説明

雰囲気制御部材の組み合わせ

複数の雰囲気制御部材を組み合わせて使用して、呼吸をする生物材料を収容する密閉容器の内部の雰囲気を制御する。この組み合わせでは、第1R比(酸素透過量に対する二酸化炭素透過量の比)を有する第1ACM(雰囲気制御部材)、及び第2R比を有する第2ACMを利用し、第1R比は1.0よりもずっと大きく、そして第2R比は第1R比よりもずっと小さい。この組み合わせ(31,321,322,331,332)は密閉容器(1)自体の一部分、またはアセンブリ(31,32,34)の一部分を構成することができ、このアセンブリを通って、密閉容器(1)の内部の包装雰囲気が循環する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2005年7月28日出願の米国仮特許出願第60/703,545号の優先権を主張するものである。本出願は、2004年1月28日出願の米国仮特許出願第60/540,121号、2004年1月28日出願の米国仮特許出願第60/539,949号、及び国際特許出願公開第WO 05/074466号として刊行された国際出願番号 PCT/US 04/042018に関連する。これらの出願の各々の開示内容の全てが、参照することにより本明細書に組み込まれる。
本発明は、呼吸をする生物材料を包装する方法、及び雰囲気中のガスを制御することが望ましい他の状態に関する。
【背景技術】
【0002】
呼吸をする生物材料、例えば果物及び野菜は酸素(O)を或る量だけ吸い、そして二酸化炭素(CO)を或る量だけ排出し、これらの量は、生物材料の熟成度、生物材料を取り巻く雰囲気、及び温度によって変わる。調整雰囲気包装(MAP)では、所望の包装雰囲気を、呼吸をする材料の周りに形成することが目的であり、包装雰囲気の形成は、当該材料を、O及びCOを透過させる特性により所望の包装雰囲気を形成する密閉容器に収納することにより行なわれる。多くの場合、容器は少なくとも一つの雰囲気制御部材(ここではACMと略記する)を収納し、この雰囲気制御部材という用語は本明細書において、酸素及び二酸化炭素が当該部材を通って密閉容器に進入し、そして密閉容器から出て行く量を変更する全ての要素を指す。或る場合においては、ACM(雰囲気制御部材)の酸素透過量(OTR)及び二酸化炭素透過量(COTR)は、OTRに対するCOTRの比(ここでは、R比と表記する)が1よりも大きくなるように設定されている。或る場合においては、容器には、密閉包装体の内部及び外部の圧力が確実に等しくなるようにピンホールが設けられる。制御雰囲気包装(CAP)では、所望の包装雰囲気を、密閉容器内の空気の或る部分、または全てを、所望の割合の一つ以上のガス、例えば窒素、O、CO及びエチレンで置き換えることにより形成することを目的とする。
【0003】
MAP(調整雰囲気包装),ACM(雰囲気制御部材),及びCAP(制御雰囲気包装)についての更に詳細な情報に関しては、例えば以下の特許文献を参照されたい:米国特許第3360380号(Bedrosianによる)、第3450542号(Badranによる)、第3450544号(Badranらによる)、第3798333号(Cumminらによる),第3924010号(Erbによる)、第4003728号(Rathによる),第4734324号(Hillによる)、第4779524号(Wadeによる)、第4830863号(Jonesによる)、第4842875号(Andersonによる)、第4886372号(Greengrassによる)、第4879078号(Antoonによる)、第4910032号(Antoonによる)、第4923703号(Antoonによる)、第4987745号(Harrisによる)、第5041290号(Wallaceらによる)、第5045331号(Antoonによる)、第5063753号(Woodruffによる)、第5160768号(Antoonによる)、第5254354号(Stewartによる)、第5333394号(Herdemanによる)、第5433335号(Raudalusらによる)、第5443851号(Christieらによる)、第5460841号(Herdemanによる)、第5556658号(Raudalusらによる)、第5658607号(Herdemanによる)、第5807630号(Christieらによる)、第5832699号(Zobelによる)、第5872721号(Hustonらによる)、第6013293号(De Moorによる)、第6190710号、第6210724号(Clarkeらによる)、第6296923号(Zobelによる)、第6376032号(Clarkeらによる)及び第6548132号(Clarkeらによる);本出願の出願人が保有する同時係属中の米国特許出願番号第09/580379号(Clarkeによる)、第09/999600号(Clarkeによる)、第60/435567号(Clarkeらによる)及び第60/532025号(Clarkeによる);米国特許出願公開番号第2002/0090425号、第2002/0127305号(Clarkeによる)、及び第2003/0057217号(Wyslotskyによる);国際公開番号WO 94/12040(Fresh Westernによる)、WO 96/38495(Landecによる)、WO 00/04787(Landecによる)、WO 01/92118(Landecによる)、WO 03/043447(Landecによる)及びWO 05/074466(Landecによる);欧州特許出願公開第0351115号及び第0351116号(Courtauldsによる)。これらの特許、出願、及び刊行物の各々の開示内容は、本明細書において参照することにより本明細書に組み込まれる。
【発明の開示】
【0004】
本発明によれば、貴重な結果が、複数のACM(雰囲気制御部材)の組み合わせを利用して、制御効果が得られる密閉容器、特に呼吸する生物材料を保管する密閉容器の内部の雰囲気を制御することにより得られることが見出されている。従って、本発明では、本発明の種々の態様において、第1R比(二酸化炭素透過量/酸素透過量)を有する第1ACM(雰囲気制御部材)、及び第2R比を有する第2ACMを利用し、第1R比は1.0よりもずっと大きく、例えば少なくとも1.5または少なくとも2.0、或いは少なくとも3.0であり、例えば1.5〜5.0、または2.0〜4.0、或いは2.3〜3.0であり、第2R比は第1R比よりもずっと小さく、例えば1.0〜2.3、または1.3〜2.0であり、或る場合においては約1.0である。第2ACMのR比はACMのR比よりも、少なくとも2だけ小さくする、例えば少なくとも3だけ小さくする、または少なくとも4だけ小さくすることができる。
【0005】
本発明は本明細書においては主として、単一の第1ACM、及び単一の第2ACMの使用を参照しながら説明されるが、本発明は一つよりも多い第1ACM、及び/又は一つよりも多い第2ACMを設ける可能性を含む。
【0006】
本発明の或る実施形態では、第1及び第2ACMは密閉容器の外壁の一部分を構成するので、包装雰囲気が継続的に第1及び第2ACMに同時に触れるようになる。他の或る実施形態では、第1及び第2ACMの一方、または両方が、密閉容器の内部のアセンブリの一部分、または密閉容器に隣接するアセンブリの一部分を構成する。このようなアセンブリは、例えば容器を密閉する前に、そして/または容器を密閉した後に、そして/または容器の密閉を解除し、そして適宜容器の内容物を取り出した後に、容器に永久的に取り付ける、または密閉容器とは別に設けることが可能である。例えば、或る所望の時間に、例えば出荷用容器を船舶の所定の位置に、または運搬車両の所定の位置に載置するときに、または出荷用容器を船舶または車両から降ろした後に、かつ当該コンテナを別の船舶または別の車両に積載する前に、或いは出荷用容器を開ける直前に、出荷用容器をアセンブリに接続することができ、このアセンブリは、第1及び第2ACMと包装雰囲気とを収容し、出荷用容器の内部の包装雰囲気は、密閉容器から、第1及び第2ACMを収容するチャンバを通って、または一方のチャンバが第1ACMを収容し、そして他方のチャンバが第2ACMを収容する(いずれの順番でも良い)構成の2つのチャンバを順に通って循環して容器に戻る。
【0007】
これらのACMの外部側面(すなわち、包装雰囲気には触れない側面)に触れる周囲雰囲気は空気、またはACMを通って包装雰囲気と相互作用して所望の結果をもたらす他のいずれかの雰囲気とすることができる。例えば、エチレンまたは他の熟成促進剤は包装雰囲気にこのようにして導入することができる。第1ACMの外部側面に触れる雰囲気は、第2ACMの外部側面に触れる雰囲気と同じ、または第2ACMの外部側面に触れる雰囲気とは異なっていてもよい。包装雰囲気に対する影響は、包装雰囲気がこれらのACMに触れるときの包装雰囲気の流速及び/又は圧力を変更することにより、そして/または周囲雰囲気の流速及び/又は圧力を変更することにより変えることができる。
【0008】
或る実施形態では、本発明によってもたらされる利点は、第1及び第2ACMが一緒になって、単一のACMだけでは達成することができない、または容易には達成することができない所望のR比を、容器において実現するように作用することである。他の実施形態では、第2ACMを設けることによって実際に、容器内の圧力を周囲雰囲気の圧力に等しくし易くするように作用するリークを制御することができ、特に第2ACMが約1.0のR比を持つ場合にこのようなリークを制御することができる。
【0009】
第1の好適な態様では、本発明は、密閉容器の内部の雰囲気を制御する方法を提供し、前記方法は、
(A)(i)呼吸をする生物材料、及び(ii)生物材料を取り囲む包装雰囲気を収容する密閉容器を設けるステップと、
(B)包装雰囲気が触れる第1内側面と、第1外部雰囲気に曝露される第1外側面とを含む第1ACM(雰囲気制御部材)に、包装雰囲気を触れさせるステップ、
(C)包装雰囲気が触れる第2内側面と、そして第2外部雰囲気に曝露される第2外側面とを含む第2ACMに、包装雰囲気を触れさせるステップとを含み、
第1ACMは第1R比を有し、そして第2ACMは第2R比を有し、第1R比は1.0よりもずっと大きく、そして第2R比は第1R比よりもずっと小さい。
【0010】
第2の好適な態様では、本発明はガス処理アセンブリを提供し、前記アセンブリは、
(1)梱包容積を規定し、かつ内側表面及び外側表面を有するチャンバと、
(2)チャンバの内側表面の一部分である第1内側面と、そしてチャンバの外側表面の一部分である第1外側面とを有する、第1ACM(雰囲気制御部材)と、
(3)チャンバの内側表面の一部分である第2内側面と、そしてチャンバの外側表面の一部分である第2外側面とを有する、第2ACMと、
(4)流入口と、
(5)流出口とを備え、
第1ACMは第1R比を有し、第2ACMは第2R比を有し、第1R比は1.0よりもずっと大きく、第2R比は第1R比よりもずっと小さく、
流入口及び流出口は、ガスを流入口から流出口に向かって流す場合に、ガスが第1ACMの内側表面、及び第2ACMの内側表面に触れるように配置される。
【0011】
チャンバは、適宜配管または他の連結部材によって分離される2つの部分に分割することができ、一方の部分が第1ACMを収容し、そして他方の部分が第2ACMを収容して、流入口から流出口に流れるガスが第1及び第2ACMに順に(いずれの順番でも良い)触れるようにする。
【0012】
第3の好適な態様では、本発明は、呼吸をする生物材料の周囲を密閉することができる、または密閉している容器であって、本発明の第2の好適な態様によるアセンブリを備える、またはアセンブリに接続されている、或いは接続することができる容器を提供する。
【0013】
第4の好適な態様では、本発明は、呼吸をする生物材料の周囲を密閉することができる、または呼吸をする生物材料の周囲を密閉している容器を提供し、前記容器は、第1R比を有する第1ACM(雰囲気制御部材)と、そして第2R比を有する第2ACMとを備え、第1R比は1.0よりもずっと大きく、そして第2R比は第1R比よりもずっと小さい。
【0014】
第5の好適な態様では、本発明は、呼吸をする生物材料を(熟成させながら)保管する方法を提供し、前記方法では、生物材料の周りの包装雰囲気が継続的に、または断続的に、第1ACM及び第2ACMによって制御され、第1ACMは第1R比を有し、そして第2ACMは第2R比を有し、第1R比は1.0よりもずっと大きく、そして第2R比は第1R比よりもずっと小さい。本発明の第5の好適な態様の一の実施形態では、包装雰囲気は、本発明の第2の好適な態様によるガス処理アセンブリを通過し、包装雰囲気は第1ACM及び第2ACMの内側面に触れる。本発明の第5の好適な態様の別の実施形態では、包装雰囲気は、第1及び第2ACMの外側表面に触れ、そして空気または別の好ましい雰囲気が、ガス処理アセンブリを、第1及び第2ACMの内側表面に触れながら通過する。
【0015】
第6の好適な態様では、本発明は、呼吸をする生物材料を収容する包装体の内部の雰囲気を制御する装置を提供し、前記装置は第1ACM及び第2ACMを含み、第1ACMは第1R比を有し、そして第2ACMは第2R比を有し、第1R比は1.0よりもずっと大きく、そして第2R比は第1R比よりもずっと小さい。
【実施例】
【0016】
本発明は添付の図において例示され、これらの図は概略的に描かれていて、寸法通りには描かれていない。
上述した本発明の要約では、そして以下に示す本発明についての詳細な記述では、本発明の特定の機能(方法ステップを含む)を参照する。ここで、本明細書における本発明の開示内容は、このような特定の機能の全ての適切な組み合わせを含むことを理解されたい。例えば、特定の機能が本発明の特定の態様または実施形態、または特定の請求項に関連して開示される場合、当該機能は適切な程度に、本発明の他の特定の態様及び実施形態と組み合わせて、そして/または本発明の他の特定の態様及び実施形態に関連させて、かつ本発明において広く使用することもできる。
【0017】
「comprises」という用語、及び当該用語の文法的に同等な語句は本明細書においては、他の要素(すなわち、コンポーネント、成分、ステップなど)が適宜含まれることを意味するために使用される。例えば、コンポーネントAB及びCを「comprising」する構造(「structure comprising」は、「structure which comprises」とも記載される)は、コンポーネントAB及びCのみを、またはコンポーネントA、B及びCだけでなく、一つ以上の他のコンポーネントも含むことができる。
【0018】
或るアイテムの前に来る「a」「an」及び「the」という用語は本明細書においては、前後の文によってこのような意味に解釈することができない状況にならない限り、このようなアイテムが1つだけ、またはこのようなアイテムが2つ以上存在し得ることを意味するために使用される。例えば、「an ACM(或る雰囲気制御部材)」を含む容器を参照する場合、この状況は、当該容器が1つのACMまたは複数のACMを含む可能性を含み、同様に、ACMを含む壁を有するモジュール(a module having a wall comprising an ACM)を参照する場合、この状況は、このような壁が2つ以上存在し、かつこのような壁の各々が一つ以上のACMを含む可能性を含む。「consisting essentially of」という用語、及び当該用語の文法的に同等な語句は本明細書においては、開示される本発明を大幅に変えてしまうことがない他の要素を含むことができることを意味するために使用される。本明細書において2つ以上の定義ステップを含む方法を参照する場合、これらの定義ステップはいずれの順番でも、または同時に行なうことができ(前後の文によって当該可能性が排除される場合を除く)、かつ当該方法は、定義ステップのいずれのステップよりも前に、定義ステップの内の2つのステップの間に、またはこれらの定義ステップ全ての後に(前後の文によって当該可能性が排除される場合を除く)、行なわれる一つ以上の他のステップを含むことができる。数字が後に続くことになる「at least」という用語は本明細書においては、当該数字から始まる或る範囲(当該範囲は上限を持つ、または上限を持たない或る範囲とすることができ、上限を持つか、持たないかは、定義対象の変数によって変わる)の始点を指すために使用される。例えば、「at least 1」という表現は、「1」または「1よりも大きい数」を意味し、そして「at least 80%」という表現は、「80%」または「80%よりも大きい数値」を意味する。数字が後に続くことになる「at most」という用語は本明細書においては、当該数字で終わる或る範囲(当該範囲は1または0を当該範囲の下限として持つ範囲、または下限を持たない或る範囲とすることができ、下限を持つか、持たないかは、定義対象の変数によって変わる)の終点を指すために使用される。例えば、「at most 4」という表現は、「4」または「4よりも小さい数」を意味し、そして「at most 40%」という表現は、「40%」または「40%よりも小さい数値」を意味する。本明細書において、或る範囲が「(第1の数) to (第2の数)」または「(第1の数)−(第2の数)」として与えられる場合、この状況は、第1の数である下限を持ち、かつ第2の数である上限を持つ範囲を意味する。例えば、「from 2 to 16 m」または「2−16 m」という表現は、2mである下限を持ち、かつ16mである上限を持つ範囲を意味する。本明細書において与えられるこれらの数は、これらの数の前後の文及び表現に適する幅を持った値と捉えられるべきである。「plurality」という用語は本明細書においては、2つ以上を指すために使用される。
【0019】
本発明を以下に説明し、そして特許請求するために、測定に関する次の略記、定義、及び方法(既に提示した方法の他に)を使用する。
【0020】
OTR(酸素透過量)の値、及びCOTR(二酸化炭素透過量)の値は、等価値をカッコ内にcc/100 inch.atm.24 hrsとして表記する形でml/m.atm.24hrで表示し、そして透過セル(Millipore社により提供される)を使用して測定することができ、この場合、OCO及びヘリウムの混合ガスが0.035kg/cm(0.5 psi)の圧力を使用して、サンプルに供給され、そしてサンプルを通過するガスがO及びCOに関してガスクロマトグラフによって分析される。セルは恒温槽に浸漬して温度を制御することができる。P10という略記を使用して、Tを(T−10)℃とする場合に、第2温度Tでの透過量に対する第1温度TでのOまたはCOに関して指定される透過量の比を指す。特に断らない限り、Tを10℃、そしてTを0℃とする。略記RまたはR比を使用してOTR(酸素透過量)に対するCOTR(二酸化炭素透過量)の比を指し、両方の透過量は特に断らない限り、20℃で測定される。細孔サイズは水銀ポロシメータによって測定される。「「parts」及び「percentages」は、ガスを容積でパーセント表示する場合を除いて重量部及び重量パーセントを意味する。温度は摂氏温度で表示される。結晶ポリマーの場合、略記Tを使用して溶融の開始温度を指し、略記Tを使用して結晶融点を指し、そして略記ΔHを使用して溶融熱を指す。T及びΔHは、示差走査熱量計(DSC)を使用して10℃/分の速度で、かつ第2加熱サイクルで測定される。T及びTは、この技術分野の当業者に公知の従来の方法で測定される。従って、TはDSC(示差走査熱量計)曲線のピークの温度であり、そしてTはDSC曲線ピークの基線と開始線との交点の温度であり、この場合の開始線は、T未満の温度におけるDSC曲線の最も急峻な部分の接線として定義される。
【0021】
本明細書では、密閉包装体及び密閉容器を参照し、更に密閉容器に生物材料を収容する形態を参照するが、密閉状態を気密封止状態とする必要はないが、気密封止状態とすることができることを理解されたい。容器を密閉する従来の方法は便宜的に、本発明において使用可能である。
【0022】
第1ACM(雰囲気制御部材)及び/又は第2ACMは、例えば容器の窓を覆うように載置、または容器の一体化部分とすることができる。容器は、同一または異なる2つ以上の第1ACMと、そして同一又は異なる2つ以上の第2ACMとを含むこともできる。これらのACMは、22℃において、包装雰囲気に流れ込む酸素の少なくとも50%、普通は少なくとも75%がこれらのACMを通過するように構成されることが好ましく、そしてこれらのACMは、酸素及び二酸化炭素が内部雰囲気に流れ込む、または内部雰囲気から流れ出ることができる、酸素及び二酸化炭素のほぼ唯一の通路となる。好適には、これらのACMは、24時間が経過した後に、包装雰囲気が18%未満の酸素、例えば2〜15%の酸素を含むように構成される。
【0023】
ACM(雰囲気制御部材)は、例えば(i)米国特許第5045331号(Antoon)に例えば記載されているような、適宜ポリマーによって被覆される不織布材料、または(ii)例えば米国特許第4879078号、第4842875号、第5160768号、及び第6376032号に記載されているような、適宜ポリマーによって被覆される微細多孔質膜を含むことができる。
【0024】
ACMのサイズ及び透過特性は、呼吸をする生物材料、及び所望の包装雰囲気のタイプ及び量を基準に選択される。包装雰囲気及び/又は外部雰囲気から、これらのACMの内の一つ以上のACMに達する手段を制御することにより、包装雰囲気を所望の組成で経時的に維持することができる。
【0025】
第1ACM(雰囲気制御部材)は、例えば参照することにより内容が本明細書に組み込まれることになる文献に開示されるACMと同じ単位面積当たりの特性とすることができる。或る場合では、ACMは、適切なポリマー、例えば瞬間的に溶融する結晶ポリマーまたはポリシロキサンから成るコーティング材で被覆される微細多孔質膜を含む。ACM(雰囲気制御部材)の酸素透過量(OTR)は、少なくとも775,000(50,000)、特に少なくとも1,550,000(100,000)、例えば少なくとも2,325,000(150,000)であることが好ましい。或る用途では、酸素透過量(OTR)が大きい、例えば少なくとも7,750,000(500,000)、例えば少なくとも13,590,000(900,000)であることが好ましい。或る場合では、少なくとも1.5、特に少なくとも2.5、例えば少なくとも3のR比(二酸化炭素透過量/酸素透過量)を有する第1ACM(雰囲気制御部材)を使用することが好ましい。或る場合では、第1ACM(雰囲気制御部材)は、−5〜15℃の間の少なくとも一つの10℃の範囲で、少なくとも1.3、例えば少なくとも2.6の酸素P10比(すなわち、(第1温度での酸素透過量)/((第1温度−10℃)での酸素透過量))を有することが好ましい。
【0026】
本発明は、過去に使用されたACM(雰囲気制御部材)よりもずっと大きいACMを利用することができる。例えば、ACM及び第2ACMの内の少なくとも一つのACMが適宜、0.06m(100in)超の例えば0.65m(1000in)超の面積を有する。或る実施形態では、ACMは、0.06〜13m(100〜20,000in)の例えば0.65〜6.5m(1000〜10,000in)の面積を有する。
【0027】
第1ACM及び第2ACMの内の一方、または両方をチャンバの一部分とすることができ、この部分へのガスの供給を制御することができる。制御は、ACM(雰囲気制御部材)の性能に影響する複数の変数の内の一つ以上のいずれかの変数に対して行なうことができ、これらの変数として、ガスの量、ガスのタイプ、及びACMの両面の内の一方の、または両方の面の上を流れるガスの流量を挙げることができる。チャンバ内の合計ガス圧、及びチャンバを流れるガスの流量は、例えばチャンバへの供給、及び/又はチャンバからの放出を制御する一つ以上の機器を使用することにより制御することができる。このような機器として、例えばコンプレッサー、ポンプ、バルブ、及び他の計測機器を挙げることができる。複数の雰囲気の内の一つの雰囲気の成分、及び各成分の割合は、例えば異なるガスをチャンバに、制御した流量で送り込むことにより制御することができる。ガスの供給は、容器内の一つ以上のセンサから受信するデータを参照することにより、そして/またはチャンバへのガス供給量及び/又はチャンバからのガス放出量によって制御することができる。例えば、ポンプ及び/又はバルブを継続的にインタラクティブに制御して、ガス供給量を、容器内の雰囲気のガス濃度、例えば酸素濃度及び/又はCO濃度を検出する一つ以上のセンサを含むフィードバックループを経由して制御する。例えば、米国特許第5460841号(Herdemanによる)、及び第5872721号(Hustonらによる)に開示され、かつ本発明の要件に適合させた制御システムを使用することができる。
【0028】
各チャンバがACM(雰囲気制御部材)を収容する構成の2つ以上のチャンバを設けることができる。異なるチャンバ内のACMは同じとし、または異ならせることができ、そして異なるチャンバへのガス供給は同じ方法または異なる方法により制御することができる。一の実施形態では、2つ以上のチャンバを設けることができ、この場合、これらのチャンバの内の一つ以上のチャンバは、相対的に小さいR比(二酸化炭素透過量/酸素透過量)、例えば1〜2.3または1.3〜2.0のR比を有する第2ACM(雰囲気制御部材)を収容し、更には一つ以上の他のチャンバを設けることができ、この場合、各チャンバは、相対的に大きいR比(二酸化炭素透過量/酸素透過量)、例えば1.5〜5または2.0〜4.0或いは2.3〜3.0のR比を有する第1ACM(雰囲気制御部材)を収容する。この実施形態では、平均のR比は適宜、異なるチャンバを通る流量を変更することにより変更することができる。別の実施形態では、一定のR比が必要であり、かつ当該R比を有するACM(雰囲気制御部材)を利用することができない場合、異なるR比(及び、必要に応じて、異なるサイズ)を有する2つのACMを同じチャンバの一部分とすることができる。
【0029】
好適には、第2ACMは、例えば参照することにより内容が本明細書に組み込まれることになる文献に記載されるような微細多孔質膜であり、微細多孔質膜は相対的に小さいR比を有するポリマーで被覆されていないか、または被覆されている。好適には、微細多孔質膜の孔は、絶対に有害な有機物が包装体に侵入することができないほど十分に小さい、例えば1μ未満、好適には0.8μ未満、更に好適には0.5μ未満の最大寸法を有する。
【0030】
包装体を気密封止する場合、第2ACMは、ほぼ1.0のR比を有することが好ましい、または包装体に更に少なくとも一つのピンホールを設けて、確実に圧力を均等にする。詳細には、包装体の密閉が完全ではない場合(例えば、容器がポリマー製の袋であり、袋のネック部をビニタイで結束する場合)、第2ACMは1よりも大きいR比を有することができる。この理由は、不完全な密閉をしてリークを発生させることにより、圧力をある程度均等にすることができるからである。第2ACM(雰囲気制御部材)のOTR(酸素透過量)は、好適には少なくとも1,000,000、更に好適には少なくとも3,000,000、詳細には少なくとも5,000,000、更に詳細には少なくとも8,000,000(cc/100in..atm.24hr)である。
【0031】
第2ACM(雰囲気制御部材)のサイズは適宜、第2ACMの酸素透過量が第1ACMの酸素透過量の0.2〜4倍、例えば0.5〜3倍または1〜2倍となるように設定することができる。ACM及び/又は第2ACMの有効サイズは、例えば引き込み式のカバーを使用することにより、制御された方法で変更することができる。
【0032】
第1ACM及び第2ACMは、常に第1ACM及び第2ACMの両方で制御される透過性を持つ包装体の一部分とすることができる。包装体は、例えば空気などの、一定又は様々な組成の雰囲気中に保持することができ、組成は好適には制御された方法で変更され、かつ当該雰囲気は静止するか、或いは包装体の上を一定のまたは可変の、好適には制御された流量で流れる。別の構成として、第1ACM及び第2ACMの一方、または両方がチャンバまたはチャンバ群の一部分とすることができ、当該部分への空気または他のガスの供給は、例えばバルブ、ポンプ、またはファンを、例えばコントローラでタイムスケジュールに従って操作することにより、または一つ以上のセンサに応答して制御され、これらのセンサは一つ以上のパラメータを検出し、これらのパラメータとして、包装体の外部の温度、包装体の内部の温度、及び包装体内部及び/又は外部の一つ以上のガス、例えば酸素、二酸化炭素、またはエチレンの分圧を挙げることができる。或る場合においては、第1ACMは第1チャンバの一部分であり、そして第2ACMは第2チャンバの一部分であり、2つのチャンバへのガスの供給は、個々に制御されることが好ましい。
【0033】
本発明の一の実施形態では、第1及び第2ACMは、出荷用容器などの内部の雰囲気、冷凍室または熟成室の内部の雰囲気を制御するシステムの一部分である。
【0034】
本発明はモジュールを含み、このモジュールは少なくとも一つのACM(雰囲気制御部材)、及び少なくとも一つの第2ACMを含み、好ましくは再利用することができる(適宜、ACM及び第2ACMの一方、または両方を取り替えた後に)モジュールであり、例えば出荷用容器の内部または外部に収容することができるモジュールである。
【0035】
容器
本発明はいずれのタイプの容器にも使用することができる。容器の複数の壁は硬質壁または柔軟壁とすることができる、或いはこれらの壁の幾つかの壁を硬質壁とし、そして他の壁を柔軟壁とすることができる。壁はいずれかの材料、例えば金属、木材、またはポリマー材料により構成することができる。これらの壁の幾つかの壁、または全ての壁は、1つ以上のO、CO、水蒸気、及び呼吸をする生物材料を保管するために重要な他のいずれかのガスをほとんど通さないようにすることができ、またはこれらの壁の幾つかの壁、または全ての壁は、このようなガスの透過性が低くなるように構成することができる。
【0036】
或る実施形態では、容器は比較的大きく、例えば少なくとも1m、例えば2〜100mの容量を有する。このような容器の例が従来の出荷用容器、及び輸送用容器であり、これらの容器は普通、金属により構成され、少なくとも40m、通常約43mまたは86mの容量を有し、そして船舶またはトラックに積載することができる。果物及び野菜を保管し、そして輸送するこのような容器はこの技術分野の当業者に公知であり、かつ或る範囲の標準サイズのものを利用することができる。このような容器は、従来の冷蔵手順及び/又は制御雰囲気包装(CAP)手順に必要な配管及びガス供給源に接続して搭載することができ、そして本発明における使用に容易に適合させることができる。容器は、建物内の保管室、例えば熟成室、すなわち呼吸をする生物材料がエチレンまたは別のガス状の熟成促進剤に曝露される保管室とすることもできる。
【0037】
保管中の温度
呼吸をする生物材料を保管している間の温度は多くの場合、生物材料の呼吸、及び/又は少なくとも幾つかのガスに対するACM(雰囲気制御部材)の透過性に影響を与える。温度はほぼ一定の温度、例えば冷蔵状態での保管に使用される温度、例えば2〜6℃とすることができ、または第1保管期間中に第1温度とし、そして当該保管期間の前または後の一つ以上の他の保管期間中に異なる温度、例えば18〜22℃とすることができる。
【0038】
本発明の一の実施形態では、包装体内部の雰囲気(第1雰囲気)、及び包装体外部の雰囲気(第2雰囲気)の内の少なくとも一つの雰囲気が、第1ACM及び第2ACMの内の少なくとも一つのACMの上を流れる。本実施形態及び他の実施形態は適宜、次の特徴の少なくとも一つを有する。
(i)第1雰囲気及び第2雰囲気の内の一方の雰囲気がp%容積のCOを含み、pは少なくとも3、例えば3〜15であり、そして他方の雰囲気はp%未満の、例えば0〜5%、好適にはほぼ0%容積のCOを含む。
(ii)第1雰囲気及び第2雰囲気の内の一方の雰囲気がq%容積のOを含み、qは少なくとも15、例えば15〜25、好適にはほぼ21であり、そして他方の雰囲気はq%未満、例えば2〜15%または3〜10%容積のOを含む。
(iii)これらの雰囲気の内の一方の雰囲気が、呼吸をする生物材料を収容する密閉容器の内部の雰囲気、例えば(a)呼吸をする生物材料に直接触れる包装雰囲気、または(b)各容器が第2ACM(雰囲気制御部材)を備え、かつ呼吸をする生物材料を収容する構成の複数の密閉容器の外周面に触れる中間雰囲気であり、他方の雰囲気が空気または酸素リッチな空気である。
(iv)これらの雰囲気の内の少なくとも一つの雰囲気が、第1ACM及び第2ACMの内の少なくとも一つのACMの表面の上を流れる流量が不連続に、または連続的に(例えば、これらの雰囲気の一方または両方がACMの上を流れる前に、そして/または流れた後に、これらの雰囲気の内の少なくとも一つの雰囲気に含まれる少なくとも一つのガスの濃度を測定する一つ以上のセンサに応答して)変更され、流量は次の項目、
(a)第1ACM及び第2ACMを備える閉止チャンバを通る雰囲気の容積、及び
(b)雰囲気が第1ACMまたは第2ACMの上を流れる平均速度
の内の一つ以上であることが好ましい。
(v)第1ACMまたは第2ACMは閉止チャンバの一部分であり、そしてこれらの雰囲気の一方の雰囲気がチャンバを通って流れるようにし、更に好適には、本方法は次の特徴の内の一つ以上の特徴を有する。
(a)雰囲気がチャンバを通って、5〜500、例えば10〜300または20〜200cfm(0.14〜14、例えば0.28〜8.4または0.56〜5.6m/分)の流量で流れる。
(b)雰囲気がチャンバを通って、少なくとも一つの流入口から少なくとも一つの流出口に流れ、流入口及び流出口は、流入口及び流出口を結ぶ直線が第1ACMまたは第2ACMと交差するように配置され、雰囲気は、第1ACMまたは第2ACMを通って流れる雰囲気の平均速度(1分の間にチャンバを通って流れる雰囲気の容積を、前記直線に直交する角度でのチャンバの断面積で割った値として定義される)が50〜5000、例えば200〜2500inch/分(1.25〜125、例えば5〜65m/分)となるような流量で流れることが好ましい。
(c)雰囲気が、チャンバを通って流れる雰囲気の容積に、0.0025〜0.25、例えば0.005〜0.1または0.005〜0.04ft/inch(0.06〜6.4、例えば0.12〜2.5または0.12〜1.0mm/mm)の割合の第1ACM及び/又は第2ACMが前記雰囲気に曝露されるような流量でチャンバを通って流れる。
(d)チャンバは直方体であり、この直方体は2つの大きい面、及び4つの小さい面を含み、そしてこれらの大きい面の内の少なくとも一つの面が第1ACMまたは第2ACMを含み、第1の小さい面が流入雰囲気用の少なくとも一つの流入口を含み、そして第1の小さい面に対向する第2の小さい面が流出雰囲気用の少なくとも一つの流出口を含む。
(e)チャンバは、(i)第1ACMまたは第2ACMを含むほぼ円筒状の表面と、そして(ii)2つの反対側の端部面とを含み、これらの端部面の内の一方が流入雰囲気用の少なくとも一つの流入口を含み、そしてこれらの端部面の内の他方が流出雰囲気用の少なくとも一つの流出口を含む。
本発明の或る実施形態では、第1ACM及び第2ACMの一方または両方のACMが内部ACMであり、「内部ACM」というこの用語は、ガスがACMを通過するときに、
(a)包装雰囲気に直接触れる第1表面と、そして
(b)内部雰囲気に直接触れることがなく、かつ容器の外側表面の一部分ではない第2表面とを有するACM(雰囲気制御部材)を指すために使用される。
【0039】
本発明の或る実施形態では、呼吸をする生物材料が容器の内部に、更に別の包装を施すことなく、または生物材料の周りの雰囲気に影響しない包装体に、例えば段ボール箱、或いは開いた、または大きな孔を有するポリマー袋またはコンテナに収容される。これらの実施形態では、容器の内部の雰囲気は、呼吸をする生物材料に直接触れる包装雰囲気と同じである。しかしながら、呼吸をする生物材料は、当該生物材料が第1内部ACM及び/又は第2内部ACMを有する外側容器に収容される前に、従来の選択性ACM(雰囲気制御部材)及び/又は第2ACMを含む一つ以上の容器に包装することができる。従って、生物材料の周りの包装雰囲気は外側容器の透過性、及び従来の内側容器(群)の透過性の両方を反映した雰囲気となる。
【0040】
第1ACM及び第2ACMの各ACM(雰囲気制御部材)は、例えば次の特徴の内の一つ以上を有することができる。
(a)ACMは不変の有効サイズを有する。
(b)ACMは、ACMの有効サイズを変える、好適には可逆的に変える手段、例えば引き込み式カバーに接続される。
(c)ACMは、包装雰囲気及び/又は外部雰囲気をACMに供給する流量を変える、好適には可逆的に変える手段(ガスの供給を全て阻止する手段を含む)に接続される。
(d)ACMは、ACMの第2表面に供給されるガスの化学組成を変える、好適には可逆的に変える手段に接続される。
(e)ACM(雰囲気制御部材)は支持部材、例えば金属格子によって支持され、支持部材はガスを十分に透過するので、ACMの有効面積を小さくする以外にACMにほとんど影響を及ぼすことがない。例えば、ACMは、2つのこのような支持部材の間に挟むことができる。支持部材は、容器内部の圧力と容器外部の圧力との差を非常に大きくして、ACM(雰囲気制御部材)が圧力差によって変形してしまう現象を回避する場合に特に有用である。好適には、圧力差は小さい、例えば0.3水柱インチ未満である。
【0041】
或る実施形態では、第1ACM及び/又は第2ACMはアセンブリの一部分であり、このアセンブリは、(1)ガス流入口と、(2)ガス流出口と、そして(3)ACMを含む壁とを有するチャンバを備える。アセンブリは、例えば容器とは別に構成することができ、その後呼吸をする生物材料を容器に収容する前、収容している間、または収容した後に所定の位置に配置することができる。使用状態では、流入口は導管によって一つ以上のガス供給源に接続され、そして流出口は導管によって適切なガス処理手段(多くの場合、単純に雰囲気)に接続される。任意であるが、これらの導管の幾つか、または全てが事前組立てアセンブリの一部分である。他のいずれかの必要な導管は、アセンブリを容器に収容する前に、またはアセンブリを容器に隣接して配置する前に容器の一部分とすることができ、そして/またはアセンブリを所定の位置に載置した後に取り付けることができる。
【0042】
アセンブリはいかなる形状を有していてもよい。形状は、例えば一つ以上の金属、木材、及びポリマー材料により構成される剛性フレームによって適切に画定することができる。多くの場合、アセンブリをほぼ箱型とする、例えば2つの相対的に大きい寸法によって定義される2つの大きい面、及びこれらの大きい寸法の内の一つの寸法、及び相対的に小さい寸法によって定義される4つの小さい面を持つ箱とすると便利である。例えば、これらの大きい寸法の各寸法は、0.3〜12m(1〜40ft(フィート))、例えば2〜6m(6〜20ft)とし、そして小さい寸法は0.02〜0.5m(1〜20in(インチ))、例えば0.05〜0.25m(2〜9in)とすることができる。アセンブリの複数の面の内の少なくとも一つの面、例えば箱型アセンブリの大きい方の面の一方の面または両方の面は、第1ACMまたは第2ACMによって覆われる孔を含む。
【0043】
アセンブリは容器に永久的に、または半永久的に取り付けることができ、この場合、当該アセンブリは、呼吸をする生物材料が容器の内部に収容され、または容器から取り出されるときに、当該容器から取り外されることがない。別の構成として、アセンブリは、容器の密閉が解除された後、かつ呼吸をする生物材料を取り出す前、取り出している間、または取り出した後に、容器から取り外され、そして呼吸をする生物材料を容器に収容する前、収容している間、または収容した後に、元の容器の内部にまたは第2容器に収容することにより、後で再利用されるアセンブリとすることができる。このようにして、雰囲気制御を必要としない物品を出荷するために使用されてきた容器を降ろし、次に別の輸送に使用して、出荷中の雰囲気制御を必要とする呼吸をする生物材料、または他の物品を出荷することができる。
【0044】
図の説明
図1及び2は、容器1及び関連するアセンブリ31を示している。図1では、アセンブリ31は容器1とは別に設けられ、そして第1ACM32、第2ACM33、流入口34、及び流出口35を備える。流入口34は容器1に、ポンプ342を含む導管341によって接続される。流出口35は容器1に導管351によって接続される。図2では、アセンブリは容器1の内部に収容され、当該アセンブリによって容器の内部が容積11及び12にそれぞれ分割される。アセンブリの対向壁の内の一方の壁は、第1ACM32の部分321、及び第2ACMの部分331を含み、そして対向壁の内の他方の壁は、第1ACMの部分322、及び第2ACMの部分332を含む。空気または他の所望の雰囲気は、アセンブリの対向壁の間に位置し、かつアセンブリの対向壁の間を流れるようにすることができる。
【0045】
本発明は、例えばアスパラガス、アボカド、ブロッコリ、カンタロープメロン、サクランボ、マンゴー、及びパパイヤを含む広い範囲の種類の、呼吸をする生物材料の保管に有用である。適切な材料として、エチレンまたは別の熟成促進剤に曝露されると熟成する(または、例えばかんきつ類の果実、クロロフィル異化産物の場合には、他の変化が生じる)広い範囲の種類の果物を含み、これらの果物として、例えばリンゴ、アプリコット、アボカド、バナナ、ブルーベリー、チェリモヤ、ナツメヤシ、イチジク、キーウィ、マンゴー、メロン、桃、パパイヤ、西洋ナシ、コショウ、柿、及び西洋スモモ(これらの果物の全ては熟すとエチレンによって呼吸量が一時的に増える)だけでなく、サクランボ、ブドウ、レモン、オレンジ、トマト、及びイチゴを挙げることができる。本発明の或る態様は、商業的な規模で、エチレンを発生しながら熟成する加工室で熟させる果物、例えばアボカド、バナナ、バートレット梨、キーウィ、マンゴー、メロン、コショウ、及びトマトに特に有用である。本発明はバナナの保管に特に有用である。なぜなら、本発明によって、バナナの熟成度(バナナを初めて包装するときの緑色状態からバナナが小売店で販売される状態まで)を、呼吸量の変化、出荷時期、及び小売販売所の要求に従って制御することが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の第3の好適な態様によるコンテナの平面図である。
【図2】本発明の第3の好適な態様によるコンテナの平面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉容器の内部の雰囲気を制御する方法であって、前記方法は、
(A)(i)呼吸をする生物材料、及び(ii)生物材料を取り囲む包装雰囲気を収容する密閉容器を設けるステップと、
(B)包装雰囲気が触れる第1内側面と、そして第1外部雰囲気に曝露される第1外側面とを含む第1ACM(雰囲気制御部材)に、包装雰囲気を触れさせるステップと、
(C)包装雰囲気が触れる第2内側面と、そして第2外部雰囲気に曝露される第2外側面とを含む第2ACMに、包装雰囲気を触れさせるステップとを含み、
第1ACMは第1R比(二酸化炭素透過量/酸素透過量)を有し、そして第2ACMは第2R比を有し、第1R比は1.0よりもずっと大きく、そして第2R比は第1R比よりもずっと小さい方法。
【請求項2】
(1)密閉容積を規定し、かつ内側表面及び外側表面を有するチャンバと、
(2)チャンバの内側表面の一部分である第1内側面と、チャンバの外側表面の一部分である第1外側面とを有する、第1ACM(雰囲気制御部材)と、
(3)チャンバの内側表面の一部分である第2内側面と、チャンバの外側表面の一部分である第2外側面とを有する、第2ACMと、
(4)流入口と、
(5)流出口とを備え、
第1ACMは第1R比を有し、そして第2ACMは第2R比を有し、第1R比は1.0よりもずっと大きく、第2R比は第1R比よりもずっと小さく、そして、
流入口及び流出口は、ガスを流入口から流出口に向かって流す場合に、ガスが第1ACMの内側表面、及び第2ACMの内側表面の上を通過するように配置されるアセンブリ。
【請求項3】
呼吸をする生物材料を熟成させながら保管する方法であって、前記方法は、
(A)呼吸をする生物材料と、呼吸をする生物材料の周りの包装雰囲気とを収容する密閉容器を設けるステップと、
(B)包装雰囲気を、請求項2記載のガス処理アセンブリに通過させて、包装雰囲気が第1ACM及び第2ACMの内側面に触れるようにするステップとを含む方法。
【請求項4】
呼吸をする生物材料を熟成させながら保管する方法であって、前記方法は、
(A)呼吸をする生物材料と、呼吸をする生物材料の周りの包装雰囲気とを収容する密閉容器を設けるステップと、
(B)包装雰囲気を、請求項2記載のアセンブリの第1及び第2ACMの外側表面に触れさせるステップと、
(C)所望の雰囲気を、前記雰囲気がガス処理アセンブリを通過するように流して、前記雰囲気が第1及び第2ACMの内側表面に触れるようにするステップとを含む方法。
【請求項5】
呼吸をする生物材料の周囲を密閉することができる、または密閉している容器であって、請求項2記載のアセンブリを備える、または請求項2記載のアセンブリに接続している、或いは接続することができる容器。
【請求項6】
呼吸をする生物材料の周囲を密閉することができる、または呼吸をする生物材料の周囲を密閉している容器であって、第1R比を有する第1ACMと、第2R比を有する第2ACMとを備え、第1R比は1.0よりもずっと大きく、第2R比は第1R比よりもずっと小さい容器。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−502178(P2009−502178A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−524225(P2008−524225)
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【国際出願番号】PCT/US2006/029594
【国際公開番号】WO2007/016427
【国際公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(508027682)アピオ インク. (1)
【Fターム(参考)】