、室内から空気を取り込んで前記集塵フィルターを通過して送出する送風機とを備えたことを特徴とする空気清浄機。
【請求項7】
前記機能物質が芳香剤から成るとともに、前記集塵フィルターは前記濾材に抗ウィルス剤を含浸したHEPAフィルターから成ることを特徴とする請求項6に記載の空気清浄機。
【請求項8】
抗アレルゲン剤を含浸した通気性のシートを前記集塵フィルターに面して設けたことを特徴とする請求項7に記載の空気清浄機。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内からの空気を取り込んで、塵埃を捕集するプレフィルター、脱臭する脱臭フィルター、塵埃を捕集する濾材を有した集塵フィルターからなるフィルターユニットと、イオンを発生するイオン発生部と、空気に水分を送る加湿部と、室内から空気を取り込んで送出する送風機とを備えた空気清浄機において、
前記濾材に抗ウィルス剤を含浸し、前記濾材の表面に空気中に化学物質を放出して所望の機能を発揮する機能物質を含浸した多孔質のマイクロカプセルを担持したことを特徴とする空気清浄機。
【請求項2】
バインダーを溶解した溶媒中に前記マイクロカプセルを分散し、該溶媒中に前記濾材を浸漬して前記マイクロカプセルを担持し、前記バインダーの濃度を可変することを特徴とする請求項1に記載の空気清浄機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−46730(P2006−46730A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−226046(P2004−226046)
【出願日】平成16年8月2日(2004.8.2)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】