難溶性医薬活性剤の投与のためのカルボキシアルキルセルロースエステル
水、酸性緩衝剤水溶液、中性緩衝剤水溶液又は塩基性緩衝剤水溶液のような媒体中への溶解度が低い医薬活性剤の送達のために、カルボキシアルキルセルロースエステルを含む医薬組成物を本明細書中に開示する。また、医薬組成物の製造方法及び投与方法も開示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、2005年11月4日に出願された米国仮特許出願第60/733,495号の優先権の利益を請求する。
【0002】
本明細書中には、難溶性の(例えば媒体中への溶解度が低い)医薬活性物質の送達のためのカルボキシアルキルセルロースエステルを含む医薬組成物を開示する。また、このような医薬組成物の製造方法及び投与方法も開示する。
【背景技術】
【0003】
水、水性緩衝液(例えば、擬似胃液(ペプシンを含む若しくは含まない)及び擬似腸液(パンクレアチンを含む若しくは含まない))又は生体関連媒体(biorelevant medium)のような媒体への薬物の溶解度及び溶解プロフィールは、原薬(drug substance)のバイオアベイラビリティ(生物学的利用能)を評価するためによく使用されるパラメーターである。インビボ(in vivo)では、薬物製剤は生理的環境に入り、その環境内で薬物が溶解し且つ溶解した状態であり続ける。しかし、ある種の原薬は溶解することができないか、或いは時間の経過につれて沈殿する(場合によってはpHの変化により)可能性がある。このため、製薬業界は、生理的環境への導入後に薬物製剤がたどる経過に関心を持っている。
【0004】
薬物の溶解度は、新しい薬物製剤の開発において一般的な制約となっている。米国薬局方に記載された薬物の1/3より多くが水に難溶性であるか又は不溶性である(非特許文献1)。更に、多くの薬物について、胃腸管内での吸収の律速段階がその溶解であることがよく知られている(非特許文献2)。水難溶性の薬物の溶解速度を向上させ且つそのバイオアベイラビィティを増大させるために、固体分散体の形成を含む配合戦略のようないくつかの方法が開発されている。しかし、このような製剤は多くの場合、熱力学的に不安定な可能性があり且つ/又は望ましくない副作用を生じるおそれがある。
【0005】
【非特許文献1】S.Pace et al,Pharma.Tech.,116〜132頁,March,1999
【非特許文献2】D.Q.M.Craig et al.,Int.J.Pharm.,Vol.179,179〜207頁,1999
【発明の開示】
【0006】
従って、水難溶性の医薬活性剤の溶解度及び/又は溶解を改善する組成物を開発することのニーズが依然としてある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1はカルバマゼピン及びカルバマゼピン固体分散体の溶解プロフィールを示し;
図2はグリブリド及びグリブリド固体分散体の溶解プロフィールを示し;
図3はグリブリド固体分散体の溶解プロフィールを示し;
図4はCMCAB/グリブリド固体分散体(同時蒸発によって調製)の溶解プロフィールの比較を示し;
図5はHPMCAS/グリブリド固体分散体とCMCAB/グリブリド固体分散体との溶解プロフィールの比較を示し;
図6はHPMCAS/グリブリド固体分散体とCMCAB/グリブリド固体分散体との溶解プロフィールの比較を示し;
図7はグリセオフルビン固体分散体の溶解プロフィールを示し;
図8はCMCAB/グリセオフルビン固体分散体の溶解プロフィール(放出%)の比較を示し;
図9はCMCAB/グリセオフルビン固体分散体の溶解プロフィール(放出mg)の比較を示し;
図10はCMCAB/グリセオフルビン固体分散体とPVP/グリセオフルビン固体分散体の溶解プロフィール(放出%)の比較を示し;
図11はCMCAB/グリセオフルビン固体分散体とPVP/グリセオフルビン固体分散体の溶解プロフィール(放出mg)の比較を示し;
図12はCMCAB/グリセオフルビン固体分散体とHPMCAS/グリセオフルビン固体分散体の溶解プロフィール(放出%)の比較を示し;
図13はCMCAB/グリセオフルビン固体分散体とHPMCAS/グリセオフルビン固体分散体の溶解プロフィール(放出mg)の比較を示し;
図14はグリセオフルビン、グリセオフルビン/CMCAB及びグリセオフルビン/CMCAB/界面活性剤固体分散体の溶解プロフィールの比較を示し;
図15はイブプロフェン/CMCAB固体分散体の%結晶化度に対するTPGSの影響(D−最適(D-Optimal)混合物の実験計画法(DOE)の結果)を示す。
【0008】
本明細書の開示は、医薬活性剤を患者に投与するためのカルボキシアルキルセルロースエステルを含む組成物を提供する。本明細書中において開示する一実施態様は、媒体中への溶解度が低い少なくとも1種の医薬活性剤(pharmaceutically active agent)と、構造:
【0009】
【化1】
【0010】
[式中、R1〜R6は、それぞれ独立して、−OH、−OC(O)(アルキル)及び−O(CH2)xC(O)OH(ここでxは1〜3の範囲である)並びにそれらの医薬として許容され得る塩(pharmaceutically acceptable salt)から選ばれ;
−OHのアンヒドログルコース当たりの置換度は0.1〜0.7の範囲であり;
−OC(O)(アルキル)のアンヒドログルコース当たりの置換度は0.1〜2.7の範囲であり;且つ
−O(CH2)xC(O)OHのアンヒドログルコース当たりの置換度は0.2〜0.75の範囲である]
を有するアンヒドログルコース反復単位を含む少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロースエステルを含んでなる医薬組成物を提供する。
【0011】
本明細書中で使用する「置換度」は、アンヒドログルコース当たりの置換基の数を意味する。3.0より大きいアンヒドログルコース単位当たりの最大置換度を有することができるHS−CMC(高固形分カルボキシメチルセルロース)エステル又は低分子量CMCエステルの場合のように特に記述がある場合を除いて、理論的最大置換度は3と仮定する。
【0012】
一実施態様において、前述の医薬として許容され得る塩は、O-A+及び−O(CH2)xC(O)O-A+[式中、A+は対イオンである]の構造をそれぞれ有する−OH及び−O(CH2)xC(O)OHの医薬として許容され得る塩を含む。対イオンの例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム又は銀のような一価無機陽イオン;マグネシウム、カルシウム、ニッケル、亜鉛、鉄、銅又はマンガンのような二価無機陽イオン;並びにアンモニウム及びアルキルアンモニウム対イオンが挙げられる。当業者には容易に理解できることであるが、対イオンA+は、分子全体にわたって同じであることも異なる対イオンの組合せを含むことも必ずしも必要ではない。
【0013】
一実施態様において、−OC(O)(アルキル)は、−OC(O)(C1〜C21アルキル)、例えば−OC(O)(C1〜C11アルキル)、−OC(O)(C1〜C5アルキル)又は−OC(O)(C1〜C3アルキル)から選ばれる。或いは、−OC(O)(C1〜C21アルキル)は、カルボキシアルキルセルロースエステルのC2〜C22エステルと称することもできる。
【0014】
一実施態様において、カルボキシアルキルセルロースエステルはカルボキシメチルセルロースエステルから選ばれる。カルボキシアルキルセルロースエステルの例としては、カルボキシメチルセルロースアセテートブチレート(CMCAB)(例えばEastman Chemical Company製のCMCAB−641−0.5)、高固形分CMCAB(HS−CMCAB)、カルボキシメチルセルロースブチレート(CMCB)、カルボキシメチルセルロースアセテートプロピオネート(CMCAP)、高固形分CMCAP(HS−CMCAP)、カルボキシメチルセルロースプロピオネート(CMCP)、カルボキシメチルセルロースアセテート(CMCA)、カルボキシメチルセルロースアセテートイソブチレート(CMCAiB)、カルボキシメチルセルロースイソブチレート(CMCiB)、カルボキシメチルセルロースアセテートブチレートスクシネート、カルボキシメチルセルロースアセテートブチレートマレエート、カルボキシメチルセルロースアセテートブチレートトリメリテートが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0015】
一実施態様において、前記の少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロースエステルは、−OC(O)CH2CH3のアンヒドログルコース当たりの置換度が1.5〜2.7の範囲であるカルボキシメチルセルロースプロピーオネートである。
【0016】
別の実施態様において、前記の少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロースエステルは、−OC(O)CH2CH2CH3のアンヒドログルコース当たりの置換度が1.5〜2.7の範囲であるカルボキシメチルセルロースブチレートである。
【0017】
更に別の実施態様において、前記の少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロースエステルは、−OC(O)CH3のアンヒドログルコース当たりの置換度が0.1〜2.65の範囲であり且つ−OC(O)CH2CH2H3のアンヒドログルコース当たりの置換度が0.1〜2.6の範囲であるカルボキシメチルセルロースアセテートプロピオネートである。
【0018】
別の実施態様において、前記の少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロースエステルは、−OC(O)CH3のアンヒドログルコース当たりの置換度が0.1〜1.65の範囲であり且つ−OC(O)CH2CH2H3のアンヒドログルコース当たりの置換度が0.1〜2.6の範囲であるカルボキシメチルセルロースアセテートブチレートである。
【0019】
一実施態様において、媒体は水、酸性緩衝剤水溶液、中性緩衝剤水溶液、塩基性緩衝剤水溶液並びに胃液(ペプシンを含む若しくは含まない)又は腸液(パンクレアチンを含む若しくは含まない)のような天然及び擬似体液から選ばれる。一実施態様において、媒体は医薬として許容され得る媒体から選ばれる。
【0020】
一実施態様において、「低溶解度」、「難溶性」及び「水難溶性」は、生物製剤学分類系(Biopharmaceutics Classification System(BCS))によって示されている。(Amidon,G.L.;Lennernas,H.;Shah,V.P.;Crison,J.R.”A Theoretical Basis for a Biopharmaceutic Drug Classification:The Correlation of in Vitro Drug Product Dissolution and in Vivo Bioavailability,Pharm.Res.1995,12(3)、413〜420;Lennernas,H.;Abrahamsson,B.”The Use of Biopharmaceutic Classification of Drugs in Drug Discovery and Development:Current Status and Future Extension”,J.Pharmacy and Pharmacology,2005,57(3),273〜285;u,C.-Y.;Benet,L.Z.,”Predicting Drug Disposition via Application of BCS:Transport/Absorption/Elimination Interplay and Development of a Biopharmaceutics Drug Disposition Classification System”,Pharm.Res.2005.22(1).11〜23;Dressman,J.:Butler,J.;Hempenstall,J.;Reppas,C.”The BCS:Where do we go from here?”Pharmaceutical Technology North America 2001,25(7),68〜76。)
【0021】
薬物のバイオアベイラビリティは、薬物又は薬剤の溶解度及び透過性という少なくとも2つの因子によって影響され得る。生物製剤学分類系(BCS)は、インビボにおける薬物の溶解度及び透過性に基づいて薬物のクラスの区別を行うのに使用できる。生物製剤学分類系は薬物の4つのケース(又はクラス)を規定している。これらのケース(又はクラス)は、クラス1、高溶解度−高透過性の薬物;クラス2、低溶解度−高透過性の薬物;クラス3、高溶解度−低透過性の薬物;及びクラス4、低溶解度−低透過性の薬物と定義されている。
【0022】
一実施態様において、前記の少なくとも1種の医薬活性剤は、BCSによれば、クラス2、即ち、低溶解度−高透過性の薬物に属する。
【0023】
別の実施態様において、前記の少なくとも1種の医薬製剤は、BCSによれば、クラス4、即ち、低溶解度−低透過性の薬物に属する。
【0024】
別の実施態様において、「低溶解度」、「難溶性」及び「水難溶性」は、薬剤1gを溶解するのに少なくとも10,000mLの水を必要とするものと定義する。
【0025】
一実施態様において、組成物は固体分散体(固溶体としても知られる)を含み、即ち、前記の少なくとも1種の医薬活性剤がポリマー担体中に分散される。理論によって拘束されるものではないが、ポリマー担体は薬物の結晶構造を乱すことができ、これにより結晶格子エネルギーを低下させることができる。原薬を溶解させるのに必要なエネルギーを低下させることができ、その結果、溶解速度の増大、ひいては医薬活性剤のバイオアベイラビリティの増大をもたらすことができる。
【0026】
一実施態様において、固体分散体中では、医薬活性剤の実質的に全ての結晶性がポリマー担体によって抑制される。一実施態様において、医薬活性剤は結晶化度%が20%未満、例えば15%未満、10%未満、5%未満、3%未満又は1%未満である。一実施態様において、医薬活性剤は非晶質である。一実施態様において、医薬活性剤とポリマー担体を含む固体分散体にはX線によって結晶性が検出されない。
【0027】
一実施態様において、ポリマー担体は前記の少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロースエステルを含む。一実施態様において、このカルボキシアルキルセルロースエステル担体は親水性化合物又はポリマーのような他の従来の担体とブレンドすることができる。担体の例としては、場合によっては水溶性である生理的に不活性な化合物、例えばポリエチレングリコール、例えば、米国特許第6,197,787号に開示されたものが挙げられる。前記の少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロースエステルと合することができる他の添加剤としては、セルロース及びその誘導体、例えば微結晶性セルロース(MCC)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのコポリマー、ポリ(ビニルピロリドン)、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、澱粉、デキストラン、デキストリン、キトサン、コラーゲン、ゼラチン、ブロメライン、セルロースアセテート、非可塑化セルロースアセテート、可塑化セルロースアセテート、強化セルロースアセテート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロース=アセテート=スクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロース=アセテート=トリメリテート、セルロースナイトレート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、寒天アセテート(agar acetate)、アミローストリアセテート、β−グルカンアセテート、β―グルカントリアセテート、アセトアルデヒドジメチルアセテート、セルロースアセテートエチルカルバメート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートメチルカルバメート、セルロースアセテートスクシネート、セルロースアセテートジメタミノアセテート、セルロースアセテートエチルカーボネート、セルロースアセテートクロロアセテート、セルロースアセテートエチルオキサレート、セルロースアセテートメチルスルホネート、セルロースアセテートブチルスルホネート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートp−トルエンスルホネート、ローカストビーンガムのトリアセテート、アセチル化ヒドロキシエチルセルロースを含むセルロースアセテート、ヒドロキシル化エチレン−ビニルアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリアルカン、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリスチレン、ポリビニルエーテルハライド、ポリビニルエステル及びエーテル、天然ワックス及び合成ワックスが挙げられる。
【0028】
固体分散体は、同時蒸発(噴霧乾燥、回転蒸発(rotovapping)、フィルム流延など)、フリーズドライ(凍結乾燥)、共沈(フレーク沈澱、粉末沈澱など)、溶融ブレンド、溶融押出、共磨砕及びロール混合並びに無溶剤法のような当業界で知られた任意の方法によって製造できる。
【0029】
例となる2つの方法には、融合法及び溶剤法がある。融合法では、薬物を溶融担体(カルボキシアルキルセルロースエステル)中に溶解させ、混合物を冷却して固体を形成する。溶剤法では、薬物と担体とを溶剤中に溶解させた後に、蒸発、噴霧乾燥、フリーズドライ又は共沈によって溶剤を除去する。
【0030】
一実施態様において、固体分散体組成物の製造は、カルボキシアルキルセルロースエステル(例えばCMCAB、CMCAP又はCMCA)のようなポリマー担体を適当な容器中に量り入れることを含み、適当な溶剤をこの容器に加えて前記カルボキシアルキルセルロースエステルを溶解させる。薬物は別個の容器中で適用な溶剤に溶解させる。場合によっては、添加剤(例えば界面活性剤、分散剤など)を別の容器中で適当な溶剤に溶解させる。所望の固体分散体の全成分を1つの容器中に合して、充分に混合する。次に、非溶剤(例えば水)中への共沈、同時蒸発、噴霧乾燥又はフリーズドライのうちの1つの方法によって、固体分散体を生成させる。
【0031】
一実施態様において、共沈は、有機溶剤中に溶解させたポリマー担体(例えばカルボキシアルキルセルロースエステル)及び薬物(例えば難溶性薬物)並びに場合によっては1種又はそれ以上の他の添加剤を含む溶液又は混合物を水性非溶剤と合して、この有機溶液/混合物から、ポリマー担体、医薬活性剤及び場合によっては1種又はそれ以上の他の添加剤の均質混合物である沈殿物を生成させることを記載するのに用いる一般用語である。共沈法の2つの例としてフレーク沈澱及び粉末沈澱が挙げられる。
【0032】
フレーク沈澱は、セルロースエステル化学の当業者に知られた方法であって、水性非溶剤中にポリマー/薬物/溶剤混合物(即ちドープ)の細流を加えることによって行うことができる。用語「フレーク沈澱」は、この方法によって形成される沈殿物の典型的な外観に由来している。当業者ならば、多くのプロセス変数(例えば温度、添加速度、混合速度、有機混合物中の固形分濃度、非溶剤のpH、沈殿混合物中の有機溶剤含量、硬化時間など)を調整して、共沈物の物理的性質(即ち形態、粒度など)、共沈物の組成及びおそらくは固体分散体の溶解プロフィールを修正できることがわかる。
【0033】
粉末沈澱は、セルロースエステル化学の当業者に知られた方法であって、適切に混合しながら適切な温度を用いてポリマー/薬物/溶剤混合物(即ちドープ)に水性非溶剤を添加することによって実施する。用語「粉末沈澱」は、この方法によって形成される沈殿物の典型的な外観に由来する。当業者ならば、多くのプロセス変数(例えば温度、添加速度、混合速度、有機混合物中の固形分濃度、非溶剤のpH、沈殿混合物中の有機溶剤含量、硬化時間など)を調整して、同時蒸発物の物理的性質(即ち形態、粒度など)、同時蒸発物の組成及びおそらくは固体分散体の溶解プロフィールを修正できることがわかる。
【0034】
一実施態様において、同時蒸発は、揮発性有機溶剤又は溶剤混合物中に溶解させたポリマー担体(例えばカルボキシアルキルセルロースエステル)及び薬物(例えば難溶性薬物)並びに場合によっては1種又はそれ以上の他の添加剤を含む溶液又は混合物から溶剤を除去して、有機溶液/混合物の不揮発性成分の均質混合物(即ち固体分散体)である沈殿物を生成させることを記載するのに用いる一般用語である。本発明の組成物の製造に使用する3つの同時蒸発方法は、減圧下における回転蒸発、フィルム形成(即ち、大気圧における混合を伴わない蒸発)及び噴霧乾燥である。
【0035】
減圧下における回転蒸発は、当業者には理解されているように、回転蒸発及び真空蒸留を含む(これらに限定するものではないが)多くの方法によって実施できる。
【0036】
一実施態様においては、大気圧における蒸留を固体分散体組成物の製造に使用できる。
【0037】
一実施態様において、固体分散体組成物は、フィルム形成による同時蒸発によって製造できる。フィルム形成による同時蒸発は、薬物/担体/添加剤/溶剤混合物のフィルムを流延し、そして室温及び大気圧において溶剤の蒸発時にフィルムを形成させることによって実施できる。当業者ならば、大規模の方法から商業規模の方法までの、フィルム形成を実施するための多くの手段があること、及び蒸発速度、温度、圧力及び湿度のような種々のプロセスパラメーターの変更が形成されるフィルムの形態に影響を与え且つこの方法によって製造される固体分散体の性能(即ち放出プロフィール)を変化させ得ることがわかる。
【0038】
一実施態様において、固体分散体組成物は噴霧乾燥によって製造できる。当業者ならば、この方法によって生成される固体分散体の性質を変性するためにプロセスパラメーターの選択を使用できることがわかる。
【0039】
一実施態様において、本明細書中に開示した組成物は、医薬活性剤単独の溶解速度よりも増大した溶解速度を示す。
【0040】
一実施態様において、本明細書中に開示した組成物は、医薬活性剤単独の放出プロフィールよりも持続的な放出プロフィールを示す。一実施態様において、「持続的な放出(sustained release)」は、ある期間にわたる、例えば少なくとも4時間、例えば4〜24時間、12〜24時間、6〜12時間又は更には24時間より長い時間、例えば1〜5日にわたる医薬活性剤の持続的な送達(即ち、実質的に連続的な放出)を意味する。
【0041】
一実施態様において、本明細書中に開示した組成物は、医薬活性剤のみがほぼ直ちに放出される、ほぼゼロ次の放出プロフィールを示す。一実施態様において、「ゼロ次の放出」は、ある期間にわたる、放出された医薬活性剤の実質的に直線的なプロットによって示される持続的な放出の1つのタイプである。ここで、「実質的に直線的な」は、一定の時間にわたる少なくとも0.8,例えば少なくとも0.9又は少なくとも0.95の相関係数(R)を意味する。
【0042】
一実施態様において、水性媒体のような医薬として許容され得る媒体中で、組成物は目標pHにおいて医薬活性剤の放出を示す。一実施態様において、目標pHは少なくとも5、例えば少なくとも6又は少なくとも6.5である。一実施態様において、医薬活性剤の放出は胃液のpH(例えば約1.2)においては停止されるか又は非常に遅い速度まで低下されるが、腸のpH(例えば6.8)ではここに記載した放出が起こる。
【0043】
一実施態様において、ポリマー担体は水膨潤性である、即ち、中性又は塩基性の値に近いpHレベルのような水への暴露時にポリマー担体は体積を増大させることができる。一実施態様において、水及びpHへの所望の応答性を得るために、カルボキシ(C1〜C3)アルキルセルロースエステルを修正することができる。例えば、このカルボキシアルキルセルロースエステルの酸価を増大させると、水により感受性のポリマーを生成することができ、最終的には水溶性のカルボキシ(C1〜C3)アルキルセルロースエステルを生成できるであろう。或いは、カルボキシアルキルセルロースエステルは以下:主鎖のヒドロキシル含量の増大、長鎖エステルの短鎖エステルへの置き換え(例えばブチル分をアセチル分に置き換える)且つ/又はセルロースの分子量の低下のうちの1つを実施することによってより水溶性にすることができる。
【0044】
一実施態様において、前記の少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロースエステルは、WO 04/83253に記載されたような低分子量を有する。この特許の開示を引用することによって本明細書中に組み入れる。
【0045】
一実施態様において、カルボキシアルキルセルロースエステルの組成の変更は、それと溶剤、薬物、医薬添加剤及び他のポリマーとの相互作用の仕方に影響を与えることができる。一実施態様において、特定の薬物及び任意の添加剤に対する適切なポリマー組成の選択は、溶解度パラメーターを用いてポリマー担体、薬物及び任意の添加剤の「相溶性」を判定することによって助けることができる。
【0046】
本明細書中で使用する「医薬活性剤」は、状態又は疾病を治療又は予防することができる、生物活性のある有機化合物、バイオロジカル化合物(biological compound)並びにそれらの組合せ及びブレンドを意味する。
【0047】
一実施態様において、医薬活性剤は、例えば鎮痛薬、抗炎症薬、駆虫薬、抗不整脈薬、抗生物質(ペニシリン類を含む)、抗凝血薬、抗うつ薬、抗糖尿病薬、抗てんかん薬、抗ヒスタミン薬、抗高血圧薬、抗ムスカリン様作用薬、抗ミコバクテリア薬、抗新生物薬、免疫抑制薬、抗甲状腺薬、抗ウイルス薬、抗不安鎮静薬(催眠薬及び神経弛緩薬)、収斂薬、β−アドレナリン受容体遮断薬、血液製剤及び代用血液、心臓変力薬(強心薬)、造影剤、コルチコステロイド、鎮咳薬(去痰薬及び粘液溶解薬)、診断用薬、画像診断用薬、利尿薬、ドーパミン作動薬(抗パーキンソン病薬)、止血薬、免疫薬、脂質調節薬、筋肉弛緩薬、副交感神経興奮薬、副甲状腺カルシトニン及びビホスホネート、プロスタグランジン類、放射性医薬品、性ホルモン(ステロイドを含む)、抗アレルギー薬、興奮薬及び食欲抑制薬、交感神経興奮薬、甲状腺薬、血管拡張薬並びにキサンチン類を含む薬物の種類から選ばれたもののような、当業界において知られた任意の適当な薬物から選ばれることができる。
【0048】
鎮痛薬及び抗炎症薬の例としては、アロキシプリン、オーラノフィン、アザプロパゾン、ベノリレート、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェンブフェン、フェノプロフェンカルシム、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、メクロフェナム酸、メフェナム酸、ナブメトン、ナプロキセン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スリンダクが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0049】
抗不整脈薬の例としては、塩酸アミオダロン、ジソピラミド、酢酸フレカイニド、硫酸キニジンが挙げられる。
【0050】
抗細菌薬及び抗ニューモシスチス薬の例としては、アクトバクオン、アジスロマイシン、ベネタミンペニシリン、シノキサシン、塩酸シプロフロキサシン、クラリスロマイシン、クロファジミン、クロキサシリン、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、エリスロマイシン、エチオナミド、イミペネム、ナリジクス酸、ニトロフラントイン、リファンピン、リファンピシン、スピラマイシン、スルファベンズアミド、スルファドキシン、スルファメラジン、スルファセタミド、スルファジアジン、スルファフラゾール、スルファメチゾール、スルファメトキサゾール、スルファピリジン、テトラサイクリン、トリメトプリムが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0051】
抗凝血薬の例としては、ジクマロール、ジピリダモール、ニクマロン(nicoumalone)、フェンインジオンが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0052】
抗うつ薬の例としては、アモキサピン、塩酸マプロチリン、塩酸ミアンセリン、塩酸ノルトリプチリン、塩酸トラゾドン、マレイン酸トリミプラミンが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0053】
抗糖尿病薬の例としては、アセトヘキサミド、クロロプロマミド、グリクラジド、グリピジド、グリブリド、トラザミド、トルブタミド、トログリタゾンが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0054】
抗てんかん薬との例としては、ベクラミド、カルバマゼピン、クロナゼパム、エトトイン、メトイン(methoin)、メトスクシミド、メチルフェノバルビトン、オクスカルバゼピン(oxcarbazepine)、パラメタジオン、フェナセミド、フェノバルビトン、フェニトイン、フェンスクシミド、プリミドン、スルチアム、バルプロ酸が挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0055】
抗真菌薬の例としては、アンフォテリシン、硝酸ブトコナゾール、クロトリマゾール、硝酸エコナゾール、フルコナゾール、フルシトシン、グリセオフルビン、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、ナタマイシン、ナイスタチン、ポサコナゾール、硝酸スルコナゾール、塩酸テルビナフィン、テルコナゾール、チオコナゾール、ウンデセン酸が挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0056】
抗痛風薬の例としては、アロプリノール、プロベネシド、スルフィンピラゾンが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0057】
駆虫薬の例としては、アルベンダゾール、ビフェニウムヒドロキシナフトエート、カンベンダゾール、ジクロロフェン、イベルメクチン、メベンダゾール、ニクロサミド、オキサムニキン、オクスフェンダゾール、エンボン酸オキサンテル、プラジカンテル、エンボン酸ピランテル、チアベンダゾールが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0058】
抗高血圧薬の例としては、アムロジピン、アテノロール、ベニジピン、ダロジピン、塩酸ジリタゼム、ジアゾキシド、フェロジピン、酢酸クアナベンズ(quanabenz acetate)、イスラジピン、ミノキシジル、塩酸ニカルジピン、ニフェジピン、ニモジピン、塩酸フェノキシベンザミン、塩酸プラゾシン、レセルピン、塩酸テラゾシン、ベラパミル、塩酸ベラパミルが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0059】
抗高コレステロール血症薬、抗高リポタンパク血症薬及び脂質調節剤の例としては、アトロバスタチン、ベザフィブラート、クロフィブラート、エトフィブラート、フェノフィブラート、フルバスタチン、ゲムフィブロジル、ロバスタチン、プラバスタチン、プロブコール、シンバスタチンが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0060】
抗マラリア薬の例としては、アモジアキン、クロロキン、塩酸クロルプログアニル、塩酸ハロファントリン、塩酸メフロキン、塩酸プログアニル、ピリメタミン、硫酸キニーネが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0061】
抗片頭痛薬の例としては、メシル酸ジヒドロエルゴタミン、酒石酸エルゴタミン、マレイン酸メチセルギド、マレイン酸ピゾチフェン、コハク酸スマトリプタンが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0062】
抗ムスカリン様作用薬の例としては、アトロピン、塩酸ベンズヘキソール、ビペリデン、塩酸エトプロパジン、ヒヨスチアミン、臭化メペンゾラート、塩酸オキシフェンシルシミン(oxyphencylcimine HCL)、トロピカミドが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0063】
抗新生物薬及び免疫抑制薬の例としては、アミノグルテチミド、アムサクリン、アザチオプリン、ブーサルファン、クロラムブシル、シクロスポリン、ダカルバジン、ドセタキセル、エストラムスチン、エトポシド、イリノテカン、ロムスチン、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトタン、ミトザントロン、パクリタキセル、塩酸プロカルバジン、ラパマイシン、タモキシフェン、クエン酸タモキシフェン、テストラクトンが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0064】
抗骨粗鬆症薬の例としては、ラロキシフェンが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0065】
抗原虫薬の例としては、ベンズニダゾール、クリオキノール、デコキネート、ジヨードヒドロキシキノリン、ジロキサニドフロエート、ジニトルミド、フルゾリドン(furzolidone)、メトロニダゾール、ニモラゾール、ニトロフラゾン、オルニダゾール、チニダゾールが挙げられるが、これらに限定するものはない。
【0066】
抗甲状腺薬の例としては、カルビマゾール、プロピルチオウラシルが挙げられるが、これらに限定するものはない。
【0067】
抗ウイルス薬の例としては、アシクロビル、ネルフィナビル、ネビラピン、サキナビルが挙げられるが、これらに限定するものはない。
【0068】
抗不安薬、鎮静薬、催眠薬及び神経遮断薬の例としては、アルプラゾラム、アミロバルビトン、バルビトン、ベンタゼパム、ブロマゼパム、ブロムペリドール、ブロチゾラム、ブトバルビトン、カルブロマール、クロルジアゼポキシド、クロルメチアゾール、クロルプロマジン、クロバザム、クロチアゼパム、クロザピン、ジアゼパム、ドロペリドール、エチナメート、フルナニゾン(flunanisone)、フルニトラゼパム、フルオプロマジン、デカン酸フルペンチキソール、デカン酸フルフェナジン、フルラゼパム、ハロペリドール、ロラゼパム、ロルメタゼパム、メダゼパム、メプロバメート、メタカロン、ミダゾラム、ニトラゼパム、オキサゼパム、ペントバルビトン、ペルフェナジンピモジド、プロクロルペラジン、スルピリド、テマゼパム、チオリダジン、トリアゾラム、ゾピクロンが挙げられるが、これらに限定するものはない。
【0069】
β−遮断薬の例としては、アセブトロール、アルプレノロール、アテノロール、ラベタロール、メトプロロール、オクスプレノロール、ピンドロール、プロプラノロールが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0070】
心臓変力薬(強心薬)の例としては、アムリノン、ジギトキシン、ジゴキシン、エノキシモン、ラナトシドC、メジゴキシンが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0071】
コルチコステロイドの例としては、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ベタメタゾン−17−バレレート、ブデソニド、酢酸コルチゾン、デスオキシメタゾン、デキサメタゾン、酢酸フルドロコルチゾン、フルニソリド、フルコルトロン、プロピオン酸フルチカゾン、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン−21−ヘミスクスネート、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロンが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0072】
利尿薬の例としては、アセタゾールアミド、アミロリド、ベンドロフルアジド、ブメタニド、クロロチアジド、クロルタリドン、エタクリン酸、フルセミド、メトラゾン、スピロノラクトン、トリアムテレンが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0073】
抗パーキンソン病薬の例としては、メシル酸ブロモクリプチン、マレイン酸リスリド(lysuride maleate)が挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0074】
胃腸薬の例としては、ビサコジル、シメチジン、シサプリド、塩酸ジフェノキシレート、ドンペリドン、ファモチジン、ロペラミド、メサラジン、ニザチジン、オメプラゾール、塩酸オンダンセトロン、塩酸ラニチジン、スルファサラジンが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0075】
ヒスタミンH−受容体拮抗薬の例としては、アクリバスチン、アステミゾール、シンナリジン、シクリジン、塩酸シプロヘプタジン、ジメンヒドリナート、塩酸フルナリジン、ロラタジン、塩酸メクロジン、オキサトミド、テレナジン(terrenadine)が挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0076】
ナイトレート類及び他の抗狭心症薬の例としては、硫酸アミル、トリニトログリセリン、二硝酸イソソルビド、一硝酸イソソルビド、四硝酸ペンタエリスリトールが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0077】
栄養剤の例としては、β−カロチン、ビタミンA、ビタミンB2、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0078】
オピオイド鎮痛薬の例としては、コデイン、デキストロプロピオキシフェン、ジアモルフィン、ジヒドロコデイン、メプタジノール、メタドン、モルヒネ、ナルブフィン、ペンタゾシンが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0079】
ホルモンの例としては、クエン酸クロミフェン、ダナゾール、エチニルエストラジオール、酢酸メドロキシプロゲステロン、メストラノール、メチルテストステロン、ノルエチステロン、ノルゲストレル、エストラジオール、結合型エストロゲン、プロゲステロン、スタノゾロール、スチボエストロール(stiboestrol)、テストステロン、プロピオン酸テストステロン、チロキシンが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0080】
興奮薬の例としては、アンフェタミン、デキサンフェタミエン、デクスフェンフルラミン、フェンフルラミン、マジンドールが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0081】
診断用薬の例としては、イオパン酸が挙げられるが、これに限定するものではない。
【0082】
一実施態様において、前記医薬活性剤は、フェニトイン、カルバマゼピン、グリブリド及びグリセオフルビンから選ばれる。
【0083】
一実施態様において、前記医薬活性剤は、経口投与用の薬剤から選ばれる。これらのクラスの薬物の説明及び各クラス内の種の一覧は、Martindale,the Extra Pharmacopoeia,Thirty-fourth Edition,the Pharmaceutical Press,London,2005に記載されており、この開示を引用することによって本明細書中に組み入れる。原薬は市販されており且つ/又は当業界で知られた方法によって製造できる。
【0084】
例えばRoberts et al.,Nutraceuticals:The Complete Encyclopedia of Supplements,Herbs,Vitamins,and Healing Foods(American Nutraceutical Association,2001)(これを引用によって本明細書中に具体的に組み入れる)に開示されたような栄養補助食品及びダイエットサプリメントの例示も含めることができる。植物化学物質又は機能性食品としても知られる栄養補助食品又はダイエットサプリメントは一般にダイエットサプリメント、ビタミン類、ミネラル、ハーブ、又は身体に医療効果又は薬剤効果を及ぼす治療的食品の種類の任意の1つである。栄養補助食品又はダイエットサプリメントの例としては、葉酸、脂肪酸(例えばDHA及びARA)、果実及び野菜エキス、ビタミン及びミネラルサプリメント、ホスファチジルセリン、リポ酸、メラトニン、グルコサミン/コンドロイチン、アロエベラ(Aloe Vera)、グッグル(Guggul)、グルタミン、アミノ酸(例えばイソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン及びバリン)、緑茶、リコピン、自然食品、食品添加物、ハーブ、フィトニュートリエント(植物栄養素)(phytonutrient)、抗酸化物質、果実のフラボノイド成分、月見草油、アマニ油、魚油及び海産動物油、並びにプロバイオティクスが挙げられるが、これらに限定するものではない。栄養補助食品及びダイエットサプリメントは、ファルマフードとしても知られる、所望の性質を有するように遺伝子組み換えが行われた遺伝子組み換え食品(バイオ食品)も含む。
【0085】
一実施態様において、医薬組成物は少なくとも1種の医薬として許容され得る添加剤、結合剤、充填剤、滑沢剤、懸濁化剤、甘味剤、矯味矯臭剤、保存剤、緩衝剤、湿潤剤、崩壊剤、発泡剤、界面活性剤、可塑剤及び他の賦形剤を含むことができる。このような賦形剤は当業界で知られている。
【0086】
結合剤の例としては、炭水化物、天然型又は処理型の澱粉、脂質、ろう及び脂肪が挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0087】
充填剤の例はラクトース一水和物、無水ラクトース、マンニトール及び種々の澱粉であり;結合剤の例は種々のセルロース及び架橋ポリビニルピロリドン、微結晶性セルロース、例えばAvicel(登録商標)PH101及びAvicel(登録商標)PH102、微結晶性セルロース、及びケイ化微結晶性セルロース(SMCC)である。
【0088】
圧縮しようとする粉末の流動性に影響を与える物質を含む適当な潤沢剤は、コロイド状二酸化珪素、例えばAerosil(登録商標)200、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム及びシリカゲルである。
【0089】
甘味剤の例は、任意の天然又は人口甘味剤、例えばスクロース、キシリトール、サッカリンナトリウム、チクロ(シクラメート)、アスパルテーム及びアクスルフェーム(acsulfame)である。矯味矯臭剤の例は、Magnasweet(登録商標)(MAFCOの商標)、バブルガムフレーバー及びフルーツフレーバーなどである。
【0090】
矯味矯臭剤の例としては、Magnasweet(登録商標)(MAFCOの商標)、バブルガムフレーバー及びフルーツフレーバーが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0091】
保存剤の例は、ソルビン酸カリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸及びその塩、ブチルパラベンのようなパラヒドロキシ安息香酸の他のエステル、エチルアルコール若しくはブチルアルコールのようなアルコール類、フェノールのようなフェノール系化合物、又は塩化ベンザルコニウムのような四級化合物である。
【0092】
適当な希釈剤には、医薬として許容され得る不活性充填剤、例えば微結晶性セルロース、ラクトース、第二燐酸カルシウム、サッカライド(糖類)、及び/又は前記のいずれかの混合物などがある。稀釈剤の例としては、微結晶性セルロース、例えばAvicel(登録商標)PH101及びAvicel(登録商標)PH102;ラクトース、例えばラクトース一水和物、無水ラクトース及びPharmatose(登録商標)DCL21;第二燐酸カルシウム、例えばEmcompress(登録商標);マンニトール;澱粉;ソルビトール;スクロース;及びグルコースが挙げられる。
【0093】
崩壊剤の例としては、軽度に架橋したポリビニルピロリドン、コーンスターチ、ジャガイモ澱粉、トウモロコシ澱粉及び加工澱粉、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、澱粉グリコール酸ナトリウム(sodium starch glycolate)並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0094】
発泡剤の例は、有機酸と炭酸塩又は炭酸水素塩のような発泡性の対である。適当な有機酸としては、例えばクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、コハク酸及びアルギン酸並びに無水物及び酸塩が挙げられる。適当な炭酸塩及び炭酸水素塩としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸マグネシウム、ナトリウムグリシンカーボネート、炭酸L−リジン及び炭酸アルギニンが挙げられる。或いは、前記の発泡性の対の酸成分のみが存在することもできる。
【0095】
本発明において使用できる可塑剤の例としては、フタル酸ジエチル、トリアセチン、クエン酸トリエチル、PEG 400、ヒマシ油、プロピレングリコール、グリセリン、低分子量ポリエチレングリコール、界面活性剤、並びに有機酸エステル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、安息香酸ベンジル、クロロブタノール、ジアセチル化モノグリセリド、セバシン酸ジブチル、鉱油とラノリンアルコール類、ペトロラタムとラノリンアルコール類が挙げられる。
【0096】
可塑剤の更なる例としては、米国特許出願公開第2003/0171458号及び第2005/0228084号に記載されたもの(これらに限定するものではないが)のような炭水化物及びポリオールのエステル、例えばグルコースペンタプロピオネート、α−グルコースペンタアセテート、β−グルコースペンタアセテート、α−グルコースペンタプロピオネート、β−グルコースペンタプロピオネート、α−グルコースペンタブチレート及びβ−グルコースペンタブチレート、キシリトールアセテート、キシリトールプロピオネート、キシリトールブチレート、ソルビトールアセテート、ソルビトールプロピオネート、ソルビトールブチレート、マンニトールアセテート、マンニトールプロピオネート、マンニトールアセテートが挙げられる。
【0097】
本発明において使用する可能性がある、医薬用途において一般に使用されていても又は使用されていなくてもよい可塑剤の更なる例としては、Eastman DMP、Eastman DEP、Eastman DBP、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジヘキシル、Eastman DOP、C6〜C10直鎖フタレート、C7〜C11 70%直鎖フタレート、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジトリデシル、Eastman DUP、Eastman TXIB、Eastmanトリアセチン、Eastman DOA、アセライン酸ジオクチル、Eastman TEG−EH、エポキシ化タレート、Eastman TOTM、Eastman 425、トリメリット酸トリイソオクチル、トリメリット酸トリイソノニル、Eastman 16、Eastman EPZ、エポキシ化大豆油、Eastman PA−6が挙げられる。
【0098】
本発明において使用する可能性がある四級アンモニウム化合物の例としては、ジ−N−アルキル(C8〜C18;ココナツ油由来の)ジメチルアンモニウムクロリド、ジメチルジアルキルアンモニウムクロリド及びポリ(ジビニルベンゼン−コ−トリメチル(ビニルベンジル)アンモニウムクロリド)が挙げられる。
【0099】
本発明の組成物中に含ませる可能性がある他の成分の例としては、アミン及びアミノ誘導体、キトサンを含む(これに限定するものではないが)アミン含有ポリマー、キチンを含む(これに限定するものではないが)アミド含有ポリマーが挙げられる。
【0100】
本発明の組成物中に含ませることができる他の任意の成分は、酸化防止剤、例えばトコフェロール、酢酸トコフェロール、パルミチン酸アスコルビル、アスコルビン酸、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール及び没食子酸プロピル;pH安定剤、例えばクエン酸、酒石酸、フマル酸、酢酸、グリシン、アルギニン、リジン及び燐酸水素カリウム;増粘剤及/懸濁化剤、例えば硬化植物油(水素化植物油)、蜜ろう、コロイド状二酸化珪素、ゴム、セルロース類、シリケート類、ベントナイト;矯味矯臭剤、例えばチェリー、レモン及びアニシードフレーバー;甘味剤、例えばアスパルテーム、サッカリン及びチクロなどである。
【0101】
一実施態様において、前記の少なくとも1種の添加剤は、ビタミンE TPGS、スクロースアセテートイソブチレート(SAIB)、グルコースペンタプロピオネート(GPP)、フタル酸ジエチル(DEP)、トリアセチン、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween 80)又はドデシル硫酸ナトリウム(SDS)から選ばれる。
【0102】
別の実施態様において、前記の少なくとも1種の添加剤は、ビタミンE TPGS、SAIB、グルコースペンタプロピオネート、DEP、トリアセチン、Tween 80又はドデシル硫酸ナトリウム、ラクトース一水和物、無水ラクトース、マンニトール及び種々の澱粉から選ばれ;結合剤の例は、種々のセルロース類及び架橋ポリビニルピロリドン、微結晶性セルロース、例えばAvicel(登録商標)PH101及びAvicel(登録商標)PH102、微結晶性セルロース、ケイ化微結晶性セルロース(SMCC)、コロイド状二酸化珪素、例えばAerosil(登録商標)200;タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、シリカゲル、スクロース、キシリトール、サッカリンナトリウム、チクロ、アスパルテーム及びアクスルフェームである。矯味矯臭剤の例は、Magnasweet(登録商標)(MAFCOの商標)、バブルガムフレーバー、フルーツフレーバー、ソルビン酸カリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸及びその塩、パラヒドロキシ安息香酸の他のエステル、例えばブチルパラベン、アルコール類、例えばエチルアルコール若しくはベンジルアルコール、フェノール系化合物、例えばフェノール、又は四級化合物、例えば塩化ベンザルコニウム、微結晶性セルロース、ラクトース、第二燐酸カルシウム、糖類、及び/又は前記のいずれかの混合物である。希釈剤の例としては、微結晶性セルロース、例えばAvicel(登録商標)PH101及びAvicel(登録商標)PH102、ラクトース、例えばラクトース一水和物、無水ラクトース、及びPharmatose(登録商標)DCL21、第二燐酸カルシウム、例えばEmcompress(登録商標)、マンニトール、澱粉、ソルビトール、スクロース、グルコース、軽度に架橋したポリビニルピロリドン、コーンスターチ、ジャガイモ澱粉、トウモロコシ澱粉及び加工澱粉、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、澱粉グリコール酸ナトリウムが挙げられる。適当な有機酸としては、例えばクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、コハク酸及びアルギン酸並びに無水物及び酸塩が挙げられる。適当な炭酸塩及び炭酸水素塩としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸マグネシウム、ナトリウムグリシンカーボネート、L炭酸−リジン及びア炭酸アルギニン、α―シクロデキストリン、β−シクロデキストリン及びγ―シクロデキストリンが挙げられる。シクロデキストリン誘導体のより具体的な例としては、ヒドロキシプロピル−α−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン、メチル−α−シクロデキストリン、メチル−β−シクロデキストリン、メチル−γ−シクロデキストリン、エチル−α−シクロデキストリン、エチル−β−シクロデキストリン、エチル−γ−シクロデキストリン、ヒドロキシブテニル−α−シクロデキストリン、ヒドロキシブテニル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシブテニル−γ−シクロデキストリン、ヒドロキシブチル−α−シクロデキストリン、ヒドロキシブチル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシブチル−γ−シクロデキストリン、スルホブチル−α−シクロデキストリン、スルホブチル−β−シクロデキストリン、スルホブチル−γ−シクロデキストリン、スルホブテニル−α−シクロデキストリン、スルホブテニル−β−シクロデキストリン、スルホブテニル−γ−シクロデキストリン;α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン及びγ−シクロデキストリンの有機エステル(前記有機エステルは個別のC1〜C20有機酸エステル又はC1〜C20有機酸エステルの混合物であることができ且つ前記シクロデキストリンは完全エステル化又は部分エステル化されていることができる)が挙げられる。フタル酸ジエチル、トリアセチン、クエン酸トリエチル、PEG 400、ポリエチレングリコール、ヒマシ油、プロピレングリコール、グリセリン、低分子量ポリエチレングリコール、界面活性剤、及び有機酸エステル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、安息香酸ベンジル、クロロブタノール、ジアセチル化モノグリセリド、セバシン酸ジブチル、鉱油とラノリンアルコール類、ペトロラタムとラノリンアルコール類、グルコースペンタプロピオネート、α−グリコースペンタアセテート、β−グリコースペンタアセテート、α−グルコースペンタプロピオネート、β−グルコースペンタプロピオネート、α−グルコースペンタブチレート及びβ−グルコースペンタブチレート、キシリトールアセテート、キシリトールプロピオネート、キシリトールブチレート、ソルビトールアセテート、ソルビトールプロピオネート、ソルビトールブチレート、マンニトールアセテート、マンニトールプロピオネート、マンニトールアセテート、ジ−N−アルキル(C8〜C18;ココナッツ由来)ジメチルアンモニウムクロリド、ジメチルジアルキルアンモニウムクロリド及びポリ(ジビニルベンゼン−コ−トリメチル(ビニルベンジル)アンモニウムクロリド)、アミン及びアミノ誘導体、アミン含有ポリマー、キトサン、トコフェロール、酢酸トコフェロール、パルミチン酸アスコルビル、アスコルビン酸、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール及び没食子酸プロピル;pH調整剤、例えばクエン酸、酒石酸、フマル酸、酢酸、グリシン、アルギニン、リジン及び燐酸水素カリウム;増粘剤/懸濁化剤、例えば硬化植物油、蜜ろう、コロイド状二酸化珪素、ゴム、セルロース類、シリケート類、ベントナイト;矯味矯臭剤、例えばチェリー、レモン及びアニシードフレーバー;甘味剤、アスパルテーム、サッカリン及びチクロ。
【0103】
医薬組成物は、例えば錠剤、カプレット剤、硬ゼラチンカプセル剤及び軟ゼラチンカプセル剤、非ゼラチン系カプセル剤、粉剤及びスプリンクル剤から選ばれた剤形を含む種々の形態を取ることができる。組成物は経口剤形に製剤化できる。別の実施態様において、組成物は直腸内投与、腟内投与、注射投与、肺内投与、鼻腔内投与、口腔内投与、局所投与、嚢内投与、腹腔内投与、眼内投与、耳内投与、口腔内噴霧投与、又は鼻内噴霧投与用に製剤化できる。
【0104】
一実施態様において、医薬組成物が錠剤の形態である場合には、組成物は錠剤を形成するために充分に圧縮可能である。一実施態様において、組成物は少なくとも10psiの圧縮力に少なくとも10秒間、例えば少なくとも100psiの圧縮力に少なくとも10秒間、例えば少なくとも1000psiの圧力に少なくとも10秒間耐えることができる。
【0105】
本明細書中に開示した製剤は、噴霧乾燥、噴霧造粒、流動床造粒、高剪断造粒、流動床乾燥、凍結乾燥、錠剤化、ジェット製粉、ピン製粉、湿式製粉、回転造粒及び噴霧コーティングから選ばれた少なくとも1つの方法を用いて製造できる。
【0106】
一実施態様において、組成物は、
(a)前記組成物中の(a)と(b)の総重量に基づき、0.1〜99重量%の範囲の量の少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロースエステル;
(b)前記組成物中の(a)と(b)の総重量に基づき、0.1〜99重量%の範囲の量の少なくとも1種の1種の医薬活性剤;及び
(c)前記組成物中の(a)、(b)及び(c)の総重量に基づき、0〜50重量%の範囲の量の可塑剤及び流動助剤から選ばれた少なくとも1種の添加剤;
(d)アセトン、エタノール、酢酸エチル、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド若しくは水を含む(これらに限定するものではないが)有機溶剤、水性溶剤又は溶剤混合物
を含んでなり、(a)と(b)の総重量は、(a)、(b)、(c)及び(d)の総重量の約5〜95重量%である。
【0107】
別の実施態様において、組成物は、
(a)フェノール/テトラクロロエタンの60/40(wt./wt.)溶液中で25℃で測定した場合に約0.20〜0.70dL/gのインヘレント粘度を有し、カルボキシ(C1〜C3)アルキルのアンヒドログルコース単位当たりの置換度が0.2超〜約0.75であり且つC2〜C20エステルのアンヒドログルコース単位当たりの置換度が約1.5〜約2.70である、本明細書中に開示された少なくとも1種のカルボキシ(C1〜C3)アルキルセルロースエステルを、前記組成物中の(a)と(b)の総重量に基づき、約0.1〜約99重量%;
(b)溶解度が低い少なくとも1種の医薬活性剤を、前記組成物中の(a)と(b)の総重量に基づき、約0.1〜99重量%;及び
(c)可塑剤、流動助剤、結合剤、充填剤、滑沢剤、懸濁化剤、甘味剤、矯味矯臭剤、保存剤、緩衝剤、湿潤剤、崩壊剤、発泡剤などから選ばれた少なくとも1種の添加剤を、前記組成物中の(a)、(b)及び(c)の総重量に基づき、約0〜約50重量%;
(d)アセトン、エタノール、酢酸エチル、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド若しくは水を含む(これらに限定するものではないが)水性及び/若しくは有機溶剤から選ばれた少なくとも1種の溶剤又は溶剤混合物
を含んでなり、(a)と(b)の総重量は(a)、(b)、(c)及び(d)の総重量の約5〜約80重量%である。
【0108】
一実施態様において、前記の少なくとも1種のカルボキシ(C1〜C3)アルキルセルロースエステルはカルボキシ(C1〜C3)アルキルセルロースエステルのC2〜C4エステルから選ばれる。
【0109】
別の実施態様において、本明細書中に開示した組成物中の成分(a)は、フェノール/テトラクロロエタンの60/40(wt./wt.)溶液中において25℃で測定した場合に、約0.20〜0.70dL/gのインヘレント粘度を有し、且つカルボキシ(C1〜C3)アルキルのアンヒドログルコース単位当たりの置換度が0.2超〜約0.75、酪酸エステルのアンヒドログルコース単位当たりの置換度が約1.5〜約2.70、酢酸エステルのアンヒドログルコース単位当たりの置換度が約0.1〜約2.0及びヒドロキシル基の置換度が約0.01〜約1.5である、カルボキシメチルセルロースアセテートブチレートを、前記組成物中の(a)と(b)の総重量に基づき、約0.1〜約99重量%含むことができる。
【0110】
別の実施態様において、本明細書中に開示した組成物中の成分(a)は、フェノール/テトラクロロエタンの60/40(wt./wt.)溶液中で25℃で測定した場合に、約0.20〜0.70dL/gのインヘレント粘度を有し、且つカルボキシ(C1〜C3)アルキルのアンヒドログルコース単位当たりの置換度が0.2超〜約0.75、プロピオン酸エステルのアンヒドログルコース単位当たりの置換度が約1.5〜約2.70、酢酸エステルのアンヒドログルコース単位当たりの置換度が約0.1〜約2.0及びヒドロキシル基の置換度が約0.01〜約1.5である、カルボキシメチルセルロースアセテートプロピオネートを、前記組成物中の(a)と(b)の総重量に基づき、約0.1〜約99重量%含むことができる。
【0111】
別の実施態様において、本明細書中に開示した組成物中の成分(a)は、フェノール/テトラクロロエタンの60/40(wt./wt.)溶液中で25℃で測定した場合に、約0.20〜0.70dL/gのインヘレント粘度を有し、且つカルボキシメチル基のアンヒドログルコース単位当たりの置換度が0.2超〜約0.75、酢酸エステルのアンヒドログルコース単位当たりの置換度が約1.5〜約2.70及びヒドロキシル基の置換度が約0.01〜約1.5である、カルボキシメチルセルロースアセテートを、前記組成物中の(a)と(b)の総重量に基づき、約0.1〜約99重量%含むことができる。
【0112】
一実施態様において、組成物はカルボキシメチルセルロースブチレート(CMCAB)、BCSクラス2の薬物を含む固体分散体を含む。別の実施態様において、組成物はカルボキシメチルセルロースアセテートプロピオネート(CMCAP)及び少なくとも1種のBCSクラス2の薬物を含む固体分散体を含む。別の実施態様において、組成物はカルボキシメチルセルロースアセテート(CMCA)及び少なくとも1種のBCSクラス2の薬物を含む固体分散体を含む。別の実施態様において、組成物はカルボキシメチルセルロースアセテートイソブチレート(CMCAiB)及び少なくとも1種のBCSクラス2の薬物を含む固体分散体を含む。別の実施態様において、組成物はC2〜C20アルキル酸(CMCのC2〜C20エステル)及び少なくとも1種のBCSクラス2の薬物を含む固体分散体を含む。別の実施態様において、組成物は少なくとも1種のC2〜C20アルキル酸の少なくとも1種のカルボキシメチルセルロース混合エステル(CMCのC2〜C20混合エステル)及びBCSクラス2の薬物を含む固体分散体を含む。
【0113】
一実施態様において、組成物はカルボキシメチルセルロースアセテートブチレート(CMCAB)、BCSクラス4の薬物を含む固体分散体を含む。別の実施態様において、組成物はカルボキシメチルセルロースアセテートプロピオネート(CMCAP)及び少なくとも1種のBCSクラス4の薬物を含む固体分散体を含む。別の実施態様において、組成物はカルボキシメチルセルロースアセテート(CMCA)及び少なくとも1種のBCSクラス4の薬物を含む固体分散体を含む。別の実施態様において、組成物はカルボキシメチルセルロースアセテートイソブチレート(CMCAiB)及び少なくとも1種のBCSクラス4の薬物を含む固体分散体を含む。別の実施態様において、組成物はC2〜C20アルキル酸(CMCのC2〜C20エステル)及び少なくとも1種のBCSクラス4の薬物を含む固体分散体を含む。別の実施態様において、組成物は少なくとも1種のC2〜C20アルキル酸の少なくとも1種のカルボキシメチルセルロース混合エステル(CMCのC2〜C20混合エステル)及びBCSクラス4の薬物を含む固体分散体を含む。
【0114】
本明細書中に開示した別の実施態様は、治療を必要としている哺乳類に、媒体中への溶解度の低い少なくとも1種の医薬活性剤の治療有効量と、構造:
【0115】
【化2】
【0116】
[式中、R1〜R6は、それぞれ独立して、−OH、−OC(O)(アルキル)及び−O(CH2)xC(O)OH(ここでxは1〜3の範囲である)並びにそれらの医薬として許容され得る塩から選ばれ;
−OHのアンヒドログルコース当たりの置換度は0.1〜0.7の範囲であり;
−OC(O)(アルキル)のアンヒドログルコース当たりの置換度は0.1〜2.7の範囲であり;且つ
−O(CH2)xC(O)OHのアンヒドログルコース当たりの置換度は0.2〜0.75の範囲である]
を有するアンヒドログルコース反復単位を含む少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロースエステル及び医薬として許容され得るその塩を含む医薬組成物を投与することを含んでなる、治療を必要としている哺乳類の、医薬組成物による治療方法を提供する。
【0117】
一実施態様において、用語「治療」及びその同語源の語(例えば「治療方法」)は、治療上の処置及び予防手段の両方を意味する。治療を必要としている哺乳類は、特定の内科疾病に既にかかっているヒト又は動物と、その疾病のリスクのあるヒト又は動物(即ち、最終的に疾患にかかるおそれのあるヒト又は動物)を含むことができる。治療方法は、症状の予防若しくは寛解又はその他の望ましい生物学的結果をもたらす。治療方法は、臨床的徴候の改善、疾病の発病遅延、リンパ球及び/又は抗体レベルの減少/増加などによって評価することができる。
【0118】
本明細書中に記載した医薬組成物中の活性成分の実際の投与量レベルは、個々の患者、組成物及び投与形式に対して所望の治療反応を達成するのに有効な活性化合物の量が得られるように変えることができる。用語「治療有効用量」及び「治療有効量」は、患者の症状の予防若しくは寛解、又は所望の生物学的結果、例えば臨床的徴候の改善、疾病の発病遅延、リンパ球及び/又は抗体レベルの減少/増加などをもたらす化合物の量を意味する。有効量は本明細書中に記載したようにして求めることができる。選択される投与量レベルは、個々の化合物、投与経路、治療されている状態の重症度並びに治療されている患者の状態及び前病歴によって決まるであろう。しかし、所望の治療効果を達成するのに必要なレベルよりも低レベルで化合物の用量を開始すること及び所望の効果が達成されるまで投与量を徐々に増加させることは当業界の技術の範囲内である。一実施態様においては、検定から得られたデータを用いて、ヒトに使用するために一定の範囲の投与量を製剤化することができる。
【0119】
一般に、活性化合物約0.1μg/kg〜約50mg/kg/日の投与量レベル、例えば活性化合物約5〜約20mg/kg(体重)/日の範囲のレベルを哺乳類の患者に局所投与、経口投与又は静脈内投与することができる。他の投与量レベルは1日当たり約1μg/kg〜約20mg/kg、約1μg/kg〜約10mg/kg、約1μg/kg〜約1mg/kg、10μg/kg〜1mg/kg、10μg/kg〜100μg/kg、100μg/kg〜1mg/kg及び約500μg/kg〜約5mg/kgである。所望ならば、有効日用量を投与のための複数回分に分割する、例えば1日当たり2又は4回の分離した用量に分割することもできる。一実施態様において、医薬組成物は1日当たり1回投与することができる。
【実施例】
【0120】
材料及び方法
材料
溶剤:
アセトン(Burdick & Jackson #010−4,ロット# CN784、CN755など)
ジクロロメタン(Burdick & Jackson #300−4,ロット# CN015など)
DMSO(Burdick & Jackson #081−1;ロット# CN913など)
脱塩水(共沈のために使用)
水(脱イオン水,Barnstead DiamondPure)(溶解媒体の調製に使用)
テトラヒドロフラン(Burdick & Jackson #340−1,ロット# CL197など)
アセトニトリル(Burdick & Jackson #015−4,ロット# CO997、CO106など)
メタノール(Burdick & Jackson #230−4,ロット# CO680、CO357、CO914など)
エタノール(Aldrich #493538−4L,バッチ#01950KC)
イソプロパノール(Burdick & Jackson #323−4,ロット# CN713、CL425など)
【0121】
試薬:
燐酸二水素カリウム(KH2PO4)(99%,ACS Reagent,Sigma #P0662,ロット#064K0045)
水酸化ナトリウム,0.2N(NaOH)(VWR #VW3220−1,ロット#4194)
トリアセチン(Eastman Chemical Company)
フタル酸ジエチル(DEP)(Eastman Chemical Company)
ポリ(エチレングリコール)(PEG−400)(Sigma,Cat.#P3265−1K,バッチ#054K0003)
ビタミンE TPGS,NFグレード(Eastman Chemical Company,バッチ#30035000及び40008000)
スクロースアセテートイソブチレート(SAIB)(Eastman Chemical Company)
ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween 80)(Sigma,Cat.#P8074,ロット#87H0648)
ドデシル硫酸ナトリウム,SDS(Sigma,Cat.#L6026−650G,バッチ#084K0001)
【0122】
ポリマー:
CMCAB−641−0.5(Eastman Chemical Company,ロット#AG−0064B)
CMCAB(Eastman Chemical Company)
HPMCAS(CarboMer,Inc.,ロット#BB−F4334)
PVP,K25(Fluka,Cat.#81399,ロット#1124143)
ポリ(エチレングリコール)(PEG 400)(Sigma-Aldrich #20398−500G,バッチ#10528KA)
ポリエチレングリコール(PEG 400)(Sigma-Aldrich #P3265−1KG,バッチ#054K0063)
【0123】
薬物:
イブプロフェン
フェニトイン(5,5−ジフェニルヒダントイン,〜99%,Aldrich #D4007:ロット#053K3668)
カルバマゼピン(Sigma-Aldrich,Cat.#C4024−25G,バッチ#054K0646)
グリブリド(Sigma-Aldrich,Cat.#G−2539,ロット#024K0701)
グリセオフルビン(Sigma-Aldrich,Cat.#64753−25G,バッチ#083K1219)
アジスロマイシン(LKT Laboratories,Cat.#A9834,ロット#2393101)
フェノフィブラート(Sigma-Aldrich,Cat.#F6020−25G,バッチ#064K1584)
【0124】
標準試料:
フェニトインRS(USP,Cat.#1535008,ロット#12B233)
カルバマゼピンRS(USP,Cat.#09300,ロットJ)
グリブリドRS(USP,Cat.#1295505,ロット#G1C347)
グリセオフルビンRS(USP,Cat.#29900,ロットI)
アジスロマイシンRS(USP,Cat.#1046056,ロット#H0C212)
【0125】
カプセル:
VCaps(Capsugel,サイズ0CS、ロット#630311)
Capsugel(0CS,ロット#624282)
Capsugel(00CS,ロット#637785)
【0126】
装置
全てのHPLC研究はAgilent 1100で行った。
【0127】
全ての溶解研究は、Varian VK8000フラクションコレクターを装着したVarianVK7025溶解装置で行った。
【0128】
方法
NMRによる置換度の測定:1H NMRの結果は、400MHzで操作されるJEOL Model GX−400 NMRスペクトロメーターを用いて得た。サンプル管のサイズは5mmであった。サンプル温度を80℃、パルス遅延時間を5秒とし、各実験について64のスキャンを得た。化学シフトは、内部基準として残留DMSOを用いてテトラメチルシランからppmで報告した。残留DMSOの化学シフトを2.49ppmに設定した。
【0129】
カルボキシ(C1〜C3)アルキルセルロースエステルについては、カルボキシル(C1〜C3)アルキル基のメチレンがセルロース主鎖の環プロトンから容易には分離できなかったので、NMR法ではなくGC法を用いてアセチル、プロピオニル及びブチリルを測定した。DS値は、酸価をカルボキシメチル%に変換し且つこれをアセチル、プロピオニル及びブチリルのGC重量%と共に用いることによって計算した。
【0130】
アセチル、プロピオニル及びブチリル重量%は加水分解GC法によって測定した。この方法においては、エステル約1gを秤量瓶中に量り入れ、真空オーブン中で105℃において少なくとも30分間乾燥させた。次いで、サンプル0.500±0.001gを250mLのErlenmeyerフラスコ中に量り入れた。このフラスコに、イソ吉草酸(99%)9.16gのピリジン2000mL中溶液50mLを加えた。この混合物を約10分間加熱還流させた。その後に水酸化カリウムのイソプロノール溶液30mLを加える。この混合物を約10分間還流させながら加熱した。混合物を20分間撹拌しながら冷却させた。次いで濃塩酸3mLを加える。混合物を5分間撹拌し、次いで5分間放置した。約3mLの溶液を遠心管に移し、約5分間遠心分離した。液体を、1μmFFAP相を有する25M×0.53mmの溶融シリカカラムを用いてGC(スプリット注入及び水素炎イオン化検出器)によって分析した。
【0131】
アシル重量%は以下のようにして計算した:
Ci=I(アシル基)の濃度
Fi=成分Iの相対感度係数
Fs=イソ吉草酸の相対感度係数
Ai=成分Iの面積
As=イソ吉草酸の面積
R=イソ吉草酸のg数/サンプルのg数
Ci=((Fi*Ai)/Fs*As))*R*100
GC法をNMRと共に用いて、アセチル、プロピオニル及びブチリルの重量%を求めた。使用した方法を示す。
【0132】
カルボキシ(C1〜C3)アルキルセルロースエステルの酸価を以下のようにして滴定によって測定した。カルボキシ(C1〜C3)アルキルセルロースエステルの正確に秤量したアリコート(0.5〜1.0g)をピリジン50mLと混合し、撹拌した。この混合物にアセトン40mLを添加した後、撹拌した。最後に、水20mLを添加し、混合物を再び撹拌した。この混合物を、ガラス/組合せ電極を用いて水中0.1N水酸化ナトリウムで滴定した。ピリジン50mL、アセトン40mL及び水20mLを含むブランクも滴定した。酸価を以下のようにして計算した:
Ep=サンプルの終点に達するためのNaOH溶液(mL)
B=ブランクの終点に達するためのNaOH溶液(mL)
N=水酸化ナトリウム溶液の規定度
Wt.=滴定するカルボキシ(C1〜C3)アルキルセルロースエステルの重量
酸価(mgKOH/g(サンプル))=((Ep−B)*N*56.1)/Wt.
【0133】
<IV試験法>
本明細書中に記載したセルロースエステル及びカルボキシ(C1〜C3)アルキルセルロースエステルのインヘレント粘度(IV)は、特に記載する場合を除いて、毛細管粘度計中で既知ポリマー濃度の溶液の流下時間及び溶媒ブランクの流下時間を測定し、次いでIVを計算することによって求めた。IVは以下の式によって定義される:
1(n)25℃.0.50%=ln ts t0 C
[式中、(n)=0.50g/100mL(溶媒)のポリマー濃度での25℃におけるインヘレント粘度。
【0134】
ln=自然対数
ts=サンプルの流下時間
t0=溶媒ブランクの流下時間
C=溶媒100mL当たりのポリマー(g)濃度=0.50]。
【0135】
サンプルは0.50g/100mL(溶媒:60重量%フェノール及び40重量%1,1,2,2−テトラクロロエタン、又は「PM95」)の濃度に調製した。サンプル(0.25g)を、撹拌棒を含む培養管中に量り入れた。60重量%フェノール/40重量%1,1,2,2−テトラクロロエタン(本明細書においては「PM95」とも記載してある)50.0mLを添加する。混合物をヒーター中に入れ、撹拌しながら(300rpm)125℃まで加熱した。(目標温度に達するまで7分、そして125℃に15分間保持。)サンプルを室温(25℃)まで冷却させ、次いで濾過し、粘度計(Model AVS 500-Schott America,Glass & Scientific Products,Inc.,Yonkers,N.Y.)中に入れた。IVを前記式に従って計算した。
【0136】
分子量測定のためのGPC法: セルロースエステル及びカルボキシ(C1〜C3)アルキルセルロースエステルのサンプルの分子量分布を、下記の2つの方法のうち1つを用いてゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって測定した。
【0137】
[001]方法1,THF: 溶媒としてTHFを用いてGPCによって試験すると示したセルロースエステルのサンプルの分子量分布は、BHTで安定化されたBurdick and Jackson GPC等級THF中で周囲温度において1mL/分の流量で測定した。他の全てのサンプルは、以下の方法2に記載したようにして、溶媒としてNMPを用いてGPCによって測定した。サンプル溶液は、ポリマー約50mgをTHF 10mL中に溶解させることによって調製し、それにトルエン10μLを流量マーカーとして添加した。オートサンプラーを用いて、5μm Guard,Mixed−C(登録商標)及びOligopore(登録商標)カラムを直列に含むPolymer Laboratories PLgel(登録商標)カラムセット上に各溶液50μLを注入した。溶出されたポリマーを、30℃に保持された検出器セルを用いて示差角屈折率検出法によって検出した。検出器シグナルを、Polymer Laboratories Caliber(登録商標)データ収集システムによって記録し、クロマトグラムを、Eastman Chemical Companyにおいて開発されたソフトウェアを用いて積分した。較正曲線は、分子量266〜3,200,000g/モルの18個のほとんど単分散のポリスチレン標準と162g/モルの1−フェニルヘキサンのセットを用いて求めた。分子量分布及び平均を、ポリスチレン換算値として又は以下のパラメーター:
KPS=0.0128aPS=0.712
KCE=0.00757aCE=0.842
を用いて普遍較正法によって計算した真分子量として、報告した。
【0138】
方法2,NMP: 特に断りのない全てのサンプルの分子量分布は、溶媒としてNMPを用いてGPCによって以下のようにして求めた。セルロースエステルサンプルの分子量分布は、40℃において1重量%のBaker氷酢酸を含むBurdick and Jackson N−メチルピロリドン中で0.8mL/分の流量を用いてゲル透過クロマトグラフィーによって測定した。サンプル溶液は、ポリマー約25mgをNMP 10mL中に溶解させることによって調製し、それにトルエン10μLを流量マーカーとして添加した。オートサンプラーを用いて、10μm Guard,Mixed−B(登録商標)カラムを含むPolymer Laboratories PLgel(登録商標)カラムセット上に各溶液20μLを注入した。溶出されたポリマーを、40℃に保持された検出器セルを用いて示差角屈折率検出法によって検出した。検出器シグナルを、Polymer Laboratories Caliber(登録商標)データ収集システムによって記録し、クロマトグラムを、Eastman Chemical Companyにおいて開発されたソフトウェアを用いて積分した。較正曲線は、分子量580〜3,200,000g/モルの18個1組のほとんど単分散のポリスチレン標準を用いて求めた。分子量分布及び平均を、ポリスチレン換算値として報告した。
【0139】
CMCAB又はC−A−Pの存在下におけるイブプロフェンのHPLC測定:
計測器: HP1100
カラム: Zorbax SB−CN,4.6×150mm,3.5μm
流量: 1.0mL/分
検出: 225nmのUV
注入容量: 10μL
温度: 制御せず
移動相:
【0140】
【表1】
【0141】
後時間: 8分
サンプル及び標準はアセトニトリル中に溶解。
【0142】
CMCAB又はC−A−Pの存在下におけるグリセオフルビン、グリブリド、フェニトイン又はカルバマザピンのHPLC測定:
計測器: HP1100
カラム: Pnenomenex Luna 3μmフェニル−ヘキシル,100×4.6mm
流量: 1.0mL/分
検出: グリセオフルビン及びグリブリドについては230nmのUV
フェニトインについては220nmのUV
カルバマザピンについては240nmのUV
注入容量: 5μL
温度: 制御せず
移動相:
【0143】
【表2】
【0144】
後時間: 6分
サンプル及び標準はTHF中に溶解。
【0145】
溶解アリコートを評価するためのHPLC法:
<フェニトイン、カルバマゼピン、グリブリド又はグリセオフルビンの重量%の測定>
移動相: 55%アセトニトリル/45%酢酸アンモニウム緩衝液(氷酢酸でpH〜5.25にpH調整したNH4OAc 2.6g/L(H2O))
カラム:Agilent Eclipse XDB−C8,4.6mm×150mm×5μm
流量:1.5mL/分
検出: UV 254nm(フェニトイン又はカルバマゼピンにはUV214nmも使用でき、グリセオフルビンにはUV 291nmも使用できる);典型的には、各サンプルについてUV 214nm、222nm、254nm、287nm、291nm及び/又は325nmから選択した5つのシグナルを収集した。
【0146】
保持時間は典型的には1.5〜2.5分であった。
【0147】
<アジスロマイシンの重量%の測定>
移動相: 60%アセトニトリル/15% 0.002N (NH4)2PO4緩衝液(pH9.0)/25%イソプロパノール
カラム:Agilent Eclipse XDB−C8,4.6mm×150mm×5μm
流量:1.0mL/分
検出: 各サンプルについて、UV 210nm、214nm、220nm、230nm及び240nmから選択した5つのシグナルを収集した。
【0148】
<X線による結晶化度%の測定>
Cu K−αX線を用いてScintag PAD V回折計上で全てのサンプルを試験した。
【0149】
この研究で用いる各ポリマー又は薬物について純粋なサンプルを得た。各種の既知量を回折標準であるコランダム、Al2O3の既知量と混合した。各混合物を油圧プレスを用いてペレット化し、ペレットのXRDパターンを5〜45°の散乱角から測定した。回折応答因子(diffraction response factor)、Rを各種について式:
R=wc/ws*ls/lc
[wcはコランダムの重量分率であり、wsは問題の種の重量分率であり、lcはコランダムの主要回折線の正味強度であり、 は薬物の主要回折線の正味強度又はポリマーの場合には非晶質散乱曲線(amorphous scattering curve)の極大の正味強度である]
に従って計算した。
【0150】
サンプルを油圧プレスによってペレット化し、ペレットのXRDパターンを5〜45°の散乱角から測定した。ポリマーからの非晶質散乱の極大の正味強度lp及び薬物の主要回折線の正味強度ldを、得られた散乱曲線から求めた。結晶性薬物の重量%は、式:
結晶性薬物%=(ld/Rd)/(ld/Rd+lp/Rp)×100
[式中、Rdは薬に対する応答因子であり、Rpはポリマーに対する応答因子である]
から計算した。
【0151】
グリブリド標準曲線の作成
USPからのグリブリド標準試料を指示通りに乾燥させた(106℃で6時間)。次いで、グリブリド約20〜25mgを25mLメスフラスコに加え、DMSO又は55%アセトニトリル/45%酢酸アンモニウム(pH5.25)に溶解させる。容量を25mLに稀釈した。10mLメスフラスコ又はRainin自動ピペットマンを用いて一組の標準稀釈を作成した。
【0152】
溶解媒体の調製
パンクレアチンを含まない擬似腸液(pH6.8)(SIFsp(pH6.8))− 燐酸二水素カリウム(KH2PO4,34g)を4000mLビーカーに加える。脱イオン水/研磨水(deionized/polished water)(2000mL)を加え、KH2PO4が完全に溶解するまで電磁撹拌棒を用いて混合する。0.2N水酸化ナトリウム(NaOH,590mL)を加え、撹拌する。pHは、0.2N NaOHを用いて6.8±0.1に調整した。サンプルを脱イオン/研磨水で最終容量5000mLまで稀釈した。
【0153】
このSIFsp媒体をオーブン中において4つの2000mL Kimaxボトル中で〜45℃に加熱した。サンプルを、USPプロトコールに従って、0.45μmメンブランフィルター(Pall,Supor−450,0.45μm,90mm、部品#60200,ロット#43214)を通して濾過し且つ真空下で5分間撹拌することによって、ガス抜きした。
【0154】
ペプシンを含まない擬似胃液(pH1.2)(SGFsp,pH1.2)− 塩酸35.0mL中に塩化ナトリウム10.0gを溶解させ、充分な水を加えて1000mLにする。この試験溶液は約1.2のpHを有している。
【0155】
このSGFsp媒体をオーブン中において4つの2000mL Kimaxボトル中で〜45℃に加熱した。サンプルを、USPプロトコールに従って、0.45μmメンブランフィルター(Pall,Supor−450,0.45μm,90mm、部品#60200,ロット#43214)を通して濾過し且つ真空下で5分間撹拌することによって、ガス抜きした。
【0156】
<溶解条件#1> 溶解の研究を、Varian VK8000フラクションコレクターを装着したVarian VK7025溶解装置上で以下のパラメーターを用いて行った: 撹拌速度(50rpm),サンプルサイズ(5mL),サンプリング時間(15分、30分、1時間、1時間30分、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、24時間)、浴温度(37.3℃),容器温度(37℃)、ポンププライム(60秒)、ポンプパージ(60秒)、フィルターチップ(10μm)。
【0157】
<溶解条件#2> 溶解の研究を、Varian VK8000フラクションコレクターを装着したVarian VK7025溶解装置上で以下のパラメーターを用いて行った: 撹拌速度(75rpm),サンプルサイズ(5mL),サンプリング時間(15分、30分、45分、1時間、1時間30分、2時間、2時間30分、3時間、3時間30分、4時間)、浴温度(37.3℃),容器温度(37℃)、ポンププライム(60秒)、ポンプパージ(60秒)、フィルターチップ(10μm)。
【0158】
<Buchi Model B−290/B295 ミニスプレードライヤー(Mini Spray Dryer)の操作>
システムの説明: Buchi Model B−290/B295ミニスプレードライヤーは、引火性溶剤を処理する能力を有する実験室規模のガラス噴霧乾燥機である。オンライン酸素モニタリングを有する閉ループ溶剤回収システムが引火性溶剤の安全な処理を可能にする。噴霧は二流体ノズルによって行う。供給材料は、内蔵ペリスタポンプによってノズルに供給した。乾燥用ガス流は供給材料の噴霧に対して並行流であった。生成物はサイクロン分離器によってガス流から単離する。排気ガス流から残留物質を除去するために、バグフィルターがサイクロンの下流にあった。
【0159】
操作方法: 窒素供給バルブを開いて不活性雰囲気を乾燥機に供給し、ファンの電源を入れた。空気をシステム中に入れる漏れがガラス製品にあるかどうかを調べて判定するために、システムを点検した。酸素レベルが5%未満になったら、入口温度を設定し、ヒーターの電源を入れた。凝縮器温度を、凍結することなくガス流からの溶剤の除去を可能にするのに必要な温度に設定した。噴霧ガスは、流量計を調節することによって所望の流量に設定した。供給材料を、粘度が充分な噴霧に適当であることを確実にするために、且つまた、不溶性物質の除去に濾過が必要であるかどうかを判定するために、検査した。所望の入口温度に達したら、供給材料中にポンプチューブを入れ、ポンプの電源を入れた。ポンプ速度を低(〜10%)に設定し、問題が生じなければゆっくりと増加させた。供給材料の処理後、目詰まりを防ぐために、清浄な溶剤をポンプでノズルに通した。ヒーターの電源を切り、ユニットを冷却するためにファンを作動させた。ユニットが冷えたら、ファン及び噴霧ガスを切った。生成物収集容器を取り外し、生成物を容器に移した。収量を最大にするために、ガラス製品をスパチュラで清浄にし、生成物を収集し、生成物容器からの生成物と合した。典型的なプロセス条件を以下に示す。
【0160】
【表3】
【0161】
例1
この例は、共沈(フレーク法)による固体分散体の製造を説明する。「共沈」は、有機溶剤中に溶解させたポリマー担体(例えばカルボキシアルキルセルロースエステル)及び医薬活性剤並びに場合によっては1種又はそれ以上の添加剤を含む溶液又は混合物を水性非溶剤と合して、有機溶液/混合物の不揮発性成分の均質混合物(即ち固体分散体)である沈殿物を生成させることを記載するのに使用する一般用語である。本発明の組成物の調製に使用する2つの共沈法は、フレーク沈澱及び粉末沈澱である。
【0162】
フレーク沈澱は、セルロースエステル化学の当業者に知られた方法であって、ポリマー/薬物/溶剤混合物(即ちドープ)の細流を水性非溶剤に添加することによって行う。用語「フレーク沈澱」は、この方法によって形成される沈殿物の典型的な外観に由来する。当業者ならば、温度、添加速度、混合速度、有機混合物中の固形分濃度、非溶剤のpH、沈澱混合物中の有機溶剤含量、硬化時間などを含む(これらの限定するものではないが)多くのプロセス変数を調整して、共沈物の物理的性質(即ち形態、粒度など)、共沈物の組成及びおそらくは固体分散体の溶解プロフィールなどを修正することができることがわかるであろう。
【0163】
共沈のフレーク法においては、適切な有機溶剤又は溶剤混合物(例えばアセトン、塩化メチレン、エタノールなど)を、所望の量のポリマー担体(他の例ではCMCAB、HPMCAS、PVP又はPEG)を含む容器(典型的にはガラス瓶)に加え、透明な又は少なくともほとんど透明な溶液が得られるまで容器を混合する(典型的にはローラー上で又は撹拌によって)。混合物の固形分を溶剤ブレンドの溶剤の添加によって調整して、所望の粘度を有する混合物を生成する。原薬(drug substance)を、別の容器中で適切な溶剤又は溶剤混合物(例えばアセトン、塩化メチレン、エタノール、ジメチルスルホキシドなど)に溶解させる。場合によっては、1種又はそれ以上の添加剤を第3の容器に加えて、適切な溶剤に溶解させることができる。ポリマー溶液、薬物溶液及び含ませる場合には添加剤溶液を合して、充分に混合する。或いは、所望ならば又は必要に応じて、ポリマー及び薬物固形分並びに任意の添加剤を単一の容器中で合し、次いで有機溶剤又は溶剤混合物の添加によって同時に溶解させることができる(この方策は必ずしも適切ではなく、ケースバイケースで試すべきである)。
【0164】
共沈は、ポリマー/薬物/添加剤溶液の小さい流れを過剰の水、塩基水溶液、酸水溶液又は緩衝剤水溶液中に急速に混合しながら注ぐことによって誘発した。典型的には、少なくとも1:3の有機溶液対水溶液の比がフレーク沈澱の誘発に適するが、系中の固形分%及び使用している有機溶剤の性質によってはより大過剰の水溶液が適することが多々ある。沈澱が完了したら、サンプルを粗目のガラス漏斗上で濾過し、真空オーブン中で45℃において一晩乾燥させ、低温粉砕機中で約20μm(典型的には200μm未満)の粒度に粉末化する。サンプルは、必要になるまでデシケーター又は真空デシケーター中に貯蔵する。
【0165】
例2
この例は、共沈(粉末法)による固体分散体の製造を説明する。粉末沈澱は、セルロースエステル化学の当業者に知られた方法であって、適切に混合しながら適切な温度を用いて水性非溶剤を溶剤/薬物/溶剤混合物(即ちドープ)に添加することによって行う。この場合、用語「粉末沈澱」は、この方法によって形成される沈殿物の典型的な外観に由来する。当業者ならば、温度、添加速度、混合速度、有機混合物中の固形分濃度、非溶剤のpH、沈澱混合物中の有機溶剤含量、硬化時間などを含む(これらに限定するものではないが)多くのプロセス変数を調整して、共沈物の物理的性質(即ち形態、粒度など)、共沈物の組成及びおそらくは固体分散体の溶解プロフィールなどを修正できることがわかるであろう。
【0166】
共沈の粉末法においては、適切な有機溶剤又は溶剤混合物(例えばアセトン、塩化メチレン、エタノールなど)を、所望の量のポリマー担体(他の例ではCMCAB、HPMCAS、PVP又はPEG)を含む容器(典型的にはガラス瓶)に加え、透明な又は少なくともほとんど透明な溶液が得られるまで容器を混合する(典型的にはローラー上で又は撹拌によって)。固形分を溶剤ブレンドの溶剤の添加によって調整して、所望の粘度を有する混合物を生成する。原薬を、別の容器中で適切な溶剤又は溶剤混合物(例えばアセトン、塩化メチレン、エタノール、ジメチルスルホキシドなど)に溶解させる。場合によっては、1種又はそれ以上の追加の添加剤を第3の容器に加えて、適切な溶剤に溶解させる。ポリマー溶液、薬物溶液及び含ませる場合には添加剤溶液を合して、充分に混合する。或いは、所望ならば又は必要に応じて、ポリマー及び薬物固形分並びに任意の添加剤を単一の容器中で合し、次いで有機溶剤又は溶剤混合物の添加によって同時に溶解させることができる。
【0167】
共沈は、急速に混合しながら、ポリマー/薬物/添加剤有機溶液に水、塩基水溶液、酸水溶液又は緩衝剤水溶液をゆっくりと添加することによって誘発した。典型的には、少なくとも1:3の有機溶液対水溶液の比が粉末沈澱の誘発に適するが、系中の固形分%及び使用している有機溶剤の性質によってはより大過剰の水溶液が適することが多々ある。沈澱が完了したら、サンプルを粗目のガラス漏斗上で濾過し、真空オーブン中で45℃において一晩乾燥させ、低温粉砕機中で約20μm(典型的には200μm未満)の粒度に粉末化する。サンプルは、必要になるまでデシケーター又は真空デシケーター中に貯蔵する。
【0168】
例3
この例は、同時蒸発(減圧法)による固体分散体の製造を説明する。「同時蒸発」は、揮発性有機溶剤又は溶剤混合物中に溶解させたポリマー担体(例えばカルボキシアルキルセルロースエステル)及び本明細書中に開示した薬物並びに場合によっては1種又はそれ以上の他の添加剤を含む溶液又は混合物から溶剤を除去して、有機溶液/混合物の不揮発性成分の均質混合物(即ち固体分散体)である沈殿物を生成させることを記載するのに使用する一般用語である。本明細書中に開示した組成物の製造に使用する3つの同時蒸発法は、減圧下における回転蒸発、フィルム形成(即ち、大気圧での混合を行わない蒸発)及び噴霧乾燥である。
【0169】
同時蒸発の減圧法においては、適切な有機溶剤又は溶剤混合物(例えばアセトン、塩化メチレン、エタノールなど)を、所望の量のポリマー担体(他の例ではCMCAB、HPMCAS、PVP又はPEG)を含む容器(典型的にはガラス瓶)に加え、透明な又は少なくともほとんど透明な溶液が得られるまで容器を混合する(典型的にはローラー上で又は撹拌によって)。固形分を溶剤ブレンドの溶剤の添加によって調整して、所望の粘度を有する混合物を生成する。原薬を別の容器中で適切な溶剤又は溶剤混合物(例えばアセトン、塩化メチレン、エタノール、ジメチルスルホキシドなど)中に溶解させる。場合によっては、1種又はそれ以上の添加剤を第3の容器に添加し、適切な溶媒に溶解させる。ポリマー溶液、薬物溶液及び含ませる場合には添加剤溶液を合して、充分に混合する。或いは、所望ならば又は必要に応じて、ポリマー及び薬物固形分並びに任意の添加剤を、単一容器中で合し、次いで有機溶剤又は溶剤混合物の添加によって同時に溶解させることができる。
【0170】
同時蒸発は、ロータリーエバポレーターを用いて、典型的には50℃において系から溶剤を除去することによって誘発する。蒸発の完了時点で、可能な限り多くの残留溶剤を除去するために、サンプルを高真空ライン上に一晩配置する。サンプルをスパチュラによって丸底フラスコから取り出す。次に、サンプルを真空オーブン中で45℃において一晩乾燥させ、次いで低温粉砕機中で約20μmの粒度まで粉末化する。サンプルを、必要となるまでデシケーター又は真空デシケーター中に貯蔵する。
【0171】
例4
この例は、フィルム形成法による同時蒸発による固体分散液の製造を説明する。適切な有機溶剤又は溶剤混合物(例えばアセトン、塩化メチレン、エタノールなど)を、所望の量のポリマー担体(他の例ではCMCAB、HPMCAS、PVP又はPEG)を含む容器に加え、透明な又は少なくともほとんど透明な溶液が得られるまで容器を混合する(典型的にはローラーで又は撹拌によって)。固形分を溶剤ブレンドの溶剤の添加によって調整して、所望の粘度有する混合物を生成する。薬物を別の容器中で適切な溶剤又は溶剤混合物(例えばアセトン、塩化メチレン、エタノール、ジメチルスルホキシドなど)中に溶解させる。場合によっては、1種又はそれ以上の添加剤を第3の容器に加え、適切な溶剤に溶解させる。ポリマー溶液、薬物溶液及び含ませる場合には添加剤溶液を合して、充分に混合する。或いは、所望ならば又は必要に応じて、ポリマー及び薬物固形分並びに任意の添加剤を単一の容器中で合し、次いで有機溶剤又は溶剤混合物の添加によって同時に溶解させることができる(この方策は必ずしも適切ではなく、ケースバイケースで試さなければならない)。
【0172】
同時蒸発は、サンプルを適切な容器中に又はガラス若しくは金属シート上に注ぎ、溶剤をゆっくりと蒸発させ且つフィルムを形成させることによって、系から溶剤を除去することによって誘発する。当業者ならば、多くのパラメーターを制御して、形成されるフィルムの性質を左右できることがわかるであろう。これらに例において典型的には、サンプルを蒸発皿中に注ぎ込み、ペーパータオルで覆いながら一晩放置する。フィルム形成の完了時点で、サンプルを蒸発皿からスパチュラによって取り除く。次いで、サンプルを真空オーブン中で45℃において一晩乾燥させ、次に低温粉砕機中で約20μm(典型的には200μm未満)の粒度に粉末化する。サンプルは、必要になるまでデシケーター又は真空デシケーター中に貯蔵する。
【0173】
例5〜18
これらの例は、イブプロフェン/CMCAB固体分散体及びイブプロフェン/CMCAB/DEP固体分散体の製造を説明する。イブプロフェン(IB)、カルボキシメチルセルロースアセテートブチレート(CMCAB)及び場合によってはフタル酸ジエチル(DEP)を含む固体分散体を、例1の共沈のフレーク法によって製造した。この製造の具体的な詳細は以下の表Iに記載する。
【0174】
例19〜32
これらの例は、イブプロフェン/CMCAB固体分散体及びイブプロフェン/CMCAB/トリアセチン固体分散体の製造を説明する。イブプロフェン(IB)、カルボキシメチルセルロースアセテートブチレート(CMCAB)及び場合によってはトリアセチンを含む固体分散体を、例1の共沈のフレーク法によって製造した。この製造の具体的な詳細は以下の表IIに記載する。
【0175】
例33〜45
これらの例は、イブプロフェン/CMCAB固体分散体及びイブプロフェン/CMCAB/SAID固体分散体の製造を説明する。イブプロフェン(IB)、カルボキシメチルセルロースアセテートブチレート(CMCAB)及び場合によってはスクロースアセテートイソブチレート(SAIB)を含む固体分散体を、例1の共沈のフレーク法によって製造した。この製造の具体的な詳細は以下の表IIIに記載する。
【0176】
例46〜59
これらの例は、イブプロフェン/CMCAB固体分散体及びイブプロフェン/CMCAB/TPGS固体分散体の製造を説明する。イブプロフェン(IB)、カルボキシメチルセルロースアセテートブチレート(CMCAB)及び場合によってはビタミンE TPGS(TPGS)を含む固体分散体を、例1の共沈フレーク法によって製造した。この製造の具体的な詳細は以下の表IVに記載する。
【0177】
例60〜73
これらの例は、イブプロフェン/CMCAB固体分散体及びイブプロフェン/CMCAB/PEG固体分散体の製造を説明する。イブプロフェン(IB)、カルボキシメチルセルロースアセテートブチレート(CMCAB)及び場合によってはポリエチレングリコール(PEG)を含む固体分散体を、例1の共沈のフレーク法によって製造した。この製造の具体的な詳細は以下の表Vに記載する。
【0178】
例74〜86
これらの例は、フェニトイン/ポリマー固体分散体及び物理的ブレンドの製造を説明する。フェニトイン(Phe)、ポリマー担体(カルボキシメチルセルロースアセテートブチレート(CMCAB)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS)又はセルロースアセテートフタレート(C−A−P))及び場合によっては添加剤(Pz)(ビタミンE TPGS(TPGS)又はスクロースアセテートイソブチレート(SAIB))を、例の共沈のフレーク法によって(固体分散体)又は物理的混合によって(物理的ブレンド)製造した。この製造の具体的な詳細は以下の表VIに記載する。
【0179】
例87〜90
これらの例は、材料及び方法のセクションに記載したような噴霧乾燥によるフェニトイン/ポリマー固体分散体の製造を説明する。フェニトイン(Phe)及びポリマー担体(カルボキシメチルセルロースアセテートブチレート(CMCAB)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS)又はセルロースアセテートフタレート(C−A−P))の固体分散体を噴霧乾燥によって製造した。この製造の具体的な詳細は以下の表VIIに記載する。
【0180】
例91〜99
これらの例は、カルバマゼピン/CMCAB/任意の添加剤の固体分散体と物理的ブレンドの製造を説明する。
カルバマゼピン(Cbz)、ポリマー担体(カルボキシメチルセルロースアセテートブチレート(CMCAB))及び場合によっては添加剤(Pz)(ビタミン E TPGS(TPGS)又はスクロースアセテートイソブチレート(SAIB))の固体分散体又は物理的ブレンドを、共沈、同時蒸発、凍結乾燥若しくは噴霧乾燥(詳細は例1〜4参照)(固体分散体)又は物理的混合(物理的ブレンド)によって、表VIIIに記載したようにして製造した。
【0181】
例100〜108
これらの例は、ニトロフラントイン/ポリマー/任意の添加剤の固体分散体と物理的ブレンドの製造を説明する。
ニトロフラントイン(Nit)、ポリマー担体(カルボキシメチルセルロースアセテートブチレート(CMCAB))及び場合によっては添加剤(Pz)(ビタミン E TPGS(TPGS)又はスクロースアセテートイソブチレート(SAIB))の固体分散体又は物理的ブレンドを、共沈、同時蒸発、凍結乾燥若しくは噴霧乾燥(詳細は例1〜4参照)(固体分散体)又は物理的混合(物理的ブレンド)によって、表IXに記載したようにして製造した。
【0182】
例109〜117
これらの例は、グリブリド/CMCAB/添加剤(任意)の固体分散体と物理的ブレンドの製造を説明する。
グリブリド(Gly)、ポリマー担体(カルボキシメチルセルロースアセテートブチレート(CMCAB))及び場合によっては添加剤(Pz)(ビタミン E TPGS(TPGS)又はスクロースアセテートイソブチレート(SAIB))の固体分散体又は物理的ブレンドを、共沈、同時蒸発、凍結乾燥若しくは噴霧乾燥(詳細は例1〜4参照)(固体分散体)又は物理的混合(物理的ブレンド)によって、表Xに記載したようにして製造した。グリブリドはアセトンには可溶でなかったので、グリブリドの溶解にはDMSOを用いた。固体分散体の形成の前に、グリブリド/DMSO溶液をアセトン中ポリマー/添加剤(任意)溶液に添加した。
【0183】
例118
この例は、噴霧乾燥によるグリブリド/CMCAB固体分散体の製造を説明する。
グリブリド(Gly)及びポリマー担体(カルボキシメチルセルロースアセテートブチレート(CMCAB))の固体分散体を、前記の材料及び方法のセクションに記載した噴霧乾燥条件を用いて、表XIに記載したようにして噴霧乾燥によって製造した。グリブリドはアセトンに可溶でなかったので、グリブリドの溶解にはDMSOを用いた。固体分散体の形成の前に、グリブリド/DMSO溶液をアセトン中ポリマー/添加剤(任意)溶液に添加した。
【0184】
例119〜124
これらの例はグリブリド固体分散体の製造を説明する。
グリブリド(Gly)及びポリマー担体(カルボキシメチルセルロースアセテートブチレート(CMCAB)又はヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートブチレート(HPMCAS))の固体分散体を、表XIIに記載したようにして共沈のフレーク法(詳細は例1参照)によって製造した。注: グリブリドはアセトンに可溶でなかったので、グリブリドの溶解にはDMSOを用いた。固体分散体の形成の前に、グリブリド/DMSO溶液をアセトン中ポリマー/添加剤(任意)溶液に添加した。
【0185】
例125〜134
これらの例はグリセオフルビン固体分散体の製造を説明する。
グリセオフルビン(Gris)及びポリマー担体(カルボキシメチルセルロースアセテートブチレート(CMCAB)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートブチレート(HPMCAS)又はポリビニルピロリドン(PVP))の固体分散体を、表XIIIに記載したようにして共沈のフレーク法又は同時蒸発(詳細は例1〜4参照)によって製造した。
【0186】
例135〜138
これらの例は、同時蒸発によるグリセオフルビン/CMCAB/界面活性剤の固体分散体の製造を説明する。
グリセオフルビン(Gris)、ポリマー担体(カルボキシメチルセルロースアセテートブチレート(CMCAB))及び界面活性剤(Tween 80又はドデシル硫酸ナトリウム(SDS))の固体分散体を、表XIVに記載したようにして同時蒸発(詳細は例3参照)によって製造した。
【0187】
例139〜142
これらの例は、同時蒸発によるアジスロマイシン/CMCAB/添加剤(任意)の固体分散体の製造を説明する。
アジスロマイシン(Azi)、ポリマー担体(カルボキシメチルセルロースアセテートブチレート(CMCAB))及び任意の添加剤(界面活性剤(Tween 80)又はビタミンE TPGS(TPGS))の固体分散体を、表XVに記載したようにして同時蒸発(詳細は例3参照)によって製造した。アジスロマイシン溶液をCMCAB溶液に添加すると直ちに白色沈殿物が形成された。撹拌すると、この沈殿物は溶解し始めたが、溶液は完全には透明ではなく、依然としてわずかに濁っていた。この事象はCMCAB/アジスロマイシン固体分散体を製造しようとした以前の試みでも観察された。その沈澱はこの例の場合よりも顕著であった(即ち、全コンティニュエ(continuer)が固化した)が、必ずしも色が白色ではなく、場合によっては大きいゲルのような外観であり、これはことによると架橋又はヒドロゲル形成を示したので、これらの試みの多くは放棄された。
【0188】
溶解の研究
例143
これらの例は、例74〜86に記載したサンプルを評価する。SIFsp(pH6.8)媒体の製造は、前記の材料及び方法のセクションに記載したものである。
【0189】
サンプルを、手動単一カプセル充填器を用いて植物系Vcaps(Capsugel,サイズ0CS,ロット#630311)中に移した。各カプセルの重量及び添加したサンプルの量は表XVI(カプセルの説明)に記載してある。
【0190】
<溶解プロトコール> Varian VK7025溶解装置及びVarian VK8000オートサンプラーを、以下のパラメーターを用いて溶解の研究に使用した:撹拌速度(50rpm)、サンプルサイズ5mL)、サンプリング時間(15分、30分、1時間、1時間30分、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、24時間)、浴温度(37.3℃)、容器温度(37℃)、ポンププライム(60秒)、ポンプパージ(60秒)及びフィルターチップ(10μm)。使用媒体は各容器中でSIFsp(pH6.8)であった。
【0191】
薬物が試験管内で冷却された後は再結晶しないように、DMSO(2.0mL)をフラクションコレクター中の各試験管に加えた。
【0192】
全てのカプセルは、Varianから購入したカプセルシンカー中に挿入しても、最初は浮いていた。カプセルは15分間混合しないうちに沈んだ。
【0193】
容器1及び3からのサンプルはピルドロッパーから飛び出た。容器1のためのサンプルは、容器に達するまでに、開いたピルドロッパーに加えた。容器3のためのサンプルは、ピルドロッパーが閉じ且つ別の開口部を開かれるまでピルドリッパーには添加せず、その開口部を通して手動で落下させた。容器3は約20〜30秒遅れて開始した。
【0194】
いくつかのカプセルは2.5時間後に完全には溶解しなかった。以下の部分溶解カプセル(1、3、4、5、7、8)内に若干のサンプルが閉じ込められていた。
【0195】
いくつかのサンプルの一部分は、未溶解VCapカプセル中に閉じ込められることによって溶解媒体から隔離されていたので、これらのランは放棄した。
【0196】
例144〜146
これらの例は、例91〜99に記載したサンプルの評価によって、カルマゼピン及びカルマゼピン固体分散体の溶解を説明する。SIFsp(pH6.8)媒体の製造は、前記の材料及び方法のセクションに記載したものである。
【0197】
サンプルを、手動単一カプセルフィラーを用いてゼラチンカプセル(Capsugel,サイズ0CS,ロット#624282)中に移した。各カプセルの重量及び添加したサンプルの量は表XVII(カプセルの説明)に記載してある。
【0198】
[002] 図1はカルバマゼピン及びカルバマゼピン固体分散体の溶解プロフィールを示している。
【0199】
例147〜149
これらの例は、例109〜117に記載したサンプルの評価によって、グリブリド及びグリブリド固体分散体の溶解を説明する。SIFsp(pH6.8)媒体の製造は、前記の材料及び方法のセクションに記載したものである。
【0200】
サンプルを、手動単一カプセルフィラーを用いてゼラチンカプセル(Capsugel,サイズ0CS,ロット#624282)中に移した。各カプセルの重量及び添加したサンプルの量を表XVIII(カプセルの説明)に記載してある。
【0201】
図2はグリブリド及びグリブリド固体分散体の溶解プロフィールを示している。
【0202】
例150〜155
これらの例は、例119〜124に記載したサンプルの評価によって、グリブリド及びグリブリド固体分散体の溶解を説明する。SIFsp(pH6.8)媒体の製造は、前記の材料及び方法のセクションに記載したものである。
【0203】
サンプルを、手動単一カプセルフィラーを用いてゼラチンカプセル(Capsugel,サイズ0CS,ロット#624282)中に移した。各カプセルの重量及び添加したサンプルの量を表XIX及びXX(カプセルの説明)に記載してある。
【0204】
図3はグリブリド固体分散体の溶解プロフィールを示している。
【0205】
図4は3種の異なるCMCAB/グリブリド固体分散体の溶解プロフィールである(各サンプルの説明は表XIX及びXX参照)。比較的溶解速度が遅い両方のサンプル(EX000039−036−2及び−036−3)は結晶化度が約2.7%の固体分散体であった。結晶化度の増加が放出速度及び媒体中に放出されるグリブリドの総量を低下させたものと考えられる。他のプロセス因子も放出速度の低下に関与し得るであろう。
【0206】
図5は最も良く機能するCMCAB/グリブリド固体分散体及びグリブリドと比較したHPMCAS/グリブリド固体分散体の溶解プロフィールを含む(各サンプルについての説明は表XIX及びXX参照)。この結果から、グリブリドの放出速度は1つのグループの固体分散体内では同じポリマー担体を用いて修正し得ること及びある種の系ではCMCABもHPMCASも同様に機能できることが明白である。
【0207】
CMCAB/グリブリド固体分散体及びHPMCAS/グリブリド固体分散体から放出されたグリブリドの質量を図6に示してある。このようにしてデータを見た場合には、CMCAB/グリブリド固体分散体(EX000039−036−1)はHPMCAS/グリブリド固体分散体(EX000039−036−4)よりもよく機能したことが明白である。HPMCAS/グリブリド固体分散体(EX000039−036−5)は、図5でわかるように、これらのサンプルの両方より性能が優れている。図6の方式では、036−5のサンプルは036−1又は036−4のサンプルよりも薬物配合量が低かった。
【0208】
例156〜161
これらの例は、例125〜134に記載したサンプルの評価によって、グリセオフルビン及びグリセオフルビン固体分散体の溶解を説明する。SIFsp(pH6.8)媒体の製造は、前記の材料及び方法のセクションに記載したものである。
【0209】
サンプルを、手動単一カプセルフィラーを用いてゼラチンカプセル(Capsugel,サイズ0CS,ロット#624282)中に移した。各カプセルの重量及び添加したサンプルの量を表XXI及びXXII(カプセルの説明)に記載してある。
【0210】
グリセオフルビンは、未改質原薬で観察された即時放出とは異なる制御された、持続的な方法でSIFsp(pH6.8)媒体中に放出された(図7〜9)。CACAM/グリセオフルビン固体分散体はCMCAB/グリブリド固体分散体とは異なる放出プロフィールを有している。CMCAB固体分散体からのグリセオフルビンの放出は、PVP固体分散体、HPMCAS固体分散体又は未改質グリセオフルビンからのグリセオフルビンの迅速放出よりも制御された放出を示した(図7、図10〜13)。しかし、放出されるグリセオフルビンの総量は、固体分散体の形成によって改善されなかった。
【0211】
例162〜164
これらの例は、グリセオフルビン/CMCAB固体分散体の溶解プロフィールに対する界面活性剤添加剤の影響を説明する。この例において評価したグリセオフルビン/CMCAB、グリセオフルビン/CMCAB/Tween 80及びグリセオフルビン/CMCAB/SDS固体分散体の製造は、例135〜138に記載されている。SIFsp(pH6.8)媒体の製造は、前記の材料及び方法のセクションに記載したものである。
【0212】
サンプルを、手動単一カプセルフィラーを用いてゼラチンカプセル(Capsugel,サイズ00CS,ロット#637785)中に移した。各カプセルの重量及び添加したサンプルの量を表XXIII(カプセルの説明)に記載してある。
【0213】
グリセオフルビン/CMCAB固体分散体の放出プロフィールへの界面活性剤添加の影響は図14でグラフによって理解できる。総重量のわずか1〜5重量%のレベルでの界面活性剤、より詳細にはTween 80及びSDSの固体分散体組成物への添加は、グリセオフルビンの放出プロフィールの性質を変化させた。グリセオフルビン/CMCAB固体分散体への約1〜約5重量%のTween 80又はSDSの添加においては、界面活性剤は同時蒸発プロセスよりも前に添加し、グリセオフルビン/CMCAB固体分散体のほぼゼロ次の放出プロフィールをより速い放出プロフィールに変化させた。グリセオフルビン/CMCAB固体分散体への界面活性剤の添加はまた、薬物単独及び界面活性剤を含まないグリセオフルビン/CMCAB固体分散体に比較した場合に、系中に放出される薬物の総量を増加させた。
【0214】
例165
この例はポリマー及び可塑剤レベルの影響を説明する。
理論によって拘束されるものではないが、固体分散体中の原薬及びポリマー支持剤の両者と互いに相溶性である可塑剤の使用は、相溶性成分の系を発生させ且つ、最終的に固体分散体内での原薬の結晶化をもたらすであろう原薬の「貯留」の可能性を低下させることによって、固体分散体中に捕捉される原薬の結晶化度のレベルを低下させることができる。この理論を評価するために、種々の可塑剤及び可塑剤レベルの、C−A−P又はCMCAB及びイブプロフェンを含む固体分散体の結晶化度%に対する影響を詳細に調べた。これらの実験は、表XXIVに示されるようにポリマー担体としてCMCAB又はC−A−Pを含むイブプロフェンの固体分散体の結晶化度%に対する可塑剤(最大配合量10%)の影響を示した。
【0215】
図15は、イブプロフェン/CMCAB固体分散体の結晶化度%に対するTPGSの影響を示している(D−最適(D-Optimal)混合物の実験計画法(DOE)の結果)。
【0216】
例166
この例はサンプル製造方法の影響を説明する。固体分散体は、薬物、腸溶性ポリマー及び添加剤をアセトンに溶解させ、次いで混合物を水に加えることによって沈殿させる共沈法を用いて、製造した。薬物の水難溶性が、薬物と腸溶性セルロース系誘導体との共沈を引き起こして、固体分散体を形成させる。ここで評価するのは、共沈(フレーク沈澱及び粉末沈澱)、同時蒸発及び噴霧乾燥を含む、固体分散体を製造するための一連の戦略である。固体分散体の結晶化度%に対する製造方法の影響を示している表XXVに示されているような、種々の方法が固体分散体の結晶化度%に与える影響を判定する。
【0217】
例167
この例は、プロセスパラメーター(温度)の影響を説明する。具体的には、40〜100℃の乾燥温度の、固体分散体の結晶化度%に対する影響を評価した。乾燥温度又は処理温度の増加は、イブプロフェン/C−A−P固体分散体の結晶化度%に対する乾燥温度の影響を示している表XXVIに示されるように、共沈によって製造された固体分散体の結晶化度を低下させることができる。
【0218】
特に断らない限り、本明細書及び特許請求の範囲において使用した、成分の量、反応条件などを表す全ての数値は、全ての場合において用語「約」で修飾されているものと理解すべきである。従って、そうでないことが示されない限り、本明細書及び添付した特許請求の範囲に記載した数値パラメーターは、本発明が得ようとする目的の性質に応じて変化し得る近似値である。
【0219】
本発明の他の実施態様は、本明細書の検討及び本明細書中に開示した本発明の実施から当業者には明らかとなるであろう。本明細書及び実施例は単なる例示と見なすものとし、本発明の真の範囲及び精神は以下の特許請求の範囲によって示されるものとする。
【0220】
【表4】
【0221】
【表5】
【0222】
【表6】
【0223】
【表7】
【0224】
【表8】
【0225】
【表9】
【0226】
【表10】
【0227】
【表11】
【0228】
【表12】
【0229】
【表13】
【0230】
【表14】
【0231】
【表15】
【0232】
【表16】
【0233】
【表17】
【0234】
【表18】
【0235】
【表19】
【0236】
【表20】
【0237】
【表21】
【0238】
【表22】
【0239】
【表23】
【0240】
【表24】
【0241】
【表25】
【0242】
【表26】
【0243】
【表27】
【0244】
【表28】
【0245】
【表29】
【0246】
【表30】
【0247】
【表31】
【0248】
【表32】
【0249】
【表33】
【0250】
【表34】
【0251】
【表35】
【0252】
【表36】
【0253】
【表37】
【0254】
【表38】
【0255】
【表39】
【0256】
【表40】
【0257】
【表41】
【0258】
【表42】
【0259】
【表43】
【0260】
【表44】
【0261】
【表45】
【0262】
【表46】
【0263】
【表47】
【0264】
【表48】
【0265】
【表49】
【0266】
【表50】
【0267】
【表51】
【0268】
【表52】
【0269】
【表53】
【0270】
【表54】
【0271】
【表55】
【0272】
【表56】
【図面の簡単な説明】
【0273】
【図1】カルバマゼピン及びカルバマゼピン固体分散体の溶解プロフィールを示す。
【図2】グリブリド及びグリブリド固体分散体の溶解プロフィールを示す。
【図3】グリブリド固体分散体の溶解プロフィールを示す。
【図4】CMCAB/グリブリド固体分散体(同時蒸発によって調製)の溶解プロフィールの比較を示す。
【図5】HPMCAS/グリブリド固体分散体とCMCAB/グリブリド固体分散体との溶解プロフィールの比較を示す。
【図6】HPMCAS/グリブリド固体分散体とCMCAB/グリブリド固体分散体との溶解プロフィールの比較を示す。
【図7】グリセオフルビン固体分散体の溶解プロフィールを示す。
【図8】CMCAB/グリセオフルビン固体分散体の溶解プロフィール(放出%)の比較を示す。
【図9】CMCAB/グリセオフルビン固体分散体の溶解プロフィール(放出mg)の比較を示す。
【図10】CMCAB/グリセオフルビン固体分散体とPVP/グリセオフルビン固体分散体の溶解プロフィール(放出%)の比較を示す。
【図11】CMCAB/グリセオフルビン固体分散体とPVP/グリセオフルビン固体分散体の溶解プロフィール(放出mg)の比較を示す。
【図12】CMCAB/グリセオフルビン固体分散体とHPMCAS/グリセオフルビン固体分散体の溶解プロフィール(放出%)の比較を示す。
【図13】CMCAB/グリセオフルビン固体分散体とHPMCAS/グリセオフルビン固体分散体の溶解プロフィール(放出mg)の比較を示す。
【図14】グリセオフルビン、グリセオフルビン/CMCAB及びグリセオフルビン/CMCAB/界面活性剤固体分散体の溶解プロフィールの比較を示す。
【図15】イブプロフェン/CMCAB固体分散体の%結晶化度に対するTPGSの影響(D−最適混合物の実験計画法の結果)を示す。
【技術分野】
【0001】
本件は、2005年11月4日に出願された米国仮特許出願第60/733,495号の優先権の利益を請求する。
【0002】
本明細書中には、難溶性の(例えば媒体中への溶解度が低い)医薬活性物質の送達のためのカルボキシアルキルセルロースエステルを含む医薬組成物を開示する。また、このような医薬組成物の製造方法及び投与方法も開示する。
【背景技術】
【0003】
水、水性緩衝液(例えば、擬似胃液(ペプシンを含む若しくは含まない)及び擬似腸液(パンクレアチンを含む若しくは含まない))又は生体関連媒体(biorelevant medium)のような媒体への薬物の溶解度及び溶解プロフィールは、原薬(drug substance)のバイオアベイラビリティ(生物学的利用能)を評価するためによく使用されるパラメーターである。インビボ(in vivo)では、薬物製剤は生理的環境に入り、その環境内で薬物が溶解し且つ溶解した状態であり続ける。しかし、ある種の原薬は溶解することができないか、或いは時間の経過につれて沈殿する(場合によってはpHの変化により)可能性がある。このため、製薬業界は、生理的環境への導入後に薬物製剤がたどる経過に関心を持っている。
【0004】
薬物の溶解度は、新しい薬物製剤の開発において一般的な制約となっている。米国薬局方に記載された薬物の1/3より多くが水に難溶性であるか又は不溶性である(非特許文献1)。更に、多くの薬物について、胃腸管内での吸収の律速段階がその溶解であることがよく知られている(非特許文献2)。水難溶性の薬物の溶解速度を向上させ且つそのバイオアベイラビィティを増大させるために、固体分散体の形成を含む配合戦略のようないくつかの方法が開発されている。しかし、このような製剤は多くの場合、熱力学的に不安定な可能性があり且つ/又は望ましくない副作用を生じるおそれがある。
【0005】
【非特許文献1】S.Pace et al,Pharma.Tech.,116〜132頁,March,1999
【非特許文献2】D.Q.M.Craig et al.,Int.J.Pharm.,Vol.179,179〜207頁,1999
【発明の開示】
【0006】
従って、水難溶性の医薬活性剤の溶解度及び/又は溶解を改善する組成物を開発することのニーズが依然としてある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1はカルバマゼピン及びカルバマゼピン固体分散体の溶解プロフィールを示し;
図2はグリブリド及びグリブリド固体分散体の溶解プロフィールを示し;
図3はグリブリド固体分散体の溶解プロフィールを示し;
図4はCMCAB/グリブリド固体分散体(同時蒸発によって調製)の溶解プロフィールの比較を示し;
図5はHPMCAS/グリブリド固体分散体とCMCAB/グリブリド固体分散体との溶解プロフィールの比較を示し;
図6はHPMCAS/グリブリド固体分散体とCMCAB/グリブリド固体分散体との溶解プロフィールの比較を示し;
図7はグリセオフルビン固体分散体の溶解プロフィールを示し;
図8はCMCAB/グリセオフルビン固体分散体の溶解プロフィール(放出%)の比較を示し;
図9はCMCAB/グリセオフルビン固体分散体の溶解プロフィール(放出mg)の比較を示し;
図10はCMCAB/グリセオフルビン固体分散体とPVP/グリセオフルビン固体分散体の溶解プロフィール(放出%)の比較を示し;
図11はCMCAB/グリセオフルビン固体分散体とPVP/グリセオフルビン固体分散体の溶解プロフィール(放出mg)の比較を示し;
図12はCMCAB/グリセオフルビン固体分散体とHPMCAS/グリセオフルビン固体分散体の溶解プロフィール(放出%)の比較を示し;
図13はCMCAB/グリセオフルビン固体分散体とHPMCAS/グリセオフルビン固体分散体の溶解プロフィール(放出mg)の比較を示し;
図14はグリセオフルビン、グリセオフルビン/CMCAB及びグリセオフルビン/CMCAB/界面活性剤固体分散体の溶解プロフィールの比較を示し;
図15はイブプロフェン/CMCAB固体分散体の%結晶化度に対するTPGSの影響(D−最適(D-Optimal)混合物の実験計画法(DOE)の結果)を示す。
【0008】
本明細書の開示は、医薬活性剤を患者に投与するためのカルボキシアルキルセルロースエステルを含む組成物を提供する。本明細書中において開示する一実施態様は、媒体中への溶解度が低い少なくとも1種の医薬活性剤(pharmaceutically active agent)と、構造:
【0009】
【化1】
【0010】
[式中、R1〜R6は、それぞれ独立して、−OH、−OC(O)(アルキル)及び−O(CH2)xC(O)OH(ここでxは1〜3の範囲である)並びにそれらの医薬として許容され得る塩(pharmaceutically acceptable salt)から選ばれ;
−OHのアンヒドログルコース当たりの置換度は0.1〜0.7の範囲であり;
−OC(O)(アルキル)のアンヒドログルコース当たりの置換度は0.1〜2.7の範囲であり;且つ
−O(CH2)xC(O)OHのアンヒドログルコース当たりの置換度は0.2〜0.75の範囲である]
を有するアンヒドログルコース反復単位を含む少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロースエステルを含んでなる医薬組成物を提供する。
【0011】
本明細書中で使用する「置換度」は、アンヒドログルコース当たりの置換基の数を意味する。3.0より大きいアンヒドログルコース単位当たりの最大置換度を有することができるHS−CMC(高固形分カルボキシメチルセルロース)エステル又は低分子量CMCエステルの場合のように特に記述がある場合を除いて、理論的最大置換度は3と仮定する。
【0012】
一実施態様において、前述の医薬として許容され得る塩は、O-A+及び−O(CH2)xC(O)O-A+[式中、A+は対イオンである]の構造をそれぞれ有する−OH及び−O(CH2)xC(O)OHの医薬として許容され得る塩を含む。対イオンの例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム又は銀のような一価無機陽イオン;マグネシウム、カルシウム、ニッケル、亜鉛、鉄、銅又はマンガンのような二価無機陽イオン;並びにアンモニウム及びアルキルアンモニウム対イオンが挙げられる。当業者には容易に理解できることであるが、対イオンA+は、分子全体にわたって同じであることも異なる対イオンの組合せを含むことも必ずしも必要ではない。
【0013】
一実施態様において、−OC(O)(アルキル)は、−OC(O)(C1〜C21アルキル)、例えば−OC(O)(C1〜C11アルキル)、−OC(O)(C1〜C5アルキル)又は−OC(O)(C1〜C3アルキル)から選ばれる。或いは、−OC(O)(C1〜C21アルキル)は、カルボキシアルキルセルロースエステルのC2〜C22エステルと称することもできる。
【0014】
一実施態様において、カルボキシアルキルセルロースエステルはカルボキシメチルセルロースエステルから選ばれる。カルボキシアルキルセルロースエステルの例としては、カルボキシメチルセルロースアセテートブチレート(CMCAB)(例えばEastman Chemical Company製のCMCAB−641−0.5)、高固形分CMCAB(HS−CMCAB)、カルボキシメチルセルロースブチレート(CMCB)、カルボキシメチルセルロースアセテートプロピオネート(CMCAP)、高固形分CMCAP(HS−CMCAP)、カルボキシメチルセルロースプロピオネート(CMCP)、カルボキシメチルセルロースアセテート(CMCA)、カルボキシメチルセルロースアセテートイソブチレート(CMCAiB)、カルボキシメチルセルロースイソブチレート(CMCiB)、カルボキシメチルセルロースアセテートブチレートスクシネート、カルボキシメチルセルロースアセテートブチレートマレエート、カルボキシメチルセルロースアセテートブチレートトリメリテートが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0015】
一実施態様において、前記の少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロースエステルは、−OC(O)CH2CH3のアンヒドログルコース当たりの置換度が1.5〜2.7の範囲であるカルボキシメチルセルロースプロピーオネートである。
【0016】
別の実施態様において、前記の少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロースエステルは、−OC(O)CH2CH2CH3のアンヒドログルコース当たりの置換度が1.5〜2.7の範囲であるカルボキシメチルセルロースブチレートである。
【0017】
更に別の実施態様において、前記の少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロースエステルは、−OC(O)CH3のアンヒドログルコース当たりの置換度が0.1〜2.65の範囲であり且つ−OC(O)CH2CH2H3のアンヒドログルコース当たりの置換度が0.1〜2.6の範囲であるカルボキシメチルセルロースアセテートプロピオネートである。
【0018】
別の実施態様において、前記の少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロースエステルは、−OC(O)CH3のアンヒドログルコース当たりの置換度が0.1〜1.65の範囲であり且つ−OC(O)CH2CH2H3のアンヒドログルコース当たりの置換度が0.1〜2.6の範囲であるカルボキシメチルセルロースアセテートブチレートである。
【0019】
一実施態様において、媒体は水、酸性緩衝剤水溶液、中性緩衝剤水溶液、塩基性緩衝剤水溶液並びに胃液(ペプシンを含む若しくは含まない)又は腸液(パンクレアチンを含む若しくは含まない)のような天然及び擬似体液から選ばれる。一実施態様において、媒体は医薬として許容され得る媒体から選ばれる。
【0020】
一実施態様において、「低溶解度」、「難溶性」及び「水難溶性」は、生物製剤学分類系(Biopharmaceutics Classification System(BCS))によって示されている。(Amidon,G.L.;Lennernas,H.;Shah,V.P.;Crison,J.R.”A Theoretical Basis for a Biopharmaceutic Drug Classification:The Correlation of in Vitro Drug Product Dissolution and in Vivo Bioavailability,Pharm.Res.1995,12(3)、413〜420;Lennernas,H.;Abrahamsson,B.”The Use of Biopharmaceutic Classification of Drugs in Drug Discovery and Development:Current Status and Future Extension”,J.Pharmacy and Pharmacology,2005,57(3),273〜285;u,C.-Y.;Benet,L.Z.,”Predicting Drug Disposition via Application of BCS:Transport/Absorption/Elimination Interplay and Development of a Biopharmaceutics Drug Disposition Classification System”,Pharm.Res.2005.22(1).11〜23;Dressman,J.:Butler,J.;Hempenstall,J.;Reppas,C.”The BCS:Where do we go from here?”Pharmaceutical Technology North America 2001,25(7),68〜76。)
【0021】
薬物のバイオアベイラビリティは、薬物又は薬剤の溶解度及び透過性という少なくとも2つの因子によって影響され得る。生物製剤学分類系(BCS)は、インビボにおける薬物の溶解度及び透過性に基づいて薬物のクラスの区別を行うのに使用できる。生物製剤学分類系は薬物の4つのケース(又はクラス)を規定している。これらのケース(又はクラス)は、クラス1、高溶解度−高透過性の薬物;クラス2、低溶解度−高透過性の薬物;クラス3、高溶解度−低透過性の薬物;及びクラス4、低溶解度−低透過性の薬物と定義されている。
【0022】
一実施態様において、前記の少なくとも1種の医薬活性剤は、BCSによれば、クラス2、即ち、低溶解度−高透過性の薬物に属する。
【0023】
別の実施態様において、前記の少なくとも1種の医薬製剤は、BCSによれば、クラス4、即ち、低溶解度−低透過性の薬物に属する。
【0024】
別の実施態様において、「低溶解度」、「難溶性」及び「水難溶性」は、薬剤1gを溶解するのに少なくとも10,000mLの水を必要とするものと定義する。
【0025】
一実施態様において、組成物は固体分散体(固溶体としても知られる)を含み、即ち、前記の少なくとも1種の医薬活性剤がポリマー担体中に分散される。理論によって拘束されるものではないが、ポリマー担体は薬物の結晶構造を乱すことができ、これにより結晶格子エネルギーを低下させることができる。原薬を溶解させるのに必要なエネルギーを低下させることができ、その結果、溶解速度の増大、ひいては医薬活性剤のバイオアベイラビリティの増大をもたらすことができる。
【0026】
一実施態様において、固体分散体中では、医薬活性剤の実質的に全ての結晶性がポリマー担体によって抑制される。一実施態様において、医薬活性剤は結晶化度%が20%未満、例えば15%未満、10%未満、5%未満、3%未満又は1%未満である。一実施態様において、医薬活性剤は非晶質である。一実施態様において、医薬活性剤とポリマー担体を含む固体分散体にはX線によって結晶性が検出されない。
【0027】
一実施態様において、ポリマー担体は前記の少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロースエステルを含む。一実施態様において、このカルボキシアルキルセルロースエステル担体は親水性化合物又はポリマーのような他の従来の担体とブレンドすることができる。担体の例としては、場合によっては水溶性である生理的に不活性な化合物、例えばポリエチレングリコール、例えば、米国特許第6,197,787号に開示されたものが挙げられる。前記の少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロースエステルと合することができる他の添加剤としては、セルロース及びその誘導体、例えば微結晶性セルロース(MCC)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのコポリマー、ポリ(ビニルピロリドン)、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、澱粉、デキストラン、デキストリン、キトサン、コラーゲン、ゼラチン、ブロメライン、セルロースアセテート、非可塑化セルロースアセテート、可塑化セルロースアセテート、強化セルロースアセテート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロース=アセテート=スクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロース=アセテート=トリメリテート、セルロースナイトレート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、寒天アセテート(agar acetate)、アミローストリアセテート、β−グルカンアセテート、β―グルカントリアセテート、アセトアルデヒドジメチルアセテート、セルロースアセテートエチルカルバメート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートメチルカルバメート、セルロースアセテートスクシネート、セルロースアセテートジメタミノアセテート、セルロースアセテートエチルカーボネート、セルロースアセテートクロロアセテート、セルロースアセテートエチルオキサレート、セルロースアセテートメチルスルホネート、セルロースアセテートブチルスルホネート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートp−トルエンスルホネート、ローカストビーンガムのトリアセテート、アセチル化ヒドロキシエチルセルロースを含むセルロースアセテート、ヒドロキシル化エチレン−ビニルアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリアルカン、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリスチレン、ポリビニルエーテルハライド、ポリビニルエステル及びエーテル、天然ワックス及び合成ワックスが挙げられる。
【0028】
固体分散体は、同時蒸発(噴霧乾燥、回転蒸発(rotovapping)、フィルム流延など)、フリーズドライ(凍結乾燥)、共沈(フレーク沈澱、粉末沈澱など)、溶融ブレンド、溶融押出、共磨砕及びロール混合並びに無溶剤法のような当業界で知られた任意の方法によって製造できる。
【0029】
例となる2つの方法には、融合法及び溶剤法がある。融合法では、薬物を溶融担体(カルボキシアルキルセルロースエステル)中に溶解させ、混合物を冷却して固体を形成する。溶剤法では、薬物と担体とを溶剤中に溶解させた後に、蒸発、噴霧乾燥、フリーズドライ又は共沈によって溶剤を除去する。
【0030】
一実施態様において、固体分散体組成物の製造は、カルボキシアルキルセルロースエステル(例えばCMCAB、CMCAP又はCMCA)のようなポリマー担体を適当な容器中に量り入れることを含み、適当な溶剤をこの容器に加えて前記カルボキシアルキルセルロースエステルを溶解させる。薬物は別個の容器中で適用な溶剤に溶解させる。場合によっては、添加剤(例えば界面活性剤、分散剤など)を別の容器中で適当な溶剤に溶解させる。所望の固体分散体の全成分を1つの容器中に合して、充分に混合する。次に、非溶剤(例えば水)中への共沈、同時蒸発、噴霧乾燥又はフリーズドライのうちの1つの方法によって、固体分散体を生成させる。
【0031】
一実施態様において、共沈は、有機溶剤中に溶解させたポリマー担体(例えばカルボキシアルキルセルロースエステル)及び薬物(例えば難溶性薬物)並びに場合によっては1種又はそれ以上の他の添加剤を含む溶液又は混合物を水性非溶剤と合して、この有機溶液/混合物から、ポリマー担体、医薬活性剤及び場合によっては1種又はそれ以上の他の添加剤の均質混合物である沈殿物を生成させることを記載するのに用いる一般用語である。共沈法の2つの例としてフレーク沈澱及び粉末沈澱が挙げられる。
【0032】
フレーク沈澱は、セルロースエステル化学の当業者に知られた方法であって、水性非溶剤中にポリマー/薬物/溶剤混合物(即ちドープ)の細流を加えることによって行うことができる。用語「フレーク沈澱」は、この方法によって形成される沈殿物の典型的な外観に由来している。当業者ならば、多くのプロセス変数(例えば温度、添加速度、混合速度、有機混合物中の固形分濃度、非溶剤のpH、沈殿混合物中の有機溶剤含量、硬化時間など)を調整して、共沈物の物理的性質(即ち形態、粒度など)、共沈物の組成及びおそらくは固体分散体の溶解プロフィールを修正できることがわかる。
【0033】
粉末沈澱は、セルロースエステル化学の当業者に知られた方法であって、適切に混合しながら適切な温度を用いてポリマー/薬物/溶剤混合物(即ちドープ)に水性非溶剤を添加することによって実施する。用語「粉末沈澱」は、この方法によって形成される沈殿物の典型的な外観に由来する。当業者ならば、多くのプロセス変数(例えば温度、添加速度、混合速度、有機混合物中の固形分濃度、非溶剤のpH、沈殿混合物中の有機溶剤含量、硬化時間など)を調整して、同時蒸発物の物理的性質(即ち形態、粒度など)、同時蒸発物の組成及びおそらくは固体分散体の溶解プロフィールを修正できることがわかる。
【0034】
一実施態様において、同時蒸発は、揮発性有機溶剤又は溶剤混合物中に溶解させたポリマー担体(例えばカルボキシアルキルセルロースエステル)及び薬物(例えば難溶性薬物)並びに場合によっては1種又はそれ以上の他の添加剤を含む溶液又は混合物から溶剤を除去して、有機溶液/混合物の不揮発性成分の均質混合物(即ち固体分散体)である沈殿物を生成させることを記載するのに用いる一般用語である。本発明の組成物の製造に使用する3つの同時蒸発方法は、減圧下における回転蒸発、フィルム形成(即ち、大気圧における混合を伴わない蒸発)及び噴霧乾燥である。
【0035】
減圧下における回転蒸発は、当業者には理解されているように、回転蒸発及び真空蒸留を含む(これらに限定するものではないが)多くの方法によって実施できる。
【0036】
一実施態様においては、大気圧における蒸留を固体分散体組成物の製造に使用できる。
【0037】
一実施態様において、固体分散体組成物は、フィルム形成による同時蒸発によって製造できる。フィルム形成による同時蒸発は、薬物/担体/添加剤/溶剤混合物のフィルムを流延し、そして室温及び大気圧において溶剤の蒸発時にフィルムを形成させることによって実施できる。当業者ならば、大規模の方法から商業規模の方法までの、フィルム形成を実施するための多くの手段があること、及び蒸発速度、温度、圧力及び湿度のような種々のプロセスパラメーターの変更が形成されるフィルムの形態に影響を与え且つこの方法によって製造される固体分散体の性能(即ち放出プロフィール)を変化させ得ることがわかる。
【0038】
一実施態様において、固体分散体組成物は噴霧乾燥によって製造できる。当業者ならば、この方法によって生成される固体分散体の性質を変性するためにプロセスパラメーターの選択を使用できることがわかる。
【0039】
一実施態様において、本明細書中に開示した組成物は、医薬活性剤単独の溶解速度よりも増大した溶解速度を示す。
【0040】
一実施態様において、本明細書中に開示した組成物は、医薬活性剤単独の放出プロフィールよりも持続的な放出プロフィールを示す。一実施態様において、「持続的な放出(sustained release)」は、ある期間にわたる、例えば少なくとも4時間、例えば4〜24時間、12〜24時間、6〜12時間又は更には24時間より長い時間、例えば1〜5日にわたる医薬活性剤の持続的な送達(即ち、実質的に連続的な放出)を意味する。
【0041】
一実施態様において、本明細書中に開示した組成物は、医薬活性剤のみがほぼ直ちに放出される、ほぼゼロ次の放出プロフィールを示す。一実施態様において、「ゼロ次の放出」は、ある期間にわたる、放出された医薬活性剤の実質的に直線的なプロットによって示される持続的な放出の1つのタイプである。ここで、「実質的に直線的な」は、一定の時間にわたる少なくとも0.8,例えば少なくとも0.9又は少なくとも0.95の相関係数(R)を意味する。
【0042】
一実施態様において、水性媒体のような医薬として許容され得る媒体中で、組成物は目標pHにおいて医薬活性剤の放出を示す。一実施態様において、目標pHは少なくとも5、例えば少なくとも6又は少なくとも6.5である。一実施態様において、医薬活性剤の放出は胃液のpH(例えば約1.2)においては停止されるか又は非常に遅い速度まで低下されるが、腸のpH(例えば6.8)ではここに記載した放出が起こる。
【0043】
一実施態様において、ポリマー担体は水膨潤性である、即ち、中性又は塩基性の値に近いpHレベルのような水への暴露時にポリマー担体は体積を増大させることができる。一実施態様において、水及びpHへの所望の応答性を得るために、カルボキシ(C1〜C3)アルキルセルロースエステルを修正することができる。例えば、このカルボキシアルキルセルロースエステルの酸価を増大させると、水により感受性のポリマーを生成することができ、最終的には水溶性のカルボキシ(C1〜C3)アルキルセルロースエステルを生成できるであろう。或いは、カルボキシアルキルセルロースエステルは以下:主鎖のヒドロキシル含量の増大、長鎖エステルの短鎖エステルへの置き換え(例えばブチル分をアセチル分に置き換える)且つ/又はセルロースの分子量の低下のうちの1つを実施することによってより水溶性にすることができる。
【0044】
一実施態様において、前記の少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロースエステルは、WO 04/83253に記載されたような低分子量を有する。この特許の開示を引用することによって本明細書中に組み入れる。
【0045】
一実施態様において、カルボキシアルキルセルロースエステルの組成の変更は、それと溶剤、薬物、医薬添加剤及び他のポリマーとの相互作用の仕方に影響を与えることができる。一実施態様において、特定の薬物及び任意の添加剤に対する適切なポリマー組成の選択は、溶解度パラメーターを用いてポリマー担体、薬物及び任意の添加剤の「相溶性」を判定することによって助けることができる。
【0046】
本明細書中で使用する「医薬活性剤」は、状態又は疾病を治療又は予防することができる、生物活性のある有機化合物、バイオロジカル化合物(biological compound)並びにそれらの組合せ及びブレンドを意味する。
【0047】
一実施態様において、医薬活性剤は、例えば鎮痛薬、抗炎症薬、駆虫薬、抗不整脈薬、抗生物質(ペニシリン類を含む)、抗凝血薬、抗うつ薬、抗糖尿病薬、抗てんかん薬、抗ヒスタミン薬、抗高血圧薬、抗ムスカリン様作用薬、抗ミコバクテリア薬、抗新生物薬、免疫抑制薬、抗甲状腺薬、抗ウイルス薬、抗不安鎮静薬(催眠薬及び神経弛緩薬)、収斂薬、β−アドレナリン受容体遮断薬、血液製剤及び代用血液、心臓変力薬(強心薬)、造影剤、コルチコステロイド、鎮咳薬(去痰薬及び粘液溶解薬)、診断用薬、画像診断用薬、利尿薬、ドーパミン作動薬(抗パーキンソン病薬)、止血薬、免疫薬、脂質調節薬、筋肉弛緩薬、副交感神経興奮薬、副甲状腺カルシトニン及びビホスホネート、プロスタグランジン類、放射性医薬品、性ホルモン(ステロイドを含む)、抗アレルギー薬、興奮薬及び食欲抑制薬、交感神経興奮薬、甲状腺薬、血管拡張薬並びにキサンチン類を含む薬物の種類から選ばれたもののような、当業界において知られた任意の適当な薬物から選ばれることができる。
【0048】
鎮痛薬及び抗炎症薬の例としては、アロキシプリン、オーラノフィン、アザプロパゾン、ベノリレート、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェンブフェン、フェノプロフェンカルシム、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、メクロフェナム酸、メフェナム酸、ナブメトン、ナプロキセン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スリンダクが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0049】
抗不整脈薬の例としては、塩酸アミオダロン、ジソピラミド、酢酸フレカイニド、硫酸キニジンが挙げられる。
【0050】
抗細菌薬及び抗ニューモシスチス薬の例としては、アクトバクオン、アジスロマイシン、ベネタミンペニシリン、シノキサシン、塩酸シプロフロキサシン、クラリスロマイシン、クロファジミン、クロキサシリン、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、エリスロマイシン、エチオナミド、イミペネム、ナリジクス酸、ニトロフラントイン、リファンピン、リファンピシン、スピラマイシン、スルファベンズアミド、スルファドキシン、スルファメラジン、スルファセタミド、スルファジアジン、スルファフラゾール、スルファメチゾール、スルファメトキサゾール、スルファピリジン、テトラサイクリン、トリメトプリムが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0051】
抗凝血薬の例としては、ジクマロール、ジピリダモール、ニクマロン(nicoumalone)、フェンインジオンが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0052】
抗うつ薬の例としては、アモキサピン、塩酸マプロチリン、塩酸ミアンセリン、塩酸ノルトリプチリン、塩酸トラゾドン、マレイン酸トリミプラミンが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0053】
抗糖尿病薬の例としては、アセトヘキサミド、クロロプロマミド、グリクラジド、グリピジド、グリブリド、トラザミド、トルブタミド、トログリタゾンが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0054】
抗てんかん薬との例としては、ベクラミド、カルバマゼピン、クロナゼパム、エトトイン、メトイン(methoin)、メトスクシミド、メチルフェノバルビトン、オクスカルバゼピン(oxcarbazepine)、パラメタジオン、フェナセミド、フェノバルビトン、フェニトイン、フェンスクシミド、プリミドン、スルチアム、バルプロ酸が挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0055】
抗真菌薬の例としては、アンフォテリシン、硝酸ブトコナゾール、クロトリマゾール、硝酸エコナゾール、フルコナゾール、フルシトシン、グリセオフルビン、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、ナタマイシン、ナイスタチン、ポサコナゾール、硝酸スルコナゾール、塩酸テルビナフィン、テルコナゾール、チオコナゾール、ウンデセン酸が挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0056】
抗痛風薬の例としては、アロプリノール、プロベネシド、スルフィンピラゾンが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0057】
駆虫薬の例としては、アルベンダゾール、ビフェニウムヒドロキシナフトエート、カンベンダゾール、ジクロロフェン、イベルメクチン、メベンダゾール、ニクロサミド、オキサムニキン、オクスフェンダゾール、エンボン酸オキサンテル、プラジカンテル、エンボン酸ピランテル、チアベンダゾールが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0058】
抗高血圧薬の例としては、アムロジピン、アテノロール、ベニジピン、ダロジピン、塩酸ジリタゼム、ジアゾキシド、フェロジピン、酢酸クアナベンズ(quanabenz acetate)、イスラジピン、ミノキシジル、塩酸ニカルジピン、ニフェジピン、ニモジピン、塩酸フェノキシベンザミン、塩酸プラゾシン、レセルピン、塩酸テラゾシン、ベラパミル、塩酸ベラパミルが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0059】
抗高コレステロール血症薬、抗高リポタンパク血症薬及び脂質調節剤の例としては、アトロバスタチン、ベザフィブラート、クロフィブラート、エトフィブラート、フェノフィブラート、フルバスタチン、ゲムフィブロジル、ロバスタチン、プラバスタチン、プロブコール、シンバスタチンが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0060】
抗マラリア薬の例としては、アモジアキン、クロロキン、塩酸クロルプログアニル、塩酸ハロファントリン、塩酸メフロキン、塩酸プログアニル、ピリメタミン、硫酸キニーネが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0061】
抗片頭痛薬の例としては、メシル酸ジヒドロエルゴタミン、酒石酸エルゴタミン、マレイン酸メチセルギド、マレイン酸ピゾチフェン、コハク酸スマトリプタンが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0062】
抗ムスカリン様作用薬の例としては、アトロピン、塩酸ベンズヘキソール、ビペリデン、塩酸エトプロパジン、ヒヨスチアミン、臭化メペンゾラート、塩酸オキシフェンシルシミン(oxyphencylcimine HCL)、トロピカミドが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0063】
抗新生物薬及び免疫抑制薬の例としては、アミノグルテチミド、アムサクリン、アザチオプリン、ブーサルファン、クロラムブシル、シクロスポリン、ダカルバジン、ドセタキセル、エストラムスチン、エトポシド、イリノテカン、ロムスチン、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトタン、ミトザントロン、パクリタキセル、塩酸プロカルバジン、ラパマイシン、タモキシフェン、クエン酸タモキシフェン、テストラクトンが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0064】
抗骨粗鬆症薬の例としては、ラロキシフェンが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0065】
抗原虫薬の例としては、ベンズニダゾール、クリオキノール、デコキネート、ジヨードヒドロキシキノリン、ジロキサニドフロエート、ジニトルミド、フルゾリドン(furzolidone)、メトロニダゾール、ニモラゾール、ニトロフラゾン、オルニダゾール、チニダゾールが挙げられるが、これらに限定するものはない。
【0066】
抗甲状腺薬の例としては、カルビマゾール、プロピルチオウラシルが挙げられるが、これらに限定するものはない。
【0067】
抗ウイルス薬の例としては、アシクロビル、ネルフィナビル、ネビラピン、サキナビルが挙げられるが、これらに限定するものはない。
【0068】
抗不安薬、鎮静薬、催眠薬及び神経遮断薬の例としては、アルプラゾラム、アミロバルビトン、バルビトン、ベンタゼパム、ブロマゼパム、ブロムペリドール、ブロチゾラム、ブトバルビトン、カルブロマール、クロルジアゼポキシド、クロルメチアゾール、クロルプロマジン、クロバザム、クロチアゼパム、クロザピン、ジアゼパム、ドロペリドール、エチナメート、フルナニゾン(flunanisone)、フルニトラゼパム、フルオプロマジン、デカン酸フルペンチキソール、デカン酸フルフェナジン、フルラゼパム、ハロペリドール、ロラゼパム、ロルメタゼパム、メダゼパム、メプロバメート、メタカロン、ミダゾラム、ニトラゼパム、オキサゼパム、ペントバルビトン、ペルフェナジンピモジド、プロクロルペラジン、スルピリド、テマゼパム、チオリダジン、トリアゾラム、ゾピクロンが挙げられるが、これらに限定するものはない。
【0069】
β−遮断薬の例としては、アセブトロール、アルプレノロール、アテノロール、ラベタロール、メトプロロール、オクスプレノロール、ピンドロール、プロプラノロールが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0070】
心臓変力薬(強心薬)の例としては、アムリノン、ジギトキシン、ジゴキシン、エノキシモン、ラナトシドC、メジゴキシンが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0071】
コルチコステロイドの例としては、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ベタメタゾン−17−バレレート、ブデソニド、酢酸コルチゾン、デスオキシメタゾン、デキサメタゾン、酢酸フルドロコルチゾン、フルニソリド、フルコルトロン、プロピオン酸フルチカゾン、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン−21−ヘミスクスネート、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロンが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0072】
利尿薬の例としては、アセタゾールアミド、アミロリド、ベンドロフルアジド、ブメタニド、クロロチアジド、クロルタリドン、エタクリン酸、フルセミド、メトラゾン、スピロノラクトン、トリアムテレンが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0073】
抗パーキンソン病薬の例としては、メシル酸ブロモクリプチン、マレイン酸リスリド(lysuride maleate)が挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0074】
胃腸薬の例としては、ビサコジル、シメチジン、シサプリド、塩酸ジフェノキシレート、ドンペリドン、ファモチジン、ロペラミド、メサラジン、ニザチジン、オメプラゾール、塩酸オンダンセトロン、塩酸ラニチジン、スルファサラジンが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0075】
ヒスタミンH−受容体拮抗薬の例としては、アクリバスチン、アステミゾール、シンナリジン、シクリジン、塩酸シプロヘプタジン、ジメンヒドリナート、塩酸フルナリジン、ロラタジン、塩酸メクロジン、オキサトミド、テレナジン(terrenadine)が挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0076】
ナイトレート類及び他の抗狭心症薬の例としては、硫酸アミル、トリニトログリセリン、二硝酸イソソルビド、一硝酸イソソルビド、四硝酸ペンタエリスリトールが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0077】
栄養剤の例としては、β−カロチン、ビタミンA、ビタミンB2、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0078】
オピオイド鎮痛薬の例としては、コデイン、デキストロプロピオキシフェン、ジアモルフィン、ジヒドロコデイン、メプタジノール、メタドン、モルヒネ、ナルブフィン、ペンタゾシンが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0079】
ホルモンの例としては、クエン酸クロミフェン、ダナゾール、エチニルエストラジオール、酢酸メドロキシプロゲステロン、メストラノール、メチルテストステロン、ノルエチステロン、ノルゲストレル、エストラジオール、結合型エストロゲン、プロゲステロン、スタノゾロール、スチボエストロール(stiboestrol)、テストステロン、プロピオン酸テストステロン、チロキシンが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0080】
興奮薬の例としては、アンフェタミン、デキサンフェタミエン、デクスフェンフルラミン、フェンフルラミン、マジンドールが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0081】
診断用薬の例としては、イオパン酸が挙げられるが、これに限定するものではない。
【0082】
一実施態様において、前記医薬活性剤は、フェニトイン、カルバマゼピン、グリブリド及びグリセオフルビンから選ばれる。
【0083】
一実施態様において、前記医薬活性剤は、経口投与用の薬剤から選ばれる。これらのクラスの薬物の説明及び各クラス内の種の一覧は、Martindale,the Extra Pharmacopoeia,Thirty-fourth Edition,the Pharmaceutical Press,London,2005に記載されており、この開示を引用することによって本明細書中に組み入れる。原薬は市販されており且つ/又は当業界で知られた方法によって製造できる。
【0084】
例えばRoberts et al.,Nutraceuticals:The Complete Encyclopedia of Supplements,Herbs,Vitamins,and Healing Foods(American Nutraceutical Association,2001)(これを引用によって本明細書中に具体的に組み入れる)に開示されたような栄養補助食品及びダイエットサプリメントの例示も含めることができる。植物化学物質又は機能性食品としても知られる栄養補助食品又はダイエットサプリメントは一般にダイエットサプリメント、ビタミン類、ミネラル、ハーブ、又は身体に医療効果又は薬剤効果を及ぼす治療的食品の種類の任意の1つである。栄養補助食品又はダイエットサプリメントの例としては、葉酸、脂肪酸(例えばDHA及びARA)、果実及び野菜エキス、ビタミン及びミネラルサプリメント、ホスファチジルセリン、リポ酸、メラトニン、グルコサミン/コンドロイチン、アロエベラ(Aloe Vera)、グッグル(Guggul)、グルタミン、アミノ酸(例えばイソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン及びバリン)、緑茶、リコピン、自然食品、食品添加物、ハーブ、フィトニュートリエント(植物栄養素)(phytonutrient)、抗酸化物質、果実のフラボノイド成分、月見草油、アマニ油、魚油及び海産動物油、並びにプロバイオティクスが挙げられるが、これらに限定するものではない。栄養補助食品及びダイエットサプリメントは、ファルマフードとしても知られる、所望の性質を有するように遺伝子組み換えが行われた遺伝子組み換え食品(バイオ食品)も含む。
【0085】
一実施態様において、医薬組成物は少なくとも1種の医薬として許容され得る添加剤、結合剤、充填剤、滑沢剤、懸濁化剤、甘味剤、矯味矯臭剤、保存剤、緩衝剤、湿潤剤、崩壊剤、発泡剤、界面活性剤、可塑剤及び他の賦形剤を含むことができる。このような賦形剤は当業界で知られている。
【0086】
結合剤の例としては、炭水化物、天然型又は処理型の澱粉、脂質、ろう及び脂肪が挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0087】
充填剤の例はラクトース一水和物、無水ラクトース、マンニトール及び種々の澱粉であり;結合剤の例は種々のセルロース及び架橋ポリビニルピロリドン、微結晶性セルロース、例えばAvicel(登録商標)PH101及びAvicel(登録商標)PH102、微結晶性セルロース、及びケイ化微結晶性セルロース(SMCC)である。
【0088】
圧縮しようとする粉末の流動性に影響を与える物質を含む適当な潤沢剤は、コロイド状二酸化珪素、例えばAerosil(登録商標)200、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム及びシリカゲルである。
【0089】
甘味剤の例は、任意の天然又は人口甘味剤、例えばスクロース、キシリトール、サッカリンナトリウム、チクロ(シクラメート)、アスパルテーム及びアクスルフェーム(acsulfame)である。矯味矯臭剤の例は、Magnasweet(登録商標)(MAFCOの商標)、バブルガムフレーバー及びフルーツフレーバーなどである。
【0090】
矯味矯臭剤の例としては、Magnasweet(登録商標)(MAFCOの商標)、バブルガムフレーバー及びフルーツフレーバーが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0091】
保存剤の例は、ソルビン酸カリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸及びその塩、ブチルパラベンのようなパラヒドロキシ安息香酸の他のエステル、エチルアルコール若しくはブチルアルコールのようなアルコール類、フェノールのようなフェノール系化合物、又は塩化ベンザルコニウムのような四級化合物である。
【0092】
適当な希釈剤には、医薬として許容され得る不活性充填剤、例えば微結晶性セルロース、ラクトース、第二燐酸カルシウム、サッカライド(糖類)、及び/又は前記のいずれかの混合物などがある。稀釈剤の例としては、微結晶性セルロース、例えばAvicel(登録商標)PH101及びAvicel(登録商標)PH102;ラクトース、例えばラクトース一水和物、無水ラクトース及びPharmatose(登録商標)DCL21;第二燐酸カルシウム、例えばEmcompress(登録商標);マンニトール;澱粉;ソルビトール;スクロース;及びグルコースが挙げられる。
【0093】
崩壊剤の例としては、軽度に架橋したポリビニルピロリドン、コーンスターチ、ジャガイモ澱粉、トウモロコシ澱粉及び加工澱粉、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、澱粉グリコール酸ナトリウム(sodium starch glycolate)並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0094】
発泡剤の例は、有機酸と炭酸塩又は炭酸水素塩のような発泡性の対である。適当な有機酸としては、例えばクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、コハク酸及びアルギン酸並びに無水物及び酸塩が挙げられる。適当な炭酸塩及び炭酸水素塩としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸マグネシウム、ナトリウムグリシンカーボネート、炭酸L−リジン及び炭酸アルギニンが挙げられる。或いは、前記の発泡性の対の酸成分のみが存在することもできる。
【0095】
本発明において使用できる可塑剤の例としては、フタル酸ジエチル、トリアセチン、クエン酸トリエチル、PEG 400、ヒマシ油、プロピレングリコール、グリセリン、低分子量ポリエチレングリコール、界面活性剤、並びに有機酸エステル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、安息香酸ベンジル、クロロブタノール、ジアセチル化モノグリセリド、セバシン酸ジブチル、鉱油とラノリンアルコール類、ペトロラタムとラノリンアルコール類が挙げられる。
【0096】
可塑剤の更なる例としては、米国特許出願公開第2003/0171458号及び第2005/0228084号に記載されたもの(これらに限定するものではないが)のような炭水化物及びポリオールのエステル、例えばグルコースペンタプロピオネート、α−グルコースペンタアセテート、β−グルコースペンタアセテート、α−グルコースペンタプロピオネート、β−グルコースペンタプロピオネート、α−グルコースペンタブチレート及びβ−グルコースペンタブチレート、キシリトールアセテート、キシリトールプロピオネート、キシリトールブチレート、ソルビトールアセテート、ソルビトールプロピオネート、ソルビトールブチレート、マンニトールアセテート、マンニトールプロピオネート、マンニトールアセテートが挙げられる。
【0097】
本発明において使用する可能性がある、医薬用途において一般に使用されていても又は使用されていなくてもよい可塑剤の更なる例としては、Eastman DMP、Eastman DEP、Eastman DBP、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジヘキシル、Eastman DOP、C6〜C10直鎖フタレート、C7〜C11 70%直鎖フタレート、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジトリデシル、Eastman DUP、Eastman TXIB、Eastmanトリアセチン、Eastman DOA、アセライン酸ジオクチル、Eastman TEG−EH、エポキシ化タレート、Eastman TOTM、Eastman 425、トリメリット酸トリイソオクチル、トリメリット酸トリイソノニル、Eastman 16、Eastman EPZ、エポキシ化大豆油、Eastman PA−6が挙げられる。
【0098】
本発明において使用する可能性がある四級アンモニウム化合物の例としては、ジ−N−アルキル(C8〜C18;ココナツ油由来の)ジメチルアンモニウムクロリド、ジメチルジアルキルアンモニウムクロリド及びポリ(ジビニルベンゼン−コ−トリメチル(ビニルベンジル)アンモニウムクロリド)が挙げられる。
【0099】
本発明の組成物中に含ませる可能性がある他の成分の例としては、アミン及びアミノ誘導体、キトサンを含む(これに限定するものではないが)アミン含有ポリマー、キチンを含む(これに限定するものではないが)アミド含有ポリマーが挙げられる。
【0100】
本発明の組成物中に含ませることができる他の任意の成分は、酸化防止剤、例えばトコフェロール、酢酸トコフェロール、パルミチン酸アスコルビル、アスコルビン酸、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール及び没食子酸プロピル;pH安定剤、例えばクエン酸、酒石酸、フマル酸、酢酸、グリシン、アルギニン、リジン及び燐酸水素カリウム;増粘剤及/懸濁化剤、例えば硬化植物油(水素化植物油)、蜜ろう、コロイド状二酸化珪素、ゴム、セルロース類、シリケート類、ベントナイト;矯味矯臭剤、例えばチェリー、レモン及びアニシードフレーバー;甘味剤、例えばアスパルテーム、サッカリン及びチクロなどである。
【0101】
一実施態様において、前記の少なくとも1種の添加剤は、ビタミンE TPGS、スクロースアセテートイソブチレート(SAIB)、グルコースペンタプロピオネート(GPP)、フタル酸ジエチル(DEP)、トリアセチン、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween 80)又はドデシル硫酸ナトリウム(SDS)から選ばれる。
【0102】
別の実施態様において、前記の少なくとも1種の添加剤は、ビタミンE TPGS、SAIB、グルコースペンタプロピオネート、DEP、トリアセチン、Tween 80又はドデシル硫酸ナトリウム、ラクトース一水和物、無水ラクトース、マンニトール及び種々の澱粉から選ばれ;結合剤の例は、種々のセルロース類及び架橋ポリビニルピロリドン、微結晶性セルロース、例えばAvicel(登録商標)PH101及びAvicel(登録商標)PH102、微結晶性セルロース、ケイ化微結晶性セルロース(SMCC)、コロイド状二酸化珪素、例えばAerosil(登録商標)200;タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、シリカゲル、スクロース、キシリトール、サッカリンナトリウム、チクロ、アスパルテーム及びアクスルフェームである。矯味矯臭剤の例は、Magnasweet(登録商標)(MAFCOの商標)、バブルガムフレーバー、フルーツフレーバー、ソルビン酸カリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸及びその塩、パラヒドロキシ安息香酸の他のエステル、例えばブチルパラベン、アルコール類、例えばエチルアルコール若しくはベンジルアルコール、フェノール系化合物、例えばフェノール、又は四級化合物、例えば塩化ベンザルコニウム、微結晶性セルロース、ラクトース、第二燐酸カルシウム、糖類、及び/又は前記のいずれかの混合物である。希釈剤の例としては、微結晶性セルロース、例えばAvicel(登録商標)PH101及びAvicel(登録商標)PH102、ラクトース、例えばラクトース一水和物、無水ラクトース、及びPharmatose(登録商標)DCL21、第二燐酸カルシウム、例えばEmcompress(登録商標)、マンニトール、澱粉、ソルビトール、スクロース、グルコース、軽度に架橋したポリビニルピロリドン、コーンスターチ、ジャガイモ澱粉、トウモロコシ澱粉及び加工澱粉、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、澱粉グリコール酸ナトリウムが挙げられる。適当な有機酸としては、例えばクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、コハク酸及びアルギン酸並びに無水物及び酸塩が挙げられる。適当な炭酸塩及び炭酸水素塩としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸マグネシウム、ナトリウムグリシンカーボネート、L炭酸−リジン及びア炭酸アルギニン、α―シクロデキストリン、β−シクロデキストリン及びγ―シクロデキストリンが挙げられる。シクロデキストリン誘導体のより具体的な例としては、ヒドロキシプロピル−α−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン、メチル−α−シクロデキストリン、メチル−β−シクロデキストリン、メチル−γ−シクロデキストリン、エチル−α−シクロデキストリン、エチル−β−シクロデキストリン、エチル−γ−シクロデキストリン、ヒドロキシブテニル−α−シクロデキストリン、ヒドロキシブテニル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシブテニル−γ−シクロデキストリン、ヒドロキシブチル−α−シクロデキストリン、ヒドロキシブチル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシブチル−γ−シクロデキストリン、スルホブチル−α−シクロデキストリン、スルホブチル−β−シクロデキストリン、スルホブチル−γ−シクロデキストリン、スルホブテニル−α−シクロデキストリン、スルホブテニル−β−シクロデキストリン、スルホブテニル−γ−シクロデキストリン;α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン及びγ−シクロデキストリンの有機エステル(前記有機エステルは個別のC1〜C20有機酸エステル又はC1〜C20有機酸エステルの混合物であることができ且つ前記シクロデキストリンは完全エステル化又は部分エステル化されていることができる)が挙げられる。フタル酸ジエチル、トリアセチン、クエン酸トリエチル、PEG 400、ポリエチレングリコール、ヒマシ油、プロピレングリコール、グリセリン、低分子量ポリエチレングリコール、界面活性剤、及び有機酸エステル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、安息香酸ベンジル、クロロブタノール、ジアセチル化モノグリセリド、セバシン酸ジブチル、鉱油とラノリンアルコール類、ペトロラタムとラノリンアルコール類、グルコースペンタプロピオネート、α−グリコースペンタアセテート、β−グリコースペンタアセテート、α−グルコースペンタプロピオネート、β−グルコースペンタプロピオネート、α−グルコースペンタブチレート及びβ−グルコースペンタブチレート、キシリトールアセテート、キシリトールプロピオネート、キシリトールブチレート、ソルビトールアセテート、ソルビトールプロピオネート、ソルビトールブチレート、マンニトールアセテート、マンニトールプロピオネート、マンニトールアセテート、ジ−N−アルキル(C8〜C18;ココナッツ由来)ジメチルアンモニウムクロリド、ジメチルジアルキルアンモニウムクロリド及びポリ(ジビニルベンゼン−コ−トリメチル(ビニルベンジル)アンモニウムクロリド)、アミン及びアミノ誘導体、アミン含有ポリマー、キトサン、トコフェロール、酢酸トコフェロール、パルミチン酸アスコルビル、アスコルビン酸、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール及び没食子酸プロピル;pH調整剤、例えばクエン酸、酒石酸、フマル酸、酢酸、グリシン、アルギニン、リジン及び燐酸水素カリウム;増粘剤/懸濁化剤、例えば硬化植物油、蜜ろう、コロイド状二酸化珪素、ゴム、セルロース類、シリケート類、ベントナイト;矯味矯臭剤、例えばチェリー、レモン及びアニシードフレーバー;甘味剤、アスパルテーム、サッカリン及びチクロ。
【0103】
医薬組成物は、例えば錠剤、カプレット剤、硬ゼラチンカプセル剤及び軟ゼラチンカプセル剤、非ゼラチン系カプセル剤、粉剤及びスプリンクル剤から選ばれた剤形を含む種々の形態を取ることができる。組成物は経口剤形に製剤化できる。別の実施態様において、組成物は直腸内投与、腟内投与、注射投与、肺内投与、鼻腔内投与、口腔内投与、局所投与、嚢内投与、腹腔内投与、眼内投与、耳内投与、口腔内噴霧投与、又は鼻内噴霧投与用に製剤化できる。
【0104】
一実施態様において、医薬組成物が錠剤の形態である場合には、組成物は錠剤を形成するために充分に圧縮可能である。一実施態様において、組成物は少なくとも10psiの圧縮力に少なくとも10秒間、例えば少なくとも100psiの圧縮力に少なくとも10秒間、例えば少なくとも1000psiの圧力に少なくとも10秒間耐えることができる。
【0105】
本明細書中に開示した製剤は、噴霧乾燥、噴霧造粒、流動床造粒、高剪断造粒、流動床乾燥、凍結乾燥、錠剤化、ジェット製粉、ピン製粉、湿式製粉、回転造粒及び噴霧コーティングから選ばれた少なくとも1つの方法を用いて製造できる。
【0106】
一実施態様において、組成物は、
(a)前記組成物中の(a)と(b)の総重量に基づき、0.1〜99重量%の範囲の量の少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロースエステル;
(b)前記組成物中の(a)と(b)の総重量に基づき、0.1〜99重量%の範囲の量の少なくとも1種の1種の医薬活性剤;及び
(c)前記組成物中の(a)、(b)及び(c)の総重量に基づき、0〜50重量%の範囲の量の可塑剤及び流動助剤から選ばれた少なくとも1種の添加剤;
(d)アセトン、エタノール、酢酸エチル、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド若しくは水を含む(これらに限定するものではないが)有機溶剤、水性溶剤又は溶剤混合物
を含んでなり、(a)と(b)の総重量は、(a)、(b)、(c)及び(d)の総重量の約5〜95重量%である。
【0107】
別の実施態様において、組成物は、
(a)フェノール/テトラクロロエタンの60/40(wt./wt.)溶液中で25℃で測定した場合に約0.20〜0.70dL/gのインヘレント粘度を有し、カルボキシ(C1〜C3)アルキルのアンヒドログルコース単位当たりの置換度が0.2超〜約0.75であり且つC2〜C20エステルのアンヒドログルコース単位当たりの置換度が約1.5〜約2.70である、本明細書中に開示された少なくとも1種のカルボキシ(C1〜C3)アルキルセルロースエステルを、前記組成物中の(a)と(b)の総重量に基づき、約0.1〜約99重量%;
(b)溶解度が低い少なくとも1種の医薬活性剤を、前記組成物中の(a)と(b)の総重量に基づき、約0.1〜99重量%;及び
(c)可塑剤、流動助剤、結合剤、充填剤、滑沢剤、懸濁化剤、甘味剤、矯味矯臭剤、保存剤、緩衝剤、湿潤剤、崩壊剤、発泡剤などから選ばれた少なくとも1種の添加剤を、前記組成物中の(a)、(b)及び(c)の総重量に基づき、約0〜約50重量%;
(d)アセトン、エタノール、酢酸エチル、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド若しくは水を含む(これらに限定するものではないが)水性及び/若しくは有機溶剤から選ばれた少なくとも1種の溶剤又は溶剤混合物
を含んでなり、(a)と(b)の総重量は(a)、(b)、(c)及び(d)の総重量の約5〜約80重量%である。
【0108】
一実施態様において、前記の少なくとも1種のカルボキシ(C1〜C3)アルキルセルロースエステルはカルボキシ(C1〜C3)アルキルセルロースエステルのC2〜C4エステルから選ばれる。
【0109】
別の実施態様において、本明細書中に開示した組成物中の成分(a)は、フェノール/テトラクロロエタンの60/40(wt./wt.)溶液中において25℃で測定した場合に、約0.20〜0.70dL/gのインヘレント粘度を有し、且つカルボキシ(C1〜C3)アルキルのアンヒドログルコース単位当たりの置換度が0.2超〜約0.75、酪酸エステルのアンヒドログルコース単位当たりの置換度が約1.5〜約2.70、酢酸エステルのアンヒドログルコース単位当たりの置換度が約0.1〜約2.0及びヒドロキシル基の置換度が約0.01〜約1.5である、カルボキシメチルセルロースアセテートブチレートを、前記組成物中の(a)と(b)の総重量に基づき、約0.1〜約99重量%含むことができる。
【0110】
別の実施態様において、本明細書中に開示した組成物中の成分(a)は、フェノール/テトラクロロエタンの60/40(wt./wt.)溶液中で25℃で測定した場合に、約0.20〜0.70dL/gのインヘレント粘度を有し、且つカルボキシ(C1〜C3)アルキルのアンヒドログルコース単位当たりの置換度が0.2超〜約0.75、プロピオン酸エステルのアンヒドログルコース単位当たりの置換度が約1.5〜約2.70、酢酸エステルのアンヒドログルコース単位当たりの置換度が約0.1〜約2.0及びヒドロキシル基の置換度が約0.01〜約1.5である、カルボキシメチルセルロースアセテートプロピオネートを、前記組成物中の(a)と(b)の総重量に基づき、約0.1〜約99重量%含むことができる。
【0111】
別の実施態様において、本明細書中に開示した組成物中の成分(a)は、フェノール/テトラクロロエタンの60/40(wt./wt.)溶液中で25℃で測定した場合に、約0.20〜0.70dL/gのインヘレント粘度を有し、且つカルボキシメチル基のアンヒドログルコース単位当たりの置換度が0.2超〜約0.75、酢酸エステルのアンヒドログルコース単位当たりの置換度が約1.5〜約2.70及びヒドロキシル基の置換度が約0.01〜約1.5である、カルボキシメチルセルロースアセテートを、前記組成物中の(a)と(b)の総重量に基づき、約0.1〜約99重量%含むことができる。
【0112】
一実施態様において、組成物はカルボキシメチルセルロースブチレート(CMCAB)、BCSクラス2の薬物を含む固体分散体を含む。別の実施態様において、組成物はカルボキシメチルセルロースアセテートプロピオネート(CMCAP)及び少なくとも1種のBCSクラス2の薬物を含む固体分散体を含む。別の実施態様において、組成物はカルボキシメチルセルロースアセテート(CMCA)及び少なくとも1種のBCSクラス2の薬物を含む固体分散体を含む。別の実施態様において、組成物はカルボキシメチルセルロースアセテートイソブチレート(CMCAiB)及び少なくとも1種のBCSクラス2の薬物を含む固体分散体を含む。別の実施態様において、組成物はC2〜C20アルキル酸(CMCのC2〜C20エステル)及び少なくとも1種のBCSクラス2の薬物を含む固体分散体を含む。別の実施態様において、組成物は少なくとも1種のC2〜C20アルキル酸の少なくとも1種のカルボキシメチルセルロース混合エステル(CMCのC2〜C20混合エステル)及びBCSクラス2の薬物を含む固体分散体を含む。
【0113】
一実施態様において、組成物はカルボキシメチルセルロースアセテートブチレート(CMCAB)、BCSクラス4の薬物を含む固体分散体を含む。別の実施態様において、組成物はカルボキシメチルセルロースアセテートプロピオネート(CMCAP)及び少なくとも1種のBCSクラス4の薬物を含む固体分散体を含む。別の実施態様において、組成物はカルボキシメチルセルロースアセテート(CMCA)及び少なくとも1種のBCSクラス4の薬物を含む固体分散体を含む。別の実施態様において、組成物はカルボキシメチルセルロースアセテートイソブチレート(CMCAiB)及び少なくとも1種のBCSクラス4の薬物を含む固体分散体を含む。別の実施態様において、組成物はC2〜C20アルキル酸(CMCのC2〜C20エステル)及び少なくとも1種のBCSクラス4の薬物を含む固体分散体を含む。別の実施態様において、組成物は少なくとも1種のC2〜C20アルキル酸の少なくとも1種のカルボキシメチルセルロース混合エステル(CMCのC2〜C20混合エステル)及びBCSクラス4の薬物を含む固体分散体を含む。
【0114】
本明細書中に開示した別の実施態様は、治療を必要としている哺乳類に、媒体中への溶解度の低い少なくとも1種の医薬活性剤の治療有効量と、構造:
【0115】
【化2】
【0116】
[式中、R1〜R6は、それぞれ独立して、−OH、−OC(O)(アルキル)及び−O(CH2)xC(O)OH(ここでxは1〜3の範囲である)並びにそれらの医薬として許容され得る塩から選ばれ;
−OHのアンヒドログルコース当たりの置換度は0.1〜0.7の範囲であり;
−OC(O)(アルキル)のアンヒドログルコース当たりの置換度は0.1〜2.7の範囲であり;且つ
−O(CH2)xC(O)OHのアンヒドログルコース当たりの置換度は0.2〜0.75の範囲である]
を有するアンヒドログルコース反復単位を含む少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロースエステル及び医薬として許容され得るその塩を含む医薬組成物を投与することを含んでなる、治療を必要としている哺乳類の、医薬組成物による治療方法を提供する。
【0117】
一実施態様において、用語「治療」及びその同語源の語(例えば「治療方法」)は、治療上の処置及び予防手段の両方を意味する。治療を必要としている哺乳類は、特定の内科疾病に既にかかっているヒト又は動物と、その疾病のリスクのあるヒト又は動物(即ち、最終的に疾患にかかるおそれのあるヒト又は動物)を含むことができる。治療方法は、症状の予防若しくは寛解又はその他の望ましい生物学的結果をもたらす。治療方法は、臨床的徴候の改善、疾病の発病遅延、リンパ球及び/又は抗体レベルの減少/増加などによって評価することができる。
【0118】
本明細書中に記載した医薬組成物中の活性成分の実際の投与量レベルは、個々の患者、組成物及び投与形式に対して所望の治療反応を達成するのに有効な活性化合物の量が得られるように変えることができる。用語「治療有効用量」及び「治療有効量」は、患者の症状の予防若しくは寛解、又は所望の生物学的結果、例えば臨床的徴候の改善、疾病の発病遅延、リンパ球及び/又は抗体レベルの減少/増加などをもたらす化合物の量を意味する。有効量は本明細書中に記載したようにして求めることができる。選択される投与量レベルは、個々の化合物、投与経路、治療されている状態の重症度並びに治療されている患者の状態及び前病歴によって決まるであろう。しかし、所望の治療効果を達成するのに必要なレベルよりも低レベルで化合物の用量を開始すること及び所望の効果が達成されるまで投与量を徐々に増加させることは当業界の技術の範囲内である。一実施態様においては、検定から得られたデータを用いて、ヒトに使用するために一定の範囲の投与量を製剤化することができる。
【0119】
一般に、活性化合物約0.1μg/kg〜約50mg/kg/日の投与量レベル、例えば活性化合物約5〜約20mg/kg(体重)/日の範囲のレベルを哺乳類の患者に局所投与、経口投与又は静脈内投与することができる。他の投与量レベルは1日当たり約1μg/kg〜約20mg/kg、約1μg/kg〜約10mg/kg、約1μg/kg〜約1mg/kg、10μg/kg〜1mg/kg、10μg/kg〜100μg/kg、100μg/kg〜1mg/kg及び約500μg/kg〜約5mg/kgである。所望ならば、有効日用量を投与のための複数回分に分割する、例えば1日当たり2又は4回の分離した用量に分割することもできる。一実施態様において、医薬組成物は1日当たり1回投与することができる。
【実施例】
【0120】
材料及び方法
材料
溶剤:
アセトン(Burdick & Jackson #010−4,ロット# CN784、CN755など)
ジクロロメタン(Burdick & Jackson #300−4,ロット# CN015など)
DMSO(Burdick & Jackson #081−1;ロット# CN913など)
脱塩水(共沈のために使用)
水(脱イオン水,Barnstead DiamondPure)(溶解媒体の調製に使用)
テトラヒドロフラン(Burdick & Jackson #340−1,ロット# CL197など)
アセトニトリル(Burdick & Jackson #015−4,ロット# CO997、CO106など)
メタノール(Burdick & Jackson #230−4,ロット# CO680、CO357、CO914など)
エタノール(Aldrich #493538−4L,バッチ#01950KC)
イソプロパノール(Burdick & Jackson #323−4,ロット# CN713、CL425など)
【0121】
試薬:
燐酸二水素カリウム(KH2PO4)(99%,ACS Reagent,Sigma #P0662,ロット#064K0045)
水酸化ナトリウム,0.2N(NaOH)(VWR #VW3220−1,ロット#4194)
トリアセチン(Eastman Chemical Company)
フタル酸ジエチル(DEP)(Eastman Chemical Company)
ポリ(エチレングリコール)(PEG−400)(Sigma,Cat.#P3265−1K,バッチ#054K0003)
ビタミンE TPGS,NFグレード(Eastman Chemical Company,バッチ#30035000及び40008000)
スクロースアセテートイソブチレート(SAIB)(Eastman Chemical Company)
ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween 80)(Sigma,Cat.#P8074,ロット#87H0648)
ドデシル硫酸ナトリウム,SDS(Sigma,Cat.#L6026−650G,バッチ#084K0001)
【0122】
ポリマー:
CMCAB−641−0.5(Eastman Chemical Company,ロット#AG−0064B)
CMCAB(Eastman Chemical Company)
HPMCAS(CarboMer,Inc.,ロット#BB−F4334)
PVP,K25(Fluka,Cat.#81399,ロット#1124143)
ポリ(エチレングリコール)(PEG 400)(Sigma-Aldrich #20398−500G,バッチ#10528KA)
ポリエチレングリコール(PEG 400)(Sigma-Aldrich #P3265−1KG,バッチ#054K0063)
【0123】
薬物:
イブプロフェン
フェニトイン(5,5−ジフェニルヒダントイン,〜99%,Aldrich #D4007:ロット#053K3668)
カルバマゼピン(Sigma-Aldrich,Cat.#C4024−25G,バッチ#054K0646)
グリブリド(Sigma-Aldrich,Cat.#G−2539,ロット#024K0701)
グリセオフルビン(Sigma-Aldrich,Cat.#64753−25G,バッチ#083K1219)
アジスロマイシン(LKT Laboratories,Cat.#A9834,ロット#2393101)
フェノフィブラート(Sigma-Aldrich,Cat.#F6020−25G,バッチ#064K1584)
【0124】
標準試料:
フェニトインRS(USP,Cat.#1535008,ロット#12B233)
カルバマゼピンRS(USP,Cat.#09300,ロットJ)
グリブリドRS(USP,Cat.#1295505,ロット#G1C347)
グリセオフルビンRS(USP,Cat.#29900,ロットI)
アジスロマイシンRS(USP,Cat.#1046056,ロット#H0C212)
【0125】
カプセル:
VCaps(Capsugel,サイズ0CS、ロット#630311)
Capsugel(0CS,ロット#624282)
Capsugel(00CS,ロット#637785)
【0126】
装置
全てのHPLC研究はAgilent 1100で行った。
【0127】
全ての溶解研究は、Varian VK8000フラクションコレクターを装着したVarianVK7025溶解装置で行った。
【0128】
方法
NMRによる置換度の測定:1H NMRの結果は、400MHzで操作されるJEOL Model GX−400 NMRスペクトロメーターを用いて得た。サンプル管のサイズは5mmであった。サンプル温度を80℃、パルス遅延時間を5秒とし、各実験について64のスキャンを得た。化学シフトは、内部基準として残留DMSOを用いてテトラメチルシランからppmで報告した。残留DMSOの化学シフトを2.49ppmに設定した。
【0129】
カルボキシ(C1〜C3)アルキルセルロースエステルについては、カルボキシル(C1〜C3)アルキル基のメチレンがセルロース主鎖の環プロトンから容易には分離できなかったので、NMR法ではなくGC法を用いてアセチル、プロピオニル及びブチリルを測定した。DS値は、酸価をカルボキシメチル%に変換し且つこれをアセチル、プロピオニル及びブチリルのGC重量%と共に用いることによって計算した。
【0130】
アセチル、プロピオニル及びブチリル重量%は加水分解GC法によって測定した。この方法においては、エステル約1gを秤量瓶中に量り入れ、真空オーブン中で105℃において少なくとも30分間乾燥させた。次いで、サンプル0.500±0.001gを250mLのErlenmeyerフラスコ中に量り入れた。このフラスコに、イソ吉草酸(99%)9.16gのピリジン2000mL中溶液50mLを加えた。この混合物を約10分間加熱還流させた。その後に水酸化カリウムのイソプロノール溶液30mLを加える。この混合物を約10分間還流させながら加熱した。混合物を20分間撹拌しながら冷却させた。次いで濃塩酸3mLを加える。混合物を5分間撹拌し、次いで5分間放置した。約3mLの溶液を遠心管に移し、約5分間遠心分離した。液体を、1μmFFAP相を有する25M×0.53mmの溶融シリカカラムを用いてGC(スプリット注入及び水素炎イオン化検出器)によって分析した。
【0131】
アシル重量%は以下のようにして計算した:
Ci=I(アシル基)の濃度
Fi=成分Iの相対感度係数
Fs=イソ吉草酸の相対感度係数
Ai=成分Iの面積
As=イソ吉草酸の面積
R=イソ吉草酸のg数/サンプルのg数
Ci=((Fi*Ai)/Fs*As))*R*100
GC法をNMRと共に用いて、アセチル、プロピオニル及びブチリルの重量%を求めた。使用した方法を示す。
【0132】
カルボキシ(C1〜C3)アルキルセルロースエステルの酸価を以下のようにして滴定によって測定した。カルボキシ(C1〜C3)アルキルセルロースエステルの正確に秤量したアリコート(0.5〜1.0g)をピリジン50mLと混合し、撹拌した。この混合物にアセトン40mLを添加した後、撹拌した。最後に、水20mLを添加し、混合物を再び撹拌した。この混合物を、ガラス/組合せ電極を用いて水中0.1N水酸化ナトリウムで滴定した。ピリジン50mL、アセトン40mL及び水20mLを含むブランクも滴定した。酸価を以下のようにして計算した:
Ep=サンプルの終点に達するためのNaOH溶液(mL)
B=ブランクの終点に達するためのNaOH溶液(mL)
N=水酸化ナトリウム溶液の規定度
Wt.=滴定するカルボキシ(C1〜C3)アルキルセルロースエステルの重量
酸価(mgKOH/g(サンプル))=((Ep−B)*N*56.1)/Wt.
【0133】
<IV試験法>
本明細書中に記載したセルロースエステル及びカルボキシ(C1〜C3)アルキルセルロースエステルのインヘレント粘度(IV)は、特に記載する場合を除いて、毛細管粘度計中で既知ポリマー濃度の溶液の流下時間及び溶媒ブランクの流下時間を測定し、次いでIVを計算することによって求めた。IVは以下の式によって定義される:
1(n)25℃.0.50%=ln ts t0 C
[式中、(n)=0.50g/100mL(溶媒)のポリマー濃度での25℃におけるインヘレント粘度。
【0134】
ln=自然対数
ts=サンプルの流下時間
t0=溶媒ブランクの流下時間
C=溶媒100mL当たりのポリマー(g)濃度=0.50]。
【0135】
サンプルは0.50g/100mL(溶媒:60重量%フェノール及び40重量%1,1,2,2−テトラクロロエタン、又は「PM95」)の濃度に調製した。サンプル(0.25g)を、撹拌棒を含む培養管中に量り入れた。60重量%フェノール/40重量%1,1,2,2−テトラクロロエタン(本明細書においては「PM95」とも記載してある)50.0mLを添加する。混合物をヒーター中に入れ、撹拌しながら(300rpm)125℃まで加熱した。(目標温度に達するまで7分、そして125℃に15分間保持。)サンプルを室温(25℃)まで冷却させ、次いで濾過し、粘度計(Model AVS 500-Schott America,Glass & Scientific Products,Inc.,Yonkers,N.Y.)中に入れた。IVを前記式に従って計算した。
【0136】
分子量測定のためのGPC法: セルロースエステル及びカルボキシ(C1〜C3)アルキルセルロースエステルのサンプルの分子量分布を、下記の2つの方法のうち1つを用いてゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって測定した。
【0137】
[001]方法1,THF: 溶媒としてTHFを用いてGPCによって試験すると示したセルロースエステルのサンプルの分子量分布は、BHTで安定化されたBurdick and Jackson GPC等級THF中で周囲温度において1mL/分の流量で測定した。他の全てのサンプルは、以下の方法2に記載したようにして、溶媒としてNMPを用いてGPCによって測定した。サンプル溶液は、ポリマー約50mgをTHF 10mL中に溶解させることによって調製し、それにトルエン10μLを流量マーカーとして添加した。オートサンプラーを用いて、5μm Guard,Mixed−C(登録商標)及びOligopore(登録商標)カラムを直列に含むPolymer Laboratories PLgel(登録商標)カラムセット上に各溶液50μLを注入した。溶出されたポリマーを、30℃に保持された検出器セルを用いて示差角屈折率検出法によって検出した。検出器シグナルを、Polymer Laboratories Caliber(登録商標)データ収集システムによって記録し、クロマトグラムを、Eastman Chemical Companyにおいて開発されたソフトウェアを用いて積分した。較正曲線は、分子量266〜3,200,000g/モルの18個のほとんど単分散のポリスチレン標準と162g/モルの1−フェニルヘキサンのセットを用いて求めた。分子量分布及び平均を、ポリスチレン換算値として又は以下のパラメーター:
KPS=0.0128aPS=0.712
KCE=0.00757aCE=0.842
を用いて普遍較正法によって計算した真分子量として、報告した。
【0138】
方法2,NMP: 特に断りのない全てのサンプルの分子量分布は、溶媒としてNMPを用いてGPCによって以下のようにして求めた。セルロースエステルサンプルの分子量分布は、40℃において1重量%のBaker氷酢酸を含むBurdick and Jackson N−メチルピロリドン中で0.8mL/分の流量を用いてゲル透過クロマトグラフィーによって測定した。サンプル溶液は、ポリマー約25mgをNMP 10mL中に溶解させることによって調製し、それにトルエン10μLを流量マーカーとして添加した。オートサンプラーを用いて、10μm Guard,Mixed−B(登録商標)カラムを含むPolymer Laboratories PLgel(登録商標)カラムセット上に各溶液20μLを注入した。溶出されたポリマーを、40℃に保持された検出器セルを用いて示差角屈折率検出法によって検出した。検出器シグナルを、Polymer Laboratories Caliber(登録商標)データ収集システムによって記録し、クロマトグラムを、Eastman Chemical Companyにおいて開発されたソフトウェアを用いて積分した。較正曲線は、分子量580〜3,200,000g/モルの18個1組のほとんど単分散のポリスチレン標準を用いて求めた。分子量分布及び平均を、ポリスチレン換算値として報告した。
【0139】
CMCAB又はC−A−Pの存在下におけるイブプロフェンのHPLC測定:
計測器: HP1100
カラム: Zorbax SB−CN,4.6×150mm,3.5μm
流量: 1.0mL/分
検出: 225nmのUV
注入容量: 10μL
温度: 制御せず
移動相:
【0140】
【表1】
【0141】
後時間: 8分
サンプル及び標準はアセトニトリル中に溶解。
【0142】
CMCAB又はC−A−Pの存在下におけるグリセオフルビン、グリブリド、フェニトイン又はカルバマザピンのHPLC測定:
計測器: HP1100
カラム: Pnenomenex Luna 3μmフェニル−ヘキシル,100×4.6mm
流量: 1.0mL/分
検出: グリセオフルビン及びグリブリドについては230nmのUV
フェニトインについては220nmのUV
カルバマザピンについては240nmのUV
注入容量: 5μL
温度: 制御せず
移動相:
【0143】
【表2】
【0144】
後時間: 6分
サンプル及び標準はTHF中に溶解。
【0145】
溶解アリコートを評価するためのHPLC法:
<フェニトイン、カルバマゼピン、グリブリド又はグリセオフルビンの重量%の測定>
移動相: 55%アセトニトリル/45%酢酸アンモニウム緩衝液(氷酢酸でpH〜5.25にpH調整したNH4OAc 2.6g/L(H2O))
カラム:Agilent Eclipse XDB−C8,4.6mm×150mm×5μm
流量:1.5mL/分
検出: UV 254nm(フェニトイン又はカルバマゼピンにはUV214nmも使用でき、グリセオフルビンにはUV 291nmも使用できる);典型的には、各サンプルについてUV 214nm、222nm、254nm、287nm、291nm及び/又は325nmから選択した5つのシグナルを収集した。
【0146】
保持時間は典型的には1.5〜2.5分であった。
【0147】
<アジスロマイシンの重量%の測定>
移動相: 60%アセトニトリル/15% 0.002N (NH4)2PO4緩衝液(pH9.0)/25%イソプロパノール
カラム:Agilent Eclipse XDB−C8,4.6mm×150mm×5μm
流量:1.0mL/分
検出: 各サンプルについて、UV 210nm、214nm、220nm、230nm及び240nmから選択した5つのシグナルを収集した。
【0148】
<X線による結晶化度%の測定>
Cu K−αX線を用いてScintag PAD V回折計上で全てのサンプルを試験した。
【0149】
この研究で用いる各ポリマー又は薬物について純粋なサンプルを得た。各種の既知量を回折標準であるコランダム、Al2O3の既知量と混合した。各混合物を油圧プレスを用いてペレット化し、ペレットのXRDパターンを5〜45°の散乱角から測定した。回折応答因子(diffraction response factor)、Rを各種について式:
R=wc/ws*ls/lc
[wcはコランダムの重量分率であり、wsは問題の種の重量分率であり、lcはコランダムの主要回折線の正味強度であり、 は薬物の主要回折線の正味強度又はポリマーの場合には非晶質散乱曲線(amorphous scattering curve)の極大の正味強度である]
に従って計算した。
【0150】
サンプルを油圧プレスによってペレット化し、ペレットのXRDパターンを5〜45°の散乱角から測定した。ポリマーからの非晶質散乱の極大の正味強度lp及び薬物の主要回折線の正味強度ldを、得られた散乱曲線から求めた。結晶性薬物の重量%は、式:
結晶性薬物%=(ld/Rd)/(ld/Rd+lp/Rp)×100
[式中、Rdは薬に対する応答因子であり、Rpはポリマーに対する応答因子である]
から計算した。
【0151】
グリブリド標準曲線の作成
USPからのグリブリド標準試料を指示通りに乾燥させた(106℃で6時間)。次いで、グリブリド約20〜25mgを25mLメスフラスコに加え、DMSO又は55%アセトニトリル/45%酢酸アンモニウム(pH5.25)に溶解させる。容量を25mLに稀釈した。10mLメスフラスコ又はRainin自動ピペットマンを用いて一組の標準稀釈を作成した。
【0152】
溶解媒体の調製
パンクレアチンを含まない擬似腸液(pH6.8)(SIFsp(pH6.8))− 燐酸二水素カリウム(KH2PO4,34g)を4000mLビーカーに加える。脱イオン水/研磨水(deionized/polished water)(2000mL)を加え、KH2PO4が完全に溶解するまで電磁撹拌棒を用いて混合する。0.2N水酸化ナトリウム(NaOH,590mL)を加え、撹拌する。pHは、0.2N NaOHを用いて6.8±0.1に調整した。サンプルを脱イオン/研磨水で最終容量5000mLまで稀釈した。
【0153】
このSIFsp媒体をオーブン中において4つの2000mL Kimaxボトル中で〜45℃に加熱した。サンプルを、USPプロトコールに従って、0.45μmメンブランフィルター(Pall,Supor−450,0.45μm,90mm、部品#60200,ロット#43214)を通して濾過し且つ真空下で5分間撹拌することによって、ガス抜きした。
【0154】
ペプシンを含まない擬似胃液(pH1.2)(SGFsp,pH1.2)− 塩酸35.0mL中に塩化ナトリウム10.0gを溶解させ、充分な水を加えて1000mLにする。この試験溶液は約1.2のpHを有している。
【0155】
このSGFsp媒体をオーブン中において4つの2000mL Kimaxボトル中で〜45℃に加熱した。サンプルを、USPプロトコールに従って、0.45μmメンブランフィルター(Pall,Supor−450,0.45μm,90mm、部品#60200,ロット#43214)を通して濾過し且つ真空下で5分間撹拌することによって、ガス抜きした。
【0156】
<溶解条件#1> 溶解の研究を、Varian VK8000フラクションコレクターを装着したVarian VK7025溶解装置上で以下のパラメーターを用いて行った: 撹拌速度(50rpm),サンプルサイズ(5mL),サンプリング時間(15分、30分、1時間、1時間30分、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、24時間)、浴温度(37.3℃),容器温度(37℃)、ポンププライム(60秒)、ポンプパージ(60秒)、フィルターチップ(10μm)。
【0157】
<溶解条件#2> 溶解の研究を、Varian VK8000フラクションコレクターを装着したVarian VK7025溶解装置上で以下のパラメーターを用いて行った: 撹拌速度(75rpm),サンプルサイズ(5mL),サンプリング時間(15分、30分、45分、1時間、1時間30分、2時間、2時間30分、3時間、3時間30分、4時間)、浴温度(37.3℃),容器温度(37℃)、ポンププライム(60秒)、ポンプパージ(60秒)、フィルターチップ(10μm)。
【0158】
<Buchi Model B−290/B295 ミニスプレードライヤー(Mini Spray Dryer)の操作>
システムの説明: Buchi Model B−290/B295ミニスプレードライヤーは、引火性溶剤を処理する能力を有する実験室規模のガラス噴霧乾燥機である。オンライン酸素モニタリングを有する閉ループ溶剤回収システムが引火性溶剤の安全な処理を可能にする。噴霧は二流体ノズルによって行う。供給材料は、内蔵ペリスタポンプによってノズルに供給した。乾燥用ガス流は供給材料の噴霧に対して並行流であった。生成物はサイクロン分離器によってガス流から単離する。排気ガス流から残留物質を除去するために、バグフィルターがサイクロンの下流にあった。
【0159】
操作方法: 窒素供給バルブを開いて不活性雰囲気を乾燥機に供給し、ファンの電源を入れた。空気をシステム中に入れる漏れがガラス製品にあるかどうかを調べて判定するために、システムを点検した。酸素レベルが5%未満になったら、入口温度を設定し、ヒーターの電源を入れた。凝縮器温度を、凍結することなくガス流からの溶剤の除去を可能にするのに必要な温度に設定した。噴霧ガスは、流量計を調節することによって所望の流量に設定した。供給材料を、粘度が充分な噴霧に適当であることを確実にするために、且つまた、不溶性物質の除去に濾過が必要であるかどうかを判定するために、検査した。所望の入口温度に達したら、供給材料中にポンプチューブを入れ、ポンプの電源を入れた。ポンプ速度を低(〜10%)に設定し、問題が生じなければゆっくりと増加させた。供給材料の処理後、目詰まりを防ぐために、清浄な溶剤をポンプでノズルに通した。ヒーターの電源を切り、ユニットを冷却するためにファンを作動させた。ユニットが冷えたら、ファン及び噴霧ガスを切った。生成物収集容器を取り外し、生成物を容器に移した。収量を最大にするために、ガラス製品をスパチュラで清浄にし、生成物を収集し、生成物容器からの生成物と合した。典型的なプロセス条件を以下に示す。
【0160】
【表3】
【0161】
例1
この例は、共沈(フレーク法)による固体分散体の製造を説明する。「共沈」は、有機溶剤中に溶解させたポリマー担体(例えばカルボキシアルキルセルロースエステル)及び医薬活性剤並びに場合によっては1種又はそれ以上の添加剤を含む溶液又は混合物を水性非溶剤と合して、有機溶液/混合物の不揮発性成分の均質混合物(即ち固体分散体)である沈殿物を生成させることを記載するのに使用する一般用語である。本発明の組成物の調製に使用する2つの共沈法は、フレーク沈澱及び粉末沈澱である。
【0162】
フレーク沈澱は、セルロースエステル化学の当業者に知られた方法であって、ポリマー/薬物/溶剤混合物(即ちドープ)の細流を水性非溶剤に添加することによって行う。用語「フレーク沈澱」は、この方法によって形成される沈殿物の典型的な外観に由来する。当業者ならば、温度、添加速度、混合速度、有機混合物中の固形分濃度、非溶剤のpH、沈澱混合物中の有機溶剤含量、硬化時間などを含む(これらの限定するものではないが)多くのプロセス変数を調整して、共沈物の物理的性質(即ち形態、粒度など)、共沈物の組成及びおそらくは固体分散体の溶解プロフィールなどを修正することができることがわかるであろう。
【0163】
共沈のフレーク法においては、適切な有機溶剤又は溶剤混合物(例えばアセトン、塩化メチレン、エタノールなど)を、所望の量のポリマー担体(他の例ではCMCAB、HPMCAS、PVP又はPEG)を含む容器(典型的にはガラス瓶)に加え、透明な又は少なくともほとんど透明な溶液が得られるまで容器を混合する(典型的にはローラー上で又は撹拌によって)。混合物の固形分を溶剤ブレンドの溶剤の添加によって調整して、所望の粘度を有する混合物を生成する。原薬(drug substance)を、別の容器中で適切な溶剤又は溶剤混合物(例えばアセトン、塩化メチレン、エタノール、ジメチルスルホキシドなど)に溶解させる。場合によっては、1種又はそれ以上の添加剤を第3の容器に加えて、適切な溶剤に溶解させることができる。ポリマー溶液、薬物溶液及び含ませる場合には添加剤溶液を合して、充分に混合する。或いは、所望ならば又は必要に応じて、ポリマー及び薬物固形分並びに任意の添加剤を単一の容器中で合し、次いで有機溶剤又は溶剤混合物の添加によって同時に溶解させることができる(この方策は必ずしも適切ではなく、ケースバイケースで試すべきである)。
【0164】
共沈は、ポリマー/薬物/添加剤溶液の小さい流れを過剰の水、塩基水溶液、酸水溶液又は緩衝剤水溶液中に急速に混合しながら注ぐことによって誘発した。典型的には、少なくとも1:3の有機溶液対水溶液の比がフレーク沈澱の誘発に適するが、系中の固形分%及び使用している有機溶剤の性質によってはより大過剰の水溶液が適することが多々ある。沈澱が完了したら、サンプルを粗目のガラス漏斗上で濾過し、真空オーブン中で45℃において一晩乾燥させ、低温粉砕機中で約20μm(典型的には200μm未満)の粒度に粉末化する。サンプルは、必要になるまでデシケーター又は真空デシケーター中に貯蔵する。
【0165】
例2
この例は、共沈(粉末法)による固体分散体の製造を説明する。粉末沈澱は、セルロースエステル化学の当業者に知られた方法であって、適切に混合しながら適切な温度を用いて水性非溶剤を溶剤/薬物/溶剤混合物(即ちドープ)に添加することによって行う。この場合、用語「粉末沈澱」は、この方法によって形成される沈殿物の典型的な外観に由来する。当業者ならば、温度、添加速度、混合速度、有機混合物中の固形分濃度、非溶剤のpH、沈澱混合物中の有機溶剤含量、硬化時間などを含む(これらに限定するものではないが)多くのプロセス変数を調整して、共沈物の物理的性質(即ち形態、粒度など)、共沈物の組成及びおそらくは固体分散体の溶解プロフィールなどを修正できることがわかるであろう。
【0166】
共沈の粉末法においては、適切な有機溶剤又は溶剤混合物(例えばアセトン、塩化メチレン、エタノールなど)を、所望の量のポリマー担体(他の例ではCMCAB、HPMCAS、PVP又はPEG)を含む容器(典型的にはガラス瓶)に加え、透明な又は少なくともほとんど透明な溶液が得られるまで容器を混合する(典型的にはローラー上で又は撹拌によって)。固形分を溶剤ブレンドの溶剤の添加によって調整して、所望の粘度を有する混合物を生成する。原薬を、別の容器中で適切な溶剤又は溶剤混合物(例えばアセトン、塩化メチレン、エタノール、ジメチルスルホキシドなど)に溶解させる。場合によっては、1種又はそれ以上の追加の添加剤を第3の容器に加えて、適切な溶剤に溶解させる。ポリマー溶液、薬物溶液及び含ませる場合には添加剤溶液を合して、充分に混合する。或いは、所望ならば又は必要に応じて、ポリマー及び薬物固形分並びに任意の添加剤を単一の容器中で合し、次いで有機溶剤又は溶剤混合物の添加によって同時に溶解させることができる。
【0167】
共沈は、急速に混合しながら、ポリマー/薬物/添加剤有機溶液に水、塩基水溶液、酸水溶液又は緩衝剤水溶液をゆっくりと添加することによって誘発した。典型的には、少なくとも1:3の有機溶液対水溶液の比が粉末沈澱の誘発に適するが、系中の固形分%及び使用している有機溶剤の性質によってはより大過剰の水溶液が適することが多々ある。沈澱が完了したら、サンプルを粗目のガラス漏斗上で濾過し、真空オーブン中で45℃において一晩乾燥させ、低温粉砕機中で約20μm(典型的には200μm未満)の粒度に粉末化する。サンプルは、必要になるまでデシケーター又は真空デシケーター中に貯蔵する。
【0168】
例3
この例は、同時蒸発(減圧法)による固体分散体の製造を説明する。「同時蒸発」は、揮発性有機溶剤又は溶剤混合物中に溶解させたポリマー担体(例えばカルボキシアルキルセルロースエステル)及び本明細書中に開示した薬物並びに場合によっては1種又はそれ以上の他の添加剤を含む溶液又は混合物から溶剤を除去して、有機溶液/混合物の不揮発性成分の均質混合物(即ち固体分散体)である沈殿物を生成させることを記載するのに使用する一般用語である。本明細書中に開示した組成物の製造に使用する3つの同時蒸発法は、減圧下における回転蒸発、フィルム形成(即ち、大気圧での混合を行わない蒸発)及び噴霧乾燥である。
【0169】
同時蒸発の減圧法においては、適切な有機溶剤又は溶剤混合物(例えばアセトン、塩化メチレン、エタノールなど)を、所望の量のポリマー担体(他の例ではCMCAB、HPMCAS、PVP又はPEG)を含む容器(典型的にはガラス瓶)に加え、透明な又は少なくともほとんど透明な溶液が得られるまで容器を混合する(典型的にはローラー上で又は撹拌によって)。固形分を溶剤ブレンドの溶剤の添加によって調整して、所望の粘度を有する混合物を生成する。原薬を別の容器中で適切な溶剤又は溶剤混合物(例えばアセトン、塩化メチレン、エタノール、ジメチルスルホキシドなど)中に溶解させる。場合によっては、1種又はそれ以上の添加剤を第3の容器に添加し、適切な溶媒に溶解させる。ポリマー溶液、薬物溶液及び含ませる場合には添加剤溶液を合して、充分に混合する。或いは、所望ならば又は必要に応じて、ポリマー及び薬物固形分並びに任意の添加剤を、単一容器中で合し、次いで有機溶剤又は溶剤混合物の添加によって同時に溶解させることができる。
【0170】
同時蒸発は、ロータリーエバポレーターを用いて、典型的には50℃において系から溶剤を除去することによって誘発する。蒸発の完了時点で、可能な限り多くの残留溶剤を除去するために、サンプルを高真空ライン上に一晩配置する。サンプルをスパチュラによって丸底フラスコから取り出す。次に、サンプルを真空オーブン中で45℃において一晩乾燥させ、次いで低温粉砕機中で約20μmの粒度まで粉末化する。サンプルを、必要となるまでデシケーター又は真空デシケーター中に貯蔵する。
【0171】
例4
この例は、フィルム形成法による同時蒸発による固体分散液の製造を説明する。適切な有機溶剤又は溶剤混合物(例えばアセトン、塩化メチレン、エタノールなど)を、所望の量のポリマー担体(他の例ではCMCAB、HPMCAS、PVP又はPEG)を含む容器に加え、透明な又は少なくともほとんど透明な溶液が得られるまで容器を混合する(典型的にはローラーで又は撹拌によって)。固形分を溶剤ブレンドの溶剤の添加によって調整して、所望の粘度有する混合物を生成する。薬物を別の容器中で適切な溶剤又は溶剤混合物(例えばアセトン、塩化メチレン、エタノール、ジメチルスルホキシドなど)中に溶解させる。場合によっては、1種又はそれ以上の添加剤を第3の容器に加え、適切な溶剤に溶解させる。ポリマー溶液、薬物溶液及び含ませる場合には添加剤溶液を合して、充分に混合する。或いは、所望ならば又は必要に応じて、ポリマー及び薬物固形分並びに任意の添加剤を単一の容器中で合し、次いで有機溶剤又は溶剤混合物の添加によって同時に溶解させることができる(この方策は必ずしも適切ではなく、ケースバイケースで試さなければならない)。
【0172】
同時蒸発は、サンプルを適切な容器中に又はガラス若しくは金属シート上に注ぎ、溶剤をゆっくりと蒸発させ且つフィルムを形成させることによって、系から溶剤を除去することによって誘発する。当業者ならば、多くのパラメーターを制御して、形成されるフィルムの性質を左右できることがわかるであろう。これらに例において典型的には、サンプルを蒸発皿中に注ぎ込み、ペーパータオルで覆いながら一晩放置する。フィルム形成の完了時点で、サンプルを蒸発皿からスパチュラによって取り除く。次いで、サンプルを真空オーブン中で45℃において一晩乾燥させ、次に低温粉砕機中で約20μm(典型的には200μm未満)の粒度に粉末化する。サンプルは、必要になるまでデシケーター又は真空デシケーター中に貯蔵する。
【0173】
例5〜18
これらの例は、イブプロフェン/CMCAB固体分散体及びイブプロフェン/CMCAB/DEP固体分散体の製造を説明する。イブプロフェン(IB)、カルボキシメチルセルロースアセテートブチレート(CMCAB)及び場合によってはフタル酸ジエチル(DEP)を含む固体分散体を、例1の共沈のフレーク法によって製造した。この製造の具体的な詳細は以下の表Iに記載する。
【0174】
例19〜32
これらの例は、イブプロフェン/CMCAB固体分散体及びイブプロフェン/CMCAB/トリアセチン固体分散体の製造を説明する。イブプロフェン(IB)、カルボキシメチルセルロースアセテートブチレート(CMCAB)及び場合によってはトリアセチンを含む固体分散体を、例1の共沈のフレーク法によって製造した。この製造の具体的な詳細は以下の表IIに記載する。
【0175】
例33〜45
これらの例は、イブプロフェン/CMCAB固体分散体及びイブプロフェン/CMCAB/SAID固体分散体の製造を説明する。イブプロフェン(IB)、カルボキシメチルセルロースアセテートブチレート(CMCAB)及び場合によってはスクロースアセテートイソブチレート(SAIB)を含む固体分散体を、例1の共沈のフレーク法によって製造した。この製造の具体的な詳細は以下の表IIIに記載する。
【0176】
例46〜59
これらの例は、イブプロフェン/CMCAB固体分散体及びイブプロフェン/CMCAB/TPGS固体分散体の製造を説明する。イブプロフェン(IB)、カルボキシメチルセルロースアセテートブチレート(CMCAB)及び場合によってはビタミンE TPGS(TPGS)を含む固体分散体を、例1の共沈フレーク法によって製造した。この製造の具体的な詳細は以下の表IVに記載する。
【0177】
例60〜73
これらの例は、イブプロフェン/CMCAB固体分散体及びイブプロフェン/CMCAB/PEG固体分散体の製造を説明する。イブプロフェン(IB)、カルボキシメチルセルロースアセテートブチレート(CMCAB)及び場合によってはポリエチレングリコール(PEG)を含む固体分散体を、例1の共沈のフレーク法によって製造した。この製造の具体的な詳細は以下の表Vに記載する。
【0178】
例74〜86
これらの例は、フェニトイン/ポリマー固体分散体及び物理的ブレンドの製造を説明する。フェニトイン(Phe)、ポリマー担体(カルボキシメチルセルロースアセテートブチレート(CMCAB)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS)又はセルロースアセテートフタレート(C−A−P))及び場合によっては添加剤(Pz)(ビタミンE TPGS(TPGS)又はスクロースアセテートイソブチレート(SAIB))を、例の共沈のフレーク法によって(固体分散体)又は物理的混合によって(物理的ブレンド)製造した。この製造の具体的な詳細は以下の表VIに記載する。
【0179】
例87〜90
これらの例は、材料及び方法のセクションに記載したような噴霧乾燥によるフェニトイン/ポリマー固体分散体の製造を説明する。フェニトイン(Phe)及びポリマー担体(カルボキシメチルセルロースアセテートブチレート(CMCAB)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS)又はセルロースアセテートフタレート(C−A−P))の固体分散体を噴霧乾燥によって製造した。この製造の具体的な詳細は以下の表VIIに記載する。
【0180】
例91〜99
これらの例は、カルバマゼピン/CMCAB/任意の添加剤の固体分散体と物理的ブレンドの製造を説明する。
カルバマゼピン(Cbz)、ポリマー担体(カルボキシメチルセルロースアセテートブチレート(CMCAB))及び場合によっては添加剤(Pz)(ビタミン E TPGS(TPGS)又はスクロースアセテートイソブチレート(SAIB))の固体分散体又は物理的ブレンドを、共沈、同時蒸発、凍結乾燥若しくは噴霧乾燥(詳細は例1〜4参照)(固体分散体)又は物理的混合(物理的ブレンド)によって、表VIIIに記載したようにして製造した。
【0181】
例100〜108
これらの例は、ニトロフラントイン/ポリマー/任意の添加剤の固体分散体と物理的ブレンドの製造を説明する。
ニトロフラントイン(Nit)、ポリマー担体(カルボキシメチルセルロースアセテートブチレート(CMCAB))及び場合によっては添加剤(Pz)(ビタミン E TPGS(TPGS)又はスクロースアセテートイソブチレート(SAIB))の固体分散体又は物理的ブレンドを、共沈、同時蒸発、凍結乾燥若しくは噴霧乾燥(詳細は例1〜4参照)(固体分散体)又は物理的混合(物理的ブレンド)によって、表IXに記載したようにして製造した。
【0182】
例109〜117
これらの例は、グリブリド/CMCAB/添加剤(任意)の固体分散体と物理的ブレンドの製造を説明する。
グリブリド(Gly)、ポリマー担体(カルボキシメチルセルロースアセテートブチレート(CMCAB))及び場合によっては添加剤(Pz)(ビタミン E TPGS(TPGS)又はスクロースアセテートイソブチレート(SAIB))の固体分散体又は物理的ブレンドを、共沈、同時蒸発、凍結乾燥若しくは噴霧乾燥(詳細は例1〜4参照)(固体分散体)又は物理的混合(物理的ブレンド)によって、表Xに記載したようにして製造した。グリブリドはアセトンには可溶でなかったので、グリブリドの溶解にはDMSOを用いた。固体分散体の形成の前に、グリブリド/DMSO溶液をアセトン中ポリマー/添加剤(任意)溶液に添加した。
【0183】
例118
この例は、噴霧乾燥によるグリブリド/CMCAB固体分散体の製造を説明する。
グリブリド(Gly)及びポリマー担体(カルボキシメチルセルロースアセテートブチレート(CMCAB))の固体分散体を、前記の材料及び方法のセクションに記載した噴霧乾燥条件を用いて、表XIに記載したようにして噴霧乾燥によって製造した。グリブリドはアセトンに可溶でなかったので、グリブリドの溶解にはDMSOを用いた。固体分散体の形成の前に、グリブリド/DMSO溶液をアセトン中ポリマー/添加剤(任意)溶液に添加した。
【0184】
例119〜124
これらの例はグリブリド固体分散体の製造を説明する。
グリブリド(Gly)及びポリマー担体(カルボキシメチルセルロースアセテートブチレート(CMCAB)又はヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートブチレート(HPMCAS))の固体分散体を、表XIIに記載したようにして共沈のフレーク法(詳細は例1参照)によって製造した。注: グリブリドはアセトンに可溶でなかったので、グリブリドの溶解にはDMSOを用いた。固体分散体の形成の前に、グリブリド/DMSO溶液をアセトン中ポリマー/添加剤(任意)溶液に添加した。
【0185】
例125〜134
これらの例はグリセオフルビン固体分散体の製造を説明する。
グリセオフルビン(Gris)及びポリマー担体(カルボキシメチルセルロースアセテートブチレート(CMCAB)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートブチレート(HPMCAS)又はポリビニルピロリドン(PVP))の固体分散体を、表XIIIに記載したようにして共沈のフレーク法又は同時蒸発(詳細は例1〜4参照)によって製造した。
【0186】
例135〜138
これらの例は、同時蒸発によるグリセオフルビン/CMCAB/界面活性剤の固体分散体の製造を説明する。
グリセオフルビン(Gris)、ポリマー担体(カルボキシメチルセルロースアセテートブチレート(CMCAB))及び界面活性剤(Tween 80又はドデシル硫酸ナトリウム(SDS))の固体分散体を、表XIVに記載したようにして同時蒸発(詳細は例3参照)によって製造した。
【0187】
例139〜142
これらの例は、同時蒸発によるアジスロマイシン/CMCAB/添加剤(任意)の固体分散体の製造を説明する。
アジスロマイシン(Azi)、ポリマー担体(カルボキシメチルセルロースアセテートブチレート(CMCAB))及び任意の添加剤(界面活性剤(Tween 80)又はビタミンE TPGS(TPGS))の固体分散体を、表XVに記載したようにして同時蒸発(詳細は例3参照)によって製造した。アジスロマイシン溶液をCMCAB溶液に添加すると直ちに白色沈殿物が形成された。撹拌すると、この沈殿物は溶解し始めたが、溶液は完全には透明ではなく、依然としてわずかに濁っていた。この事象はCMCAB/アジスロマイシン固体分散体を製造しようとした以前の試みでも観察された。その沈澱はこの例の場合よりも顕著であった(即ち、全コンティニュエ(continuer)が固化した)が、必ずしも色が白色ではなく、場合によっては大きいゲルのような外観であり、これはことによると架橋又はヒドロゲル形成を示したので、これらの試みの多くは放棄された。
【0188】
溶解の研究
例143
これらの例は、例74〜86に記載したサンプルを評価する。SIFsp(pH6.8)媒体の製造は、前記の材料及び方法のセクションに記載したものである。
【0189】
サンプルを、手動単一カプセル充填器を用いて植物系Vcaps(Capsugel,サイズ0CS,ロット#630311)中に移した。各カプセルの重量及び添加したサンプルの量は表XVI(カプセルの説明)に記載してある。
【0190】
<溶解プロトコール> Varian VK7025溶解装置及びVarian VK8000オートサンプラーを、以下のパラメーターを用いて溶解の研究に使用した:撹拌速度(50rpm)、サンプルサイズ5mL)、サンプリング時間(15分、30分、1時間、1時間30分、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、24時間)、浴温度(37.3℃)、容器温度(37℃)、ポンププライム(60秒)、ポンプパージ(60秒)及びフィルターチップ(10μm)。使用媒体は各容器中でSIFsp(pH6.8)であった。
【0191】
薬物が試験管内で冷却された後は再結晶しないように、DMSO(2.0mL)をフラクションコレクター中の各試験管に加えた。
【0192】
全てのカプセルは、Varianから購入したカプセルシンカー中に挿入しても、最初は浮いていた。カプセルは15分間混合しないうちに沈んだ。
【0193】
容器1及び3からのサンプルはピルドロッパーから飛び出た。容器1のためのサンプルは、容器に達するまでに、開いたピルドロッパーに加えた。容器3のためのサンプルは、ピルドロッパーが閉じ且つ別の開口部を開かれるまでピルドリッパーには添加せず、その開口部を通して手動で落下させた。容器3は約20〜30秒遅れて開始した。
【0194】
いくつかのカプセルは2.5時間後に完全には溶解しなかった。以下の部分溶解カプセル(1、3、4、5、7、8)内に若干のサンプルが閉じ込められていた。
【0195】
いくつかのサンプルの一部分は、未溶解VCapカプセル中に閉じ込められることによって溶解媒体から隔離されていたので、これらのランは放棄した。
【0196】
例144〜146
これらの例は、例91〜99に記載したサンプルの評価によって、カルマゼピン及びカルマゼピン固体分散体の溶解を説明する。SIFsp(pH6.8)媒体の製造は、前記の材料及び方法のセクションに記載したものである。
【0197】
サンプルを、手動単一カプセルフィラーを用いてゼラチンカプセル(Capsugel,サイズ0CS,ロット#624282)中に移した。各カプセルの重量及び添加したサンプルの量は表XVII(カプセルの説明)に記載してある。
【0198】
[002] 図1はカルバマゼピン及びカルバマゼピン固体分散体の溶解プロフィールを示している。
【0199】
例147〜149
これらの例は、例109〜117に記載したサンプルの評価によって、グリブリド及びグリブリド固体分散体の溶解を説明する。SIFsp(pH6.8)媒体の製造は、前記の材料及び方法のセクションに記載したものである。
【0200】
サンプルを、手動単一カプセルフィラーを用いてゼラチンカプセル(Capsugel,サイズ0CS,ロット#624282)中に移した。各カプセルの重量及び添加したサンプルの量を表XVIII(カプセルの説明)に記載してある。
【0201】
図2はグリブリド及びグリブリド固体分散体の溶解プロフィールを示している。
【0202】
例150〜155
これらの例は、例119〜124に記載したサンプルの評価によって、グリブリド及びグリブリド固体分散体の溶解を説明する。SIFsp(pH6.8)媒体の製造は、前記の材料及び方法のセクションに記載したものである。
【0203】
サンプルを、手動単一カプセルフィラーを用いてゼラチンカプセル(Capsugel,サイズ0CS,ロット#624282)中に移した。各カプセルの重量及び添加したサンプルの量を表XIX及びXX(カプセルの説明)に記載してある。
【0204】
図3はグリブリド固体分散体の溶解プロフィールを示している。
【0205】
図4は3種の異なるCMCAB/グリブリド固体分散体の溶解プロフィールである(各サンプルの説明は表XIX及びXX参照)。比較的溶解速度が遅い両方のサンプル(EX000039−036−2及び−036−3)は結晶化度が約2.7%の固体分散体であった。結晶化度の増加が放出速度及び媒体中に放出されるグリブリドの総量を低下させたものと考えられる。他のプロセス因子も放出速度の低下に関与し得るであろう。
【0206】
図5は最も良く機能するCMCAB/グリブリド固体分散体及びグリブリドと比較したHPMCAS/グリブリド固体分散体の溶解プロフィールを含む(各サンプルについての説明は表XIX及びXX参照)。この結果から、グリブリドの放出速度は1つのグループの固体分散体内では同じポリマー担体を用いて修正し得ること及びある種の系ではCMCABもHPMCASも同様に機能できることが明白である。
【0207】
CMCAB/グリブリド固体分散体及びHPMCAS/グリブリド固体分散体から放出されたグリブリドの質量を図6に示してある。このようにしてデータを見た場合には、CMCAB/グリブリド固体分散体(EX000039−036−1)はHPMCAS/グリブリド固体分散体(EX000039−036−4)よりもよく機能したことが明白である。HPMCAS/グリブリド固体分散体(EX000039−036−5)は、図5でわかるように、これらのサンプルの両方より性能が優れている。図6の方式では、036−5のサンプルは036−1又は036−4のサンプルよりも薬物配合量が低かった。
【0208】
例156〜161
これらの例は、例125〜134に記載したサンプルの評価によって、グリセオフルビン及びグリセオフルビン固体分散体の溶解を説明する。SIFsp(pH6.8)媒体の製造は、前記の材料及び方法のセクションに記載したものである。
【0209】
サンプルを、手動単一カプセルフィラーを用いてゼラチンカプセル(Capsugel,サイズ0CS,ロット#624282)中に移した。各カプセルの重量及び添加したサンプルの量を表XXI及びXXII(カプセルの説明)に記載してある。
【0210】
グリセオフルビンは、未改質原薬で観察された即時放出とは異なる制御された、持続的な方法でSIFsp(pH6.8)媒体中に放出された(図7〜9)。CACAM/グリセオフルビン固体分散体はCMCAB/グリブリド固体分散体とは異なる放出プロフィールを有している。CMCAB固体分散体からのグリセオフルビンの放出は、PVP固体分散体、HPMCAS固体分散体又は未改質グリセオフルビンからのグリセオフルビンの迅速放出よりも制御された放出を示した(図7、図10〜13)。しかし、放出されるグリセオフルビンの総量は、固体分散体の形成によって改善されなかった。
【0211】
例162〜164
これらの例は、グリセオフルビン/CMCAB固体分散体の溶解プロフィールに対する界面活性剤添加剤の影響を説明する。この例において評価したグリセオフルビン/CMCAB、グリセオフルビン/CMCAB/Tween 80及びグリセオフルビン/CMCAB/SDS固体分散体の製造は、例135〜138に記載されている。SIFsp(pH6.8)媒体の製造は、前記の材料及び方法のセクションに記載したものである。
【0212】
サンプルを、手動単一カプセルフィラーを用いてゼラチンカプセル(Capsugel,サイズ00CS,ロット#637785)中に移した。各カプセルの重量及び添加したサンプルの量を表XXIII(カプセルの説明)に記載してある。
【0213】
グリセオフルビン/CMCAB固体分散体の放出プロフィールへの界面活性剤添加の影響は図14でグラフによって理解できる。総重量のわずか1〜5重量%のレベルでの界面活性剤、より詳細にはTween 80及びSDSの固体分散体組成物への添加は、グリセオフルビンの放出プロフィールの性質を変化させた。グリセオフルビン/CMCAB固体分散体への約1〜約5重量%のTween 80又はSDSの添加においては、界面活性剤は同時蒸発プロセスよりも前に添加し、グリセオフルビン/CMCAB固体分散体のほぼゼロ次の放出プロフィールをより速い放出プロフィールに変化させた。グリセオフルビン/CMCAB固体分散体への界面活性剤の添加はまた、薬物単独及び界面活性剤を含まないグリセオフルビン/CMCAB固体分散体に比較した場合に、系中に放出される薬物の総量を増加させた。
【0214】
例165
この例はポリマー及び可塑剤レベルの影響を説明する。
理論によって拘束されるものではないが、固体分散体中の原薬及びポリマー支持剤の両者と互いに相溶性である可塑剤の使用は、相溶性成分の系を発生させ且つ、最終的に固体分散体内での原薬の結晶化をもたらすであろう原薬の「貯留」の可能性を低下させることによって、固体分散体中に捕捉される原薬の結晶化度のレベルを低下させることができる。この理論を評価するために、種々の可塑剤及び可塑剤レベルの、C−A−P又はCMCAB及びイブプロフェンを含む固体分散体の結晶化度%に対する影響を詳細に調べた。これらの実験は、表XXIVに示されるようにポリマー担体としてCMCAB又はC−A−Pを含むイブプロフェンの固体分散体の結晶化度%に対する可塑剤(最大配合量10%)の影響を示した。
【0215】
図15は、イブプロフェン/CMCAB固体分散体の結晶化度%に対するTPGSの影響を示している(D−最適(D-Optimal)混合物の実験計画法(DOE)の結果)。
【0216】
例166
この例はサンプル製造方法の影響を説明する。固体分散体は、薬物、腸溶性ポリマー及び添加剤をアセトンに溶解させ、次いで混合物を水に加えることによって沈殿させる共沈法を用いて、製造した。薬物の水難溶性が、薬物と腸溶性セルロース系誘導体との共沈を引き起こして、固体分散体を形成させる。ここで評価するのは、共沈(フレーク沈澱及び粉末沈澱)、同時蒸発及び噴霧乾燥を含む、固体分散体を製造するための一連の戦略である。固体分散体の結晶化度%に対する製造方法の影響を示している表XXVに示されているような、種々の方法が固体分散体の結晶化度%に与える影響を判定する。
【0217】
例167
この例は、プロセスパラメーター(温度)の影響を説明する。具体的には、40〜100℃の乾燥温度の、固体分散体の結晶化度%に対する影響を評価した。乾燥温度又は処理温度の増加は、イブプロフェン/C−A−P固体分散体の結晶化度%に対する乾燥温度の影響を示している表XXVIに示されるように、共沈によって製造された固体分散体の結晶化度を低下させることができる。
【0218】
特に断らない限り、本明細書及び特許請求の範囲において使用した、成分の量、反応条件などを表す全ての数値は、全ての場合において用語「約」で修飾されているものと理解すべきである。従って、そうでないことが示されない限り、本明細書及び添付した特許請求の範囲に記載した数値パラメーターは、本発明が得ようとする目的の性質に応じて変化し得る近似値である。
【0219】
本発明の他の実施態様は、本明細書の検討及び本明細書中に開示した本発明の実施から当業者には明らかとなるであろう。本明細書及び実施例は単なる例示と見なすものとし、本発明の真の範囲及び精神は以下の特許請求の範囲によって示されるものとする。
【0220】
【表4】
【0221】
【表5】
【0222】
【表6】
【0223】
【表7】
【0224】
【表8】
【0225】
【表9】
【0226】
【表10】
【0227】
【表11】
【0228】
【表12】
【0229】
【表13】
【0230】
【表14】
【0231】
【表15】
【0232】
【表16】
【0233】
【表17】
【0234】
【表18】
【0235】
【表19】
【0236】
【表20】
【0237】
【表21】
【0238】
【表22】
【0239】
【表23】
【0240】
【表24】
【0241】
【表25】
【0242】
【表26】
【0243】
【表27】
【0244】
【表28】
【0245】
【表29】
【0246】
【表30】
【0247】
【表31】
【0248】
【表32】
【0249】
【表33】
【0250】
【表34】
【0251】
【表35】
【0252】
【表36】
【0253】
【表37】
【0254】
【表38】
【0255】
【表39】
【0256】
【表40】
【0257】
【表41】
【0258】
【表42】
【0259】
【表43】
【0260】
【表44】
【0261】
【表45】
【0262】
【表46】
【0263】
【表47】
【0264】
【表48】
【0265】
【表49】
【0266】
【表50】
【0267】
【表51】
【0268】
【表52】
【0269】
【表53】
【0270】
【表54】
【0271】
【表55】
【0272】
【表56】
【図面の簡単な説明】
【0273】
【図1】カルバマゼピン及びカルバマゼピン固体分散体の溶解プロフィールを示す。
【図2】グリブリド及びグリブリド固体分散体の溶解プロフィールを示す。
【図3】グリブリド固体分散体の溶解プロフィールを示す。
【図4】CMCAB/グリブリド固体分散体(同時蒸発によって調製)の溶解プロフィールの比較を示す。
【図5】HPMCAS/グリブリド固体分散体とCMCAB/グリブリド固体分散体との溶解プロフィールの比較を示す。
【図6】HPMCAS/グリブリド固体分散体とCMCAB/グリブリド固体分散体との溶解プロフィールの比較を示す。
【図7】グリセオフルビン固体分散体の溶解プロフィールを示す。
【図8】CMCAB/グリセオフルビン固体分散体の溶解プロフィール(放出%)の比較を示す。
【図9】CMCAB/グリセオフルビン固体分散体の溶解プロフィール(放出mg)の比較を示す。
【図10】CMCAB/グリセオフルビン固体分散体とPVP/グリセオフルビン固体分散体の溶解プロフィール(放出%)の比較を示す。
【図11】CMCAB/グリセオフルビン固体分散体とPVP/グリセオフルビン固体分散体の溶解プロフィール(放出mg)の比較を示す。
【図12】CMCAB/グリセオフルビン固体分散体とHPMCAS/グリセオフルビン固体分散体の溶解プロフィール(放出%)の比較を示す。
【図13】CMCAB/グリセオフルビン固体分散体とHPMCAS/グリセオフルビン固体分散体の溶解プロフィール(放出mg)の比較を示す。
【図14】グリセオフルビン、グリセオフルビン/CMCAB及びグリセオフルビン/CMCAB/界面活性剤固体分散体の溶解プロフィールの比較を示す。
【図15】イブプロフェン/CMCAB固体分散体の%結晶化度に対するTPGSの影響(D−最適混合物の実験計画法の結果)を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体中への溶解度が低い少なくとも1種の医薬活性剤と、構造:
【化1】
[式中、R1〜R6は、それぞれ独立して、−OH、−OC(O)(アルキル)及び−O(CH2)xC(O)OH(ここでxは1〜3の範囲である)並びにそれらの医薬として許容され得る塩から選ばれ;
−OHのアンヒドログルコース当たりの置換度は0.1〜0.7の範囲であり;
−OC(O)(アルキル)のアンヒドログルコース当たりの置換度は0.1〜2.7の範囲であり;且つ
−O(CH2)xC(O)OHのアンヒドログルコース当たりの置換度は0.2〜0.75の範囲である]
を有するアンヒドログルコース反復単位を含む少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロースエステルを含んでなる医薬組成物。
【請求項2】
前記組成物が固体分散体を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
結合剤、充填剤、滑沢剤、懸濁化剤、甘味剤、矯味矯臭剤、保存剤、緩衝剤、湿潤剤、崩壊剤、発泡剤又は他の賦形剤から選ばれた少なくとも1種の添加剤を更に含む請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
ビタミンE TPGS、スクロースアセテートイソブチレート、グルコースペンタプロピオネート、フタル酸ジエチル、トリアセチン、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート及びドデシル硫酸ナトリウムから選ばれた少なくとも1種の添加剤を更に含む請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記−OC(O)(アルキル)が−OC(O)(C1〜C21アルキル)から選ばれる請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記−OC(O)(アルキル)が−OC(O)(C1〜C11アルキル)から選ばれる請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記−OC(O)(アルキル)が−OC(O)(C1〜C5アルキル)から選ばれる請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記−OC(O)(アルキル)が−OC(O)(C1〜C3アルキル)から選ばれる請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記の少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロースエステルが0.2〜0.4の範囲の置換度を有するカルボキシメチルセルロースエステルから選ばれる請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記カルボキシアルキルセルロースエステルが1.5〜2.7の範囲の−OC(O)CH3のアンヒドログルコース当たりの置換度を有するカルボキシメチルセルロースアセテートである請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記の少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロースエステルが1.5〜2.7の範囲の−OC(O)CH2CH3のアンヒドログルコース当たりの置換度を有するカルボキシメチルセルロースプロピオネートである請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
前記の少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロースエステルが1.5〜2.7の範囲の−OC(O)CH2CH2CH3のアンヒドログルコース当たりの置換度を有するカルボキシメチルセルロースブチレートである請求項9に記載の組成物。
【請求項13】
前記の少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロースエステルが0.1〜2.65の範囲の−OC(O)CH3のアンヒドログルコース当たりの置換度及び0.1〜2.6の範囲の−OC(O)CH2CH2CH3のアンヒドログルコース当たりの置換度を有するカルボキシメチルセルロースアセテートプロピオネートである請求項9に記載の組成物。
【請求項14】
前記の少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロースエステルが0.1〜1.65の範囲の−OC(O)CH3のアンヒドログルコース当たりの置換度及び0.1〜2.6の範囲の−OC(O)CH2CH2CH3のアンヒドログルコース当たりの置換度を有するカルボキシメチルセルロースアセテートブチレートである請求項9に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物がポリマーブレンドである請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
医薬として許容され得る媒体中で、前記組成物が少なくともpH5において医薬活性剤の放出を示す請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
医薬として許容され得る媒体中で、前記組成物が少なくともpH6において医薬活性剤の放出を示す請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
医薬として許容され得る媒体中で、前記組成物が少なくともpH6.5において医薬活性剤の放出を示す請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
媒体中への溶解度が低い少なくとも1種の医薬活性剤と、構造:
【化2】
[式中、R1〜R6は、それぞれ独立して、−OH、−OC(O)(アルキル)及び−O(CH2)xC(O)OH(ここでxは1〜3の範囲である)並びにそれらの医薬として許容され得る塩から選ばれ;
−OHのアンヒドログルコース当たりの置換度は0.1〜0.7であり;
−OC(O)(アルキル)のアンヒドログルコース当たりの置換度は0.1〜2.7であり;且つ
−O(CH2)xC(O)OHのアンヒドログルコース当たりの置換度は0.2〜0.75である]
を有するアンヒドログルコース反復単位を含む少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロースエステルを含んでなり、固体分散体の形態である組成物。
【請求項20】
前記カルボキシアルキルセルロースが0.35〜0.60dL/gのインヘレント粘度を有するカルボキシメチルセルロースアセテートブチレートである請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
−OCH2C(O)OHのアンヒドログルコース当たりの置換度が0.751〜1.2の範囲である請求項19に記載の組成物。
【請求項22】
共沈法によって製造された請求項19に記載の組成物。
【請求項23】
同時蒸発法によって製造された請求項19に記載の組成物。
【請求項24】
噴霧乾燥法によって製造された請求項19に記載の組成物。
【請求項25】
凍結乾燥法によって製造された請求項19に記載の組成物。
【請求項26】
無溶剤法によって製造された請求項19に記載の組成物。
【請求項27】
溶融ブレンドによって製造された請求項19に記載の組成物。
【請求項28】
溶融押出によって製造された請求項19に記載の組成物。
【請求項29】
1gを溶解するのに少なくとも10,000mLの水を必要とする少なくとも1種の医薬活性剤と、構造:
【化3】
[式中、R1〜R6は、それぞれ独立して、−OH、−OC(O)(アルキル)及び−O(CH2)xC(O)OH(ここでxは1〜3の範囲である)並びにそれらの医薬として許容され得る塩から選ばれ;
−OHのアンヒドログルコース当たりの置換度は0.1〜0.7の範囲の範囲であり;
−OC(O)(アルキル)のアンヒドログルコース当たりの置換度は0.1〜2.7であり;且つ
−O(CH2)xC(O)OHのアンヒドログルコース当たりの置換度は0.2〜0.75の範囲である]
を有するアンヒドログルコース反復単位を含む少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロースエステルを含んでなる医薬組成物。
【請求項30】
治療を必要としている哺乳類に、
少なくとも1種の難溶性医薬活性剤の治療有効量と、
構造:
【化4】
[式中、R1〜R6は、それぞれ独立して、−OH、−OC(O)(アルキル)及び−O(CH2)xC(O)OH(ここでxは1〜3の範囲である)並びにそれらの医薬として許容され得る塩から選ばれ;
−OHのアンヒドログルコース当たりの置換度は0.1〜0.7の範囲であり;
−OC(O)(アルキル)のアンヒドログルコース当たりの置換度は0.1〜2.7の範囲であり;且つ
−O(CH2)xC(O)OHのアンヒドログルコース当たりの置換度は0.2〜0.75の範囲である]
を有するアンヒドログルコース反復単位を含む少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロースエステルを含む医薬組成物を投与することを含んでなる、治療を必要としている哺乳類の、医薬組成物による治療方法。
【請求項31】
媒体中への溶解度が低い少なくとも1種の医薬活性剤と、構造:
【化5】
[式中、R1〜R6は、それぞれ独立して、−OH、−OC(O)(アルキル)並びに−O(CH2)xC(O)OH,O-A+及び−O(CH2)xC(O)O-A+(ここでxは1〜3の範囲であり、A+は対イオンである)から選ばれ;
−OH及びO-A+のアンヒドログルコース当たりの置換度は0.1〜0.7の範囲であり;
−OC(O)(アルキル)のアンヒドログルコース当たりの置換度は0.1〜2.7の範囲であり;且つ
−O(CH2)xC(O)OH及び−O(CH2)xC(O)O-A+のアンヒドログルコース当たりの置換度は0.2〜0.75の範囲である]
を有するアンヒドログルコース反復単位を含む少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロースエステルを含んでなる医薬組成物。
【請求項32】
前記組成物が固体分散体を含む請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
各A+が一価無機陽イオン、二価無機陽イオン、アンモニウム塩及びアルキルアンモニウム塩から独立して選ばれる請求項31に記載の組成物。
【請求項34】
前記一価無機陽イオンがリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム及び銀から選ばれる請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
前記二価無機陽イオンがマグネシウム、カルシウム、ニッケル、亜鉛、鉄、銅及びマンガンから選ばれる請求項33に記載の組成物。
【請求項1】
媒体中への溶解度が低い少なくとも1種の医薬活性剤と、構造:
【化1】
[式中、R1〜R6は、それぞれ独立して、−OH、−OC(O)(アルキル)及び−O(CH2)xC(O)OH(ここでxは1〜3の範囲である)並びにそれらの医薬として許容され得る塩から選ばれ;
−OHのアンヒドログルコース当たりの置換度は0.1〜0.7の範囲であり;
−OC(O)(アルキル)のアンヒドログルコース当たりの置換度は0.1〜2.7の範囲であり;且つ
−O(CH2)xC(O)OHのアンヒドログルコース当たりの置換度は0.2〜0.75の範囲である]
を有するアンヒドログルコース反復単位を含む少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロースエステルを含んでなる医薬組成物。
【請求項2】
前記組成物が固体分散体を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
結合剤、充填剤、滑沢剤、懸濁化剤、甘味剤、矯味矯臭剤、保存剤、緩衝剤、湿潤剤、崩壊剤、発泡剤又は他の賦形剤から選ばれた少なくとも1種の添加剤を更に含む請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
ビタミンE TPGS、スクロースアセテートイソブチレート、グルコースペンタプロピオネート、フタル酸ジエチル、トリアセチン、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート及びドデシル硫酸ナトリウムから選ばれた少なくとも1種の添加剤を更に含む請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記−OC(O)(アルキル)が−OC(O)(C1〜C21アルキル)から選ばれる請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記−OC(O)(アルキル)が−OC(O)(C1〜C11アルキル)から選ばれる請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記−OC(O)(アルキル)が−OC(O)(C1〜C5アルキル)から選ばれる請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記−OC(O)(アルキル)が−OC(O)(C1〜C3アルキル)から選ばれる請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記の少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロースエステルが0.2〜0.4の範囲の置換度を有するカルボキシメチルセルロースエステルから選ばれる請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記カルボキシアルキルセルロースエステルが1.5〜2.7の範囲の−OC(O)CH3のアンヒドログルコース当たりの置換度を有するカルボキシメチルセルロースアセテートである請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記の少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロースエステルが1.5〜2.7の範囲の−OC(O)CH2CH3のアンヒドログルコース当たりの置換度を有するカルボキシメチルセルロースプロピオネートである請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
前記の少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロースエステルが1.5〜2.7の範囲の−OC(O)CH2CH2CH3のアンヒドログルコース当たりの置換度を有するカルボキシメチルセルロースブチレートである請求項9に記載の組成物。
【請求項13】
前記の少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロースエステルが0.1〜2.65の範囲の−OC(O)CH3のアンヒドログルコース当たりの置換度及び0.1〜2.6の範囲の−OC(O)CH2CH2CH3のアンヒドログルコース当たりの置換度を有するカルボキシメチルセルロースアセテートプロピオネートである請求項9に記載の組成物。
【請求項14】
前記の少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロースエステルが0.1〜1.65の範囲の−OC(O)CH3のアンヒドログルコース当たりの置換度及び0.1〜2.6の範囲の−OC(O)CH2CH2CH3のアンヒドログルコース当たりの置換度を有するカルボキシメチルセルロースアセテートブチレートである請求項9に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物がポリマーブレンドである請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
医薬として許容され得る媒体中で、前記組成物が少なくともpH5において医薬活性剤の放出を示す請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
医薬として許容され得る媒体中で、前記組成物が少なくともpH6において医薬活性剤の放出を示す請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
医薬として許容され得る媒体中で、前記組成物が少なくともpH6.5において医薬活性剤の放出を示す請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
媒体中への溶解度が低い少なくとも1種の医薬活性剤と、構造:
【化2】
[式中、R1〜R6は、それぞれ独立して、−OH、−OC(O)(アルキル)及び−O(CH2)xC(O)OH(ここでxは1〜3の範囲である)並びにそれらの医薬として許容され得る塩から選ばれ;
−OHのアンヒドログルコース当たりの置換度は0.1〜0.7であり;
−OC(O)(アルキル)のアンヒドログルコース当たりの置換度は0.1〜2.7であり;且つ
−O(CH2)xC(O)OHのアンヒドログルコース当たりの置換度は0.2〜0.75である]
を有するアンヒドログルコース反復単位を含む少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロースエステルを含んでなり、固体分散体の形態である組成物。
【請求項20】
前記カルボキシアルキルセルロースが0.35〜0.60dL/gのインヘレント粘度を有するカルボキシメチルセルロースアセテートブチレートである請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
−OCH2C(O)OHのアンヒドログルコース当たりの置換度が0.751〜1.2の範囲である請求項19に記載の組成物。
【請求項22】
共沈法によって製造された請求項19に記載の組成物。
【請求項23】
同時蒸発法によって製造された請求項19に記載の組成物。
【請求項24】
噴霧乾燥法によって製造された請求項19に記載の組成物。
【請求項25】
凍結乾燥法によって製造された請求項19に記載の組成物。
【請求項26】
無溶剤法によって製造された請求項19に記載の組成物。
【請求項27】
溶融ブレンドによって製造された請求項19に記載の組成物。
【請求項28】
溶融押出によって製造された請求項19に記載の組成物。
【請求項29】
1gを溶解するのに少なくとも10,000mLの水を必要とする少なくとも1種の医薬活性剤と、構造:
【化3】
[式中、R1〜R6は、それぞれ独立して、−OH、−OC(O)(アルキル)及び−O(CH2)xC(O)OH(ここでxは1〜3の範囲である)並びにそれらの医薬として許容され得る塩から選ばれ;
−OHのアンヒドログルコース当たりの置換度は0.1〜0.7の範囲の範囲であり;
−OC(O)(アルキル)のアンヒドログルコース当たりの置換度は0.1〜2.7であり;且つ
−O(CH2)xC(O)OHのアンヒドログルコース当たりの置換度は0.2〜0.75の範囲である]
を有するアンヒドログルコース反復単位を含む少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロースエステルを含んでなる医薬組成物。
【請求項30】
治療を必要としている哺乳類に、
少なくとも1種の難溶性医薬活性剤の治療有効量と、
構造:
【化4】
[式中、R1〜R6は、それぞれ独立して、−OH、−OC(O)(アルキル)及び−O(CH2)xC(O)OH(ここでxは1〜3の範囲である)並びにそれらの医薬として許容され得る塩から選ばれ;
−OHのアンヒドログルコース当たりの置換度は0.1〜0.7の範囲であり;
−OC(O)(アルキル)のアンヒドログルコース当たりの置換度は0.1〜2.7の範囲であり;且つ
−O(CH2)xC(O)OHのアンヒドログルコース当たりの置換度は0.2〜0.75の範囲である]
を有するアンヒドログルコース反復単位を含む少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロースエステルを含む医薬組成物を投与することを含んでなる、治療を必要としている哺乳類の、医薬組成物による治療方法。
【請求項31】
媒体中への溶解度が低い少なくとも1種の医薬活性剤と、構造:
【化5】
[式中、R1〜R6は、それぞれ独立して、−OH、−OC(O)(アルキル)並びに−O(CH2)xC(O)OH,O-A+及び−O(CH2)xC(O)O-A+(ここでxは1〜3の範囲であり、A+は対イオンである)から選ばれ;
−OH及びO-A+のアンヒドログルコース当たりの置換度は0.1〜0.7の範囲であり;
−OC(O)(アルキル)のアンヒドログルコース当たりの置換度は0.1〜2.7の範囲であり;且つ
−O(CH2)xC(O)OH及び−O(CH2)xC(O)O-A+のアンヒドログルコース当たりの置換度は0.2〜0.75の範囲である]
を有するアンヒドログルコース反復単位を含む少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロースエステルを含んでなる医薬組成物。
【請求項32】
前記組成物が固体分散体を含む請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
各A+が一価無機陽イオン、二価無機陽イオン、アンモニウム塩及びアルキルアンモニウム塩から独立して選ばれる請求項31に記載の組成物。
【請求項34】
前記一価無機陽イオンがリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム及び銀から選ばれる請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
前記二価無機陽イオンがマグネシウム、カルシウム、ニッケル、亜鉛、鉄、銅及びマンガンから選ばれる請求項33に記載の組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2009−514884(P2009−514884A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−539082(P2008−539082)
【出願日】平成18年11月3日(2006.11.3)
【国際出願番号】PCT/US2006/043077
【国際公開番号】WO2007/056205
【国際公開日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(594055158)イーストマン ケミカル カンパニー (391)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月3日(2006.11.3)
【国際出願番号】PCT/US2006/043077
【国際公開番号】WO2007/056205
【国際公開日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(594055158)イーストマン ケミカル カンパニー (391)
【Fターム(参考)】
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