説明

難燃剤がグラフトされたオレフィンポリマーを製造するための方法

放射線開始により難燃剤がグラフトされたオレフィンポリマーを製造するための方法であって、 a) 約10℃〜約85℃の温度にて高エネルギーイオン化放射線でオレフィンポリマー材料(A)を照射して、ポリマー骨格上にフリーラジカル開始部位を生成させ; b)
約100℃までの第1の温度にて、調節された量の酸素の存在下、少なくとも1つの重合可能
な難燃剤約5〜50重量%で、その照射したオレフィンポリマー材料を処理し、ついで、25℃〜前記ポリマー材料の軟化点より低い温度までの第2の温度にそのポリマー材料を保ち、
それによって、ポリマー混合物を形成し; c) ポリマー混合物の融点より高い温度に、工程b)にて得られたポリマー混合物を加熱し、それによって、グラフトポリマー溶融物を生成させる各工程を含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々の条件下、重合可能な難燃剤により難燃剤がグラフトされたオレフィンポリマー材料を製造するための方法;および、それらの用途に関する。
【背景技術】
【0002】
グラフトされたオレフィンポリマーは、当分野における公知の種々の方法、例えば、固体ポリマーの存在または溶融状態のポリマーにより、ポリマー溶液中で行われるグラフト反応により製造することができる。ポリオレフィン上の活性部位は、グラフトモノマー類の存在かまたは後方段階でのモノマー類との接触によるいずれかで形成することができる。グラフト部位は、ポリマー骨格から水素フリーラジカルを抜き取ることのできるフリーラジカル重合開始剤である過酸化物またはいずれかのその他の薬品化合物での処理によるか、または、高エネルギーイオン化放射線での照射により生成させることができる。過酸化物の分解または照射処理の結果として反応中に生ずるフリーラジカルは、フリーラジカルがオレフィンポリマー上に形成される時に、モノマー類の重合のための開始剤およびグラフトのための活性部位として作用する。
【0003】
例えば、U.S.特許No.5,652,281は、そのプロセス全体を通して保たれる非酸化環境下
、オレフィンポリマー粒子を照射し、液体形態のビニルモノマーで処理することにより、グラフトされたオレフィンポリマーを製造するための方法を開示している。未反応のビニルモノマーは、続いて、実質的に非酸化環境を保ちつつ、グラフトされたオレフィンポリマーから除去される。
【0004】
グラフトコポリマーは、U.S.特許No.3,862,265に開示されているように、また、押出
機内で製造され、その特許では、有機過酸化物開始剤が押出機内に射出され、溶融状態のポリオレフィン類のビニルモノマー類とのグラフト反応を開始する。反応性押出は、溶融状態のポリマーにて実施され、多くの利点、例えば、迅速な反応速度および簡単な反応システムを提供する。にもかかわらず、このようなグラフト重合は、押出の間に、有機過酸化物の使用を必要とする。過酸化物は、不安定かつ爆発性の薬品であるので、それらは、危険性を最小とするために、特に安全な取扱処理法を必要とする。さらに、有機過酸化物からの分解生成物、例えば、t-ブチルアルコールは、望ましくないことに、最終製品に残り、その製品をある種の用途について不適当とする。また、このようなプロセスにて使用されるフリーラジカル開始剤は、グラフト共重合を開始するのみならず、また、ビニルモノマー類のホモ重合をも開始するので、比較的低いグラフト効率が生ずることが多く、低い度合いのグラフトモノマー含量を生じ、かくして、最終製品の価値を低下させる。
【0005】
難燃剤ポリマー材料は、難燃剤をポリマーマトリックスにブレンドすることによって製造されている。有用な難燃剤としては、ハロゲン化、非ハロゲン化およびリン難燃剤が挙げられる。例えば、U.S.特許No.5,605,962は、ホスフェート含有難燃剤をグラフトされ
たコポリマー材料に添加することによる難燃性の樹脂組成物を開示している。U.S.特許No.5,543,447は、新規なプラスチック組成物;および、赤色非晶質リンをホストポリマー
に均一に分散させて、難燃性ポリマー材料を製造する工程を含む同組成物を製造するための方法を開示している。しかし、このような分散させた難燃剤は、難燃性効率低下および表面汚染を生ずるプラスチック物品の表面に移動しうることが多いことが当分野で公知である。
【0006】
したがって、高度の難燃性および高度の表面純度ポリマー材料を達成するために、難燃剤をポリマーの表面に移動させないであろう難燃性ポリマー材料を製造する方法について
の要求が存在する。
【発明の開示】
【0007】
それ故に、本発明の目的は、難燃剤のオレフィンポリマーへの物理的ブレンドの使用に伴う上記した困難を克服するために、難燃剤がオレフィンポリマーと化学的に結合されるリン含有難燃性オレフィンポリマー材料を製造することである。
【0008】
本発明に従えば、難燃剤がグラフトされたオレフィンポリマーは、高エネルギーイオン化放射線源によって発生させた放射線開始を使用するか、または、開始剤として反応性過酸化物含有オレフィンポリマーの存在における過酸化物開始を使用することにより、オレフィンポリマー骨格上にリン含有重合可能な難燃剤をグラフトさせることによって製造される。
【0009】
1つの実施態様にて、本発明は、放射線開始により難燃剤がグラフトされたオレフィン
ポリマーを製造するための方法であって、
a) 約10℃〜約85℃の温度にて高エネルギーイオン化放射線でオレフィンポリマー材料(A)を照射して、酸素濃度多くて0.004体積%を有する雰囲気でポリマー材料骨格上にフリ
ーラジカル開始部位を生成させ;
b) 約100℃までの第1の温度にて、調節された量の酸素の存在下、使用するオレフィンポリマー材料および重合可能な難燃剤の合計重量に基づき、少なくとも1つの前記重合可
能な難燃剤約5〜50重量%で、照射したオレフィンポリマー材料を処理し、ついで、25℃〜前記ポリマー材料の軟化点より低い温度までの第2の温度にそのポリマー材料を保ち、そ
れによって、ポリマー混合物を形成し;
c) ポリマー混合物の融点より高い温度に、工程b)にて得られたポリマー混合物を加熱し、それによって、グラフトポリマー溶融物を生成させ;場合によっては、
d) グラフトポリマー溶融物を冷却した後に、そのグラフトポリマー溶融物をペレット化し、それによって、ペレット化されたグラフトコポリマーを生成させる;
各工程を含む方法に係る。
【0010】
もう1つの実施態様にて、本発明は、反応性過酸化物含有オレフィンポリマーを使用す
ることによる過酸化物開始による難燃剤がグラフトされたオレフィンポリマーを製造するための方法であって、
a) I. 反応性過酸化物含有オレフィンポリマー(B)約50.0〜約95.0wt%;および、
II. 少なくとも1つの重合可能な難燃剤約5〜50.0wt%;
を含み、成分I+IIの合計が、100wt%に等しいポリマーブレンドを調製し;
b) 調節された量の酸素の存在下、25℃〜前記ポリマーブレンドの軟化点より低い温度までの温度にそのポリマーブレンドを加熱し、それによって、ポリマー混合物を形成し;
c) ポリマー混合物の融点より高い温度にそのポリマー混合物を加熱し、それによって、グラフトポリマー溶融物を生成させ;場合によっては、
d) グラフトポリマー溶融物を冷却した後に、そのグラフトポリマー溶融物をペレット化し、それによって、ペレット化されたグラフトコポリマーを生成させる;
各工程を含む方法に係る。
【0011】
もう1つの実施態様にて、本発明は、難燃剤がグラフトされたオレフィンポリマー複合
材料を製造するための方法であって、
a) I. オレフィンポリマー材料(A)約50.0〜約90.0wt%;および、
II. ペレット化したグラフトコポリマー約10〜約50.0wt%;
を含み、成分I+IIの合計が、100wt%に等しく、そのペレット化したグラフトコポリマー
が、上記したように、放射線開始により難燃剤がグラフトされたオレフィンポリマーを製造するための方法、または、高分子過酸化物開始により難燃剤がグラフトされたオレフィ
ンポリマーを製造するための方法により製造されるポリマーブレンドを調製し;
b) ポリマーブレンドの融点より高い温度にそのポリマーブレンドを加熱し、それによって、グラフトされたオレフィンポリマー複合材料溶融物を生成させ;場合によっては、
c) グラフトされたオレフィンポリマー複合材料を冷却した後に、そのグラフトされたオレフィンポリマー複合材料をペレット化し、それによって、ペレット化されたオレフィンポリマー複合材料を生成させる;
各工程を含む方法に係る。
【0012】
もう1つの実施態様にて、本発明は、
a) 約10℃〜約85℃の温度にて高エネルギーイオン化放射線でオレフィンポリマー材料(A)を照射して、酸素濃度多くて0.004体積%を有する雰囲気でポリマー材料の骨格上にフ
リーラジカル開始部位を生成させ;
b) 約100℃までの第1の温度にて、調節された量の酸素の存在下、使用するオレフィンポリマー材料および重合可能な難燃剤の合計重量に基づき、少なくとも1つの前記重合可
能な難燃剤約5〜50重量%で、照射したオレフィンポリマー材料を処理し、ついで、25℃〜ポリマー材料の軟化点より低い温度までの第2の温度にそのポリマー材料を保ち、それに
よって、ポリマー混合物を形成し;
c) ポリマー混合物の融点より高い温度に、工程b)にて得られたポリマー混合物を加熱し、それによって、グラフトポリマー溶融物を生成させ;場合によっては、
d) グラフトポリマー溶融物を冷却した後に、そのグラフトポリマー溶融物をペレット化し、それによって、ペレット化されたグラフトコポリマーを生成させる;
各工程を含む方法によって製造される放射線開始により難燃剤がグラフトを有するオレフィンポリマーに係る。
【0013】
もう1つの実施態様にて、本発明は、
a) I. 反応性過酸化物含有オレフィンポリマー(B)約50.0〜約95.0wt%;および、
II. 少なくとも1つの重合可能な難燃剤約5〜約50.0wt%;
を含み、成分I+IIの合計が、100wt%に等しいポリマーブレンドを調製し;
b) 調節された量の酸素の存在下、25℃〜前記ポリマーブレンドの軟化点より低い温度までの温度にそのポリマーブレンドを加熱し、それによって、ポリマー混合物を形成し;
c) ポリマー混合物の融点より高い温度にそのポリマー混合物を加熱し、それによって、グラフトポリマー溶融物を生成させ;場合によっては、
d) グラフトポリマー溶融物を冷却した後に、そのグラフトポリマー溶融物をペレット化し、それによって、ペレット化されたグラフトコポリマーを生成させる;
各工程を含む方法によって製造される過酸化物開始による難燃剤グラフトを有するオレフィンポリマーに係る。
【0014】
もう1つの実施態様にて、本発明は、
a) I. オレフィンポリマー材料(A)約50.0〜約90.0wt%;および、
II. ペレット化したグラフトコポリマー約10〜約50.0wt%;
を含み、成分I+IIの合計が、100wt%に等しく、かつ、そのペレット化したグラフトコポ
リマーが、上記したように、放射線開始により難燃剤がグラフトされたオレフィンポリマーを製造するための方法、または、高分子過酸化物開始により難燃剤がグラフトされたオレフィンポリマーを製造するための方法によって製造されるポリマーブレンドを調製し;
b) ポリマーブレンドの融点より高い温度にそのポリマーブレンドを加熱し、それによって、グラフトされたオレフィンポリマー複合材料溶融物を生成させ;場合によっては、
c) グラフトされたオレフィンポリマー複合材料溶融物を冷却した後に、そのグラフトされたオレフィンポリマー複合材料溶融物をペレット化し、それによって、ペレット化されたオレフィンポリマー複合材料を生成させる;
各工程を含む方法により製造される難燃剤グラフトを有するオレフィンポリマー複合材料
に係る。
【0015】
オレフィンポリマー材料(A)に適したオレフィンポリマーおよび反応性過酸化物含有オ
レフィンポリマー材料(B)のための出発材料は、プロピレンポリマー材料、エチレンポリ
マー材料、ブテン-1ポリマー材料またはそれらの混合物である。本発明にて使用されるオレフィンポリマーは、
(a) アイソタクチック指数約80%より大、好ましくは、約90%〜約99.5%を有するプロピレンの結晶質ホモポリマー;
(b) エチレンおよびC4-C10α-オレフィン類から選択され、その重合されるオレフィン含量が、エチレンを使用する時に、約1重量%〜10重量%、好ましくは、約2%〜約8%であり
、C4-C10α-オレフィン類を使用する時に、約1重量%〜約20重量%、好ましくは、約2%〜約16%であるオレフィンとプロピレンとの結晶質ランダムコポリマーであり、そのコポリマ
ーが、アイソタクチック指数約60%より大、好ましくは、少なくとも約70%を有するコポリマー;
(c) エチレンおよびC4-C8α-オレフィン類から選択され、重合されるオレフィン含量
が、エチレンを使用する時に、約1重量%〜約5重量%、好ましくは、約1%〜約4%であり、C4-C10α-オレフィン類を使用する時に、約1重量%〜約20重量%、好ましくは、約1%〜約16%
である2つのオレフィン類とプロピレンとの結晶質ランダムターポリマーであり、そのタ
ーポリマーが、アイソタクチック指数約85%より大を有するターポリマー;
(d) (i) アイソタクチック指数少なくとも約80%、好ましくは、約90〜約99.5%を有する結晶質プロピレンホモポリマー;または、(a)プロピレンおよびエチレン;(b)プロピレン、エチレンおよびC4-C8α-オレフィン;(c)プロピレンおよびC4-C8α-オレフィンか
ら選択されるモノマー類の結晶質コポリマーであり、そのコポリマーが、重合されたプロピレン含量約85重量%より大、好ましくは、約90%〜約99%およびアイソタクチック指数約60%より大を有する結晶質コポリマー約10重量%〜約60重量%、好ましくは、約15%〜約55%;
(ii) エチレンおよびプロピレンまたは周囲温度でキシレンに不溶性のC4-C8α-オレフィンのコポリマー約3重量%〜約25重量%、好ましくは、約5%〜約20%;および、
(iii) (a)エチレンおよびプロピレン;(b)エチレン、プロピレンおよびC4-C8α-オ
レフィン;(c)エチレンおよびC4-C8α-オレフィンから選択されるモノマー類の弾性コポ
リマーであり、そのコポリマーが、場合によっては、約0.5重量%〜約10重量%の重合され
たジエンを含有し、かつ、約70重量%未満、好ましくは、約10%〜約60%、最も好ましくは
、約12%〜約55%の重合されたエチレンを含有し、周囲温度でキシレンに溶解性であり、かつ、固有粘度約1.5〜約6.0dl/gを有する弾性コポリマー約10重量%〜約80重量%、好ましくは、約15%〜約65%;
を含み、(ii)および(iii)の合計が、合計オレフィンポリマー組成物に基づき、約50重量%〜約90重量%であり、かつ、(ii)/(iii)の重量比が、約0.4未満、好ましくは、0.1〜0.3であり、好ましくは、その組成物が、少なくとも2段階の重合によって製造されるオレフィ
ンポリマー組成物;
(e) エチレンのホモポリマー類;
(f) 重合されたα-オレフィン含量約1〜約20重量%、好ましくは、約2%〜約16%を有す
るC3-C10α-オレフィン類から選択されるα-オレフィンおよびエチレンのランダムコポリマー類;
(g) 重合されたα-オレフィン含量約1重量%〜20重量%、好ましくは、約2%〜約16%を
有する2つのC3-C10α-オレフィン類およびエチレンのランダムターポリマー類;
(h) ブテン-1のホモポリマー類;
(i) ブテン-1のエチレン、プロピレンまたはC5-C10α-オレフィンとのコポリマーまたはターポリマー類であり、そのコモノマー含量が、約1モル%〜約15モル%の範囲であ
るコポリマーまたはターポリマー類;および、
(j) それらの混合物;
から選択することができる。
【0016】
好ましくは、オレフィンポリマーは、
(a) アイソタクチック指数約80%より大、好ましくは、約90%〜約99.5%を有するプロピレンの結晶質ホモポリマー;および、
(b) エチレンおよびC4-C10α-オレフィン類から選択され、その重合されるオレフィン含量が、エチレンを使用する時に、約1重量%〜10重量%、好ましくは、約2%〜約8%であり
、C4-C10α-オレフィン類を使用する時に、約1重量%〜約20重量%、好ましくは、約2%〜
約16%であるオレフィンとプロピレンとの結晶質ランダムコポリマーであり、そのコポリ
マーが、アイソタクチック指数約60%より大、好ましくは、少なくとも約70%を有するコポリマー;
から選択される。
【0017】
最も好ましくは、オレフィンポリマーは、アイソタクチック指数約90%より大を有する
プロピレンホモポリマーである。
有用なポリブテン-1ホモまたはコポリマーは、アイソタクチックまたはシンジオタクチックであってもよく、メルトフローレート(MFR)約0.1〜150dg/分、好ましくは、約0.3〜100、最も好ましくは、約0.5〜75を有する。
【0018】
これらのブテン-1ポリマー材料、それらの製造方法およびそれらの特性は、当分野公知である。適したポリブテン-1ポリマーは、例えば、WO 99/45043に記載されているように
、ブテン-1とともに、Ziegler-Natta触媒を使用することによるか、または、WO 02/102811に記載されているように、ブテン-1のメタロセン重合により得ることができ、これらのPCT出願国際公開公報の開示は、参考とすることによって、本明細書に組み込む。
【0019】
好ましくは、ブテン-1ポリマー材料は、約15モル%までの共重合されたエチレンまたは
プロピレンを含有する。さらに好ましくは、ブテン-1ポリマー材料は、7日後に広角X線回折により測定される結晶度少なくとも約30重量%、さらに好ましくは、約45%〜約70%、最
も好ましくは、約55%〜約60%を有するホモポリマーである。
【0020】
オレフィンポリマー材料(A)および反応性過酸化物含有オレフィンポリマー(B)のための出発材料は、同一または互いに異なっていてもよい。
放射線開始により難燃剤がグラフトされたオレフィンポリマーを製造するための方法にて、オレフィンポリマー材料(A)は、酸素量が多くて0.004体積%であり、典型的には、不
活性ガス、好ましくは、窒素のガスシール下の実質的に非酸化性の環境で高エネルギーイオン化放射線に暴露される。イオン化放射線は、所望される程度に照射されるポリマー材料の素材を貫入するのに十分なエネルギーを有する必要がある。イオン化放射線は、いずれの種類であってもよいが、好ましくは、電子およびγ線を含むのがよい。加速電圧500
〜4,000キロボルトを有する電子発生器から発射される電子がさらに好ましい。イオン化
放射線約0.1〜約15megarad("Mrad")、好ましくは、約0.5〜約9.0Mradの線量で、満足する結果が得られる。
【0021】
"rad"という用語は、通常、U.S.特許No.5,047,446に記載されている方法を使用し、放射線源にかかわらず、照射される材料のグラム当り100ergの吸収を生ずるイオン化放射線の量と定義される。イオン化放射線からのエネルギー吸収は、周知の慣用的放射線線量計、すなわち、放射線感応性染料を含有する1片のポリマーフィルムがエネルギー吸収感知
手段である測定装置によって測定される。したがって、本明細書で使用する場合、"rad"
という用語は、粒子の床もしくは層、または、フィルム、あるいは、シートの形の照射されるオレフィン材料の表面に位置する放射線線量計のポリマーフィルムのグラム当り100erg当量の吸収を生ずるイオン化放射線の量を意味する。
【0022】
反応工程にて、照射されるオレフィンポリマー材料は、酸素調節量の15体積%未満、好
ましくは、5.0%未満、さらに好ましくは、1.0%未満、最も好ましくは、0.004%より大であるが0.5%未満で、環境中の少なくとも1つの重合可能な難燃剤で処理される。反応工程は
、約100℃まで、好ましくは、約25℃〜85℃、最も好ましくは、約35℃〜65℃の第1の温度で行われ、ついで、少なくとも25℃であるが前記ポリマーの軟化点より低い温度、好ましくは、約25℃〜140℃、最も好ましくは、約100℃〜120℃の第2の温度に保たれ、それによって、ポリマー混合物を形成する。
【0023】
ポリマー混合物は、ついで、当分野周知のいずれかの慣用的な方法、例えば、Banbury
ミキサー、混練機、一軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、または、適当な攪拌手段を備えたオートクレーブを使用することによって、バッチまたは連続モードにて、溶融状態で押出しまたは配合される。
【0024】
生ずるポリマー溶融物は、場合によっては、ペレット化して、ペレット化されたグラフトコポリマーを製造することができる。
放射線難燃性グラフトオレフィンポリマーを製造する方法に使用される重合可能な難燃剤は、約5.0〜約50.0重量%、好ましくは、約8.0〜約40.0%、最も好ましくは、約10.0〜約20.0%の量にて存在するのがよい。
【0025】
反応性過酸化物含有オレフィンポリマーを使用することによる過酸化物開始により難燃剤がグラフトされたオレフィンポリマーを製造するための方法にて、反応性過酸化物含有オレフィンポリマー(B)は、照射および酸化プロセスによって製造することができる。出
発オレフィンポリマーは、実質的に非酸化環境、すなわち、活性酸素濃度が0.004体積%以下に保たれ、かつ、設定された環境にて、高エネルギーイオン化放射線に暴露される。イオン化放射線は、所望される程度に照射されるポリマー材料の素材を貫入するのに十分なエネルギーを有する必要がある。イオン化放射線は、いずれの種類であってもよいが、好ましくは、電子およびγ線を含むのがよい。加速電圧500〜4,000キロボルトを有する電子発生器から発射される電子がさらに好ましい。イオン化放射線約0.1〜約15megarad("Mrad")、好ましくは、約0.5〜約9.0Mradの線量で、満足する結果が得られる。
【0026】
照射されたオレフィンポリマー材料は、ついで、一連の工程で酸化される。好ましい製造方法に従えば、第1の処理工程は、活性酸素の第1の調節量0.004体積%より大であるが21体積%未満、好ましくは、15体積%未満、さらに好ましくは、8体積%未満、最も好ましくは、0.5体積%〜5.0体積%の存在で、照射されたポリマーを、少なくとも25℃であるがポリマーの軟化点より低い温度、好ましくは、約25℃〜140℃、さらに好ましくは、約40℃〜100℃、最も好ましくは、約50℃〜90℃の第1の温度まで加熱する工程からなる。所望される
温度までの加熱は、可能な限り迅速に、好ましくは、10分未満で達成される。ポリマーは、ついで、選択した温度に、典型的には、約5〜90分間保持して、ポリマー中のフリーラ
ジカルとの酸素の反応の度合いを増加させる。保持時間は、当業者であれば、決定することができ、出発材料の特性、使用する酸素濃度、放射線線量および温度に依存する。最高時間は、ポリマーを処理するために使用される流動床の物理的制約によって決定される。
【0027】
第2の処理工程にて、照射されたポリマーは、活性酸素の第2の調節量0.004体積%より大であるが21体積%未満、好ましくは、15体積%未満、さらに好ましくは、8体積%未満、最も好ましくは、0.5体積%〜5.0体積%の存在で、少なくとも25℃であるがポリマーの軟化点より低い第2の温度まで加熱する。好ましくは、第2の温度は、80℃〜前記ポリマーの軟化点未満であり、第1の処理工程の温度より高い。ポリマーは、ついで、選択した温度および
酸素濃度条件に、約10〜300分間、好ましくは、約20〜180分間、最も好ましくは、約30〜60分間保持して、連鎖フラグメントの再結合を最小とし、すなわち、長鎖分岐の形成を最小とする。保持時間は、第1の処理工程に関連して考察したと同様の因子によって決定さ
れる。
【0028】
任意の第3の工程にて、酸化されたオレフィンポリマー材料は、不活性ガス、好ましく
は、窒素のガスシール下で、少なくとも80℃であるがポリマーの軟化点より低い第3の温
度まで加熱し、その温度に約10〜約120分間、好ましくは、約60分間保持する。この工程
を実施する場合、さらに安定な生成物が生ずる。反応性過酸化物含有オレフィンポリマー材料が、直ちに使用されるよりもむしろ貯蔵される場合、または、使用される放射線線量が、上記した範囲の高い端で使用される場合、この工程を使用するのが好ましい。ポリマーは、ついで、不活性ガス、好ましくは、窒素のガスシール下、約50℃より低い第4の温
度まで冷却されてから、その床より排出される。このようにして、さらに分解することなく、長期間室温にて貯蔵することのできる安定な中間体が形成される。
【0029】
本明細書にて使用する場合、“室温”または“周囲”温度という表現は、ほぼ25℃を意味する。“活性酸素”という表現は、照射したオレフィンポリマー材料と反応するだろう形の酸素を意味する。それは、通常、大気中で見られる酸素の形である分子状酸素を含む。本発明の活性酸素含量要件は、環境中の大気の一部または全てを不活性ガス、例えば、窒素によって置換することにより達成することができる。
【0030】
第1の調節された量の酸素の存在下で第1の温度で作動する第1の流動床アセンブリを介して照射されたポリマーを通過させ、第2の調節された量の酸素の存在下で第2の温度で作動する第2の流動床アセンブリを介してポリマーを通過させ、ついで、第3の流動床アセンブリ中、窒素のガスシール下、第3の温度にそのポリマーを保つことにより、本処理を実
施するのが好ましい。商業的な運転にて、最初の2つの工程のために別個の流動床を、第3の工程のためにパージされた混合床を使用する連続法が好ましい。しかし、本方法は、また、各処理工程について所望される温度まで加熱した流動ガス流を使用し、1つの流動床
のバッチモードで実施することもできる。幾つかの技術、例えば、溶融押出法と違って、本流動床法は、照射されたポリマーの溶融された状態への転化および続く再凝固ならびに所望される形への連通を必要としない。流動媒体は、例えば、窒素、または、存在するフリーラジカルに関して不活性ないずれかのその他のガス、例えば、アルゴン、クリプトンおよびヘリウムであってもよい。
【0031】
ポリマー上に形成される過酸化物基の濃度は、反応性過酸化物含有オレフィンポリマーの製造の間の放射線線量;および、このようなポリマーが照射後に暴露される酸素の量を変えることによって容易に調節することができる。流動床ガス流中の酸素レベルは、流動床への導入口で乾燥濾過された空気を添加することによって調節される。空気は、ポリマー中の過酸化物の形成によって消費される酸素を補償するために絶え間なく添加する必要がある。
【0032】
反応性過酸化物含有オレフィンポリマーは、好ましくは、ポリマーのキログラム当り約1〜約200ミリ当量(meq/kg)の範囲、さらに好ましくは、約5〜約150(meq/kg)の範囲、最も好ましくは、約10〜100(meq/kg)の範囲の過酸化物濃度を有する。
【0033】
反応工程にて、反応性過酸化物含有オレフィンポリマーは、15体積%未満、好ましくは
、5.0%未満、さらに好ましくは、1.0%未満、最も好ましくは、0.004%より大であるが0.5%未満の酸素の調節量により環境中の少なくとも1つの重合可能な難燃剤で処理される。反
応工程は、25℃〜前記ポリマーの軟化点より低い温度、好ましくは、約80℃〜130℃、最
も好ましくは、約100℃〜120℃の温度で行われ、それによって、ポリマー混合物を形成する。
【0034】
ポリマー混合物は、ついで、当分野周知のいずれかの慣用的な方法、例えば、Banbury
ミキサー、混練機、一軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、または、適当な攪拌手段を備えたオートクレーブを使用することによって、バッチまたは連続モードにて、溶融状態で押出しまたは配合される。
【0035】
生ずるポリマー溶融物は、場合によっては、ペレット化されて、ペレット化されたグラフトコポリマーを生成する。反応性過酸化物含有オレフィンポリマーを使用することにより難燃性グラフトオレフィンポリマーを製造する方法に使用される重合可能な難燃剤は、約5.0〜約50.0重量%、好ましくは、約8.0〜約40.0%、最も好ましくは、約10.0〜約20.0%
の量、存在するのがよい。
【0036】
難燃剤がグラフトされたオレフィンポリマー複合材料を製造するための方法にて、ポリマーブレンドは、上記製造したペレット化されたグラフトコポリマーとオレフィンポリマー材料(A)とをブレンドすることにより製造される。ポリマーブレンドは、ついで、当分
野周知のいずれかの慣用的な方法、例えば、Banburyミキサー、混練機、一軸スクリュー
押出機、二軸スクリュー押出機、または、適当な攪拌手段を備えたオートクレーブを使用することによって、バッチまたは連続モードにて、溶融状態で押出しまたは配合される。
【0037】
生ずるポリマー複合材料溶融物は、場合によっては、ペレット化されて、ペレット化されたポリマー複合材料を生成する。難燃剤がグラフトされたオレフィンポリマー複合材料を製造する方法に使用されるペレット化したグラフトコポリマーは、約10.0〜約50.0重量%、好ましくは、約15.0〜約40.0%、最も好ましくは、約20.0〜約30.0%の量、存在するの
がよい。
【0038】
本発明に使用される重合可能な難燃剤は、リン含有モノマー、好ましくは、リン含有ビニルモノマー、例えば、ビニルホスホン酸、最も好ましくは、モノアクリルオキシエチルホスフェート(ヒドロキシエチルメタクリレートのモノホスフェートエステル)、ビス(2-
メタクリオキシエチル)ホスフェート(ヒドロキシエチルメタクリレートのジホスフェートエステル)およびそれらの混合物である。
【0039】
特に断らない限り、以下の実施例に記載するオレフィンポリマー材料の特性、組成およびその他の特性は、以下に報告する試験方法に従い、測定した:
メルトフローレート("MFR"):ASTM D 1238,dg/分の単位;230℃;2.16kg;フルダイを使用し、100より低いMFRでのポリマー材料;1/2ダイを使用し、100以上のMFRでのポリマ
ー材料;特に断らない限り。
【0040】
アイソタクチック指数("I.I."):キシレンに不溶性のオレフィンポリマーのパーセントとして定義される。室温でキシレンに溶解性のオレフィンポリマーの重量%は、攪拌機を
備えた容器内の室温での250mlキシレン中に2.5gのポリマーを溶解させ、攪拌しつつ、20
分間加熱することによって決定される。溶液は、攪拌を続けつつ、25℃まで冷却し、ついで、固体が沈降しうるように、攪拌することなく、30分間放置される。固体は、濾紙で濾過し、残りの溶液は、それを窒素流で処理することによって蒸発させ、固体残渣は、恒量に達するまで、80℃で減圧乾燥される。これらの値は、沸騰n-ヘプタンで抽出することによって決定されるアイソタクチック指数に実質的に相当し、これは、定義により、ポリプロピレンのアイソタクチック指数を与える。
【0041】
過酸化物濃度:S.Siggia et al.,4th Ed.NY,Wiley 1979,pp.334-42による官能基による定量有機分析。
リン含量:5gのグラフトされたポリマーを135℃で100gのキシレンに溶解し、ついで、
その溶液を周囲温度まで冷却する。溶液は、ポリマーを沈殿させるために、攪拌下、容器内の500gのアセトンに注ぐ。沈殿したポリマーを含む溶液は、ついで、濾過して、ポリマ
ー固体を回収する。減圧乾燥後、固体ポリマー試料は、収集し、元素分析を使用することにより分析して、グラフトされたリン含量を決定する。
【0042】
本明細書にて、全ての部、パーセンテージおよび比は、特に断らない限り、重量部、重量パーセンテージおよび重量比である。
【実施例1】
【0043】
放射線開始により難燃剤がグラフトされたオレフィンポリマーは、以下の処理法に従い製造した。MFR9.4dg/分およびI.I. 96.5%を有するポリプロピレンホモポリマー700gは、Basell USA Inc.から市販入手可能であり、窒素ガスシール下、室温にて4.0Mradで照射した。照射したポリマーは、ついで、ジャケット付きの3リットルガラス反応器に移され、
モノマー、すなわち、ビニルホスホン酸で35℃にて処理した。モノマーは、ポンプにより、供給速度7g/分で反応器に供給した。添加したモノマーの合計重量は、210gであった。
モノマーは、Aldrich Chemical Company,Inc.から購入し、さらに精製することなく使用した。反応温度を35℃に90分間保持した後、その温度を140℃まで上昇させ、その温度に60分間保った。ポリマーは、ついで、Thermo Electron Corporationから市販入手可能なHaake Rheocord押出機で、全ての域について押出温度230℃で押出した。重合したモノマー
含量および生ずるポリマー材料のMFRを表Iにまとめて示す。
【0044】
【表1】

【0045】
重合したモノマー含量の重量パーセント増加は、生ずるポリマー材料の重量からプロピレンホモポリマーの重量を差し引き、生ずるポリマー材料の重量によりその差を割り、その結果に100を掛けることによって計算される。
【実施例2】
【0046】
放射線難燃性グラフトオレフィンポリマーは、Basell USA Inc.から市販入手可能な、MFR9.4dg/分およびI.I. 96.5%を有するポリプロピレンホモポリマー700gを、窒素ガスシ
ール下、室温にて4.0Mradで照射することにより製造した。照射したポリマーは、ついで
、ジャッケット付きの3リットルガラス反応器に移し、モノマー、すなわち、Rhodia Inc.から市販入手可能なEmpicryl 6835(ヒドロキシエチルメタクリレートのモノホスフェートおよびジホスフェートエステルの混合物)により35℃で処理した。モノマーは、ポンプに
より、供給速度7g/分で反応器に供給した。添加したモノマーの合計重量は、210gであっ
た。反応温度を35℃に90分間保持した後、その温度を140℃まで上昇させ、その温度に60
分間保った。ポリマーは、ついで、Thermo Electron Corporationから市販入手可能なHaake Rheocord押出機で、全ての域について押出温度230℃で押出した。生ずるポリマー材料のMFRは、7.8dg/分であった。重合したモノマー含量およびリン含量を表IIにまとめて示
す。
【0047】
【表2】

【0048】
重合したモノマー含量の定義は、実施例1におけると同様であった。
【実施例3】
【0049】
実施例2で製造した難燃性グラフトオレフィンポリマーは、さらに、寸法127mm±5mm、13mm±0.5mm、3.13mm±0.05mmを有する屈曲バーに圧縮成形した。垂直燃焼試験用のUnderwriters Laboratories Inc.UL-94処理法を使用し、圧縮成形した材料について燃焼性試験を行なったが、その試験の結果は、表IIIに報告する。
【0050】
比較実施例
Basell USA Inc.から市販入手可能な、MFR 9.4dg/分およびI.I. 96.5%を有するポリプロピレンホモポリマーは、実施例2の製造のための出発材料と同様であるが、これを、実
施例3にて報告した条件下で、押出および圧縮成形した。垂直燃焼試験用のUnderwriters Laboratories Inc.UL-94処理法を使用し、圧縮成形材料について燃焼性試験を行なった
が、その試験の結果は、表IIIに報告する。
【0051】
【表3】

【0052】
表IIIに記載した燃焼時間は、本発明に従い製造される難燃性オレフィンポリマーの燃
焼時間が比較試料のそれよりもはるかに低いことを示す。
本明細書に開示した本発明のその他の特徴、利点および実施態様は、当業者であれば、前述の開示を読めば、容易に明らかとなるであろう。これに関して、本発明の具体的な実施態様をかなり詳細に記載したので、これら実施態様の変形および変更は、記載し特許請求した本発明の精神および範囲から逸脱することなく、行うことができるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線開始による難燃剤がグラフトされたオレフィンポリマーを製造するための方法であって、
a) 約10℃〜約85℃の温度にて高エネルギーイオン化放射線でオレフィンポリマー材料(A)を照射して、酸素濃度多くて0.004体積%を有する雰囲気でポリマー骨格上にフリーラ
ジカル開始部位を生成させ;
b) 約100℃までの第1の温度にて、調節された量の酸素の存在下、使用するオレフィンポリマー材料および重合可能な難燃剤の合計重量に基づき、少なくとも1つの前記重合可
能な難燃剤約5〜50重量%で、工程a)の照射したオレフィンポリマー材料を処理し、ついで、25℃〜前記ポリマー材料の軟化点より低い温度までの第2の温度にそのポリマー材料を
保ち、それによって、ポリマー混合物を形成し;
c) ポリマー混合物の融点より高い温度に、工程b)にて得られたポリマー混合物を加熱し、それによって、グラフトポリマー溶融物を生成させ;場合によっては、
d) グラフトポリマー溶融物を冷却した後に、そのグラフトポリマー溶融物をペレット化し、それによって、ペレット化されたグラフトコポリマーを生成させる;
各工程を含む方法。
【請求項2】
オレフィンポリマー材料(A)が、
(a) アイソタクチック指数約80%より大を有するプロピレンの結晶質ホモポリマー;
(b) エチレンおよびC4-C10α-オレフィン類から選択され、その重合されるオレフィン含量が、エチレンを使用する時に、約1〜10重量%であり、C4-C10α-オレフィンを使用す
る時に、約1重量%〜約20重量%であるオレフィンとプロピレンとの結晶質ランダムコポリ
マーであり、そのコポリマーが、アイソタクチック指数約60%より大を有するコポリマー

(c) エチレンおよびC4-C8α-オレフィン類から選択され、その重合されるオレフィン
含量が、エチレンを使用する時に、約1重量%〜約5重量%であり、C4-C10α-オレフィン類
を使用する時に、約1重量%〜約20重量%である2つのオレフィンとプロピレンとの結晶質ランダムターポリマーであり、そのターポリマーが、アイソタクチック指数約85%より大を
有するターポリマー;
(d) (i) アイソタクチック指数少なくとも約80%を有する結晶質プロピレンホモポ
リマー;または、(a)プロピレンおよびエチレン;(b)プロピレン、エチレンおよびC4-C8
α-オレフィン;(c)プロピレンおよびC4-C8α-オレフィンから選択されるモノマー類の結晶質コポリマーであり、そのコポリマーが、重合されたプロピレン含量約85重量%より大
およびアイソタクチック指数約60%より大を有する結晶質コポリマー約10重量%〜約60重量%;
(ii) エチレンおよびプロピレンまたは周囲温度でキシレンに不溶性のC4-C8α-オレフィンのコポリマー約3重量%〜約25重量%;および、
(iii) (a)エチレンおよびプロピレン;(b)エチレン、プロピレンおよびC4-C8α-オ
レフィン;(c)エチレンおよびC4-C8α-オレフィンから選択されるモノマー類の弾性コポ
リマーであり、そのコポリマーが、場合によっては、約0.5重量%〜約10重量%の重合され
たジエンを含有し、かつ、約70重量%未満の重合されたエチレンを含有し、周囲温度でキ
シレンに溶解性であり、かつ、固有粘度約1.5〜約6.0dl/gを有する弾性コポリマー約10重量%〜約80重量%;
を含み、(ii)および(iii)の合計が、合計オレフィンポリマー組成物に基づき、約50重量%〜約90重量%であり、かつ、(ii)/(iii)の重量比が、約0.4未満であるオレフィンポリマー組成物;
(e) エチレンのホモポリマー類;
(f) 重合されたα-オレフィン含量約1〜約20重量%を有するC3-C10α-オレフィン類か
ら選択されるα-オレフィンおよびエチレンのランダムコポリマー類;
(g) 重合されたα-オレフィン含量1〜20重量%を有するC3-C10α-オレフィン類およびエチレンのランダムターポリマー類;
(h) ブテン-1のホモポリマー類;
(i) ブテン-1のエチレン、プロピレンまたはC5-C10α-オレフィンとのコポリマーまたはターポリマー類であり、そのコモノマー含量が、約1モル%〜約15モル%であるコポ
リマーまたはターポリマー類;および、
(j) それらの混合物;
から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
オレフィンポリマー材料が、アイソタクチック指数80%より大を有するプロピレンの結晶
質ホモポリマーである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
反応性過酸化物含有オレフィンポリマーを使用することによる難燃剤がグラフトされたオレフィンポリマーを製造するための方法であって、
a) I. 反応性過酸化物含有オレフィンポリマー(B)約50.0〜約95.0wt%;および、
II. 少なくとも1つの重合可能な難燃剤約5〜約50.0wt%;
を含み、成分I+IIの合計が、100wt%に等しいポリマーブレンドを調製し;
b) 調節された量の酸素の存在下、25℃〜前記ポリマーブレンドの軟化点より低い温度までそのポリマーブレンドを加熱し、それによって、ポリマー混合物を形成し;
c) ポリマー混合物の融点より高い温度にそのポリマー混合物を加熱し、それによって、グラフトポリマー溶融物を生成させ;場合によっては、
d) グラフトポリマー溶融物を冷却した後に、そのグラフトポリマー溶融物をペレット化し、それによって、ペレット化されたグラフトコポリマーを生成させる;
各工程を含む方法。
【請求項5】
反応性過酸化物含有オレフィンポリマーについての出発材料が、
(a) アイソタクチック指数約80%より大を有するプロピレンの結晶質ホモポリマー;
(b) エチレンおよびC4-C10α-オレフィン類から選択され、その重合されるオレフィン含量が、エチレンを使用する時に、約1〜10重量%であり、C4-C10α-オレフィンを使用す
る時に、約1重量%〜約20重量%であるオレフィンとプロピレンとの結晶質ランダムコポリ
マーであり、そのコポリマーが、アイソタクチック指数約60%より大を有するコポリマー

(c) エチレンおよびC4-C8α-オレフィン類から選択され、その重合されるオレフィン
含量が、エチレンを使用する時に、約1重量%〜約5重量%であり、C4-C10α-オレフィン類
を使用する時に、約1重量%〜約20重量%である2つのオレフィンとプロピレンとの結晶質ランダムターポリマーであり、そのターポリマーが、アイソタクチック指数約85%より大を
有するターポリマー;
(d) (i) アイソタクチック指数少なくとも約80%を有する結晶質プロピレンのホモ
ポリマー;または、(a)プロピレンおよびエチレン;(b)プロピレン、エチレンおよびC4-C8α-オレフィン;(c)プロピレンおよびC4-C8α-オレフィンから選択されるモノマー類の
結晶質コポリマーであり、そのコポリマーが、重合されたプロピレン含量約85重量%より
大およびアイソタクチック指数約60%より大を有する結晶質コポリマー約10重量%〜約60重量%;
(ii) エチレンおよびプロピレンまたは周囲温度でキシレンに不溶性のC4-C8α-オレフィンのコポリマー約3重量%〜約25重量%;および、
(iii) (a)エチレンおよびプロピレン;(b)エチレン、プロピレンおよびC4-C8α-オ
レフィン;(c)エチレンおよびC4-C8α-オレフィンから選択されるモノマー類の弾性コポ
リマーであり、そのコポリマーが、場合によっては、約0.5重量%〜約10重量%の重合され
たジエンを含有し、かつ、約70重量%未満の重合されたエチレンを含有し、周囲温度でキ
シレンに溶解性であり、かつ、固有粘度約1.5〜約6.0dl/gを有する弾性コポリマー約10重
量%〜約80重量%;
を含み、(ii)および(iii)の合計が、合計オレフィンポリマー組成物に基づき、約50重量%〜約90重量%であり、かつ、(ii)/(iii)の重量比が、約0.4未満であるオレフィンポリマー組成物;
(e) エチレンのホモポリマー類;
(f) 重合されたα-オレフィン含量約1〜約20重量%を有するC3-C10α-オレフィン類か
ら選択されるα-オレフィンおよびエチレンのランダムコポリマー類;
(g) 重合されたα-オレフィン含量1〜20重量%を有するC3-C10α-オレフィン類およびエチレンのランダムターポリマー類;
(h) ブテン-1のホモポリマー類;
(i) ブテン-1のエチレン、プロピレンまたはC5-C10α-オレフィンとのコポリマーまたはターポリマー類であり、そのコモノマー含量が、約1モル%〜約15モル%であるコポ
リマーまたはターポリマー類;および、
(j) それらの混合物;
から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
出発材料が、アイソタクチック指数80%より大を有するプロピレンの結晶質ホモポリマー
である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
重合可能な難燃剤が、リン含有ビニルモノマーである、請求項1または4に記載の方法。
【請求項8】
重合可能な難燃剤が、ヒドロキシエチルメタクリレートのモノホスフェートエステル、ヒドロキシエチルメタクリレートのジホスフェートエステルおよびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
難燃剤がグラフトされたオレフィンポリマー複合材料を製造するための方法であって、
a) I. オレフィンポリマー材料(A)約50.0〜約90.0wt%;および、
II. 請求項1または4に従い製造されるペレット化したグラフトコポリマー約10
〜約50.0wt%;
を含み、成分I+IIの合計が、100wt%に等しいポリマーブレンドを調製し;
b) ポリマーブレンドの融点より高い温度にそのポリマーブレンドを加熱し、それによって、グラフトされたオレフィンポリマー複合材料溶融物を生成させ;場合によっては、
c) グラフトされたオレフィンポリマー複合材料を冷却した後に、そのグラフトされたオレフィンポリマー複合材料をペレット化し、それによって、ペレット化されたオレフィンポリマー複合材料を生成させる;
各工程を含む方法。
【請求項10】
オレフィンポリマー材料(A)が、
(a) アイソタクチック指数約80%より大を有するプロピレンの結晶質ホモポリマー;
(b) エチレンおよびC4-C10α-オレフィン類から選択され、その重合されるオレフィン含量が、エチレンを使用する時に、約1〜10重量%であり、C4-C10α-オレフィンを使用す
る時に、約1重量%〜約20重量%であるオレフィンとプロピレンとの結晶質ランダムコポリ
マーであり、そのコポリマーが、アイソタクチック指数約60%より大を有するコポリマー

(c) エチレンおよびC4-C8α-オレフィン類から選択され、その重合されるオレフィン
含量が、エチレンを使用する時に、約1重量%〜約5重量%であり、C4-C10α-オレフィン類
を使用する時に、約1重量%〜約20重量%である2つのオレフィン類とプロピレンとの結晶質ランダムターポリマーであり、そのターポリマーが、アイソタクチック指数約85%より大
を有するターポリマー;
(d) (i) アイソタクチック指数少なくとも約80%を有する結晶質プロピレンのホモ
ポリマー;または、(a)プロピレンおよびエチレン;(b)プロピレン、エチレンおよびC4-C8α-オレフィン;(c)プロピレンおよびC4-C8α-オレフィンから選択されるモノマー類の
結晶質コポリマーであり、そのコポリマーが、重合されたプロピレン含量約85重量%より
大およびアイソタクチック指数約60%より大を有する結晶質コポリマー約10重量%〜約60重量%;
(ii) エチレンおよびプロピレンまたは周囲温度でキシレンに不溶性のC4-C8α-オレフィンのコポリマー約3重量%〜約25重量%;および、
(iii) (a)エチレンおよびプロピレン;(b)エチレン、プロピレンおよびC4-C8α-オ
レフィン;(c)エチレンおよびC4-C8α-オレフィンから選択されるモノマー類の弾性コポ
リマーであり、そのコポリマーが、場合によっては、約0.5重量%〜約10重量%の重合され
たジエンを含有し、かつ、約70重量%未満の重合されたエチレンを含有し、周囲温度でキ
シレンに溶解性であり、かつ、固有粘度約1.5〜約6.0dl/gを有する弾性コポリマー約10重量%〜約80重量%;
を含み、(ii)および(iii)の合計が、合計オレフィンポリマー組成物に基づき、約50重量%〜約90重量%であり、かつ、(ii)/(iii)の重量比が、約0.4未満であるオレフィンポリマー組成物;
(e) エチレンのホモポリマー類;
(f) 重合されたα-オレフィン含量約1重量%〜約20重量%を有するC3-C10α-オレフィン類から選択されるα-オレフィンおよびエチレンのランダムコポリマー類;
(g) 重合されたα-オレフィン含量約1重量%〜20重量%を有する2つのC3-C10α-オレフィン類およびエチレンのランダムターポリマー類;
(h) ブテン-1のホモポリマー類;
(i) ブテン-1のエチレン、プロピレンまたはC5-C10α-オレフィンとのコポリマーまたはターポリマー類であり、そのコモノマー含量が、約1モル%〜約15モル%であるコポ
リマーまたはターポリマー類;および、
(j) それらの混合物;
から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
オレフィンポリマー材料(A)が、アイソタクチック指数80%より大を有するプロピレンの結晶質ホモポリマーである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
a) 約10℃〜約85℃の温度にて高エネルギーイオン化放射線でオレフィンポリマー材料(A)を照射して、酸素濃度多くて0.004体積%を有する雰囲気でポリマー骨格上にフリーラジ
カル開始部位を生成させ;
b) 約100℃までの第1の温度にて、調節された量の酸素の存在下、使用するオレフィンポリマー材料および重合可能な難燃剤の合計重量に基づき、少なくとも1つの重合可能な
難燃剤約5〜50重量%で、照射したオレフィンポリマー材料を処理し、ついで、25℃〜ポリマー材料の軟化点より低い温度までの第2の温度にそのポリマー材料を保ち、それによっ
て、ポリマー混合物を形成し;
c) ポリマー混合物の融点より高い温度に、工程b)にて得られたポリマー混合物を加熱し、それによって、グラフトポリマー溶融物を生成させ;場合によっては、
d) グラフトポリマー溶融物を冷却した後に、そのグラフトポリマー溶融物をペレット化し、それによって、ペレット化されたグラフトコポリマーを生成させる;
各工程を含む方法によって製造される放射線開始による難燃剤グラフトを有するオレフィンポリマー。
【請求項13】
a) I. 反応性過酸化物含有オレフィンポリマー(B)約50.0〜約95.0wt%;および、
II. 少なくとも1つの重合可能な難燃剤約5〜約50.0wt%;
を含み、成分I+IIの合計が、100wt%に等しいポリマーブレンドを調製し;
b) 調節された量の酸素の存在下、約25℃〜前記ポリマーブレンドの軟化点より低い温
度までの温度にポリマーブレンドを加熱し、それによって、ポリマー混合物を形成し;
c) ポリマー混合物の融点より高い温度にそのポリマー混合物を加熱し、それによって、グラフトポリマー溶融物を生成させ;場合によっては、
d) グラフトポリマー溶融物を冷却した後に、そのグラフトポリマー溶融物をペレット化し、それによって、ペレット化されたグラフトコポリマーを生成させる;
各工程を含む方法により製造される過酸化物開始による難燃剤グラフトを有するオレフィンポリマー。
【請求項14】
a) I. オレフィンポリマー材料(A)約50.0〜約90.0wt%;および、
II. 請求項1または4に従い製造されるペレット化したグラフトコポリマー約10〜
約50.0wt%;
を含み、成分I+IIの合計が、100wt%に等しいポリマーブレンドを調製し;
b) ポリマーブレンドの融点より高い温度にそのポリマーブレンドを加熱し、それによって、グラフトされたオレフィンポリマー複合材料溶融物を生成させ;場合によっては、
c) グラフトされたオレフィンポリマー複合材料を冷却した後に、そのグラフトされたオレフィンポリマー複合材料をペレット化し、それによって、ペレット化されたオレフィンポリマー複合材料を生成させる;
各工程を含む方法により製造される難燃剤グラフトを有するオレフィンポリマー複合材料。

【公表番号】特表2008−501058(P2008−501058A)
【公表日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−514238(P2007−514238)
【出願日】平成17年5月17日(2005.5.17)
【国際出願番号】PCT/IB2005/051605
【国際公開番号】WO2005/116096
【国際公開日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(506126071)バーゼル・ポリオレフィン・イタリア・ソチエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ (138)
【Fターム(参考)】