説明

離型剤配合物および方法

離型剤およびこの使用方法が提供される。離型剤は高い粘度および比重測定値を有し、コーティング剤として使用されるために複数の選択的油およびグリースの導入を可能とする。更に、離型剤は、毎使用後に離型剤の再塗布の必要性のないコーティング剤として最終ユーザーによる複数回の使用に適合できる。更に、離型剤は、より長い寿命、容易なコーティング等を可能とし得る、耐酸化剤、防腐剤および乳化剤等の添加剤を有してもよい。なお更に、離型剤は、最終ユーザーにより、コーティング目的のために、離型剤をユーザーにより優しく、より容易に確認させるために着色剤および芳香剤を導入してもよい。離型剤はまた、離型剤の寿命および有効性を増加するために、凝固点降下剤、耐酸化剤、乳化剤、芳香剤および溶媒添加剤を導入してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に化学コーティングに関する。より具体的には、本発明は、種々の表面へのアスファルト、コンクリート等の望ましくない付着を緩和するための改善された離型剤に関する。
【背景技術】
【0002】
アスファルト、コンクリートおよびその他の表面へのアスファルトおよびコンクリートの望ましくない付着を緩和するための従来技術の離型剤は良く知られている。これらの離型剤は、普通、コンテナー、ミキサー、型枠等への表面への、そのような材料の付着を緩和するために使用される。
【0003】
当業者も理解する通り、そのような表面へのアスファルトおよびコンクリート付着は望ましくない。これらの材料がコンテナーおよびミキサーへ付着した場合、多くの場合、これらのものを清掃することが必要である。コンテナーおよびミキサーを清浄にすることは、一般に負担が多い作業であり、したがって、一般に時間と費用が掛かる。
【0004】
型枠は、コンクリートで形成される構造の形状を画定するために使用される。例えば、木製型枠は、コンクリートを型枠へ注入して作製される道路の形状を画定するために使用され得る。材料が多少硬化したら、型枠は一般に除去される。勿論、コンクリートが型枠へ付着すると、構造から型枠を除去することが非常に難しくなる。
【0005】
アスファルトは、例えば、アスファルトプラントから作業現場へ送達するために、普通、トラックの荷台で運搬される。トラックの荷台へアスファルトが付着するのは望ましくない。
【0006】
離型剤は、アスファルトおよびコンクリートをコンテナー、ミキサー、トラックの荷台および型枠へ注入する前にコンテナー、ミキサー、トラックの荷台および型枠へ普通塗布される。離型剤は、刷毛塗り、塗布、または吹き付けを含む多数の方法で、およびアスファルトまたはコンクリートの関連表面への接着を緩和するための物理的バリヤーとしての塗布作業時に塗布される。これは、ケーキ種の鍋への付着を緩和するためのバターまたはショートニングの使用に多少似ている。
【0007】
通常使用されている離型剤はディーゼル燃料である。ディーゼルは安価であり、容易に入手でき、かなり良く働く。ディーゼルは、約68(no.2Dに対して)の高い粘度により、殆どの表面にかなり良く接着する。ディーゼルは、また、相対的に重質で、約25から40(「1−D等級」で約40および「2−D等級」で約35)の比重を有する。残念ながら、ディーゼル燃料の使用は環境を不必要に汚染する。
【0008】
幾つかの現代の離型剤は、種々の化学物質および添加剤との組合せにおいて大豆油を含む。例えば、離型剤として、大豆油との組合せにおいて水の20重量%以上の混合物を使用することは公知である。種々の添加剤は、水および大豆油の乳化を増し、発泡を促進し、塗布された場合に混合物の広がりを助け、混合物を更に可視的にし、および/または望ましい香りを与えるために含まれ得る。
【0009】
現代の離型剤は市場において広く受入れられているが、そのような配合物は固有の欠陥を持っている。例えば、大豆油および水の混合物を含む現代の離型剤は、一般に、一度限り使用可能である。即ち、そのような現代の離型剤の新たな塗布は、一般に、使用の度に必要とされる。例えば、ミキサーまたはトラックの荷台がコンクリートまたはアスファルトで充たされる都度、あるいは木製型枠がこれらの材料の1つのために使用される都度、離型剤は、一般に、再塗布されねばならない。
【0010】
コンテナー、ミキサーまたは型枠の使用毎の離型剤の再塗布は費用が掛かり望ましくない。離型剤の更なる量が使用されなければならないばかりでなく、労力も、再塗布の作業を行うために費やされねばならない。 そのような現代の離型剤の欠陥を緩和するための従来の試みとしては、例えば、米国特許第4087072号、名称「FORM MEANS FOR FABRICATING PRE−CAST STRUCTURAL PANELS」に開示されている、Teflon(商標)(du Pont de Nemours and Company of Wilmington、Delawareの連邦政府登録商標)等の永続的または半永続的耐付着コーティングの使用が挙げられる。しかし、多くの用途において、アスファルトおよびコンクリートの摩耗性がそのような永続的または半永続的コーティングの使用を非実用的なものにしている。即ち、Teflonコーティングは再塗布されねばならず、または被覆された対象物は経済的に可能であるよりもより頻繁に処分されねばならない。
【0011】
上述の観点から、アスファルト、コンクリート等の種々の表面への望ましくない付着を緩和するために、更に耐久性があり、その上経済的に可能な離型剤を提供することが望ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、離型剤およびその使用方法に関する。より具体的に言えば、本発明は、高い粘度および比重測定値を有し、コーティング剤として使用される複数の代替油およびグリースの導入を可能にする離型剤に関する。更に、離型剤は、毎使用後に離型剤の再塗布の必要性のないコーティング剤として最終ユーザーによって複数用途に適応可能である。本発明は、離型剤の寿命および有効性を増加するために、凝固点降下剤、耐酸化剤、乳化剤、芳香剤および溶媒添加剤を導入する離型剤を有し得る。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的のために、本発明の例示的実施形態において離型剤が提供される。この離型剤は、高い粘度および比重を有する少なくとも油成分、耐酸化剤、乳化剤、ならびに界面活性剤を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
例示的実施形態において、離型剤は、約65cStと約75cStの間の粘度を有する。
【0015】
例示的実施形態において、離型剤は、複数の異なる油成分を有する。
【0016】
例示的実施形態において、離型剤は、油成分が未濾過植物油を含む油成分を有する。
【0017】
例示的実施形態において、離型剤は、油成分が濾過植物油を含む油成分を有する。
【0018】
例示的実施形態において、離型剤は、固形分の約6重量%から約10重量%を有する未濾植物油を含む。
【0019】
例示的実施形態において、離型剤は、有機溶媒および水において可溶である界面活性剤を有する。
【0020】
例示的実施形態において、離型剤は、離型剤を着色するための着色成分を有する。
【0021】
例示的実施形態において、離型剤は2重量%未満の水を有する。
【0022】
例示的実施形態において、離型剤は、約0.90と約0.95の間の比重を有する離型剤を有する。
【0023】
例示的実施形態において、離型剤は乳化剤を有し、乳化剤は乳酸である。
【0024】
例示的実施形態において、離型剤は乳化剤を有し、乳化剤は、クエン酸、酢酸、酒石酸、およびプロピレングリコールのいずれかを含む。
【0025】
例示的実施形態において、離型剤は、油の酸化を防ぎ、安定性、長期寿命および臭気制御を与えるために離型剤へ添加される耐酸化剤を有する。
【0026】
例示的実施形態において、離型剤は少なくとも油成分を有し、油成分は、脂肪、濾過油、未濾過油およびグリースの組合せを含む。
【0027】
この目的のために、本発明の例示的実施形態においては、装置をコーティングするための方法が提供される。この方法は、少なくとも油成分を有する離型剤を塗布する段階;乳化剤を前記離型剤へ供給する段階;耐酸化剤を前記離型剤へ供給する段階;着色剤を離型剤へ混合する段階;構造を画定する型枠中へアスファルトおよびコンクリートを注入する前に離型剤を装置へ塗布する段階;ならびに構造から前記装置を除去する段階を含む。
【0028】
例示的実施形態において、この方法は、構造が道路または歩道を含む場合の構造を用意する段階を含む。
【0029】
例示的実施形態において、この方法は、構造が建築構成要素を含む場合の構造を用意する段階を含む。
【0030】
例示的実施形態において、この方法は、装置が木製保持構造であってもよい段階を含む。
【0031】
例示的実施形態において、この方法は、離型剤が、装置への離型剤の再塗布なしで複数回再使用可能である段階を含む。
【0032】
例示的実施形態において、この方法は、臭気を消し、離型剤が装置へ塗布されたことを確認するために離型剤に芳香剤を添加する段階を含む。
【0033】
したがって、本発明の目的は、コーティング剤として使用するために、高い粘度および重力測定値を有する離型剤を提供することである。
【0034】
本発明の別の例示的実施形態においては、離型剤が提供され、この離型剤は油から構成され得る。
【0035】
本発明のなお更なる例示的実施形態においては、離型剤が提供され、この離型剤は少なくとも油および/またはグリース成分から構成され得る。
【0036】
本発明のなお別の例示的実施形態は、離型剤が、油、グリースおよび水の組合せから構成され得る離型剤を提供することである。
【0037】
本発明のなお別の例示的実施形態は、離型剤が、油およびグリースのみから構成され得る離型剤を提供することである。
【0038】
本発明の更なる例示的実施形態においては、離型剤が、落花生油、核油、綿実油、トウモロコシ油、芥子種子油、パーム核油、パーム油、パーム油、パームステアリン、菜種油、ベニバナ油、ゴマ油、大豆油、ヒマワリ種子油および/または他の食用植物油の任意の組合せから部分的に構成され得る離型剤が提供される。
【0039】
本発明のその他の例示的実施形態は、離型剤が、少なくともバージン油から構成されてもよく、バージン油が、水で洗浄、静置、濾過および遠心分離により精製されてもよい離型剤を提供することである。
【0040】
本発明の別の例示的実施形態においては、改良された離型剤が提供され、この離型剤は、アスファルト、コンクリート等を伴う使用に適合されるべく利用されてもよい。
【0041】
本発明のなお別の例示的実施形態は、離型剤が約65cStを超える粘度を有してもよい、改良された離型剤を提供することである。
【0042】
本発明のなお別の例示的実施形態においては、離型剤が約0.95未満の比重を有してもよい離型剤が提供され得る。
【0043】
本発明のなお別の例示的実施形態は、離型剤が生物分解性で、そうでない場合は環境に優しい油から構成されてもよい離型剤を提供することである。
【0044】
本発明の別の例示的実施形態は、離型剤が濾過または未濾過であってもよい離型剤を提供することである。
【0045】
本発明の別の例示的実施形態においては、離型剤が極めて小さい固体組成物を有し、固体が約6−10重量%を占める離型剤が提供される。
【0046】
本発明のなお別の例示的実施形態は、離型剤が少ない割合の水を含み、水の検討される割合が20重量%未満、より好ましくは、2重量%未満である改良された離型剤を提供することである。
【0047】
本発明の別の例示的実施形態においては、離型剤が水成分を含まない離型剤が提供される。
【0048】
本発明のなお別の例示的実施形態は、離型剤が少なくとも凝固点降下剤を含んでもよい離型剤を提供することである。
【0049】
本発明のなお別の例示的実施形態は、凝固点降下剤を有する離型剤を提供することであり、凝固点降下剤は、極端な環境において適切な生成物粘度および流動特性を確保でき、凝固点降下剤は、プロピレングリコール、塩化物塩、液体マグネシウム塩化物または他の凝固点降下剤であってもよい。
【0050】
本発明のなお更なる例示的実施形態は、離型剤が発泡剤を更に含んでもよい離型剤を提供することである。
【0051】
本発明のなお別の例示的実施形態は、離型剤が乳化剤を更に有してもよい離型剤を提供することであり、乳化剤は、天然油から製造され、油および水成分を一緒に結合する。乳化剤は、水中油および/または油中水乳化剤であってもよい。
【0052】
本発明の更なる例示的実施形態は、離型剤が芳香剤を有してもよい離型剤を提供することである。
【0053】
本発明の別の例示的実施形態は、離型剤の中に着色剤を更に含んでもよい離型剤を提供することである。
【0054】
本発明の別の例示的実施形態においては、離型剤がまた、少なくとも溶媒添加剤を含んでもよい離型剤が提供されてもよいことが検討される。
【0055】
本発明の更なる例示的実施形態は、離型剤がまた、或種の市場区分における離型剤の有効性を増加するために溶媒添加剤を有してもよい離型剤を提供することであり、溶媒添加剤は、柑橘類の外皮から抽出されるリモネン、メチルエステル、バイオディーゼルまたは乳酸由来の乳酸エチルであってもよい。
【0056】
本発明のなお別の例示的実施形態は、離型剤が油の今後の酸化を防ぎ得る耐酸化剤を含んでもよい離型剤を提供することである。一度開始された過酸化物形成は、脂肪酸がもはや利用できなくなるか耐酸化剤が添加されてそれが終了するまで続く。
【0057】
本発明のなお別の例示的実施形態は、離型剤が耐酸化剤を含んでもよい離型剤を提供することであり、耐酸化剤は、安定性、長期寿命、臭気制御および色の保存を達成するために、単独形態におけるまたは生成物および配合物の組合せにおける合成もしくは天然のものであってもよい。
【0058】
本発明のなお別の例示的実施形態においては、離型剤が界面活性剤、(離型剤の表面張力を低下させる湿潤剤として作用し、したがって、型枠、ミキサー、トラックの荷台等への離型剤の容易な広がりを可能にする)を有してもよい離型剤が提供され得る。
【0059】
本発明のなお更なる例示的実施形態は、離型剤が複数の有機および無機溶質を溶解するためのイオン性液体を有してもよい離型剤を提供することである。
【0060】
別の態様によれば、本発明は、型枠、全型、トラックの荷台、ミキサーまたは他の装置へ本発明の離型剤の1つを塗布する段階、次いで、構造を画定するために、装置に、アスファルト、コンクリート、またはその他の材料を注入するかさもなければ充填する段階による、構造を形成するための方法を含む。型枠、型、または他の装置は、次いで、構造をそのままにして除去される。
【0061】
本発明の種々の目的、特徴、態様および利点は、同様の数字が同様の成分を表す添付の図面と併せて、本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明からより明らかとなる。
【0062】
図において示される通り、本発明の少なくとも一態様によれば、相対的に高い粘度および高い比重を有する離型剤が提供され得る。離型剤の粘度および比重の読みは、一般に離型剤における油の高い濃度の組合せの結果である。複数の異なる油、グリースおよび生成物のような他の油は離型剤を創るために利用および/または組み合わされることが考えられる。更に、複数の異なる油が利用され得ることも考えられる。しかし、例示的実施形態においては、大豆油および/または植物油の他のタイプは、これらの植物油が単独の用途目的に対して示す必要とされる特徴を与え、より環境に優しいものとなるので好ましい。更に、植物油の多くのタイプはより容易に入手でき、これらの相対的に低い価格の故に経済的に好ましい。更に、植物油は、これらの再使用可能性ならびにその再処理および再生利用できるために好ましいことがある。しかし、多数の異なる油、グリース等もまた、離型剤としての使用に適し得ることは理解されるべきである。本発明において説明した通り、本発明の離型剤の検討は、決して任意の1つの例示的実施形態にのみ限定されるものではない。油という用語は、あらゆる種類のグリースおよび脂肪を含めてこの最も広い意味において使用されている。
【0063】
特に、検討されている離型剤は、任意の所望の植物油、鉱油、石油、または油のその他のタイプ、ならびにこれらの組合せを含み得る。大豆油以外の適当な植物油の例はキャノーラ油およびパーム油である。しかし、他の例として、落花生油、ババス油、ココナッツ油、綿実油、ブドウ種子油、トウモロコシ油、芥子種子油、パーム油等が挙げられる。当業者は、多数の他の油が同様に適するものであることを理解する。
【0064】
また、油、グリースおよび脂肪の複数の異なるタイプが、離型剤を製造するために利用されてもよいことも理解されるべきである。異なるグリースの例としては、フライ油、調理油、動物脂肪、ラード、獣脂、植物性ショートニング等が挙げられる。当業者は、多数の他のグリースが利用されてもよいことを理解する。
【0065】
例示的実施形態においては、離型剤は、約65cStを超える粘度および/または約0.95未満の比重を有してもよい。しかし、別の例示的実施形態においては、離型剤は、約65−75cStの間の粘度、および/または約0.90と0.95の間の比重を有する。本明細書において示される全ての範囲は、これらの終点を含むものとして解釈されるべきであり、全ての終点は近似であると見なされる。最も好ましい離型剤は、約0.92−0.93の比重を有しおよび/または約69−71cStの粘度を有する。1つの例示的実施形態によれば、離型剤は約0.9242の比重および約71.47cStの粘度を有する。
【0066】
本明細書において与えられる全ての比重値は、60°Fに対してのものである。本明細書において与えられる全ての粘度値は、25℃に対する動粘度値であり、センチストークス(cSt)において与えられる。
【0067】
所望の粘度および/または比重は、特定の植物油、例えば、大豆油等を利用して得られてもよく、および/または複数の油、脂肪およびグリースの組合せを利用して得られてもよい。特定の油および/または油の組合せは、好ましくは、低固形分割合を有し、それによって前記油およびこの組合せは10%より下の固形分割合を有する。しかし、利用される油、脂肪およびグリースはより広い範囲を有してもよく、およびまたは固形分のその他の割合が選択的に利用されてもよい。
【0068】
例示的実施形態においては、離型剤の原料は、既に利用された油であってもよく、例えば、料理中に利用されたグリースおよび油等であってもよい。この使用済み油は濾過されてもよく、所望の離型剤を製造するためにブレンドされてもよい。更に料理用の油、グリースおよび脂肪の異なるタイプの組合せは、離型剤の製造のために利用されてもよく、異なる油のこれらの組合せは、最終ユーザーにより求められる増加比重および/または粘度値を与えてもよい。更に、未使用油が、所望の離型剤を製造するために既に利用された油と組み合わされてもよいことが考えられる。例示的実施形態が、濾過され、漉されたまたは低い固形分の油、グリースおよび脂肪を利用するとしても、これらの濾過、漉しおよび処理手段は所望の離型剤を製造するために必要ではない。
【0069】
他の物質、例えば、他の油、グリース、および/または水等は、主たる油へ添加されてもよい。そのような添加剤は、所望の粘度および/または比重を与えるために、または幾つかの他の目的、例えば、高められた離型性、減少されたコスト、表面へのより良好な接着および/またはより良好な広がり等のために添加されてもよい。
【0070】
例示的実施形態においては、芳香剤は、最終生成物に対してより良好な香りを可能とするために離型剤へ添加されてもよく、これによって、また、離型剤が実際に表面へ塗布されたことをユーザーに知らせることができ、このことは離型剤の再塗布を削減し得る。例えば、離型剤が建設作業前に表面を被覆するために利用される場合、個々のユーザーは、表面が添加剤の芳香剤を匂わせる場合には表面が被覆されていることを知り得る。更に、離型剤は、所望の装置の表面を被覆するために毎回再塗布される必要がないので、ユーザーがなお芳香剤の臭いを嗅ぐことができる場合は、離型剤が被覆装置上になお存在すること、および表面へ離型剤を再塗布する必要のないことを個々のユーザーへ知らせる。
【0071】
同様に、着色剤および/または発泡剤はまた、最終ユーザーに対して離型剤の目視検査を可能とさせるために添加されてもよい。例えば、着色剤および/または発泡剤がコーティングとして表面へ塗布される場合は、塗布が必要でないことを最終ユーザーへ知らせる。更に、着色および/または発泡作用が、(生成物が1つのプロジェクトで利用された)後に残る場合、離型剤の再塗布は、着色および/または発泡が最終ユーザーにより目に見えなくなるまで必要ないことをユーザーへ知らせることができる。それによって、離型剤は、特定のプロジェクトのために使用される同じ表面に対して離型剤の再コーティングおよび/または再塗布の必要なしに複数回利用することができる。
【0072】
更に、芳香剤の添加は、芳香剤を更に心地良く働かせることにより離型剤の商品価値を高め得る。着色は離型剤を見やすくすることができ、このことは、離型剤が、照明の乏しいコンテナーの内壁へ塗布される場合に、または複数回の使用が、殆どもしくは全く再塗布なしで先の塗布でできることをはっきりさせるために重要である。同様に、発泡剤の添加は離型剤を見やすくすることができ、それは表面の被覆を助け、高められた離型性を与える。
【0073】
更に、界面活性剤が離型剤へ添加されてもよい。界面活性剤は、一般に、離型剤のより容易な広がりを可能とし、離型剤を構成する複数の液体間の界面張力を低下させて液体の表面張力を低下させる湿潤剤である。本発明において塗布される界面活性剤は、一般に、離型剤を、ユーザーが被覆することを希望する表面上により均等に広げるようにするので有用であり得る。
【0074】
ここで図1を参照すると、ブロック11において示されるように、本発明の離型剤を配合するための1つの例示的方法は、未濾過の大豆油の150から250ガロンを270ガロンのトート(tote)へ添加する段階および大豆油を約10分間混合する段階を含む。
【0075】
場合によって、ブロック12において示されるように、ドライKeystone(商標)Keyplast(商標)Blue着色剤の約16オンスが、トートに添加され、約5分間、大豆油の中に混合される。他の着色剤は、追加としてまたは選択的に使用することができる。
【0076】
場合によって、ブロック13において示されるように、予備混合した油および/または水がトートへ添加され、約20分間混合される。油は、好ましくは、約10分間予備混合される。1つの例示的実施形態においては、添加される油および/または水の量は、0.90と0.95の間の離型剤の比重を与え、および/または65cStと75cStの間の得られた離型剤の粘度を与える量である。一般に、濾過されたおよび/または低固形分割合の油を添加すると、離型剤の比重を増加し、この粘度を増加するが、水を添加すると、一般に離型剤の比重を増加し、粘度を減少する。
【0077】
別の実施形態においては、次いで、芳香剤が、心地良い香りを与え、最終ユーザーによる離型剤の確認を可能にするために離型剤混合物へ添加される。ブロック14において示されるように、Wintergreen C−1007芳香剤の約1ガロンがトートへ添加され、約5分間混合されることが考えられる。勿論、無数の他の芳香剤も適当である。無数の異なる物質および添加剤が、上で検討されたように、場合によって添加されてもよいことには違いないが、最も単純で最も有効な配合物の1つは、全体にまたはほぼ全体に大豆油(新しいまたは使用された)からなる。上で検討された例に従う特に好ましい配合物は、約0.925の比重および約70cStの粘度を有する。
【0078】
別の態様によれば、本発明は、構造を形成するための方法を含む。例えば、道路、歩道、および縁石を含めて、種々の異なる構造は本発明によって形成することができる。良く知られているように、そのような構造はアスファルトまたはコンクリートで形成することができる。更に、基礎および壁(例えば、コンクリートティルトアップ建築の壁等)などの建築構造が同様に形成できる。間違いなく、当業者は、構造の多数の異なるタイプが本発明によって形成され得ることを理解する。
【0079】
ここで図2を参照すると、ブロック21において示されるように、本発明による構造を形成するための1つの例は、上述のように配合された離型剤を型枠へ塗布する段階を含む。型枠は、木製型枠、金属製型枠、ガラス繊維製型枠、または任意の他の所望の材料で作製された型枠であってもよい。
【0080】
本発明による離型剤を型枠へ塗布することの1つの利点は(現代の離型剤を型枠へ塗布するのとは全く異なって)、本発明の離型剤が一般に4から12回の使用に適する点にある。現代に離型剤は、一般に、たった一度の使用に適するだけである。したがって、本発明により配合された離型剤の使用は、(必要とされる離型剤の量を減少させることにより材料に関して、およびこの繰り返される塗布の必要度を減少させることによる労力に関して)共にコスト削減を実現する。
【0081】
再度図2に焦点を当てると、ブロック22において示されるように、アスファルト、コンクリート等が型枠の中へ注入される。当業者は理解するように、アスファルト(および他の加熱された瀝青骨材)およびコンクリート(セメントを含む)の種々の配合物が利用され得る。実際に、種々の他の構造材料が同様に利用され得る。他の構造材料の例としては、エポキシ樹脂およびコンポジット材料、例えば、ガラス繊維、Kevlar(商標)、およびグラファイト繊維強化コンポジット(GFRC)等が挙げられる。
【0082】
一度構造が少なくとも部分的に硬化すると、型枠は、ブロック23において示されるように、構造から外される。一般に、型枠は、それらを構造からばらばらにして外される。あるいはまた、構造は、型枠を全体的にそのまま残すような方法において型枠から外され得る。
【0083】
本明細書において使用される「型枠」という用語は、材料が少なくとも部分的に硬化するまで、アスファルト、コンクリート、またはその他の材料の形状を画定するために使用される任意の型、ダイ、またはその他の装置を含むように定義される。
【0084】
型枠のための離型剤を提供することに加えて、本発明は、種々の異なる道具、装置およびコンテナーでの使用に適した離型剤を提供する。例えば、本発明の離型剤は、アスファルト、コンクリート等が、(これらの材料が貯蔵および/または輸送される)コンテナーの内壁へ付着するのを抑えるために使用することができる。本発明の離型剤はまた、形作り、平滑仕上げ(例えば、こて、浮き、しっくい定規等)、さもなければこれらの材料を扱うために使用される道具へのそのような付着を抑えるため、ならびにこれらの材料が通過して移動するパイプ、槽、ダクトまたは他のコンジットの内側表面への付着を抑えるため、およびこれらの材料が混合されるミキサーにおける付着を抑えるために使用することができる。
【0085】
本発明は、より費用効果の高い方法において種々の異なる構造を形成するのに適している。上述のように、コストの節約は、材料コストにおける削減および労働コストにおける削減の両方によって実現される。
【0086】
図3は、離型剤の製造サイクル25を例示する。例示されるように、油39は、初めに、(特に、利用される油が既に利用された油で、この中に粒子、固体等を有する場合に)油39を破壊する相当な熱へ掛けられてもよい。加熱26後に、油39を、(その中に含まれる粒子、不純物および任意の水(示されない)の分離において助けとなり得る)静置27した。
【0087】
分離後、油39は、離型剤の最終生成物として望ましくない任意の過剰の粒子を除去するために濾過される。更に、任意の過剰の固体等は、これらが最終生成物の粘度または比重を減少させる場合は除去されてもよい。
【0088】
この時点で、最初のサンプル29が、濾過された離型剤生成物から採取され、残りの溶液の粘度および比重を決定し、次いで、最初のブレンドタンク30へ移送され、必要に応じて、バージンまたは未使用油39のある量が、既に利用された油39とブレンド32され、最終の離型剤にとって望ましい粘度および比重測定値を得る。
【0089】
最初のブレンドタンク30におけるブレンド後に、溶液は、その中に含まれる他の添加剤を有し得る分離したブレンドタンク(示されない)へ転送され得る。しかし、例示的実施形態においては、最初のブレンドタンク30は、第二サンプル33が粘度および比重測定値を決定するために回収された後に、その中で添加剤を含めるために利用され得る。この段階で、耐酸化剤および/または予防剤37が最初のブレンドタンク30へ添加されてもよく、それによって、耐酸化剤37は、離型剤において含まれる油の更なる酸化および劣化を防止することができる。予防剤37はまた、寿命を延ばすため、離型剤の臭気を制御するため、および離型剤へ添加されてもよい着色剤を保護するために添加され得る。
【0090】
図3において更に例示されるように、第三サンプル34は、離型剤の粘度および比重を定量してもよく、十分な耐酸化剤および予防剤37がこの中に添加されているかどうか決定のための手段を更に有し得るブレンドタンク30から回収され得る。測定値が検証された後に、乳化剤38が最初のブレンドタンク30へ添加されてもよく、それによって、乳化剤38は配合物を希釈し、必要に応じて粘度を減少させることができる。考慮される乳化剤としては、乳酸、クエン酸、酒石酸およびプロピレングリコールが挙げられる。しかし、十分に理解され得るように、複数の異なる乳化剤が、離型剤へ添加される過程において利用され得る。
【0091】
乳化剤38が添加された後に、着色剤および他の添加剤が離型剤へ添加され得る。最後の測定値は、最初のブレンドタンク30からの離型剤の最後の回収35によって計算されることができる。一度粘度および比重要件が合致したら、最終生成物は、包装および最終ユーザーへの流通のために処理36されることができる。
【0092】
更に、他の添加剤(示されない)が離型剤へ添加されてもよい。例えば、離型剤の有効性を増加し得る溶媒添加剤が添加されてもよい。溶媒添加剤は、柑橘類の外皮の抽出の主成分であるd−リモネンであってもよい。更に、他の溶媒としては、エチルエステル、メチルエステル、乳酸エチル(乳酸からの)、およびバイオ−ディーゼルを挙げることができる。
【0093】
更に、高度に溶媒和するイオン性液体、即ち種々の有機および無機溶質を溶解し得る非配位媒体が添加されてもよい。イオン性液体は種々の化合物に対する溶媒として有効であり得、これらは、測定可能な蒸気圧を欠き、非揮発性、不燃性であり、高い熱安定性を有する。
【0094】
離型剤へ添加されてもよいなお別の添加剤は凝固点降下剤である。環境に優しい凝固点降下剤は、離型剤が適切な粘度および流動特性を維持することを確実にするために、寒冷気候用途において極めて有益であり得る。更に、凝固点降下剤は、寒冷気候用途において塗布された場合に離型剤を液状に保つために作用し得る。注目に値する凝固点降下剤としては、プロピレングリコール、塩化物塩、液体マグネシウム塩化物が挙げられるがこれらに限定されない。
【0095】
ポリマー増粘剤、pH緩衝剤および腐食防止剤等の添加剤の多数の他のタイプが、有利な性質を与えるために離型剤へ含まれ得ることが考えられる。
【0096】
このように、本発明の離型剤の特定の実施形態および用途が開示された。しかし、多数の更なる変更が、既に述べられたものに加えて、本明細書における発明の概念から逸脱することなく可能であることは当業者に明らかであるはずである。したがって、本発明の対象は、添付の特許請求の範囲の精神におけるほかは限定されるべきではない。更に、明細書および特許請求の範囲の両方の解釈において、全ての用語は、文脈と一致する最も広い可能な方法において解釈されるべきである。特に、「含む」および「含んでいる」という用語は、非排他的方法において、要素、成分、または段階を参照するものとして解釈されるべきであり、参照される要素、成分、または段階は、存在し、または利用され、または明示的に参照されていない他の要素、成分、または段階と組み合わされ得ることを示す。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明による離型剤を混合するための1つの例示的方法を示す流れ図を示す図である。
【図2】本発明による離型剤の1つの例示的塗布を示す流れ図を示す図である。
【図3】本発明の製造サイクルの1つの例示的方法を示す流れ図を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高い粘度および特定の比重を有する少なくとも油成分、
耐酸化剤、乳化剤、溶媒添加剤、ならびに
界面活性剤
を含む、離型剤。
【請求項2】
凝固点降下剤を更に含む、請求項1に記載の離型剤。
【請求項3】
約65cStと約75cStの間の粘度を有する、請求項1に記載の離型剤。
【請求項4】
油が未濾過植物油を含む、請求項1に記載の離型剤。
【請求項5】
油が濾過植物油を含む、請求項1に記載の離型剤。
【請求項6】
油が、固形分の約6重量%から約10重量%の未濾過植物油を含む、請求項1に記載の離型剤。
【請求項7】
界面活性剤が、有機溶媒および水に可溶である、請求項1に記載の離型剤。
【請求項8】
離型剤を着色するために着色成分を更に含む、請求項1に記載の離型剤。
【請求項9】
複数の有機および無機溶質を溶解するためのイオン性液体を更に含む、請求項1に記載の離型剤。
【請求項10】
約0.90と約0.95の間の比重を有する、請求項1に記載の離型剤。
【請求項11】
乳化剤を更に含み、前記乳化剤が乳酸である、請求項10に記載の離型剤。
【請求項12】
乳化剤を更に含み、前記乳化剤が、クエン酸、酢酸、酒石酸およびプロピレングリコールのいずれかを含む、請求項1に記載の離型剤。
【請求項13】
前記耐酸化剤が、前記油の酸化を防ぎ、安定性、長期寿命および臭気制御を与えるために離型剤へ添加される、請求項1に記載の離型剤。
【請求項14】
前記少なくとも油成分が、脂肪、濾過油、未濾過油およびグリースの組合せを含む、請求項1に記載の離型剤。
【請求項15】
少なくとも油成分を有する離型剤を塗布する段階、
耐酸化剤を前記離型剤へ供給する段階、
着色剤を前記離型剤へ混合する段階、
構造を画定する型枠中へアスファルトおよびコンクリートを注入する前に前記離型剤を装置へ塗布する段階、ならびに
前記構造から前記装置を除去する段階
を含む、装置をコーティングする方法。
【請求項16】
前記構造が、少なくとも道路、建築構成要素、歩道および木製保持構造を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記離型剤へ溶媒添加剤を添加する更なる段階を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記離型剤へ凝固点降下剤を供給する更なる段階を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記離型剤が、前記装置への前記離型剤の再塗布なしで複数回再使用可能である、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
臭気を消し、前記離型剤が前記装置へ塗布されたことを確認するために前記離型剤に芳香剤を添加する段階を更に含む、請求項15に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−507732(P2011−507732A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−539401(P2010−539401)
【出願日】平成19年12月18日(2007.12.18)
【国際出願番号】PCT/US2007/087958
【国際公開番号】WO2009/078873
【国際公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(508315992)
【出願人】(508316003)
【Fターム(参考)】