説明

雑草防除工法

【課題】人体や農作物等に悪影響を与えることなく、しかも道路脇等における縁石と回所マスとの間のような狭隘な場所でも容易に隙間なく雑草防除施工が行えるようにする。
【解決手段】地表面Gに乾燥した竹チップ3を敷設して第一チップ層4を形成し、次に第一チップ層4上に炭5を撒いて遮光層6を形成し、遮光層6上に必要に応じて乾燥した竹チップ7を混入しつつ発泡ポリウレタン剤8を注入して発泡層9を形成し、更に発泡層9上に乾燥した竹チップ11を撒いて第二チップ層12を形成することで雑草防除層を構築する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路脇や農耕地、或いは公園等における狭隘な箇所の雑草防除工法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、雑草防除のための手段としては、除草剤を散布してその薬効によって雑草を防除するか、遮光性を備えた雑草防除用合成樹脂シートを地表に張設して雑草が生えるのを阻止するか、草刈機で雑草を刈り取るか、或いはバーナーで雑草を焼却するといった方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−52254号公報
【特許文献2】特開2008−273949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来の雑草防除手段のうち、除草剤は人体や農作物等への薬害のおそれがあった。草刈機やバーナーの場合は、これらを使って作業者が地面に生えた雑草を残らず、刈り取ったり、焼ききったりする必要があることから、非常に手間がかかる上、エネルギーコストもかかるという欠点があった。
【0005】
遮光性を有する合成樹脂シートの場合は、人体等への悪影響はないものの、雑草防除を行う地面の形状に合わせてシートを正確に切断してこれを張設する必要があり、少しでも地面が露出していると該部から雑草が生えることとなる他、夏期と冬期の気温差によってシートが伸縮して地面が一部露出したり、当該シート自体に亀裂が発生したりする場合があり、そのため、完全な雑草防除が難しいという問題があった。更に、例えば道路脇に排水回所マスや給水弁が埋設された給水マスが設けられている場合には、これらと道路の縁石との間に僅かな隙間が生し、該隙間に合成樹脂シートを張設することができず、該部の地面が露出して雑草が生えるという問題があった。
【0006】
また、前述した除草剤や合成樹脂シートは人工的なものであるため、自然環境の維持という面からも好ましくなかった。
【0007】
本発明の目的は、人体や農作物等に悪影響を与えることがなく、しかも道路脇等における狭隘な場所でも容易に施工することができる雑草防除工法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の本発明は、地表面に木質チップを敷設して第一チップ層を形成した後、第一チップ層上に粉状または粒状の炭を敷設して遮光層を形成し、次に遮光層上に発泡剤を撒いて発泡層を形成し、更に発泡層上に木質チップを敷設して第二チップ層を形成することを特徴とする雑草防除工法である 。
【0009】
請求項2記載の本発明は、地表面に木質チップを敷設して第一チップ層を形成した後、第一チップ層上に遮光用着色を施した発泡剤を撒いて遮光性発泡層を形成し、更に遮光性発泡層上に木質チップを敷設して第二チップ層を形成することを特徴とする雑草防除工法である。
【0010】
請求項3記載の本発明は、前記請求項1または請求項2の雑草防除工法について、発泡剤を撒く際に、木質チップを混入させることを特徴とするものである。
【0011】
請求項4記載の本発明は、前記請求項1〜請求項3のうちのいずれか一項記載の雑草防除工法について、木質チップが竹チップであることを特徴とするものである。
【0012】
請求項5記載の本発明は、前記請求項1〜請求項4のうちのいずれか一項記載の雑草防除工法について、発泡剤が発泡ポリウレタンであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の雑草防除工法は、地表面に木質チップからなる第一チップ層を形成し、その上方に発泡層を形成した後、更にその上に木質チップからなる第二チップ層を形成するという工法であるため、雑草防除対象の地表面の形状に関係なく、常に容易に完全な施工が行え、また物理的にも発泡層によってある程度の伸縮性があるため、冬期および夏期の気温差に対応することができる。より詳細には、例えば一方がコンクリート製の回所マスで、他方が雑草防除用の合成樹脂シートという異なる材質のものであって、気温変動に伴う熱の膨張・収縮率が異なる場合でも、発泡層の横方向の伸縮によって、これらの間に隙間なく緻密に施工でき、また一年を通して雑草を防除することができる。また、前述した回所マスと合成樹脂シートの隙間や道路の縁石と回所マスの隙間といった狭隘な箇所でも容易に施工できる。しかも、本発明の雑草防除工法は、炭による遮光層や発泡層自体に遮光用着色を施すことによって、遮光性を具備するため、雑草の生育が確実に阻止される。また、前記発泡層の発泡率や発泡層の厚みを適宜変更することで周辺の地表面と同一の高さレベルに容易に設定することができる等、種々の優れた実用的利点を有する。
【0014】
この他、従来の除草剤のような薬害のおそれもなく、また草刈機やバーナーの場合のようなエネルギーコストの問題もない。
【0015】
更に、発泡層にも木質チップが混入された本発明の工法では、重量割合で大半を占める木質チップによって、全体として天然物と捉えることができるため、自然環境に合致した施工とすることができる。
【0016】
また、炭として竹炭を用いたり、木質チップとして乾燥した竹チップを用いた本発明の工法によれば、竹の利用性が図られる。これは、道路新設工事の際に竹林を伐採することが比較的に多く、これに伴って多量の切断された竹が発生し、この処分に困っている実情があり、前記本発明の工法によれば、竹のリサイクルが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態に係る工法を用いて雑草防除を行う場所を示す斜視図である。
【図2】地表面に竹チップを敷設した状態を示す斜視図である。
【図3】第一チップ層上に炭を撒いた状態を示す斜視図である。
【図4】遮光層上に発泡剤を注入する状態を示す斜視図である。
【図5】発泡層上に竹チップを敷設する状態を示す斜視図である。
【図6】実施形態1により施工された雑草防除層の断面図である。
【図7】実施形態2において、第一チップ層上にチップ入り発泡剤を注入する状態を示す斜視図である。
【図8】実施形態2により施工された雑草防除層の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施形態を図面にしたがって説明するが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。
【0019】
(実施形態1)
【0020】
図1に示すように、道路脇の縁石1の傍に回所マス2が設けられ、回所マス2の周縁における前記縁石1側縁2aを除く他縁2b・2c・2dの周りが雑草防除用合成樹脂シート10で覆われ、縁石1と回所マス2の縁石1側縁2aとの間の地表面Gに本発明の工法を実施する場合について説明する。
【0021】
先ず、図2に示すように、地表面Gに乾燥した竹チップ3を敷設して第一チップ層4を形成し、次に図3に示すように、第一チップ層4上に粉状または粒状の炭5を撒いて遮光層6を形成し、その後、図4に示すように、遮光層6上に乾燥した竹チップを混入しつつ発泡ポリウレタン剤8を注入して発泡層9を形成する。次に、図5に示すように、発泡層9上にマルチングとして乾燥した竹チップ11を撒いて第二チップ層12を形成することで、本実施形態の工法の実施が完了する。本実施形態の工法によって形成された雑草防除層を図6に示す。
【0022】
なお、前記第二チップ層12の形成後においては、第二チップ層12を板状部材(図示せず)で押圧したり、足で踏み固めることで当該雑草防除層の安定性を高めるようにしても良い。
【0023】
(実施形態2)
【0024】
前記実施形態1と同様の場所に本実施形態の工法を実施する場合について説明すると、先ず前記実施形態1と同様、図2に示すように、地表面Gに乾燥した竹チップ3を敷設して第一チップ層4を形成し、次に図7に示すように、第一チップ層4上に黒色または黒褐色の遮光用着色が施された発泡剤28を注入して遮光性発泡層29を形成し、更に図8に示すように、遮光性発泡層29上に木質チップ31を敷設して第二チップ層32を形成することで、本実施形態の工法の実施が完了する。
【0025】
なお、本実施形態における雑草防除層の更なる安定化のための手法は、前記実施形態1と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明の工法によれば、従来、施工が困難であった狭隘な場所でも簡単且つ確実に、しかも自然環境にも合致した態様で安価に雑草防除が行えるため、幅広い利用が期待できる。
【符号の説明】
【0027】
3・7・11 竹チップ
4 第一チップ層
5 炭
6 遮光層
9 発泡層
12 第二チップ層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地表面に木質チップを敷設して第一チップ層を形成した後、第一チップ層上に粉状または粒状の炭を敷設して遮光層を形成し、次に遮光層上に発泡剤を撒いて発泡層を形成し、更に発泡層上に木質チップを敷設して第二チップ層を形成することを特徴とする、雑草防除工法。
【請求項2】
地表面に木質チップを敷設して第一チップ層を形成した後、第一チップ層上に遮光用着色を施した発泡剤を撒いて遮光性発泡層を形成し、更に遮光性発泡層上に木質チップを敷設して第二チップ層を形成することを特徴とする、雑草防除工法。
【請求項3】
発泡剤を撒く際に、木質チップを混入させることを特徴とする、請求項1または請求項2記載の雑草防除工法。
【請求項4】
木質チップが竹チップであることを特徴とする、請求項1〜請求項3のうちのいずれか一項記載の雑草防除工法。
【請求項5】
発泡剤が発泡ポリウレタンである、請求項1〜請求項4のうちのいずれか一項記載の雑草防除工法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate