説明

集塵機の目詰まり表示装置

【課題】簡単な構造で、見やすく表示することができる集塵機の目詰まり表示装置を提供する。
【解決手段】集塵機の集塵用フィルタの目詰まりを表示する集塵機の目詰まり表示装置20である。集塵機のケーシング1の上部に排出口19が上向きに設けられる。排出口19の上方に空間を介してフロートカバー23が取り付けられる。着色した表示フロート21が、排出口19から排出される排気の圧力により、排出口19とフロートカバー21との間で上昇可能に配設される。排出口19とフロートカバー21間での表示フロート21の露出度または上下位置に応じて集塵用フィルタの目詰まりが表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工場内の工作機械などで発生する微細粉塵を含むオイルミスト(油煙を含む)などの含塵流体を捕集する集塵機において、その集塵用フィルタの目詰まりを表示する目詰まり表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
機械加工などを行う工場では、使用される工作機械などから、微細粉塵を含むオイルミストなどが発生するが、そのまま放置すると、工場内の悪臭の発生、機器や制御盤への含塵流体の浸入、壁面などの汚染等、工場の作業環境を悪化させるばかりでなく、工場の床面が非常に滑りやすくなり、作業員の転倒事故を発生させる原因となる。
【0003】
このために、機械加工の工場などでは、工作機械などから発生した微細粉塵を含むオイルミストなどの含塵流体を、集塵機により確実に効率良く捕集する必要があり、そのために、工場内に設置された、微細粉塵を含むオイルミスト等を発生する工作機械等の機器には、通常、集塵機が取り付けられ、含塵流体を集塵機の集塵用フィルタで捕集するようにしている。
【0004】
しかし、集塵機の集塵用フィルタは、使用に伴い、オイルミストなどの含塵流体が付着すると、目詰まりを起こしやすく、集塵用フィルタの目詰まりにより含塵流体の捕集効率が低下し、捕集されないオイルミストなど含塵流体が工場内に放出され、上述の如く作業環境が非常に悪化する。
【0005】
そこで、集塵用フィルタの保守点検がかなりの頻度で必要となるが、日常業務に繁忙な工場従業者においては、集塵用フィルタの目詰まりを常に監視し、目詰まりが発生した場合には、素早くフィルタの清掃や交換を行なうことは難しい。このため、下記特許文献1などにおいて、集塵用フィルタの目詰まりを監視する装置が提案されており、この監視装置は、集塵用のブロワの吸引圧力を検出するために、吸引室に圧力センサを設け、吸引室の吸引圧力が設定圧力より上昇したとき、集塵用フィルタの目詰まり発生の検出信号を発生し、フィルタの目詰まりを報知するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−285325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記特許文献1に記載される集塵用フィルタの目詰まり監視装置は、圧力センサを使用して電気的にフィルタの目詰まりを監視するが、同時に温度センサにより温度を検出し、温度信号と圧力検出信号から目詰まりを監視するため、センサやその検出回路を含めて装置が複雑化し、そのための製造コストが増大する一方、そのセンサや検出回路自体の保守点検も必要としていた。
【0008】
また、集塵用フィルタの目詰まりを表示する簡単な表示装置として、集塵機の排気口にダンパーを回転可能に軸支し、そのダンパーの回転軸に指示針を取り付け、フィルタの目詰まりに伴いダンパーの回転角が減少したとき、指示針によりそれを表示するようにした、目詰まりの表示装置が知られている。
【0009】
然るに、この目詰まり表示装置の指示針は、集塵機の排気口の側部などに取り付けられるところ、細い針であるために広い工場内においては非常に見づらく、集塵機の集塵用フィルタに目詰まりが生じた場合でも、作業者はそれに気づきにくいという課題があった。
【0010】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、簡単な構造で、見やすく表示することができる集塵機の目詰まり表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る集塵機の目詰まり表示装置は、集塵機の集塵用フィルタの目詰まりを表示する目詰まり表示装置において、集塵機のケーシング上部に排出口が上向きに設けられ、該排出口の上方に空間を介してフロートカバーが取り付けられ、着色した表示フロートが、該排出口から排出される排気の圧力により、該排出口と該フロートカバーとの間で上昇可能に配設され、該排出口と該フロートカバー間での該表示フロートの露出度または上下位置に応じて集塵用フィルタの目詰まりを表示することを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、集塵機の排出口に表示フロートとフロートカバーを設けるのみで、非常に簡単に目詰まり表示装置を構成することができ、着色した表示フロートにより、集塵用フィルタの目詰まりを、低コストで見やすく表示することができる。
【0013】
ここで、上記目詰まり表示装置において、上記排出口の中央に支持シャフトが立設され、該支持シャフトの上端にフロートカバーが取り付けられ、上記表示フロートは、その中央の貫通孔を該支持シャフトに貫通させて上下動自在に支持され、該排出口から排出される排気圧力に応じて該表示フロートを該支持シャフトに沿って上下動させる構成とすることができる。
【0014】
また、上記表示フロートは、発泡合成樹脂または中空状合成樹脂により軽量化して形成することが好ましい。これにより、集塵の排気に生じる圧力損失を最小とすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の集塵機の目詰まり表示装置によれば、簡単な構造で、集塵用フィルタの目詰まりを見やすく表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態を示す目詰まり表示装置を備えた集塵機の正面図である。
【図2】同集塵機の右側面図である。
【図3】同集塵機の斜視図である。
【図4】同集塵機の縦断面図である。
【図5】目詰まり表示装置の分解斜視図である。
【図6】目詰まり表示装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜4は、工場内の工作機械などで発生する微細粉塵を含むオイルミスト(油煙を含む)などの含塵流体を捕集する集塵機を示している。
【0018】
集塵機は、概略的には、略直方体形状のケーシング1を有し、ケーシング1の正面側に吸入口2を設ける一方、ケーシング1内に集塵用フィルタとしてメインフィルタ5を設け且つ吸入口2に連通する吸入室3を配し、吸入室3に連通して吸引室8を設け、ケーシング1の背面側に吸引装置10を、吸引室8内にファン11を挿入して取り付け、吸入室3及び吸引室8の上側に隔壁16を介して排出室17を設け、排出室17の上部に排出口19を設けて構成される。さらに、集塵フィルタの目詰まりを表示するために、排出口19から上に突き出すように目詰まり表示装置20が設けられる。
【0019】
集塵機のケーシング1は、略直方体の箱型に形成され、ケーシング1の正面側に、吸入口カバー1aが固定ねじにより開閉可能に取り付けられ、吸入口カバー1aの中央に吸入口2が設けられる。吸入口2に続く吸入室3内には、図4に示すように、衝突板4及びメインフィルタ5が配される。衝突板4は所謂バフラーであり、オイルミスト等の含塵流体を金属ルーバーに衝突させ、前段処理として含塵流体中のオイルミスト、微細粉塵等を捕集する。なお、吸入室3の底板にはドレイン29が取り付けられ、吸入室3に溜まったオイル等の含塵液を排出するようになっている。
【0020】
メインフィルタ5は、図4に示す如く、カートリッジボックス7内に、複数のデミスタ6a及び集塵フィルタ6bを重ね合わせて収納して構成され、カートリッジボックス7と共にデミスタ6a及び集塵フィルタ6bを容易に取り出しできるようになっている。このために、ケーシング1の両側面には、サイドカバー1b、1cが簡易ねじにより簡単に取り外し可能に設けられ、何れか一方のサイドカバー1b、1cを取り外して、メインフィルタ5のフィルタのカートリッジボックス7を取り出すことができる構造となっている。
【0021】
吸入室3に続く吸引室8はドラム状に形成され、図4に示すように、吸引室8の外周部分には集塵用フィルタとしてドラムフィルタ13が装着される。吸引室8は円形開口部を有する隔壁9を介して吸入室3に隣接して形成され、吸引装置10のファン11がケーシング1の背面側から吸引室8内に挿入される。ファン11はモータ12の回転軸に固定され、モータ12はケーシング1の背面側に固定される。吸引装置10は、ファン11の回転により、前方の吸入室3から含塵流体を吸引室8に吸引し、吸引室8の外周部からドラムフィルタ13を通して上方の排出室17に流体を送るようになっている。
【0022】
ドラムフィルタ13は、図4のように、ケーシング1内に固定された円筒網状のフィルタ支持体15の外周に、布状濾材、不織布濾材などの可撓性シート状濾材を巻き付けるように装着して構成され、フィルタ支持体15は吸引室8の隔壁9に取り付けられる。可撓性シート状濾材のドラムフィルタ13は、ケーシング1のサイドカバー1bまたは1cを外せば、簡単に交換することが可能である。吸引装置10のファン11の回転により、吸引室8に吸引された流体は、ドラムフィルタ13を通してその外側に続く排出室17に送気されるようになっている。
【0023】
排出室17は、吸引室8の周囲からケーシング1内の上部にかけて形成される。図4に示すように、排出室17の上部に、吐出フィルタ18が設けられ、吐出フィルタ18の上部に排出口19を設けた排出口カバー19aが取り付けられる。吐出フィルタ18は約0.3〜2.0μmの微細なミストや粉塵を捕集可能なフィルタエレメントから構成される。
【0024】
排出口19は、図1等に示す如く、上方に向けて鉛直に設けられ、吸引装置10のファン11の回転により、吸入口2から吸入された含塵流体は、吸入室3のメインフィルタ5、吸引室8の外側のドラムフィルタ13及び吐出フィルタ18を通過して、オイルミストや微細粉塵等が捕集され、濾過された空気が排出口19から上方に排出されるようになっている。なお、吐出フィルタ18は、図4では単層の簡易構造のフィルタとしているが、微細繊維の布状体を多層に配置した高性能フィルタとすることもできる。
【0025】
オイルミストや微細粉塵の捕集により、メインフィルタ5、ドラムフィルタ13或いは吐出フィルタ18に目詰まりが生じてくると、排出口19から排出される排出空気の流量及び圧力が低下してくる。排出口19の上部には、このようなフィルタの目詰まりに伴う排出空気の流量及び圧力の低下を利用して、フィルタの目詰まりを表示する目詰まり表示装置20が取り付けられる。
【0026】
目詰まり表示装置20は、概略的には、図5、6に示すように、排出口19の上方に空間を介してフロートカバー23が取り付けられ、着色した表示フロート21が、排出口19から排出される排気の圧力により、排出口19とフロートカバー23との間で上昇可能に配設され、排出口19とフロートカバー23間での表示フロート21の露出度または上下位置に応じて集塵用フィルタの目詰まりを表示するように構成される。
【0027】
排出口19の中央に支持シャフト22が鉛直に立設され、その支持シャフト22の上端にフロートカバー23が図5、6に示すように、表示フロート21を収納可能に取り付けられる。支持シャフト22は、排出口カバー19aの内側に設けられた金属の網状体24上に、固定ねじなどで鉛直に固定できるようになっており、既存の集塵機においても、上向きに排気する排出口を有した集塵機であれば、目詰まり表示装置20を取り付けることができる。
【0028】
表示フロート21は、発泡合成樹脂、中空状合成樹脂などから非常に軽量に形成され、且つ中央縦方向に貫通孔を有しており、支持シャフト22にその貫通孔を貫通させて、上下動自在に支持されるように装着される。図6等に示すように、支持シャフト22の中間部にはワッシャ25が取り付けられ、下降する表示フロート21を適当な中間露出位置で止めるようになっている。また、表示フロート21の少なくとも外周部は赤色等の目立つ色に着色され、通常の排気状態では、十分に押し上げられてフロートカバー23内に入った状態となり、排気流量などの低下により表示フロート21がフロートカバー23から現れる。
【0029】
つまり、表示フロート21は、排出口19から排出される排気流量、排気圧力に応じて、支持シャフト22に沿って上下動し、オイルミストや微細粉塵の捕集により、メインフィルタ5、ドラムフィルタ13或いは吐出フィルタ18に目詰まりが生じてくると、排出口19から排出される排出空気の流量及び圧力が低下し、それに伴い、表示フロート21がフロートカバー23の下側に現れ、フィルタの目詰まりを表示するようになっている。
【0030】
次に、上記構成の集塵機の目詰まり表示装置の動作を説明する。集塵機は、工場の工作機械(マシニングセンター等)の上に或いは隣接して設置され、吸入口2には、工作機械に連通接続された排気ダクトが接続される。
【0031】
吸引装置10のモータ12が起動すると、ファン11が回転し、吸入室3を通して吸引室8に吸引した含塵流体をラジアル方向に送気し、含塵流体を吸引室8から排出室17へ送出する。
【0032】
このとき、工作機械から発生する、オイルミスト(油煙を含む)、微細粉塵を含む含塵流体が、吸入口2から吸入室3内に入り、先ず衝突板4に含塵流体が衝突し、それにより液状化したオイルと共に主な微細粉塵が落下して除去され、さらに含塵流体が、メインフィルタ5のデミスタ6a、集塵フィルタ6bを通過し、オイルミストや微細粉塵がそのフィルタ等に捕集される。
【0033】
さらに、含塵流体はファン11の回転により、吸入室3から吸引室8内に吸引されて放射状に送気され、ドラムフィルタ13を通過して排出室17に送出される。このとき、含塵流体のドラムフィルタ13の通過により、オイルミストや微細粉塵がドラムフィルタ13に捕集され、さらに、オイルミスト、微細粉塵等を除去された排出室17の空気は、吐出フィルタ18を通過して排出口17から上方に排気される。
【0034】
このとき、集塵機のメインフィルタ5、ドラムフィルタ13、及び吐出フィルタ18に目詰まりがない状態であれば、十分な排気流量と排気圧力をもった排気が排出口17から発生し、排気の圧力により表示フロート21が押し上げられ、図6に示すように、表示フロート21はフロートカバー23内に収納され、その状態が保持される。よって、集塵機の集塵フィルタが正常で目詰まりのない状態であれば、表示フロート21はフロートカバー23内に隠れ、現れない。
【0035】
一方、メインフィルタ5、ドラムフィルタ13、または吐出フィルタ18に目詰まり発生すると、その目詰まりの状態に応じて排気の圧力損失が増大し、排出口17から排気される排気流量、排気圧力が低下してくる。このため、フロートカバー23内に押し上げられていた表示フロート21が目詰まり状態に応じて下降し、赤色等に着色された表示フロート21がフロートカバー23と排出口19との間に露出してくる。したがって、工場の管理者は表示フロート21の露出程度を視認することにより、集塵フィルタの目詰まりを容易に且つ確実に認識することができる。そして、集塵フィルタの目詰まりを認識した管理者はメインフィルタ5、ドラムフィルタ13等の洗浄や交換を行ない、集塵フィルタの目詰まりが解消されれば、目詰まり表示装置20の表示フロート21は十分な排気流量、排気圧力を受けて押し上げられ、フロートカバー23内に隠れることとなる。
【0036】
このように、目詰まり表示装置20は、集塵機の排出口19に表示フロート21とフロートカバー23を設けるのみで、非常に簡単に構成することができ、着色した表示フロート21の露出により、集塵用フィルタの目詰まりを、低コストで見やすく表示することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 ケーシング
1a 吸入口カバー
1b サイドカバー
2 吸入口
3 吸入室
4 衝突板
5 メインフィルタ
6a デミスタ
6b 集塵フィルタ
7 カートリッジボックス
8 吸引室
9 隔壁
10 吸引装置
11 ファン
12 モータ
13 ドラムフィルタ
15 フィルタ支持体
16 隔壁
17 排出室
18 吐出フィルタ
19 排出口
19a 排出口カバー
20 表示装置
21 表示フロート
22 支持シャフト
23 フロートカバー
24 網状体
25 ワッシャ
29 ドレイン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集塵機の集塵用フィルタの目詰まりを表示する目詰まり表示装置において、
該集塵機のケーシング上部に排出口が上向きに設けられ、該排出口の上方に空間を介してフロートカバーが取り付けられ、着色した表示フロートが、該排出口から排出される排気の圧力により、該排出口と該フロートカバーとの間で上昇可能に配設され、該排出口と該フロートカバー間での該表示フロートの露出度または上下位置に応じて集塵用フィルタの目詰まりを表示することを特徴とする集塵機の目詰まり表示装置。
【請求項2】
前記排出口の中央に支持シャフトが立設され、該支持シャフトの上端にフロートカバーが取り付けられ、前記表示フロートは、その中央の貫通孔を該支持シャフトに貫通させて上下動自在に支持され、該排出口から排出される排気圧力に応じて該表示フロートを該支持シャフトに沿って上下動させることを特徴とする請求項1記載の集塵機の目詰まり表示装置。
【請求項3】
前記表示フロートは、発泡合成樹脂または中空状合成樹脂により軽量化して形成されていることを特徴とする請求項2記載の集塵機の目詰まり表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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