説明

難燃性に優れた布帛物およびその製造方法

【課題】難燃性および風合い、快適性に優れた布帛とその製造方法を提供すること。
【解決手段】布帛物の実質的に全体に難燃剤が付与されているとともに、かつ、片側の面にはさらにドット状に難燃剤が付与されていて、該布帛物の限界酸素指数が少なくとも26.0以上である難燃性に優れた布帛物であり、また、難燃剤を布帛全体に付与した後、その布帛の片側の面に難燃剤をドット状に付与する難燃性に優れた布帛物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難燃性能が要求され、表裏を使い分けて用いられるところの主に衣料用途に用いられる布帛物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、布帛の難燃加工物には、布団側地、毛布、シーツなどの寝具類、カーテン、どん帳等の幕類、カーシート、ソファ等の椅子類、ユニフォームやエプロン等の難燃衣類等がある。
【0003】
これら難燃加工物を得るための難燃加工方法は、例えば、染色と同時に浴中で付与する浴中吸尽法や、加工剤の中に布帛を浸漬させ、一定量絞り乾燥するパッド/ドライ法がある。
【0004】
しかしながら、これらの方法では、難燃剤が布帛に均一に付着(浸透)された状態となり、難燃剤の付着状態が一般にわかりにくくなっている。
【0005】
また、カーテンやどん帳類、椅子類には高度の難燃性が要求されるので、裏面に難燃剤が均一な皮膜状にコーティングされた状態で付着している。これらのコーティング方法としては、ナイフコート、リバースロールコート、グラビアコート等を用いている。このような難燃剤の付着法については、従来から種々提案がなされ、例えば、これらの方法で用いられた布帛やそれらの製造方法の提案がある(例えば、特許文献1〜3)。
【0006】
一方、難燃繊維として、繊維素材そのものが燃えにくいポリ塩化ビニル、モダクリル、ポリクラール、アラミド、フェノール系、ポリフェニレンサルフェート等がある。また、難燃剤との共重合または紡糸の前に難燃剤を添加し繊維化した難燃アクリル、難燃ポリエステル等もある。
【0007】
また、ドット状に加工剤を付与されたものとしては、接着芯地の接着剤、椅子張りの表地と補強生地との接着剤、マットと床面との滑り止めや、作業手袋に用いている防滑樹脂を挙げることができ、従来から種々提案がなされている。
【0008】
例えば、ドット状に機能性薬剤が付与されたシート物または、接着剤をドット状で用いて貼り合わせた、人工皮革の製造方法の提案がある(例えば、特許文献4〜6)。
【0009】
しかしながら、現在、一定の難燃性があり、かつ、柔らかな風合い、着用快適性が要求される衣料用途においては、これらの繊維使いおよび方法では風合い、染色性、快適性、さらにコストの面で満足できるものではなかった。
【特許文献1】特開昭63−246112号公報
【特許文献2】特開平4−119172号公報
【特許文献3】特開平4−352876号公報
【特許文献4】特公昭63−063673号公報
【特許文献5】特開平5−051876号公報
【特許文献6】特公平01−030957号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、かかる従来技術の問題点を解決し、難燃性および風合い、快適性に優れた布帛とその製造方法を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。
【0012】
すなわち、本発明の布帛物は、該布帛物の実質的に全体に難燃剤が付与されているとともに、かつ、片側の面にはさらにドット状に難燃剤が付与されていて、該布帛物の限界酸素指数が少なくとも26.0以上であることを特徴とする難燃性に優れた布帛物である。
【0013】
また、本発明の難燃性に優れた布帛物の製造方法は、難燃剤を布帛全体に付与した後、その布帛の片側の面に難燃剤をドット状に付与することを特徴とする難燃性に優れた布帛物の製造方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、難燃性、風合いおよび快適性に優れた布帛が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、更に詳しく本発明について説明する。
【0016】
本発明の難燃加工布帛は、該布帛物の実質的に全体に難燃剤が付与されているとともに、かつ、片側の面にはさらにドット状に難燃剤が付与されてなる繊維構造物であって、該繊維構造物が少なくとも限界酸素指数26.0以上であることを特徴とする難燃性に優れた布帛物である。
【0017】
ここで、「布帛物の実質的に全体に難燃剤が付与されているとともに、かつ、片側の面にはさらにドット状に難燃剤が付与されてなる」とは、布帛物の実質的に全体に難燃剤が均一に付与されているとともに、片側の面には、さらにドット状に難燃剤が付与されてなる」ことをいうものである。
【0018】
ここで、「ドット状に付与されている」とは、「該片側の面において、ドット状に不連続状態を呈して、難燃剤が付与されていること」をいうものである。個々のドットの大きさとしては、ほぼ500μm〜2000μm程度のものが好ましく、より好適には、1000μm〜1200μm程度である。形状は、円形や4〜6角形のものなどが好ましい。
【0019】
本発明の布帛物は、衣料として好適に用いられることから、染色された布帛物を用いるいることが好ましい。
【0020】
本発明にかかる染色された布帛は、上記したように難燃剤が付与されてなる繊維構造物であって、該繊維構造物が少なくとも限界酸素指数26.0以上を有するものである。
【0021】
該限界酸素指数が26.0未満のときには、温度、湿度、風等の雰囲気条件によっては自己燃焼する可能性があるので本発明の所期の目的を達成することができない。
【0022】
次に、本発明で用いることができる難燃剤とは、繊維加工布帛の燃焼を抑制する加工剤で難燃剤、防炎剤と呼ばれているもので、難燃効果を有する元素としてN、P、As、Sb、Biのような周期律表のV 族と、VII族のハロゲン元素からなるものである。
【0023】
かかる本発明で用いることができる難燃剤を分類すると、有機系と無機系のものに分けることができる。
【0024】
有機系には、リン系のリン酸エステル類、ホスファゼン化合物、燐酸メラミン反応型リン酸エステル、リン酸アミド等がある。窒素含有系のグアニジン化合物、メラミンシアヌレート、トリアジン化合物等がある。シリコン系のシリコンポリマー粉末等がある。
【0025】
一方、無機系には、金属水酸化物系の水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等がある。リン系化合物のリン酸アンモン、赤リン、リン酸ジルコニウム、ポリリン酸アンモニュウム等がある。金属酸化物の三酸化アンチモン、ホウ酸亜鉛、酸化モリブデン、シリカ、アルミナ等がある。
【0026】
難燃の後加工は、繊維素材、難燃剤、加工技術の三つの要素があり、素材により難燃剤、加工方法等が異なってくる。具体的には、綿、セルロース繊維には、ほとんどがリン化合物誘導体であり、代表的なものとして、Nメチロールジメチルホスホノプロピオンアミド、テトラキスハイドロキシメチルホスホニウムサルフェート・尿素縮合物などが用いられている。レーヨン繊維は、原糸から難燃化した「タフバン」東洋紡績)および「DFG」(ダイワボウ)等が用いられる。
【0027】
ポリエステル繊維は、主にリン系化合物の難燃剤とポリエステルを共重合した原糸からの難燃繊維「ハイム」(東洋紡績)、「トレビラ」(ヘキスト)がある。また、後加工難燃として代表的なヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)等のハロゲン化シクロアルカン化合物を染色同浴で吸尽加工する方法が一般的である。また、リン酸エステル類を吸尽またはサーモゾル法で付与させる方法などがある。
【0028】
一般に、ナイロンに脂肪族ハロゲン化合物を加えると着色を起こしやすい。また、芳香族ハロゲン化合物はナイロンとの相容性が悪く紡糸性の悪化という問題がある。また、リン酸エステル類はナイロンのアミノ末端基をブロックして染色座席を減少させる。
【0029】
後加工として、デカブロモビフェニルオキシド、尿素・チオ尿素重縮合物、リン酸グアニジン誘導体などが用いられている。アクリル繊維は、含ハロゲンモノマーを共重合させる方法が主体に採用されている。共重合モノマーとしてトリブロモネオペンチルアクリレート、α−クロロアクリルニトリル、ビニルブロミドとビニリデンクロリドの共重合を挙げることができる。
【0030】
一般に、物質の難燃性を示す尺度の一つとしては、限界酸素指数(LOI値)が採り上げられている。該限界酸素指数(LOI値)は、JIS K 7201 B−1法で規定されている。
【0031】
該LOI値は、試料が炎を出して燃焼し続けるのに必要な雰囲気の酸素容量%である。したがって、この値が大きな試料ほど燃えにくいと言える。可燃性繊維として、綿:17〜19、アクリル:20、ナイロン、ポリエステル:20〜22、羊毛:24〜26、難燃性繊維としてモダクリル(「カネカロン」):27〜29、難燃ポリエステル(ハイム):28〜32、ポリ塩化ビニル:35〜37、ポリ塩化ビニリデン:45〜48、 耐熱性繊維としてアラミド繊維:30、ポリフェニレンサルファイド:34、炭化繊維(「パイロメックス」):55〜60、ピッチ系炭素繊維:60以上、フッ素繊維(「テフロン(登録商標)」繊維)95、等を挙げることができる。
【0032】
ドット状に付与された難燃剤の面積が片側面の面積に対して50〜85%の範囲にあることが好ましい。
【0033】
ドット状に付与された難燃剤の面積が片側面の面積に対して50%未満であれば難燃性能を得にくく、また、ドット状に付与された難燃剤の面積が85%を超えた場合は風合が硬くなり、また素材の機能性(快適性)を十分に発揮できない。
【0034】
また、ドット状に付与された難燃剤のドット個数は25〜150個/cm2 の範囲にあることが好ましい。より好ましい個数は30〜100個/cm2 の範囲である。
【0035】
なお、特公昭63−063673号公報には、機能性薬剤がドット状に付与された繊維シートが提案されているが、1個のドットの平均直径が30〜500μmとなっていて、これ以上大きいと荒れすぎて、従来品との差が明確でなくなると述べている。また、ドット状に付与する方法として、インクジェット方式が提案されている。
【0036】
これに対して、本発明の技術思想の基本は、難燃剤の占有面積が50〜85%の範囲で、ドットの個数が25〜150個/cm2 の範囲であるので、最小ドットの直径は占有面積50%、ドット個数150/cm2 の場合で、約650μmとなり、特公昭63−063673号公報の発明の範囲500μmからは外れるものである。ちなみに、最大ドットの直径は占有面積85%でドット個数25/cm2 の場合で、約2080μmとなる。通気量は生地を通して空気がどれだけ通過できるかの数値である。数値が高いほど通気性は良いが、あまり高くても用途によっては適さない。
【0037】
一方、通気量がゼロでは運動した場合、蒸れやすく快適性に欠ける。難燃性衣料として快適性が維持できる通気量として2cc/sec/cm2 以上あれば良い。
【0038】
本発明のおける布帛物とは、天然繊維、化学繊維あるいは合成繊維からなる織物、編物、あるいは不織布であり、素材は特に限定されないが、ナイロン、ポリエステル、アクリル等の合成繊維を30重量%以上含有した布帛物が使用耐久性、寸法安定性、耐熱性、コストの点でより好ましい。
【0039】
また、合成繊維を30重量%以上含有した布帛物は、浴中で染色・難燃加工する場合においても加工がしやすく好ましい。
【0040】
本発明にかかる布帛物の用途は、特に限定されないが、該布帛物は、難燃剤が全体付与とドット付与の組合せからなり、ドット加工した面を裏側にして衣料用途として用いれば、難燃剤のドットが見えず見栄えを損なうことがないので最適なものである。難燃性を要求される衣料として、火を使う場所での作業服やエプロン、爆発、発火、引火の危険性のある場所での作業服、軍隊、自衛隊、消防隊の作業服などがあり、これらの用途に本発明にかかる布帛物は好ましく用いられる。また、衣料以外には、カーテン、どん帳、幕類、椅子張り等に用いることができる。
【0041】
本発明の製造方法として、染色時に染料と難燃剤を同浴で処理し繊維全体に吸尽、吸着させるか、または染色上がり布帛に難燃剤をパッド/ドライ/キュア法、パッド/ドライ/スチーム法、パッド/スチーム法などで繊維全体に吸尽、吸着させる。例えば、ポリエステルの場合、具体的には、染色と同時加工の場合は、液流染色機を用い、分散染料、難燃剤10%owfとなるようにした処理液に、浴比1:15で浸漬し、130℃で30分間処理をする。パッド/ドライ/キュア法は、難燃剤濃度が20重量%となるように希釈した処理液に浸漬し、絞り率70%で絞液した後、110℃で5分間乾燥し、その後、190℃で1分間ヒートセット処理を行う。これにより、繊維全体に難燃剤が吸尽、吸着される、その後、ドット状に難燃剤を付与する。
【0042】
好ましいドットの付与加工方法として、フラットスクリーンまたはロータリスクリーンを用いたプリント方式またはグラビアロール方式が好ましい。スプレー方式でも可能であるが、ドットの大きさのバラツキや均一散布性が不十分で目標とする品位、性能が得られにくい。インクジェット方式でも可能であるが、一般にドットの大きさが小さくなる傾向がある。
【0043】
ドットの難燃加工剤は、ある程度粘度が必要で、粘度が低いと加工剤が浸透しプリントの反対面まで突き抜けて見栄えの悪いものになる。そのために、粘度を上げるため、増粘剤や架橋剤を用いることで対応する。また、浸透防止の目的で、ドット加工前に撥水加工を施すことも対策の一つである。ドットの接着力向上ならびに洗濯耐久性向上の目的で、難燃加工剤に樹脂を添加することが重要である。このときの樹脂はできるだけ難燃性能を低下させない樹脂を選定することが好ましい。具体的には、アクリル系、ウレタン系、ビニル系、シリコーン系の樹脂などが好ましく用いられる。また、難燃加工剤の付着量は難燃性能、風合いの点から30〜150g/m2 の範囲であることが好ましい。
【実施例】
【0044】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、実施例中の評価・測定は次の方法で行ったものである。
【0045】
<限界酸素指数(LOI値)>
JIS K 7201 B−1号法にて測定する。
<燃焼テスト>
JIS L 1091 A−1法(45°ミクロバーナ法)
<通気量>
JIS L 1096 通気性 A法(フラジール形法)にて測定する。
<ドット状に付与された難燃剤の面積割合>
【0046】
布帛の上側から見た、ドット状に付与された難燃剤の総面積が布帛面積に対して占有している%割合をいう。ドットが山形になっていてもドットの表面積ではなく、ドットの底面積についてであり、その総面積の布帛面積に対する割合である。具体的には、上面から拡大コピーを取り、ドットの総面積を出し、布帛全体の面積で割った割合である。
【0047】
具体的には、布帛面積10cm×10cmの正方形のサンプル布帛を用意し、該布帛のドット状難燃剤の付与面について面積拡大率10倍のカラーコピーを取り、該コピー紙面上でドット部を肉眼で判定して布帛全面積とドット総面積をそれぞれ計測して算出した。n数は3としその平均値とした。
【0048】
実施例1
3dtex×38mmのナイロン66繊維50%と綿50%からなる紡績糸40S/2(双糸撚り990t/m)を用い、タテ88本/インチ、ヨコ58本/インチの平組織で織り上げた。
【0049】
この生地を用い、通常の精練、漂白、乾燥工程を経て染色を行った。染色の条件はスレン染料(Mikethren Gold Orange G Super fine:1.9重量%、Mikethren Red FFB super fine :0.2重量%、Indanthren Blue CLF coll 1.1重量% )3.2重量%の液に生地を浸漬させ、60%の絞り率で絞液し、その後、乾燥した。次に、通常の還元剤に浸漬させ絞液後、103℃×90秒のスチーム処理を行い、中和、水洗、乾燥を行った。
【0050】
次に、生地全体に難燃加工を行うため、難燃剤であるNメチロールジメチルホスホノプロピオンアミド(チバガイギー製ピロバテックスCP−NEW CONC)40重量%、メラミン樹脂10重量%、触媒(リン酸75%)3重量%からなる液に生地を浸漬させ、60%の絞り率で絞液し、その後、150℃×1分で乾燥し、170℃×1分でベーキングを行い、その後水洗、乾燥した。次にドットの難燃剤が表面まで浸透しないようにするため、フッ素系撥水剤(濃度20%品)5重量%からなる液に生地を浸漬させ、60%の絞り率で絞液し、その後、130℃×1分で乾燥し、150℃×1分でベーキングを行った。
【0051】
次に、ドット用難燃加工剤として粉体ブロム系難燃剤(大京化学社製 ビゴールDBS−77)78部、アクリル樹脂(濃度40%品)16部、セルメチルセルロース(レヂノールHE−100濃度6%品)6部からなる塗料を調合し難燃加工剤とした。この難燃加工剤を用いてロータリースクリーンのプリントマシンでプリントを行った。そのときのスクリーンはニッケル製の105メッシュで、スケージは10mm直径を用いた。加工速度は15m/分で行った。
【0052】
このときの付着量は、乾燥前で90g/m2 であった。プリント上がり反は130℃×1分で乾燥し、170℃×1分でベーキングを行った。でき上がった生地の限界酸素指数、燃焼テスト、ドットの占有面積、ドットの個数、通気量は表1の通りであり、ゴワゴワした感じではなかった。この生地を用いて溶接現場で着用するつなぎ服を作成し着用した。火花が生地に付着しても燃え上がることがなく安全に着用できた。また、通気性もあるので蒸れ感を感じることはなかった。
【0053】
実施例2
3dtex×38mmのナイロン66を40%、1.7dtx×40mmの難燃レーヨン30%、綿30%からなる紡績糸40S/2(双糸撚り990t/m)を用い、タテ88本/インチ、ヨコ58本/インチの平組織で織り上げた。この生地を用いて実施例1と同じ条件で精練、乾燥工程を経て染色を行った。次に、実施例1と同じ条件で生地全体に難燃加工および撥水加工を行った。
【0054】
次に、ドット用難燃加工剤は実施例1と同じものを用いた。この難燃加工剤を用いてロータリースクリーンのプリントマシンでプリントを行った。そのときのスクリーンはニッケル製の85メッシュで、スケージは10mm直径を用いた、加工速度は15m/分で行った。このときの付着量は乾燥前で105g/m2 であった。
【0055】
プリント上がり反は130℃×1分で乾燥し、170℃×1分でベーキングを行った。でき上がった生地の限界酸素指数、燃焼テスト、ドットの占有面積、ドットの個数、通気量は表1の通りであり、ゴワゴワした感じではなかった。この生地を用いて割烹着を作成し着用した。難燃性があるので、安心してお年寄りに着用していただくことができた。
【0056】
比較例1
実施例1の染色工程まで同じ素材、条件で加工を行った。この加工上がりの物性を表1に示した。限界酸素指数が20.0と低く、燃焼テスト結果、区分1で完全燃焼した。
比較例2
実施例1の生地全体に難燃加工まで同じ素材、条件で加工を行った。この加工上がりの物性を表1に示した。限界酸素指数が24.5と低く、燃焼テストを行った結果は、区分2であった。
【0057】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
布帛物の実質的に全体に難燃剤が付与されているとともに、かつ、片側の面にはさらにドット状に難燃剤が付与されていて、該布帛物の限界酸素指数が少なくとも26.0以上であることを特徴とする難燃性に優れた布帛物。
【請求項2】
ドット状に付与された難燃剤の付与面積が片側の面の面積に対して50〜85%を占めることを特徴とする請求項1記載の難燃性に優れた布帛物。
【請求項3】
ドット状に付与された難燃剤のドットの個数が25〜150個/cm2 であることを特徴とする請求項1または2記載の難燃性に優れた布帛物。
【請求項4】
通気量が2cc/sec/cm2 以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の難燃性に優れた布帛物。
【請求項5】
布帛物が合成繊維30%以上からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の難燃性に優れた布帛物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の難燃性に優れた布帛物を、前記ドット状に難燃剤が付与された面を裏側に用いて構成されてなることを特徴とする衣料品。
【請求項7】
難燃剤を布帛全体に付与した後、該布帛の片側の面に難燃剤をドット状に付与することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の難燃性に優れた布帛物の製造方法。
【請求項8】
染色後または染色と同時に難燃剤を布帛全体に付与することを特徴とする請求項7記載の難燃性に優れた布帛物の製造方法。

【公開番号】特開2006−249611(P2006−249611A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−67428(P2005−67428)
【出願日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【出願人】(594000402)大阪染工株式会社 (3)
【Fターム(参考)】