説明

電位・温熱組合せ家庭用電気治療器

【課題】電位治療が問題なく行われていることを、治療者が知ることができ、針刺しなどの障害を検知して安全に使用でき、構造が簡単、軽量で引いては安価な電位・温熱組合せ家庭用電気治療器を提供する。
【解決手段】電位治療用の面センサーを兼ねた電床板5と温熱治療用の発熱体を積層一体的に形成して敷布団10に内装し、発熱体には両側に銅線等の導電極帯を織り込んだ布にカーボン導電塗料を塗布してなる等の面状発熱体1を用い、電床板には塩化ビニールフイルム等の電気絶縁フイルムの片面にカーボン塗料を塗布して導電膜を形成してなる面状導電体を用い、電床板に1000ボルト以下の低圧マイナス電圧を印加した状態で、電床板への電圧印加の状況を、電圧出力側からフィ―ドバックして、電位電圧検知回路で検知して、故障時にLED16,18等にて報知する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマイナス電界に人体を横臥することにより、人体の帯電微粒子を調整する電位治療と、人体を暖めることにより血行を良好にして肩こり等をやわらげる温熱治療とが行える電位・温熱組合せ家庭用電気治療器に関する。
【背景技術】
【0002】
電位治療器は大地絶縁された電床板にマイナス電圧を印加することにより形成された電界領域に人体を置くことによって、生体の帯電微粒子を調整する家庭用の電気治療器の一種であり、温熱治療器は、電気発熱体等の加温体によって人体を暖めることにより血行を良好にして、肩こり、筋肉痛等を癒す家庭用の温熱治療器の一種である。従来これらの治療器を組み合わせて敷き布団用に構成して、寝ながら治療を受けることができるようにしたものがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記のような電位・温熱組合せ家庭用電気治療器において、電位治療のときに、電床板にマイナス電圧が印加されているか、否か、を検出してコントローラーに設けた発光ダイオード等で印加状態を報知することにより、電位治療が問題なく行われていることを、治療者が知ることができるようにした電位・温熱組合せ家庭用電気治療器を提供しようとするものであり、また、電床板は従来面発熱体の針刺しなどの障害を検知して、安全に使用するために設けた面センサーと共用することにより、構造が簡単、軽量で引いては安価に提供できるようにした電位・温熱組合せ家庭用電気治療器を提供しようとするものである。
【0004】
即ち、温熱治療は温かくなることから、治療状態を治療者が自覚できるが、電位治療、特にマイナス1000ボルト以下の低電圧の電位治療は、治療中何の感覚もなく、例えば、機器が故障していて、マイナス電位が電床板に印加されていなくても、治療者は分らなく、治療を続けることになる。印加電圧が1000ボルト以上の高電圧電位治療器の場合は、治療中体毛が揺れて皮膚を刺激することや皮膚温が上昇するなどで自覚できるが、低電圧電位治療は治療自覚が得られない。
【0005】
また、面発熱体は針等金属片が刺さったとき、感電する危険性がある。このために、面発熱体使用のこの種製品には、その危険を回避するため、安全上面状導電体からなる面センサーを設けている。従来温熱治療器に電位治療器を組合せたこの種治療器においては、回路構成上負電圧を印加するため新たに電床板を設けている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はこれら観点に立って、マイナス電位負荷を行う電床板へのコントローラー側からのマイナス電圧出力側からフィ―ドバック回路を設けて、電床板へのマイナス電圧の印加状況をマイコンで判断して、コントローラーに設けた発光ダイオード等でその状況を報知することにより、電位治療が適正に行われているか、否か治療者が確認できるようにしたものである。
【0007】
また、安全のために設けた面センサーを電床板と兼用させることにより、構造が簡単になり、軽量化を得られて、安価に提供できるものである。
【0008】
敷布団に内装した電床板に1000V以下のマイナス低電圧を印加して、敷布団上面に電界域を作り、敷布団に横臥した治療者にマイナス電位を与えて、人体の帯電微粒子のバランスを調整して、頭痛・肩こり・不眠症・慢性便秘を緩解する効能効果が得られる家庭用電気治療器において、電床板へのマイナス電圧出力側に電位電圧検知回路を設けて、電床板へのマイナス電圧の印加状態をマイコンで検出して、電位治療運転中にもかからず、マイナス電圧が電床板に掛かっていないときは、発光ダイオードを点滅するなどしてその異常を表示する。このことにより、電位治療者は体感では得られないマイナス1000ボルト以下の低電圧電位治療器においても、電位が掛かっていることを目視により知ることができ、別途検電器等を使用しなくても電位治療状況を得とくしながら治療を受けることができる。
【0009】
また、電位治療と温熱治療の二つの治療を組合せた治療器においては、どちらか一方が故障して機能を果たせなくなったときには、組合せ治療器としての機能を果たせなくなったものであることから機器自体故障と判断されなければならない。従来低圧の電位治療器は治療感覚が得られないことから故障に気づかなく正常品として使用されていたが、このような不具合も無くすことができる。
【0010】
さらに、温熱治療のために設けた面状発熱体の安全装置としての面センサーを、電位治療器の電極としての電床板に兼用させる構成にしたことにより、軽量で安価な治療器として提供することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、低圧電位治療器において電位電圧検知回路を設けたことにより、治療者は検電気等を使用しなくても目視等で治療状況を知ることができる。また、電位・温熱組合せ家庭用電気治療器においては、単独故障の検出が行える。さらに、面状発熱体を安全に使用するために必要な面センサーを、電位治療器の電床板と共用したことにより、構造が簡素化され軽量になるとともに、安価になる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は面状発熱体を示す。
【図2】図2は電床板を示す。
【図3】図3は電位・温熱組合せ家庭用電気治療器の全体を示す。
【図4】図4は説明断面図。
【図5】図5は本家庭用電気治療器の電子回路を説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
電床板への電圧出力側に電位電圧検知回路なる電圧出力モニター機能を設けてマイコンに対して電圧出力可否信号出すことによりマイコンで発光ダイオードの点滅を行う。電床板と兼用する面センサーは面状発熱体からの一定以上の漏洩電流(例えば100μA以上)を面状発熱体から受けたときにマイコンの作用で面状発熱体への電気の供給を止める。また、面センサーを兼ねる電床板に印加される低圧マイナス電圧は、商用交流電源から変換された安定化された直流電源である。
【実施例1】
【0014】
本発明の一実施例を図に基づいて説明する。図1は本発明を実施するための面状発熱体1を示し、これは両側に銅線を織り込んだ電極帯2,2を設けた織布に、カーボン導電塗料を塗布して、表裏面に塩ビフイルムをラミネートして電気絶縁して形成される。電極帯2,2からは端子3,3を介してリード線4,4が導出されている。図2は面センサーを兼ねた電床板5を示し、これは塩ビフイルム等電気絶縁フイルム6の片面にカーボン導電塗料を印刷してなる導電面7を形成して、導電面7から端子8を介してリード線9が導出されている。
【0015】
これら面状発熱体1と電床板5は、面状発熱体1の片面に電床板5の導電面7を対面させて積層一体に形成されている。
【0016】
積層一体に形成された面状発熱体2および電床板5は、図3に示されるように敷き布団10の綿に接着して内装されている。敷き布団10の角部には電気接続器11が装着されており、そこから本体コード12を介してコントローラー13に面状発熱体1および電床板5のリード線4,9が電気接続される。14は商用交流電源に接続されるプラグ付き電源コードである。
【0017】
コントローラー13には面状発熱体の発熱温度をコントロールする温度調節ボタン15と温度調節設定を知る発光ダイオード16…および電位・温熱切換えボタン17と治療状況を知る発光ダイオード18…が操作面に設けてある。
【0018】
図4は本発明電位・温熱組合せ家庭用電気治療器を敷き布団形態に実施した図3の敷き布団10部の断面を示し、外皮19・19に被包された固綿20・20に上下挟まれて、積層された面状発熱体1と電床板2が設けられている。
【0019】
図5は、電気系統を示すコントローラー13に収められた電子回路ブロック図である。商用交流電源(100V〜220V)はスイッチング安定化電源回路Aおよび面状発熱体1への電気供給を制御する発熱体制御回路Bに投入される。
【0020】
電源回路Aにおいては、スイッチング安定化電源により、たとえば直流5Vに変換されて、マイコンCおよび電位治療のためのマイナス電位発生回路Dに投入される。マイナス電位発生回路Dでは、たとえばマイナス直流600Vに昇圧されて電床板5に電気接続されている。スイッチング安定化電源回路と商用交流電源とは、基本的には絶縁されているが直流出力を高インピーダンス素子Gを介して商用交流電源と接続することにより、マイナス電位発生回路Dの出力基準を商用交流電源のアース電位とすることができる。
【0021】
電床板5へのマイナス電圧出力側には電圧検知回路Eが設けられており、電圧印加状況をマイコンCに投入する。マイコンCにおいては、マイナス電位発生回路DへのON/OFF制御および発熱体制御回路BへのON/OFFが面状発熱体1に設けられた図示しない温度センサー(感熱線あるいはサーミスター)からの信号を受けて行われる。
【0022】
この場合、マイコンCからマイナス電位発生回路Dへの信号がONにもかかわらず電位電圧検知回路Eで電圧出力が検知できないときはマイコンCを介して発光ダイオード16或は18を点滅するなどして報知する。
【0023】
また、電床板5への電位電圧出力回路上には漏洩電流検出回路Fが設けられており、面状発熱体1から、例えば針刺し、あるいは面状発熱体1の電気絶縁フイルムが絶縁低下したときに受ける漏洩電流を検出してマイコンCに送信することで、面状発熱体1への通電をOFFして使用上の安全を確立する。この場合、電床板5への電位治療電圧を、スイッチング安定化電源回路A以降の直流5Vから昇圧したことにより、面状発熱体1への商用交流電源の漏洩電流と差別化され、電床板5は面センサーと兼用できる。
【0024】
なお、上記実施例においては、両側に電極帯を織り込んだ織布にカーボン等導電塗料を塗布してなる面状発熱体を説明に用いたが、糸に導電塗料を塗布等して、これを横糸に織り込んでなる線面発熱体においても同様効果を得る。
【0025】
以上実施例において説明したように、本発明は電位治療用のマイナス直流電圧の発生状況を検出する電位電圧検知回路を設けて電位発生回路へのマイコンから発信される信号がONにも関わらず電圧検知回路での電圧検知が行われないときは、ランプ点滅等により報知されることから、体感の得られない低圧電位の治療者であっても、その治療状況を認知できる。また、マイナス直流電位電圧をスイッチング安定化電源から昇圧したことから、治療用電位電圧を安定した電圧として得ることができる。さらに、面状発熱体への発熱電気を商用交流電源から、電位治療用電圧をスイッチング安定化電源から昇圧して得るようにしたことにより、電床板と面センサーを同一の面状導電体で共用できることから、機器本体重量が軽量にできることになり、安価に構成される。
【符号の説明】
【0026】
1:面状発熱体
2:電極帯
3:端子
4:リード線
5:電床板
6:電気絶縁フィルム
7:導電面
8:端子
9:リード線
10:敷き布団
11:電気接続器
12:本体コード
13:コントローラー
14:プラグ付き電源コード
15:温度調節ボタン
16:温度調節設定LEDランプ
17:電位・温熱切換えボタン
18:治療状況LEDランプ
19:外皮
20:固綿
A:スイッチング安定化電源回路
B:発熱体制御回路
C:マイコン
D:マイナス電位電圧発生回路
E:電位電圧検知回路
F:漏洩電流検出回路
G:高インピーダンス素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
敷布団に電位治療用の電床板と温熱治療用の発熱体を内装し、コントローラーの制御切り替えによって電位治療と温熱治療が行える電位・温熱組合せ家庭用電気治療器において、発熱体は、両側に銅線等の導電極帯を織り込んだ布にカーボン導電塗料を塗布してなる等の面状発熱体を用い、面センサーを兼ねた電床板は、塩化ビニールフイルム等の電気絶縁フイルムの片面にカーボン塗料を塗布して導電膜を形成してなる面導電体を用いて、これら発熱体と電床板は積層一体的に形成され、電床板にコントローラーの制御により1000ボルト以下の低圧マイナス電圧を印加するものにおいて、電床板への電圧印加の状況を、電圧出力側からフィ―ドバックして、電位電圧検知回路で検知して、故障時に発光ダイオードにて報知することを特徴とする電位・温熱組合せ家庭用電気治療器。
【請求項2】
低圧マイナス電位電圧発生回路部に直接供給される電源が、商用交流電源から変換された、安定化され、かつ商用交流電源と高インピーダンスにて接続された直流電源であり、商用交流電源電圧の電圧値に依存しにくい構成を特徴とする電位・温熱組合せ家庭用電気治療器。
【請求項3】
低圧マイナス電位電圧発生回路部に直接供給される電源が、商用交流電源から変換された、安定化され、かつ商用交流電源と高インピーダンスにて接続された直流電源であり、マイナス電位出力用電床板と、発熱体異常検出用面センサーとが同一の面状導電体で構成されることを特徴とする電位・温熱組合せ家庭用電気治療器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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